代表質問・一般質問

【一般質問】杉田茂実(熊谷市)12月6日(金曜日)

行政の分散等について(知事)

Q 杉田茂実 議員(県民)

まず本日、この議場にいらっしゃいます皆様が、常に県民の安心安全を守るために行動することが基本原則であることを前提に、知事にお伺いいたします。
近年の自然災害は、2011年3月の東北地方太平洋沖地震や2016年4月の熊本地震に見られますように、地震国日本においてはいつ、どこで地震が発生するか予断を許さない状況に置かれております。また、今年の台風第15号、19号は特に関東地方においてこれまでにない脅威を与え、とりわけ第19号は埼玉県内において戦後最大の雨量を記録し、甚大な被害を発生させました。
尊い命を失われました方々に心から御冥福をお祈りいたします。そして、いまだ不自由な生活を余儀なくされております皆様には、心からお見舞い申し上げます。
改めて、我が国は自然災害にぜい弱な環境にあることを思い知らされました。ことのほか地震対策につきましては、現在、首都直下地震や南海トラフ巨大地震が最重要課題であります。首都直下地震は御承知のとおり、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県の地域のいずれかを震源として起こるマグニチュード7クラスの大規模の直下型地震を指し、その発生確率に対し政府は30年以内に70%という数値を発表しています。30年起こらないかもしれないし、今日起こるかもしれない、それが首都直下地震です。
対策の第一歩はリスクを知り、日頃から意識して備えておくことが大切です。もちろん県庁所在地でありますさいたま市においても、綿密な防災ハザードマップが作成されています。大地震が発生した場合、懸念されますのは県庁の行政機能のまひであったり、周辺の交通、通信の途絶です。県庁の機能がそうたやすくまひしたり、途絶することがあってはならないことですが、近年の自然災害を見るとき、県下の市町村を支援、指導する立場から用意周到な対策が必要であると考えます。
私は、そのような不測の事態に備え、県庁の部分的な機能、施設をあらかじめ分散させておくべきではないのかと考えます。現在でも県庁は確かに本庁、地域機関という形で、あるいは県、市町村という形で移譲や連携をしておりますが、これまでのような形ではなく、もっと強力にバックアップできる機能を県庁から離れた地域、場所に分散しておくべきではないかと考えます。
行政分散の代表格はさいたま新都心です。東京一極集中の是正、災害対応力の強化、行政の分散移転や防災、とりわけ危機管理機能の中枢の優先移転などの考え方から誕生したのがさいたま新都心です。街の始まりは2000年5月5日。当時の浦和、大宮、与野の3市にまたがるさいたま新都心は、東京都心部に集中する行政機能を分散させることを目的とした国家プロジェクトでした。約47ヘクタールの旧国鉄操車場跡に関東甲信越を統括する国の18機関が行政分散と移転されましたのが、今日の姿です。
そこで、知事にお伺いいたします。大規模な災害等により懸念される県庁の行政まひに備え、その機能を現在のさいたま市の県庁舎から離れた地域に分散する必要性について、いかがお考えでしょうか。
さて、県民の安心安全を守る環境整備の次は、県民の幸せの環境整備です。知事も常におっしゃられていますが、県内東西南北地域にはそれぞれの歴史があり、地域力があります。しかしながら、格差が生じていることも現実です。特に地元熊谷市をはじめとする県北地域は人口減少が著しく、格差が生じていることは自明の事実であるなど、様々な難問題を抱えております。
頑張れば成果が出ることばかりではありません。埼玉県としての大きな突破口を創出していただくことにより、県北地域は元気のもとである自然環境と農業環境を生かし切ることができるはずです。特に熊谷・深谷業務核都市基本構想により都市開発区域となっております。1999年決定の第5次首都圏基本計画では、4都市圏が指定されているうちの北部熊谷市、深谷市が都市開発区域となっております。
熊谷市は北部地区最大の人口数を誇り、北部経済の一大拠点であり、深谷市と一体で業務核都市となっているほか、景観行政団体や特定行政庁にもなっております。現在でも市内には国道17号をはじめとする4本の国道等や9本の主要地方道、上越新幹線をはじめとする3本の鉄道路線が走るなど、交通の要衝としての役割を果たしています。また、人口は県内第9位でありますが、農業産出額県内5位、年間商品販売額県内5位、製造品出荷額等県内3位であり、埼玉県北部における経済上の一大拠点をなしています。
そこで、知事にお伺いいたします。県北地域の格差を解消するためにどのように取り組まれていくのでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

