代表質問・一般質問

【代表質問】岡 重夫(白岡市・宮代町)2月26日(火曜日)

令和2年度の埼玉県一般会計当初予算案について(知事)

Q 岡 重夫 議員(県民)

大野知事は昨年8月31日に就任されてから、CSF、豚熱の対策や台風第19号への対応、そして現在の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策などに奔走されて、あっという間の半年ではなかったかと思います。
しかし、これまでの知事の様々な場面での判断力や行動力を見て、県民の多くは知事を高く評価していますので、引き続きあらゆる場面で強いリーダーシップを発揮されることを期待して、順次質問を行います。
まず予算案編成に当たっての知事のお考えを伺います。
大野知事が就任後初めて編成された令和2年度の一般会計予算案は、1兆9,603億1,500万円で、昨年度対比3.8%増の過去最大規模となっています。そして「安心・元気のスタートアップ予算」と銘打ち、災害に強い埼玉の構築と2020オリンピック・パラリンピックの成功に重点を志向するとして、「安心・安全しっかり確保」「持続可能な成長・発展」「誰もがいきいき活躍」、この三つの施策を最優先に取り組むとも言われています。
そこで、まず「安心・元気スタートアップ予算」の基本的な考えとして、「誰一人取り残さない、どの地域も取り残さない社会を実現する」とありますが、現在、県内でも経済、人口格差など格差社会が広がりつつある中で、その実現はなかなか困難です。そのような中、取り残さない社会の実現に向けて、どのような施策に取り組んでいくのか、知事のお考えをお聞かせください。
次に、知事の公約「日本一暮らしやすい埼玉の実現」に向けて、今回の初年度予算案で、その基礎づくりをどのようにするのか。その取組について知事に伺います。
また、予算案を編成する上で、上田前知事の考え方をどのように継承発展させて大野知事の公約を実現しようとしているのか、併せて伺います。
次に、臨時財政対策債について伺います。
当初、平成13年度から平成15年度までの3年間の臨時で始まった、地方が国の借金を肩代わりする制度の臨時財政対策債は、恒常的に来年度予算でも続けられています。そして、昨年度に比べて7.6%減少したとはいえ、1,040億円の臨時財政対策債が計上され、その残高は1兆7,825億円まで膨れ上がり、実に県債全体3兆8,147億円の46.7%を占めています。
埼玉県が臨時財政対策債を発行するかどうかは、形式的には県の意思に委ねられていますが、実質的には交付税であるため、県は発行せざるを得ません。また、その借金は県が責任をもって返済しなければならず、次の世代への負担の先送りになるおそれがあります。ましてや、これからの人口減少や高齢化社会が進み、日本の社会構造が大きく変化して、国や県の税収が減少するおそれがある中で、いつまでも国の借金の肩代わりをすべきではなく、速やかに従来の地方交付税の現金支給に戻すべきです。
そこで、これまで上田前知事は国に対し臨時財政対策債の廃止を求めてこられましたが、大野知事はこの制度をどのようにお考えか。そして、国に対して何らかの意見などを述べられるお考えがあるのか、お伺いします。
続いて、埼玉朝鮮学園への補助金の支給について伺います。
埼玉朝鮮学園の補助金は、平成22年度から予算が執行停止され、平成23年度の予算特別委員会では、拉致問題などが解決するまで予算の執行を留保すべきであるとの附帯決議が可決されました。その後、来年度の予算案まで予算執行の凍結と、予算計上の見送りが行われています。
そんな中、平成30年に人権問題を扱う有識者の方々が、県庁記者クラブで朝鮮学校への補助金の再開を求める記者会見を開き、「政治的な問題と、日本で生まれ、日本で暮らし、日本で税金を納めている子供たちの教育を受ける権利は、全く関係がない」との声明を発表しました。
私は、埼玉朝鮮学園の補助金支給を再開するのは、まず北朝鮮が拉致被害者を全員返すことが先決で、人権問題を訴える有識者の皆さんこそが、北朝鮮に向かって日本人拉致問題の全面解決を訴えるのが先なのではないでしょうか。
ところで、知事のもとには、ほかの団体などからも補助金の再開を求める要望などが来ていると伺っています。そこで、来年度予算案では、補助金の計上が行われていませんが、知事の埼玉朝鮮学園への補助金支給に関するお考えを伺います。

