新型コロナウイルス感染症対策における手洗いと消毒の徹底について

Q 鈴木正人 議員(県民)

新型コロナウイルス感染症は、大野知事のリーダーシップや先頭に立っての分かりやすい県民への広報活動、そして何よりも緊急事態宣言下の中の県民の皆様の御協力によって、第3波と呼ばれる陽性者の数は減少しております。一方で、店頭で用意されたアルコール消毒液等は、以前よりも消費が極めて少なくなり、全員が入出店時、消毒しているとは思えない新型コロナ慣れの現象も起こっております。
しかし、感染症対策の基本は、やはり個々の感染防止意識が重要であると考えております。感染予防を知っていると行っているとは異なります。知っていても行っていなければ意味がなく、定期的な意識付けが必要です。三密を避ける、マスクをするということはすっかり定着しているとは思いますが、最近は手洗い、消毒の徹底という基本中の基本がおろそかになっているのではないかと、自分自身の反省も含め気になっております。
ある医療従事者の方に常に心掛けている感染症予防策についてお話を伺ったところ、手洗いは毎回20秒以上で1日20回以上行い、指先までしっかりと洗うようにし、手指消毒は15秒以上しっかりとすり込み、1日50回以上行うという徹底ぶりでありました。マスクについても、医療従事者の方は不織布マスクを外から自宅に帰宅した際には常に新しいマスクに交換し、自宅に入る前だけでなく車に乗る前にも不織布マスクを新しいものに交換するそうであります。
ここまで気を使っても、医療、介護の現場では感染症のクラスターが発生するわけですから、我々一般人も新型コロナ慣れをせずに、しっかりと基本に立ち返り、手洗い、うがい、消毒の徹底、マスクの交換を小まめに行い、手洗いや消毒をせずに顔は触らないなどの対策を改めて確認すべきであると考えます。
また、一つの方策として、県民に対し感染防止策の数分程度の動画と別紙の感染予防策を行っているかの確認アンケートを作成し、2次元バーコードによって自分のスマホで受講できるようにするのはいかがでしょうか。定期的に受講すると何らかの特典が付く仕組みを作るなどの方法も考えられると思います。
県民一丸となって、第3波と呼ばれる新型コロナ感染症を制圧し第4波を起こさせないためにも、日頃の医療従事者の徹底した手洗い、消毒、マスク交換の努力を知っていただくことも含め、いま一度、県民の皆様に基本に立ち返る行動のお願いを知事をはじめ、埼玉県を挙げて広報していくことが大切だと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
併せて、最近では消毒液を子供たちに使用させていない学校現場ですが、公立学校で消毒液を使用させなくて大丈夫なのでしょうか。新型コロナの家庭内感染が広がっている昨今、学校現場においても子供たちへの手洗い、うがいの徹底指導や消毒も大切だと考えますが、教育長にも御所見をお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐ方策は、手洗い、手指消毒、マスク着用、3密を避けるなど、県民の皆様一人一人の感染防止対策の徹底であると認識をしております。
しかしながら、最近、マスクをしていてもいわゆる鼻出しマスクになっていたり、小まめな手洗いをしていないなど、不徹底や緩みが出ているのではないかと感じるところがあります。
今回の緊急事態宣言下では、事業者、県民の皆様の御理解、御協力により、このところ新規感染者数は減少傾向にありますが、一方で減少速度は鈍化しています。
これから始まるワクチン接種と感染者治療の両方に当たる医療機関の負担軽減を図るためには、新規感染者数を徹底して減らしていく必要があります。
今が正念場だと思っております。
県民の健康を預かる知事として、県民の皆様には気を緩めることなく、基本的な対策を徹底していただくことを訴えていきたいと思います。
その際には、議員の御提案も踏まえ、ポケットブックまいたまや埼玉県新型コロナ対策パーソナルサポートなどを活用する具体的な仕組みを検討したいと思います。
こうした思いや取組を、県ホームページやSNS、動画、ポスター、リーフレットなど、あらゆる広報手段を用いて県民に伝えてまいります。
また、議員より基本中の基本との指摘がありました手洗につきましては、本日、県職員にも私の名前で手洗い等の徹底を呼び掛けることといたしました。

A 高田直芳 教育長

公立学校で消毒液を使用させなくて大丈夫なのかについてでございます。
文部科学省の定める学校における衛生管理マニュアルでは、流水と石けんによる手洗いの徹底を原則としており、消毒液は、流水での手洗いができない際に補助的に用いるよう示されております。
このため、消毒液については全ての公立学校に設置しておりますが、近くに手洗い場がない場合などに使用することとしております。
次に、学校現場における、子供達への手洗い等の徹底指導が大切だと考えるがいかがかについてでございます。
議員御指摘のとおり、新型コロナウイルスの感染防止対策については、手洗いの徹底など、基本的な対策が重要でございます。
県では、「新型コロナウイルス感染防止対策ガイドライン」を作成し、登下校時や昼食の前後、清掃時など、具体的な事例を示し、効果的な手洗いを行うよう指導を徹底しております。
今後とも、手洗いの徹底や消毒液による手指消毒など、学校における感染防止対策に万全を期してまいります。

人権問題解決に向けたウイグル人への埼玉県としての支援について

Q 鈴木正人 議員(県民)

