知事肝いりの『政策条例』を制定することについて

Q 井上 航 議員(県民)

大野知事は、令和元年8月に「日本一暮らしやすい埼玉を実現する」を合い言葉に、政策と自身の強みを訴え当選されました。大野知事はその際、参議院議員時代の経験を踏まえて、政策に明るい実務家であり、党務ではエネルギー、憲法、安全保障などの政策取りまとめを行い、過去1年間で参議院全議員立法の約1割を起案、提出したとアピールしておられます。こうした大野知事の政策通ぶりに期待をした県民も多いことと思います。
さて、県政において立法といえば、すなわち条例制定を指します。昨今、全国の知事選では、自身の思いを込めた条例を制定することを公約にうたうケースや、逆に選挙で掲げた公約、政策を実現するため条例を制定する動きが見られます。また、日頃の公務を通して県民の声を聴き、知事が決断して制定を進められるケースもあることでしょう。私は、これらを知事肝いりの政策条例と呼んでおり、こうした動きに大変注目をしています。
そこで、私は全国の知事の公約や、それに類する政策方針に基づき知事の発案で制定された条例について、本県を除く46都道府県に調査を行いました。その結果、例えば富山県では、知事の公約に基づき、海外留学する県内の大学生等に県内企業への一定期間の勤務を返還免除の条件とした奨学資金制度を新設するための条例が、令和4年3月に制定されています。滋賀県では、知事の2期目の公約集に掲げた3つの条例が制定されました。新潟県では「知事へのたより」、こちらへの投書を基に知事が条例化の指示を出し、令和3年3月に新潟県希少野生動植物保護条例が制定されています。このように知事の肝いり条例は多くの都道府県で制定されています。
無論、公約の実現やより良い県政づくりを進めるに当たっては、条例を作ることが全てではありません。特に、首長は条例制定のほかにも予算編成、組織改正に人事など、実現のための手段は多数あります。
そこで、以上を踏まえて、政策実現のために条例を制定することに対する大野知事の御所見を伺います。

A 大野元裕 知事

知事には行政の執行者として、県民の声を聴き、それに応える政策を実行する責任がございます。
そのため、執行部から新たな条例案を提出する際には、「かくあるべき」という理念的な目標だけではなく、より実効性が高い内容であるべきと考えます。
政策を実現していくには、議員御指摘の条例制定や予算の執行、組織改正や人員拡充のほか、行政計画の策定など様々な手段がございます。
私は、これらの手段をバランスよく用いて施策を遂行することにより、政策実現に向けた効果を担保していくことが重要だと考えています。
まずは、今年度から、県政運営の基礎となる総合計画である「埼玉県5か年計画」に着実に取り組み、それに伴う予算を執行していくことで政策の実現に取り組んでまいります。
他方、政策を進めていく中で、場合によっては現行の条例や制度では対応が困難な課題等が生じることもあります。
その際には、政策を実現する手段として、条例制定が選択肢となると考えており、必要な場合には積極的に活用させていただきたいと考えております。

再Q 井上 航 議員(県民)

知事のお考えというのはよく分かりました。制定を否定するものではないということだと思います。
ではですね、大野知事の任期は間もなく3年を経過して、残すところあと1年となっております。先ほど全国の事例を紹介いたしましたが、時代や状況に合わせて制定する事例というのは複数あって、例えば、新型コロナ対策であるとか、SDGsの推進を図るために制定されたものであるとか、令和3年7月に静岡県熱海市で違法な盛土を原因とする土石流が発生し、甚大な被害が生じた事例がありましたが、これを受けて鳥取県や新潟県では盛土等に関する斜面の安全確保や規制に関する条例が制定されております。特に鳥取県の条例は、熱海の事例が発生してから僅か5か月後の令和3年12月に制定をされています。
是非ですね、大野知事においては、時代の要請がある場合には、今任期中の制定についてもしっかりと検討していただきたいと思いますが、知事の御所見を再度お伺いしたいと思います。

再A 大野元裕 知事

政策を推進するに当たり、時代や状況の変化に合わせて生じる課題にも、柔軟に対応していくことが求められると思います。
これまでにも、私は政策を遂行する中で、幾度にもわたり、条例の制定についての検討を部内等で進めてまいりました。
政策を実現する手段として、新たに条例を制定することが良いのか、他の手段が良いのかをこれまでも検討してまいりましたが、適切と考える場合には、躊躇 なくこれを実施いたします。 
あくまでも、条例の制定は、しかしながら、いつまでにというのではなく、その必要性で判断をすることが適当と考えますので、いずれにいたしましても、不断に条例の制定についても検討をしていきたいと考えます。

県内米軍基地の返還について

Q 井上 航 議員(県民)