A 大野元裕 知事

「取り残さない社会」の実現に向けてどのような施策に取り組んでいくのかについてでございます。
本県は人口減少社会の到来という時代の大きな転換点を迎えております。
活力の低下が懸念される時代だからこそ、県民一人ひとりが、誰一人取り残されることなく生き生きと活躍できる社会の構築が必要です。
そこで、令和2年度当初予算案の柱の一つとして「誰もがいきいき活躍」を掲げ、一人ひとりが抱える課題の解決に向けた施策に取り組んでまいります。
例えば、児童相談所の職員を大幅に増やすとともに、北部地域において児童相談所と一時保護所を一体的に整備することで、虐待から子供を守る体制や機能を強化してまいります。
また、いわゆる就職氷河期世代については、国に先駆けて実施している就職支援に加え、本県でも新たに職員採用枠を確保するなど、活躍の場を広げてまいります。
さらに、女性、シニア、LGBTQの方についても、それぞれの課題に応じた支援に取り組みます。
加えて、「誰一人取り残さない、持続可能な発展・成長」を目指し、部局横断による庁内推進体制を構築するとともに、県内の企業・団体と連携しながら「埼玉版SDGs」を進めてまいります。
こうした取組を進めることで、個人や地域が輝ける社会を構築してまいります。
次に、「日本一暮らしやすい埼玉」の実現に向けて初年度予算案でその基礎作りをどのようにするのかについてでございます。
私は、公約に掲げた「日本一暮らしやすい埼玉県」を実現するための最初の予算案を「安心・元気のスタートアップ予算」と名付けました。
先ほどの「誰もがいきいき活躍」に加えて、「安心・安全しっかり確保」、「持続可能な成長・発展」の3本柱を掲げ、それぞれの施策に最優先で取り組むことといたしました。
「安心・安全しっかり確保」の柱では、災害ごとの被害や事態を想定したシナリオを作成し、図上訓練を繰り返すことで関係機関と協力体制を構築する「埼玉版FEMA」など、危機管理の体制を強化してまいります。
また、台風第19号で特に甚大な被害を受けた入間川流域などにおいて、河川インフラの強靭化など治水対策に取り組みます。
「持続可能な成長・発展」の柱では、令和2年度に開催する東京2020オリンピック・パラリンピックの成功に向けたイベントや、この大会を契機とした本県経済の活性化などを着実に進めてまいります。
また、「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」では、都市機能の集約化、新技術の活用、災害に強いインフラの観点から、超高齢化社会に対応したまちづくりの方策を検討してまいります。
今後とも、「日本一暮らしやすい埼玉県」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
次に、予算を編成する上で、上田前知事の考え方をどのように継承・発展させて、公約を実現しようとしているのかについてでございます。
上田前知事が取り組まれてこられた、シニア・女性など多様な主体の活躍により社会を活性化するという方向性はしっかりと継承するとともに、より視野を広げた取組を進めていくべきと考えております。
例えば、埼玉県コバトン健康マイレージでは、スポーツクラブとの連携などにより参加者をさらに拡大し、健康寿命の延伸と医療費の抑制を図ります。
また、埼玉版ウーマノミクスプロジェクトでは、男性の育児休業取得を促進するとともに、女性のキャリアアップのための実践的な支援を追加するなど、取組を強化してまいります。
一方、近年ICTやAIなどの新技術は急速に進化しており、私はこうした技術を活用した取組を今までよりも更に積極的に取り入れることで、人口減少社会の課題を解決したいと考えております。
例えば、自動制御技術やドローンなどの活用により、作業の省力化や効率化を進める、農林業のスマート化などに積極的に取り組んでまいります。
また、行政改革においても、AIを活用した業務アシスタントの導入や働き方改革の入口としての庁内のペーパーレス化などに私自らが率先して取り組んでまいります。
さらに新たな観点として、一つ一つの投資が足し算以上の効果を生む「1+1=3」になる取組を積極的に推進いたします。
例えば、これまで各所属で対応していた定型業務などを集約化して処理する「スマートステーションflat」は、業務の効率化とともに、職員が創造的な業務に専念する時間を創出し、さらには障害のある方の活躍の場も生み出すものであります。
私は、時代の変化を的確に捉え、新たな視点の下に、施策に果敢に取り組んでまいります。
本県の置かれている状況を十分に踏まえ、必要な施策に総合的・重層的に取り組むことで、「日本一暮らしやすい埼玉県」を実現してまいります。
次に、臨時財政対策債についてでございます。
臨時財政対策債は、地方交付税のいわば振替えとして、平成13年度に3年間の時限的な措置として始まりました。
その後、延長措置がとられ、現在は令和元年度を期限としておりますが、その期限を令和4年度まで3年間延長する法改正が、ただいま国会で審議されております。
臨時財政対策債は、後年度の地方交付税で元利償還金の全額が措置されるため、発行されることにより財政運営に支障が出るものではありませんが、議員御指摘のとおり国が地方交付税で措置すべきところを地方が肩代わりしている状況には変わりがなく、地方交付税制度の本来の姿とは到底言えないと思います。
本県はこれまで、臨時財政対策債を廃止し、地方交付税に復元すべきとの考えの下、税源移譲や地方交付税の法定率などの抜本的な改革が必要であると訴えてまいりました。
また、全国知事会や九都県市首脳会議、関東地方知事会などにおいても、同様の趣旨の要望活動を実施してきたところです。
このような要望に応える形で、国も随時、地方交付税の質の改善に向けた見直しを行っております。
令和2年度の地方財政計画においても、臨時財政対策債の抑制と地方交付税の増額がなされたところです。
本県の臨時財政対策債発行額も平成22年度の2,210億円をピークに、令和元年度は1,061億円、令和2年度予算でも1,040億円と、ピーク時のほぼ半分まで減少しております。
このように地方交付税については、一定の質の改善が図られておりますが、臨時財政対策債の廃止というところまでは至っておりません。
私といたしましても、臨時財政対策債の廃止に向け、国に対し引き続き粘り強く要望していきたいと考えております。
次に、埼玉朝鮮学園への補助金についてであります。埼玉朝鮮学園への私立学校運営費補助金については、平成22年度から不交付としており、平成25年度以降は予算計上を見送っております。
令和2年度についても予算の計上はいたしておりません。
埼玉朝鮮学園への補助金再開を求める動きや要望があることは、議員御指摘のとおりです。
私は、知事就任直前に埼玉朝鮮学園を訪問し、保護者の方ともお話をいたしました。
本来、子供たちの教育と政治的な問題に関係があってはならないと考えます。
しかしながら、国の就学支援金裁判において朝鮮総連の朝鮮学校への影響力や、朝鮮総連と朝鮮学校との関係性についての懸念が示されています。
国は、裁判において、朝鮮総連と朝鮮学校との関係性が、教育基本法で禁じる「不当な支配」に当たらないことの十分な確証が得られないと主張しています。
全国5カ所で行われている裁判では、国の主張がいずれも認められており、東京、大阪の裁判では、最高裁判所での国の勝訴が確定しています。
また、平成24年3月の予算特別委員会における「拉致問題等が解決されるまで予算の執行は留保すべきである」という、県民の代表である県議会による附帯決議もございます。
令和2年度予算についても、このような状況を踏まえ、補助金を支給する環境にはないと判断をし、予算を計上しないとしたところでございます。

埼玉県の危機管理体制の見直しについて(知事)

危機管理の要諦について

Q 岡 重夫 議員(県民)

最近の中東や朝鮮半島の政情の不安定化や、地球温暖化による異常気象、さらには感染症の状況や、国内の官公庁、企業へのサイバーテロなどを見ると、これまでは自然災害も少なく、感染症やテロなどの発生もなかった埼玉県の危機管理全般の環境が大きく変化していると思います。そのような中、2020オリンピック・パラリンピックも控え、あらゆる危機から県民の生命財産を守るために、これを機会に県の危機管理体制の見直しが必要と考えます。
そこでまず、知事は危機管理の専門家として豊富な知識と経験をお持ちで、昨年10月に掲載された県のホームページで、「私はこれまで危機管理の専門家として、人の命を守る政治を心がけてきました。そして、その方向性はこれからも変わりがない」と述べられています。
しかし、これまでの国会議員の立場と、現在の県民733万人の生命と財産を直接守る役割がある県知事の立場では、その責任の大きさも、重さも違い、知事の危機管理に関する考え方が最も重要だと考えます。
私は日頃から危機管理の要諦は、想定外のことがない周到な準備と、有事の際の最高責任者の優れた状況判断能力だと考えています。
ところで、以前、旧陸軍の参謀で、戦後は伊藤忠商事の会長や故中曽根元首相の顧問など数多くの要職を歴任され、昭和の参謀とも呼ばれた故瀬島龍三氏と、警察官僚としてあさま山荘事件などを指揮し、初代内閣安全保障室長を務められた故佐々淳行氏が、それぞれ別々の会談で「危機管理の要諦は何か」と問われ、2人とも「悲観的に準備し、楽観的に対処することである」と同じ答えをされました。それは「災害などはあらゆる想定を行い、最悪の状態を考えて準備し、対処はその計画に基づき整斉と行え」ということです。
そこで、知事のお考えの危機管理の要諦とは何か、お聞かせください。

A 大野元裕 知事

昨年8月の知事就任以来、CSF、台風第19号、新型コロナウイルス感染症など、埼玉県に大きな影響を及ぼす危機や災害の事案が連続して発生いたしました。
ご質問において取り上げられた佐々淳行初代内閣安全保障室長とは4年間にわたり共に危機管理講座を運営させていただいた先輩で、その薫陶は今も私にとって大切なものであります。
このことも踏まえて申し上げれば、備えるべき危機や災害は様々でありますので、私は「危機管理の要諦は準備にある」と考えております。
危機管理は危機が発生した時にいかに危機をマネジメント、コントロールできるかを日頃から準備しておくものだと考えています。
そのためには、あらかじめ起こり得る災害を想定し、対応する組織などを定め、実施すべき行動を取り決め、訓練を繰り返すことが何よりも大切であります。
現在、危機や災害ごとに対処すべき具体的なシナリオを作成し、図上訓練を重ねながら、専門的な知識や能力を有する様々な官民の機関、組織を連結させていく「埼玉版FEMA」の検討を進めていくところです。
その上で、実際の危機に際しては「疑わしいときは行動せよ」、「最悪事態を想定して行動せよ」、「空振りは許されるが、見逃しは許されない」という三つの行動原則、いわゆるプロアクティブの原則に基づいて対応することが重要と考えています。
今後とも、危機・災害に備えた事前の準備を着実に進めるとともに、県のトップとしてしっかりと使命を果たしてまいります。

