知事任期残り1年を前に、公約の進捗状況は(知事)

現時点における評価は

Q 八子朋弘 議員(県民)

8月が来ると、早いもので知事の任期も残り1年となります。5大プロジェクト、12の政策分野における具体的政策ということで、様々な公約を掲げられ、知事に就任されましたが、間もなく知事就任3年が経過をいたします。
令和元年の知事就任以来、豚コレラ、台風、そして新型コロナウイルス感染拡大と、様々な危機対応に追われ、思うような県政運営がしづらかったのではないかと推察されますが、一方で、昨年8月の記者会見におきましては、知事御自身、約8割が作成した工程表どおりに進んでおり、自己評価で点数を付けると75点との、いささか高い自己評価をされておられます。その後、半年以上が経過をいたしました。現時点における評価を知事にお伺いしたいと思います。

A 大野元裕 知事

私は令和元年8月に埼玉県知事に就任して以来、豚熱、令和元年東日本台風、そして、新型コロナウイルス感染症など、多くの危機に対処してまいりました。
正に、危機管理に追われ、自分がやりたいことよりもやらなければいけないことを優先せざるを得なかった2年10か月であったと感じております。
そのような中でも、「日本一暮らしやすい埼玉」の実現に向け、公約 129項目について、令和元年11月に発表いたしました「工程表」も踏まえ施策を進めています。
令和3年度末時点では、このうち、「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」や「埼玉版SDGs」など98項目、全体の8割弱が「工程表」どおり進んでおります。
残りの31項目につきましても、新型コロナウイルス感染症の影響により一部進捗に遅れなどが生じておりますが、それぞれ工程表に沿って施策を進めているところであり、総合的に判断をすると、概ね順調であろうかと考えているところでございます。

再Q 八子朋弘 議員(県民)

繰り返しになりますけれども、今、御答弁いただきましたが、現時点におけるですね、そうなりますと、前回は七十五点という点数を付けられておられましたが、現時点で点数を付けるとするならば、何点ということになるのでしょうか。知事に答弁を求めます。

再A 大野元裕 知事

先程申し上げましたとおり、進捗表に項目を並べて、概ね進んでいるものについては8割程度と申し上げました。
正直、自分で自分の採点をするというのは、非常に難しいところもございますけれども、その意味では、大学の点数で言うとAに満たないところだというのが前回の75点という根拠でございます。
現時点ではまだまだあと1年あるものの、気を抜かないということも含めて、75点くらいを維持しているのかな、と思っております。

第3者評価機関の評価について

Q 八子朋弘 議員(県民)

現時点における御自身の評価は今伺ったところですが、やはり自分で自分の評価をするというのはある意味では難しいと、今、知事も答弁されておられました。ややもしますと、甘い評価になってしまうかもしれません。
そこで、知事御自身が公約の進捗状況等の評価を第3者機関にお願いしてみてはと思うのですけれども、知事はどのようにお考えでしょうか。

A 大野元裕 知事

御提案の、第3者評価機関による公約の進捗状況等の評価につきましては、公約の評価基準をどのように設定するのか、公平・中立な評価が担保されるのかなどの課題もあり、もちろん自分で評価しますと、正直な話それが正当なのか甘いのか辛いのかも含めて、分かりかねるところもございます。
そういったことも含めて、私の選挙公約のほぼ全てについては、今年度から県政運営の基礎となる埼玉県の5か年計画に反映をさせていただいたところです。
この5か年計画で定められた施策を着実に実施するとともに、進捗管理を行い、目標に対する現状値などの情報を公開することによって、県民の皆様が判断できるよう透明性を高めております。
このように数値目標の設定を定め、県全体の施策の中で位置付けているため、現時点においては、私自ら第3者評価機関に公約という形で進捗状況の評価をお願いするということは考えていないところでございます。

重点公約について

Q 八子朋弘 議員(県民)

この質問の最後に、残り約1年となるわけですけれども、この任期中、特に力を入れていきたい公約、若しくは政策につきまして、知事に御見解を伺いたいと思います。

A 大野元裕 知事

私の公約のほとんどは、先ほど「埼玉県5か年計画」に盛り込ませていただいたというお話をし、またこの5か年計画につきましては、議会でも御議論いただきました。
したがって、私としては、まずはこの「埼玉県5か年計画」に掲げた各施策を、計画で終わらせることなく、真摯に実現していくこと、これが最も大切だと考えているところでございます。
御質問でございますので、あえて申し上げれば、その中でも、本県の最大の課題は、超少子高齢社会が待ったなしでやってくるというところだと思っております。
そこで、コンパクト、スマート、レジリエントの要素を兼ね備えたまちづくりに取り組む「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」は、これは全てがこの残りの1年や、あるいは1期で完成するものではありませんが、それをしっかりと進展させるということが大切だと思っています。
また、ポストコロナを見据えて、強い埼玉県の経済を構築する必要が現時点では強く求められていると考えます。
そこで、コロナ禍を奇貨として進んだデジタル化を更に推し進め、デジタル人材の育成や行政手続きのワンスオンリー・ワンストップの実現など社会全体のDXの推進に取り組んでまいります。
さらには、女性活躍の推進、LGBTQの支援など、誰もが輝く、誰一人取り残されない社会を目指す施策についても、力を入れたいと思います。
こうした施策に重点的に取り組むことによって、あらゆる人に居場所があり、活躍でき、安心して暮らせる社会が実現するものと考えております。

県立中学校設置に向けた取組について(教育長)

具体的な取組について

Q 八子朋弘 議員(県民)