まず、県庁の機能を分散する必要性についてでございます。
大規模な地震が発生し、県庁自体が被災した場合でも、災害対策業務を継続して実施できるよう備えておくことが必要です。
このため、本庁舎等は、震度7程度でも建物が機能するよう耐震化を図るとともに、特に災害対策本部が設置される危機管理防災センターは免震構造としております。
また、都市ガスと石油の2種類の非常用電源設備により電力を確保しております。
通信手段についても、NTTに加え、地上系、衛星系の防災行政無線により多重化を図っているところです。
その上で本庁舎等が全て使用できなくなった場合には、危機管理防災部や県土整備部などの防災関係部局は、浦和合同庁舎、その他の部局は被災の状況を踏まえ、地域機関に機能を移転することになります。
さらに、浦和合同庁舎も使用できない場合には、災害対策本部は熊谷スポーツ文化公園内の施設に設置することとなっております。
本県では首都直下地震など五つの地震が想定されており、どこで大きな被害が発生してもおかしくありませんので、このように本庁舎等が使用できない場合の県庁機能の受入先を分散しておくことは重要と考えております。
危機管理体制にこれで十分ということはありませんので、受入先となる代替施設の機能強化など今後も不断の見直しを進めてまいります。
次に、県北地域との地域間格差を解消する取組についてでございます。
議員御指摘のとおり北部地域の人口減少は著しく、国勢調査によると平成22年から27年の5年間で県全体では1パーセントの増加でありますが、北部地域では2.4%の減少と厳しい環境にあります。
こうした状況を踏まえ、私は「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を県政運営に取り入れ、「どの地域も取り残すことのない」社会を目指して政策を進めることといたしております。
先日公表した知事公約の工程表においても、北部地域の基幹産業である農林業の振興や、商店街の支援などを重点施策と位置付け、その進め方を示しております。
北部地域をはじめ、各地域にはそれぞれの特性や魅力があります。
こうした特性や魅力を更に高めていくことが地域の活性化につながると考えております。
産業においては、寄居町にホンダの最新の自動車工場、熊谷市にゼリア新薬の製薬工場など様々な企業が立地しており、今後は深谷市にキューピーの体験複合型施設が立地する予定であります。
また、深谷市出身の偉人、渋沢栄一翁が新一万円札に採用されるとともに、令和3年にはNHKの大河ドラマ「青天を衝け」として放映されることになるなど、改めて注目を集めています。
加えて、最近では、ラグビーワールドカップ2019の熱戦が繰り広げられ、多くの観客や県民に感動を与えるとともに、ラグビーによるまちづくりが進んでいます。
このように、北部地域には豊富な地域資源があり、その高いポテンシャルは疑う余地はありません。
さらに、今後、ラグビートップリーグのパナソニックワイルドナイツが本拠地を熊谷に移転することを表明しております。
県としては、これまでふるさと創造資金や森林整備・商店街振興にかかわる補助、市町村の政策担当者が参加する「地域の未来を考える政策プロジェクト会議」などにより、地域の振興の取組を進めてきたところであります。
今後はこうした取組を一層拡充させます。北部地域をはじめとした地域の特性や魅力を更に伸ばし、バランスのとれた魅力ある県土づくりを全力で進めていくことをお誓い申し上げます。

農業政策について(農林部長)

農業政策の方向性について

Q 杉田茂実 議員(県民)

