期待される教育環境へ
Q 松坂喜浩 議員(県民)
県立高校における教育のICT化については、平成30年度から3年計画でタブレット端末などを整備するとともに、生徒個人所有の端末を授業で活用するBYODにより、学習用端末1人1台体制に向けた整備が進められています。
私は、教育のデジタル化とともに、アナログ教育の重要性を忘れてはいけないと痛感しています。平成29年9月定例会にて、少年暴行死事件を教訓とした非行防止対策について私の質問に対し、当時の教育長からは、「家庭環境の問題に対しては、福祉に関する専門家であるスクールソーシャルワーカーが教員とともに対応することが重要と考え、教育委員会としてもこれまで以上に福祉部局との連携を密にし、生活保護や就労支援、医療などにつなげ、生徒を取り巻く環境の課題を解決したいと考えています」という答弁がありました。ここで大事なのは、福祉部局との連携を密にするということであり、縦割りからの脱却ということを私は意味しているものと考えます。
この質問については、吹上秋桜高校を中退した生徒が巻き込まれた事件が発端ですが、同校は多部制定時制高校、いわゆるパレット校4校の中でも特に注視し、でき得る支援をしていかなければならない県立高校であります。吹上秋桜高校が開校したのが平成22年4月、その初代校長として就任なされたのが高田教育長であり、その基礎を築かれたものと思いますし、感慨深いものがあろうかと思います。
以下、教育長にお伺いいたします。
まず、パレット校としての目的と吹上秋桜高校の現状について、また、先日の報道にもありましたが、県内高校生の自殺者が増えていることがあります。その正確な情報と原因について把握されているでしょうか、お伺いいたします。
次に、今年6月定例会では柿沼議員から、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーを常勤化すること、教育相談員はスクールソーシャルワーカーとして一本化すること、そして勤務条件を統一することについて質問がありました。
常勤化について、教育長答弁は「これらの専門職の役割は、教職員の担うべき業務を専門的知識からサポートするもので、常勤化につきましては、学校の状況や課題に応じて適切な活用や配置の工夫をすることにより、専門職の充実を図ってまいります」というものでありました。また、一本化については、「学校における役割が異なること、募集要項についても分かりづらい表記となっていることから、業務内容が明確となるよう表現を見直します」という答弁でありました。そして、勤務条件を統一することについては、「学校の役割に応じ、配置日数や勤務時間を設定し、給与は月額又は日額と設定しており、報酬の差については、勤務条件の違いから生じているもの」と、そういう答弁がありました。
そこで、お伺いいたします。
スクールソーシャルワーカーは、家庭環境に課題のある生徒や退学者が多くいる学校では大変重要な役割であり、常勤化が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
教育相談員との一本化ですが、現状では教育相談員が直接生徒からの相談を受け、福祉の視点が必要な場合はスクールソーシャルワーカーにつないでいることから、生徒からの悩み解決に時間がかかってしまうため、体制を改善しなければなりません。教育相談員の職務に合わせたスクールソーシャルワーカーの配置がワンストップで対応できるのが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。
勤務条件を統一することについては、スクールソーシャルワーカーは日額1万40円、月8日で8万320円、教育相談員さんは月給16万9,200円となっています。現状、スクールソーシャルワーカーさんが週2日の配置では、生徒の課題が解消できない状態だと伺っております。このまま、たなざらしにしておくわけにいかない勤務条件の格差、是非とも改善し、部局を超えて考える必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。
以前の私の質問からも、中学校の進路指導は、生徒の能力や適性、将来の希望や目標を十分把握した上で実施することが大切なことは言うまでもありません。高校進学に向けて、生徒の特性や問題点の実態を把握し、入学時から生活指導ができる調査票を教育局として作成し、中学校から進学先の高校に対し、しっかり申送りするべきであり、また、このことについては今年度から実施していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
また、県で行った今年度10月末時点の就職内定状況調査では、多部制定時制高校の就職内定率が50%程度と低い状態であり、進路未決定のまま卒業する生徒がいることも心配されることから、卒業生の就職を支援するための体制を整えることも重要と考えますが、いかがでしょうか。
最後に、教育長は、「あらゆる手段を使って子供たち一人ひとりの実態把握に努めてまいりたいと考えている」と答弁されていますが、あらゆる手段とは具体的にどのような方法でしょうか。
A 高田直芳 教育長
パレット校の目的と吹上秋桜高校の現状について、また、自殺者が増えつつあることから正確な情報を把握しているのかについてでございます。
多部制定時制高校いわゆるパレット校は、中途退学者や不登校経験者など多様な生徒がいつでも学べる機会を提供するとともに、充実感や達成感を通して、自信と自覚を持った生徒を育てることなどを目的として設置しております。
