1 事業レビューについて(知事)

(1)事業見直しに当たっては関係者の理解を得られるような丁寧な進め方が必要ではないか

Q 平松大佑 議員(県民)

直近の事業レビューで、大宮駅東口防犯カメラ整備事業の終了、「おおぞら号」の運行終了など、県民生活に影響が出る事業の廃止が決定されました。
大宮駅東口防犯カメラ整備事業については、犯罪の抑止や事件の解決に寄与していましたが、議会に対して丁寧な説明や代替案の決定がないまま廃止が決定されました。事業終了は到底容認できないとして、県議会では継続を求める決議が総員で可決されました。
また、おおぞら号の運行終了について、障害者団体の方々から十分な話合いを経ずに一方的に進められたと聞いています。6月10日の通知で決定が伝えられてからは、県側の態度は廃止ありきであったと団体側は感じています。各障害者団体、当事者からは、障害者の社会参加支援に重大な影響を及ぼすものとして、運行継続を求める緊急要望が提出されています。
もちろん限られた財源の中で最大限の成果を上げるため、各事業の不断の見直しが必要と考えますが、ただそのプロセスが一方的であってはなりません。
特に、県民生活に大きな影響を与える事業見直しについては、利用者ニーズを考慮した代替手段の確保、そしてお互いが妥結できる軟着陸まで見据え、関係者と十分に議論し、結論を出すべきと考えます。今回の防犯カメラやおおぞら号の件で生じた混乱は、丁寧な対応が欠けていた結果と考えます。
今後、事業レビューを進める際には、事業の現状説明や代替案について関係者の皆様と十分な意見交換をして妥結点を見出していくなど丁寧に進めるべきです。このようなことが再び起こらないよう丁寧な進め方を担保する仕組みを構築すべきと考えますが、知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

本県の持続的発展のためには、事業をゼロベースで見直し、限られた財源や人材をより効果的な事業に重点的に配分をしていく必要があります。
この考えの下、EBPMの手法を用いた事業レビューを実施しており、当初見込んでいた成果が得られていない事業や、アウトカムまでの理論的な因果関係が示せない事業などにつきましては、原則として廃止又は再構築とすることで事業の新陳代謝を図っているところであります。
この事業レビューにより事業を廃止する場合には、議員お話しのとおり、関係者に混乱を生じさせないため、県として丁寧に説明をするなど、進めていく必要があると考えております。
そのため、例えば、伊豆潮風館については、今も多くの県民が利用していることから、次期指定管理期間の2年の間に、事業の方向性などについて検討することといたしました。
その他の事業についてもできる限り丁寧に説明を尽くし、場合によっては、経過措置等を講じるなどの工夫をしてまいりたいと考えております。
加えて、今後、県民に大きな影響を与えるような見直しに当たっては、関係者との協議・調整といった必要なプロセスを踏まえたチェックリストを新たに作成するなど、その影響を最小限とする仕組みを構築し、庁内で共有した上で、更に丁寧に取り組んでまいりたいと考えております。

(2)リフト付きバス「おおぞら号」の終了について
ア 様々な関係者との意見交換の場を設けるべき

Q 平松大佑 議員(県民)

岡田議員、安藤議員からも質問があったところです。
6月10日に年度末で本事業を終了すると、突然、一方的に通知という進め方に強い反発があります。担当課では、県障害者施策推進協議会の中のワーキングチームで障害者団体の代表者等から意見を聞いているとのことですが、ワーキングチームのメンバーに限定せず、幅広く希望する全ての障害者団体、障害者の方々から意見を聞くべきではないでしょうか、知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

おおぞら号は、50年以上にわたり、本県の障害者の社会参加に大きく貢献をしてまいりました。
しかしながら、バスの運転手不足の影響で委託事業者からの申出があり、令和6年度から運行日数を130日から60日に減らさざるを得ない状況になっていました。
さらに、令和8年度以降の運行について委託事業者から同様の事情により受託できないという申出があったもので、おおぞら号の運営に支障がでてまいりました。
そのような中、この50年の間に、民間でもリフト付きバスの所有が増え、障害者向けのバス旅行が催行されるなど社会全体のバリアフリー化が進んできております。
そうしたことから、おおぞら号の運行は終了せざるを得ないとの判断に至り、その運行終了に当たっては、埼玉県障害者施策推進協議会だけではなく、様々な団体からも幅広く御意見を伺ってきております。
私も、本年7月8日に障害者団体の方とお会いをし、直接、御意見を頂きました。
障害者の社会参加を進める施策を検討する上で、障害者の方々や障害者団体から御意見を伺うことは必要と考えておりますので、引き続き、丁寧に御意見をお伺いしたいと思います。

イ 代替案の検討に当たっては妥結点を見出すため、関係者も含め多角的な検証を加え、最大限の努力を行うべき

Q 平松大佑 議員(県民)

関係者から頂いた意見を基に、妥結点を見出すための最大限の努力を行うべきと考えます。多くの関係者が納得できる代替案を示せるよう、県は意見を聞くだけでなく、引き続き障害者団体の方々の思いに寄り添い、共に議論をしながら、多角的な検証を行った上で、妥結できる結論を出すべきと考えますが、知事の御見解をお聞きします。

A 大野元裕 知事

おおぞら号の運行につきましては、受託事業者がこれ以上の運行はできないということで終了にせざるを得ない状況ではありますが、ただし、この運行終了に当たっては、障害者団体の方々の声に丁寧に耳を傾けるとともに、意見交換をさせていただいています。
その中で、民間のリフト付きのバスを借りると費用が高額となり実際には利用は難しい、などの御意見も頂きました。
こうした当事者の意見をしっかりと受け止めつつ、社会環境の変化や民間事業者の現状などを踏まえ、障害者の社会参加を促進するために県としてやるべきことをしっかりと検討したいと考えます。

再Q 平松大佑 議員(県民)