この質問の前に、まずもって本年9月13日以降に次々と発生したCSF、いわゆる豚コレラにおいて、大きな被害をこうむられた生産者の方々に心からお見舞い申し上げます。また、収束に向けて日夜努力しておられる農林部をはじめ関係部局におかれましては、引き続き畜産農家に対し万全な対応をお願いいたします。
さて、質問に入ります。
最初に、農業政策の方向性について質問いたします。
本県の農業政策が目指すのは農業が家業から事業へ、そして産業として自立し、成長産業となり、食品産業や薬品産業とともに発展して、地域経済の向上に貢献することが最大の目的であると考えます。そのためには、我が国はもちろん世界の人口動向を前提として踏まえておかなければなりません。御承知のとおり、国内人口は2050年までに約20%減少し、2015年の1億2,709万人から1億192万人になると試算されております。一方で、世界の人口は2050年までに約30%増加し、2015年の74億人から98億人になると見込まれております。
途上国が経済発展して購買力がつき、さらに食生活が高度化して農畜産物の需要が増加すれば、食料品のマーケット規模は人口増加以上に拡大されることも考えられます。世界市場を視野に入れ、これに対応できる農業生産力環境を整備していけば農畜産業は十分に発展できる成長産業であり、本県の重要な基幹産業になる可能性を秘めています。
そこで、本県の農業生産力を示す農業産出額の観点から順次お伺いいたします。
農業産出額は、他の産業に置き換えると原価に相当するものと私は考えております。これに付加価値をつけ、埼玉県の農業が1兆円産業に成長することを期待してお伺いいたします。
本県における過去最高の農業産出額は昭和52年の2,875億円であり、以降平成7年までは2,500億円以上で推移しており、平成29年には1,980億円で全国18位となっています。また、米、麦、野菜、果実、花き等のいわゆる耕種部門における本県の過去最高の産出額は、平成6年の2,244億円であり、これを直近の平成29年で見ますと1,685億円で全国13位と、いずれも埼玉農業は頑張っているものの、その額は減少していることがうかがえます。
そこでお伺いいたしますが、直近の農業産出額はいずれもピーク時と比較して大きく減少しています。農業分野において世界市場を視野に入れ戦っていくためには、特に本県の耕種部門における産出額をまずは過去最高年の水準に戻す必要があると考えます。
そこで、耕種部門の農業産出額増加に向けた取組について、農林部長の見解をお答えください。
次に、農業算出額の潜在能力について質問します。
本県は関東平野の平たんな地形が多く、首都圏という大消費地を抱えております。災害は比較的少なく、冬季の日照時間も長いという優位性を備えており、埼玉農業の潜在能力は非常に高いと確信しております。一方で、平成29年度の県内荒廃農地面積は3,364ヘクタールと、その数字は決して少なくはないのも事実です。埼玉農業を成長産業とするためには、こうした農地も含めて農地をフル活用することによって、結果として農業産出額が増加すると考えます。
そこで、現在活用されていない荒廃農地の潜在能力を掘り起こし、フル活用するための取組について、農林部長にお伺いいたします。

A 牧 千瑞 農林部長

まず、本県の耕種部門における農業産出額増加に向けた取組についてでございます。
農業産出額は、農産物の価格と生産量を掛け合わせた金額であり、農業生産の実態を金銭的に評価する一つの指標です。
畜産を除いた、農地を耕して米や野菜などを生産する耕種農業は、農業者の高齢化などにより耕作面積が減少するなど、活性化は喫緊の課題です。
耕種農業の農業産出額は、平成6年をピークに、その後、右肩下がりとなり、平成12年以降は、1,700億円前後で推移しています。
耕種農業に更なる活力を創出するには、個々の農業者が自ら経営感覚を高めることや、生産コストを大幅に削減し競争力を高めることが重要です。
こうした認識の下、経営力の高い担い手の育成とともに、担い手にスピーディに農地を集約し、併せて、スマート農業の導入により生産性を高める取組が、産出額増加の観点においてもポイントになると考えています。
次に荒廃農地の潜在能力を掘り起し、フル活用するための取組についてです。
本県では、平成29年の耕地面積が75,200ヘクタール、荒廃農地の面積が3,364ヘクタールとなっています。
荒廃農地の解消は周辺農地への悪影響排除の観点から重要であり、議員お話のとおり、農業産出額増加の観点でも効果があると考えられます。
これまでも、荒廃した農地の再整備と地域特性を生かした農産物の導入をセットで進めることで、秩父地域などで荒廃農地の解消を進めてきました。
引き続き、荒廃農地のある市町村や関係団体と連携しながら、対応してまいります。

県北部地域の農業振興について

Q 杉田茂実 議員(県民)

私の地元であります熊谷市をはじめとする県北部地域は、米麦、野菜、花き、果樹、畜産など各分野にわたり県内屈指の農業地帯であります。埼玉県5か年計画の地域の施策展開では、北部地域の地域づくりの方向性には担い手の規模拡大や野菜、花き、果樹、植木などの生産拡大、畜産の生産性向上などを進め、農業の収益性を高めていくことが示されております。こうした取組は農業産出額増加に直接結び付くものであり、地域の農業分野の活性化のためには、一層その取組を強化していただきたいと考えております。
そこで、この5か年計画の取組を踏まえつつ、北部地域における農業振興策を今後どのように展開していくことが必要であるとお考えでしょうか、農林部長にお伺いいたします。