吹上秋桜高校の現状につきましては、学校を訪問し、管理職や教員などから、現状や課題について聞き取りを行っている職員から適宜報告を受けるとともに、先日は校長から直接状況について聞き取りを行いました。
また、自殺者の正確な情報と原因の把握につきましては、事例が発生するたびに速やかに詳細な報告を求めるとともに、その事実に向き合い、「なぜ自殺に至ったのか」また、「学校として何かできなかったのか」など、背景調査を行い原因の把握に努めております。
次に、スクールソーシャルワーカーの常勤化についてでございます。
令和2年6月定例会の柿沼貴志議員の一般質問でお答えしたとおり、スクールソーシャルワーカーなどの専門職の役割は、教職員の担うべき業務を専門的知識からサポートするものです。
継続的に生徒を支援するためには、スクールソーシャルワーカーを始めとした専門職員などと教職員がより一層連携を強化し、学校全体で支援を行っていくことが重要です。
スクールソーシャルワーカーの常勤化につきましては、現在、国において、配置の在り方等について調査研究が行われておりますので、その結果を踏まえ適切に検討してまいります。
次に、スクールソーシャルワーカーによるワンストップでの対応についてでございます。
様々な悩みを抱える生徒に対する支援は、まずは、身近な存在である教員が生徒の状況をきめ細やかに把握し、必要に応じて、スクールソーシャルワーカーなど専門職員などと連携し対応していく必要があると考えております。
そのため、友人関係や家族関係などの生徒のささいな悩みや不安を気軽に相談できるよう、相談業務の経験が豊富な教育相談員を配置しています。
また、家庭環境などに課題を抱え、医療や福祉などにつなげる必要がある場合には、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーを活用しております。
いずれも重要な役割を担っていただいており、必要な職であると考えております。
生徒の悩みの解消に時間が掛かるという御指摘につきましては、これまで以上に教員と外部人材が連携を密にし、迅速な対応が図れるよう学校を支援してまいります。
次に、スクールソーシャルワーカーの勤務条件の改善についてでございます。
勤務条件については、学校における役割に応じ、資格要件や配置日数、勤務時間を定め、給与は月額又は日額として設定しております。
報酬額の違いにつきましては、月あたりの配置日数によるものでございまして、時給単価に換算いたしますと、スクールソーシャルワーカーは、教育相談員よりも高く設定しているところでございます。
次に、入学時から生活指導できる調査票を教育局として作成し、中学から高校に対して、しっかりと申し送りすべきであり、今年度から実施することについてでございます。
高校に入学する生徒の特性や課題の実態を把握し、中学校から高校へ支援をつないでいくことは大変重要であります。
そこで学校では、特別な支援を必要とする生徒が円滑に学校生活を送ることができるよう、県が作成した個別指導用のシートなどを活用し、一人ひとりのニーズに応じたきめ細かい支援に取り組んでおります。
また県では、中学校の管理職や教職員を対象とした会議や研修において指導計画などを本人や保護者の意向に配慮した上で、高校へ引き継ぐよう周知しております。
高校に対しても、校長会や教務主任が集まる会議などにおいて、生徒の情報を中学校から適切に引き継ぎ、生徒の実態を把握した上できめ細かい生活指導を行うよう、改めて指示してまいります。
次に、卒業生の就職を支援するための体制を整えることも重要と考えるがいかがか、についてでございます。
特別な支援が必要な生徒を就職につなげていくことは重要であると考えております。
そこで高校では、就職が決まらないまま卒業する生徒に対して、ハローワークの就職支援担当者と教員が連携して、一人ひとりの実情に応じた個別の就職支援を行っております。
今後、進路担当者や就職支援教員を対象とした研修会などで、こうした個別の就職支援をより丁寧に行うよう、各学校に指示してまいります。
次に、あらゆる手段を使って子供たち一人ひとりの実態把握に努めるとのことだが、具体的にどのような方法かについてでございます。
高校では、入学する生徒について、中学校から提供される情報のほか、直接中学校へ聞き取りに行くなどして、学習面、行動面、健康面の課題や、家庭環境など生活指導を行う上で必要な情報を収集し、実態の把握に努めております。
また、入学後においても、生徒や保護者との面談や、関係機関との連携を通して情報を収集し、高校生活における指導に活用しております。
今後も、中学校と高校における、相互の連携体制の更なる強化に努め、全ての生徒が充実した学校生活を送ることができるようしっかりと取り組んでまいります。
再Q 松坂喜浩 議員(県民)
スクールソーシャルワーカーの常勤化について御答弁いただきました。考え方も分かりましたし、また国の配置の在り方を見てということもありました。そしてその中でも、教育長が答弁の一番最後に、全ての生徒が充実した生活が行われるように支援していきたいというお話がございました。
県内の高校の中にも、いろんな状況の学校があったり、たまたま今回は吹上秋桜高校で挙げておりますけれども、多数いろいろな問題を抱えている学校であったり、子供たちの悩みがあったりという学校があります。その中で、スクールソーシャルワーカーの常勤化ということでお願いしたんですけれども、ここまで来ると、この吹上秋桜高校でいきますと週2日ということでありましたけれども、これは逆に、教育事務所単位でも結構だと思うんです。県内東西南北でいいと思うんですが、大体、問題を抱えている学校というのは把握されていると思うんですけれども、そういった学校、エリアを区切る中で常勤化しながら、そこを拠点とした中での相談を受けられる窓口としてのそういったシステムを検討していただけないか。