今年の2月定例会の文教委員会におきまして、県立中学校設置に係る附帯決議が見直され、埼玉県でも伊奈学園中学に続く県立中学校設置に向けた環境が整ったと理解をしております。
県立の場合、私が申し上げるまでもなく、私立中学に比べて経済的なことを気にすることなく進学ができる。また、中高一貫教育校では高校受験がないため、6年間伸び伸びと継続して学ぶことができること。高校進学のタイミングで学習カリキュラムが分断されることがないため、高校の内容を一部中学校で指導できるなど、時間的にも余裕を持って大学受験の勉強に取り組むことができること。特色ある学習プログラムを展開できること等、メリットが多くあるため、県民の期待も大きいと思われます。
一方、高校受験がないために、いわゆる中だるみしてしまうといったデメリットも指摘されてはおりますが、総合的に判断してメリットの方が大きいと考えられるのではないでしょうか。
そこで、県として設置に向けてどのように取り組んでいくのか、スケジュールも含めた考え方を教育長にお伺いいたします。

A 高田直芳 教育長

県立高校におきましては、教育の本質を追求しつつ、社会の変化に対応し、時代の要請に応えられる創造性豊かな人材を育成するため、より一層の特色化や活性化を図っていく必要があると考えております。
また、もとより公教育は、「誰一人取り残さない」という視点を大事にしながら子供たち一人ひとりに寄り添いながら、きめ細かく支援していくことが大きな役割と認識しています。
そのため、子供たちの多様なニーズに応え、不登校など様々な課題のある子供たちに対する公教育の充実や中高一貫などの特色ある教育など、学校選択の幅を広げていくことは極めて重要であると考えます。
中高一貫教育は、生徒や保護者の進路選択の幅を広げるとともに、6年間を見通した教育により中等教育の一層の多様化の推進や生徒の個に応じた教育の実現に寄与するものとして導入されました。
県といたしましては、公教育全般の充実を図っていく中で、この中高一貫教育につきましても検討していく必要があるものと考えております。

中等教育学校と併設型中高一貫教育校について

Q 八子朋弘 議員(県民)

中高一貫教育校には、主に中等教育学校と併設型中高一貫教育校があります。中等教育学校は、中高6年間の一貫教育を提供し、高校での生徒募集はありません。一方、併設型はその名のとおり、中学と高校が同じ敷地内や近隣エリアに併設されている学校で、高校から新たに入学してくる生徒もいます。どちらも試験なしで高校へ進学できるという特徴がありますけれども、現在、県内唯一の県立中学校である伊奈学園中は、併設型になるかと思います。
そこで伺います。県としては、現時点でですね、検討ということですけれども、どのようなイメージを持っておられるのか、教育長にお伺いいたします。

A 高田直芳 教育長

中高一貫教育校のうち中等教育学校は、高校から入学する生徒はいないため、一貫したカリキュラムの編成のもと、6年間継続した指導が可能であるなどの特色がございます。
一方、併設型中高一貫教育校は、高校から入学することも可能であることから、高校進学時には新たな人間関係も築くことができるといった特色がございます。
全国の公立中高一貫教育校の設置状況は、現在は、併設型の方が、中等教育学校より、約3倍程度多く設置されている状況でございますが、どのような設置形態が本県の公教育の充実につながるのかという視点から研究してまいります。

特色あるプログラムについて

Q 八子朋弘 議員(県民)

近隣の都県の事例を見ますと、中高一貫教育校に期待される点は六年後の進学実績、つまり学業に偏りがちであると思います。もちろん、学業も大事な要素ではありますが、スポーツや文化活動等、学業以外の分野についても6年間通じて学べる機会、正に特色あるプログラムを提供する意義があるのではないかと思いますが、この件につきましても教育長の考えを伺いたいと思います。

A 高田直芳 教育長

県立伊奈学園中学校では、これまでも、企業等と連携した社会につながる学びや、卒業生との交流を通じたキャリア形成など、特色ある教育活動が行われております。
生徒及び保護者に行ったアンケートでは、学校を選んだ理由として、グローバル教育や探究活動などの充実した教育内容や部活動もあげられています。
他県の中高一貫教育校でも、国際理解教育やサイエンス教育に力を入れる学校、部活動やボランティア活動を中高で一緒に取り組む学校など、特色あるプログラムを行っている学校がございます。
学業だけでなく、スポーツや文化活動等、特色あるプログラムを提供することは、生徒の多彩で豊かな学びにつながり、意義があることと考えます。

一時保護所をめぐる課題について(福祉部長)

課題への対応について

Q 八子朋弘 議員(県民)

虐待をはじめとする様々な事情によりまして、一時保護所に保護される子供たちが存在します。そんな子供たちにとって、一時保護所は安心でき、自分が大切にされたと感じられる場になっているのでしょうか。このテーマについては、ちょうど1年前の6月議会で無所属県民会議の岡村議員も取り上げておりますけれども、私からも改めて取り上げたいと思います。
県が設置している一時保護所は現在4か所あり、令和2年度の入所率は96.4%、944人の子供たちを保護しましたが、相変わらず満員に近い状態であります。個室がない、私物の所有が制限されている、学校に通えない等々、子供の権利保障が十分ではないのではないかといった状況があり、また、職員の皆さんも多忙により研修に参加しづらい、障害のあるお子さんへの対応が十分にできていないといった実態がいわれております。一時保護の性格上、やむを得ない面もありますが、可能な限り子供たちにとって安心して心安らかに生活できる場にしていくべきではないかと思います。
これら一時保護所の課題に対し、現在どのように対応しておられるのか、福祉部長に答弁を求めます。

A 金子直史 福祉部長

一時保護は児童の最善の利益を守るために行われるものであり、一時保護所が児童にとって安心して過ごせる場所である必要があります。
そのため、県では、一時保護所入所時に「一時保護所のしおり」を配布し、児童の権利について丁寧に説明しています。
また、各一時保護所に意見箱を設け、児童が自由に意見を言えるようになっているほか、様々な機会をとらえ、職員が児童から直接意見を聴いています。
入所率が高いという課題に対しては、令和5年度開所予定の熊谷児童相談所に新たに一時保護所を整備するとともに、より多く個室化することでプライバシーにも配慮してまいります。
さらに、改正児童福祉法では、第三者が児童の声を汲み取る機会を確保することが求められているため、今年度新たに、一部の児童相談所に弁護士や社会福祉士を派遣して児童の意見を聴く取組を開始いたします。
今後も、一時保護所がより安心して、心安らかに生活できる場になるよう取り組んでまいります。