先日、東トルキスタン新疆ウイグル自治区出身の日本ウイグル協会の于田ケリム会長とハリマトローズ理事が県庁の知事室を訪れ、新型コロナウイルス対策のため消毒用のアルコールジェル120本とウイグルの現状が書かれた書籍「私の身に起きたこと~とあるウイグル人女性の証言~」12冊を埼玉県へ寄贈してくださいました。大野知事も、日本ウイグル協会の方々と直接面会してお話を聞き、ローズ氏は多くのウイグル人が強制収容所に入っている現状を知り、力を貸してほしいと訴え、知事は外交は国がやるものだが、国際情勢への理解を深めてもらうような施策は県にもできると応じてくださいました。
ローズさんは、約100万人にも及ぶウイグル人の強制収容所送りを知ると、抗議活動を始めました。ところが、ウイグル自治区に住むお兄さんから昨年5月に電話があり、「日本で反中デモに参加したのか。地元政府の人がそう言っている。毎週末、お前の家に在日ウイグル族が集まっているというのは本当か」とたたみかけてきました。よく見ると、お兄さんが周囲に目配せをするなど落ち着きがないので不審に思い、ひそかに動画撮影を始めると、十分ほどして画面に地元の治安当局者を名乗る漢族男性が現れ、「日本で活動するウイグル組織について知りたい。力になってくれ。君は祖国中国に貢献しなければならない」と、兄を人質に取り、日本で活動する仲間の情報を伝えるスパイになるよう強要したのであります。画面越しのお兄さんは、殴られたのか顔がはれ、体の節々が痛そうでした。この動画はインターネットでも確認することができます。このような卑劣な行為に怒りを覚えざるを得ません。
これは埼玉県民として決して他人事ではありません。埼玉に住む在日ウイグル人の約半数の方々が既に日本国籍を取得しており、埼玉県民のウイグル系日本人が親族を人質に監視され、スパイを強要されているのであります。
そのほかにも、南モンゴル、チベット、法輪功支持者への中国共産党政府の行う弾圧に対する非難の声は、世界中で高まっております。イギリスのBBC放送は、新疆ウイグル自治区におけるウイグル族らの監視、統制を目的とした再教育施設で性的暴行などが組織的に行われたと報じ、施設に収容されたウイグル族の証言が紹介されました。米国は、中国が新疆ウイグル自治区でジェノサイド(集団殺人)を行っていると認定いたしました。その後も、カナダ下院やオランダ下院でも少数民族、ウイグル族に対するジェノサイド(民族大虐殺)が起きているとの非難決議が可決されております。オーストラリアの外相も、国連監視団が直ちにウイグル自治区に入ることが認められるべきだと訴えております。
我が国の政府は、深刻な懸念を表明した程度ですが、日本ウイグル国会議員連盟が超党派議連として再スタートし、海外で起きた人権侵害への対応を政府に促す国会決議を目指しております。また、超党派の対中政策に関する国会議員連盟(JPAC)が、ウイグル問題は重大な人権侵害として激しく非難し、外国で起きた深刻な人権侵害に制裁を課す日本版マグニツキー法の議員立法を目指していると伺っております。
中東をはじめ国際情勢に精通し、在日ウイグル人にウイグル語で挨拶されたというエピソードも持つ大野知事は、世界中で人権問題として取り上げられ、冬季北京オリンピックの開催地移転やボイコットの声まで上がっているこの非人道的弾圧状況について、どのように人権問題として取り上げ、県民に理解していただくよう支援していくのか、御所見をお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

去る2月8日、日本ウイグル協会の于田ケリム会長とお話をさせていただいた際、「ウイグル人の現状を知り、力を貸してほしい」とのお話をいただきました。
新疆ウイグル自治区での人権について、様々な報道がなされていることや国際社会から多くの懸念が示されていることは承知しております。
また、日本政府においては茂木敏充外務大臣が国連人権理事会において「新疆ウイグル自治区の人権状況を深刻に懸念している」と表明をしておられます。
外交は国の専権事項でございますので、地方自治体の長としてこのことについて言及する立場にはありませんが、しかし、いかなる理由があろうとも、特定の人種や民族の人権が損なわれるようなことがあってはならないと感じています。
これは私の基本的な考え方であります。
国連の世界人権宣言でも謳われているとおり「全ての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等」であります。
議員御指摘のとおり、埼玉県に居住するウイグル系の日本国籍を取得された方の人権がないがしろにされているとすれば、深刻な問題であり、法務省等との関係機関とも協調しながら取り組む必要があると考えます。
「誰一人取り残さない、持続可能な発展・成長をする埼玉県」として、国連の掲げる世界人権宣言の精神に基づき、多様な文化や歴史、価値観を理解し、共に地域を支える共生社会の構築を目指してまいります。

厳しさを教える教育について

Q 鈴木正人 議員(県民)

