代表質問・一般質問

【代表質問】岡重夫(白岡市・宮代町)2月26日(金曜日)

令和3年度埼玉県一般会計当初予算案について

Q 岡 重夫 議員(県民)

令和3年度の一般会計当初予算は、2兆1,198億4,300万円で、昨年度対比8.1%増の過去最大規模となっています。しかし、このコロナ禍で県税収入は大幅減となり、204億円の減収、さらに国からの地方交付税も20億円の減収と大変厳しい財政状況です。
そこで、次の三点について、大野知事に伺います。
まず一点目は、税収が大幅に減少する中、令和3年度当初予算案を編成するに当たり、どのように歳入確保をしたのか、そして事業の優先順位を決めたのか、基本的な考え方をお伺いします。
二点目は、新型コロナウイルス感染が発生してから約1年が経過し、ウイルスの特性や対策が徐々に解明され、同時に県の医療体制の課題なども浮き彫りになりました。そこで、令和3年度当初予算で、今後の感染拡大を抑制するために特に重視した事業について伺います。あわせて、将来更に強いウイルスが発生した場合、すぐに対策がとれるよう、今から中長期的な対策も必要と考えますが、知事のお考えを伺います。
三点目、新型コロナウイルス感染症対策推進基金については、令和2年4月の臨時議会において約100億円の積立てから始まり、これまで様々な対策などに活用されてきました。令和3年度においても同じように、1年間で積んだり取り崩したりを繰り返すことになることが予想されます。そこで、令和3年度当初予算案における残高と年間を通した長期的な視点で、この基金をどのように活用していくのか、知事にお伺いします。

A 大野元裕 知事

税収が大幅に減少する中、どのように歳入確保をしたのか、その基本的な考え方についてでございます。
議員御指摘のとおり、令和3年度当初予算の県税収入見込みは、対前年度204億円の減となるなど厳しい財政状況となっております。
こうした中、県としては地方交付税や地方税など地方財源の確保について、全国知事会などと連携しながら国に対し強く働き掛けを行うとともに、私も関係大臣を訪問し、財源確保の要望を行ってまいりました。
その結果、地方財政対策において、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税が大幅に増加されました。
また、地方財政措置のある有利な県債の期間が延長となったことで、投資的経費の事業量を下支えすることが可能となるとともに、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をはじめとする各種の国庫支出金についても積極的に活用を図りました。
さらに、令和2年度補正予算では、執行節減などにより捻出した財源を財政調整基金に50億円積み立てるなど、厳しい財政状況の中でも財源確保に努めてまいりました。
令和3年度当初予算では、これらの財源を最大限活用し歳入の確保を図ったところでございます。
次にどのように事業の優先順位を決めたのか、その基本的な考え方についてでございます。
厳しい財政状況ではありますが、「安心・安全の強化」、「デジタルトランスフォーメーションの推進と県経済の回復・成長」「持続可能で豊かな未来への投資」の3つの柱を掲げ、それぞれの施策に最優先で取り組むことといたしました。
一つ目の柱である「安心・安全の強化」では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に最優先で取り組むことといたしました。
また、治水対策や橋りょうの耐震化など近年激甚化している災害への備えをしっかりと構築してまいります。
二つ目の柱である「デジタルトランスフォーメーションの推進と県経済の回復・成長」では、行政のデジタル化に加え、スマートフォン決済アプリによる納税を導入するなど行政や企業におけるデジタル化の取組を積極的に進めてまいります。
さらに、中小企業における資金調達の円滑化や農林業の販売力強化への支援などを通じて埼玉の稼げる力の向上を図ってまいります。
三つ目の柱である「持続可能で豊かな未来への投資」では、埼玉版SDGsの推進により、豊かな自然と共生しながら持続的に発展する埼玉県の実現を目指します。
また、教育におけるICT活用の推進など未来を創る人材への投資を行うとともに、女性のキャリアアップ支援などを通じて誰もが活躍できる社会の実現を図ってまいります。
令和3年度当初予算は、こうした事業に最優先で取り組み、誰一人、どの地域もとり残すことのない「日本一暮らしやすい埼玉県」の実現を図ってまいります。
次に、令和3年度予算で今後の感染拡大を抑制する為に特に重視した事業についてでございます。
新型コロナウイルス感染症対策については、令和3年度においても最重要課題として、これまでの教訓を生かし、引き続き危機感をもって対応していかなければならないと考えています。
このため、予算総額約1,000億円の事業費を計上しております。
特に重視した事業でございますが、まずは重症病床確保のため入院協力金を3倍の75万円にするとともに、新たに病室の陰圧化や個室化などの施設整備を支援します。
また、医療従事者手当支援の補助対象に、これまでの看護職員に、医師、臨床工学技士や放射線技師等を加えます。
さらに、ワクチン接種体制の整備として、医療従事者等への優先接種の予約サイトや接種後の副反応など専門的な相談に対応する窓口を開設いたします。
なお、引き続き、クラスター対策や宿泊療養施設の確保と運営、自宅療養者の健康観察などにも万全を期してまいります。
次に、将来更に強いウイルスが発生した場合、直ぐに対策がとれるよう中・長期的な対策が必要なのではについてでございます。
現状では、新たな感染症などでパンデミックが起きた際の病床確保や、感染症医療を担うスタッフの確保に課題があります。
新たなパンデミック対策としては、県の基準病床の見直しが必須であり、国に対して強く働きかけてまいります。
また、平時から、感染症病床のほか一般病床の活用も含めた柔軟な受入れ体制を確保する準備や、感染症専門医、感染症認定看護師などの専門人材の育成を進めることが必要と考えております。
なお、令和3年度の職員定数改正では、新型コロナウイルス感染症対応のため、保健所の保健師について過去最多となる38人の増員を図ることとしています。
次に、新型コロナウイルス感染症対策推進基金について、令和3年度当初予算案における残高と今後この基金をどのように活用していくのかについてでございます。
新型コロナウイルス感染症への対応は、まずは国において財政措置を含めた対策を取るべきという考えの下、国の交付金を主な財源として活用してまいりました。
そのため、感染症のまん延防止、医療提供体制の整備、県経済の回復や活性化を図るために必要な事業の中で、国の交付金の活用が見込めない事業について本基金を活用し対応してまいりました。
また、多くの方からお寄せいただいた寄附を本基金に積み立て、医療従事者の支援や県内経済の活性化を図る事業などに活用させていただいております。
さらに、中小企業向けの制度融資事業の後年度負担分に臨時交付金が活用できる見込みとなったことから、本基金に新たに約66億円を積み立てて活用することといたしました。
その結果、令和2年度末の基金残高は約116億円となる見込みであります。
令和3年度当初予算では、PCR検査の実施や発熱外来センターの整備事業などに約38億円、中小企業向けの制度融資事業に約18億円の活用を見込んだ結果、令和3年度末の残高は約60億円となる見込みであります。
今後もしっかりと国の財政支援措置を確保するとともに、国の交付金の活用が見込めない事業に本基金を機動的に活用することで、新型コロナウイルス感染症対策事業を迅速かつ的確に実行してまいります。