第3者評価機関について

Q 八子朋弘 議員(県民)

埼玉県では、一時保護児童の権利擁護と施設運営の質の向上を図るため、第3者評価を実施しており、日々改善に努めております。そのこと自体は評価できるものでありますが、それではその第3者評価、果たして適切な評価ができているのでしょうか。
第3者評価の一番の課題として、専門性の低さが指摘をされております。県のホームページで見る限り、これまで県内の一時保護所の評価をしてきた機関は3つの株式会社でありますけれども、どちらかというと介護や福祉を専門にしてきた業者ではないかと思います。それら機関は一時保護所の業務に精通した機関だったのでしょうか、福祉部長にお伺いいたします。

A 金子直史 福祉部長

本県では平成30年度から児童相談所一時保護所の第3者評価を開始し、県内4か所の一時保護所で、それぞれ2年に1回評価を実施しています。
この第3者評価では、一時保護の環境及び体制整備、子どもへのケア・アセスメントなど5項目の視点について、実地調査や児童へのアンケート調査などに基づき評価がされております。
評価機関については、埼玉県福祉サービスの第3者評価機関として県が認証した機関の中から、児童福祉分野に対応可能な機関を選定しております。
これまで評価をお願いしてきた3つの機関は、議員お話しのとおり、一時保護所の評価を専門とはしておりませんが、児童福祉分野の評価実績が一番多く、適切に評価をいただいているものと考えております。

再Q 八子朋弘 議員(県民)

厚生労働省が示している第3者評価のガイドラインにのっとって評価をしているんだと思いますけれども、県のホームページの報告書を見る限りでは、職員ですとか入所児童に対するヒアリングですとかインタビューをしているのか疑問に思いました。特に、入所児童に対するヒアリングは、子供のケアの心得がある評価委員が行う必要があるなど、簡単なものではないと言われております。
そういった意味では、これまで評価をいただいた機関については、果たして本当に十分であったのかなと思うのですけれども、再度、福祉部長にお伺いしたいと思います。

再A 金子直史 福祉部長

児童相談所の実地調査において、職員へのヒアリングは実施しております。
また、児童へのヒアリングにつきましては、児童への負担や意見の出しやすさを考慮して、直接聞き取る方法ではなく、アンケート調査により意見を聴取しております。
さらに、職員が子どもにどのように接しているかについても、実際に確認をしております。
こうした点を踏まえて、これまで評価をお願いしてきた機関は、適切に評価をいただいているものと考えております。

業務に精通した機関の評価を受けるべきではないか

Q 八子朋弘 議員(県民)

業務に精通した機関の評価を受けるべきではないかといった観点から質問させていただきますが、昨年、民間による児童相談所専門の、つまり児童相談所や一時保護所の業務に精通した第3者機関が発足したと聞いております。今後はそのような機関に評価を依頼して、より質の高い第3者評価を受けることによって、これまで以上に目的を達成する努力をしていただきたいと思うわけですけれども、福祉部長に答弁を求めます。

A 金子直史 福祉部長

議員お話しの児童相談所専門の民間第3者評価機関が昨年度設立され、今年から本格的に活動を始めるというふうに聞いております。
こうした児童相談所や一時保護所の業務に精通した評価機関を含め、より質の高い第3者評価が受けられるよう評価機関の選定を行ってまいります。

公立中学校の運動部活動改革について(教育長)

県の対応について

Q 八子朋弘 議員(県民)

少子化で危機に陥っている部活動の存続、土日や祝日も指導に携わっている顧問教員などの負担軽減等と公立中学校の運動部活動を取り巻く課題解決のため、スポーツ庁の有識者会議は休日の運動部活動指導をスポーツ団体などへ委ねる地域移行等の提言をまとめ、令和4年6月、つまり今月にスポーツ庁長官に提出をいたしました。
それによりますと、2023年度、つまり来年度から2025年度を改革集中期間と位置付け、2025年度末までに全国で達成する目標を掲げております。また、各都道府県が推進計画を策定し、それに基づいて市区町村も計画を立てるような制度となっており、更には都道府県が進捗状況を調査し、課題のある市区町村に対して指導することも想定をしています。
有識者座長の日本学校体育研究連合会の友添秀則会長は、明治時代以来の部活動の抜本的な変革、30年後、50年後のスポーツ振興に大きな意味があると語っていますが、仮に今回の改革がうまくいけば、部活動の存続や教員の負担軽減といった様々な課題の解決のみならず、将来の日本のスポーツにとって大きなプラスになるかもしれません。
さて、来年度から改革集中期間がスタートするということで、あまり時間がない中、県としてどのように対応をしていくのでしょうか、教育長にお伺いいたします。

A 高田直芳 教育長 

県では、運動部活動の地域移行に向けて、令和3年度は白岡市で、令和4年度は更に戸田市を加え実践研究を行っております。
この実践研究は、地域移行した場合の活動の場や指導者の確保、あるいは保護者の費用負担などについて地域の中で話し合い、実際に活動につなげていくものであり、成果や課題については、実践報告会を通じて、その他の市町村にも情報提供を行っているところです。
スポーツ庁の有識者会議の提言を受け、国においては今年度中に地域移行にかかるビジョンを示すとしております。
県といたしましては、国の動向を注視しつつ、今後、庁内に「部活動地域移行推進委員会」を立ち上げ、他県の取組事例に関する情報収集や市町村の取組促進に資する資料の作成を進めるなど部活動の円滑な地域移行に向けて取り組んでまいります。

考えられる課題について

Q 八子朋弘 議員(県民)