埼玉県危機管理指針の見直し

Q 岡 重夫 議員(県民)

平成16年に策定した埼玉県危機管理指針には、埼玉県における危機管理の対応の基本的な考え方や、危機管理体制などが示されています。そして、そこには自然災害だけでなく、武力攻撃やテロ、大規模火災、更には各種感染症など、これまでに想定されたあらゆる危機から県民を守るための基本的な考えなどが記載されています。
ところで知事は、来年度予算案で災害に強い埼玉の構築や県民の安全強化を重点に、危機管理体制の強化にも大きな予算を計上されています。また、本定例会初日の提案説明でも、災害などから県民の命と財産を守る体制の見直しなどに関する決意も述べられています。
そこでまずは、知事御自身が危機管理に関する基本的な考え方や体制などを示すべく、埼玉県危機管理の指針を早急に見直す必要があると思いますが、知事のお考えを伺います。

A 大野元裕 知事

「埼玉県危機管理指針」は、本県の危機対応についての基本的な考え方を定めたものであり、県の危機管理体制、平素から準備すべき事前対策、危機発生時の応急対策などを示しております。
私は、外交官、防衛大臣政務官として長年にわたり危機管理の分野にも携わってまいりました。
その経験から、公約として、埼玉版FEMAを立ち上げ、災害や被害の状況に応じて必要な組織が連携できる体制をつくり上げることと、災害発生時の県業務継続計画の抜本的見直しを掲げさせていただきました。
危機管理の準備は、より実践的なものでなければなりません。
現行の指針についても、こうした観点からより実効性のあるものに見直してまいります。

国民保護に関する埼玉県計画の見直し

Q 岡 重夫 議員(県民)

平成15年に国が事態対処法を成立させ、その対処に関して必要となる個別の法制の一つとして、平成16年に国民保護法が施行されました。そして、その法律に基づき埼玉県が平成18年にこの計画を作成、平成30年12月に変更されて、現在に至っています。
その計画を見ると、これまで国民保護のための各種訓練を積み重ね、更には国や他県の状況なども参考に対処要領などが細部にわたり記載されています。しかし私は、武力攻撃等から県民を守るために一番大事なのは、事前の正確な情報と、できるだけ早く県民を安全な場所に避難誘導させることで、そのためには特に日頃から国を含めた関係機関との情報収集と共有が大切だと考えています。
その計画には、「平素から国、市町村、指定公共機関などと相互連携を図る」とありますが、これまで武力攻撃などに対処するために、国を含めたそれらの機関などとの情報収集訓練や情報の共有の場の会議などが行われたのでしょうか。
そこで、平時における情報収集体制の見直しや、その訓練や会議の必要性について、知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

「国民保護に関する埼玉県計画」では、実施体制や関係機関との協力体制、情報収集・伝達体制などが定められております。
議員お話しのとおり、国を含めた関係機関との情報の共有は、とても大切です。
このため、県では、この計画に基づいて、情報収集・伝達体制を構築するため、毎年度、実動訓練や図上訓練を実施しております。
また、消防、警察、自衛隊との連携強化を図るため、埼玉県危機対策連絡調整会議を設置し、毎年度開催をしております。
この会議では、危機に関する情報交換や初動体制の確保などについて話し合いを行っています。
現在、国からも武力攻撃などについて国民保護法に基づき必要な情報が提供される体制が整っているとともに、サイバー攻撃についても同様に情報共有の仕組みがCERT等を通じて講じられております。
さらに、内閣官房などとも情報の共有を図るべきだと考えております。
事態への的確な対処には、平時において、いかに体制を整えられるかが極めて重要であります。
今後も訓練、会議などを通じて関係機関としっかりと連携を図ってまいります。

埼玉県地域防災計画の見直し

Q 岡 重夫 議員(県民)

この計画は、平成23年の東日本大震災や、平成26年の県北地域の大雪被害の教訓、さらには他県の災害などを参考に、平成26年12月に埼玉県の防災会議で定められたものです。その計画には、複合災害や最悪事態なども含め、これまで考えられるあらゆる想定に対応できる計画になっています。
しかし、最近の豪雨災害、特に昨年の台風第15号での他県の被害状況、そして第19号での本県の被害状況や対応などを教訓に、内容の再検討を行う必要があると考えています。また、災害時の情報収集体制の確立については、現在の国や市町村、そして関係機関だけでなく、警備、ガス、電気などの業界との連携を検討すべきと考えます。
そこで、埼玉県地域防災計画の見直しについて、知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

地域防災計画につきましては、大規模災害が発生した際に得られた教訓や、国の防災基本計画の改正などを踏まえて見直しを行ってまいりました。
平成26年12月に改訂を行いましたが、その後、平成28年4月の熊本地震や平成30年7月豪雨など毎年全国各地で大規模な災害が発生し、その都度様々な教訓を得てきたところです。
さらに、昨年本県を直撃した台風第19号の災害対応では、情報の収集や共有、県民への広報、市町村との連携などの課題が浮かび上がりました。
こうした教訓などを踏まえ、来年度の地域防災計画改訂に向けて、現在準備を進めているところでございます。
警備・ガス・電気などの業界と連携した情報収集体制の確立について県では、埼玉県警備業協会と協定を締結し、警備員が得た被災情報を提供していただくこととしています。
また、ガスや電気などのライフライン事業者とは大規模災害時に県の災害対策本部へ職員を派遣していただくとともに、災害オペレーション支援システムを活用して被害や復旧状況について情報を共有いたします。
議員御指摘のとおり、業界と連携した情報収集体制が災害時にしっかりと機能するよう、地域防災計画の見直しの中で仕組みを充実してまいります。
現在、台風第19号の県の災害対応について市町村職員や県の災害対策本部に派遣された国の職員にアンケートやヒアリングを行いながら検証作業を進めているところであります。
また、国においても台風第15号や第19号をはじめとした一連の災害に係る検証を進めており、年度末を目標に結果を取りまとめると聞いております。
こうした検証結果などを踏まえ、地域防災計画の見直しに取り組んでまいります。

下水道BCPについて(下水道事業管理者)

Q 岡 重夫 議員(県民)

下水道は水道、電気、ガスと並び、県民にとって日常生活に欠かせない大切なインフラの一つです。これまで全国的な大規模地震などの災害時に下水道が大きな被害を受けて、被災者の方々が長期間トイレを使うことができない、あるいは下水の溢水などで不自由な生活を強いられてきました。
そこで埼玉県は、復旧までの時間を最小限にするために、平成28年3月に埼玉県下水道事業業務継続計画、いわゆる下水道BCPを作成し、これまで何度も図上訓練などを繰り返し、BCPを修正してきました。また、昨年埼玉県では、下水道BCP訓練が国土交通大臣から表彰されたと聞いています。
そこで、下水道BCPの実効性を上げるために、これまでどのような取組を行ってきたのか、下水道事業管理者に伺います。
次に、昨年12月24日に県が行ったBCP図上訓練を視察しましたが、これまで行ってきたのは全て強い地震を想定した訓練だけで、下水道BCPには水害に対する対処要領などは記載されていません。今回の台風第19号では、幸いにして県の下水道施設の水没などの被害がありませんでしたが、他県では大きな被害が出ています。長野県では千曲川の氾濫によって下水道処理施設が浸水し、処理機能が全面停止しました。そして、全面復旧にはまだ時間が必要であると聞いています。それらを考えると、今後は水害に対応できるBCPの見直しと訓練が必要と考えますが、下水道事業管理者の御見解を伺います。