新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症について – 新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)と感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)の改正などについて

Q 岡 重夫 議員(県民)

昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府はこれまで2回の緊急事態宣言を発出し、埼玉県も感染の終息に向けた様々な対策をとってきました。さらに、感染対策の実効性を高めるために、大野知事を含めた全国知事会からも政府に対し特措法と感染症法の改正を求めてきましたが、その改正案は2月3日に国会の議決を得て、2月13日から施行されました。
そこで、知事が昨年来、政府に求めていた特措法と感染症法の改正の内容などについて伺います。
まず、特措法について。
知事は、従前の特措法第24条(都道府県対策本部長の権限)及び第45条(感染を防止するための協力要請等)に基づく都道府県知事が行う要請や指示には、罰則規定や補償規定がないために実効性が担保されないという理由から、都道府県知事の権限を強化して、要請や指示に従わない場合は罰則規定を設けて、同時に補償の規定を設けることを要望されました。
この改正法の罰則規定については多くの意見がありましたが、私はこの新型コロナウイルス感染症が多くの尊い命を奪い、経済を停滞させ、生活困窮者や自殺者も多数出ている現状を1日も早く終息させるためには、抑止効果のある罰則規定も必要だと考えています。また、感染の抑制のポイントは、マスク、危機感、罰則、データ、国境管理、この5つという専門家もいます。
そこで、まず今回設けられた罰則規定をどのように受け止めているのか、知事にお伺いします。
次に、感染症法について。
昨年、県内でホテル療養者が無断で抜け出して、店舗で暴行事件を起こす案件が発生しました。また、保健所の聞き取り調査に対して行動歴を正直に答えないために接触者の特定が困難であった事例が発生し、知事はこの点に関する感染症法の改正を求めました。しかし、感染者のホテルでの療養の要請に従わない場合の入所勧告は、今回法の改正には盛り込まれませんでした。ホテルへの入所勧告がなければ病院への入院となり、医療従事者の負担も増加することが予想されます。
そこで、感染者が県のホテル療養の要請に従わない場合、今回の法改正にどのように対応していくのか、知事のお考えを伺います。
続いて、県独自の条例の制定について、知事のお考えを伺います。
昨年12月定例議会の一般質問で、同じ会派の井上航議員が知事に対して、特措法や感染症法に関連する県独自の条例制定の可否に関する質問を行いました。それに対し、知事は「様々な課題を抱える法体系を見直すことが必要であり、見直しを行った上で、更に地域で定めるべき事項がある場合には条例を制定すべきだと考えている」と答弁されています。私は、感染対策を更に実効性のあるものにし、例えば感染者などへの差別や偏見などをなくすためにも県独自の条例の制定が必要と考えます。
そこで、今回の特措法と感染症法の二つの法律の改正に伴い、県独自の条例の制定の必要性について、知事のお考えを伺います。

A 大野元裕 知事

改正特措法で設けられた罰則規定をどのように受け止めているのかについてでございます。
議員お話しのとおり、改正前の特措法では事業者への休業や営業時間の短縮の要請に対し、応じていただけなかった場合の罰則規定や協力いただいた場合の財政支援の法的な裏付けがないことから、実効性の確保の点で課題がございました。
このため、全国知事会や東京都、千葉県、神奈川県の知事と連携して、国に対し要望を重ねた結果、今回の法改正につながったところであります。
私は、緊急時に協力をいただく場合には、罰則と支援の両方をセットとすることが一般的な法の建付けのベースであると考えております。
現場を預かる知事としては、最終的に過料を科すことや財政上の措置などが担保されたことにより、感染拡大防止対策の実効性が高まったと受け止めております。
他方で、特措法の第5条に規定されているとおり、国民の自由と権利への制限は、必要最小限としなければなりません。
今回の罰則については、適用することが趣旨ではなく、一刻も早い感染の収束が目的であります。
事業者の皆様に御協力をいただけるよう丁寧に働き掛けを行ってまいります。
次に、感染者が県からのホテル療養の要請に従わない場合、今回の法改正によりどの様に対応していくのかについてでございます。
まずは感染者に対して、ホテルでの宿泊療養の必要性を丁寧に説明し、県からの要請に御理解をいただくことが重要と考えています。
その上で、法改正では、宿泊療養の要請に応じない場合は病院への入院勧告・措置を行うことになり、なおそれでも応じない場合には過料を科すことになりました。
しかしながら、感染症法の目的は感染拡大防止であり、容態の軽重には関係がないはずであります。
また、これまでの埼玉県の例を見ると、軽症や無症状など宿泊療養施設での療養対象の方への対応が懸案となっており、病院よりも療養施設での法的措置が必要とされています。
今回の法改正では、現状では入院まで必要がない方を宿泊療養ではなく入院をさせることになり、その点は課題が残っていると考えています。
次に、特措法と感染症法の2つの法の改正に伴い、県独自の条例の制定の必要性についてでございます。
今回の改正では、事業者への協力要請などに対して実効性を担保するための罰則や支援の規定が盛り込まれ、また、法に何ら規定されていなかった宿泊療養施設が位置付けられました。
差別や偏見を無くすことにつきましても、今回の特措法改正において新たに差別的取扱い等の防止に関する規定が設けられ、国や地方公共団体は新型コロナに関する差別的な取扱い等 とう の実態把握や啓発活動を行うこととされています。
まずは法律に基づいて実態把握や啓発活動を行い、その上で更に地域で定めるべき事項がある場合は、条例を検討したいと考えております。