今、白岡市ですとか戸田市で先行して研究をしているということですけれども、この提言を見ますと、地域移行をする際に運営や指導の担い手としてスポーツ協会ですとか、総合型の地域スポーツクラブ、スポーツ少年団、プロチーム、大学等を想定しているようです。また、参加する生徒は、先ほど御答弁にもございましたけれども、スポーツ団体等に会費を支払うと。また、希望する教員は、移行先でも指導ができるようにする等々、様々な方法というのが示されているわけですけれども、県としてそれらいろいろな案に対応していく場合に、どんな課題が考えられるのか、実際に先行して2つの自治体で研究していますから、幾つかの課題は分かっていると思いますけれども、教育長に伺いたいと思います。

A 高田直芳 教育長 

運動部活動の地域移行について、スポーツ庁の有識者会議の提言には様々な方法の案が示されております。
これらの方法には、例えば、地域によって指導の担い手となる実施団体や指導者の確保が困難な場合も想定されることや、実際に実施団体等が確保できた場合でも、休日に指導を行う実施団体等の指導者と平日に指導を行う教員との連携方策などの課題が考えられます。
また、保護者の費用負担の在り方、更には教職員の兼業制度の整備など多くの課題があると考えております。

生徒の立場に立って改革を進めるべき

Q 八子朋弘 議員(県民)

生徒の立場に立って改革を進めるべきではないかという観点で質問しますが、埼玉県を見渡してみますとマンモス校が存在する地域もあれば、小規模校が存在する地域もあり、同じ県内でも事情は異なっております。先生方の働き方改革も大切ですが、最も大事なことは部活動をする生徒にとってプラスになるかどうかだと思います。その視点を常に忘れずに改革に取り組んでいただきたいと思いますけれども、教育長の所見をお伺いします。

A 高田直芳 教育長 

部活動は、生徒の心身の健全な育成にとって、大変重要な教育活動の一つでございます。
こうした考え方を基本として、生徒にとってもより良い部活動となるような地域移行ができることが望ましいと考えております。
県といたしましては、部活動に参加する生徒にプラスとなるよう、様々な課題の解決に向け、市町村と一体となって検討を進め、部活動の地域移行が円滑に進むよう努めてまいります。

教員の増員について

Q 八子朋弘 議員(県民)

この質問の最後に、今回の改革を否定するものではないんですけれども、質問するに当たりまして私なりにいろいろと考えました。考えた結果、この改革の目的の一つである先生方の働き方改革、これについては究極的には教員の増員が一番すっきりする解決策ではないのかなと思うわけですけれども、この点について教育長のお考えをお伺いしたいと思います。

A 高田直芳 教育長 

近年の学校を取り巻く環境が多様化、複雑化する中、学校の担う役割が拡大し、教員への負担が大きくなっており、学校における働き方改革は解決しなければならない最重要課題の一つと認識しております。
議員お話しの教員の増員につきましては、例えば、小学校における35人学級の拡大や理科や英語を専門に教える教員の加配など、国による定数改善によって学級担任の負担は改善されております。
県といたしましては、こうした状況を踏まえ、今後とも、あらゆる機会を捉えて教員定数の改善を国に強く要望するとともに、働き方改革の推進に粘り強く取り組んでまいります。

民生委員のなり手確保について(福祉部長)

若い世代のなり手確保について

Q 八子朋弘 議員(県民)

独り暮らしの高齢者らの自宅を訪問したり、相談に応じたりする民生委員につきましては、多様化する社会において活動内容が増加、複雑化しており、なり手確保、担い手の高齢化等の課題が問題となっております。さきの2月議会における一般質問でも、荒木議員がこの問題を取り上げておられましたが、私からも改めて伺いたいと思います。
埼玉県では、平成25年度より国が年齢要件としている75歳未満を上回る独自基準を設け、なり手の確保に努めておりますが、改正の度に充足率がじりじりと低下をしています。3年前、直近の一斉改選時点の充足率は政令市、中核市を除いて94.6%、約400人足りない状態となっており、残念ながらなり手不足の解消には至っておらず、むしろ不足傾向は改選のたびに拡大をしています。
また、75歳以上の民生委員さんは全体の5.8%を占めており、こちらについても改選のたびにその比重は拡大をしています。高齢化していることは否めません。もちろん、一律に年齢で活動を制限する必要はなく、75歳以上でも健康でしっかり職責を担うことができる方はたくさんおられ、そのような方には御無理のない範囲で仕事をお願いすれば良いと思いますが、民生委員の仕事内容が増加、複雑化している昨今、できるだけ若い方に担っていただけるに越したことはないと思います。
県として、可能な限り若い世代のなり手確保に取り組むべきではないかと思いますが、福祉部長にお伺いいたします。

A 金子直史 福祉部長

地域住民にとって最も身近な相談役である民生委員には、経験豊富な年代の方だけでなく、長年にわたり活躍していただける若い世代の方々にも担っていただくことが必要です。
民生委員活動は、高齢者の見守り訪問や困りごと相談をはじめ、民生委員地区協議会での情報交換なども平日の昼間に行われることが多く、仕事や子育てなどがある人にとってハードルが高いものになりがちです。
そこで、夜間や休日に地区協議会の打合せを実施するなど参加しやすい環境づくりに努めている地区もあります。
また、活動の負担を軽減するため、ICTの活用や民生委員をサポートする協力ボランティア制度を導入して、高齢者の見守り訪問への協力や学校行事への参加などの業務をボランティアが担っている地区もございます。
県では、こうした優良な取組を、研修などを通じて市町村に提供して、時間的制約があっても民生委員活動に取り組める環境づくりを進めることで、若い世代のなり手の確保に積極的に取り組んでまいります。

活動実態把握調査のスケジュールについて

Q 八子朋弘 議員(県民)