おおぞら号自体は、今、年間約589万円の費用で運行されています。障害者団体が民間バスをチャーターする場合、仮に運行日数を現在と同じ年間60日間、単価20万円とすると、単純計算で年間1,200万円の費用になります。
今お話しのあったその代替案として、民間バスのチャーター費用をある程度県が負担するという形であれば、仮に障害者団体に5万円を今よりも負担してもらう場合でも、県のコストは年間約900万円と約300万円増となり、現事業よりもコスト増となる可能性があります。このように見直しを行った結果、利用者の負担が増え、県のコストが上がるのであれば、そもそも効率的、効果的な事業実施という事業レビューの趣旨からずれるのではないでしょうか。
民間への移行を前提とした検討だけではなく、効率的、効果的な事業実施という観点から委託事業者ができないという話ですけれども、さらに事業者に当たる数を増やして、より多角的な検証を関係者と共に行うべきと考えますが、見解をお聞かせください。

再A 大野元裕 知事

本事業の見直しに当たっては事業レビューの趣旨を踏まえ、障害者の社会参加を進めるために県が何をするべきかを総合的に検討する必要があると思います。
議員御指摘の費用対効果といった観点、大変重要だと思いますが、残念ながら現時点では現在の受託事業者を始めとし、おおぞら号の維持を前提としてこれを委託する事業者が見つかっていない状況でございます。
県といたしましては、利用者の意見、社会環境の変化や民間事業者の現状などを踏まえ、県として必要な取組について、先ほどお話がありましたコストだけではなく多角的に検討してまいりたいと思っております。

2 県の若手職員の退職防止について(総務部長)

(1)実効性のある取組を
ア すでに実施している事業の成果検証を

Q 平松大佑 議員(県民)

本県の若手職員の退職が深刻な問題となっており、30代以下の退職数は、令和元年度の57名から令和6年度には114名と数年で倍増しています。
あえて公務員を、埼玉県庁を望んで就職した若手職員の退職者急増は大変重大な課題であり、早急に抜本的な対策を行うべきと考えます。未来への投資という視点を持ち、単なる労働力ではない、県の未来を担う大切な人材である若手職員の努力が報われるよう、やりがいを感じてもらえるよう、キャリア形成を更に支援するため、しっかりとコストをかけて取り組むべきと考えます。
以下、具体的にお聞きします。
(1)実効性のある取組を。
ア、すでに実施している事業の成果検証を。
現在、詳細な退職理由を調査しているとのことです。この詳細分析を基にした実効性のある取組が必要です。あわせて、既に実施しているキャリアプランニング支援制度、庁内副業制度、庁内ジョブトライアルなどが成果を上げているか検証を精緻に行い、改善につなげる必要があると考えます。総務部長の御見解を伺います。

A 表久仁和 総務部長

退職理由調査の結果、若手職員の退職の理由で最も多いのは「転職」であり、その背景には「やりたい仕事が見つかった」といった仕事の内容に関するものが最も多いことが分かりました。
そこで、退職防止には自己実現に挑戦できる仕組みが必要であると考え、「庁内副業制度」や「庁内ジョブトライアル制度」などの取組を実施しているところです。
今後、これらの制度を利用した職員へのアンケート調査などにより取得前後のモチベーションなどの変化について検証を行い、必要な改善を図る努力をしてまいります。

イ 若手職員からも退職防止策について主体的にアイデアを出してもらうべき

Q 平松大佑 議員(県民)

当事者である若手職員にも議論に加わってもらい、アイデアを出していただくことも重要と考えます。当事者ならではの課題観、視点から新しい取組が生まれるかもしれません。総務部長の見解を伺います。

A 表久仁和 総務部長

議員御指摘のとおり、若手職員にアイデアを出してもらうことは有効なアプローチであるとともに、施策立案に関わらせることにより、組織への帰属意識の向上をもたらし、退職防止につながるものと考えます。
そこで、昨年度、若手職員に検討してもらう機会を設けたところ、「知識、資格の取得を支援する制度があるとよい」という意見があり、資格取得の費用を助成する制度創設につなげたところです。
引き続き、若手職員の意見を吸い上げる場を設け、職員の主体性も尊重しながら退職防止に取り組んでまいります。

再Q 平松大佑 議員(県民)

今申し上げたのは、若手職員からの声もしっかり吸い上げていくのも大切なんですけれども、若手職員自体にそういったプロジェクトに参加してもらって、アイデアを出してもらうということが、アンケートでこうだったというだけじゃなくて、主体的にアイデアを出してもらう、そういったことが非常に重要じゃないかと申し上げているんですが、その点のお考えをお聞かせください。

再A 表久仁和 総務部長

先ほども答弁申し上げましたとおり、若手職員に主体的に意見を出してもらう場を昨年度も設置したところです。
引き続き今年度もそういった場を設けて積極的に意見を吸い上げてまいりたいと考えております。

(2)頑張る職員が報われる制度の構築を

Q 平松大佑 議員(県民)

若手職員の努力が報われる制度、そして将来のキャリアパスが描けるような制度の構築が必要です。努力した職員が報われるめり張りのある人事考課制度、役職手当の引上げ、ブラザーシスター制度に予算をつけ、指導相談の機会を創出しやすくするなど、しっかりとコストをかけて納得感の得られる制度へと改革する必要があると考えますが、総務部長の見解を伺います。

A 表久仁和 総務部長

議員御指摘のとおり、若手職員の退職を防止するためには、職員の努力が報われ、将来のキャリアパスが描ける制度となるよう、必要なところに戦略的にコストをかけることが不可欠であると考えます。
人事委員会からの勧告がない中で手当ての引上げを行うことは困難ですが、本県では全職員を対象に人事評価結果を勤勉手当や昇給に反映させるなど、職員の能力や実績に応じ差を設け、努力が報われる制度としています。
また、先ほどの答弁でも触れたとおり、今年度から、業務に関連する資格取得の費用を助成する制度を整備し、コストもかけているところです。
今後も、必要な施策にはコストをかけることも含めて、より頑張る職員が報われる制度となるよう改革に取り組んでまいります。

(3)組織文化の変革を

Q 平松大佑 議員(県民)

若手職員が職員応募制度に応募しようとしたところ、上司に余計なことをしないで、まずは目の前の仕事に取り組みなさいと止められたと、退職した職員から聞きました。
若手の積極的な行動が止められることがやる気をそぐ要因になります。管理職の更なる意識改革とスキルアップが必要ではないでしょうか。また、気軽に悩みを相談できる窓口も必要と考えますが、総務部長の御見解を伺います。