A 牧 千瑞 農林部長

議員お話のとおり、熊谷市や深谷市など3市4町からなる北部地域は、本県の農業産出額の約4割を占める地域です。
北部地域の農業振興の基本的な方向性についても、農業者の経営感覚を高めることや生産コスト削減による競争力強化がベースになります。
特に、議員御指摘の担い手の規模拡大に関しては、野菜の新規作付面積は増加傾向にあるものの、担い手農家への農地の集積率は、まだ伸ばせる余地が十分見込める状況にあります。
ついては、農地集積による生産の効率化について、さらに力を入れて取り組む必要があると考えています。
併せて、北部地域は野菜の大産地でもあることから、加工業務用向けなど、実需者からの多様なニーズに応えることができる競争力の高い産地を育成していく必要もあります。
また、北部地域は、畜産地帯でもあります。
県としては、現在、CSF、豚コレラ対策に全力を挙げて対応しているところです。
本県の畜産業にとって、県北部は主要な地域であり、引き続き、畜産振興についても取り組んでまいります。

農業技術研究センターと農業大学校の取組について

Q 杉田茂実 議員(県民)

農業の産地間競争、あるいは国際競争力を向上させるには、科学技術の導入が必須です。本県の農業産出額を限りなく耕種部門過去最高年の水準に戻すためには、農業生産に関する研究開発と人づくりが欠かせない要素になります。まず、研究開発部門である農業技術研究センターではこれまで様々な研究がなされ、多くの成果を出してこられてきたかと思います。
そこで、農林部長に3点お伺いいたします。
1点目は、本県オリジナル品種の育成について、これまでどのような研究がなされ、その結果、埼玉農業にどのような成果をもたらしたのでしょうか。
2点目は、生産技術に関する研究について、これまでどのような研究がなされ、その結果、埼玉農業にどのような成果をもたらしたのでしょうか。
3点目は、現在進行中の新品種の育成や高品質、省力生産の技術開発に取り組まれていると思いますが、農業産出額の増加を図る観点から、どのような研究に取り組まれているのかお伺いいたします。
次に、埼玉農業が更なる成長、発展していくためには技術的な支援だけでなく、農業を支える基盤の一つである人づくりの面での支援も欠かせません。そのためには、就農希望者に対する実践教育機関である農業大学校の果たす役割は大変重要です。平成27年に熊谷市に移転し、就農支援のためのカリキュラムの一層の充実等を図られていると聞いております。
そこで、これまでどのような特色あるカリキュラムが組まれ、その結果、どのような成果をもたらしたのでしょうか。また今後、新たな就農希望者を呼び込むためにどのような取組をお考えでしょうか、農林部長にお伺いいたします。
以上、お伺いいたしましたことを踏まえていただき、本県農業産出額をまずは平成7年時のベースである2,500億円とは申しませんが、それに限りなく近づける政策を展開していただき、埼玉農業が本県の確固たる基幹産業となり持続的な発展をすることを切望し、農業政策につきましての今回の質問を閉じます。

A 牧 千瑞 農林部長

1点目、本県オリジナル品種の育成についてでございます。
本県農業が産地間競争を勝ち抜いていくためには、本県の栽培条件などに対応したオリジナル品種の育成が必須との認識の下、これまで水稲、いちごなどの複数品目について研究を行ってきました。
その結果、例えば、水稲では、平成29年産で特Aを取った「彩のきずな」、いちごでは、落語家の林家たい平師匠に愛称をつけていただいた「かおりん」「あまりん」など埼玉農業の主力となることが期待される新品種が生まれています。
次に2点目、生産技術に関する研究についてです。
最近の気象変動は、農産物に影響を与えており、こうした変化に対応した生産技術などが必要であることから、これまで水稲の高温対策生産技術などの研究を行ってきました。
その結果、例えば、コメの高温障害に関しては平成22年産では規格外の米の割合が77%だったものが、平成30年産は0.7%にまで改善されたとの成果が生まれています。
次に3点目の、農業産出額の増加を図る研究についてです。
担い手の減少が進み、農業生産力の低下が危惧される中で、収益力の向上を図る高収益生産技術の研究を行っています。
例えば、現在、加工業務用たまねぎに関し、機械化による省力・低コスト生産技術の開発などに取り組んでいます。
次に、農業大学校の取組についてです。
埼玉農業の成長、発展のためには、議員御指摘のとおり、農業を支える基盤の一つとして人材を育成することが重要です。
農業大学校では移転を機に、埼玉農業の主力である野菜農家を確実に育成できるよう、社会人経験者の就農希望者が多い1年課程のカリキュラムを野菜栽培に特化し、定員も25人から35人に増やしました。
また、意欲のある学生が学校からほ場を借り受け、自らの創意と工夫で栽培から販売まで行う「チャレンジファーム」を設置し、早期に経営感覚を身に付けるための場を作っています。
さらに、平成30年度には販売実習棟を設置し、学生が自分で値段を決めた農産物を販売して、実践的な農業経営を修得できる環境を整備しました。
このような取組の結果、熊谷市に移転した後に卒業した336人の学生のうち、約7割の224人が就農したほか、その他の卒業生も、市場や種苗会社等の関連産業に就職し、いずれも埼玉農業に貢献しています。
今後も、インターネットを活用した環境計測によるスマート農業技術を取り入れるなど、積極的に先端技術が学べる環境を整え、農業大学校の魅力を高めて新規就農希望者を確保してまいります。