教育相談所のほうにソーシャルワーカーさんを配置するということであったんですが、なかなかワンストップまでいかないということにつながるかと思います。是非とも拠点校をつくって配置していただけるよう御検討いただけないか、質問させていただきます。
それとともに、処遇、勤務条件でありますけれども、先ほど8万円と16万9,000円というお話をさせていただきました。確かに日額と給与の差はあろうかと思いますが、ソーシャルワーカーさん、逆に週4日、月16日出ますと大体16万円ぐらいになろうかと思います。勤務条件というとやはり金額になろうかと思いますが、そういったことも検討いただければありがたいと思っております。そして、平準化を図っていただければありがたいと思います。
その点について、二点お願いします。
再A 高田直芳 教育長
はじめにスクールソーシャルワーカーの常勤化についてでございます。
拠点校などとして県内全域をカバーできるような仕組みが整えられないかという御趣旨だったかと存じます。
現在、スクールソーシャルワーカーにつきましては、県内に4カ所教育事務所に1名ずつ配置し、全ての県立学校が利用できる状況をつくっております。
さらに、私が校長を務めさせていただきました吹上秋桜高校をはじめ、多部制の定時制高校などには、8校にスクールソーシャルワーカーを配置して、全ての定時制高校が利用できる状況になっております。
すでに全ての学校で活用できるように配置をしておりますことから、さらに、答弁の中でも申し上げましたけれども、多部制定時制高校の生徒をはじめ県立高校の生徒の中には様々な課題をもって一生懸命がんばっている生徒がたくさんおります。
中途退学を経験した者、不登校を経験した者、家庭の環境が非常に厳しい者、あるいは特別な支援が必要な子供たち、いろんな生徒がおります。
学校にはそれぞれの課題に対して、専門的立場から御支援をいただくスタッフがどうしても必要だと思っておりますので、スクールソーシャルワーカーは非常に大事な職だと思っておりますが、それらの皆様にバランスよく応援していただくことが私としては大切だと思っているところでございます。
二つ目の勤務条件についてでございます。
答弁でも申し上げましたとおり、資格要件あるいは必要とされる日数などを定めまして、それぞれ日額、あるいは月額でお支払いをさせていただいております。
スクールソーシャルワーカーの常勤化と関連いたしますけれども、いろんなスタッフの方にバランスよく応援をしていただくため、現在、吹上秋桜高校には、週2日の勤務をお願いしているところでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
大河ドラマと地域振興について
Q 松坂喜浩 議員(県民)
来年、深谷市出身の渋沢栄一翁がNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公として登場することは、多くの方に周知されています。私の今回の質問は、その翌年に予定されています大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」にもスポットを当て、埼玉県をより全国にPRすべきとするものであります。「鎌倉殿の十三人」は、伊豆の北条義時が主人公でありますが、その妻、姫の前ですけれども、比企郡滑川町に館があったとされる比企一族の娘であります。当然ながら、比企一族のドラマ登場が大いに期待をされるところであります。
「青天を衝け」「鎌倉殿の十三人」と、2年にわたり埼玉県が大河ドラマに登場するのは初めてのことであり、今後二度とないものと思います。私は、このチャンスを大いに活用すべきだと考えております。
幸い「青天を衝け」は、渋沢栄一翁の名は全国に知れ渡っていますが、「鎌倉殿の十三人」の比企一族といえば、知名度が低いことは否定できません。しかし、比企一族、比企尼は、埼玉の三大偉人と言われる塙保己一、荻野吟子、そして渋沢栄一に劣らない、日本武家政権の誕生の立役者と言っても過言ではありません。
では、どうしたら埼玉県の中央部に比企一族あり、比企尼ありとPRできるだろうか。青天と鎌倉殿へと続く二つのドラマを結び付ける何かがあるか、あるいは深谷と比企を結び付けるのは何かと考えました。そして、たどり着いたのが畠山重忠の存在であります。
御存じの方も多いと思いますが、重忠は深谷市川本の出身ですが、後に比企郡嵐山町菅谷に館を構えたと言われてします。現在の県立嵐山史跡の博物館の建つ場所であります。畠山重忠を青天から鎌倉殿をつなぐキーマンと捉え、県立嵐山史跡の博物館内に比企一族の特設コーナーを設けることによって、青天に次いで鎌倉殿を活用した埼玉県の歴史教育に大きな役割を果たすものと確信しております。
そこで、県として、教育振興の観点からも嵐山町にある県立嵐山史跡の博物館に坂東武者に関する特別展を開催できないか、また、比企一族に関する展示コーナーが設置できないか、併せて教育長にお伺いいたします。