A 表久仁和 総務部長

若手職員が退職することなく、安心してキャリアアップに取り組める環境とするためには、職場における管理職の役割が重要です。
そのため、人事評価の実施に当たり、管理職が職員の意欲をうまく引き出せるよう、指導力向上のための評価者研修を実施しております。
また、今年度から、所属職員による庁内副業や研修参加などを所属長自身の目標設定の一例として盛り込むなど具体的な方策を示しながら、庁内全体に職員一人一人が主体的にスキルアップを図っていくことの重要性を浸透させています。
管理職の意識改革が進むよう、今後更に検討してまいります。
次に、相談窓口については、これまで若手職員が部局内外の役付職員と座談会や個別相談を行う「コンシェルジュ制度」や「メンター制度」により一定の成果を上げる一方で、参加者が限られているなどの課題もあります。
今後、より多くの若手職員が気軽に相談できる環境が整備できるよう検討してまいります。

3 中小零細企業への支援の在り方について(産業労働部長)

(1)成長が見込める企業への支援と同様に、厳しい状況にある企業への支援も更に力を入れるべき

Q 平松大佑 議員(県民)

中小零細企業への支援の在り方について、産業労働部長に伺います。
現在、物価高騰や人手不足と、中小零細企業は引き続き厳しい経営環境の中にあります。成長が見込める企業への支援と同様に、経営が厳しく廃業寸前の企業や事業再生を必要とするような厳しい状況にある企業への支援についても、更に力を入れるべきと考えます。まさしく懐に飛び込んだ複数回にわたる専門家による伴走支援が必要と考えます。
経営が厳しく廃業寸前の企業や、事業再生を必要とするような厳しい状況にある企業に対する専門家活用の支援制度を更に充実するべきと考えますが、御見解をお聞きします。

A 野尻一敏 産業労働部長

県では、商工団体に補助を行うことにより、事業者が抱える経営課題に対応した専門家を派遣し、伴走支援を行う体制を整えております。
お話しの厳しい経営状況にある事業者の方が、まず課題として直面するのは資金繰りだというふうに考えております。
そこで、こうした事業者に対しては、会計や経営などの専門知識を持った金融機関OBや税理士などを派遣しているところでございます。
例えば、借入金の返済が遅れがちな事業者に対して、専門家が経営改善計画の作成を支援した結果、金融機関から返済期限の延長が認められ、資金繰りの改善につながった事例もございます。
また、事業再生を進めていく上では、収益の確保に向けた新たな販路の開拓や新商品・新サービスの開発なども重要です。
そこで、こうした支援ニーズに対しては、購買やマーケティング、営業などの分野で豊富な経験を持つ企業OBなどを専門家として派遣しております。
引き続き、事業再生の意欲ありながら、厳しい経営状況に置かれている事業者の方の課題に適切に対応できるように、現場のニーズを踏まえ専門家派遣制度の充実に努めてまいります。

再Q 平松大佑 議員(県民)

現況の状況をお聞きしました。その中でも充実に努めていきたいという話がありましたけれども、私が申し上げているのは、現状の中ではそういった支援の網から漏れてしまうようなケースもあって、そういった場合でこういった専門家活用の支援制度というのがもっと充実すれば、それが廃業しなくても済むとか、事業再生につながる、こういったところを言っているんです。
今の制度だと不十分だという観点で申し上げているので、その点でしっかりもう一回、御答弁ください。

再A 野尻一敏 産業労働部長

既存の専門家派遣制度の中から漏れているものがあるのではないかという御指摘でございます。
いろいろお話を伺う中で、適切な相談機関にできるだけつなぐようにしておりますけれども、場合によってはそういうこともあるかもしれませんので、よく現場の状況を聞きながら適切な改善に努めてまいりたいと思います。

(2)商工団体等、支援団体の評価指標について、厳しい状況にある企業への支援実績も対象とするべき

Q 平松大佑 議員(県民)

現在の商工団体の奨励金制度は、成長企業への支援実績が中心となっております。厳しい状況にある企業への支援に更に力を入れるため、再生支援、廃業支援など厳しい状況にある企業への支援実績も評価できるような多角的な評価指標を設けるべきと考えますが、産業労働部長の見解を伺います。

A 野尻一敏 産業労働部長

お話しの奨励金制度につきましては、各商工団体が行った支援実績を指標として、人件費等の補助金に上乗せを行っている「商工団体支援奨励金」を指すものと存じます。
現在、経営革新計画の承認件数や組織率など、5つの指標を設定しており、多様な観点から商工団体の活動を評価できるよう取り組んでいるところでございます。
また、これらの指標は、補助金の配分に用いるということから、いずれも数値として客観的に把握できるものとしているところでございます。
厳しい状況にある企業への支援実績を評価できるようにすべきとの御提案につきましては、「経営の厳しさ」や「支援の成果」について何をもって数値化したらよいか、などの課題もあることから、商工団体の御意見も聞きながら検討してまいります。

4 不登校対策について(教育長)

Q 平松大佑 議員(県民)

教育長に伺います。
令和5年度の文科省の調査では、小・中・高校における不登校児童生徒数は41万5,252人で、過去最多でした。県の公立小・中・高校でも年度間で30日以上登校しなかった不登校児童生徒は2万93人と過去最多を更新しており、喫緊の課題です。
文科省や県の調査では、不登校について把握した事実として「やる気が出ない」などという回答が最も多く、これでは要因は漠然としていて分かりにくいと考えます。また、学校側の課題認識と児童生徒、そして保護者の見解に乖離があるケースも見受けられます。
具体的な要因を明確化しないと、実効性ある対策は講じることはできないと考えます。児童生徒、そして保護者に直接アプローチし、また、学校とも更に連携して要因分析を行うべきと考えます。
直接のヒアリングでは口を濁す児童生徒もいると考えます。不登校児童生徒が利用するバーチャルユースセンターやフリースクールとも連携するなど広く要因を調査し、多面的な要因分析を行う必要があると考えますが、教育長の見解を伺います。