新公会計制度に取り組む意義について(企画財政部長)

Q 杉田茂実 議員(県民)

顧みますと、私は平成19年に地元熊谷市議会議員としての活動を開始するに当たり、当然のことながら熊谷市の財政状況を冷静に理解したいと考え、決算書及び予算書をじっくり読み始めてみました。私自身、中小企業の経営者として20年ほど経過した頃でした。いわゆる企業会計は毎日処理するのが当然ですし、毎日決算をすると言われた頃でした。私の役割は片時も資金繰りから目を離さないことでした。自社の健康状況は、企業会計を見続けない限り中長期的な経営方針を決定することすらできません。公会計は私にとりまして大変難解な存在になりました。
さて、総務省は、平成27年1月に統一的な基準による地方公会計マニュアルを取りまとめました。統一的な基準による財務書類の作成手順や資産評価方法、固定資産台帳の整備手順、連結財務書類の作成手順、事業別・施設別のセグメント分析をはじめとした財務書類の活用方法等が示されています。このマニュアルに従い、統一的な基準による財務書類等を原則として平成27年度から平成29年度までの3年間で全ての自治体において作成し、予算編成等に積極的に活用することが求められました。
特に固定資産台帳が未整備である自治体においては、早期に同台帳を整備することが望まれていました。自団体が何を保有しているのかについてきちんと把握できるようになることに取組の意義があります。逆を言えば、これまでは自団体の資産の状況把握が不十分でも自治体経営を行うことができました。これまではハード面で言えば、不足の公共施設を整備することが自治体の役割として続いてきました。しかし、今後は多くの施設が老朽化し、その更新時期を迎えております。どこから何から手をつけていくのかの判断の材料として、資産状況をまず把握する必要性があるわけです。
その上、時代背景として、どの自治体でも公共施設整備の経緯を知る生き字引のような職員が存在しており、そのような各々の自治体の実情に即した判断を行いながら施策展開されてきた職員が退職期を迎えているという現実があります。これまではベテラン職員の感性と経験に頼っていたものを、組織として適切に蓄積されたデータにより裏付けしていくことが必要になっていきます。
公会計も初めから複式簿記の仕組みが導入されていればよかったと思いますが、そのように行われてこなかったわけですから、今、これから各自治体で過去の情報をひもときながら、正しい固定資産台帳を整備することが求められたわけです。
さて、総務省から各自治体に対する固定資産台帳の整備と複式簿記の導入要請を踏まえ、平成28年12月定例会において、本会派の井上議員が新公会計制度への対応について質問をしています。その質問からちょうど3年が経過しましたので、その後の状況、対応等について、企画財政部長に3点お伺いいたします。
1点目は、本県は40道府県と同様に、仕訳方法を日々仕訳ではなく、期末一括仕訳を採用されましたが、採用後の利点と欠点をお伺いいたします。また、導入後、日々仕訳を採用された都県と情報交換をされたでしょうか、併せてお伺いいたします。
2点目は、固定資産台帳に関してです。
まず、固定資産台帳の整備はどのような手法で行われたのかお伺いいたします。
次に、全自治体による固定資産台帳と地方公会計整備が完了した後に立ち上げられた地方公会計の推進に関する研究会では、固定資産台帳の更新に関する今後の対応が議論になっています。これは、全自治体を対象とした調査の結果、固定資産台帳を整備したものの、更新することがままならない自治体が大多数を占めていたことが明らかになったという背景があるようです。そして、これを受けて、和光市の予算仕訳や固定資産台帳の製本化に相当する取組を全国に普及させていくことを検討し始めているようです。
そこで、埼玉県をはじめ県下の市町村では固定資産台帳の更新が適切に行われているのでしょうか、お伺いいたします。
3点目は、3年経過し、固定資産台帳の整備と複式簿記の導入が完了し、これからのより健全で効果的な財政運営に公会計情報をどのように役立て、どのような場面で活用することができるのかをお伺いしたいところですが、いかに真摯に新公会計制度に向き合っても、3年で大きな成果が出るとは考えにくいところです。
そこで、角度を変えてお伺いいたします。この3年間でどのような課題が明らかになったのかお伺いいたします。
総務省は、平成17年から27年までの間、段階的に自治体に対して公会計制度を限りなく企業会計制度にシフトして、各地方公共団体の健康状況を自らで見極められるような資産や債務の実態を把握するよう要請する方針が大きく3回にわたり示されました。経過の中で基準モデル、又は総務省方式会計モデルが示され、私たちの体で例えるとドック検査は実施したものの、病気の根治につながらなかったようなものです。いずれの自治体もさすがに短期間でハード構築はされましたが、何の役に立て、どのように活用するかというところまでは、短期間で効果を出し切れるところまでは到達できていないと考えられます。
明治初期、国づくりの中の公会計が始まり、約150年間続いてきた公会計制度を3年や10年で限りなく自身の体力測定ができる企業会計へ転換することは容易なことではありません。なぜなら固定資産台帳を適正に更新するためには、仕組みを整備する必要があるからです。だから時間がかかるということです。資産に関する金額情報抜きで自治体運営を進めるという、何か整合性のないことになってしまいます。
新公会計を活用した指標も、固定資産台帳が正しくない限り自治体経営上の意思決定資料にはなりません。今、急いでつじつま合わせをするよりも、多少の時間を費やすことが県民にとっての安心安全な財政運営につながります。適正な新公会計制度の構築に向けて力を発揮していただくことを期待して質問を閉じます。