まだ「青天を衝け」の放送すら始まる前ですが、渋沢栄一翁によって埼玉県を全国に向かって大いにPRを果たした結果、その火を絶やすことなく次につなげるものは、「鎌倉殿の十三人」関連へのPRにほかならないと思います。そこで、「青天を衝け」「鎌倉殿の十三人」を一つに結び付けPRすることで、新たな観光資源となるものと考えますが、大野知事の見解をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
「青天を衝け」、「鎌倉殿の13人」を一つに結び付けてPRすることについてお答えを申し上げます。
渋沢栄一翁が主人公の大河ドラマ「青天を衝け」は来年2月14日に放映がスタートする予定であり、地元深谷市では「大河ドラマ館」を開設運営し、地元や県内で誘客に向けた情報を発信することとしています。
県では、深谷市が設置した推進協議会に参画し地元の取組を支援するとともに、渋沢翁をPRする動画の制作放映などを通じて県外からの誘客を図る取組を行っています。
また、NHKに対しドラマ制作の参考となるよう、地元で親しまれているゆかりのスポットを紹介するほか、渋沢翁の故郷を訪ねるツアーを企画実施しております。
令和4年には、比企能員や畠山重忠も登場する大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放映が決定しており、好機が続きます。
坂東札所である東松山市の岩殿観音正法寺、嵐山町の菅谷館跡や深谷市の史跡公園など、県内には登場人物と関わりが深いスポットがいくつもあります。
引き続きNHKと連絡を密にし、2つの大河ドラマの放映と連動した企画の検討や、ゆかりの地を巡るツアーなどを通して広域周遊につなげたいと思います。
あわせて、地元市町に対して大河ドラマの放映に関連した取組やイベントの積極的な開催を働き掛けるとともに、県公式の観光サイト「ちょこたび埼玉」やSNS、観光情報誌などを活用し気運醸成を図ります。
今後、2年連続が二度とないとは思いませんが、本県ゆかりの人物が2年連続で取り上げられる大きなチャンスを生かし、地元市町の盛り上がりとも連携しながら、歴史的な人物を切り口とした観光振興に積極的に取り組んでまいります。
A 高田直芳 教育長
嵐山史跡の博物館における坂東武者に関する特別展の開催についてでございます。
令和4年に放送されるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、畠山重忠や比企一族の比企能員など埼玉ゆかりの武士が重要な役柄で登場すると伺っております。
議員お話しの嵐山史跡の博物館は、畠山重忠の館跡と伝わる場所にあり、「中世の城と武士の博物館」をキャッチフレーズに、地域の歴史や文化財について展示し、紹介してまいりました。
大河ドラマによって、これらの武士や関連する文化財などが、今まで以上に注目されることが見込まれます。
埼玉の歴史や文化財などの魅力を県内外に発信するまたとない好機となることから、大河ドラマの放送に合わせ、その時代をテーマとする企画展を嵐山史跡の博物館において開催することを検討してまいります。
次に、比企一族に関する展示コーナーの設置についてでございます。
比企能員やその一族は今から約800年以上前の人物であり、残念ながら当時の資料はほとんど残っておりません。
しかし、比企地域には、比企一族ゆかりと伝わる寺もあり、「吾妻鏡」など後世の歴史書や文学にも、多くの記述が残っております。
こうした伝承や文学を活用し、比企一族をはじめ、埼玉ゆかりの武士たちについて企画展の中で展示することを検討してまいります。
特別支援学校卒業後の医療的ケアについて
Q 松坂喜浩 議員(県民)
一昨年、昨年に引き続き、医療的ケアが必要な肢体不自由な方々も含めた生活介護事業所利用者への支援について伺いました。引き続き、今回もやらせていただきます。
令和元年度の県立特別支援学校高等部の卒業生は1,098人、進路先の主な内訳は、一般就労351人、就労継続支援A型25人、就労継続支援B型265人、生活介護事業所272人と、平成30年度と比較し、数字的には同数に近いものであります。その実数から判断しますと、毎年同数の卒業生がいることから、生活介護事業所利用者が毎年おおむね300人増えていることは事実であります。
その実態として、各自治体にその受皿の状況を確認しても、現状は問題ありませんとの回答です。しかしながら、医療的ケアが必要な高等部卒業生を受け入れてくれる事業所等の不足を何とか改善できないかと、保護者団体から要望が寄せられているのが現実であります。
さらに、令和10年度までの特別支援学校の児童生徒数の将来推計も出ていて、これからますます生徒数の増加が予測されます。そのような実情からすると、現実には在宅で介護を受けられている方が多いことが推測されます。
まず、私は、こうした実情の背景として、医療的ケアに対応できる看護職員が不足しているものと考えます。昨年の6月定例会で、生活介護事業所の生活支援員及び看護職員不足を県独自で補う体制が必要との私の質問に対し、「県として利用者の状況に応じた職員の配置ができるよう給付の基準を見直していく必要がある。これは全国的な課題であり、国の制度において解決すべきものと考えるので、ほかの都道府県とともに給付費の増額など必要な改善を国に要望したところ、平成30年度の給付費改定で、看護職員を複数配置している施設には加算の拡充がされた」と答弁がありました。しかしながら、こうした加算についても、まだまだ利用者が満足するまでには至らず、看護職員不足により在宅での介護を余儀なくされているとも聞いています。