ワクチン接種の副反応や体制整備などについて

Q 岡 重夫 議員(県民)

今年に入り、県内で初めて感染力が強いといわれる英国型の変異株が発見されました。また、2月に入り緊急事態宣言が延長されてから新規感染者の数は減少傾向にありますが、最近ではお亡くなりになる方で高齢者の数が増えていることが心配されます。
そのような中、県民の多くは来年から予定されるワクチン接種に期待する一方で、その副反応に関する不安があることも事実で、地元の市役所への問合せが多くあるようです。そのような中、先日、国会では東邦大学の舘田一博教授がワクチンについて「かなり効果があり、副反応も許容の範囲内」との見解を表明されました。また、1回目のワクチン接種後、約2週間で効果が出て、3から4カ月間は免疫が維持されるなどの明るい報道もあり、その効果が期待されています。
さて、これまで県は、1月15日に県内医療機関に対する説明会を行い、埼玉県医師会の全面的な協力をいただき、国や市町村とも連携をとり、2月16日には市町村に対しワクチン接種に関する説明会を行いました。一方、県内の各市町村でも地元医師会の協力をいただきながら準備室を立ち上げ、万全の準備体制をとっています。今回のワクチン接種は埼玉県にとって史上初、最大の作戦であり、県の総力を挙げて取り組む大作戦です。そして、その成功の鍵は周到な準備とあらゆる不測事態に対する柔軟な対応力であると考えています。
ところで、今回のワクチン接種の特徴は、ワクチンの供給を米国と英国の海外に頼ること、さらに接種に関わることができる医師、看護師などの数が限定されること、また短期間で多くの人に接種しなければならないことなどから、様々な予期せぬ事態が考えられます。特にワクチンの配送や保管を含め、接種会場や医師などの体制づくり、そして接種時あるいはその後の副反応への対策などが重要だと考えています。
国は2月17日から医療従事者へのワクチン接種を始め、県では医療従事者への接種開始を3月とし、その後、65歳以上の高齢者、さらには基礎疾患を持つ64歳以下の人に続いて高齢者施設職員の順で接種し、一般県民への接種開始は早くて5月以降と伺っています。しかし、2月20日の報道では、3月から行われる第1弾の医療従事者へのワクチン接種量が4万人分とのことで、医療従事者約23万人分を約2カ月半で接種する計画を変更せざるを得ない状況ではないかと心配しています。
そこで、次の二点について、知事に伺います。
一点目は、現時点で判明している副反応はどのようなものがあるのか。そして、それに対する対応策をどのように考えているのか。
二点目は、国からのワクチンの第1弾の割り当てが4万人分とのことですが、それを県として医療従事者にどのように割り振りを行うのか。さらに、今後の県への配分についてどのように国に要望されるのか。
以上、知事にお伺いします。

A 大野元裕 知事

現在接種されているファイザー社のワクチンは、痛みや腫れなどの軽い副反応は頻繁に出現いたしますが、しばらく様子を見れば、多くの場合は1日から2日で症状が治まるとされています。
他の予防接種と同様、まれに、接種直後にじんま疹や動悸などのアナフィラキシーを起こすことがありますが、その場合は接種会場の医師がすぐに応急処置を行う体制をとっています。
また、接種会場から帰宅した後にショック症状などが現れた場合には、24時間対応の県の専門電話相談窓口で看護師等が対応をいたします。
電話相談の結果、かかりつけ医への受診を勧め、緊急の場合には速やかに救急車を呼ぶよう促します。
さらに、接種後、徐々に麻痺やしびれ症状などが出現し、かかりつけ医でも対応が難しいケースも想定されるため、4つの大学病院を専門医療機関に指定し、かかりつけ医からスムーズにつなぐ体制を整えます。
新しいワクチンであるため、情報は限られておりますが、国や製薬会社も新たな情報が入り次第、積極的に公表していくとしています。
県としても、県民の皆様が不安を抱えることがないよう、ホームページや広報紙、新聞、テレビなどを通じて広く周知をしてまいります。
次に、第1弾の医療従事者等のワクチンの県内医療機関への分配と、国への要望についてでございます。
第1弾の本県への分配量は、約4万人分でありますが、これは、本県の医療従事者等約23万人に対し、大変ささやかな量であります。
国は、医療従事者数に応じて分配したと聞きましたが、人口当たりの医師数が全国一少ない本県では、分配量がおのずと少なくなってしまいます。
他方、本県は、医師数が極めて少ないにもかかわらず、実際に確保している病床数は、首都圏内でも東京に次ぐ大きな数となっています。
また、発熱患者の診療などを行う診療・検査医療機関も、風評被害の懸念がある中、全国で高知県と本県だけが、医療機関名の公表に御理解をいただき、誰でも容易に受診ができるようになり、1月の陽性者が多いときでも関東内でも継続して陽性率は極めて低い状況に抑えられました。
このような、県内医療機関の献身的な御努力にもかかわらず、医療従事者数に応じてワクチンの分配がなされたことは、大変残念であります。
そこで、2月22日には、河野太郎新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣に書簡を送り、今後の分配に当たっては、陽性者数やコロナ受入病床の実際の確保数を勘案していただくよう、強く要請をしたところであります。
なお、県内医療機関への分配に当たっては、郡市医師会とも調整の上、地域性に配慮しながら、コロナ受入病床の確保状況や病床の占有率などを勘案いたしました。
ワクチンの確保は、地方自治体には絶対できない国の仕事であります。
県といたしましては、いつワクチンが分配されても速やかに接種ができるよう、2月末までに予診券の発送を開始するほか、予約システムも3月1日には稼働させるなど、万全の接種体制を構築してまいります。

