戦略的なベンチャー育成を(知事)

Q 平松大佑 議員(県民)

現在、県では企業誘致に力を入れていますが、創業支援も重要であります。既にベンチャー支援については様々な事業が実施されていますが、更に戦略的に力を入れて進めていく必要があると考えます。革新的な技術やアイデアで新しいビジネスモデルを作り、新しいマーケットを開拓していく、そのようなベンチャーが本県に増えることで経済が活性化し、本県の稼ぐ力の向上にも大きく貢献すると考えます。また、Society5.0時代のパートナーとして活躍してもらえるようなベンチャー企業を戦略的に育成していくべきと考えます。
国としても、スタートアップの支援に力を入れているところです。閣議決定された成長戦略「未来投資戦略」では、2023年までに企業価値又は時価総額が10億ドル以上となる未上場ベンチャー企業(ユニコーン)、又は上場ベンチャー企業を20社創出することを掲げています。県としても、官民で徹底的に支援していくべきと考えますが、いかがでしょうか。ベンチャー支援に当たっては、ベンチャーを正当に評価できる団体などにパートナーとして共に取り組んでいただくべきと考えますがいかがでしょうか、答弁を求めます。
また、私は、ベンチャー支援を効果的なものにするために、ベンチャー育成戦略を策定するべきだと考えます。戦略の策定に当たっては、まずは本県のベンチャー企業数の把握や、現在の各種支援の在り方がどうなのかといった現状をしっかりと押さえることが重要です。その上で、埼玉県で起業したいと思える近隣都県にはない本県独自のメリットづくり、他都県に勝つための差別化戦略が必要です。
併せて、埼玉県主催のアントレプレナー大会の実施や県内スタートアップを成長させるためのメンタリングセミナー、ワークショップ、マッチング、資金提供及びコミュニティ形成等のコンサルティング支援の実施など積極的な取組を行うとともに、起業家の創出拠点とベンチャー企業の成長促進拠点の創設が必要です。そういった取組を進める中で、先輩起業家がスタートアップを支援するようなエコシステムを埼玉でも作り出すことが重要です。
また、埼玉県の特性に合ったベンチャー育成という考え方も必要です。例えば、物流にICTなど最新技術を生かす物流テックの育成などは、ニーズも高いはずです。これらの取組を計画的に進めるために、県としてベンチャー育成戦略を策定すべきだと考えます。戦略については、目標を達成する上でその達成度合いを計測・監視するための定量的な指標(KPI)を可能な限り設定し、結果を出していくべきと考えますがいかがでしょうか、答弁を求めます。

A 大野元裕 知事

ベンチャー企業を官民で徹底的に支援していくことについてでございます。
新技術や革新的なビジネスモデルで新事業の創出に挑戦するベンチャー企業は、産業のイノベーションや持続的な経済成長に不可欠な存在です。
渋沢栄一翁は、「民の力を強くしなければ、世の中の繁栄はない」という信念のもと、生涯で500社ともいわれる企業の設立に関わるなど、日本の経済発展に大きく貢献する企業を多数生み出しました。
こうした渋沢翁の信念を現代に再現するため、新事業の創出や大きな成長を目指すベンチャー企業を支援する渋沢栄一創業プロジェクトを立ち上げるための予算を今定例会に提案させていただいております。
令和2年度は、ベンチャー企業に寄り添った伴走型の支援事業を行うとともに、ベンチャー企業や様々な業種の企業が交流できる場の創出に向けた検討を行います。
県内経済団体や起業家団体、金融機関などと連携してこのプロジェクトを推進することにより、ベンチャー企業に対して官民挙げて支援を行ってまいります。
次に、ベンチャー支援に当たり、ベンチャーを正当に評価できる団体などにパートナーとして共に取り組んでいただくことについてでございます。
革新的なビジネスモデルやサービスを展開するベンチャー企業に対し、県などの公的機関が目利きをすることには自ずと限界があります。
そのため、事業の成長可能性などを見極め、ベンチャー企業の実力を正当に評価できる民間企業との連携が必要と考えております。
渋沢栄一創業プロジェクトで実施する伴走型のベンチャー企業支援でも、このような専門的な企業にアクセラレーターとして参画をいただき、その知見を活用してまいります。
次に、ベンチャー支援を進めるため、「ベンチャー育成戦略」を立て、定量的な指標を設定して結果を出していくことについてでございます。
私は、ベンチャー企業を育成していくためには、県内企業などとの連携を深め、ビジネスマッチングの機会を増やしていくことが不可欠であり、量よりもきめ細かな質を求めていくことが重要と考えています。
このため、令和2年度は、学識経験者やベンチャー企業経営者などベンチャー企業支援に知見のある有識者による会議を設置し、企業同士の交流の場の在り方について検討いたします。
この会議では、県内のベンチャー企業数や業種、本県の特性や今後伸びそうな分野について分析した結果を踏まえ、交流の場を活用した今後の支援策についても議論をしていただきます。
会議の議論を踏まえ、予算の提案をさせていただいている「渋沢栄一創業プロジェクト」を活用しながら戦略の策定についても検討させていただきます。

埼玉版スーパー・シティプロジェクトについて(知事)

Q 平松大佑 議員(県民)