そんな実情を改善する方法として、在学生が放課後等デイサービスを利用している中で、一定の研修を受講した児童指導員や保育士等に、たんの吸引等の医療的ケアを認める制度がとられており、その研修費用の一部を県が助成しています。その制度を卒業生が利用している生活介護事業所へも拡充していただきたいと思います。
生活介護事業所では、看護師が常勤で配置されていない場合もあることから、医療的ケアが必要な方も受け入れるためには、生活支援員が研修を受講し、受入体制を整える必要がございます。このことから、たんの吸引等の医療的ケアを行うために受講する研修費用等を県が助成することにより、生活介護事業所の生活支援員への支援につながり、一人でも多くの医療的ケアが必要な肢体不自由な方々への支援につながればと考えますが、福祉部長に見解をお伺いします。
A 山崎達也 福祉部長
生活介護事業所は、障害の重い方に対し食事や排せつなどの介護や日常生活上の支援を行う通所施設であり、特別支援学校卒業後の進路の一つとなっています。
令和2年3月末現在で、県内316カ所、定員6,916人であり、前年度末と比べ26カ所、定員412人分が増加をしています。
一方、医療技術の進歩などにより、たん吸引や経管栄養などの医療的ケアを必要とする重度の障害児者が増加しています。
現在、医療的ケアに対応可能な生活介護事業所は全体の約3割であり、身近な地域で必要なサービスを提供するためには、受入れ施設をさらに確保することが重要となっています。
議員お話しの看護職員に対する加算の充実に加え、生活介護事業所において研修受講により医療的ケアができる生活支援員が増えるようになれば、医療的ケアが必要な特別支援学校卒業生の支援の充実につながるものと考えます。
県といたしましては、議員御提案の研修費用の助成などを含め、生活支援員の研修受講が進むような具体策を検討し、医療的ケアが必要な障害者の受入れが進むよう取り組んでまいります。
令和元年台風第19号から一年
Q 松坂喜浩 議員(県民)
昨年の台風第19号により、埼玉県内全域で甚大な被害を被ってしまいました。その復旧及び被災自治体との連携や事務手続などの応援、県庁挙げての対応に当たられたことに感謝申し上げますとともに、私の地元の復旧・復興への対応について、環境部をはじめ県土整備部、関係部局の皆様方の御尽力に敬意を表させていただきます。
さて、台風第19号の大雨により、都幾川、越辺川の堤防決壊で浸水被害を受けた東松山市の623世帯のうち、住宅の再建、補修が終わったのは、9月末現在ですが506世帯、81.2%との報告が、東松山市被災者生活再建支援室からありました。東松山市で浸水被害が特に多かったのは、私の地元の早俣地区で92世帯全て全壊、葛袋地区73世帯のうち全壊1棟、大規模半壊34棟、半壊21棟、一部損壊17棟、毛塚地区132世帯のうち大規模半壊98棟、半壊12棟、一部損壊22棟と、まだまだ被害の爪痕が残るような状況でもあります。
市が被災した世帯を対象に行った住宅再建の意向調査から、被災297世帯のうち、おおむね75%の223世帯は補修又は新築して住み続けるとし、将来的には不安はあるものの、現在の場所から離れない方は多数あり、それに向けた住宅再建への作業がいまだ続けられています。その生活再建に向けてやらなければならないことは、まずは全壊した家屋などの解体からです。
国が都道府県に対し、解体に関わる災害等廃棄物処理事業の取扱いの通達を出されたのが昨年の11月7日、その内訳として、ごみ処理に係る損壊家屋等の解体工事に必要な経費、また、地方自治法第252条の14第1項の規定に基づき、市町村が県に委託する災害廃棄物処理事務に要する経費を含められることが明記されました。これがいわゆる公費解体となるもので、被災者が住宅再建に最も頼らざるを得ない作業でもあります。その通達を受けて、今年の1月14日から受付を開始、9月末で受付完了という手順で作業が進められたものの、いまだ解体が終了していない現状でもございます。
私も、他県の状況がどうなのか岡山県倉敷市に問い合わせてみたところ、全て終了するのに1年半かかったということでありました。埼玉県としても公費解体を行ったのは初めてであり、二度とこの補助金を使うことがないことを望むものでありますけれども、万が一あった場合には迅速な対応が求められるもののであります。
手続としては、まずは申請家屋が補助対象とすることが可能なのかなどの調査から始まり、家屋解体に係る経費の積算、業者選定の入札という流れになります。この経費の積算基準については、県単価の解体費用として木材運搬等の大枠のみ提示されているだけであり、被災自治体はそれを基に細部の積算単価を算出しなければならないため、少し時間がかかり過ぎてしまうようにも思います。
埼玉県として、今回の公費解体を踏まえ、危機管理の一環としても公費解体に係る積算基準を、建設工事と同様、すぐにでも対応できるよう細部まで明確化していくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、公費解体を踏まえた中で、埼玉県として関係団体との支援体制をあらかじめ構築しておくべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上、環境部長にお伺いします。
A 小池要子 環境部長
公費解体に係る積算基準をすぐにでも対応できるよう、細部まで明確化しておくことについてでございます。
大規模災害時にいち早く家屋等の県民の財産を復旧するためには、事前の準備と初動対応が重要です。
昨年10月の台風19号では、議員お話しのとおり、本県として初めて公費解体の対応が求められました。