A 日吉亨 教育長

県では、現在、学校や関係機関などが、不登校の要因を把握し、支援策等を多面的に整理する「支援状況確認リスト」を作成し活用しております。
現在、県が市町村や学校から不登校児童生徒の状況を詳細に情報収集し、要因等の把握に努めるとともに、不登校児童生徒や保護者に対し、不登校に至るきっかけや、背景などについてアンケートを行い、分析してまいります。
また、フリースクールなどの民間施設等との協議の場を設置し、相談内容等の情報の共有を図るなど、連携を進めてまいります。

再Q 平松大佑 議員(県民)

整理なんですけれども、今、後段でおっしゃった直接ヒアリングをするだったりだとか、そういったところが今まで不十分だったというところで、これから後段でおっしゃったような取組をしていくということでよろしいですね。

再A 日吉亨 教育長

今、御答弁申し上げましたとおり、学校外の第三者の方からも、不登校の要因を聞き取ることは、重要と認識しております。
そのため、寄せられた相談等の情報共有に加え、フリースクール等を通じたアンケートを実施するなど、より積極的な連携を図り、多面的な要因分析につなげてまいります。

5 教育データの利活用について(教育長)

(1)どのようなデータを分析し、利活用するのか

Q 平松大佑 議員(県民)

この問題については、令和5年に取り上げ、6月定例会では金子議員からも質問がありました。
多様な子供たちを誰一人取り残すことのない、公正に個別、最適化された学びの実現には、教育データの利活用が不可欠です。県では教育データを利活用し、不登校・中途退学・欠席・遅刻の減少、成績不振者の減少、成績優秀者の増加等を目指した研究を進めていると聞いております。
そこで、4点お聞きします。
(1)どのようなデータを分析し、利活用するのか。
改めて、お聞きします。不登校・中途退学・欠席・遅刻の減少、成績不振者の減少、成績優秀者の増加を実現するためにどのような教育データを利活用するのでしょうか。教育長の御見解をお聞きします。

A 日吉亨 教育長

県では、令和6年度から、県立高校1校をモデル校に指定し、新入生の中学校での定期考査の得点や、各学期の学習評価、欠席・遅刻の回数やその理由などのデータを収集し、高校の教員の指導に役立つよう、グラフなどに加工し活用しております。
今後、高校では、担任が生徒の中学校における得意科目などについて把握し、面談の際などに適切なアドバイスを行うことで、生徒の学習意欲の向上などにつなげてまいります。

(2)粒度の細かいデータを利活用すべき

Q 平松大佑 議員(県民)

答弁では、中学校時代の学習評価だとか欠席日数・遅刻回数などのデータを可視化し指導に役立てる、あるいは得意・不得意科目を把握をして面談や進路指導に活用するというお話でありました。
これらのデータというのは、ある意味では、今までも見えていた粗いデータにとどまっております。期待する成果が得られない可能性もあると考えます。
より粒度の細かいデータを持って利活用を進めるべきと考えますが、教育長の御見解をお聞きします。

A 日吉亨 教育長

議員御指摘のとおり、より粒度の細かなデータを利活用することで、生徒一人一人の状況に対し、きめ細かな指導につながると考えております。
例えば、学習データであれば、定期考査の合計得点だけではなく、図形や関数などの分野別に、得点の粒度を細かくすることで、更なる学習効果の向上につながることが考えられます。
今後、より細かい粒度のデータを生徒一人一人の指導や支援につなげられるよう検討してまいります。

(3)他部局等にあるデータ、民間にあるデータの利活用を

Q 平松大佑 議員(県民)

粒度の細かいデータを利活用するには、教育局内のデータに加え、他部局等が持つデータや、学校が契約する民間企業のアプリケーション内に蓄積されたデータ等との連携を早期に開始する必要があると考えます。県立高校では既に補助金などを活用し様々なアプリを導入しており、有益なデータが蓄積されているはずです。
今後は、情報セキュリティや個人情報保護に留意しながらも、契約の段階でデータの利活用について民間業者と合意形成し、データ収集できる仕組みを整えるべきと考えますが、教育長の御見解を伺います。

A 日吉亨 教育長

民間企業の学習用アプリケーション内にある学習履歴等のデータを収集できる仕組みを整えることは、教育データの利活用を進める上で重要であると考えます。
一方、収集するデータの内容によっては、情報セキュリティや個人情報保護の観点から課題が生じることもございます。
今後は、関係者と留意すべき点について整理し、合意形成を図りながら、円滑に有効なデータを収集する仕組みについて研究してまいります。

再Q 平松大佑 議員(県民)

民間にあるデータ等を利活用する場合、名寄せの課題があります。
例えば、民間が持つ漢字表記の「平松大佑」というデータと、学校のシステムにあるアルファベットの「HIRAMATSU DAISUKE」というデータを、正確に同一人物としてひも付ける作業は非常に困難です。
この問題を解決するため、グーグルアカウント若しくは校務支援システムなどマスターのデータベースと連携し、シングルサインオン作業の前提に整備をしていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

再A 日吉亨 教育長

議員御指摘のとおり、複数の異なるシステム間に存在する児童生徒等の様々な教育データを正確に紐付けるには、「名寄せ」が重要であると認識しております。
また、名寄せされた教育データを利活用する際には、一度の認証で複数のシステムを横断的に利用できるシングルサインオンが、利用者の利便性を向上させ、データの正確な連携及び統合を担保する土台になるものと考えております。
今後、他の自治体や事業者から情報収集しながら、県立学校における必要な教育データの整理及び利用者の利便性を考慮した環境整備について、積極的に検討してまいります。

(4)推進のためのデジタル人材を

Q 平松大佑 議員(県民)

データの利活用を本格的に進めるためには、教育現場の教職員だけでなく、専門的なデジタル人材の配置が不可欠と考えますが、教育長の御見解をお聞きします。

A 日吉亨 教育長

データ利活用を本格的に進める場合、初期の段階では、必要なデータを抽出し、収集・分析を行うための専門知識が求められます。
また、その後は、学校現場の指導に展開するための実践経験が求められるなど、段階に応じた専門人材を活用することが重要と考えております。
今後は、データ利活用に関する取組の進捗状況を踏まえながら、専門的なデジタル人材の配置について、検討してまいります。

6 スタートアップ創出・成長支援について(知事)

(1)埼玉県ならではの取組を行うべき
ア 県の特性を踏まえた取組について

Q 平松大佑 議員(県民)