1点目です。現在、コンパクシティを核として、AI、IoT、5Gなどの新技術を活用した強靱性の高いまちづくりを目指す埼玉版スーパー・シティプロジェクトを進めているところです。県として、スーパー・シティを推進していくことには賛成です。一方で、国としても2030年目標のスーパー・シティ構想を昨年より進めており、重なる部分も多々あります。国との違いは何かを明確にしていかないと、市町村からの理解は得られないと考えます。いかがお考えでしょうか。
2点目です。本プロジェクトは基本的に手挙げ方式で進めていくものですが、手挙げ方式だと県が主導で進めるものとは違い、プロジェクトの進展が市町村の判断に依存してしまいます。この点はどのように解決していくのでしょうか。
3点目です。このプロジェクトがその地域の方々の生活に大きな影響を与えていくことを考えると、地域の方々がいかに主体的に当事者として関わってくださるかどうかがポイントになります。県民主体の仕組みづくりをどのように構築していくのでしょうか。
4点目です。既存のエリアをどう変えていくのか、ビッグデータを生かしてどうまちづくりを進めていくのか。それらを県内の各市町村という「点」で終わらせず、いかに県全体へ「面」となるように推し広げていくのかが重要です。知事も、どの地域も取り残すことのない社会を実現したいとお考えです。県全体へ「面」となるように推し広げるために、どのような取組を行っていくのでしょうか。
5点目です。超スマート社会を実現していくためには、データアナリティクスができる人材が必要です。地域課題をICTで解決するため、プロジェクトに必要なICT人材の育成を行うべきではないでしょうか。このプロジェクトを進めるに当たっては、庁内の人材を育成していくということも重要ですし、またただでさえデータサイエンティストが不足するとの予測がある状況下で、県としてこのプロジェクトを進めていくためには、独自にICT人材の育成に力を入れていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
6点目です。プロジェクトを成功させるためには、推進するエンジンに民間企業にも入っていただき、パートナーシップで共に進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
以上6点、答弁を求めます。

A 大野元裕 知事

国が進めるスーパーシティ構想との違いは何かについてでございます。
「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」は、エネルギーをインセンティブの一つとしたコンパクトシティの取組を通じて、超スマートで、強靭性の高いまちづくりを進めるものであります。
国のスーパーシティ構想では、AI、IoTなどの新技術を集め、自動走行や遠隔医療など、生活全般にわたり「まるごと未来都市」をつくる点が強調されております。
スマートな新技術を活用する点は同じですが、本県のプロジェクトは、コンパクトシティの取組を核として、超少子高齢社会における高齢者の見守りや労働力の不足など、中長期的な様々な課題に対応し、持続可能な社会を構築していく点が異なると考えております。
次に、手上げ方式だと市町村の判断に依存してしまう点をどのように解決していくのかについてでございます。
県としてプロジェクトの基本的な考え方を明確にして、市町村に示すことは必要不可欠であると考えます。
また、各市町村からどのようなまちづくりをしたいのか、その考えを伺うことも大変重要です。
この市町村の考えを踏まえ、県は、福祉や保健、医療、産業、雇用など様々な分野で市町村の役に立つメニューの提示や専門家の派遣などを行います。
市町村と県のいずれか一方に偏ることなく、協働作業で超少子高齢社会に向けたまちづくりを行ってまいります。
次に、県民主体の仕組みづくりを構築することについてでございます。
議員御指摘のとおり、まちづくりには地域住民が参加して、その意見を反映していくことが大切だと思います。
市町村が目指すスーパー・シティの街区を住民の皆様がイメージし、実現に向けて積極的に関与いただけるよう、県と市町村が分かりやすく例示していくことを考えております。
次に、各市町村の「点」で終わらせず、県全体へ「面」となるよう押し広げるためにどのような取組を行っていくのかについてでございます。
埼玉版スーパー・シティプロジェクトは、まず、スマートで災害に強くコンパクトなまちを、街区レベルでリーディング的につくっていくことを考えております。
具体的なまちの姿は地域特性により異なりますが、このプロジェクトによって超少子高齢社会の課題に対応しようという思いは共通であると考えています。
それぞれのリーディング街区をつくっていく際に得られた発想や知見を広く発信、共有し、県全体に拡大できるよう努めてまいります。
次に、庁内を含め、プロジェクトに必要なICT人材を独自に育成することについてでございます。
来るSociety5.0社会では、IoTなどの新技術により、膨大な量と質のビッグデータが発生、収集できることになります。
この多種多様なビッグデータを活用し、革新的なサービスやビジネスモデルの創出、業務の効率化や行政課題の解決につなげていくには、これを分析する、いわゆるアナリティクスができる人材が必要となります。
現在、このような人材の不足が全国的にも課題であると指摘をされているところであります。
プロジェクトの推進に当たっては、ICT分野に精通した関係業界の技術とノウハウを広く活用するとともに、連携を強化して人材育成につなげてまいります。
次に、プロジェクトを推進するエンジンに民間企業に入ってもらい、パートナーシップで共に進めていくことについてでございます。
このプロジェクトでは、土地の開発、整備はもとより、福祉や医療、エネルギーや商業サービス、防災など様々な分野で技術やノウハウを有する民間事業者との連携が不可欠なことは、議員御指摘のとおりでございます。
県としては、民間事業者の投資意欲を高め、このプロジェクトへ参画したいと考えていただけるようにすることが大きなカギとなります。
市町村がプロジェクトを構想する段階から、民間事業者とのマッチングを進めるなど、官の信用と民の活力を最大限生かせるよう工夫をしてまいります。