最近は、学校の先生方もすっかり優しくなりました。私も一人の親として授業参観に行くのでありますが、先生方は非常に優しく丁寧に子供たちに接しております。先日、その成果について疑問視され、新聞紙上にも取り上げられた「あだ名禁止」や「男子も女子もさん付けにする」など、とても気を使いながら教壇に立たれている印象を持っております。また、先生から体罰を受けていないかなどのアンケートが学校から家庭にも来ておりますので、現在、絶対に体罰は許さないという固い決意が教育委員会からも感じ取れます。
我々が育った昭和の時代のげんこつやびんた、缶ペンや筆箱で頭を叩かれたり、チョークを投げ付けられる、また廊下に長時間立たされたり、正座させられるという行為は、令和の現在、決して許されない行為であるということは、学校教育法第11条の体罰禁止規定から見ても明らかですから理解いたします。ただ、昭和の時代に厳しく先生方に御指導いただいたことに関しては、しっかりと今でも印象に残り、社会に出てからの様々な困難を乗り越えるたくましさや生きる力を与えてくださいました。
時代は流れ、少子化の中で学校教育法の遵守と子供の人権意識も進み、体罰はほぼなくなってまいりました。しかし、学業を終えて、いずれ社会に出たときには厳しい世界が待っております。社会に出てから厳しい現実に対応できず、すぐに仕事を辞めてしまったり、ニートとなって引きこもってしまうなどの事例も見受けられます。また、そもそも学校の先生たちが正当防衛以外の有形力を行使できないのを良いことに、子供たちが先生の言うことを聞かなくても構わないだろうという雰囲気が醸成されてしまえば、学級崩壊や学校崩壊にもつながりかねません。やはり体罰とは違った形で一定程度厳しく指導することは、クラスや学校の秩序を守るため、また子供たちがたくましく育ち、社会人になってから困難を乗り越えるために必要だと考えております。
そこで伺います。
困難を乗り越える力を付けるため厳しさを教える教育について、現在はどのような形で行われているのか、教育長にお伺いいたします。
あわせて、世界的視野から見た確かな知見や見識を持ち、あの真夏の炎天下で行われた厳しい知事選挙を不屈の精神で乗り越えた大野知事は、困難を乗り越える力を付けるため厳しさを教える教育の必要性についてどのような考えをお持ちになっているのか、教育委員会制度が見直され、改正地方教育行政法による教育における首長権限が強化されておりますので、御所見をお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

困難を乗り越える力を付けるため、厳しさを教える教育の必要性について、どのような考えを持っているのかについてであります。
私は、子供たちが変化の激しい社会を生き抜く力を育むためには、壁にぶつかり、失敗したとしても、目標達成に向けて強く取り組んだり、諦めずにチャレンジすることが重要と考えております。
その際、時には教師が厳しく指導することも必要であります。
たとえ、教師が子供たちを厳しく指導したとしても、子供たちがその意味を理解することが出来るように信頼関係を築いてあれば、あるいはその指導が成功体験に結び付くのであれば、それは、子供たちにとってかけがえのない経験になると思います。
教育委員会には、優れた指導力と使命感を持つ教師を育成し、子供たちが困難を乗り越える力を身に付けられるような教育を行っていただきたいと考えております。

A 高田直芳 教育長

社会の変化が更に激しさを増し、複雑で予測困難となっている中、児童生徒が未来を生き抜くには、学校教育の中で困難を乗り越える力を身に付けていくことが大切であると考えております。
児童生徒は、挫折感や悔しい思いから立ち直り、他の児童生徒と助け合いながら困難を克服するときにこそ、大きく成長するのではないかと思います。
そのためには、児童生徒が目の前の壁を乗り越える経験を少しずつ積み重ねることで自信を持たせることが大切であり、教員には、そのような場面において、温かさの中にも厳しさを持って指導に当たってほしいと考えております。
学校においては様々な教育活動を通して、困難を乗り越える力の育成に取り組んでおります。
例えば、部活動や体育祭などでは、厳しい練習を経て、集団として団結する力や困難を乗り越える力を育んでおります。
また、職業体験や、社会で活躍する卒業生などの講演会を通して、社会の厳しさを学び、安易に諦めず、最後まで粘り強くやり抜く力を育むよう取り組んでおります。
いかなる時代にあっても、児童生徒との信頼関係を築きながら、温かさと厳しさの両面を持って指導することの大切さは変わらないと考えております。
今後とも、教員一人一人が児童生徒との厚い信頼関係のもとで、深い愛情を注ぎながら、時に厳しく、心に響く教育が行われるよう取り組んでまいります。

領土・主権教育における現在までの取組と成果及び今後の取組について

Q 鈴木正人 議員(県民)

2月1日、中国海警局に武器使用の権限を付与する海警法が施行され、それ以降、海警は6回も日本の領海に侵入し、日本漁船が追いかけ回されております。既に、日本のGDPの3倍まで経済を成長させ、アメリカを凌駕する勢いで軍事力を強化し自信を持った中国共産党政府が、いよいよ日本の固有の領土である尖閣諸島を奪おうと活動を常態化しております。
北方領土は北方4島返還から、日露交渉は歯舞、色丹の引渡し明記をした1956年日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速化するとの合意を受けて、2019年から本格的交渉に入りましたが、ロシア側は4島がロシア領であることを公式に認めることが交渉の条件と強調し、友好的な我が国の外交へのアプローチは、北方領土の要塞化という事実上のゼロ回答となりました。韓国による不法占拠が続く竹島につきましても、日韓両国の関係は冷え込み、問題が解決する気配すらありません。
北方領土や竹島の返還どころか、今や尖閣諸島すら風前のともしびで、いつ実効支配で奪われてしまうか分からない状態にあります。
ちなみに、尖閣諸島は埼玉県にとって全く関係のない話ではなく、国有化されていない九場島の所有者は埼玉県民であり、県民の財産が奪われかねない危険な状態にあって、今こそ領土・主権教育が大切であると考えております。
私は今から8年前、平成25年2月の定例会において領土教育について質問し、埼玉県独自の領土教育教科書か資料を作って十分な領土教育をすべきと訴えました。その後、独自の8ページで構成される領土に関するパンフレットが県内のさいたま市を除く公立中学校、高校で配布されました。また、平成31年2月には埼玉県北方領土教育者会議において、小学校高学年から高校生を対象とした2種類の教材「北方領土検定」「北方領土ワークシート」も作成されており、大いに教育現場で活用されるべき資料であると考えております。
以上のように、過去に作成された資料がどのように活用され、どのような効果を上げたのか。今後は更に領土・主権教育を強化していくのか。領土・主権教育における現在までの取組と成果及び今後の取組について、教育長にお伺いいたします。
あわせて、国際社会を知る大野知事には、領土・主権教育は世界の常識なども踏まえてどうあるべきか、御所見をお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