A 石川英寛 企画財政部長

まず、「期末一括仕訳を採用したことの利点と欠点」についてでございます。
会計上の仕訳とは、経済的な取引を資産や負債などの要素に分けて記録する作業であり、取引発生の都度作業を行う日々仕訳と、年度末などに一括して作業を行う期末一括仕訳とに分けられます。
期末一括仕訳は、現行のシステムを利用でき、専門職員が集中処理することで負担を最小限に抑えられる利点がある反面、年度途中における財務状況の把握が難しいという側面があります。
行政においては、毎年度、予算の議決を経ることで財源が明確になっており、年度途中で財務状況を把握する必要性は必ずしも高くないものと考えます。
従って、本県では、他の多くの自治体と同様に期末一括仕訳を採用しております。
次に、「日々仕訳を採用した都県と情報交換をしたのか」についてでございます。
財務書類の作成方法や活用方法などについては、毎年秋頃に開かれる近県の財政担当者会議などの機会を通じて、定期的に情報交換をしております。
また、東京都や大阪府など日々仕訳を採用した自治体からは、個別にその利点や課題について情報収集を行っております。
次に、「固定資産台帳の整備はどのような手法で行われたのか」についてでございます。
固定資産台帳の整備に当たっては、庁舎などの建物、道路などのインフラ資産、物品等、各課ごとのシステムや台帳で管理している全ての資産データを一つに取りまとめる必要がありました。
そのため、平成27年度には、資産管理に係る検討部会などを立ち上げ、資産の現状把握や課題の整理を行いました。
平成28年度には、各管理台帳の様式の統一化などを行い、平成29年度に、全ての資産データを統合した固定資産台帳を整備いたしました。
次に、「県をはじめ県内の市町村において固定資産台帳の更新が適切に行われているのか」についてでございます。
本県及び全ての市町村におきまして、前年度決算の確定後、全庁への照会を経て資産の異動を把握し、国が提示したマニュアルに基づき、年に1回固定資産台帳を更新しております。
次に、「3年間でどのような課題が明らかになったのか」についてでございます。
国が示した統一的な基準に基づく財務書類によって、資産や負債などのストック情報等を、より正確に把握することができるようになりました。
今後、継続的に財務書類を整備していくことによって、各種指標の経年比較や分析が可能になるものと考えています。
一方で、例えば、国の所有でありながら県が整備や維持管理を行っている国道や河川などは費用のみが県に計上され、資産としては計上されません。
このような、所有外資産の比較が困難であるということも課題の一つです。
こうした点も踏まえつつ、財務書類による比較や分析を進め、県政運営への有効な活用方法について、引き続きしっかり検討してまいります。

「うどん王国・埼玉」を目指して(産業労働部長、農林部長)

Q 杉田茂実 議員(県民)