頻発する風水害への備えを(知事)

Q 平松大佑 議員(県民)

台風や豪雨による被害が常態化する時代に突入しました。台風や豪雨に対する事前の備えを促進することは、県民の生命と財産を守るために重要であります。今定例会における知事提案説明の中でも、「命と財産を守る体制を見直し、不測の事態にも迅速かつ的確に対応していく万全の備えを着実に進めます」とのお話がありました。私は、その中でも特に大規模停電にならないような取組、停電からの早期復旧ができるような体制づくり、長期停電時でも電力が確保できるような取組が重要だと考えます。
昨年の令和元年房総半島台風や令和元年東日本台風では、多くの自治体で停電による問題が発生しました。さらに、倒木による停電への対応も、東京電力との間で遅れをとり、復旧まで多くの時間を要しました。倒木による停電への対応について早急に協定を締結すべきと考えますが、進捗状況をお伺いします。
スーパー・シティプロジェクトの中にもレジリエントが大きな柱となり、「災害時のエネルギー確保など強靱性の高いまちづくりが必要」とうたわれています。しかし、私は、スーパー・シティプロジェクトに手挙げをした自治体だけではなく、全県的な取組が必要な課題と考えます。長期の大規模停電に備え、県民総ぐるみで電源を確保していくことが必要です。既に太陽光発電など分散型発電について取組を進めていますが、これらの取組を災害時を念頭に再検証すべきではないでしょうか。県民、企業、公共部門と3者それぞれが、正に総ぐるみで電力確保のための取組を進めていくことが重要だと考えます。
既に様々な事業はありますが、大規模停電時に各御家庭でも電力を確保できるような取組にインセンティブが働く仕組みづくり、企業に対しては蓄電池やEVの導入を支援したり、公民館や学校等に発電設備、蓄電池の整備が必要ではないでしょうか。答弁を求めます。

A 大野元裕 知事

倒木による停電への対応についてでございます。
令和元年房総半島台風では、千葉県内の広い範囲で被害を受けた電力設備の復旧作業が多数の倒木除去により難航し、長期間にわたり電気の供給がストップをいたしました。
この教訓を受け、本県では東京電力との間で倒木の処理など電力設備の早期復旧に向けた協定締結について協議を進めているところであります。
現在、詳細を詰めている段階であり、令和2年4月中には締結の見込みであります。
また、協定が実効性のあるものになるよう、県の関係部局と東京電力で災害発生時の初動対応のシナリオづくりを進めるため、この3月から図上検討会を開始をいたします。
次に、県民総ぐるみで電源を確保していく取組についてでございます。
まず、家庭への取組については、再生可能エネルギーの活用を広めるため、戸建て住宅への蓄電池の設置に対して補助を行っています。
平成26年度から令和元年度までで3,070戸の住宅に補助を行いました。
引き続き補助事業を通じ住宅への蓄電池の設置を促進してまいります。
企業への取組としては、現在、CO2削減の観点から太陽光発電設備の導入への補助を行っています。
これは分散型電源の導入にもなりますので、引き続き補助を通じて災害時のリスク低減に努めてまいります。
学校での発電設備や蓄電池の整備については、平成31年4月現在で、避難所となる公立学校における非常用発電機などを保有する割合が72.3%であり全国平均60.9%を上回っている状況にあります。
災害発生時に避難所となる学校や公民館などの公共施設での発電機等の設置に対して、国による補助制度がありますので、市町村に対し活用を促してまいります。
さらに、本年1月には電気自動車を避難所の夜間の照明などの電源として活用できるよう自動車会社と県として協定を締結したところでございます。
なお、埼玉版スーパー・シティプロジェクトでは、市町村と連携し、コンパクトなまちの中に、分散型電源として太陽光発電や蓄電池などで得られたエネルギーを共有して、強靭なまちをつくっていくことを考えております。
これによって災害時にも停電がなく、共助が成立するまちをつくりあげていくことができると考えています。
大規模停電の長期化は、県民生活や経済活動に極めて深刻な影響をもたらしますので、議員お話しのとおり県民、企業、公共部門による総ぐるみの取組が進むよう努めてまいります。

EdTech推進について(教育長)

EdTech推進方針の策定について

Q 平松大佑 議員(県民)

EdTechとは、EducationとTechnologyを組み合わせた造語で、AI等の進歩し続けるテクノロジーによって、教育に変革を起こす取組のことです。
国の方針にとらわれることなく、県としての方針を作成し、世界トップ水準を目指した取組を進めてはどうかという質問です。
現在、日本の教育情報化は世界から取り残されています。生活で当たり前となっているスマートフォンが学びに生かせていないなど、日常生活と学校との情報格差が拡大している状況です。しかしながら、本来は学校が格差是正のセーフティネットとしての役割を果たすべきであると考えます。PISAの調査では、日本の読解力の項目の点数が下がっています。コンピュータを使用した回答方法が影響したと言われています。また、様々なデータからも、学校でのICTの利活用がOECD諸国の中で桁違いに遅れている状況が明らかになっています。予測不可能なこれからの時代の職能には、ICTは不可欠と考えます。
また、新しい学習指導要領でも、日常的ICT活用が強調されています。ICTを活用して、ギフテッド、障害児、不登校、学び直しなど様々な状況にある子供たちのサポートができるように、そして子供たちの個性を伸ばせるように、ICTを活用して個別最適化をどう実現していくのか。そして、子供たちにAIを活用できる能力、AIでは代替できない能力を身に付けてもらうために何ができるのかを考えていかなければいけません。国は混乱しているようですが、それにとらわれることなく、県として方針策定を行う必要があると考えます。
ICT環境整備は手段であり、一番大きな目的は、変化の大きなこれからの時代を生き抜いていく、リードしていく人材の育成であります。小学校、中学校、高校等の各主体がベクトルをそろえて取り組んでいくためにも、明確な目標が必要です。
併せて、EdTechをしっかりと活用できる教員などICT人材の育成、民間企業も入れての推進体制を構築すべきです。県として、当面に対応できる短期的な指針や、これからの時代を生き抜く力を身に付けてもらうための中長期的な目標を定めたEdTech推進方針を策定するべきではないでしょうか、答弁を求めます。