領土・主権教育は世界の常識などを踏まえてどうあるべきかについてであります。
私は、中東の大使館での勤務経験や防衛大臣政務官を務めた経験などから海外における領土や主権については考えるところもございます。
領土と国民の存在が国の構成要件であり、自らの領土は守られる必要があります。
どの国においても子供たちに対し、領土・主権について理解を深める教育が行われております。
そのため、議員御指摘のとおり、子供たちが領土に対する意識をしっかりと持つとともに、我が国に対する自信と誇りを高めることが重要だと思います。
北方領土、竹島、尖閣諸島については言うまでもなく、我が国固有の領土であり、さらには尖閣諸島をめぐっては、我が国が有効に支配をしており、解決すべき領有権の問題はそもそも存在しないことなど、歴史的背景や我が国の立場、国際法上の扱いなどを子供たちに正しく理解してもらうことが大切だと思います。
教育委員会におかれては、子供たちの発達段階に応じて、領土や主権に関する教育についてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

A 高田直芳 教育長

過去に作成された資料が現在までどのように活用され、どのような成果を上げたのかについてでございます。
議員お話の「領土に関するパンフレット」は、領土問題に関する正しい知識や自ら考える力を養うことを目的として、平成26年6月に作成し、さいたま市を除く県内公立中学校及び県立学校の生徒全員に配布いたしました。
配布後は、中学校で96%、高校で93%の学校で社会科や地理歴史等の授業や修学旅行の事前学習などにおいて活用されております。
また、北方領土検定、北方領土ワークシートについては、平成31年4月に小・中学校及び高校で活用するよう周知しております。
その活用状況については、例えば、県内の各種団体で構成されている「北方領土返還要求運動埼玉県民会議」が主催する現地視察や、勉強会の際の生徒や教員の事前学習で資料を活用した中学校の事例がございます。
また、高校では、生徒が北方領土の歴史的背景や事実について理解を深められるよう、日本史の授業で資料を活用している事例がございます。
これらの資料は、生徒に領土問題に関する知識や考える力を身に付けさせる上で、効果的なものであると考えております。
次に、今後はさらに領土・主権教育を強化していくのか、領土・主権教育における現在までの取組と成果及び今後の取組についてでございます。
国は、我が国の領土に関する正しい理解が図られるよう、学習指導要領や教科書検定基準などを改訂し、小・中学校の社会科や高校の地理歴史科、公民科の教科書において北方領土、竹島、尖閣諸島に関する記述を充実させております。
これに基づき、小・中学校では社会科で、また、高校では地理や政治経済などで、我が国の領土に関する指導がしっかりと行われており、児童生徒の理解も深まっております。
例えば、中学校の公民の教科書では、北方領土、竹島、尖閣諸島それぞれが我が国固有の領土であることを明記した上で、歴史的経緯や我が国の取組などについて記述しております。
県といたしましても、我が国の領土に対する理解を深める学習を更に充実していく必要があると考えております。
そこで、議員お話の北方領土検定、北方領土ワークシートが授業で一層活用されるよう、県内の教育関係者で構成される埼玉県北方領土教育者会議が検討中の「北方領土教育に係る指導案」の策定に積極的に協力しております。
今後、これらの取組に加え、我が国の領土について児童生徒が理解を深められるよう、県立学校や市町村に対し指導案や教材の活用を働きかけるなど、領土・主権教育がより一層充実されるよう取り組んでまいります。

地域包括ケアシステムにおける支え手の確保や成年後見制度の利用促進状況について

Q 鈴木正人 議員(県民)

高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、住まい、医療、介護、予防、生活支援が切れ目なく一体的に提供される体制を構築する包括ケアシステムでありますが、当面のめどとなっている団塊世代が75歳を迎える2025年まで、あと4年となりました。我々の世代は、私も経験した子育てと介護を同時に抱えるダブルケアで苦労し、やむなく介護離職を選んだ方もいらっしゃいます。また、子供たちも既に自立し、パートナーにも先立たれ、ひとり暮らしとなった高齢者が物忘れがひどくなり、更には認知症となってしまう問題など、医療や介護サービスなどの公的サービスだけでは生活を支援することが難しい状況も出てきております。そのためにも、包括ケアシステムの構築の中で県民の皆様や民間企業など様々な主体の理解や参画の輪が広がる必要があります。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、民間の方々が運営する高齢者交流施設における憩いの場が自粛などの影響によって一時的に閉鎖されてしまったり、商品の配送サービスなど外出支援の輪を広める事業などが滞っているようにも感じております。
このような厳しい状況下、総合支援チームなどを活用した個別支援を充実させ、地域の実情に即した地域包括ケアシステムの構築に向けて、特に介護分野における着実な人材の確保と成年後見制度の利用促進などが求められていると思いますが、どのような働き掛けや施策を展開されているのか、また成年後見制度についての利用状況は現在どうなっているのか、福祉部長にお伺いいたします。