本年2月24日から実行されたロシアによるウクライナ侵攻を踏まえると、戦闘行為が起こった場合、軍事関連施設は真っ先にミサイルなどによる攻撃対象になることが明らかになりました。他国の施設とはいえ、軍事関連施設が住宅地の近くにあることは、県民のリスクを高めることにつながります。
例えば、私の地元和光市に位置する米軍キャンプ朝霞アンテナ基地の所在する地域は、和光市立第4小学校や諏訪原団地といった生活空間に隣接しているのです。また、まちづくりの視点に立って考えると、米軍キャンプ朝霞は司法研修所、税務大学校、国立保健医療科学院という国が設置した公共施設や理化学研究所、埼玉病院など和光市の象徴的な機関とも隣接しています。まちづくりを進める上で重要な拠点であるにもかかわらず、米軍キャンプ朝霞が所在しているということで各拠点を結ぶ道路網が寸断されるなど、地域が分断される状況となっており、都市の機能を集積することが難しく、都市計画上の障害ともなっている状況です。ほかの2施設でも同様の課題があろうかと思います。
県民の安心や該当市町村のまちづくりの将来性といった地元支援の観点から、埼玉県として米軍基地の返還にどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

県内の米軍基地は、昭和27年以降、順次、返還が行われ、今日まで様々な用途でまちづくりに活用されてまいりました。
議員の地元和光市に所在する米軍キャンプ朝霞につきましても、県内だけでこれまでに約420ヘクタールが返還をされ、和光市役所や和光樹林公園など、住民の皆様が利用する施設として活用をされているところであります。
一方で、現在でも米軍基地として使用されている場所は、いずれも市街地に位置しており、まちづくりを進める上での支障となっています。
このため、県と、米軍基地が所在する和光市、所沢市、新座市を含む14市町で構成する埼玉県基地対策協議会では、毎年度、国に対して、米軍基地の縮小・返還について要望を行っております。
こうした要望活動を積み重ねたことに加え、米軍所沢通信施設については、当時の当麻市長から要望を受け、私自身が在京米国大使館を訪問して軍政担当書記官に働き掛けを行い、その結果を防衛省に示したことから、倉庫の移転費用に関する協議が進展し、平成24年の日米合同委員会において、東西連絡道路用地の返還が合意され、令和2年3月から住民の皆様の利用が開始されたという経緯もございます。
県といたしましても、人口密集地域に位置する米軍基地の返還は、基地周辺の皆様の不安の解消や、まちづくりの発展に大きく貢献するものであると認識しております。
今後とも地元市とともに、しっかりと連携を図りながら、基地対策協議会を通じた要望活動を行い、早期の基地の返還を目指したいと考えます。

再Q 井上 航 議員(県民)

今、答弁の中にも参議院議員時代の取組を御紹介していただきましたけれども、本当に防衛大臣政務官として大野知事は、国防、安全保障などに携わってこられたわけであります。基地が所在する市町村は、やはりこれまで以上の成果を期待せずにはいられないわけであります。
大野知事の返還に向けた決意を改めてお伺いしたいと思います。

再A 大野元裕 知事

米軍基地の返還につきましては、私が防衛大臣政務官を務めていた際にも対応いたしましたが、返還は日米両政府の交渉によるものであると同時に、我が国を取り巻く安全保障環境等にも鑑みながら、粘り強く議論をしていく必要がございます。そして、これが結実するためには、長い年月が必要であることも重々私も経験してまいりました。
その中で、米軍所沢通信施設が一部返還されたことは、県と関係市町 で構成する基地対策協議会の長きにわたる要望の成果と考えています。キャンプ朝霞を含めた米軍基地の返還について、議員の強い想いをしっかりと受け止めさせていただき、引き続き、国に対して粘り強く要望活動を行ってまいります。

羽田空港新航路固定化回避のための取組について(企画財政部長)

これまでの協議経緯について

Q 井上 航 議員(県民)

羽田空港の国際便の増便を軸とした機能強化によって、令和2年3月29日より新ルートの運用がスタートしました。ルートの下に当たる、さいたま市、川口市、蕨市、戸田市、朝霞市、和光市の上空では、数多くの航空機が騒音を響かせながら通過しています。
こちらの写真を御覧いただきたいと思います。議場の皆様はサイドブックスでも御覧いただけます。この写真はですね、知人より提供いただいた朝霞市内を撮影した写真になります。そして、裏返して、今のこちらの写真は和光市内で撮影したものですが、このように少し目を凝らすだけでどの航空会社か分かるほどの高度で飛んでいるというのが実情です。こうした状況が、国土交通省のデータによると、令和3年の1年間の間に167日を数えました。
これまで県議会では、新ルートの運用前に私のほか、村岡議員、木村議員、醍醐議員がこのテーマを取り上げています。国土交通省は現在、羽田新航路の固定化回避に係る技術的方策検討会を立ち上げて議論や情報発信を行っていますが、それでも更なる増便を進める方針に変わりはなく、県民の負担軽減は見通せない状況です。
そこで、まず運用を開始するまでの期間及び運用開始から現在に至るまで、県として国交省とどのように協議を行ってきたのか、企画財政部長に伺います。

A 堀光敦史 企画財政部長

国は、令和2年3月29日から新飛行経路の運用を開始したところです。県といたしましては、運用開始前から運用開始後、現在に至るまで、国の参加を求めた上で、羽田空港の新飛行経路に関する連絡協議会を毎年開催しています。
協議会においては、国から新飛行経路の運用状況や県内の騒音測定結果などに関する説明を受け、発生した課題などについて県及び関係市町からお伝えをするとともに、必要がある場合には適切な対応を求める機会を確保してきたところでございます。
また、協議会のほか、新飛行経路に関する住民からの問合せ内容を、国と随時情報共有するなどの連携を行っております。
今後とも、国との会議の場など様々な機会を通じて、県民の安心・安全を確保するため、国に対してしっかりとした対策を求めてまいりたいと考えております。