東京都と隣接する中で、あえて埼玉でスタートアップを立ち上げ、継続してもらうには、県ならではの強みを更に磨き、打ち出していくことが重要です。
地の利だけではなく、スケールするスタートアップにとって魅力と感じる強みが必要と考えます。そのためには、埼玉経済の歴史的文脈を踏まえ、各地域と連携して埼玉の強みを更にあぶり出していく必要があると考えます。
また、ロボティクスとの連携、実証フィールドの活用等の強みを生かした取組が必要と考えますが、知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

議員御指摘のとおり、スタートアップが埼玉県に立地し、事業を継続していただくために、埼玉県ならではの強みを磨いていくことは重要と考えます。
本県では、古くから鋳物づくりが行われるなど、ものづくりの歴史が深く、現在も裾野が広い自動車関連産業をはじめとした製造業が集積し、「ものづくり県」としての強みがあります。
さらに、首都圏という巨大消費地の中央に位置することから、食料品製造業の出荷額が全国第2位であるほか、農業も盛んであり、里芋、ねぎ、ほうれんそうなど全国上位の生産量を誇る野菜や、ブランド力のある狭山茶などもございます。
このような歴史的文脈からの強みに加え、特色ある実証フィールドとして、現在県が整備中の(仮称)SAITAMAロボティクスセンターのほか、アグリテック企業に対して農地の紹介を行っている深谷市、企業からの要望に応じ様々な実証の場を提供する横瀬町などもございます。
また、本県は交通の便が極めて良好で、これらの相互の連携にも適しているという特性があります。
こうした本県ならではの強みをアピールするとともに、各地域と連携して新たな強みを発掘することで、地域産業とのシナジーを図りたいスタートアップを引き付けてまいりたいと思います。

イ 他の都道府県との連携について

Q 平松大佑 議員(県民)

東京にはない埼玉の強みを生かしつつ、他の都道府県と連携することで埼玉のスタートアップにもプラスになり、相互にメリットのある関係を構築することができると考えます。
戦略的に他の都道府県と協力関係を構築すべきと考えますが、知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

議員お話しのとおり、他の都道府県と連携し、それぞれの持つ地域与件や資源を活用していくことで、より多くの成果につながると考えます。
そこで、現在、近隣都県の支援拠点と意見交換などを行いながら、連携の在り方を検討しているところであります。
例えば、地域課題の解決や新たなビジネス創出を目指す「NETSUGEN」を有する群馬県とは、本県の企業が群馬県のネットワークを活用して、実証フィールドの提供を受けることや、逆に群馬県の企業が渋沢MIXを通じて本県企業とのマッチングを行うことなどができないかを検討しております。
また、ベンチャー企業の成長促進拠点「SHINみなとみらい」を有する神奈川県とは、神奈川県で先行するオープンイノベーションプログラムの事例やノウハウの提供を頂くとともに、マッチング相手を探す際に、相互のネットワークが活用できないかなどの検討を行っています。
今後も、渋沢MIXにとり必要となるリソースについて戦略的に考え、埼玉県と他の都道府県の双方にとってWin-Winとなるような協力関係を構築すべく、連携を深めてまいります。

ウ グローバルに連携することが強みにもなると考えるが見解を

Q 平松大佑 議員(県民)

海外の機関・大学・企業等とも連携し、スタートアップエコシステムをグローバルに展開していくことが重要と考えます。そのため、海外の機関・大学・企業にとってのメリットを明確に示す必要がありますが、渋沢MIXは立ち上がったばかりでその強みを明確に打ち出せていないと考えます。
県と連携する具体的なメリットを磨き、対外的に示し、海外の機関・大学・企業等との連携をスタートさせてはいかがでしょうか。知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

議員御指摘のとおり、渋沢MIXはまだ始まったばかりで、その強みをしっかりとアピールできる段階にはありません。
そこで、政治としてしっかりとしたイニシアティブを取っていくことが必要だと考えております。
渋沢MIXの多様な主体をつなぐ機能を強化すべく、海外機関とのグローバルな連携について今、正に検討・打診をしているところです。
先般は埼玉県の姉妹州であるドイツ・ブランデンブルグ州を訪問し、同州とスタートアップ支援について連携していく旨の共同声明に署名をさせていただきました。
そこでまずは今月15日に渋沢MIXで、来日するブランデンブルグ州経済振興公社の方からドイツの産業構造や商習慣を御説明いただくとともに、ヨーロッパ進出に関心がある県内のスタートアップによるプレゼンを行い、アドバイスを頂くイベントを開催し、今後の更なる連携につなげたいと思います。
また、その翌日10月16日には、アメリカからアグリテックのスタートアップ4社を招いたピッチイベントが渋沢MIXで開催をされます。
両イベントには、海外進出や海外との連携に関心のある渋沢MIX会員や支援機関、市町村などの参加を促してまいります。
今後、様々な国との連携を深めたいと考えており、先ほどお答えした埼玉県の強みを対外的に示すとともに、私自身の外交官としての経験も生かし、海外機関等への働き掛けを積極的に行ってまいります。

エ 市町村・商工団体との連携、地域拠点整備をしていくべき

Q 平松大佑 議員(県民)

渋沢MIXの取組をさいたま新都心といった限定的な取組とするのではなく、全県的に進めていくべきと考えます。県内全域でスタートアップ支援の機運を高めるため、そして地域ごとの課題解決や強みを発掘するためには、市町村や商工団体との連携を強化すべきと考えます。
その上で、次の段階として主体的に取り組む地域拠点を複数つくり、将来的にはそれらが自走するモデルを目指すべきと考えますが、知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