今年の12月に行われる3年に一度の改選を迎えるに当たり、検討、対策を急ぐ必要があると考えます。
荒木議員の質問の際、部長より民生委員活動の実態と民生委員がどのような点でやりがいや難しさを感じているかなどを把握し、分析することは、なり手不足の解消に向け大変重要なことであると考えている。市町村や県民生委員・児童委員協議会、民生委員と関係の強い県社会福祉協議会などと協力して、効果的な民生委員活動の実態把握方法や、その活用方策について検討を進めていくといった答弁がありましたが、まずは実態を把握して仕事の内容を精査して、結果として負担を減らしていくことは重要ではないかと思います。
できるだけ早く実態調査を行うべきと考えますが、そのスケジュールについて福祉部長にお伺いしたいと思います。

A 金子直史 福祉部長

民生委員活動の実態を把握することは、なり手確保の対策を講じる上で大変重要です。
そこで、まずは、各市町村を対象に民生委員活動の内容や範囲、好事例や課題などについて調査をしたいと考えており、現在、準備を進めております。
また、民生委員の方々から直接、どのような点で活動にやりがいや難しさを感じているかなど、生の声を伺って分析するため、県内全ての民生委員の方々に対して、アンケート調査を実施したいと考えております。
実施時期につきましては、協力して調査を行う県民生委員・児童委員協議会などに意見を伺ったところ、一斉改選の年は関係者が極めて多忙であるため、調査に協力してもらうことは難しいとのことです。
また、新たに民生委員になった方が、半年程度は活動に携わった後の方が、課題などを整理しやすいのではないかとの意見もいただいています。これらを踏まえ、民生委員へのアンケート調査は来年の5月頃に実施したいと考えております。

なり手確保のための予算について

Q 八子朋弘 議員(県民)

岐阜県では、民生委員なり手確保対策事業費といったなり手確保に特化した予算を確保して、DVDやパンフレットを作成して積極的に活用し、なり手確保に努めているそうです。現役の民生委員さんからも評価をいただいているようで、まずは広く民生委員という仕事を知っていただくという意味で効果があるようでございます。そのことが、いずれはなり手不足の解消につながっていくものと思われます。
埼玉県でも参考にすべきではないでしょうか、福祉部長にお伺いいたします。

A 金子直史 福祉部長

民生委員のなり手を確保していくためには、まずは民生委員の仕事を広く知っていただくことは大変重要なことだと思います。
県では、これまで彩の国だよりにおける広報を始め、優良事例を紹介したマニュアルの配布や民生委員向けのDVD教材の配布などを行ってまいりました。
議員お話しの、岐阜県では、こうした取組のほか、5月12日の民生委員・児童委員の日に合わせた新聞広告などによりPRに力を入れていると伺っております。
そのほか、栃木県では、地域住民を対象として、民生委員による講義とともに実際に民生委員活動に同行する民生委員1日体験といった取組を行っているところもございます。
このような様々な事例を参考にして、市町村や関係団体とも連携をしながら民生委員活動に対する県民の方々への理解をより深めることで、なり手不足の解消につなげてまいります。

不登校支援からひきこもり支援について

継続的な支援について

高校に進学したケースの支援は(教育長)

Q 八子朋弘 議員(県民)

昨日、岡村議員もひきこもり支援を取り上げておりましたけれども、私からも違った角度から伺いたいと思います。
小学校、中学校で不登校状態になってしまった生徒は、その後、高校等への進学後も不登校、そして、ひきこもり状態に陥ってしまうケースが多いと言われております。滋賀県野洲市が令和元年度に実施したひきこもり支援についての調査報告書によりますと、ひきこもっている人のうち不登校歴がある者は、明らかになっているものだけでも約20%とという結果が出ております。つまり、不登校状態からひきこもりにならないよう支援することが、ひきこもりを減らしていく一つのポイントであり、野洲市ではそのような観点から中学校の卒業後も支援が継続できるような体制を構築しております。
不登校支援とひきこもり支援を別々に考えるのではなく、継続的に支援していく体制が必要であると考えます。そこで、質問をいたします。
アといたしまして、高校に進学したケースの支援はということで伺いたいんですが、中学から高校へ進学するケースではきちんと高校に情報提供をし、支援を継続していくべきと考えますけれども、教育長に答弁を求めたいと思います。

A 高田直芳 教育長

高校に進学しなかったケースの支援は(保健医療部長)

Q 八子朋弘 議員(県民)

高校等へ進学しないケースでは、地域による継続的な支援が必要と考えますが、果たして現在どのような支援が行われているのかを保健医療部長にお伺いしたいと思います。

A 山﨑達也 保健医療部長

こうしたケースについては、市町村の担当部署が中学からの情報を引継ぎ、支援に繋げていく必要があるというふうに考えています。
市町村においては、地域の実情に応じ、民間支援団体や市町村社会福祉協議会など様々な主体と連携し、ひきこもり支援に取り組んでいます。
県は、保護者の方などからの相談や、市町村からの求めに応じ、保健所や埼玉県ひきこもり相談サポートセンターなどにおいて専門性の高い相談に対応することにより、保護者の方や市町村を支援しているところでございます。校に進学した場合には、こうした取組を通じて生徒一人ひとりに対して継続的に支援してまいります。

児童生徒理解・支援シートについて(教育長)

Q 八子朋弘 議員(県民)

先ほど教育長から答弁いただきましたけれども、中学から高校に進学した場合の支援の方法について、更にお伺いしたいと思います。不登校等の課題がある生徒が高校に進学する場合、中学から高校へは具体的にどのような情報提供がなされているのでしょうか。
令和元年10月、文部科学省は初等中等教育局長名で各都道府県教育長や各都道府県知事宛てに「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知を出しております。その通知を見てみますと、学校等の取組の充実として、不登校児童生徒への効果的な支援策として児童生徒理解・支援シートを活用した組織的・計画的支援が示されており、小学校、中学校、高等学校間の引継ぎが有効であるとのことであります。
そこで教育長に伺いたいのですが、本県ではこの児童生徒理解・支援シートが有効に活用されているのでしょうか、答弁を求めます。