今後の固定化回避のための県の取組について

Q 井上 航 議員(県民)

今、御答弁の中で、今後ともしっかりしたというような話がございましたが、先ほど申し上げたとおり、住民は今も騒音や落下物などの不安の中で暮らしています。
県には、引き続き県民の立場に立って固定化回避のための取組を期待いたしますが、企画財政部長、今後の固定化回避のための県の取組についてお伺いいたします。

A 堀光敦史 企画財政部長

国は、関係自治体などの要望を受けて検討会を設置し、固定化回避に向けた検討を行ってきました。
現在、新飛行経路の固定化回避に向け選定された、2つの飛行方式の羽田空港への導入のため、具体的な安全性の評価などの検討を行っていると伺っております。
県としては、国との会議においてこうした取組状況について説明をいただき、県及び関係市町と情報を共有しております。また、現時点では関係市町から固定化回避に向けた具体的な意見や要望はないものの、県民の立場に立って考えるということは大切な視点でございますので、今後そのような意見や要望を頂いた場合には、国にしっかりと伝えて対処してまいりたいと思います。

埼玉版スーパー・シティプロジェクトの県民向け周知について(環境部長)

県民理解・機運醸成のために広報活動を充実させるべき

Q 井上 航 議員(県民)

埼玉版スーパー・シティプロジェクトは、大野知事が3年前の知事選で掲げた重点公約の一つです。去る令和4年1月31日には、県とともにプロジェクトに取り組む市町村の第1弾となる11市町が発表されました。県民に身近な市町村とともに進められるため、県や市町村の目指す埼玉版スーパー・シティプロジェクトとは何か、選ばれると何が変わるのかといった点について、県民の理解を広げる必要があると考えます。
さて、ここで令和2年10月14日、日本経済新聞の記事を紹介いたします。この記事によると、国のスーパー・シティに関する認知度を調べたところ、1万802人から有効回答を得た結果、「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」「名前を聞いたことはあるが、内容は知らない」、これらを合わせて五割にとどまったということです。他方、「名前も聞いたことがない」という回答は49%に上るということでした。
事前に執行部に確認をしたところ、県は、埼玉版スーパー・シティプロジェクトに関する県民の認知度調査はこの間行っていないということでしたが、先ほど触れたように国の取組でさえ、この認知度であります。
県は、これまで様々な機会、媒体を通して広報に力を入れてきたことは存じ上げておりますが、周知に一層力を注ぐ必要があると考えます。例えば、媒体を通した広報だけではなく、シンポジウムのようにプロジェクトに関わる関係者の生の声を届けるような機会も効果的かと考えますし、プロジェクトの総論ではなく実際の市町の取組を題材に取り上げるなど、より具体性のある広報で県民理解、機運醸成を推進すべきと考えますが、環境部長の答弁を求めます。

A 目良聡 環境部長

埼玉版スーパー・シティプロジェクトは、超少子高齢社会における諸課題に対応するため、コンパクト、スマート、レジリエントの3つの要素を兼ね備えたまちづくりに、市町村とともに取り組むものです。
そのため、事業主体である市町村や、地域住民の理解を十分に得ながら進めることが必要と考えております。
県では、県内全ての市町村を対象とした説明会の開催のほか、今年5月の市長会議及び町村長会議においては知事が直接説明し、市町村にプロジェクトへの参加を働き掛けました。
また、県民の皆様に対しては、テレビ、ラジオ、インターネット、彩の国だよりなど様々な媒体を通じてプロジェクトの基本的考え方や実施市町村などに関する広報に取り組んでおります。
今後は、こうした従来の周知・広報に加え、御提案いただいたような、具体性のある広報も検討し、住民への周知や理解の促進を図ってまいります。

先行する自治体と連携して周知に力を入れるべき

Q 井上 航 議員(県民)

今の御答弁でも、より具体的な話をというようなことがありましたけれども、私が?のところで申し上げたのは、具体的な取組を題材として周知をしてはどうかということでありました。
今回選定された第1弾の11市町のエントリーシートを調べると、例えば、8市町で自動運転技術の活用の検討がされていることも分かります。その中でも、例えば、私の地元和光市では、この埼玉版スーパー・シティプロジェクトにエントリーする以前から、和光版MaaS構想としてMaaSや自動運転サービス導入事業について、内閣府や国土交通省など国の機関や県と連携して事業推進を図ってきています。また、さいたま市も自動運転技術など先行して取り組んでいると伺っております。
このように既に事業が進んでいる市町村と連携して広報を行うことは、その町の住民の理解も進みます。そして、事業も進みます。そして、それを県内に周知することで、ほかの市町村の取組も前進させることにつながるとともに、これからエントリーを検討している市町村に対しても大いに参考になるといった好循環を生み出せると考えておりますが、環境部長の見解をお伺いします。