そこで、県では、翌11月に市町村の廃棄物担当者を対象として家屋解体の説明会を開催し、市町村の手続きが正確かつ迅速に進むよう支援いたしました。
12月には、国の基準をもとに埼玉県解体業協会の意見等を参考にして、積算単価などの基準を市町村に示したところでございます。
大規模な災害では、被災家屋の損傷の程度など様々なケースが発生するため、今回の基準だけでは不十分な点もあったと認識しております。
一方、一部の市町村からは基準が細かすぎると、地域の実情に合わず使いにくいなどの声も聞いております。
今後、台風19号における対応状況を市町村から改めて聞き取り、課題を整理した上で、多数の公費解体が発生するような場合でも迅速に対応できる基準となるよう十分に検討してまいります。
次に、関係団体との支援体制をあらかじめ構築しておくことについてでございます。
台風19号では、災害廃棄物の収集運搬や仮置場のオペレーション等において、あらかじめ一般廃棄物連合会や環境産業振興協会との災害時の支援協定を締結していたことが功を奏したと考えております。
2つの団体は、県と連携を図りながら発災直後の東松山市の現場に入り、早俣地区をはじめとした被災地区で、大量に発生したごみを効率的に撤去し、また仮置場に持ち込まれる廃棄物の適切な分別、整理を数カ月にわたり実施していただきました。
家屋解体をはじめ迅速かつ円滑に災害廃棄物処理を行うためには、こうした早い段階からの専門的な知見を踏まえた対応が必要です。
そこで、現在、埼玉県解体業協会と県及び市町村等との災害時の支援協定締結に向けて、調整を進めているところでございます。
今後とも家屋解体を含めた災害廃棄物処理が迅速かつ円滑に実施されるよう市町村や関係団体との支援体制の構築とその実効的な運用に努めてまいります。
看護師・准看護師への支援について
Q 松坂喜浩 議員(県民)
急速な高齢化の進展により医療や介護の需要は大幅に増大することが見込まれ、さらに生産年齢人口の減少により医療・介護を担う人材の確保は、より一層困難となることが想定されます。埼玉県地域保健医療計画(第7次)では、医療従事者等の確保について医療・介護事業の大幅な増加が見込まれる2025年に向けて、養成のみならず少子化や人口減少を踏まえた離職防止、定着促進、再就業支援を軸とした総合的な看護職員確保対策を強化していく必要があるとしております。
そして昨今では、コロナ禍における医療体制の構築は重要であり、そのためには圧倒的なマンパワーが必要です。そのためにも看護職員の確保、特に看護師・准看護師の養成は非常に重要であり、早急に取り組むべき課題であります。
県内医師会立の看護師・准看護師養成所について、両校合わせて26校が地域医療の現場を支える一翼を担っておりますが、ここ数年、受験希望者の減少とともに定員を確保できない養成所もあります。そのような状況の中、まずは看護師・准看護師になるための経済的不安を軽減するとともに、志のある人材を確保していくため、埼玉県看護師等育英奨学金の貸付条件の緩和、特に貸付額の増額、県内で5年間従事することにより奨学金の返還を免除することが必要と考えますが、保健医療部長にお伺いいたします。
A 関本建二 保健医療部長
本県の看護職員数は、平成30年12月末現在で全国第7位の6万8,722人であり、直近の10年間の伸びでは、増加数で全国第4位、増加率で全国第1位となっております。
一方、18歳人口が減少する中、県内の看護師等養成所の受験者数は減少傾向にあり、さらに、受験者は准看護師より正看護師、看護師等養成所より大学を選択する傾向があります。
看護師と准看護師養成所の受験者総数は、平成23年度入学の9,820人から令和2年度入学の4,871人と約50%減少しております。
また、こうした中、養成所の学生に対する県の奨学金の利用者も、平成23年度の106人から、令和2年度では現時点で46人と年々減少しております。
さらに、今年度から開始された高等教育の無償化制度により、低所得世帯の学生の実質的な負担はなくなっております。
経済的支援としての県の奨学金の意義は変わってきており、貸付条件の緩和や貸付額の増額については慎重に検討する必要があると考えております。
一方で、議員ご提案の「県内で5年間従事することにより奨学金の返還を免除する」ことは、医師の奨学金制度においても、特定の地域や診療科への誘導に効果的な対策となっております。
今後の看護師需給の動向や県内各地域の看護師不足の状況を分析し、より効果的な奨学金制度の活用について検討してまいります。
再Q 松坂喜浩 議員(県民)
そして、保健医療部長のほうにもお伺いさせていただきたいんですが、なかなか看護師・准看護師不足、ここで受験者数も大分減っているということでもあるんですが、他県の状況を見ると、5年間勤務した中での要するに返還金の免除ということをされている他県、結構あります。埼玉県も他県の状況を見ながら検討していただけないか、回答いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
再A 関本建二 保健医療部長
5年間の従事を条件に奨学金の返還を免除することは、答弁でも申し上げたとおり、医師の奨学金制度においても特定地域などへの誘導に効果のある対策であると認識しております。
御指摘のとおり、他県の状況を踏まえ、しっかりと検討させていただきます。
移住促進について
Q 松坂喜浩 議員(県民)
令和元年度の「住むなら埼玉」移住総合支援事業の推進として、若者や子育て世代をターゲットとした移住プロモーションを実施し、その取組の一環として「埼玉物語」の移住PR動画、これには期待しているところであります。