A 山崎達也 福祉部長

介護分野における着実な人材の確保についてでございます。
地域包括ケアシステムの構築に当たっては、その基盤となる介護人材を安定的に確保していくことが何よりも重要と考えます。
本県では、高齢化の進展により、令和7年度には約1万6,000人の介護職員が不足することが見込まれており、介護人材の確保が急務となっています。
そこで、介護人材のすそ野を広げ、多様な人材の参入を促進する取組を進めています。
介護未経験の方などに対しては、職場研修や介護職員初任者研修を実施するとともに、受講後、就職まで支援する事業に取り組んでおります。
また、高齢者や子育て中の方など生活スタイルに合わせた働き方を希望する方に対しては、介護に関する入門的研修や職場体験を実施し、介護事業所の介護助手として就職を支援する事業を実施しています。 
さらに、来年度は、新型コロナウイルスの影響で離職を余儀なくされた方などを対象に介護事業所への就職に必要な支援金を貸し付けることで、他業種から介護業界への転職を促す事業を計画しております。
こうした取組を通じ、幅広い方々に介護業界への参入を促すことにより、介護人材の確保に取り組んでまいります。
次に、成年後見制度についてでございます。
県内の成年後見制度の利用者は、認知症の方や知的障害のある方などを含めて約1万人でございまして、認知症の人だけでも推計約34万人であることを考えると、制度が十分に活用されているとは言えない状況です。
そのため今年度、新たに策定する認知症施策推進計画において、成年後見制度利用促進のための市町村計画の策定と、相談機能などを備えた中核機関の市町村での設置の促進を主な取組として掲げたところです。
今後は、県社会福祉協議会や弁護士会などの関係機関と協力して市町村を直接訪問し助言を行うなど、体制整備に向けて一層の働き掛けを行ってまいります。
また、利用促進のためには、広く制度の周知を図ることも重要です。
そこで、本県からの提案に基づき、9都県市において、本年9月を合同の普及啓発月間と定め、集中的な広報を行っていくことといたしました。
あわせて、先進事例の共有や意見交換を行っていくことにより、9都県市で連携して普及啓発を推進してまいります。
2025年を間近に控え、誰もが住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、市町村に対しきめ細かい支援を行い、地域包括ケアシステムの構築にしっかりと取り組んでまいります。

北朝鮮による拉致問題解決のための施策について

映画「めぐみへの誓い」への支援について

Q 鈴木正人 議員(県民)

映画「めぐみへの誓い」は、13歳のときに北朝鮮に拉致された横田めぐみさんを中心に、拉致被害者とその家族の苦悩を描いたものであり、舞台劇「めぐみへの誓い―奪還―」が映画化されたものであります。この舞台劇は内閣府拉致対策本部の主催公演となり、本県を含め全国各地で上映活動を行っており、私も二度ほど拝見させていただきました。舞台だけでなくクラウドファンディングによって今回映画化を目指し、制作費約7,000万円という少額の中、拉致問題を解決させたいという皆さんの寄附とボランティアのエキストラなどの協力によって、手作りの映画が制作されたのであります。
映画化を目指したのは、一気に媒体を広げ、海外の映画祭にも出品し、世界の良心ある人々に拉致の現状を訴えることができるからだと伺っております。ただ、寄附によって少額に制作された映画でしたので、完成後でないと上映交渉ができずに苦労されたようであります。去る2月19日から上映が開始されておりますが、まだまだ上映している映画館の数が少ないのが現状であります。北朝鮮による拉致問題解決に向け、県を挙げて応援している我が埼玉県ですが、残念ながら上映する映画館がまだ1カ所もないという状況にあり、今後、舟橋一浩元県議会議員が支配人である川越スカラ座が上映してくださるという予定という状況となっております。
多くの県民の皆様に見ていただくため、苦労している上映場所の確保に向けた橋渡し役として、県は御支援いただけないでしょうか。既に県庁舎内に映画「めぐみへの誓い」のポスターを掲示していただくなどの御支援をいただいておりますが、映画鑑賞する場所がなければ見ることはできません。いつまでたっても北朝鮮による拉致問題が解決しない怒りを感じる中、埼玉県が他県や国を動かすつもりで映画「めぐみへの誓い」を多くの皆様に鑑賞していただけるよう支援すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
多くの県民に映画を鑑賞していただけるための支援について、福祉部長にお伺いいたします。