A 目良聡 環境部長

埼玉版スーパー・シティプロジェクトに既に参加している11市町の取組は、他の県内市町村にも共通する社会課題の解決に向け、大変参考になるものと考えております。
そのため県では、今後プロジェクトの参加を検討している市町村の参考となるように、11市町のまちづくりの方向性やコンセプト、エリアなどを記したエントリーシートを県ホームページで紹介するとともに、実際の事例を題材に、それを支える民間企業の技術などを学びながら交流する、「まちづくりオープンカフェ」を開催しております。今後は、プロジェクト参加市町の取組が具体的に進行してまいりますので、県と市町村が連携し、進捗に応じた周知や情報提供を行いながら、本県全体でスーパー・シティプロジェクトが盛り上がるよう努めてまいります。

気候変動解決に向けた県民への積極的な周知について

Q 井上 航 議員(県民)

埼玉県では、これまでも気候危機とも呼べる気候変動による被害を回避、軽減するための様々な適応策を推進しています。この気候危機を乗り越えるためには、県民の協力、そして意識向上が不可欠です。その意味で、先日発行された「彩の国だより」6月号のカーボンニュートラルを中心とした特集はすばらしいと感じました。このように数値などを交えつつ、危機感を共有することが重要だと考えます。
さて、その一例とも言えるClimate Clockという取組が現在、世界各地で進められています。気候変動悪化の歯止めがきかなくなる臨界点とされているのが、産業革命時から1.5度以上気温が上昇することです。それ以上に上昇すると、海洋生態系の破壊や、それに伴う食料危機や経済危機を引き起こすといわれています。
埼玉県を含め日本では脱炭素の取組は進んできたものの、気温上昇を1.5度五度以内に抑えることの緊急性はまだ広く認知されていません。それを視覚的に伝えるのがClimate Clockです。世界では、令和2年9月にニューヨークに最初の時計が設置され、グラスゴー、ニューヨーク、ソウルなどにおいて大規模なClimate Clockが設置されています。そして、本年4月15日に渋谷区などの後援を得て、日本で初のClimate Clockが渋谷駅ハチ公前広場観光案内所に設置されました。
こちらのパネルを御覧ください。議場の皆様は先ほどと同様、サイドブックスの方にも御覧いただけるようになっております。注目していただきたいのは、この犬ではなくて、その下の数字の部分ですね。拡大すると、こうなります。この部分をClimate Clockというふうに呼んでおります。先週の日曜、6月19日の夕方時点で、残された時間は7年と32日19時間54分52秒となっておりました。
私は、この渋谷区での設置に関わったプロジェクトメンバーの方にお話を伺いましたが、是非埼玉県でも取組を推進してほしいとのことでした。そこで、こうしたClimate Clockの設置を含めた気候変動解決に向けた県民への積極的な周知について、環境部長の御所見を伺います。

A 目良聡 環境部長

気候変動の解決に向けては、県民一人ひとりの行動が重要であり、そのためには危機感も含め、現状を正しく認識していただくための情報発信が必要と考えております。
県では、気候変動適応センターを環境科学国際センター内に設置し、気候変動の実態や影響などの情報についてグラフや写真を用いて分かりやすく発信しております。
また、教育局と連携し、漫画で地球温暖化を学べる副読本「広げよう!STOP温暖化」の小学校授業での活用や、男性の日傘体験イベントのツイッターやインスタグラムでの発信など、地球環境問題に関する啓発を幅広く実施しております。
渋谷の「Climate Clock」は、若者に気候変動の深刻さを「自分ごと」と捉えてもらうきっかけづくりとして、高校生や大学生が中心となって取り組んだものと伺っており、気候変動の危機感を視覚的に伝える点で大変優れた取組と感じております。
この時計で表示される、世界の平均気温上昇が1.5度に達するまでに残された時間については様々な見解があり、県が設置するには慎重な検討が必要ですが、民間団体などから相談があれば、その内容をよくお伺いしたいと考えております。
県では、「Climate Clock」の取組も参考としながら、SNSの更なる活用やホームページの充実をはじめ、視覚などに訴える、分かりやすい情報発信の方法について、しっかり研究・検討してまいります。

県内で新たに開業する医師に対する支援策について

現在の県の対応について

Q 井上 航 議員(県民)

県は、奨学金や研究資金の貸与制度を柱に医師確保を進めています。その成果は評価するものの、これらの多くは若手の医師確保のための施策です。
一方で、開業医として独立して医院を立ち上げる場合の県の支援はどうでしょうか。開業医は若手医師と異なり経験豊富であり、かつ勤務医と異なり、正にその地に定着して医療を提供しようと考えてくれています。しかしながら、医師の開業支援については、県の積極的な姿勢は見られないというのが私の認識です。
そこで、まず令和4年度時点での県の対応について、保健医療部長に伺います。