自殺防止対策について

Q 岡 重夫 議員(県民)

我が国では、平成2年代後半から増加してきた自殺者数は、平成15年の3万4,427人がピークでした。その後、平成18年に自殺対策基本法が制定されてからは様々な対策が功を奏し、10年後の平成28年には自殺者数が31.9%も減少し3万人を下回りました。
しかし、全体の自殺者が減少する中、新たな課題として浮かび上がってきたのが若者の自殺です。そこで、平成28年の法律改正では、若者の自殺予防が重点課題とされました。さらに、翌年の平成29年に児童生徒の自殺対策の強化が定められた新たな自殺総合対策大綱が閣議決定されて、現在に至っています。
このように、これまで行政を含めた様々な機関による対策と努力により自殺者数が減少傾向にありましたが、残念ながら昨年から新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、自殺者が増加しています。警察庁が昨年11月9日時点で発表した10月の自殺者数は、全国2,153人と前年同月と比較すると39.9%、実に4割も増加しているのです。また、月別に見ると、昨年4月では前年同月対比で17.6%、5月では15.1%と減少していたものが、7月になると2.6%の増加に転じ、8月には17.8%増、そして10月には39.9%増と、増加の一途をたどっています。
中でも女性の自殺がこれまでにないほど増加しているのが特徴です。これについて厚生労働省は、新型コロナウイルスの影響が長期化する中、仕事やDV、育児や介護の悩みなどが深刻化していることが背景にある可能性があると分析しています。
一方、埼玉県でも昨年1年間の自殺者数は1,186人と、昨年より76人も多くなっています。
さて、大野知事は公約「次世代を担う子供たちを育成する埼玉へ」の中で自殺対策の推進を掲げ、これまでも相談体制整備事業や若者向けICTによる自殺対策事業等の様々な対策を行い、自殺防止に取り組んでこられました。また、令和3年度にはSNSなどを通して相談体制を構築する予算も組み込まれています。しかし、それらは全て相手からの相談を受ける受け身の体制です。特にSNSによる相談体制は、相手が連絡を断ってしまうと後を追うことが困難になるおそれがあります。
そこで、現在県が行っているゲートキーパー制度の在り方を見直すべきではないかと考えています。このゲートキーパーは地域や職場、教育、その他様々な分野において身近な人の自殺のサインに気付き、その人の話を受け止め、必要に応じて専門相談機関へつなぐなどの役割を持った人のことで、「命の番人」ともいわれています。現在、このゲートキーパーの研修は市町村に任され、県はその活動実態などを正確に把握できていないために、この制度を改めて活用すべきだと考えています。国立精神衛生医療研究センターで自殺対策に取り組む松本俊彦医師は、「死にたいと言っている人が説教されたり、否定されたりするのではなく、もう少し話を聞かせてという人がいる社会を作るべきだ」と述べており、正にゲートキーパーは自殺の兆候を早く見つけて話を聞ける人です。
そこで、この制度を県が主体となり更に充実させて自殺者を減らす取組が必要と考えますが、知事の御見解を伺います。
次に、さいたま市を除く県内小中学校や高校などの自殺が疑われる事案は、昨年12月末時点で18人も出ており、前年の同時期に比べて9人も増えています。全国的にも同様の傾向にありますが、厚生労働大臣指定法人いのちを支える自殺対策推進センターは、昨年10月の自殺者急増は、新型コロナウイルスの影響により社会全体の自殺リスクが高まっている可能性が高いと指摘しています。
そこで、ふだんから教職員が児童生徒の学校での行動などに目配りをすることも大事ですが、SOSの出し方に関する教育を推進することも大切だと考えています。このSOSの出し方に関する教育の推進については、平成29年7月25日に閣議決定された自殺総合対策大綱の中に明記されたものです。子供たちはSOSを発信することをためらうことが多いので、私も大切な教育だと思います。また、発信したSOSをどのように受け止めて対応するのか、教職員の知識や対応力も必要です。
県は、東京大学大学院と自殺防止対策を含めて子供の他者に援助を求める力の向上や、校内組織の体制強化、外部専門機関等との連携などに取り組む協定を締結したと伺っています。また、令和3年度からは、この連携協定の下に自殺者を含むあらゆる心身の不調の早期発見、早期対応に向けた体制整備に取り組む研究を始めるとのことです。SOSの出し方に関する教育の効果を上げるには、まず学校現場でどのような教育が行われているのか実態を把握することが重要です。
そこで、この研究を通じ、SOSの出し方に関する教育についての実態調査を行う考えはあるのか、教育長に伺います。
また、研究全体を通じ、どのような体制整備を目指すのか、併せて教育長に伺います。