議員御指摘のとおり、渋沢MIXはさいたま新都心に限らない全県的な取組です。
そこで、市町村や商工団体とのネットワークを構築するため、
渋沢MIX開設前のプレイベントを県内各地域で開催し、その地域の市町村や商工団体職員に積極的に御参加を頂きました。
今後は、先ほど御答弁いたしました様々な関係者との連携に加え、市町村や商工団体と渋沢MIXが共催で事業を行うなど、顔の見える関係を自転車のスポークのように構築し、渋沢MIXをハブとして県外や国外とのネットワークを構築、いわゆるハブアンドスポークの構築をしてまいります。
また、地域拠点につきましては、県内各地に地域の起業家が集うコワーキングスペースや、創業間もない事業者が入居するインキュベーション施設などが数多くございます。
さらに、令和6年5月にはインキュベーション施設「りそなコエドテラス」が川越市に開業したほか、秩父市ではドローンの社会実装を進めるコンソーシアムが立ち上がるなど、スタートアップ支援に意欲的な拠点や地域が出てきているところです。
こうした意欲的な取組を好事例として、先ほどのネットワークを通じて、市町村や商工団体に地域拠点の設置を働き掛けるとともに、渋沢MIXがハブとなり、課題やノウハウ、支援事例などを共有していくことで、ハブアンドスポークの形で将来的な自走を促進してまいります。

(2)創出のための取組について更に力を入れるべき

Q 平松大佑 議員(県民)

渋沢MIXを成功させるためには、シード期やアーリー期のスタートアップ支援だけでなく、そもそも創業意欲を持つ人の母数を増やすための裾野を広げる取組が重要です。既に取り組まれていますが、更に強化する必要があると考えます。中高生や大学生への更なるアプローチも必要と考えますし、これからは若手社会人へのアプローチも必要と考えます。
より広い層をターゲットにした取組を進めてほしいと考えますが、知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

県では、創業に関心を持つ層を広げるため、平成30年度から毎年 4,000人を超える中高生に対して、起業家による出前講座を開催し、創業の魅力などを伝えてまいりました。
令和5年度からは高校生向けに、実際にビジネスプランを作成し、コンテストでの入賞を目指すプログラムを実施しています。
さらに、渋沢MIXでは、大学生を対象に具体的な起業に向けたセミナーやワークショップ、メンタリングを行い、優れたビジネスプランには支援金を支給する伴走プログラムを実施しています。
このように、これまでは中学生、高校生、大学生とそれぞれの段階に応じたプログラムを用意して、裾野の拡大に努めてまいりました。
今後は、多くのスタートアップや起業家が渋沢MIXに集うことから、こうした方々にセミナーの講師やメンターとして御協力をいただき、身近な存在として、より多くの学生の創業意欲を喚起してまいります。
また、学生だけでなく、企業で働いている若手社会人へのアプローチも重要です。
渋沢MIXは21時まで開館しており、さいたま新都心駅直結ビルという好立地であることから、仕事帰りの若手社会人に向けた創業イベントを企画してまいります。
こうした取組により、幅広い層の創業への関心を喚起し、裾野の拡大に取り組んでまいります。

(3)戦略の策定を

Q 平松大佑 議員(県民)

いろいろと御提案も申し上げたところでありますが、以上のような取組を成功させるため、また、対外的に渋沢MIXが目指すものを明確にするためにも、戦略を策定する必要があると考えます。これにより全体の方向性、今後の事業の方向性、目標を定め、成果を検証することも可能になると考えます。
スタートアップ創出・成長支援についての戦略を策定すべきと考えますがいかがでしょうか、知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

渋沢MIXの取組を更に効果的なものとするためには、県の目指すべき目標などを明らかにした戦略、すでに3つの柱としての戦略を持っておりますが、これを対外的に示すことで、関係者の理解と協力を得つつ、計画的に事業を進めることが必要と考えます。
本年7月25日に渋沢MIXをオープンしてから約2か月がたったところですが、開設以来、利用企業や支援機関などから多くの期待や要望が寄せられているところです。
例えば、事業規模の拡大を考えるスタートアップからは渋沢MIXを通じた出資者との出会いを、また、商工団体からは地域経済活性化に向けて地元へのスタートアップ定着を図るべく渋沢MIXと連携を図りたい、といった声が寄せられています。
また、渋沢MIXの開設を契機として、実証実験の場の確保など、課題が直接寄せられるようになり、企業ごとのニーズも徐々に蓄積されつつあります。
これらを踏まえ、県のスタートアップ支援をより効果的に推進していくため、既存の戦略を再検討し、成果の検証を可能とする目標などを定めたより具体的で現状に即した戦略を策定してまいりたいと考えます。

7 アントレプレナーシップ教育の更なる推進について(教育長)

Q 平松大佑 議員(県民)

アントレプレナーシップ教育について、教育長に伺います。
アントレプレナーシップ教育は、単なる起業家育成だけでなく、社会課題解決能力を育むための重要な教育です。
アントレプレナーシップ教育については、以前に実施を提案、県立高校での取組を小早川議員と共に視察をいたしました。取組を更に前へと進めてほしいと考えます。
現状は高校での単発実施ですが、小・中・高を通じた一貫性のあるものへと変えていくべきと考えます。市町村教育委員会、小・中学校とも意見交換、協議を行い、体系的に進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

A 日吉亨 教育長

県では、企業等と連携した探究的な学びを推進しており、アントレプレナーシップ教育の要素を取り入れることで、より充実した学びにつながると考えます。
そのため、まずは指導する教員が、探究的な学びとアントレプレナーシップ教育との関係性について、理解を深めることが有効と考えます。
今後は、市町村を対象とした会議や、中学校と高校の教員が参加する協議会等を通して、アントレプレナーシップ教育の認識を共有し、小・中・高校を通じた体系的な取組を研究してまいります。

8 埼玉県立和光南特別支援学校体育館へのエアコン設置について(教育長)

Q 平松大佑 議員(県民)

会派として狭あい化、児童生徒増の現状を調査し、改善に向け取り組んでいる問題です。
現在、建替えに向け取り組まれていますが、基本設計には体育館へのエアコン設置が盛り込まれていません。特別支援学校の児童生徒には特別な配慮が必要であり、エアコン設置は必須と考えます。
また、体育館は災害時の避難所としての機能を担います。エアコンを後で設置すると、非効率でコスト増につながります。
6月定例会では、金野桃子議員がエアコン設置方針について取り上げたところです。早期にエアコン設置に関する方針を決定し、方針の中に新築施設へのエアコン設置を組み込むべきではないでしょうか。教育長の見解を伺います。