A 山﨑達也 保健医療部長

国の医師・歯科医師・薬剤師統計によると、令和2年12月末の人口10万人当たりの医師数は、117.8人で全国47位となっており、医師の確保は本県の課題となっております。
そうした中、緊急性や重症度の高い患者が必要とする、入院医療の体制整備には、病院勤務医の確保が不可決であり不足感も強いことから、本県の医師確保対策は勤務医の確保を中心に取り組んでいるところです。
一方、現行の埼玉県地域保健医療計画には「外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項」が定められており、新規開業希望者を含めた各医療機関が本県の外来医療の現状を把握できるよう、二次医療圏ごとの各種データを掲載しております。
現在、開業の支援に資するため、こうした情報を提供させていただいているところです。
また、医師会員専用の金融機関である埼玉県医師信用組合では、開業資金を融資する「開業ローン」を紹介されております。

医師版の「企業誘致Soul-Saitama戦略」とも呼べるほどの取組を行うべき

Q 井上 航 議員(県民)

先日、県は「企業誘致戦略Soul―Saitama戦略」を策定しました。大野知事のSNSには「私自らもトップセールスを行い、全国に向けて本県の魅力を積極的にPRしていきますと」とつづられていました。私が医師確保、特に開業医の確保のために必要だと考えるのは、これくらいの熱量であり、戦略です。
勤務医の重要性は、先ほど述べたように私も重々承知はしております。しかし、県は、県民への医療提供体制の確保に当たり、開業医の皆様に様々な協力をしてもらっています。特に、新型コロナ感染症対策ではワクチン個別接種をはじめ、例えば、発熱等の症状がある方の診療を行い、必要な検査を行う埼玉県指定診療・検査医療機関を募った際には、医院名を公表することは全国的にもまれにもかかわらず、多くの開業医の皆様が協力してくれました。また、保健所業務がひっ迫した際には、自宅療養者のうち軽症者等の健康観察を協力医療機関として支援してくれました。
また、後遺症外来についてもより多くの患者さんが速やかに受診できるよう、本年4月以降はこれまでの症例から知見を得た病例集を活用して多くの地域医療機関に関わっていただく体制に変更したところです。この取組には、大野知事が推進した他県にはない、埼玉独自の取組も含まれております。このコロナ禍は、開業医の皆様の協力なしには乗り越えられなかったのではないでしょうか。
このほかにも、初期救急医療期の在宅医療、学校医や産業医、介護認定審査などの公衆衛生医療も担ってもらっているわけですから、そうした方々の開業を支援するのはむしろ必須であると考えます。開業希望者のニーズに沿った支援ができたならば、他県での開業医が視野に入っていた方も、それなら埼玉で開業をしようかとなるかもしれませんし、開業する際に支援してもらったから、本業も忙しいが地域医療に少しでも貢献しようと考えてくださる方もいるかと思います。
是非知事には、「企業誘致Soul―Saitama戦略」でいうところの地域との共生や地域の持続的発展に取り組む企業の誘致、ならぬ医師の誘致に当たっても知事自ら前面に出ていただき、積極的かつ丁寧な支援策を行っていただきたいと考えますが、知事の御所見を伺います。

A 大野元裕 知事

開業医の方々におかれましては、コロナ禍における発熱外来の開設やワクチン接種に多大なる御協力をいただいておりますこと、また、学校医などとして地域の公衆衛生を支えておられることに、心から感謝をしております。
開業医の方々の加盟が多くを占める県医師会との間では、丁寧な協議により、コロナ対応も円滑に進んできたところ、県の医療体制の整備につきましても緊密に意見交換をさせていただいております。
開業医につきましては直近のデータのある令和2年までの10年間の増加数は589名、増加率は14.3%であり、全国の増加率7.8%を大きく上回っているところでございます。
一方、本県の喫緊の最重要課題は、病院勤務医の確保であることから、平成25年12月に全国的にも例がない埼玉県総合医局機構を創設し、医師会、大学、県内医療機関等が連携し、勤務医の確保に積極的に取り組んでいるところであります。
総合医局機構では、産科の医師に向けた母体救急救命研修など、開業医の方も参加できる研修を実施しています。
また、県では在宅医療を検討している医師に向けた訪問診療等の現場研修など、在宅医療への参入促進を図るための研修を今年度実施することとしております。
今後も開業医が参加でき、スキルアップに役立つ研修を充実させることにより、県内での開業を目指す医師の支援につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。

医師のニーズに応える取組を

Q 井上 航 議員(県民)