A 山崎達也 福祉部長

議員お話のとおり、これまでも、県議会や国、市町村、関係団体とともに、「拉致問題を考える県民の集い」や「拉致問題啓発舞台劇」を開催するなど、拉致問題を風化させない取組を行ってまいりました。
県には、拉致問題の解決のため、国と連携を図りながら、北朝鮮による拉致問題に関する世論を啓発し、県民の関心を高め、国の解決に向けた外交活動を後押ししていく役割がございます。
こうした役割を踏まえて、関係団体からの依頼を受け、多くの県民の関心を高める趣旨から映画「めぐみへの誓い」のポスターやチラシを県庁内に掲示するとともに、市町村に映画の周知を依頼しております。
拉致問題を風化させないという趣旨から、多くの県民の方に映画を鑑賞いただけるよう、関係する団体等のお話を伺いながら県としてどのような支援ができるか検討してまいります。

北朝鮮による拉致問題啓発教材及びDVDの活用状況について

Q 鈴木正人 議員(県民)

拉致問題に関する啓発DVDの学校での活用状況につきましては、毎回一般質問などで伺っております。前回の令和元年9月定例会時には、DVDアニメ「めぐみ」の活用率はさいたま市を除く公立学校について小学校98.2%、中学校99.4%、高校78.4%、特別支援学級62.8%でありました。平成28年度に公立高校と特別支援学校に配布したDVD「横田滋・早紀江さんからのメッセージ」は高校54.3%、特別支援学校で39.5%と伺っております。
北朝鮮による拉致問題を若い人たちに伝え風化させないためにも、通算の活用率を上げることも大切ですが、児童生徒たちが配布されたDVDを必ず一度は鑑賞し、真の人権教育を学ぶことが大切であります。そのためには、定期的な状況把握も必要だと考えます。
そこで、教育長に伺います。
拉致問題に関する啓発DVDの学校での活用率は、現在どこまで上がってきているのでしょうか。また、児童生徒が卒業するまでに一度は両方のDVDを鑑賞できるよう、状況把握はできているのか。さらには、以前に行われた桶川西中学校での拉致問題に関する公開授業という取組については、県内の他校に広がっていったのか、お伺いいたします。

A 高田直芳 教育長

拉致問題に関する啓発DVDの活用率についてでございます。
DVDアニメ「めぐみ」のこれまでの活用率は、さいたま市を除く公立小・中学校では100%に達し、高等学校で91.4%、特別支援学校で86.0%まで増えてきております。
また、「横田滋 早紀江さんからのメッセージ」も同様に高等学校72.2%、特別支援学校65.1%に増加しております。
次に、児童生徒が卒業するまでにDVDを鑑賞できているのか、状況を把握しているのかについてでございます。
県では、児童生徒が卒業するまでに一度はDVDを使った学習を受けられるよう、年間指導計画に位置付けられているか昨年度から調査を実施しております。
その結果、DVDアニメ「めぐみ」については、小学校78.1%中学校78.4%、高等学校82.7%、特別支援学校60.5%となっております。
また、「横田滋 早紀江さんからのメッセージ」については、高等学校61.1%、特別支援学校44.2%となっております。
今後も、児童生徒が卒業までにDVDを使った学習を受けられるよう校長や人権教育担当者を対象とした研修会等において、しっかりと働きかけてまいります。
次に、桶川西中学校での公開授業の取組が県内の他校に広がっていったのかについてでございます。
県内では、拉致問題への理解を深め、拉致被害者の奪われた権利を自分のこととして受け止めることができる授業が行われてきております。
例えば、DVD視聴後、子供たちが感じたり考えたりしたことを話し合うことで理解を深めたり、拉致被害者とその家族の心情に迫る授業などが行われております。
県といたしましては、引き続き、県立学校や市町村教育委員会に対して、様々な機会をとらえて桶川西中学校の取組を含め、優れた実践事例を紹介するなど、拉致問題に関する人権教育を一層推進してまいります。

離婚後の親子交流について

親子面会交流への支援について

Q 鈴木正人 議員(県民)

先日、我が会派でオンラインの勉強会が行われ、親子の面会交流を実現する全国ネットワークの皆さんからお話を伺うことができました。お孫さんと引き裂かれたおばあちゃんの話、連れ去りによって息子や娘と突然会えなくなったお母さん並びにお父さんのお話を聞き、共同親権が認められず、法律や司法の関与が曖昧なため、かつて一緒に暮らした片方の親による連れ去りが容認されてしまっている我が国の実態は、非常に問題があると改めて感じたところであります。連れ去り後、全く子供たちに会えなくなり、家庭裁判所の調停すら無視されても、特に何もできない実態をお聞きし、胸が痛くなりました。
埼玉県議会では、令和2年9月定例会において別居・離婚後の親子の断絶を防止する法整備を求める意見書案が可決され、国へ子供の連れ去りの禁止や面会交流の拡充、養育計画作成の制度化を求めました。これから、国では上川陽子法務大臣が、離婚した親の都合で子の健全な成長が妨げられないよう家族構成の見直しを法制審議会に諮問し、養育費不払いの解消策をはじめ、親と子の面会交流、親権制度、財産分与の在り方といった離婚後の課題を網羅的に検討されるとのことであります。
一方で、実際にできる支援としては、親子の面会交流に公共施設を貸すなどの施策も展開されております。静岡県藤枝市では、裁判所によって面会を認められない場合や悪影響を及ぼす場合以外は、小中学校などの施設管理権を侵害しない範囲で、離婚して親権を失った親への学校等の施設を貸し出して親子面会交流の場を提供しております。放課後の時間帯に小会議室や空き教室を提供し、親子が会うだけという制度であり、予算もほとんどかからず、職員が面会交流に付き合う必要もありません。このことで別居親子の交流の機会が増え、両親が離婚や別居している子供たちも、離れているお父さん、お母さんからも愛され見守られていることを実感できるため、親の離婚を経験し一時的なショックを受けた子供にとっても、健全に育つ要素になっていると伺っております。
そこでお伺いします。
現在、3組に1組のカップルが離婚する時代ですが、これから子供の連れ去りなどは法律によって禁止され、欧米先進国のように単独親権から共同親権制度に変わる可能性もある中、行政が親子の面会交流の場として公共施設を貸し出すことは大切だと考えます。埼玉県の親子面会交流の場を提供する支援についてどうされるのか、福祉部長にお伺いいたします。