A 小松弥生 教育長

EdTechは、教育におけるICT等の新しいテクノロジーを活用した手法であり、これを活用することは、Society5.0時代に必要な資質、能力を育むために効果的であると認識しております。
議員お話しのEdTechを含め、教育の情報化が急速に進むなかにあっては、ICT環境の整備のみならず、人材育成や教育指導を含めた広い視野に立った計画が必要だと考えております。
現時点で、国の学校教育情報化推進計画は策定されておりませんが、本県では、先行して教育局内に組織を立ち上げ、ICT環境の整備方針や授業での活用方法などの検討を進めております。
今後、国の計画が策定され次第、速やかにEdTechの活用を含めた本県の学校教育情報化推進計画の策定を行います。

県内市町村の小学校・中学校、県立学校の校内ネットワークの整備について

Q 平松大佑 議員(県民)

国としてGIGAスクール構想を進めているところですが、現在の制度を活用して、このタイミングで全校でネットワーク環境の構築をすべきと考えます。県としても、各小中学校、県立学校のネットワーク環境が一律になるように一生懸命に取り組んでいるところですが、それがしっかりと結果に結び付くようにしていただきたいと考えます。100%の整備となるようにすべきですが、どのように取り組んでいくのでしょうか、答弁を求めます。

A 小松弥生 教育長

今回の国のGIGAスクール構想では、例えば、動画を使った観察・実験といったICTを用いた新たな学びを実現することが目的とされており、そのために、高速大容量通信に対応した学校のネットワーク環境整備が必須だと考えております。
県といたしましては、今回のGIGAスクール構想の機をとらえ、整備状況に課題のある市町村を直接訪問し、教育長などから、現状や課題を丁寧に聴取するなど、各市町村のネットワーク環境整備を強力に促しております。
今後とも、各市町村において必要なICT環境が整備されるよう、積極的に取り組んでまいります。
また、県立学校においても、高速大容量通信に対応したネットワーク環境を整備できるよう、予算案に必要な経費を計上しております。
これにより、将来的に児童生徒が1人1台の端末を活用する場合においても、十分に活用できる環境を整えられると考えております。

県内市町村の小学校・中学校の端末整備計画について

Q 平松大佑 議員(県民)

1人1台に向けた各市町村の計画ですが、全ての市町村が策定し、県として、県内の小中学校で1人1台の環境整備が必ず実現できるよう取組を進めるべきではないでしょうか、答弁を求めます。

A 小松弥生 教育長

各市町村が1人1台端末の環境を整備する上では、計画的に整備を進めることが大変重要だと考えております。
GIGAスクール構想の端末に係る補助金の申請にあたっては、市町村は、1人1台の端末配備計画の提出が求められております。
県といたしましては、この計画を基に市町村の状況を適切に把握し、計画的な整備が進むよう支援してまいります。

県立学校での端末の整備について

Q 平松大佑 議員(県民)

県立学校での端末整備については、次年度でBYOD等の検証を進めるとのことでした。混乱のないように時間をかけて進めていくという考え方も理解できなくもないですが、当事者である子供たちにとっては、待ったなしの話です。BYODなど早期に検証し、端末整備を進めるべきです。
さらに、整備に当たっては、小中学校でのICT環境と同じ環境を継続できるようにしなければなりません。高校等に進学したらICT環境が後退しているようでは、本末転倒です。また、整備に当たっては生活困窮世帯等への配慮も必要と考えますが、どのように進めていくのでしょうか、答弁を求めます。

A 小松弥生 教育長

議員御指摘のとおり、県立学校においても、小・中学校のICT環境と同様に1人1台の環境整備が必要であると考えております。
そこで、特別支援学校の小・中学部については、小・中学校と同様に、1人1台の端末を計画的に整備できるよう、予算案に国の補助金等を活用した必要な経費を計上しております。
一方、県立高校及び特別支援学校の高等部については、国の補助金がないため、県の予算で生徒全員分の端末を整備する場合には、財政面で大きな負担がございます。
そのため、県立高校においては、生徒所有の端末を授業で使用する、いわゆるBYODによる端末整備の検討を進めており、モデル校においてその実証のための予算案を計上しているところです。
来年度、端末を用意できない生徒への対応などの課題を含めて実証を行い、その成果を基に、スピード感をもって県立学校における児童生徒1人1台環境の実現を目指してまいります。

子供の貧困対策について(福祉部長)

Q 平松大佑 議員(県民)