埼玉県は全国でも有数のうどん王国です。香川県に次ぐ全国第2位のうどん生産量を誇り、県内各地には新旧合わせ少なくとも23種類もの御当地うどんが存在すると言われております。明治維新後間もなく、麦王こと権田愛三は今日に通じる日本の小麦栽培技術を確立し、質・量の劇的な向上をもたらす二毛作、麦踏みを広く全国に伝えました。この麦王権田愛三の出身地である熊谷市で国産小麦の普及と生産及び消費拡大、そして御当地うどんの再発見を目的とする全国大会「全国ご当地うどんサミットin熊谷」が、埼玉県をはじめ諸団体との共催の下、平成29年11月を1回目として3年間にわたり開催されました。3年間の累計出店数は92店、累計来場者数36万人、累計売上額5,976万円という成果を生み出しました。
そこで、この大会を契機に提唱された「うどん王国・埼玉」に向けた更なる機運情勢を図るため、どのような施策をお考えなのか、産業労働部長にお伺いいたします。
また、埼玉県がうどん王国たるゆえんとして、その原料となる県産小麦の生産量と品質維持の果たす役割は大きいところです。うどんサミットに併せ創設された麦王権田愛三ゆかりの地熊谷で、高品質な小麦の生産と生産量の安定確保を奨励する生産者対象の知事表彰制度を今後どのように継続し活用していくのか、農林部長にお伺いいたします。

A 加藤和男 産業労働部長

県では、平成29年度から3年間、地元熊谷の商工団体などと共同で「全国ご当地うどんサミット」を開催し、全国に「うどん王国・埼玉」をアピールいたしました。
熊谷での開催は今年が最終年となることから、今後の機運醸成につながるいくつかの仕掛けを行いました。
まず、いろいろな食べ方のある埼玉・熊谷のうどんを更にアピールするため、地元熊谷のうどんを使用したレシピを募集するコンテストを実施しました。
優勝作品は年度内に熊谷市内のうどん店で試験販売される予定であり、提供するお店がさらに広がっていくことを期待しているところです。
また、県と埼玉県物産観光協会が連携し、本年10月に「埼玉うどんパスポート2019」を発行しました。
これは県内61のうどん店をクーポン付きで紹介するとともに、スタンプラリー方式でうどん店巡りを提案する冊子です。
メディアでも取り上げられ話題となり、1か月で1万2,000冊の配布を終了し、ウェブ版もこれまでに1万件を超えるダウンロードがありました。
掲載している店舗からは、「都内からも食べに来てくれるなど新規のお客様が増えた。」との声をいただくなど、うどんの魅力を外部に向けて発信することの意義を改めて確認いたしました。
今後は掲載するうどん店の拡大を図り、より多くの方に県内のうどん店を巡っていただけるよう取り組んでまいります。
また、県外からもお客様を呼び込むため、都内のテレビや雑誌等のメディアが参加する都内記者連絡会で、バラエティに富んだ本県のうどんの魅力や地域で実施されるスタンプラリーなどの取組をPRしてまいります。
さらに、旅行業の免許を有する埼玉県物産観光協会とも連携し、うどん打ち体験や周辺観光を楽しめるツアーを企画し、実施してまいります。
うどんは本県にとって重要な観光資源です。
一人でも多くの方に本県のうどんの魅力を知っていただき楽しんでいただけるよう、本県のうどん店や商工団体などと連携し、積極的に取り組んでまいります。

A 牧 千瑞 農林部長

熊谷市を含む県北地域は、「麦王」と呼ばれた権田愛三の功績もあり、明治時代から米との二毛作による麦づくりが盛んで、長い歴史とともに国産麦の主要産地として高い評価を受けてきました。
議員お話の「生産者対象の知事表彰制度」は、「全国ご当地うどんサミットin熊谷」において、地元の商工業者等で構成する実行委員会により、うどんサミットの開催にあわせて、平成29年から3年間実施され、県も運営面を支援して参りました。
本州1位の小麦の生産量を誇る熊谷市において、この表彰制度をうどんサミットのレガシーとして継続することは大変意義深いことと考えております。
県といたしましては、どのような形で継続していくかを含め市やJAなど関係機関と調整してまいります。
また、この表彰制度が生産者の皆様の意欲向上につながり、産地の益々の発展に結びつくよう、そして、ひいては、埼玉の小麦の品質の良さへの評判が高まり需要が拡大するよう努めてまいります。

地元問題について

熊谷市内の河川について(県土整備部長)

Q 杉田茂実 議員(県民)

今回の台風19号の記録的な大雨により、県内で河川の堤防決壊による水害が発生いたしました。地元熊谷市内には利根川、荒川の1級河川のほか、県が管理を行っている和田吉野川、通殿川、和田川、元荒川、星川、忍川、福川の7河川があります。そのうち福川では堤防の陥没や亀裂が発生するなど、地元住民にとって不安な状況でありました。
また、去る2日、国土交通省関東地方整備局によれば、台風第19号の大雨により、国が管理する河川で県内3カ所の堤防が決壊した原因を大雨による水位上昇で堤防を越えた水が堤防を削り、決壊につながったとのことでした。こうした堤防決壊などを防ぐには、大雨や台風でも水位が堤防を越えないことが重要であると考えます。その対策としては、河床と中州の土砂堆積が見受けられる箇所についてはしゅんせつを実施し、水位を低く保つこと、また、洪水時の流下能力の阻害や偏流などの原因となり得る河道内の樹木の伐採を行うことが必要であると考えます。
熊谷市内の県管理の河川においても、早期に河道内のしゅんせつや樹木の伐採を進めるべきと考えますが、県土整備部長のお考えをお伺いします。