全国を調査したところ、都道府県レベルでは北海道、岩手県、福島県、大阪府などで取組の事例があります。具体的には、開業、設備投資などに係る必要経費の一部補助や、医業承継を考える既存医院と開業を希望する医師とのマッチング支援などを行っています。また、市町村レベルでも開業支援制度を設けているところもあり、こちらは当該市に開設した場合に開設費用を数百万から数千万単位で補助する制度が多くなっています。そのほか、神奈川県医師会や秋田県医師会は県医師会として取組を始めており、開業地の情報提供、構想立案、開業後の経営支援など寄り添う支援を実施しているところです。
また、この質問を行うに当たっては、実際に開院に向けた準備を経験された方からもお話を伺いました。その中から開業時に困った点と、そこから見えてくる開業時に必要な支援の案について、この場で御紹介したいと思います。
まずは、情報の一元化です。
医療に関する補助だけではなく、建物建設に当たってもバリアフリー設備による補助金、太陽光発電設備を付けた場合に得られる補助金のように関わりのある情報というのは散らばっています。開業の準備は勤務医が超多忙の中で行うことが多いので、このときに県ホームページなどで情報が一元化されていれば非常に助かるとおっしゃっていました。また、そうした情報を口頭や対面で尋ねられる一元化された相談窓口があると、なお準備が進めやすいとのことです。
また、開業に臨む医師の多くは30代から40代が多いといわれています。働き盛りの年代ではあるものの、一方で、様々な組織や人脈形成には支援も必要になります。例えば、開業予定地の医師会とのつなぎや、予定地の市役所や商工会、地元自治会などとも橋渡しがあれば助かるともおっしゃっていました。また、地域や診療科によっては県立4病院とのつながりが必要になる場合もあるため、スムーズな連携ができるきっかけも重要とのことでした。
以上、他県や全国の市町村で行われている支援策や、実際の医師のニーズを述べさせていただきました。
勤務医を中心とした確保を進めていることは重々承知をしておりますが、これらの取組を参考に、より具体的な支援策を開業医に向けて行うべきと考えますが、保健医療部長の答弁を求めます。

A 山﨑達也 保健医療部長

開業医の支援につながるような研修の実施については、現場の声を聴きながら研修メニューの検討を進めてまいります。
一方、開業プロセスへの対応についてですが、御指摘のとおり開業を希望する医師は、非常に多忙な中で準備をしながら、地域とのつながりを持つ必要があります。
こうした点で、非常に頼りになる存在がまず地区医師会で、開業に関する経験やノウハウを持ち、相談窓口を設けています。
県の窓口においては、多忙かつ情報不足に不安を持つ医師の事情を理解するとともに、必要に応じて地区医師会等への橋渡しを行うなど、スムーズに、気持ちよく開業できるよう丁寧な対応を心掛けてまいります。

教員確保のための奨学金返還補助制度の導入について

Q 井上 航 議員(県民)

先ほどの医師確保と同様に、近年、人材確保に苦慮しているのが教員です。小・中・高・特別支援学校と合わせた採用試験の受験倍率は、令和元年度実施試験が4.0倍、令和2年度が3.7倍、令和3年度に3.0倍と低下傾向にあります。そして、今月15日に発表された令和5年度採用の小学校の志願倍率は1.9倍と、過去10年で最低の倍率となりました。こうした現状を踏まえて、埼玉県教育委員会が独自に教員確保策を進めていることは承知しています。ただし、この事態の打開のためには更なる取組が必要と考えております。
そこで、私が注目しているのは、山梨県教育委員会で開始した教員確保のための奨学金返還補助制度です。山梨県教育委員会では優秀な教員の確保を図るため、山梨県内の公立小学校に教諭として一定期間勤務することを条件に、日本学生支援機構から貸与を受けた奨学金の返還の一部を補助する事業を開始しました。
現在、日本学生支援機構が本年3月に発表した令和2年度学生生活調査によると、大学昼間部では49.6%が奨学金を受給中といわれており、その返還は社会人になってからも非常に大きな負担となります。山梨県の制度では、卒業前2年分の貸与額が上限となっていますが、それでもかなりの負担軽減となります。山梨県の発行したチラシには「山梨で教諭になろう」、そのように書いてあり、この制度を学生にアピールすることで他県との差別化を図っています。
また、この制度がうまくできていると感じるのは、令和4年度の教員選考検査受検者向けには補助対象人数を20名としていますが、申請者が募集枠を超える場合は、教員選考検査の成績順で対象者を決定するとしていることです。これにより、補助対象になりたい学生はより熱心に採用試験に臨むようになると考えられますし、その結果として優秀な教員確保につながると思います。
この制度を埼玉県でも導入してみてはいかがでしょうか。現在、埼玉県では教員を目指す人全体を増やすために、大学生や高校生向けに教員経験のある教育局職員が自身の経験を踏まえて教員の魅力を発信する取組を進めています。そこにこの奨学金補助制度があれば、学生にとって教員がより現実的な選択肢になると思います。また、一定期間の勤務を要件とすることにより、離職防止にも寄与すると考えられます。
以上を踏まえ、埼玉県にも教員確保のための奨学金返還補助制度を導入することについて、教育長の見解を伺います。

A 高田直芳 教育長

議員お話しのとおり、本県の教員採用選考試験の倍率は年々低下してきており、教員の確保は極めて重要な課題と認識しております。
そこで県では、今年度から大学と連携し、小中学校の教員希望者を対象に、進路を決める前段階の大学2年生から学校で子供たちと触れ合う体験を通して、教員の魅力を肌で感じてもらう「彩の国かがやき教師塾」ベーシックコースを200名の定員で実施することといたしました。
また、大学3年生を対象としたより実践的なマスターコースも設け、この参加者には教員採用選考試験で一般教養などを免除する特別選考を行い、やる気のある優秀な人材の確保につなげたいと考えております。
議員御提案の山梨県が導入した奨学金返還補助制度につきましては、教員確保策の一つと考えますが、本県と山梨県の採用規模は大きく異なることから、その効果をよく見極める必要があります。
一方、教員不足は全国的な課題でもあることから、国全体として教員の成り手自体を増やしていくことが重要です。
県といたしましては、まずは、国において教員志望者に対する奨学金制度を創設し、教員に採用され一定期間勤務した場合に奨学金の返済が免除される等、教員志望者の増加に寄与する制度の構築を全国都道府県教育委員会連合会を通じて要望しているところです。 
今後とも、教員養成系大学との連携をより一層深めながら、埼玉教育の未来を担う教員の確保に努めてまいります。