A 日吉亨 教育長

現在県では、防災拠点校の体育館へのエアコン設置を順次進めており、令和7年度実施の和光南特別支援学校の基本設計では、体育館にエアコンを設置する方針とはしておりません。
議員お話のとおり、後からエアコンを設置する場合に、改築事業と併せて設置する方がコスト面などのメリットがあり、望ましいと認識しております。
一方、県立学校では、特別支援学校の過密状況の解消に向けた整備を実施しているほか、校舎の老朽化対策なども必要な状況でございます。
和光南特別支援学校を含めた県立学校の体育館のエアコン整備については、財源の見通しも含め、引き続き、検討してまいります。

9 都市農業の振興について(農林部長)

(1)都市農業でも国庫補助を受けられやすくなるように国に要望しては

Q 平松大佑 議員(県民)

都市農業の振興について、農林部長にお聞きいたします。
都市農業は県の魅力の一つであり、地域防災や緑地保全等との観点からも重要な役割を担っています。県としても積極的な振興を行うため、都市農業振興計画を策定しております。
更なる振興のため、2点お聞きいたします。
(1)都市農業でも国庫補助を受けられやすくなるように国に要望してはです。
本来であれば東京都並みの補助があればよいのですが、限られた財源の中で、県では国庫補助事業である強い農業づくり総合支援交付金、農地利用効率化等支援交付金を活用しながら農業支援を行っています。
国庫補助ではポイント制が採用されていますが、都市農業者が条件を満たしにくく、採択されないケースが多い実態もあります。都市農業者でも活用できるような国庫補助メニューになるよう、国に要望を上げてはいかがでしょうか。

A 竹詰一 農林部長

議員お話の国庫事業は、販売額の向上や経営面積の拡大がどの程度見込まれるのかなどがポイント評価され、事業採択の判断材料とされます。
都市農業の場合、地理的制約から経営面積の拡大によるポイント評価が難しく、中山間地域といった優先枠も無いため、採択に不利となる傾向があります。
他方、都市農業は、新鮮な農産物の供給はもとより、雨水の保水や防災空間の確保など多面的な役割を有し、大変重要です。
そこで、都市住民を対象とした収穫体験会などへのポイント評価や都市農業優先枠の創設など、都市農業者が採択される仕組みとなるよう、機会を捉え国に要望してまいります。

(2)更なる広報PRを行い、埼玉の都市農業のブランドイメージ向上に取り組んでは

Q 平松大佑 議員(県民)

埼玉の都市農業では魅力的な農産物がたくさんあり、都心から近い点も魅力の一つです。私の地元のイチゴなどは、良い品を求め都内からも買物に来る方々がいます。
まずは、都心からも近い埼玉の都市農業の認知度向上が必要と考えます。同時に、ブランドイメージの向上も必要と考えます。
SNSで都市農業に特化した情報発信、そして都内でのファーマーズマーケットへの出店などを行い、オンライン、リアル双方からの知名度向上とともに、ブランディングを積極的に進めていただきたいと考えますが、農林部長の見解を伺います。

A 竹詰一 農林部長

県では、県産農産物の魅力をPRするため、県公認インフルエンサーによるSNSを活用した情報発信を行っています。
また、首都圏における認知度向上とブランディングのため、今年9月には都内百貨店等において、梨の「彩玉」フェアを実施いたしました。
会場で配布したチラシには、彩玉を購入できる農園等の情報を取得するQRコードも記載いたしました。
この結果、各農園からは県外からの来園者が増えていると伺っています。
今後も、都内消費者に本県へ足を運んでいただけるよう、来年2月に都内・県内で予定している県産いちごフェアでは、産地情報や購入場所などがわかるポップを新設するほか、SNS等により都市農業を情報発信するなど、県産農産物の知名度向上とブランディングに努めてまいります。

10 DX推進について(知事)

(1)こどもたちをはじめ県民のデジタル活用を盛り上げるべき

Q 平松大佑 議員(県民)

既にデジタルが社会の前提となり、ChatGPTo1など一部の生成AIでは、人類のIQの平均を超えるIQ130に達している状況です。
AIをはじめデジタル活用できる能力、AIでは代替できない能力を身に付けてもらうため、次代を担うこどもたちが学校教育以外でのデジタル体験を通して、創造力や創造性を磨く機会を作っていくことが、こどもたちの将来、ひいては埼玉県の可能性を広げる上で不可欠だと考えます。県として学校外でのデジタル教育の機会を創出していく必要があると考えます。
県では、庁内や県内企業のデジタル人材育成に取り組んできましたが、家庭環境や地域格差にかかわらず、こどもたちがデジタルに親しみ、スキルを上げていく、デジタルを活用して新たなものを創造していく取組を実施していく。つまり、こどもたちをはじめ県民のデジタル活用を盛り上げていく観点も、これからは必要ではないでしょうか。知事の御答弁を求めます。

A 大野元裕 知事

これからのデジタル社会の担い手となるこどもたちにとって、デジタル体験を通じて想像力や創造性を磨く機会に触れることは、デジタルへの親和性を高め、スキルの向上に資すると考えます。
一方で、そうした機会をより有効的に生かしていくためには、デジタル体験と合わせて、基礎的なデジタルリテラシーを習得させることも必要であります。
DX推進計画の教育ビジョンでは、「デジタル技術の活用により、未来を切り拓き、社会の創り手となる人材を育成する」という将来像を掲げています。
また、学校教育では、学習の基盤となる資質・能力の一つに情報活用能力があり、授業の中でプログラミング等に関する学習活動が行われています。
さらに、県では学校以外において、職業体験として、民間企業や団体と連携し、プログラミングやドローン操縦など、デジタル技術に触れるリアル体験教室を開催をしています。
ほかにも、彩の国ビジュアルプラザにおける映像コンテンツ制作の体験や、メタバース空間を活用したバーチャル埼玉における交流会など、様々な切り口でデジタルに接する体験の機会を提供をさせていただいております。
こうした県が実施する取組のほか、官民連携による民間主導の取組など様々な手法が考えられるため、本県にとりどういった手法が更に効果的であるか検討をしてまいります。

(2)体系的・継続的にこどもたちがデジタル体験をできる環境を提供すべき

Q 平松大佑 議員(県民)