A 砂川裕紀 下水道事業管理者

まず、「下水道BCPの実効性を上げるために、これまでどのような取組を行ってきたのか」について、でございます。
下水道は、県民生活にとって重要なライフラインの一つであり、被災した際に、その機能を維持または早期に回復させる必要があります。
下水道局では、平時から災害に備える活動や被災時の対応を取りまとめた下水道BCPを策定し、その実効性を高めるため、災害対応に関する実動訓練と図上訓練を継続的に実施しております。
実動訓練では、埼玉県下水道公社のほか、災害協定を締結している民間団体にも参加をしていただき、支援要請や現地での応急対応手順を確認しております。
また、図上訓練では、参加者が事前に被害情報を知らない状況で様々な判断を求められるブラインド型ロールプレイング方式により、臨機応変に対応できる能力の向上を図っています。
これらの訓練を継続的に実施し、市町村をはじめ、県内全ての下水道関係者との連携を強化しながら発災後の業務継続力の向上を図り、BCPの実効性を高めております。
さらに、平成30年度から流域下水道の管路情報をデジタル化し、併せてタブレット端末を活用して被災状況を視覚的に共有する仕組みを整備したことで、より迅速で的確な意思決定が可能となりました。
この取組は、令和元年度国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」として表彰され、一定の評価が得られたものと認識をしております。
今後とも、各種訓練を継続的に実施し、県内の下水道関係者とともに災害への備えを進めてまいります。
次に、「水害に対応できるBCPの見直しと訓練が必要ではないか」について、でございます。
本県の九つある水循環センターでは、水害対応の事前準備として各設備の稼働確認や資器材の確認・調達、非常用発電設備の状態把握などのタイムラインを作成し、実践をしています。
また、現在、台風第19号での災害対応の課題検証を進めながら、事前準備のタイムラインを見直しており、今後、水害発生時の優先業務の設定や行動計画の作成、執務体制の確認を行ってまいります。
さらに、国土交通省では、これまでの地震や津波を想定した下水道BCP策定マニュアルに水害想定を加え、今年度内に自治体に提示する準備を進めております。
下水道局では、国土交通省から提示されるマニュアルを参考に、埼玉県BCPと連携しながら、水害想定を追加した下水道BCPの改定に取り組むとともに、各種訓練を速やかに実施してまいります。

2020オリンピック・パラリンピック成功に向けたテロ対策・COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の感染拡大防止対策について

テロ対策(知事、警察本部長)

Q 岡 重夫 議員(県民)

この夏のオリンピック・パラリンピックの開催まで約5カ月となり、先日行われた2020オリンピック・パラリンピック・ラグビーワールドカップ2019埼玉県推進委員会の第6回総会でも、大会成功に向けた様々な県独自の取組などの準備状況が報告されました。そして、これからも大会成功に向けて引き続きテロ対策や暑さ対策、さらには感染症対策など多くの課題の解決に向けて、しっかりと取り組んでほしいと思います。
ところで、今年1月に公安調査庁が出した報告書「内外情勢の回顧と展望」に、「東京オリンピック・パラリンピックでは、各競技場はもとより公共機関などのソフトターゲットのほか、都市部などでもテロに警戒する必要がある」と記載されています。また、先月就任された松本光弘警察庁長官はある新聞社の取材に対し、「東京五輪に向け、国際テロの脅威は引き続きある。必要な体制は整っており、詰めの作業を進める」とコメントされています。
一方、県は国民保護に関する埼玉県計画に基づき、毎年、警察や自衛隊、消防などの関係機関と訓練を行い、去る2月12日には坂戸市でオリンピック会場を想定した埼玉SMART合同訓練が行われ、関係機関の連携などが強化されました。
しかし、確かに対処訓練は大切ですが、現在、テロを未然に防ぐための情報収集の体制は十分なのでしょうか。それはテロ組織が何カ月も前から日本に入国し、さらには埼玉県内に潜入して情報収集をしている可能性があることは、今回の日産自動車の元会長のゴーン被告の国外逃亡事件でも明らかです。
また、COVID-19の感染拡大にマスコミや県民の目が奪われているときこそ、テロに関する情報収集に力を入れる必要があります。そのためには、県は警察関係機関や公安関係機関などとテロに関する情報収集を行うことや、情報の共有化が大切です。特に米国とイランとの関係など世界情勢を見ると、テロ組織などの一部が既に日本に侵入している、あるいは侵入する可能性があるという前提で、テロに関する情報の収集や対処要領などに力を入れるべきだと考えています。
そこで、今回のオリンピック・パラリンピックを機会に、これからの大型イベントでのテロ防止のために、警察公安関係機関などとの情報の共有の場、例えば(仮称)テロ対策埼玉県連絡会議などの場が必要と考えますが、知事の御見解を伺います。
次に、テロ防止のためには、日頃の警察署のパトロールや、警備業界やホテル業界、さらには住民などからの不審者情報の収集が大切です。
そこで現在、警察本部としてテロを未然に防止するために情報収集や共有などどのような取組をしているのか、警察本部長に伺います。
続いて、テロ発生時の対処について伺います。
テロの対処は、本来警察の任務で、基本的には特殊急襲部隊SATや銃器対策部隊が対処しますが、もし警察力だけで治安の維持や対処が困難な場合には、内閣総理大臣が自衛隊法に基づき自衛隊に治安出動を下命し、自衛隊と共同で対処するようになっています。
そこで、これまで埼玉県警察本部が自衛隊と治安維持に関する協定を結んで実働訓練が行われています。先日も陸上自衛隊朝霞駐屯地で、千葉県警も加わり合同訓練を行ったわけですが、その訓練の成果について、警察本部長に伺います。

A 大野元裕 知事

これからの大型イベントでのテロ防止のための情報共有の場についてでございます。
議員お話しのとおり、国際情勢が不安定な中、世界各地で様々なテロが発生しており、残念ながら本県でもテロが生じる可能性は否定できません。
このため、必要な情報の共有や訓練を含めた事前の周到な準備が非常に重要でございます。
特に御指摘のように事前に潜入するスリーピングセルの把握やサイバーインシデントの背景を把握するアトリビューションなどには特に情報共有のあり方が問われることとなります。
現在、県警察本部が中心となって、国、県、関係市、公共交通機関、ライフライン事業者など60を超える関係団体からなる「2020オリンピック・パラリンピックテロ対策『彩の国』ネットワーク」が組織されております。
この枠組みを通じて、テロ対策への情報共有や図上訓練を行い、顔の見える関係の構築を図るとともに、2020オリンピック・パラリンピックの会場が、テロを起こしにくいターゲット、いわゆる「ハードターゲット」となるべく安全確保に努めてまいります。
オリンピック・パラリンピック後についても、こうした関係機関の緊密な連携体制が維持・継続できるよう取り組んでまいります。