A 大野元裕 知事

県内の自殺者数は平成22年以降減少傾向にありました。
これは埼玉県自殺対策連絡協議会において、医療、福祉、教育、労働、警察など各分野からの委員及び民間団体で協議の上、埼玉県自殺対策計画を策定し、共に取組を進めてきた結果と受け止めています。
ところが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、令和2年の県内自殺者数は、最初の緊急事態宣言解除後の6月以降増え始め、10月には前年比86.7%増の155人に急増をいたしました。
これを受け、県では平日午前9時から午後5時まで実施していた自殺予防電話相談「こころの健康相談統一ダイヤル」を11月1日から年中無休の24時間化し、悩みを抱える方からの相談対応体制を強化をいたしました。
新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する中にあって、11月以降、県内の自殺者数はほぼ前年水準まで減少してくるなど、相談体制の強化が一定の効果を上げているものと考えております。
しかし、この感染症の影響は長期に及ぶと考えられることから、コロナ禍の下、アフターコロナを見据えた対策を講じる必要があります。
自殺者が増えてしまうのではないかという危機感を、相談に対応している行政、民間団体、有識者など様々な分野の支援者が強く共有をしております。
このため、議員から御提案がありましたゲートキーパー制度の有効性を改めて評価し、実践することは、非常に重要だと考えています。
こういう時期だからこそ、例えば行政機関の窓口対応者には、相談者の不調のサインに気づき、一緒に考え、安心に繋がる情報を提供するなど問題の解決に寄り添うゲートキーパーの役割が求められています。
このため今後は、県が主体となってゲートキーパーの重要性の周知、様々な分野での養成方法や好事例を市町村に対して紹介するなど、ゲートキーパー制度を充実させてまいります。
この危機感を共有するため、私自ら市町村長に対し、直接働きかけを行うつもりでございます。

A 高田直芳 教育長

SOSの出し方に関する教育についての実態調査を行う考えがあるかについてございます。
議員御指摘の、県内小・中学校や高校における自殺事案の増加につきましては、かけがえのない尊い命が失われたことに大変心を痛めており、極めて憂慮すべき状況であると認識しております。
自殺をはじめとする生徒指導上の様々な課題の背景には、心の不調に起因するものも多くあり、児童生徒から発信されるサインに早い段階で気付き、支援につなぐことが重要です。
そこで県では、令和2年11月、児童生徒自らの援助を求める力の向上や、児童生徒から発信されたSOSを学校全体で受け止め、支援していくための体制の強化に向けた研究を行うため、東京大学大学院と連携協定を締結いたしました。
また、国が定めている自殺総合対策大綱にも、児童生徒が命や暮らしの危機に直面したときの対処法や、苦しいときには助けを求めても良いことを学ぶ教育の推進が明記されており、自殺防止対策の一つとして、SOSの出し方に関する教育を推進することが大変重要であると考えます。
各学校におけるSOSの出し方に関する教育についての実態につきましては、今回の研究においてしっかりと把握し、必要な対策の検討に繋げてまいります。
次に、この研究全体を通じ、どのような体制整備を目指すのかについてでございます。
自殺を含む様々な問題を防ぐためには、学校が児童生徒の心身の不調を早期に発見するとともに、児童生徒自ら援助を求める力を付けることが大切です。
そのためには、校内の体制を一層充実・強化することが必要であると考えております。
そこで今回の研究を通じて、教職員の資質向上策や、外部専門機関等との連携を含めた効果的で実効性のある校内体制の整備について、検討してまいります。
今後、児童生徒に対して、ためらうことなくSOSを発信できる力を身に付けさせるとともに、そのSOSを受け止めることができる組織体制を構築し、児童生徒の自殺予防対策にしっかりと取り組んでまいります。

児童虐待防止に向けた取組について

Q 岡 重夫 議員(県民)

昨年9月11日に美里町で虐待によって亡くなられた金井喜空ちゃんの御冥福を心からお祈りいたします。
さて、県内の児童虐待件数は、令和元年度までに毎年増加し続け、県はこれまで児童虐待を防止するために警察と児童相談所との情報共有化、児童福祉司や児童心理司の増員など様々な対策をしてきました。さらに、令和3年度予算でも児童虐待防止に向けた多くの事業の予算が計上されています。
一方、県内の虐待の相談対応件数は、令和元年度に1万7,473件と前年度に比べ2,139件、13.9%増と10年連続最多を更新しました。そして、先日の新聞報道によると、昨年1年間で県警から児童相談所への通告人員は最多の1万177人とのことですが、月別の内訳を見てみると、昨年3月から6月にかけて通告人員は前年比で増えていますけれども、7月から12月までは減少しています。これは3月から学校が休校になったことや、4月の緊急事態宣言で親子が自宅で過ごす時間が多くなったことで、児童虐待の通報件数が増えたものと考えられます。しかし、7月以降の減少傾向については、児童虐待が見えなくなったおそれがあります。
私は、先月さいたま市内で児童養護施設を巣立った人たちを支援する組織コンパスナビを訪問して、児童養護施設で育った若者やスタッフの皆さんの話を聞くことができました。その中で、昨年後半に虐待件数が減ったのは、家庭内に閉じこもっていて虐待が見えにくくなっている、あるいは在宅テレワークやオンライン授業などで監視されているような状況が虐待を抑止している可能性があるとの意見をいただきました。私も虐待件数や相談件数の数値だけで安心するのは危険なことであり、数値の減少については児童虐待が減少したのではなく、休校や外出自粛などで虐待が周りから見えにくく潜在化し、むしろ虐待が深刻化しているおそれがあると考えて対策を行う必要があると思います。
さて、今回の美里町の児童虐待事件では、この家族は当初シングルマザーで令和元年9月から要保護児童対策地域協議会の支援対象となり、県と町が支援してきました。しかし、その後結婚して子供が生まれた後は、夫が新型コロナウイルスを理由に訪問と支援を拒否したとのことです。私は、喜空ちゃんが昨年5月に生まれて僅か3カ月で虐待により幼い命をなくす事件が起きたことに心が痛みました。そして、報道を見ながら児童虐待を見抜くことができなかったのか、あるいは県の介入による一時保護ができなかったのかと悔やまれます。しかし、今後も今回の事件と同様に、新型コロナウイルスの感染を理由に職員などとの面会を拒否する事案が起きるおそれがあります。
そこで三点、知事に伺います。
一点目は、毎年県内の児童虐待対応件数が増加する中、令和3年度当初予算案において児童虐待防止のために特に重視した事項について。
二点目は、今回の児童虐待事件において、美里町の支援と県の介入の連携体制が十分とれていたのか。
そして三点目は、今回の美里町の事件における県としての教訓と対策について。
以上、知事に伺います。