再Q 井上 航 議員(県民)

先ほどの答弁でいうと、山梨と埼玉は採用の規模も違うだろうと、また、全国的な課題として国に求めているところだというような趣旨だったかと思いますが、私がここでお伺いしたのは、これを埼玉独自の策として導入していくかどうかの点でありました。
例えばですが、こうして山梨が事例を進めております。それの研究であるとか、それを踏まえた検討というのを行っていただきたいと思いますが、御答弁願います。

再A 高田直芳 教育長

山梨県では、小学校教員133人の採用見込みに対し、奨学金返還補助制度の対象は約20人と伺っております。
一方、本県の小学校教員の採用見込みは今年850人を予定しておりまして、仮に山梨県と同様の割合で実施する場合でも補助対象は約120名となり、多額の財源を必要とすることになります。
そのため、山梨県においてどういった成果があがったのかなどを十分に踏まえて、本県で実施する場合の課題ですとか費用対効果などについて研究してまいります。

選挙をより身近にするための取組について(選挙管理委員会委員長)

記号式投票の導入について

Q 井上 航 議員(県民)

記号式投票とは、あらかじめ投票用紙に印刷された候補者氏名の上の欄に丸を記入して投票する方法です。記号式投票は、高齢者や障害者といった投票弱者にとって投票のバリアフリー化が図られるだけでなく、誰にとっても投票しやすい方式とすることで、選挙や投票がより身近になる効果があると考えます。また、記述式の際には、記載誤りなどで疑問表や無効票が発生しますが、その削減が期待できることや、開票時の確認作業の短縮化も期待されます。
一方で、デメリットがあることも承知しています。国政選挙では自署式と定められていること、告示日に立候補の届出を締め切ってから投票用紙の印刷を始めるため、準備の時間が限られることなどと認識しております。ただ、それらを踏まえても、記号式投票を行う価値は十分にあると考えております。
埼玉県内では唯一、吉川市が市長選において記号式投票を採用しています。そこで、私は、県議の同期当選であり、現在、吉川市長を務める中原恵人市長を通して吉川市選挙管理委員会の見解を確認しました。
吉川市では、昭和38年から記号式での市長選を行っており、職員は全く違和感も不便も感じていないとのことです。また、期日前投票や不在者投票の自署式と投票日当日の記号式が混在することについては、別々に集計すればよいだけであるとおっしゃっていました。記号式投票は不明票も抑えられ、市民にはバリアフリーでもあることから、職員にも無理な負担になっていない現状であれば、今後も継続の考えであるとおっしゃっていました。
他方、先日、桶川市議会6月定例会において、御自身が筋ジストロフィーの診断を受けている浦田充市議会からも、投票についての不平等の解消ということで首長選での記号式投票を求める提案があったところです。
首長選のほか県議選や知事選も、市議選などと比べて比較的候補者が少ない選挙です。県議選、県知事選は、毎回投票率が低調な傾向にあることが課題となっております。
そこで、投票のバリアフリーという視点に加えて投票率向上のための方策としても、各市町村の首長選挙及び県議選、県知事選において記号式投票を導入することについて、選挙管理委員会委員長の御所見を伺います。

A 岡田昭文 選挙管理委員会委員長

公職選挙法の規定により、地方公共団体の議会の議員又は長の選挙の投票は、条例で定めるところにより、期日前投票などの一部の投票を除いて記号式の投票によることができます。
議員お話しのとおり、記号式投票には様々なメリット、デメリットがございます。
記号式投票の導入団体は全国的には減少傾向にあり、県内においては昭和38年に導入した吉川市長選挙のみとなっております。
都道府県知事選挙で導入している団体は5団体であり、都道府県議会議員選挙での導入団体はございません。
県議会議員選挙又は知事選挙において記号式投票を導入する場合、県内全域で、期日前投票などは自書式、選挙当日の投票は記号式となり、投票方法が混在することになります。
近年、記号式投票から自書式投票に戻した団体では、その理由として投票方法の混在による混乱や事務負担の重さなどを挙げており、市町村選挙管理委員会との慎重な調整が必要となります。
さらに県議会議員選挙では9日間という短期間に、52選挙区の全ての候補者名などを誤りなく掲載した投票用紙を印刷し、発送する必要があります。解決すべき課題は多いと考えます。
県選挙管理委員会としましては、記号式投票の導入団体が減少している要因や、導入団体における投票率向上効果などについて、情報を収集し、研究してまいりたいと考えております。
また、市町村長選挙で記号式投票を導入することにつきましては、各市町村が地域の実情に応じて判断すべきものと考えております。

再Q 井上 航 議員(県民)