A 高田直芳 教育長

議員お話しのとおり、文部科学省は、支援を必要とする児童生徒の状況を的確に把握するとともに、関係機関で情報共有し、組織的・計画的に支援するための「児童生徒理解・支援シート」の参考様式を示しております。
各市町村においては、この様式を参考にして、不登校傾向のある児童生徒の現在の状況や個別の支援計画等を記載した独自のシートを作成し、児童生徒一人ひとりに合った支援に活用しております。
他方、中学校から高校に引き継ぐ場合には、より詳細な情報を適切に伝えるため直接口頭で行うことも多く、シートの活用が十分になされていない場合もあると認識しております。
この「児童生徒理解・支援シート」の進学先への引継ぎは、不登校児童生徒への継続的な支援の観点から重要と考えられることから、小中学校や高校の生徒指導担当教員の会議等において改めて周知してまいります。

再Q 八子朋弘 議員(県民)

さきの通知には、学校間の引継ぎについて特に設置者が異なる中学校から高校、若しくは公立学校から私立学校等で引継ぎを行うことは、個人情報保護の配慮等から消極的になることが考えられますが、引継ぎを適切に行うことは児童生徒への支援につながり、学校だけで抱え込むことを防ぐことにもつながるとあります。また、単にシートの写しを渡すだけではなくて、情報交換の機会を設けるなど、責任を持って引継ぎを行うごとが重要であるとのことであります。
先ほど答弁もございましたけれども、正にそのとおりだと思いますので、いま一度しっかりとこのシートを活用していただくよう徹底していただきたいのですが、改めて教育長にお伺いしたいと思います。

再A 高田直芳 教育長

議員御指摘のとおり、「児童生徒理解・支援シート」を進学先へ責任を持って引き継ぐことは、不登校児童生徒への継続的な支援のためには非常に重要なことと考えております。
今後も引き続き、各学校に対して、本人や保護者の方に十分御理解をいただいた上で、学校種を超えた、中学校から高校へ、あるいは公立の学校から私立の学校へ、ということもございますので、学校種を超えた情報共有をすることの重要性を周知いたしまして、「児童生徒理解・支援シート」の活用を徹底してまいります。

教育と福祉が連携した滋賀県の取組について(教育長)

Q 八子朋弘 議員(県民)

滋賀県では、2021年4月より児童生徒の健全育成に係る県と市町の連携による取組をスタートしています。不登校の児童生徒の中には、ひきこもりとなるケースや背景に発達障害があるケースもあることから、ひきこもりの防止策として、また、発達支援上の切れ目のない支援として、学校と関係機関、特に地域支援機関をはじめとする福祉部局との情報共有や連携した支援が求められているとしています。
滋賀県では、これまでも市町と県立学校との間において必要な連携は一定行われてきたところではありますが、地域や学校によって取組に差があることから、仕組みとして支援を必要とする児童生徒の情報を共有し、連携した支援を行う体制を整える必要があると判断しました。これは県立学校へ進学した児童生徒のうち、特別な支援を必要とする者が切れ目のない支援を受けられるよう、市町、市町の教育委員会、そして県、県教育委員会の四者で協定を締結し、県と市町、教育委員会と福祉部局の枠を越えて支援を必要とする児童生徒の情報を共有した重層的な支援を行う取組であります。
この協定によりまして、不登校や発達障害、退学が心配される者等の支援の対象に、必要に応じて関係機関の担当者によるケース会議を開催するなど情報共有を行うとともに、関係機関で連携した対応策の検討及び支援を行っております。
先ほど児童生徒理解・支援シートの活用を求めましたが、併せて滋賀県のような体制を構築すべきと考えますけれども、教育長の考えをお伺いいたします。

A 高田直芳 教育長

不登校の背景に発達障害などの事情がある児童生徒の支援に当たっては、学校と各地域の関係機関が連携しながら、組織的に支援を行っていくことが重要と考えます。
その際、児童生徒の支援に当たり、学校と各地域の医療・福祉等の関係機関が組織の枠を超えて一定の個人情報を共有する必要も生じます。
議員お話しの滋賀県の取組は、県立学校へ進学した特別な支援を必要とする生徒が切れ目のない支援を受けられるよう、関係機関の間で当該生徒の情報を共有するために行ったものと聞いております。
県といたしましては、滋賀県の取組について、具体的な情報共有の内容を把握するとともに、地元市町村の福祉部局、医療機関、特別支援学校などとの緊密な連携のもと、不登校の生徒一人ひとりに寄り添いながら適切な支援に努めてまいります。

子どもの運動機会の確保について(教育長)

全国トップクラスの体力について

Q 八子朋弘 議員(県民)

2月の定例会におきまして田並議員も代表質問で取り上げておられましたが、コロナ禍の下、子どもの体力低下が指摘をされています。埼玉県の子どもたちは、昨年度の、いわゆる全力体力テストの結果を見ると、調査対象の小学5年の男子が全国5位、女子が7位、中学2年の男子が8位、女子が2位と全国的には上位に位置しており、この傾向は例年維持されているようですが、県としてこの全国トップクラスの体力をキープしている理由をどのように捉えておられるのでしょうか、教育長に伺います。

A 高田直芳 教育長

国のいわゆる全国体力調査において、本県の児童生徒が上位となっている理由としては、長年にわたり継続的に実施してきた体育指導における取組による成果と捉えております。
具体的には、毎年、県内公立学校の全児童生徒を対象に「新体力テスト」を実施し、その結果をもとに、児童生徒一人ひとりの体力達成目標などを示した「体力プロフィールシート」を作成しています。
各学校では、このシートを活用した授業や栄養・睡眠などの基本的な生活習慣の改善を計画的に行うなど、他県にはあまり例のない取り組みを実施しています。
また、毎年度、小中学校5校程度を対象に、体力課題解決研究校を指定し、それらの取組を研究発表会や報告書の配布等により、県内公立学校に広く発信しています。
今後とも、各市町村や県立学校と連携を図り、引き続き、体育指導の工夫や運動機会の確保を図り、子供たちの体力の維持、向上に努めてまいります。

低調なボール投げについて

Q 八子朋弘 議員(県民)