さて、県内推計人口からも県全体では人口が微増しているにもかかわらず、市町村別で見ると、63市町村中、40市町村が人口減となっております。特に、県中央部を北東方面から南西に横切る圏央道を挟んで南側では人口が増えている一方、北側、特に西部では5年で5%以上の人口減の市町村が集中しています。
埼玉県は、移住を希望する子育て世代や高齢者など幅広い世代に本県の良さを知ってもらうため、各市町村の情報や魅力を一元化して発信するなど、本県の移住につなげるための支援を充実させることが重要と考えます。他県に負けない移住政策について、企画財政部長にお伺いいたします。
また、移住を希望する人の中には、埼玉で農業をやってみたいという明確な目的を持った人もいます。「埼玉ではじめる農ある暮らし」という県のホームページを見ると、移住までのステップが紹介されています。
私は先日、小川町移住サポートセンターに寄らせていただき、専従のサポーターさんから、農ある暮らしについてお話を聞かせていただきました。小川町では、主に有機農業という仕事と暮らしに力を入れていることから、新規就農者も少数ではありますが増えているということでありました。しかし、その反面、課題もあります。新規就農となると農家住宅が望まれますが、空き家があっても貸家になかなか結び付かなく、また、農地の所得も様々な条件があり、簡単ではないという実態があります。
そこで、農ある暮らしを目的とした移住希望者に対し、スムーズに移行が行われるような支援が必要と考えますが、農林部長に見解をお伺いします。
A 堀光敦史 企画財政部長
他県に負けない移住政策についてお答えを申し上げます。
本県は、県全体の人口は増加しているものの、圏央道以北を中心に人口減少が進んでいるため、平成30年度から本格的に移住促進プロモーションを実施しています。
その効果もあり、移住相談件数は、平成29年度と令和元年度で比較すると約75%増加しており、増加率は全国3位、関東で1位でございます。
折しもコロナ禍において、東京都が今年5月に初めて、転出超過となった一方で、本県は転入超過が続いており、4月から10月までの合計は全国1位となっております。
これは、テレワークの普及により、都心に近く自然豊かな本県への移住に注目が集まっていることなどが考えられます。
こうした状況を追い風にして、今年度、県では新たにテレワークをテーマとした動画「埼玉物語」を作成し、SNSを活用した広報を始めました。
この動画は、他県にも例のない、ドラマ仕立ての10秒の短編を12本作成し順次公開していく手法で、長期にわたりプロモーションを行うものでございます。本日までに第4話まで公開しております。閲覧数は、公開から1か月で約3万回と大変好評を得ています。
動画の効果は、県と市町村の情報を一元化した移住サイト、住むなら埼玉の閲覧数にも表れており、昨年度同時期と比較して3倍以上になっております。
今後も、このような工夫を凝らした手法で、埼玉の魅力や優位性を前面に打ち出して積極的に移住情報を発信するなど、他県に負けないよう移住政策をより一層充実させてまいります。
A 強瀬道男 農林部長
農ある暮らしの移住がスムーズに行える支援について、お答えを申し上げます。
農ある暮らしは、家庭菜園を楽しむものから、本格的な農業を目指すものまであり、県では、相談窓口で移住希望者の要望を聞いて、ニーズにあった支援を行っています。
家庭菜園を楽しみたい方には、移住促進に取り組む市町村の中で、市民農園や農園付き住宅がある市町村相談窓口を紹介しています。
また、移住希望者の様々な要望に応えるには、地域の情報を持つ移住支援者の協力も重要であり、県では、各地の移住支援者の交流会を開催し、情報やノウハウを共有することで相談対応力の向上を支援しています。
さらに、本格的な農業を目指す方には、農業技術がなければまずは農業大学校を勧め、一定の技術があれば市町村やJAが協力して設置している明日の農業担い手育成塾を紹介しています。
担い手育成塾では、就農希望地で指導農家から実践的な指導を受けた後、実際に営農する農地を確保できるよう支援しています。
また、様々な地域情報を持つ指導農家や地域の方に、農地や住宅の確保などについても協力していただいています。
担い手育成塾は現在、県内24地区に設置されており、更に新たな地区での設置を推進してまいります。
今後とも、市町村や関係機関と連携し、移住希望者のニーズに応じた農ある暮らしがスムーズに実現できるよう支援してまいります。
米の新品種開発について
Q 松坂喜浩 議員(県民)
埼玉県産米を代表する銘柄として、コシヒカリ、彩のかがやき、彩のきずなが挙げられます。埼玉県の主力米となっているのが、彩のかがやき、彩のきずなです。彩のかがやきは食感は良いのですが、天候に左右されやすく収量のぶれが大きいという課題があります。そのような条件の中で新たな品種改良に取り組む中で、2007年の夏は熊谷市で約41度を観測し、彩のかがやきはもとより、コシヒカリ、キヌヒカリなどとともに新たな開発を進めていた約300種の多くの米が高温障害の打撃を受けてしまいました。その高温障害を受けながらも、奇跡に残った1株が彩のきずなの原形でした。彩のきずなが2017年に26年ぶりに特Aを獲得したことは記憶に新しいかと思います。
県では、このような品種開発に取り組んでいるところでありますが、埼玉県産のお米の有力な品種を見ると、収穫期が早めのコシヒカリと彩のきずな、収穫期の少し遅い彩のかがやきとなっており、その間に収穫できる有力な品種がないように思います。