A 大野元裕 知事

児童虐待対応件数が増加する中、令和3年度予算において児童虐待防止の為に特に重視した事項についてでございます。
私は、子供たちを虐待から守るためには、児童相談所の体制強化を図ることが不可欠と考えております。
本県では、児童虐待相談対応件数の増加に伴い、一時保護所の入所率はほぼ100%となっています。
そこで、今後も一時保護を適切に行うため、熊谷児童相談所の建て替えに併せ、新たな一時保護所を令和5年度に設置をいたします。
また、管内人口が全国平均の約2倍となる110万人を超え、児童虐待相談対応件数も多い川越と所沢の児童相談所の管轄区域を再編し、県の南西部地域に新たな児童相談所の設置・整備を進めてまいります。
令和3年度予算案に県の設置としては8カ所目となる新たな児童相談所と一時保護所の一体的整備に着手するための設計等に関わる予算を計上いたしました。
さらに、体制強化のためにマンパワーを確保し、市町村等との連携を強化していく必要があります。
児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、令和3年度は児童福祉司を 43人、児童心理司を14人増員いたします。
加えて、児童虐待の防止には相談窓口などの充実も重要となります。
そこで、SNSを活用し、虐待に関する悩みなどを誰にも知られずどこからでも相談できる窓口を開設するほか、休日・夜間に虐待通告を受ける体制を充実させるなど、児童の安全確保に万全を期してまいります。
次に、今回の児童虐待事件において美里町の「支援」と県の「介入」の連携体制が十分とれていたのかについてでございます。
今回の事件は幼い命が亡くなる大変痛ましいものであり、胸が締め付けられる思いであります。お亡くなりになりましたお子様の御冥福を心からお祈りを申し上げます。
この事案は要保護児童対策地域協議会において児童相談所も含め様々な関係機関が関わっていましたが、以前から町が中心となり子育てや生活等に関する相談などの「支援」を行っていたものであります。
熊谷児童相談所は町に対して、「養育が困難な場合には児童相談所が一時保護をする」、「子供に会えなくなる場合には児童相談所が介入する」などを伝え、役割分担の上、連携をすることを申し出ていました。
しかし、町が子供の安全確認のため自宅を訪問する連絡を何回も拒否されたことについて、児童相談所ではその詳細な情報を十分に把握できておりませんでした。
こうした重要な情報が共有されていなかったことを踏まえ、子供の安全確保に当たり、町との連携体制が十分であったかについては検証の対象にしたいと考えています。
今後、検証委員会による検証の場で連携体制を含め、どのように対応すべきであったかをしっかり検証していただきたいと思います。
次に、今回の美里町における事件に関して県としての教訓と対応についてであります。
教訓としては、保護者が家庭訪問に協力的でない場合や先延ばしする場合は虐待リスクが非常に高いとの認識を持つべきであるということが挙げられます。
また、市町村が抱えているケースで対応に困っているものがあれば、躊躇なく児童相談所に相談をしていただき、適切な役割分担の上、連携して対応する関係を日頃からしっかり構築しておくことも挙げられると思います。
そこで、今回の事件を受け、改めて市町村に対して、訪問を先延ばしにする場合や、保護者が威圧的な言動をとる場合には、児童相談所や警察に相談をすることをお願いをいたしました。
また、児童相談所長に対しては、市町村がこうした対応に苦慮しているケースがないかを早急に確認をし、あれば必要な支援を行うよう指示をいたしました。
こうした悲惨な事件によって尊い子供の命が失われることは今後絶対にあってはなりません。
私は社会の宝である子供たちを守るため児童虐待の防止にしっかりと取り組んでまいります。

生活困窮者への食糧支援について

Q 岡 重夫 議員(県民)

このコロナ禍では多くの人が解雇や失業し、そして非正規労働者の雇い止めなども発生して、国民の生活を困窮させています。報道によると、生活困窮者向けの相談窓口の自立相談支援機関への相談件数が昨年4月から9月まで全国で約41万件に上り、前年度の同じ時期に比べて3倍も増加しているとのことです。
また、これまで子供の貧困が7人に1人と言われてきましたが、ひとり親、特にシングルマザーの生活困窮は深刻で、このコロナ禍の影響で退職や休職で約3割の人が仕事を失っているということから、子供の貧困が更に増加するおそれもあります。
ところで、埼玉県社会福祉協議会が行っている緊急小口資金の融資件数が昨年3月から今年1月までの10カ月間で約5万件もあり、その融資額は約90億円にも上っています。また、総合支援資金については融資件数が約4万7,000件、その融資額が約240億円にも上っている状態を見ると、今後、新型コロナウイルスの影響が長引けば、生活困窮者が更に増えることは明らかです。民間団体で相談を受けている埼玉青年司法書士協議会の大室幹事長は、「コロナ禍で収入が減ったという相談が増えている」とも話しています。さらに、子ども食堂やフードパントリーのボランティアをしている知人によると、両方とも訪問者数は倍増しているとのことです。
一方、現在、飲食業の営業時間短縮の影響で食品卸業者などの商品は余っている状態だと聞いています。現在、県内では生活困窮者自立支援法に基づき、町村部では県が、市部では市が自立支援窓口を設置し、暮らしや住居、そして仕事などで困っている人から相談を受けて支援しています。今後、新型コロナウイルスの影響が長引けば、こうした公的な窓口にも職を失い、日々の食べ物に困る人が数多く相談に来ると予想され、県としての生活困窮者への食糧支援は急務です。
そこで、県や市が行う自立相談支援機関がフードパントリーなどと連携し生活困窮者へ食糧支援を行うことが重要と考えますが、県としてどのような役割を担っていくのか、知事の御所見を伺います。