A 高木紳一郎 警察本部長

埼玉県警察本部としてテロ未然防止のための情報収集や共有など、どのような取組をしているのかについてお答え致します。
テロは極めて秘匿性の高い行為であり、断片的なものであっても幅広い情報の収集と共有は、テロを未然に防止するために極めて重要であります。
そのため警察では、日頃実施しているパトロール、多数の者が集まる催事、ソフトターゲットの警戒等の警察活動を通じた情報収集に加えて、テロを企図する者の入国も視野に入れた官民一体となった情報収集体制を確立しております。
具体的にはテロリストが利用するおそれのあるホテル、旅館、民泊等の宿泊施設、インターネットカフェ、レンタカー事業者を個別に訪問し、例えば「スマートフォンを見ながら宿泊者名簿等を記載する。」など、具体的な不審動向を教示したうえで、そのような不審者が訪れた場合には直ちに警察に対して情報提供がなされるよう、協力体制を確立しております。
また、インターネット上には具体的な手製爆弾の製造方法が掲載されており、国内でも実際に学生が手製爆弾を製造した事件が発生している現状を踏まえ、爆発物の原料となり得る化学物質を販売している薬局やホームセンター等の事業者、同種化学物質を使用、保管している高校・大学等に対して、盗難防止等の指導・教養を実施しているところです。
なお、オリンピック・パラリンピックに向けた官民連携の枠組みであるテロ対策「彩の国」ネットワークには、埼玉県警備業協会や宿泊事業者にも参画いただいており、テロ対策や危機管理に関する講演等を通じて危機意識の醸成及び共有を図っているほか、参画事業者・団体と連携し、各種イベントにおける広報啓発活動を実施するなどテロの未然防止に向けた取組を推進しております。
次に、陸上自衛隊、千葉県警察との合同訓練の成果についてでございます。
万が一テロが発生した場合の対処は警察の任務であり、主として銃器対策部隊がその対処に当たることになります。
しかし、強力な殺傷力を有する武器を所持した武装勢力等によるテロが発生し、警察力を持って治安維持が困難と認められる場合は、内閣総理大臣の命令により治安出動した自衛隊と共同対処することとなります。
そのため、本県警察では、平成14年に陸上自衛隊第一師団と「治安出動の際における治安の維持に関する現地協定」を締結し、平素から自衛隊との緊密な連携を図っております。
また、平成19年からこれまでに11回の共同実動訓練を実施し、警察と自衛隊の情報共有や連携要領を確認することで、相互理解が深まっているものと考えております。
今後も、訓練を通して得られた教訓事項を元に更に訓練を積み重ねるなどし、オリンピック・パラリンピック時は勿論のこと、様々な事態に迅速かつ的確に対応できるよう、更なる連携の強化を図って参ります。

COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の感染拡大防止対策(知事)

Q 岡 重夫 議員(県民)

昨年のラグビーワールドカップ2019の開催時は、早い段階から国の関係機関等とも連携して、様々な感染症への万全な対策を行い、県内での感染症の発生はなく、大会が成功裏に開催することができました。
しかし、この夏のオリンピック・パラリンピック開催を前に現在のCOVID-19の感染拡大は、大きな懸念材料です。埼玉県内でも武漢市から帰国した4名の感染者が確認され、国内の各地に感染が広がりつつあり、昨日、新たに1名の死者が確認され、全国で5名の死者が出ています。そして、現在の国内での感染拡大の状況を見ると、当初の発生源とされる武漢市と全く関係ない人まで感染が広がり、埼玉県内でも人から人への感染が発生したことを考えると、感染経路を特定できないケースによる感染の拡大と、誰でも感染する危険性があることを想定しなければならない段階に来ていると思います。
このようなことから、県内の感染者が今後更に増えるおそれがあり、国との連携も必要ですが、最悪の事態を想定し、可能な限り埼玉県独自の感染の拡大防止対策をとるべきだと考えています。
県は去る2月20日に新型コロナウイルス対策本部会議を開き、検査や相談体制強化などのために令和2年度予算に追加補正予算を計上することを決め、感染拡大防止に向けた更なる対策を取られると期待しています。
しかし、テレビ報道などによっては、自治体の感染者の数が違ったり、あるいは自治体のマスコミへの発表が感染者の国籍や移動経路などを発表する自治体と、そうでない自治体との違いがあり、さらには海外メディアが日本に関する様々な報道をしていることも、県民の不安に拍車をかけています。
そこで、次の六つの対策を要望します。
一つ目は、県内の感染者の正確な把握と、県民への正確な情報の提供。
二つ目は、県内の感染の拡大に備えた病院の受入体制の整備と、現在の体制では受け入れ切れなくなった場合の準備。
三つ目は、県民の不安解消のための相談体制の強化。
四つ目は、感染原因の解明と、感染者の移動手段、経路などの調査と結果の公表。
五つ目は、感染が収束するまでの間、県主催のイベントの全面中止措置。
六つ目は、可能な限り大量の検査キットの準備と、武漢市などの流行地域への渡航歴などがない人でも、医師の判断で検査を受けられる体制を早急に整えること。
以上、6点について、知事の強いリーダーシップを求め、見解を求めます。

A 大野元裕 知事

まず、感染患者の正確な把握と県民への正確な情報の提供についてです。
患者が発生した場合、保健所が感染経路や濃厚接触者をしっかりと把握し、正確な情報を提供しております。
次に、感染拡大に備えた受入態勢と受け入れきれなくなった場合の準備についてであります。
原則は軽症の方を含めすべての患者を感染症指定医療機関の感染症病床に入院させることになっています。
緊急その他やむを得ない場合には感染症病床以外に入院をさせることとしております。
今後、感染が拡大した場合、高齢者や基礎疾患がある方の重症化を防ぐことが最も大切であり、重症化の恐れがある方を中心に高度な医療提供が可能な医療機関に入院させることができる体制づくりが重要です。
このため、感染が拡大した場合の軽症者の取り扱いや感染症指定医療機関以外の一般医療機関での受け入れなどのルールの明確化について国に求めてまいります。
次に、県民の不安解消のための相談体制の強化についてであります。
県民の皆様への相談窓口といたしましては、保健所や#7119を
活用した24時間対応の電話相談窓口を他の都道府県に先駆けて1月24日から開設しております。
相談件数は現在までに1万件を超え、県民の方々の不安や関心が高いことがうかがえます。
このため、来週3月1日から「県民サポートセンター」を新たに立ち上げ、県民の皆様の相談に一元的に24時間対応する体制に変更してまいります。
次に感染原因の解明と感染経路の追跡の徹底であります。
保健所では感染症が発生した際には、患者の症状や行動履歴、濃厚接触者などを調査・把握し、感染原因の解明と感染経路の追跡を徹底的に行っております。
現時点での県内感染拡大事例は、全て武漢市からお帰りになった方々で、感染経路や濃厚接触者を県としてしっかりと把握しており、更なる感染の拡大が見込まれない状況のため行動履歴などは公表しておりません。
しかしながら、今後、不特定多数に感染するような状況が見込まれる場合などにおいては、それぞれ総合的に判断し適切に公表してまいります。
今回の新型コロナウイルス感染症についても、他の感染症同様、しっかりと患者や濃厚接触者の調査を行ってまいります。
次に県主催のイベントについてであります。
全ての社会的機能を停止させることになればその影響には大きなものがあります。このため、個々の事情を勘案しながら個別に判断する必要があると考えております。
したがって、まずは多数の人が参加し、密着する状況が見込まれるイベント、高齢者など重症化するリスクが高い方が集まるイベントなどについて、中止又は延期について検討を行います。
最後に、検査キットの準備と流行地域への渡航歴などがない人でも検査できる体制についてです。
県においては、PCR検査機器の増設と検査試薬の更なる確保により検査体制の強化を図っておりますが、流行が拡大した場合、現在の体制では対応しきれない場合も想定しえます。
このため、全国知事会を通じて簡易検査キットの開発と提供を国に緊急要望したところであります。
2月14日に閣議決定された国の新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策においては、PCR検査における民間検査機関の活用と簡易検査キットの開発着手が盛り込まれております。
検査の実施にあたっては、本県においてはすでに必ずしも政府の定める基準に基づかない場合、例えば、武漢などに渡航歴がない場合でも、臨床医の判断に基づく等により、弾力的に既に検査を行っております。
新型コロナウイルス感染症の状況変化に的確に対応した感染症対策に引き続きしっかりと取り組んでまいります。