そこで、麦との二毛作に活用できるなど埼玉農業の振興に資するような、埼玉県の気候風土に適し、かつコシヒカリ、彩のきずなと彩のかがやきの間に収穫できる新たな品種開発が必要と考えますが、農林部長の見解をお伺いいたします。
A 強瀬道男 農林部長
現在、米の生産では規模拡大が進んでおり、これを更に進める上では、作業量が多く機械・施設を計画的に使用する必要のある収穫・乾燥作業時期の分散が重要です。
田植えの時期については、農業用水が確保できる時期が限られることや、作業を集中的に行うことが効率的であることから、地域ごとに一定の期間に集中しています。
このため、収穫時期を分散するには、田植えから収穫までの期間が異なる複数の品種が必要となります。
そこで、県では、栽培期間が短い「コシヒカリ」や「彩のきずな」と、期間が長い「彩のかがやき」に加え、これらの間に収穫できる新品種を開発しています。
この品種の栽培では、夏の暑い時期に稲の穂が出ることが想定されるため、食味の良さに加え、高温耐性を持つよう開発を進めており、現在、有望系統について農家のほ場で栽培試験を行っています。
また、この品種は、麦を収穫した後に田植えをする栽培も可能であり、二毛作栽培にも活用し得るものです。
埼玉農業の振興に資するような新品種を完成させられるよう、全力で取り組んでまいります。
地元問題について
県道東松山越生線の整備について
Q 松坂喜浩 議員(県民)
まず、県道東松山越生線の整備についてお伺いします。
県道東松山越生線は、東松山市中心部から鳩山町を経由し越生町に至る、県西部地区を支える主要な幹線道路です。この県道の東松山市内の箭弓町3丁目交差点から南側の東松山駅方面に向かう区間は、県道深谷東松山線と併せて、東松山市役所と東松山駅を結ぶ重要な役割を果たしております。この区間の整備を進め、市道部分も併せて拡張することで、市役所と駅を結ぶ東松山市の骨格となるネットワークが形成され、東松山市中心市街地の活性化にもつながります。
私も、平成28年9月定例会で取り上げましたが、東松山市議会でも今年の9月定例会の一般質問にて、坂本俊夫市議からも計画についての質問もありました。
そこで、お伺いします。県道東松山越生線の箭弓町3丁目交差点から南側の区間の整備の今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。
A 中村一之 県土整備部長
この県道の箭弓町3丁目交差点から南側100メートル区間は、東松山駅と市役所を結ぶルートの一部でありながら、幅員が狭いため、一方通行であり、また、歩行者の安全性の確保も課題となっております。
このため、令和2年度から道路の拡幅及び無電柱化について検討を始め、現在、測量及び設計に着手したところです。
設計が終わり次第、地元の皆様へ説明を行い、用地取得に向けた測量、物件調査などを進めてまいります。
今後も、地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、事業の推進に努めてまいります。
県道鴻巣川島線の整備について
Q 松坂喜浩 議員(県民)
県道鴻巣川島線は、鴻巣市を起点とし吉見町を経て川島町へ至る路線であり、国道17号と川島町の国道254号を結ぶ地域の東西交通の動脈として、地域間の連携や産業振興の促進に大きな役割を果たしております。この路線の整備促進については、主要地方道鴻巣川島線整備促進期成同盟会としても要望させていただいておりますが、この路線と交差する東松山鴻巣線の吉見町区間での4車線化の事業が進められており、県道鴻巣川島線への交通量の影響も予測され、より一層の歩行者の安全確保と渋滞解消対策を進めていただきたいと願っております。
現在、歩道の未整備区間については目に見える形で事業が進められており、また、交差点の整備についても事業に着手していただき、地元から早期完成を望む声が寄せられています。以前にも同様の質問をいたしましたが、県道鴻巣川島線の吉見町及び川島町地内の整備を進めている箇所の現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いします。
A 中村一之 県土整備部長
吉見町及び川島町の県道鴻巣川島線では、現在、歩道が連続していない箇所を中心に整備を進めております。
まず、吉見町荒子地内の衛生研究所入口交差点の北側300メートルの区間につきましては、令和2年6月までに歩道整備に係わる全ての地権者から契約を頂くことができました。
今後は、土地の引き渡しが終わり次第、速やかに歩道工事に着手してまいります。次に、川島町下小見野地内の280メートル区間につきましては、現在、用地買収率が53%なっております。
引き続き、用地取得を進めるとともに、まとまって用地が取得できたところから、順次歩道工事を進めてまいります。
次に、川島町上伊草地内の80メートル区間につきましては、令和3年1月から、残る未整備区間の工事に着手し、令和3年3月の完成に向けて取り組んでまいります。
また、吉見町の万光寺交差点は、見通しが悪く右折帯もないことから、現在、交差点改良を行うための測量及び設計を進めております。
設計が終わり次第、地元の皆様へ説明を行い、用地取得に向けた測量、物件調査などを進めてまいります。
引き続き、地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、自転車歩行者の安全と円滑な交通の確保に取り組んでまいります。