A 大野元裕 知事

新型コロナウイルス感染症の影響で、職を失い生活が苦しくなりその日の食糧に困る方への支援が必要になってきています。
県内では、ひとり親家庭などに食糧支援を行うフードパントリーや、食品関連企業等から寄贈された食品等を福祉施設や生活困窮者に届けるフードバンクなど様々な活動が行われています。
県では、これまで食品ロス削減の観点から企業にフードバンクへの食糧提供を働き掛け、フードバンクに寄贈された食品は福祉施設等に無償で提供されてきました。
また、例えば、県とセブン-イレブン・ジャパン、埼玉県社会福祉協議会で協定を締結し、店舗改装時等に発生する在庫商品の寄贈などを行っていただくなど、企業から生活困窮者への食料提供の橋渡しを行っております。
一方、県や市が行う自立相談支援機関でフードバンクなどと連携して生活困窮者への食糧支援を実施しているのは全41機関のうち21機関に留まっています。
県としては、食糧支援を行っていない自立相談支援機関に対し、他の機関の取組に関する情報提供や、フードバンクとのマッチングを図るなど、食糧支援の実施を働き掛けてまいります。
また、実施している自立相談支援機関でも集まる食品の偏りなどの課題があることも分かりました。
そこで、フードバンクと自立相談支援機関が協定を締結するなど、安定的に食糧が確保できる仕組みづくりを進めてまいります。
県ではこうした役割を果たしていくことにより、自立相談支援機関とフードバンクなどによる支援の輪を広げ、必要な食糧支援が進むよう取り組んでまいります。

第8期埼玉県高齢者支援計画について

Q 岡 重夫 議員(県民)

この計画は、団塊の世代が後期高齢者になる2025年や、その子供たちが65歳以上になる2040年を見据えて、高齢者が安心して生活できる体制や環境をつくるために大事な令和3年度から5年度までの3年間の計画です。
そこで、昨年から続いている新型コロナウイルスの感染拡大の影響や、高齢者の健康や介護事業者の経営などに及ぼしている影響などをしっかりと分析し、計画を立てることが大切だと考えています。昨年来、介護事業所内での感染者の発生、介護サービスの利用控え、健康体操やサロンの休止、介護サービス事業者の倒産、そして認知症の増加など、高齢者を取り巻く環境は大きな影響を受けています。私の地元の地域包括支援センター長は、「これまで力を入れてきた高齢者の活動が大幅に制限され、介護予防や認知症予防の影響は大きい」と話しています。
また、ある大学の研究チームの調査では、外出自粛や面会制限、そして介護サービスの制限の影響で認知機能の低下、身体機能の低下などの影響が見られたとの報告や、在宅認知症者の介護サービス利用者の中には家族が仕事を休んだとか、介護負担のために家族が体調不良や抑鬱気味になったなど、高齢者への影響が大きなことが調査結果に現れています。
現在の新型コロナウイルスの感染状況を見ると、これが終息して元の生活に戻るまでにはまだ長い時間を必要とすることが考えられます。そして、県内の市町村においては、これからの3年間の高齢者に対する支援要領も変わらざるを得ないと考えています。
そこで、第8期埼玉県高齢者支援計画を作成にするに当たり、新型コロナウイルスの影響をどのように考慮したのか、知事に伺います。

A 大野元裕 知事

高齢者支援計画は介護保険法などに基づき、高齢者が生きがいをもっていきいきと活躍し、安心して暮らせる社会づくりを目指して必要な施策を推進する高齢者の総合計画であります。
令和3年度からの3年間を計画期間とする今回の第8期計画では、現在のコロナ禍の状況を踏まえ、新たに「施設の感染症対策の強化」として項目を設定したところであります。
主な取組として、施設でクラスターが発生した際に、他の施設から応援職員を派遣する体制づくりを行うとともに、感染拡大を防止するため個室に改修する工事や陰圧装置の設置などへの財政支援を盛り込んでいます。
また、議員お話しのとおり、新型コロナウイルス感染症対策に伴う外出自粛や介護サービスの利用制限の影響により、認知機能や心身機能の低下が懸念されます。
そこで、本計画では、コロナ禍において市町村や介護事業者が感染対策を講じた上で継続的に介護予防のサービスを提供できるように県として支援をしていくこととしています。
すでに今年度から、フレイル予防や介護負担軽減に向けて高齢者が集まって運動や交流を楽しむ「通いの場」を再開する場合の留意点をまとめたチェックシートを作成し、市町村に配布するなど、事業継続に向けた支援を進めており、今後一層力を入れて取り組んでまいります。
さらに、離職を余儀なくされる方がいる一方で介護人材不足という状況もあることから、他業種から介護業界への転職を促す取組や資格の取得支援など転職後の定着を図る取組も計画の中に位置付けております。
新型コロナウイルス感染症による未曾有の事態にあっては、これまでの方法にとらわれることなく、迅速かつ柔軟に施策を見直し、高齢者が安心して暮らせる社会の実現に取り組んでまいります。

県立高校卒業生の就職支援について

Q 岡 重夫 議員(県民)