A 山崎達也 福祉部長

面会交流は、望ましい形で実施される場合には、子供が、父母のどちらからも愛されていると実感し、安心感を得ることができます。
一方、面会交流時に子供が痛ましい事件に巻き込まれたケースもあり、子供の心身に負担が生じる場合もございます。
今後、国の法制審議会では、養育費や面会交流を適切に確保するための取決めなど、離婚後の子供の養育の在り方について、議論されることになっています。
まずは、こうした国の動きを注視してまいります。
公共施設の貸出などの支援についてですが、子供が普段から利用していて、安全も確保される小中学校や保育所などが好ましいと考えます。
議員のお話にあった藤枝市でも、これらの施設を貸し出していることから、子供が居住している市町村の協力が欠かせないものと考えております。
そこで、県と各市町村とで構成する少子化対策協議会などの場を通じ、面会交流に関する他の自治体の取組状況などの情報を共有してまいります。
離婚後の親子の面会交流については、子供の最善の利益を最優先に考え、県としての支援策をしっかり検討してまいります。

親になるための学校教育について

Q 鈴木正人 議員(県民)

子供の連れ去り問題は、DVなどの被害を回避する場合を除いて、連れ去る親のエゴがむき出しとなり、相手のパートナーや片親と引き裂かれる子供の気持ちを顧みないケースもあります。親としての自覚をしっかりと持っているのかと、疑いたくなるケースもあると感じております。
そこで、学校教育の段階で将来親になるための心得、子供を育てることの大切さやその尊さ、一緒になるパートナーへの思いやり、親としての振る舞いや行動についても、しっかりと教えることが大切だと考えます。学校教育現場では親になるための教育がどのように行われているのか、教育長にお伺いいたします。

A 高田直芳 教育長

学校では、児童生徒の発達の段階に応じて、様々な教科等において家族とのつながりに関する教育を行っております。
例えば、小・中学校では、道徳科や家庭科の授業で、父母、祖父母への敬愛や、家族との触れ合いの大切さ、充実した家庭生活を築くことなどを学んでおります。
また、県立高校では、主に家庭科の授業で、男女が協力して家庭を築くことの重要性や、子供の健やかな成長のために、家族や社会の果たす役割などについて学んでおります。
さらに、県では中学校・高等学校の生徒を対象とした「親になるための学習」を推進しております。
この学習は、総合的な学習の時間などを活用し、乳幼児とふれあう体験や、乳幼児の保護者との交流などを通じて、命の重さを実感したり、家族や周囲の人々への感謝の気持ちを育むものです。
生徒からは、「自分を育ててくれた両親に感謝したい」、「子育ては大変だが、喜びも大きいと感じた」などの感想が寄せられ、親になることや子育てに対する理解が深められていると考えております。
今後も、このような取組を通じて、親になるための教育を一層充実してまいります。

児童相談所の新設について

Q 鈴木正人 議員(県民)

本定例会に提出された令和3年度当初予算案には、我が県南西部地域に児童相談所を新たに設置する予算案が計上されております。児童虐待相談対応件数が増加する中、川越児童相談所と所沢児童相談所の所管の人口は110万人を超えており、過大な負担を抱えております。
そのような状況を改善することが必要であると考え、私は令和元年9月の定例会の一般質問において、南西部地域において児童相談所の新設が必要ではないかと質問させていただきました。また、令和2年2月定例会では我が会派の醍醐清議員からも、新たな児童相談所の早期設置が必要ではないかと質問いたしました。知事からは、子供を虐待から守るためには児童相談所の更なる設置が必要であり、新たな児童相談所の設置を早急に検討すると答弁があったところであります。加えて、令和2年2月には朝霞市、志木市、新座市、和光市からなる朝霞地区4市の首長から、朝霞地区への児童相談所設置について切実な要望もありました。
このような地域の声やニーズをしっかりと拾い上げ、新型コロナウイルスの対応などで予算や人員も厳しい中であっても、真に必要な施策として児童相談所の新設に着手するという大野知事の英断に敬意を表します。その英断が実を結び、子供たちの安全が確保されるためには、児童相談所の新設を迅速かつ着実に進めていくことが重要であります。
そこで、児童相談所の新設をどのように進めていくのか、具体的には現時点で所管区域、建設予定地、開設までの工程をどう考えているのか、福祉部長にお伺いいたします。
また、南西部地域に児童相談所を設置することが児童虐待対応の強化という点においてどのような効果があると考えているのか、併せて福祉部長にお伺いいたします。