御存じのとおり、現在、日本では7人に1人の子供が貧困状態にあります。これは先進国で最悪レベルです。子供の貧困対策を進めるため、子どもの貧困対策の推進に関する法律が2014年1月に施行されました。また、法律に基づき「子どもの貧困対策に関する大綱」が策定されています。この大綱には貧困の連鎖を防ぐことがうたわれています。貧困家庭の子供は、再び貧困に陥る可能性が高い状況にあります。この貧困の連鎖を断ち切るのは、行政の役割です。現在、本県では、子供の貧困対策として子供の居場所づくりに力を入れているところです。子供の居場所づくりを実効性あるものにするためにも、今まで以上に市町村が積極的に子供の支援に取り組んでいる団体とつながる必要があると考えます。
また、県内市町村で「子どもの貧困対策に関する計画」を作っているところは少なく、市町村ごとに取組に濃淡がある状況です。貧困状態にある子供たちを救うために市町村や地域の支援団体の連携を強化し、市町村を巻き込んだ会議体で各地域の特性に合った取組を実施していただきたいと考えますがいかがでしょうか、答弁を求めます。
次に、ジュニア・アスポート事業の今後についてです。
県が3か年のモデル事業として実施しているわけですが、それぞれの市も厳しい財政状況の中、県のモデル事業が終わった後に市が本事業を継続するかどうか、心配なところです。学びの貧困が、貧困の連鎖の大きな原因にもなっています。こちらの事業が後退することのないようにすべきと考えます。
また、県として様々な取組を進めているところですが、現状の支援の中で、いまだ多くの子供たちが貧困状態にあります。平成30年度には埼玉県立大学の協力の下、県として、子供が貧困状態にある家庭についての実態調査と分析を実施されました。本県の子供の貧困の実態を把握されているわけであります。その実態を受け、肝心な経済的貧困そのものを低減・緩和させる更なる取組について検討していく必要があると考えますがいかがでしょうか、答弁を求めます。

A 知久清志 福祉部長

まず、市町村を巻き込んだ会議体で各地域の特性に合った取組を実施することについてでございます。
市町村の子供の居場所づくりに対する意識には温度差があり、団体からは「市町村に活動の必要性が理解されず連携が進まない」との声が寄せられています。
そこで県では、市長会や町村会、市町村教育長の会議などの場を通じて、子供の居場所づくりや、子供の貧困計画策定の意義、効果についてお伝えしています。
また県は、平成30年12月に個人や企業、全ての市町村が加入する「こども応援ネットワーク埼玉」を立ち上げました。
このネットワークでは、市町村を含む官民連携の体制づくりや、子供の居場所づくりに取り組む方と食材や場所の提供者とのマッチングに取り組んできました。
今後は、市町村職員を対象に子供の貧困計画の策定や地域資源を活用した市町村におけるネットワークづくりに関する研修会を新たに実施し、各地域に応じた取組が活発に展開されるよう支援してまいります。
次に、経済的貧困そのものを低減緩和させる取組をさらに進める必要についてでございます。
ジュニア・アスポート事業については、子供たちの生きる力を育み、貧困の連鎖解消に有効であると考えております。
モデル事業終了後も、学習ボランティアや地域団体との連携などについて、市に対し引き続き支援を行ってまいります。
また、議員お話の県が実施した子どもの生活実態調査では、母子家庭の57.7%が「生活が苦しい」と回答するなど、母子家庭の貧困は深刻です。
ひとり親への支援としては、これまで各種手当の支給や貸付のほか、就業相談や資格取得支援を行ってきました。
また、ひとり親家庭の約7割は養育費を受け取っておらず深刻な問題となっており、養育費確保に向けた啓発や相談対応に力を入れております。
さらに、地域の皆さんの自発的な取組として、ひとり親世帯に無料で食料を配布する「フードパントリー」が県のマッチング支援により急速に広がってきており、更なる支援の充実を図ってまいります。
今後も、ひとり親の皆さんの声をあらゆる場でお聞きし、ニーズの高い支援等について検討してまいります。
様々な取組を幾重にも実施し、経済的貧困を低減緩和するとともに、貧困の連鎖解消に向けてしっかりと取り組んでまいります。

スマート県庁の推進について(企画財政部長)

Q 平松大佑 議員(県民)

これからの社会は、AI、ビッグデータ、IoT、ロボティクス等の先端技術が高度化して、あらゆる産業や社会生活に取り入れられ、社会の在り方そのものが非連続的と言えるほど、劇的に変わってきます。超スマート社会とも言われるSociety5.0の到来に伴い創出されるであろう新たなサービスやビジネスによって、我々の生活は劇的に変化していきます。私は、この時代をリードする県庁であってほしいと考えます。
小島議員も先日取り上げられましたが、スマート県庁を進める上でICT人材育成、専門人材の確保が必要です。特にエンジニア職など、ICTに関する新たな専門職の採用が必須だと思います。例えば県独自にアプリを開発するにしても、少ないコストでいかにコンテンツを充実させていくかなど費用対効果を高めるためには、発注側に更なる知識が必要です。また、現状にキャッチアップするだけでなく、ICT利活用をリードできるような全庁的な更なるICT人材育成が必要と考えます。
さきの定例会の武内議員への答弁の中で、「技術の進歩が非常に速く、それに対応していけるか課題がある」という答弁もありましたが、それはどの分野においても、また民間企業においても同じことが言えると考えます。eラーニング等を活用して技術を磨いていけば良いのです。
併せて、ICT活用が更に進展する中で、内製化できる部分は内製化していくことが大切です。専門職の採用、ICT人材育成の取組を進めるべきと考えますがいかがでしょうか、答弁を求めます。