具体的にお話をお聞きしたいと思いますが、私はやはり体系的、継続的にこういった機会をつくるということが大切だというふうに考えております。こどもたちがデジタルを使い、作りたいものを自ら考え、トライアル・アンド・エラーを繰り返しながら創造していく体験というのは、先ほど申し上げたとおり、こどもたちのデジタルスキル育成や創造力を育むことにもなります。
御説明も頂きましたけれども、現在、小・中学生を対象とした体系的、継続的な事業というのは、まだ整備をされていない状況であります。単発ではない常設の拠点や巡回型のワークショップなど、体系的な事業としてデジタル体験できる環境を展開していくべきと考えますがいかがでしょうか。

A 大野元裕 知事

議員御指摘のとおり、こどもたちのデジタルスキルの育成については、単発的な体験会ではなく、年代や習得レベルに合わせたメニューの提供など、体系的な事業展開が求められる取組であると考えます。
そのためには、本県での実施に向けて、現在のデジタル教育に関する取組状況を踏まえ、どういった環境がこどもたちにとって効果的であるかを検討する必要があります。
また、デジタル技術の進展は早いことから、将来の技術トレンドをいかに反映させるかといったことも考慮する必要があります。
さらに、人材育成は長期的なスパンで実施すべきものであるため、中長期的な視点で費用対効果も考慮をするべきだと考えています。
本県では、現時点では教育の現場を除けば、このような取組は実現をまだしていないというふうに考えてはいますが、バーチャル埼玉のようなデジタル空間での体験を促す仕組みも保有しており、様々な機会や体験を通じ、あるいは媒体を通じて、こどもたちの創造力を育む環境が整備されてきております。
こうした観点を踏まえ、本県にとり効果的な取組として体系化をできるかについて、検討を進めてまいりたいと考えます。

11 地下鉄12号線延伸について(企画財政部長)

(1)どのような答申を引き出すことが目標なのか明確に示すべき

Q 平松大佑 議員(県民)

地下鉄12号線の延伸は、埼玉県の将来の発展を左右する極めて重要なプロジェクトです。延伸実現には今後6年以内と予想される国の次期答申を前向きなものにすることが重要です。
課題として事業性の確保がありますが、答申までに事業性が確保されていることを国に示すことが極めて重要であると考えますがいかがでしょうか。企画財政部長の見解を伺います。

A 都丸久 企画財政部長

平成28年の国の交通政策審議会の答申では、東京12号線延伸については、事業性に課題があることや、光が丘から東所沢までの一体整備の検討の必要性が指摘されております。
次期答申での目標については、前回よりも事業性の確保などの課題の解決が図られるなど、延伸の実現により近づく形で位置付けられることを目指していきたいと考えております。
延伸の事業化に向けては、一つ一つ段階を踏んで、課題の解決を着実に進めていく必要があります。そのため、まずは、1を超えるB/Cの確保を目指し、地元自治体と連携して需要の創出に必要な沿線開発の取組などを進め、計画の熟度をより一層高めてまいります。

(2)今後のスケジュールについて

Q 平松大佑 議員(県民)

目標達成には関係自治体との連携を一層強化し、目標から逆算した共通のスケジュール感を持って取り組むことが不可欠です。
県が主導して事業性を確保するという目標を共通認識とし、答申の1年前に行われるアンケートで確実に回答ができるよう、各自治体が取り組むまちづくり等を強力に支援していくべきと考えますがいかがでしょうか。企画財政部長の見解を伺います。

A 都丸久 企画財政部長

県では、課題解決に向けて、令和6年度には東所沢駅での具体的な結節方法や関越自動車道との交差箇所の構造の調査を実施するとともに、地元自治体との連絡会議において、その調査結果について共有し、地元自治体のまちづくりの取組を支援してまいりました。
議員御指摘のとおり、地元自治体との連携を強化し、共通のスケジュール感を持って取り組むことは重要です。
そこで、県では、令和7年8月、地元自治体で構成する協議会の勉強会において、新たに次期答申に向けて各自治体が実施する取組の内容や工程等を関係者間で共有し、検討を開始いたしました。
令和7年度中に更に勉強会を重ねて、熟度を高め、次期答申を見据え、県と地元自治体が目標の共通認識を持って、スケジュールを共有するとともに、県としてもバックキャスティングの視点を持って、地元自治体のまちづくり等の取組を支援してまいります。

12 都市計画道路保谷朝霞線について(県土整備部長)

(1)馬場・畑中地域について事業認可の手続を早急に進めるべき

Q 平松大佑 議員(県民)

保谷朝霞線の馬場・畑中地域について都市計画変更の決定がされました。次のステップである事業認可の手続を早急に進めるべきと考えます。
円滑な事業推進を図るため、早急に事業認可の手続を進めるべきではないでしょうか。県土整備部長の御見解を伺います。

A 吉澤隆 県土整備部長

都市計画道路は保谷朝霞線は、都県境から新座市内の国道254号までを南北に結ぶ幹線道路です。
このうち、都県境から産業道路までの区間については、野寺及び道場の2つの工区に分け、事業を行っております。
野寺工区は、これまでに31パーセントの用地を取得しており、道場工区は、令和8年度から本格的に用地取得に着手する予定です。
御質問の馬場・畑中地域の事業認可取得につきましては、まずは、事業中の2つの工区に集中的に取り組み、その進捗を踏まえ、検討してまいります。

(2)道路の連結性、また、スマートインターチェンジの整備を視野に入れ、道路建設は産業道路側から進めるべき

Q 平松大佑 議員(県民)

こちらの地域では、スマートインターチェンジ整備も検討されています。整備されれば、保谷朝霞線が主要なアクセス道路となる可能性もあるため、保谷朝霞線の建設に当たっては、地域の交通ネットワーク全体を視野に入れ進めるべきです。
スマートインターチェンジ整備に間に合わない場合、地域交通への支障が出ることから、道路建設は産業道路側から進めるべきと考えますが、県土整備部長の御見解をお聞かせください。

A 吉澤隆 県土整備部長

馬場・畑中地域では、産業道路側にある黒目川や関越自動車道だけでなく、国道254号との大規模な立体交差があり、この構造物の施工には、多大な事業費と時間が必要です。
また、整備延長が約2.7キロメートルと長いため、既存道路とのネットワークや供用後の交通安全性の確保など、事業化に当たっては、区間を慎重に検討する必要があります。
このため、周辺まちづくりの主体である地元市と連携しながら事業区間の検討を進めてまいります。