全国体力テストでは、握力、上体起こし、50メーター走、ボール投げといった実技テストが8種目行われております。先ほど述べたように、埼玉県は8種目の合計順位は全国上位を占めておりますが、なぜか小学5年のボール投げだけを見ると、男女共に例年全国平均を大きく下回っています。しかも、その順位は30位代後半から40位代であり、下から数えたほうが早い状況です。
なぜ、ほかの7種目は全国平均を上回っているのに、ボール投げだけはこのような結果になるのでしょうか。正確には、握力も全国平均を下回る年もありますけれども、ボール投げの結果が顕著でありますので、ボール投げのこの傾向につきまして、県としてその要因をどのように捉えているのか、教育長にお伺いいたします。

A 高田直芳 教育長

全国体力調査における本県のボール投げの結果では、中学校2年生は男女ともに全国平均を上回っているのに対して、小学校5年生については男女ともに全国平均を下回る状況が続いております。
学識経験者などで構成した埼玉県体力向上推進委員会では、ボールを投げる機会の減少により、投げる技能が身に付いていない児童が多いことや学校以外で体を動かす機会自体が減っていることなどが指摘されています。
また、全国のボール投げの状況を見ると、東京、千葉、神奈川、大阪、愛知、兵庫などのいわゆる大都市圏では順位が30位台後半から40位台に集中していることから、本県を含め都市部においては物を投げるという場や機会が少ないのではないかと考えられます。
こうしたことから、児童生徒の運動環境の変化とともに、ボールを投げる機会の減少、正しいボールの投げ方が小学生の段階では身に付いていないことなどが要因であると捉えております。

ボール投げ能力向上のための具体的な取組について

Q 八子朋弘 議員(県民)

ボール投げが全国平均を上回るようになれば、全国1位も現実なものになってくるのではないでしょうか。全国体力テストの調査報告書には、取組事例として成果を上げている学校の取組が紹介されています。そちらを見ますと、ボール投げについては休み時間に様々なボールを貸し出したり、外部指導者にボール投げの指導をいただいている事例が紹介されております。
なお、投げる力につきましては、平成30年9月議会において清水議員が全国平均を常に下回るボール投げの能力向上についてということで質問をしておりまして、当時の教育長は、ボール投げが低調である原因については明確な原因がつかめておりませんとしており、今後どのように取り組んでいくかについては、ボール投げ能力の向上については平成28年度の全国調査の報告書の中で、1つの動作や種目に限定することなく、複合した多様な運動の実施が効果的であることが推察されるとされております。そこで、本県でも平成29年度からボール投げ能力の向上のためにも、児童生徒一人ひとりの得て不得手に応じた指導を行い、総合的な体力の向上に取り組んでおります。今後は、引き続き投げる動作も含めた多様な運動に取り組み、総合的な体力の向上を図る中でボール投げ能力が高まるよう努めてまいりますと、そのように答弁をしておられました。
それから4年が経過をしましたけれども、残念ながら成果が出ているとは言えない状況です。先ほどちょっと答弁もございましたけれども、4年前のような抽象的な答弁でなくて、より具体的な答弁が求められると思うわけですが、ボール投げ、つまり投げる力を付けさせるために、県として今後どのように取組を進めていくお考えなのか、改めて教育長に伺いたいと思います。

A 高田直芳 教育長

小学生のボールを投げる能力を向上させるためには、教員がボール投げに関する正しい指導法を身に付けることが必要であると考えております。
そのため、令和2年度に埼玉県ソフトボール協会と川口市立里小学校の協力のもとに作成した、投力向上のための動画を県ホームページに掲載し、県内の教職員がいつでも活用できるようにいたしました。
また、毎年、6月に実施している小学校体育実技指導者講習会では、西武ライオンズアカデミーに講師を依頼して、正しいボールの投げ方やボールを使った遊び方等に関する講習を実施しています。
現在、県内全ての学校に配布している体育指導資料には、投力向上に向けた指導内容を掲載しており、今後、更に内容の充実を図り、各学校が積極的に活用できるよう周知してまいります。
今後も、これらの取組の効果を検証するとともに、児童生徒のボールを投げる能力を一層向上するための方策を研究するなど、総合的な体力の向上に努めてまいります。

地元問題について

上南畑産業団地について(公営企業管理者)

進捗状況と今後の見通しについて

Q 八子朋弘 議員(県民)

現在、企業局が富士見市内で進めております最も大きなプロジェクト、上南畑産業団地建設の現在の進捗状況と今後の見通しについて、公営企業管理者にお伺いしたいと思います。

A 北島通次 公営企業管理者

富士見上南畑地区産業団地は、富士見市内の国道254号バイパス沿線において、面積約19ヘクタールの産業団地を、総事業費124億円で整備をするものでございます。
現在の進捗状況でございますが、これまでに99.2パーセントの用地を取得しており、完了に向けて交渉を継続しているところです。
また、造成工事着手に向け、地元富士見市と協議をしながら、道路や調整池などの実施設計についても並行して行っております。
今後の見通しでございますが、まずは、用地取得を完了させるとともに、地元の皆様のご理解をいただきながら、造成工事や立地企業の募集に向けた準備を順次進めてまいります。

富士見市と進出企業との防災や環境分野における協定等について

Q 八子朋弘 議員(県民)

富士見市では将来、進出した企業と防災や環境分野等について協定を締結したり、取組を求めることにより雇用や税収アップのみならず、街の魅力を高めていきたいとの思いがあります。企業局として、富士見市の取組を後押ししていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。公営企業管理者の答弁を求めます。

A 北島通次 公営企業管理者

企業局では、産業集積による地域経済の発展や新たな雇用の創出など、地域の活性化に貢献することを目的として、地元市町村と連携し、共同で産業団地を整備しております。
また、県のSDGs施策や、働き方改革施策などを推進する、「持続可能な社会」の実現に貢献する整備を行うことで、産業団地の魅力向上に努めております。
富士見上南畑地区産業団地につきましても、共同事業者である富士見市から、環境分野としてゼロカーボンシティの実現に向けた取り組みや、防災分野における洪水対策の向上などのご要望をいただいており、進出企業の協力が不可欠と感じております。
企業局といたしましては、企業の選定段階から、協定の締結や取り組みを働きかけることで、富士見市をしっかりと後押ししてまいります。