A 石川英寛 企画財政部長

議員御指摘のとおり、AIなどの新技術を活用し、行政の効率化や県民サービスの向上を図るスマート県庁を推進するためには、専門的なスキルを持った人材の育成、確保が必要です。
そのため、県では新技術を含めたICTの全庁的な利活用をリードする情報部門の職員のスキル向上を図るとともに、外部専門家を確保して、知見も活用していくこととしています。
まず、職員の育成では、ICT基礎研修に加え、必要なスキルを全般的に習得できるよう、今年度から、サーバやネットワークを設計し、実際に稼働させるなどの実践的な研修も実施しているところです。
また、最新技術の知見を得るために民間企業のICT技術部門への長期派遣を継続して実施しているところです。
こうした取組で育成した職員が、各部門におけるICT担当職員に、適切な指導、助言を行うことで、全庁的なICT化を推進しております。
これに加え、職員だけでは十分な対応が難しい分野では、外部専門家を確保し、その知見を得ています。
例えば、情報システムの導入に際しては、効率的で導入効果の高いシステムとなるよう、対象業務を踏まえた設計の効率性や費用対効果についてコンサルタントの知見を踏まえて精査しております。
また、令和2年度には、セキュリティの専門家に委託することで、日々高度化するセキュリティ脅威への対応や職員の専門的研修、OJTなども実施する予定です。
高度な人材を確保するためには、プログラミングやセキュリティなど技術分野ごとに、豊富な経験とノウハウを持つ専門人材を活用することが必要です。
そのため、議員お話しのICTの専門職員を採用するという手法も含め、対象業務や目的、期間などを考慮し、その都度、最適な手法で高度化・複雑化したICTに的確に対応できる人材を確保してまいります。

NPOの戦略的育成について(県民生活部長)

Q 平松大佑 議員(県民)

現在、県内でも多くのNPOが子育て支援や高齢者、障害者の生活支援等を実施されています。県民のニーズはますます多様化しており、社会や地域の課題を解決していくためには、今まで以上にNPOと行政が協働していく必要があると考えます。行政とは異なるノウハウを持つNPOと協働することで、更に事業の成果が上がると考えます。
そこで、県民生活部長に2点お伺いします。
まずは、NPOを生業として成立させるようにしなくてはいけないと考えます。そのためにもNPOの現状がどのようになっているのか、実態調査が必要と考えますが、いかがでしょうか。
次に、行政のパートナーとして様々なことを担っていただける団体を今まで以上に増やしていくため、NPOを戦略的に育成していくべきだと考えます。NPOを育てるためには、行政からの委託事業も重要です。こういったことも、今まで以上に取組を進めるべきと考えますがいかがでしょうか、答弁を求めます。

A 小島康雄 県民生活部長

まず、NPOを生業として成立させるための実態調査についてでございます。
子育て支援や高齢者の見守りなど地域課題を解決するためには、行政だけではなくNPOの活動が重要であり、さらに協働を進めていく必要があると考えております。
県では、平成25年度にNPO法人の実態や課題を把握することを目的に調査を実施いたしました。また、内閣府でも平成29年度まで、同様の全国調査を行ってまいりました。
いずれの調査結果でも、人材や資金などに課題を持つNPO法人が多いことが明らかになったところでございます。
現在、県ではこうした課題を踏まえつつ、NPO法人が事業報告書を提出する機会などを捉えて、丁寧に相談に乗るほか、実際に訪問することなどにより実態を把握しているところでございます。
次にNPOを戦略的に育成していくべきだと考えるがいかがかについてでございます。
県内NPO法人の大半は、地元に密着した活動を行っており、限られた人材・資金・情報で運営されております。
県では、こうしたNPO法人が円滑に運営を行い、地域課題の解決に取り組めるよう、きめ細かな支援を行っております。
まず、県のNPO基金を活用し、NPO法人が大学や企業などと協働して行う先進的な取組などに対して、事業費の助成を行っております。
そのほか資金面では、クラウドファンディングをはじめとして、資金調達のノウハウの提供を行っております。
また、人材面では専門家ボランティアや団体とのマッチングなどを行い、組織運営の支援も行っているところでございます。
今後とも、福祉やまちづくり分野などの様々な地域課題を解決するためには、NPO法人との協働が大切であると考えておりますので、法人の実態を調査し、戦略的に支援をしてまいります。

大江戸線延伸について(企画財政部長)

Q 平松大佑 議員(県民)