教職員のわいせつ・セクハラ行為根絶に向けた取組について(教育長)

Q 岡 重夫 議員(県民)

昨年12月25日の新聞各紙に、平成30年度に教員のわいせつ行為やセクハラ行為で処分された全国の公立学校の教員の数が過去最多の282名で、被害者の半数は教え子との衝撃的な報道がなされました。また、埼玉県では9名が懲戒処分されたとあり、本年度に入っても教員のわいせつ行為などが多発している状況は、まさに埼玉教育の非常事態で、このままでは県民、保護者、学校の地域の方々、そして子供たちの信頼をも失いますので、わいせつ行為などの根絶が急務です。また、それらの行為は教育に対する信頼の失墜だけでなく、被害に遭った子供の未来、そして人権の尊厳も奪い去ってしまうことを肝に銘じるべきだと思います。
県教育委員会では、これまで県立高校や県内の市町村教育委員会に対し、平成29年10月に教育長が「不祥事の根絶を目指して」と題したメッセージを、平成30年7月には「不祥事根絶アクションプログラム」を、続いて平成31年1月に「不祥事根絶のための演習事例集」を出すなど、毎年次々と対応を行ってきました。更にその後も、教職員のわいせつ行為などが発生していることから、「わいせつ行為等根絶行動指針」を出して、児童生徒との交際禁止やSNSを使った私的な連絡の禁止など、具体的な指示を出しました。
しかし、教育委員会がこのような様々な努力をしても、残念ながらそれらの行為がなくなっていないのが現状です。
そこでまず、教育長の現在の思いと、特にわいせつ行為などがなくならない原因をどのように考えているのか、併せて伺います。
次に、性犯罪に関する様々な資料などを読んでいると、性犯罪の犯人の多くは、いわゆる性依存症という病気であって専門的な治療が必要だそうです。また、専門の医師は、子供も性の対象と考えるいわゆる小児性愛障害を持った人間は、常習性と衝動性が強く、他の性犯罪に比べて再犯率が高いとも言っています。そして、この小児性愛障害は、自分が性犯罪を犯しているという感覚がないことも特徴で、合理的に子供に接触できるよう小学校の教師や保育士を職業として選択する者もいるという、衝撃的なことを言う医師もいます。
このようなことから、教師の採用試験時点でそのような教師としての不適格者を見抜かなければなりませんが、現行採用試験では見抜くのはなかなか困難ではないかと思います。
しかし、専門医の中には、アンケート方式の質問の中に受験者が性依存症などの質問と分からないような項目を入れる方法もあるという医師もいます。
そこで、採用試験の面接試験や適性試験の中に、いわゆる性依存症や小児性愛障害などにより子供に特別な関心を持っている者が判別できる質問を入れて、不適格者を排除する方法を検討してはどうか、教育長の御見解を伺います。
また現在、新規採用や現職の教職員に対し、わいせつ行為などの根絶に向けた研修を行っていますが、更に内容などを検討し、強化を図ることが必要ではないかと思いますが、併せて教育長のお考えを伺います。

A 小松弥生 教育長

まず、私の思いとわいせつ行為などが無くならない原因についてでございます。
今年度処分したわいせつ事案は13件で、過去10年で最多の件数となり、極めて憂慮すべき状況であると認識しております。被害者となった児童生徒や県民の皆様に対して大変申し訳なく思っております。
特に学校内でのわいせつ行為は、閉じられた空間の中で、大きな権力を持った教員が弱い立場の子供に対して行う卑劣きわまりないものです。
私が教育長に就任して以来、「できることは何でもやる」との方針を掲げ、「不祥事根絶アクションプログラム」を策定し、教職員の意識改革や研修の充実、教員採用試験の工夫改善など、様々な取組を実施してまいりました。
昨年3月には、「教育長緊急メッセージ」として、「児童生徒を性の対象として見ているのであれば、教師という職を辞してもらいたい」という強い思いを全教職員に対して発したところでございます。
これらの取組を行ってまいりましたが、教職員一人一人に確実に伝わっていない、また、定着していないのではないかという、大変悔しい思いを持っております。
わいせつ行為などが無くならない原因については、規範意識の欠如、自分は大丈夫という過信、一方で自制心がきかないという弱さ、さらには性に対する依存症に起因するものもあると考えております。
次に、「子供に特別な関心を持っている者を排除する方法を検討してはどうか」についてでございます。
議員お話しのように、子供に接触することを目的に教師という職業を選択する者がいるのであれば、決して許されないことです。
平成30年度実施の教員採用選考試験から、個人面接の際に具体的な処分事例をもとにした質疑を行い受験者の観察を行っております。
加えて、今年の夏に実施する試験から女性の面接試験員を増やし、より多様な視点で選考することを計画しております。
御提案の面接試験や適性検査で不適格者を排除することにつきましては、性犯罪に詳しい医師や臨床心理士などの意見を参考に、何ができるのか、どういった質問が効果的か検討してまいります。
次に、「わいせつ行為などの根絶に向けた研修の強化について」でございます。
県教育委員会では、学校向けのホームページに、多様な研修資料を掲載し、職員研修会で活用することで教育公務員の自覚を高めるよう指導しております。
わいせつ行為などの根絶に向けては、すでに実施している研修に加え、犯罪防止の専門家の知見を取り入れた研修などを実施する必要があると考えます。
また、今月、岡山県に職員を派遣し、不祥事を原因別に類型化し身近なものとして捉えさせる研修など、外部有識者の知見を活かした先進的な取組を学んでまいりました。
これら他県の取組も参考にしながら、研修をさらに充実、強化してまいります。
さらに、被害を受けた子供たちは、将来に渡り深い傷を負うことになるため、性犯罪に巻き込まれないよう、性に関する正しい知識を身に付けるための指導の充実にも努めてまいります。
県教育委員会としては、あらゆる手段を尽くして、わいせつ行為の根絶に全力で取り組んでまいります。

高等学校防災拠点施設について(知事、教育長)

Q 岡 重夫 議員(県民)

これは、平成22年4月1日に県が作成したホームページをそのまま転記したものです。
ここにある高等学校防災拠点校は、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災の際、お年寄りや障害のある方々が不自由な避難生活を余儀なくされた教訓を踏まえ、災害時に学校が地域の防災活動の拠点として十分な役割を果たすことから、埼玉県は平成8年度から平成11年度の4年間で、県立179校のうち38校を防災拠点校と位置付けました。
また、避難場所として機能を持たせるために太陽光発電設備やソーラー給湯設備、さらにはトイレやシャワーなどの設備など多数設置し、1校当たり約8億円、総額で約314億円の予算をかけて整備を行いました。そして、この38校は当時、環境庁長官賞や通産大臣賞を受賞した県が誇る防災拠点施設でもあります。
また県は、埼玉県地域防災計画に基づき、市町村の防災計画にも避難所として位置付けています。私も幾つかの市の防災担当課長に、この防災拠点校が市の避難所に指定されているか聞いたところ、全員が「避難所に指定しているが、これまで活用したことがない」と答えてくれました。
私は、また先月、県立蓮田松韻高校の設備などを視察しましたが、非常用設備や食堂など宿泊できる設備なども完備し、ある程度長期の避難生活が可能なことを確認しました。一方で、大雨の際には校庭が冠水するため、車両は駐車できないことも分かりました。確かに蓮田松韻高校は地震の際の避難所としては良いのですが、豪雨の際、校庭が冠水し駐車場として使えなければ、避難所としては適していません。
これらのことを考えると、当時、この38校の拠点校は大地震を想定した避難所として整備を行い、豪雨災害は想定されていなかったのではないかと思います。そのためか、昨年の台風第19号では特に川越市、東松山市、坂戸市の3市が河川の堤防決壊などで多くの避難者が出たにもかかわらず、3市の高等学校を防災拠点が避難所として活用されたのは、松山女子高校だけでした。
そこでまず、台風第19号の際になぜ川越高校、川越工業高校、そして坂戸高校が避難所として活用されなかったのか伺います。
次に、県はこれまで防災拠点校に関して所在する市や町と、避難所として活用方法などの協議などを行ってきたのか、教育長に伺います。
続いて、この拠点校が整備されてから既に約20年が経過する中で、県庁内でその地域的な偏りや活用方法などについて検証が行われてきませんでした。
そこで、今後、地震だけでなく豪雨などの自然災害の際、県民が役立つ防災拠点校としての在り方について検討が必要と考えますが、知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