国道254号バイパスについて(県土整備部長)

和光富士見バイパスの進捗状況と今後の見通しについて

Q 八子朋弘 議員(県民)

国道254号和光富士見バイパスの国道463号から県道さいたま東村山線までの区間については、現在、地権者との交渉をはじめ、部分開通に向けて鋭意努力をしていただいているかと思いますが、富士見市では国道463号との立体交差の橋桁が架かって以来、なかなか開通に至っていないことから、多くの市民の皆様より工事はどうなっているのかと御質問をいただきます。
そこで、この区間の現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いしたいと思います。

A 北田健夫 県土整備部長

国道254号和光富士見バイパスは、和光市内の国道298号から富士見市内の国道463号までを結ぶ延長約6.9キロメートルの県内道路網の骨格を形成する幹線道路です。
これまでに、国道298号から県道朝霞蕨線までの約2.6キロメートル区間が開通しており、現在は、県道さいたま東村山線から国道463号までの約1.4キロメートル区間を重点的に整備しております。
この区間の進捗状況ですが、令和4年1月に、事業に必要な用地を全て取得することができました。
現在は、軟弱地盤を改良する工事を行っており、地盤改良が完了した箇所から順次、側溝や舗装などの工事を進めております。
今後は、令和5年春の開通を目指し、横断歩道橋などの安全施設工事や、県道さいたま東村山線の交差点改良工事など、残る工事を進めてまいります。

和光バイパスの進捗状況と今後の見通しについて

Q 八子朋弘 議員(県民)

和光富士見バイパスが国道298号と交差する和光市松ノ木島交差点から先、都内方面へ延伸する和光バイパスについても期待が大きいものがあります。この道が都内に1本でつながることにより、富士見市内で現在進んでおりますバイパスの沿道に位置する上南畑産業団地の価値も更に高まることが予想されます。
これらの事業の進捗状況と今後の見通しについても、県土整備部長にお伺いしたいと思います。

A 北田健夫 県土整備部長

国道254号和光バイパスは、県道練馬川口線から和光市内の国道298号までを結び、和光富士見バイパスに接続する、延長約1.6キロメートルの幹線道路です。
令和2年3月の都市計画決定を経て、令和3年3月に、地元説明会を開催し、令和3年度には、地元の皆様の御協力を得て、路線測量に着手しました。
令和4年度は、引き続き、路線測量を進めるとともに、このバイパスの約1.1キロメートル区間が、土地区画整理事業の予定地に含まれることから、地元和光市と調整しながら、事業を推進してまいります。

水谷調節池の整備について(県土整備部長)

Q 八子朋弘 議員(県民)

柳瀬川の洪水を防ぐため、現在建設が進められております水谷調節池、富士見市では第6期基本構想・第1期基本計画の中で、この水谷調節池については調節池の整備に合わせた周辺整備を進め、市民の方の憩いの場所とすると定めております。
用地買収が完了し、令和2年より工事がスタートしておりますが、近隣住民は1日も早い完成を待ち望んでおります。現在の工事の状況と今後の見通しについて県土整備部長にお伺いいたします。

A 北田健夫 県土整備部長

一級河川柳瀬川は、全長約19.6キロメートルの河川であり、現在、最下流部の新河岸川合流点から清柳橋までの約5.7キロメートル区間で河川改修事業を実施しております。
このうち、水谷調節池の現在の工事状況ですが、令和3年度からは、調節池の整備に必要な軟弱地盤対策に着手しており、令和4年度以降も継続してまいります。
令和5年度からは、排水樋管などの構造物の工事に着手し、さらに、軟弱地盤対策の完了が見込まれる令和6年度以降に、調節池周囲の築堤などを実施する予定です。
今後も、国の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を最大限活用し、早期完成に向けて着実に事業を進めてまいります。

新河岸川の渋井水門増設による南畑排水機場の運用について(県土整備部長)

Q 八子朋弘 議員(県民)

新河岸川の増水対策として、新河岸川と荒川を結んでいるびん沼川に水を流す渋井水門が1基から2基に増設される工事が間もなく完成する見込みです。本体工事が完成し、実際に大雨が降り、新河岸川が増水して2基の渋井水門が稼働した場合、びん沼川にこれまでの倍のスピードで新河岸川の水が流れ込んでくることになると思います。
令和元年東日本台風の際には、びん沼川の水が溢水したことから、周辺住民の皆さんは南畑排水機場の効果的な運用を求めております。南畑排水機場を管理する国土交通省との調整になると思いますが、びん沼川の水を荒川に排出する南畑排水機場の運用はどのようになっているのでしょうか、県土整備部長にお伺いいたします。

A 北田健夫 県土整備部長

新河岸川の洪水は、その一部を渋井水門から新河岸川放水路、びん沼調節池を経て、国が管理する南畑排水機場から荒川に排水する計画となっております。
平成29年の台風21号の大雨では、新河岸川本川の水位が高くなったことにより、支川の浸水被害が発生しました。
このため、県では本川の水位低下を目的に、新河岸川放水路へ洪水を確実に流せるよう、渋井水門の増設を行っております。
また、令和元年東日本台風を受けて実施したびん沼川の溢水対策工事は、渋井水門の増設にも対応しております。
本年5月には、水門本体が完成し、各既存施設が連携して機能を発揮できるようになりました。
南畑排水機場については、これまでと比べて運転時間や運転頻度に変化は生じるものの、現行の操作規則のままで運用できることを国と確認しております。
今後とも、国と連携して渋井水門と南畑排水機場の適切な運用を図り、流域の浸水被害の軽減に取り組んでまいります。