本件は、さきの定例会でも岡田議員が取り上げられたところです。平成28年4月20日に国土交通大臣の諮問機関である交通政策審議会により、「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」の答申が示されました。前回の答申では、路線ごとに優先順位が示されていました。しかし、今回の答申では前回のような順位付けは行わず、関係地方公共団体や鉄道事業者等の主体的な取組を重視したものとなっています。すなわち、各主体の努力次第で延伸を勝ち取ることができるということです。
この答申の中で、地下鉄12号線の延伸については、東京圏の都市鉄道が目指すべき姿を実現する上で意義のあるプロジェクトの一つとして位置付けられました。また、光が丘から東所沢までの一体整備の記述が盛り込まれているなど、新座市への延伸及び東所沢への結節に向けて、前回の答申から大きく前進した内容となっています。その答申の中には、課題として以下のようなことが示されています。
「大泉学園町から東所沢までの延伸については、事業性に課題があり、事業性の確保に必要な沿線開発の取組等を進めること」「光が丘から東所沢までの延伸(一体整備)については、東京都と埼玉県に跨がる路線であるため、事業主体を含めた事業計画について検討すること」とあります。課題である事業主体についてどのようにお考えでしょうか。考えを早急にまとめ、都との交渉を進めていくべきと考えますが、お考えと今後の取組についてお聞きします。
また、同じく課題である沿線開発の取組については、県がしっかりとイニシアティブをとって進めていかなければいけないと考えます。関係自治体の認識、熟度の差を埋めるとともに、今まで以上に県が関係自治体に主体的な取組を促し、延伸に向けた土台づくりをスピード感を持って進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
東京都において事業の検討が進んでいる中、本県としても都、関係自治体と連携し、延伸を確実なものとするために取組を前へと進めるべきと考えます。あえて、あと数マイルプロジェクトという形で延伸に向けた取組を実施していくわけですから、今まで以上に強力に延伸を推進すべきです。答弁を求めます。

A 石川英寛 企画財政部長

大江戸線の延伸につきましては、平成28年の交通政策審議会答申において、都心部とのアクセス向上に意義があるとされました。
一方で、県内区間では事業性に課題があり、沿線開発の取組を進めた上で、事業主体を含めた事業計画について十分な検討が求められているところです。
鉄道事業を担う事業主体については、自ら的確に遂行する能力が法律上求められているところであり、具体的には安全な輸送を担う能力、事業を実施できる経営基盤などが必要とされています。
こうした要素を全て満たし、鉄道の安全輸送を実施できるものが事業主体になるべきと考えております。
また、大江戸線は東京都が運営しているという状況も踏まえる必要があります。
県では東京都と随時、延伸に向けた取組やまちづくりなどについて意見交換を行っており、今後とも継続してまいります。
さらに、答申で示された課題を解決するためには、まちづくりを進捗させ、沿線人口を増やしていくことが重要と考えております。
新座市は、平成27年に延伸実現に係るまちづくり構想を策定し、その中心となる施設などの誘致や関係機関との調整などの項目が示されていますが、これらについて具体化していただくことが必要と考えております。
その他の沿線市でも、人口減少社会の到来なども考慮すると沿線人口を増やすだけではなく、交流人口の増加など更なる取組が求められます。
また、令和2年度は、「あと数マイルプロジェクト」の取組として、有識者会議を設置し、大江戸線も含めた各路線に関する今後の方向性や課題について検討し、年度内に取りまとめる予定です。
現在、県ではまちづくりの主体となる新座市、所沢市と毎年連絡会議を開催し、沿線の開発状況や今後の需要創出につながる取組などの意見交換を行っています。
県内及び都内の沿線自治体で構成する協議会では、令和元年度から課題解決に向けた勉強会を開催しており、県もこの勉強会に参加して検討に協力しています。
県としては、まずはこれらの会議に参加して、沿線市の主体的な取組が進むよう積極的に協力してまいります。

地元問題について

保谷朝霞線について(県土整備部長)

Q 平松大佑 議員(県民)

都市計画道路調布保谷線の受皿である保谷朝霞線が計画されています。昨年には都市計画変更素案説明会も開催されたところです。調布保谷線については全線が開通し、その影響として周辺の生活道路が抜け道として使われ、地元の住民の皆様から問合せや相談をいただいているところです。近隣の方々も本事業に大変関心があるところですが、現在の進捗状況はいかがでしょうか。また、事業に当たっては丁寧に関係住民の声を聞きながら進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、災害対策の面からも無電柱化を図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
併せて、新たにできる交差点での交通の円滑化についても、しっかりと配慮されるべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上、4点お伺いします。

A 中村一之 県土整備部長

保谷朝霞線は、新座市内で県道練馬所沢線から国道254号までを南北に結ぶ、延長約4.4キロメートルの都市計画道路です。
現在、県道練馬所沢線から産業道路とよばれている市道までの1,740メートル区間について、都市計画変更の手続きを進めております。
関係する住民の皆様に対しては、これまで6回の地元説明会を行うとともに、個別相談に応じるなど、出来る限り丁寧な対応に努めております。
また、この道路の無電柱化につきましては、沿線の土地利用状況や路線の性格を考慮し、無電柱化の手法や範囲について検討してまいります。
さらに、新たに出来る交差点での交通の円滑化でございますが、主要な交差点の右折交通量を推計し、交通管理者と協議を実施しております。
この結果、交差する産業道路には保谷朝霞線の整備に合わせ、右折帯を設置する計画としています。
まずは、都市計画変更手続きを着実に進め、早期に事業化できるよう取り組んでまいります。

栗原交差点改良工事について(県土整備部長)

Q 平松大佑 議員(県民)

県道練馬所沢線と県道保谷志木線との交差点である栗原交差点の改良工事についてであります。本事業は平成8年から始まった事業で、早々に御理解いただき、拡幅のための土地買収に御協力いただいた方々もいらっしゃいますが、残念ながら様々な理由の中で事業は思うように進んでおりません。
地域の方々のお話をお聞きしていると、地権者の方の中には正確な情報が伝わっていない方も見受けられます。地権者の方への丁寧な説明も含め交渉を進め、県の責任で早急に完成させるべきと考えますがいかがでしょうか、答弁を求めます。