A 山崎達也 福祉部長

児童相談所の新設について、所管区域・建設予定地・開設までの工程についてでございます。
令和3年度予算案に南西部地域への新たな児童相談所と一時保護所の一体的整備に着手するための設計等に係る予算を計上いたしました。
所管区域についてですが、現在、所沢児童相談所と川越児童相談所の所管人口は共に全国平均の約2倍となる110万人を超え、虐待相談対応件数も多く、この負担を軽減することが喫緊の課題となっております。
新設する児童相談所の所管区域は設置条例により定めることとされておりますが、この2つの児童相談所の所管区域を再編し、所沢児童相談所が所管している朝霞市、志木市、和光市、新座市と、川越児童相談所が所管している富士見市、ふじみ野市、三芳町の6市1町を基本として検討したいというふうに考えております。
建設予定地につきましては、児童虐待相談対応件数が増加している状況において、子供の安全を守るため、新たな児童相談所を早期に開設する必要があることから、土地の取得に係る費用や時間を要さないで速やかに事業着手が可能な県有地が最適と考えております。
そこで、朝霞市内の土地になりますが、障害者支援施設「あさか向陽園」の施設建物に隣接する土地を有力な候補地の一つとして考えております。
開設までの工程については、速やかに事業着手が可能な県有地であれば、令和3年度に基本設計と測量、令和4年度に実施設計、令和5年度から6年度にかけて建設工事を行い、最短で令和7年度の開設が可能と見込んでおります。
次に、南西部地域への児童相談所新設の効果についてでございます。
児童相談所の新設により、所沢・川越児童相談所及び新たな児童相談所の所管人口の平準化が図られ、より迅速・適切な虐待対応が可能となります。
また、一時保護所の併設により、県設置の児童相談所全体の一時保護所定員が増加することで、県全域において、より適切な一時保護が実施できるようになります。
これにより、南西部地域のみならず県全体の児童虐待対応の強化が図られ、適切な子供の安全確保につながるものと考えております。
今後、朝霞市を始め、関係者と緊密な連携を図り、着実に整備を進めてまいりたいと存じます。

地元問題について

国道254号和光富士見バイパスの進捗状況と早期開通について

Q 鈴木正人 議員(県民)

志木市が多く関わる県道朝霞蕨線から国道463号線までの第2期整備区間につきましては、北側の国道463号との立体交差から始まり県道さいたま東村山線までの道路建設の工事が急ピッチで行われております。国道463号から県道さいたま東村山線までの1.4キロメートル区間については、当初、令和3年度を完成目標に工事が進められておりました。しかし、現時点では地権者の用地交渉がまとまらず、工事完成が1年ほど遅れてしまうとの情報もいただいております。
国道254号和光富士見バイパスは、周辺道路の渋滞緩和のみならず、広域的な物流の効率化、それに伴う企業立地、防災機能の強化等、様々な効果が期待できる重要な幹線道路でありますので、1日も早い全面開通が望まれております。粘り強い交渉を重ね、残っている地権者の皆様に御理解いただき用地買収に応じていただくとともに、万が一交渉が決裂したままの場合の対策も準備しなければならないと思います。
そこで、現在までの進捗状況と早期開通に向け、今後どのように努力されているのか、県土整備部長にお伺いいたします。

A 中村一之 県土整備部長

このバイパスは、外環道から国道463号を結ぶ延長約6.9キロメートルの県内道路網の骨格を形成する重要な幹線道路であり、これまでに、外環道から県道朝霞蕨線までの約2.6キロメートルが開通しております。
現在は、国道463号から県道さいたま東村山線までの約1.4キロメートル区間の開通に向け、重点的に工事を進めており、令和2年8月には国道463号を跨ぐ富士見南畑陸橋が完成したほか、一般部の工事についても順次着手しております。
この区間の用地買収率は99%となっており、任意交渉と並行して、令和3年2月に土地収用制度の活用に向けた地元説明会を開催いたしました。
今後も引き続き、残る用地の取得に努めるとともに鋭意工事を進め、バイパスの早期開通に向け取り組んでまいります。

中央通停車場線第3工区の進捗状況と今後の見通しについて

Q 鈴木正人 議員(県民)

志木駅東口から現在建替工事中の志木市役所手前を結ぶ中央通停車場線の第3工区と呼ばれる、本町5丁目ユリノ木通りからの交差点から、本町3丁目交差点手前、市道1193号線までの全長330メートルの区間の無電柱化や歩道の拡幅を進める街路事業整備ですが、令和2年度は6件ほどの用地買収が行われました。本定例会で提出された補正予算によって用地買収の予算が更に確保されるとの見通しで、急ピッチで進んでいると伺っております。新型コロナ対策などで厳しい財政状況にはありますが、引き続き用地買収を進め、できるところから工事に取り掛かっていただき、こちらも早期開通を目指していただきたいと考えております。
そこで、現在までの進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。

A 中村一之 県土整備部長

この道路は、東武東上線志木駅東口から志木市役所へ向かう延長約1.3キロメートルの都市計画道路であり、これまでに約1キロメートルの整備が完了しております。
現在、残る330メートル区間で、電線類の地中化を含む道路の拡幅事業を進めております。
平成30年度から用地買収に着手し、現在の用地買収率は44%となっております。
令和2年度は、用地取得を進めるとともに、電線類の地中化に係る詳細設計を行っております。
引き続き、地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、用地取得を進めるとともに、用地がまとまって取得できた箇所から順次工事を進めてまいります。

上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。