A 中村一之 県土整備部長

県では、河川管理施設の状態や河道の変状などを把握するため、定期的な点検を実施しております。
点検の結果、河道内の堆積土砂や樹木などが川の流れを著しく阻害している場合には、堆積土砂の撤去や樹木の伐採を実施し、河川の流下能力を確保しております。
熊谷市内では、和田吉野川において、河川の勾配が緩やかになり、土砂が堆積しやすい和田川合流点から膝喰橋までの約2.5キロメートルの区間を対象に、平成23年度から堆積土砂を順次撤去しております。
また、河道内の樹木についても、令和元年度は、和田吉野川2カ所、通殿川2カ所で伐採しております。
今後も、県管理河川について、河道内の土砂の堆積状況、樹木の繁茂状況などを定期的に把握し、河川の流下能力を確保できるよう適切な維持管理に努めてまいります。

熊谷会館跡地について(企画財政部長)

Q 杉田茂実 議員(県民)

県北地域最大の1,500席を有するホール、県熊谷会館が2015年3月末で閉館しました。県の地方庁舎に隣接し、JR熊谷駅北口から徒歩10から15分の中心市街地にある同会館は、地元熊谷市の文化、芸術の振興を支える存在でした。残念ではありましたが役割を終え閉館となり、多くの市民は寂しさを感じたはずです。
そこで、会館跡地についてお伺いいたします。
その土地は熊谷地方庁舎を含め、2万1,282平方メートルと広大です。現在は地方庁舎の駐車場として供用開始されていますが、跡地利用が駐車場として整備された理由と、今後どの程度の期間駐車場として利用されるのでしょうか。また、解体後の広大な土地に対して市民からは、今後何ができるのか、駐車場であればどのようにすれば使えるのか、夜間騒音がしたり、管理上危険を感じるといった様々な期待と不安の声を聞いております。その敷地は広大で、県の固定資産台帳記載の貴重な資産であります。そのためにも、近隣住民や市民が駐車場として更なる有効活用していくべきだと考えます。
そこで、次の役割が決定するまで民間に貸し出し、有効活用することは可能でしょうか、企画財政部長にお伺いいたします。

A 石川英寛 企画財政部長

まず、熊谷会館が駐車場として整備された理由とどの程度の期間、駐車場として利用されるかについてでございます。
熊谷会館は昭和46年に開館しましたが、築40年以上が経過し老朽化に伴う改修には多額な費用が掛かり、また、利用率が低迷していたことから平成27年3月末をもって閉館いたしました。
その後、平成28年度に庁内関係部局と熊谷市で構成する「旧熊谷会館跡地利用に係る検討会議」を設け、閉館後の跡地利用について検討を行ったところです。
その結果、庁内全部局及び熊谷市に跡地利用の意向がないこと、熊谷会館に隣接する熊谷地方庁舎の来庁者用の駐車場が不足していたことから、当分の間、駐車場として利用することとしたものです。
そのため、具体的な期限は設けておりません。
次に、熊谷会館跡地駐車場の次の役割が決定するまで、民間に貸し出し有効活用することができるかについてでございます。
熊谷会館跡地の駐車場は、通常は熊谷地方庁舎にある北部地域振興センター、熊谷保健所など県の八つの地域機関への来庁者用の無料駐車場として利用されております。
その他にも「熊谷うちわ祭り」や「熊谷花火大会」の際には、一般に無料開放するなど、有効活用を図っております。
また、今年の9月から10月にかけて開催されたラグビーワールドカップ2019及び日本代表壮行試合の際には、観客輸送に使う大型バスの待機場としても活用したところです。
議員御質問の民間への委託等については、旧川越地方庁舎において実施した例もあり、駐車場を有効活用する方法の一つであると考えます。
一方、既存の利用との両立の方策や駅からの距離など立地環境に伴う採算性等について、十分な検討が必要であると認識しております。
この駐車場は今年の2月に利用を開始したところであり、今後、その利用状況の推移を確認するとともに、必要に応じて地元や民間事業者のニーズも把握しながら、駐車場の有効活用に努めてまいります。

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