A 中村一之 県土整備部長

栗原交差点は、県道と県道が交差する十字路で、慢性的な渋滞が生じていたことから、4方向において右折帯の整備を進めてまいりました。
交差点の西側は平成8年度に、その他の3方向は平成18年度に事業着手いたしました。
用地が取得できた箇所から順次工事を進め、交差点西側は平成19年度に、東側は平成25年度に右折帯の整備が完了しました。
また、交差点の南側は平成30年度に工事を行い、暫定的な整備が完了しています。
北側については、用地取得は完了しておりませんが、取得済みの用地を使い、歩行者が安全に信号待ちできる空間を整備いたしました。
今後は、残る地権者の皆様に対して、工事の内容や手順など、より丁寧な説明に心掛け、事業への御理解と御協力をいただき、早期完成に向け取り組んでまいります。

柳瀬川幹線の満管状態に起因する汚水の大規模な溢水被害について(下水道事業管理者)

Q 平松大佑 議員(県民)

2年前より、豪雨時には県流域下水道の柳瀬川幹線が満管状態になるため、新座市内の公共下水道からの汚水が流入できず、汚水の大規模な溢水被害が発生するようになりました。そして、2年前に続き昨年の台風の際にも、大規模な溢水被害が発生しました。どうしてこのような事態が発生しているのか、定量的に把握し、分析し、再発防止を図る必要があると考えます。
また、本県は、雨天時浸入水によるものが大きな理由として考えられるため、雨天時浸入水の原因把握を急ぎ、関係自治体に早急な対応を求める必要があると考えます。抜本的解決にはある程度の時間もかかると考えます。まずは、スピード感を持って即効性のある対策に当たってほしいと考えますが、いかがでしょうか。

A 砂川裕紀 下水道事業管理者

昨年の台風第19号の際、本県流域下水道の柳瀬川幹線がほぼ満管状態となった結果、新座市の公共下水道からの下水が流れにくい時間帯があり、溢水被害が発生をいたしました。
これは、本来、汚水とは別に排除されるべき雨水が市町の公共下水道に大量に入り込む、いわゆる雨天時浸入水として流入したことが主な原因と考えられます。
雨天時浸入水を削減するためには、正確な流入量を把握し、市町による老朽化した下水道管や各家庭への取付管の補修など、一つ一つの発生源対策をこまめに行う必要があります。
現在の流量計では、平常時を大幅に上回る流入量の正確な把握が困難なことから、台風シーズン前までに改修する予算を、本定例会に提案をさせていただいております。
また、平成29年度の台風第21号による溢水を受け、平成30年度より、多量の雨天時浸入水が見込まれる区域の抽出調査に着手をしており、今年度中には完了する予定でございます。
抽出結果を踏まえ、市町において、今後、発生源を特定する調査や対策を実施することとしており、新座市を含む一部の市町においては、関連費用を令和2年度予算案に計上していると聞いております。
一方、議員ご指摘のとおり、雨天時浸入水を削減するための発生源対策には、ある程度の時間と予算を要します。
即効性のある対策としては、柳瀬川幹線上流にある公共下水道からの流入量を減少させるため、接続点に設置されているゲートを絞ることが考えられます。
そこで、台風第19号の水位データを関連市町に提示し、協議を重ねた結果、接続点に設置されているゲートを絞ることとなりました。
今後、絞り込みによる影響を検証しながらの運用になりますが、この措置により、豪雨時における新座市の公共下水道からの流入が、よりスムーズになるものと見込んでおります。
下水道局といたしましては、市町と連携し、来年度改修を予定している流量計のデータを活用しながら、溢水の再発防止に取り組んでまいります。

県道さいたま東村山線の歩道整備について(県土整備部長)

Q 平松大佑 議員(県民)

現在、県道さいたま東村山線については、東京都清瀬市以北から国道254号までの拡幅事業を実施しております。その更に以北についても、歩道拡幅の実施、交差点改良を実施すべきと考えます。
しかしながら、すぐの実施が難しければ、現状の幅員の中でどのように歩道としての安全性を高める改善ができるか、現状を総点検し、改善策を実施する必要があると考えます。既に車の出入りがなくなっているのにまだ歩道が斜めになっているところ、グレーチングの形状からハイヒール等がはまってしまう可能性がある場所、また当該県道の歩道は、歩行者が側溝の上を歩く場合が多いので、側溝の蓋の取替えなどで改善が図れる場所もあるはずです。実際に連続する側溝の段差が大きい箇所、排水の関係かと思いますが、アスファルト路面と側溝の高低差が大きい場所などが見受けられます。総点検し、今できる改善を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

A 中村一之 県土整備部長

この道路の国道254号から北側については、通学路に指定されている区間には、十分な幅員ではございませんが、ガードレールや縁石などにより、歩道が設けられています。
このため、当面の対応といたしましては、現状の歩道幅員の中で、安全で歩きやすい歩行空間を確保することが重要であると考えております。
平成30年度には地元新座市と連携して総点検を行い、これまで側溝蓋の修繕や段差の解消など、16カ所で安全対策を行ってまいりました。
引き続き、地元の皆様からの情報も参考にし、現状の歩道幅員の中で効果的な安全対策を検討、実施してまいります。