デメリット、メリットがあることは重々承知をしておりますが、バリアフリーという観点、それから選挙を身近にするという観点は重要な観点かと思いますし、例えば、市町村の場合においては相談があった場合、条例化を進めなければいけないわけですが、県選挙管理委員会としては、そういった市町村の支援といったことは相談があった場合にはするという体制はあるということで確認させていただいてよろしいでしょうか。

再A 岡田昭文 選挙管理委員会委員長

相談の体制は、これ常にとっております。先ほども申しましたとおり、
メリット、デメリット両方ございますので、そのへんも踏まえ、市町村選挙管理委員会と対応してまいります。

家族で選挙に訪れることを推奨することについて

Q 井上 航 議員(県民)

先ほど紹介した吉川市では、この夏の参議院選挙で家族と一緒に投票所を訪れた子供たちに、市のキャラクターグッズと選挙ブックを配布する取組を行うとのことです。吉川市ではこれまでにも「家族で選挙」としてスタンプラリーを行うなど、選挙や投票を身近にする取組を進めております。
実は、これらはエビデンスに基づいた選挙を身近にする取組といえるのです。総務省が平成28年に実施した18歳選挙権に関する意識調査によると、子供の頃に家族で投票へ行ったことがある人は、将来の投票参加率が行ったことがない人よりも20ポイント以上高くなるという結果が出ています。
そこで、昨日公示を迎えた参議院選挙は間に合わないとしても、来年度の県議選、県知事選などを視野に、県選挙管理委員会として県下の市町村選挙管理委員会とも連携し、家族で選挙に訪れることを広報やPRに取り入れ、推奨すべきと考えますが、いかがでしょうか。県選挙管理委員会委員長の答弁を求めます。

A 岡田昭文 選挙管理委員会委員長

投票所への入場につきましては、平成28年に公職選挙法が改正され、選挙人の他、同伴する幼児などに限られていたものが、将来の有権者への啓発などを理由として、児童、生徒その他の18歳未満の者に拡大されました。
議員お話しのとおり、総務省が実施した調査においても、子供の頃に親が行く投票について行ったことがある人は、ない人に比べ、将来の投票率が高い結果となっており、子供が親と一緒に投票所を訪れることは、主権者教育の面で良い結果をもたらすものと考えております。
県選挙管理委員会としましては、新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつではありますが、来年度の県議会議員選挙及び知事選挙を見据え、市町村選挙管理委員会とも連携し、家族で選挙に訪れることを啓発活動に取り入れるよう検討してまいります。

相鉄・東急直通線開業を活かした観光の取組について

Q 井上 航 議員(県民)

来年、令和5年3月に相鉄・東急直通線が開業予定となっております。これにより相鉄線と東急線との相互直通運転が可能となり、東京メトロ南北線を経て、埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線にもつながるほか、東横線と東京メトロ副都心線を経て東武東上線にも相互に乗り入れる広域鉄道ネットワークが形成されます。まだダイヤなどは発表されていませんが、埼玉から新横浜駅まで直通で行ける可能性が出てきたことになります。
この相鉄・東急直通線の開業は、埼玉県にとっては平成25年3月の副都心線の東横線直通運転に続く勝機であると考えます。開業までおよそ9か月となりました。観光戦略を考えるという意味では、決して時間的猶予はありません。早期の検討が必要と考えます。産業労働部長の御所見を伺います。

A 板東博之 産業労働部長

令和5年3月に予定されている相鉄新横浜線・東急新横浜線の開業に伴い、東武東上線や埼玉高速鉄道が新横浜方面へ直通運転を行う予定と聞いております。
これにより、乗り換えなしで本県に来られるエリアが拡大するほか、新横浜駅と川越駅間の所要時間が10分程度短縮される可能性があるなど、神奈川方面から本県各地へのアクセスが向上いたします。
今回の開業を、平成25年3月の東京メトロ副都心線の東横線直通運転に続く好機と捉え、県内の市町村や鉄道事業者等と連携した観光PRを行い、多くの観光客を呼び込みたいと考えております。
そこで現在、関連する鉄道事業者と、新横浜駅等における観光キャンペーンや、沿線住民向け広報誌でのPRの実施などを検討しているところでございます。
鉄道事業者だけではなく、沿線の自治体や観光協会と一緒にプロモーションに取り組み、新たな誘客につなげてまいります。
また、今年度は、神奈川県からの誘客のため、大河ドラマの主要人物である比企一族や畠山重忠ゆかりの地などを紹介する広告を神奈川新聞に掲載するほか、横浜駅などでの観光ポスターの掲示や、電車内での車内広告の掲出を行う予定でございます。
さらに、相鉄線や東急線の沿線には、横浜、川崎、湘南の3つのJ1リーグのチームがあり、埼玉スタジアムでの試合開催日には多くのサポーターが本県に来られます。
そこで、サッカー観戦以外でも埼玉に訪れていただくため、例えば試合開始前等の時間を活用し、埼玉スタジアム内の大型スクリーンや観光PRブースで、埼玉の観光や物産を紹介する取組を行います。
相鉄新横浜線・東急新横浜線の開業という好機をとらえ、観光客の増加と観光消費額の拡大を図ってまいります。