台風第19号の際に川越高校、川越工業高校そして坂戸高校が避難所として活用されなかった理由についてでございます。
台風第19号では川越市が市内63カ所の避難所のうち28カ所、坂戸市が22カ所のうち16カ所を開設しましたが、議員お話しのとおり川越高校、川越工業高校及び坂戸高校は活用されておりません。
その理由といたしまして、川越市では近隣の小中学校を避難所として開設することで対応可能であったためと伺っております。
一方、坂戸市では坂戸高校が浸水想定区域内にあるため避難所として活用することを考えなかったと伺っております。
次に、県民に役立つ防災拠点校の在り方についてであります。
防災拠点校は、阪神・淡路大震災の教訓から、大地震の際に被害が想定される地域に人口割合などに応じて設置された経緯があります。
これまで本県には大規模な災害が比較的少なかったことから、実際に防災拠点校の設備が活用された事例はほとんどありませんでした。
しかし、今回の台風第19号では防災拠点校16校が避難所として開設され、うち13校が実際に利用されました。
近年、自然災害が激甚化、頻発化しており、いざという時に県民の方が安心して避難できる環境の整備が重要です。
防災拠点校は地震を想定して整備したところから、水害時には活用できない施設が存在することや、整備されて20年以上が経過し設備の老朽化が進んでいることなど、防災施設としては課題が存在することも認識しております。
また、災害時の実効性を確保するためには、地域住民と共同で訓練を行うなど、日頃から地域の防災活動と連携した取組も大切であります。
今後行う防災拠点校の活用等の検証結果を踏まえ、市町村からも丁寧にニーズを聞きながら、地域の中で機能し、有効に活用されるよう防災拠点校の在り方について検討を進めてまいります。

A 小松弥生 教育長

これまで防災拠点校に関して、所在する市町と避難所としての活用方法などの協議を行ってきたのかについてお答えを申し上げます。
防災拠点校の活用方法については、従来は大地震を想定し、地域住民や地元市町の職員に対して非常時に使う施設や設備を実際に動かしながら説明するなど、理解を深めていただいておりました。
一方、水害など地震以外の自然災害時の活用方法といった視点では、必ずしも十分な協議ができておりませんでした。そのため、昨年の台風19号による大雨を受けて、防災拠点校を含め避難所に指定されている県立学校及び教育機関に対し、市町村の防災担当課と連絡を取り、万全の体制を期するよう指示いたしました。
その結果、市の防災担当者とともに現地を確認しながら、実際の避難を想定した施設の状況把握を行うなど、連携の強化につながっております。
今後とも、これまでの活用状況なども検証し、市町村との連携を深め、災害の種類を問わず、防災拠点校が県民の安心安全の確保に資するよう努めてまいります。

児童虐待防止に向けた取組について(知事)

Q 岡 重夫 議員(県民)

埼玉県の児童虐待の相談件数も年々増加し、平成30年度の相談件数は1万5,534件で、5年前に比べて3倍も増えており、児童相談所の職員の労働環境も更に厳しさを増しているのではないかと思います。
しかし、今後少子化が進む中で子供たちが健やかに育つ環境づくりは重要課題であり、児童虐待防止に向けてあらゆる努力を傾注しなければなりません。
さて、先般県は「埼玉県児童虐待防止対策協議会を立ち上げた」と発表しました。そして報道によると、会長に大野知事が、副会長に県医師会の金井会長が就任され、弁護士会など13団体で構成され、児童虐待防止に向けて、情報共有や意見交換などを行うために年1、2回開催するとし、第1回目の対策協議会が去る2月5日に開催されたとありました。
ところで、現在、県内の市町村には要保護児童対策地域協議会があり、支援対象児童などの早期発見と適切な保護や支援を図るために、県の対策協議会と同じようなメンバーで構成され、情報の共有化や相互連携、あるいは役割分担の調整や責任体制の明確化も行っています。
そこで、まず2月5日に行われた県の対策協議会の成果と、今後の方向性について知事に伺います。
また、その成果を要保護児童対策地域協議会にどのように反映するのか、併せて知事に伺います。
次に、児童相談所職員の負担軽減について伺います。
平成30年に東洋経済社が独自に、政令指定都市を含む各都道府県の児童相談所で児童福祉司の残業時間などの勤務実態調査を行いました。それによると、埼玉県は月の残業の最大労働時間数は59.4時間で、三重県の97時間やさいたま市の86.8時間に比べると最大労働時間数は少ないのですが、それでも法律で定められた時間外労働の上限40時間をはるかに超えています。
また、児童福祉司1人が対応する件数は、埼玉県の73件は、大阪市の86件、さいたま市の82件、東広島市の77件に次ぐ全国第4位の多さで、都道府県では全国第1位の多さとなっており、現場の職員の負担がかなり大きいことが想像できます。
一方、国では平成30年に児童虐待防止のための新プランを発表し、「児童福祉司1人当たりの件数を40件相当とするよう、人員配置と各児童相談所の管轄人口を見直す」とあります。
そこで県は、本年度7カ所目の草加児童相談所を新設し、児童福祉司を35名増員し、197名体制にしました。更に来年度は、児童福祉司の増員や一時保護所の新設の計画がありますが、現場の職員の負担軽減のためには、業務の内容の見直しなど総合的な対策が必要です。
ところで、児童福祉司の現場では、朝9時から夕方5時の勤務体制がとりにくく、夕方以降、家庭訪問をし、夜間になって報告書の作成を行い、また夜間や土日に緊急対応をするという厳しい勤務状況にあります。そこで、職員の業務の効率化や負担軽減に向けた取組が大切です。
現在、児童相談所はICTを使った支援システムの改善に取り組んでいますが、今後職員のストレスの解消のための心のケアなど、勤務状況改善に向けてどのような取組を行おうとしているのが、知事に伺います。
次に、県内の児童相談所の児童福祉司は、これまでは緊急対応する介入と、その後のフォローをする支援を兼務していました。一方、国では昨年6月に児童相談所の機能強化を盛り込んだ児童虐待防止関連法を改正し、介入に当たる児童福祉司と、支援に当たる児童福祉司を分けることになりました。
しかし、現場では介入担当者の業務量が増えて、支援担当者との勤務状態の不均衡が生じるのではないかと危惧する声もあります。
そこで、本年4月から、児童福祉司を介入と支援に分けた場合の業務量の不均衡などの課題をどのように解決しようとしているのか、知事に伺います。

A 大野元裕 知事

児童虐待防止対策協議会の成果と今後の方向性、その成果を要保護児童対策地域協議会にどのように反映するのかについてでございます。
児童虐待防止対策協議会は、県医師会、埼玉弁護士会など県内において児童を取り巻く様々な分野で御活躍をいただく様々な団体の代表をメンバーにしております。
県内の関係団体の代表が一堂に会し、情報の共有や、施策への意見交換・提言などを行い、ワンチームで県全体の児童虐待防止に取り組むために設置したものであります。
第1回の会議では、虐待事案について地域ごとの特徴を分析するべきではないか、市町村間の転居の際に虐待情報について統一した引継方法を検討するべきではないかなど、有意義な御意見を賜りました。
こうした御意見は、今後の児童虐待防止策に役立つ大変有効なものでありました。
今後の方向性につきましては、情報共有や意見・提言だけではなく、児童相談所が抱える困難な事案について委員の幅広い知見を積極的に活用させていただき、児童の安全確保につなげていきたいと考えています。
なお、早速ではありますが、今般発生をいたしました困難な事例につきまして協議を行わせていただいたところ、今後の対応方針について委員から専門的知見に基づく貴重な御助言を頂いたところでもあります。
要保護児童対策地域協議会への反映については、虐待防止施策への提言や困難事案に関する対応のうち、市町村に参考になるものを積極的に情報提供してまいります。
次に、児童相談所職員の心のケアなど勤務状況改善に向けた取組についてでございます。
議員お話しのとおり、虐待事案に的確に対応していくためには、職員の増員とともに業務の効率化が不可欠です。
現在、業務の効率化を図る取組としては、リスクの低い案件の安全確認について民間団体の力を活用しています。
また、虐待情報について、児童相談所と警察署とを直接リアルタイムに結ぶシステムを構築し、本年1月27日から都道府県では初めての運用を開始したところです。
今後は、虐待対応にAIを活用している三重県の先進事例の研究や、児童福祉司が重篤な案件に注力できるよう、担当業務のうち事務職でも対応可能な業務の切り分けなどを検討してまいります。
職員の心のケアについては、一人で抱え込まずに相談しやすい職場づくりが重要です。
若手職員に対し、先輩職員が業務上の相談やメンタル面でのフォローを行うブラザー・シスター制度や、メンタルヘルス研修などを充実させてまいります。
また、威圧的な親への対応として、全児童相談所に配置した警察OBによる家庭訪問への同行や、警察と連携した実践的な捜索訓練を引き続き実施いたします。
職員一人ひとりが持てる力を十二分に発揮できるよう業務の効率化、負担軽減を図ってまいります。
次に、児童福祉司を介入と支援に分けた場合の業務量の不均衡などの課題をどのように解決しようとしているのかについてでございます。
介入と支援に分けた場合、介入については、担当する職員が保護者との関係悪化を危惧することなく、子供の安全確保のため躊躇なく一時保護することが可能です。
支援については、介入とは別の職員が担当するため、保護者との対立関係を持たずに、保護者の立場に立って効果的な指導を行うことができます。
業務量が不均衡になることがないよう、業務内容を丁寧に分析し、適正な人員配置を行うとともに、必要に応じて柔軟に組織的な対応を行います。
私は、子供を虐待から守るという強い決意の下、児童虐待の防止に全力で取り組んでまいります。

スマート農業の推進について(知事)

Q 岡 重夫 議員(県民)

四方を海に囲まれ食料の多くを輸入に頼り、食料自給率が僅か37%の日本は、食料安全保障上も農業を守り、農業生産力を維持していかなければなりません。
しかし、埼玉県においても農業従事者の減少や高齢者が見込まれ、耕作されない農地の増加、さらには農業生産力の低下など、多くの課題を抱えています。
そこで、少ない人手で経営規模を拡大するためには、スマート農業の導入は不可欠だと思います。県もそれらの課題を解決するために、平成30年度からスマート農業を推進して、ICT及びロボット技術の導入に向けた研究開発に取り組んでいます。
また、昨年12月の定例議会で、スマート農業の推進を求める意見書を議会から国に提出しました。知事は、選挙公約の中に「スマート農業の支援の促進」を挙げられ、令和2年度中に新たな取組を本格化するとしています。そして、公約実現に向けた工程表には、「スマート農業技術の実証について令和元年度に体制を検討し、令和2年度には研究会などの設置、そしてアクションプランを策定する」とありますが、このアクションプランについて知事の構想を伺います。
続いて、国は令和元年度のスマート農業関連実証事業の予算として約47億円を計上し、全国で生産現場が抱える課題解決に必要なロボットやICT等の先端技術を導入して実証するグループを公募し、営農管理やデータ収集などを行う取組を行いました。これには埼玉県内から生産者やメーカーを含めた3つのグループが応募しましたが、残念ながら3グループともに不採用でした。ちなみに近隣では、茨城県では2グループ、栃木県は3グループ、千葉県は1グループが採用されています。
しかし、この国の公募に関して2つの応募グループに県が参画したものの、3件とも採用されなかったことに関しては、喫緊の課題としてスマート農業の推進体制を強化することが必要だと考えています。
そこで、本県が今後とも本格的にスマート農業を推進し発展させるために、生産者はもとより新規就農希望者に至るまで、スマート農業技術の周知や導入支援を行うため、農林部の態勢の強化を図ったらいかがでしょうか。
また、農業大学校には稲作や露地野菜栽培などへのスマート農業の取組などを教える科目を新設してはいかがか。この2点について、知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

アクションプランの構想についてでございます。
議員お話しのとおり、本県農業においても農業従事者の減少や高齢化に加えて、耕地面積の減少などといった課題を抱えています。
こうした課題を解決するため、ICTやロボットなどの先端技術の活用による「省力化」や「効率化」を図り、IoTなどの技術を活用したベテラン農家の熟練技術の「見える化」により、スマート農業を推進していきたいと考えています。
こうした考え方を踏まえ、専門家や関係者の意見をいただきながら、試験的な取組を実施し、新技術の実装に向けて、代表的な品目など埼玉農業の特性を踏まえたアクションプランを作ってまいります。
次に、周知や導入支援を行うための体制の強化についてでございます。
スマート農業技術は農業従事者ばかりでなく、職員にとっても最先端の技術であり、また、絶え間なく技術開発が進んでいる分野であります。
県においても、そのスピードに遅れず、職員が新技術や開発状況を把握し、取組を推進していく体制の強化が必要であると考えています。
そのため令和2年度から、スマート農業技術の実証や普及を担う職員を増員することとしています。
また、農林振興センターと農業技術研究センターと合わせて9カ所に「スマート農業相談窓口」を設置し、農家からの相談に対応できるようにしてまいります。
さらに、職員が国や民間の最先端の開発技術に触れる機会を可能な限り増やしてまいります。
次に、農業大学校にスマート農業の科目を新設することについてでございます。
就農後、スムーズにスマート農業技術が導入できるよう、農業大学校に関連技術について学べる科目を設けることは重要だと考えています。
そこで、平成30年度からきゅうりなどの施設栽培で、インターネットを通じて得られた温度や二酸化炭素濃度などのデータを活用した栽培管理を実習や講義に取り入れています。
これにより、作業時間の削減や生産量の増加を実感した学生が、スマート農業への理解を深め、データを見て能動的に農作業を行うなどの効果が表れております。
議員の御指摘を踏まえ、今後は、稲作や露地栽培の分野でもスマート農業に触れて学べる機会を創出できるよう、教育環境を整えてまいります。

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