厚生労働省の資料によると、この3月に卒業する高校生の令和2年10月末現在での求人倍率は2.43倍で、求人数は前年同時期と比較して20.7%も減少しており、新型コロナウイルスの影響がここにも現れています。また、今年度は採用選考開始期日が1カ月も遅れています。一方、埼玉県内の新規高等学校卒業予定者の求職者数においては、6,132人と前年の同時期に比べ、11.7%も減少していますが、就職内定率においては、昨年12月末現在で88.6%で、一昨年の同時期とほぼ同じ割合です。
ところで、文部科学省の調査では、例年、就職希望者の就職率は3月末時点で約98%と高く、これは本人の努力はもとより、各学校の教職員や各事業所、そして経済団体などの理解と協力の結果であると高く評価しています。しかし、例年、卒業時に約2%前後の生徒の就職が決まらないで卒業しているのが実態で、今年は新型コロナウイルスの影響で更にその数が多くなることが予想されます。
さて、昨年12月に日本財団が教育格差に関する意識調査を全国規模で行いました。「コロナ禍で自分の進路に影響がある」と答えた人が31.5%、また「進学から就職へ変更した」と答えた人は6.3%もいて、新型コロナウイルスが生徒の進路にまで大きく影響しています。
そこで、埼玉県内の県立高校の生徒においても、コロナ禍において進学から就職へ進路を変更した生徒、あるいは会社の都合で今後採用内定の取消しをされる生徒も出てくることが予想されます。
現在、高校の就職希望者で卒業時に就職が決まっていない生徒に対しては、ハローワークで就職支援をすることになっています。そして、卒業後3カ月は高校もサポートしていますが、そのような生徒の就職状況は大変厳しいものだと予想されます。大野知事は、「誰一人取り残さない社会の実現」を公約に掲げていますが、この卒業時に就職の決まらない生徒をゼロにすることが大切です。
そこで、本年度の県立高校における卒業予定者の中で就職を希望しながら、いまだ就職が決まっていない生徒が現時点で何人いるのか。そして、今後の支援をどのようにするのか。この二点を教育長に伺います。

A 高田直芳 教育長

今年度の県立高校卒業予定者の中で、未だ就職が決まっていない生徒が現時点で何人いるのかについてでございます。
今年度の県立高校における就職希望者のうち、1月末現在で就職が決まっていない生徒は458人おり、率にして約7%となっております。
就職を希望する生徒が、一人でも多く就職先を決めたうえで、卒業式を迎えられるようにすることが大切だと考えており、県立高校では、現在も粘り強く就職支援に取り組んでおります。
次に、今後の支援をどのようにするのかについてでございます。
コロナ禍における雇用情勢の悪化が見込まれたことから、地元企業だけではなく、県内全域から就職先を探すことを促すため、今年度から新たに、県内各地区における求人件数などをまとめた資料を作成し、学校に提供しております。
また、これまで求人のなかった県内企業を中心に教育局の担当者が訪問し、直接求人を依頼するなど、新たな雇用先の確保に努めてまいりました。
各学校におきましても、ハローワークと連携し、常に最新の求人情報を収集するとともに、生徒に希望の職種や地域の拡大を指導したり、継続的に面接指導を行うなど、より多くの生徒が卒業前に就職が決まるよう取り組んでいるところでございます。
今後におきましても、これらの取組を今まで以上に強化してまいります。
議員御指摘の就職が決まらずに卒業する生徒につきましては、これまで、卒業後3カ月に重点を置いて支援してきたところですが、今年度からは、卒業後も就職が決まるまで継続的に連絡を取り、ハローワークと連携しながら、しっかりと就職支援を行ってまいります。

農業の担い手育成事業について

Q 岡 重夫 議員(県民)

埼玉県の基幹産業の一つである農業に従事する総農家数は、平成7年から令和2年までの25年間に50.1%、4万6,581軒も減少し、また農業就業人口の年齢構成では64.1%が65歳以上と高齢化も進んでいます。そして、これらに伴い耕作面積も減少し、このまま農業従事者が減少すれば、安全で安定的な県内の食料供給がこれまでのようにできなくなるおそれがあるばかりでなく、長年受け継いできた貴重な農業の知恵や技術が途絶えてしまいます。そのような中、年間の新規就農者の人口は、平成21年度の248人から令和元年度には321人と10年前より73人も増え、取組の成果が出ています。
そこで、私は、埼玉県の農業を発展させるためには、県が力を入れている稼ぐ力、人材力、地域力を高めることに更に力を注ぐべきだと思っています。そのためには、まず、農産物の市場を人口増の影響で食料不足の問題が出ている世界市場にこれまで以上に目を向け、グローバル化を図るべきだと考えています。そして、稼ぐ力を高めるためには、農業の法人化を一層進めること、また農業従事者のコスト削減や生産力向上のための経営力を磨くことが重要になってきます。人材の活用については、農業のグローバル化やICTを活用したスマート農業を押し進めるための人材の育成が特に必要です。現在、農業の未経験者でも農業技術を学びながら新たな発想で頑張っている若者がいます。また、農業経営で成功している例を見ると、グローバル化とICTの活用ができる経営者がほとんどです。
これまで県では、農業の法人化にも力を入れてきた結果、平成21年度末の417法人から10年後の令和元年度には1,128法人と、711法人も増えています。これからの埼玉農業の発展のためには、まずは新規就農者を増やすことと担い手の育成が課題だと思います。
そこで、その課題を解決するための施策について、知事のお考えを伺います。
あわせて、これからは農家を育てるのでなく、農業法人の経営者を育てることが大事だと考えますが、知事のお考えを伺います。

A 大野元裕 知事

新規就農者を増やすことと担い手の育成についてでございます。
渋沢栄一翁は、農業の盛衰は国家の盛衰に関わるという言葉を残しておられます。
私も、農業はいつの時代においても人々の食と命を支える基幹産業であり、魅力的な産業であると考えています。
本県の農業は、良質な食料の供給や県土の保全を通じて、県民の豊かな暮らしに大きく寄与するだけではなく、東京をはじめとする首都圏に食料を供給するなど、重要な役割を果たしております。
こうした本県農業を更に発展させていくためには、次代の埼玉農業の担い手となる新規就農者を確保し、経営を軌道に乗せ、経営力の高い農業経営者に育成していくことが重要であります。
このため、就農希望者のために相談窓口を設置するとともに、農業経営をはじめとする農業大学校での実践教育や就農直後の経営安定のための資金の交付などを実施しています。
また、コロナ禍にあるからこそ、幅広い分野から多様な人材を農業分野に呼び込めるよう、オンライン就農相談も活用し、就農を促してまいります。
一方、新たに農業を始める上では、栽培技術や経営能力の習得、農地や資金の確保など、解決しなくてはならない課題もございます。
これらの課題の解決を地域ぐるみで一体的に支援する本県独自の仕組みとして、「明日の農業担い手育成塾」を県内24カ所に設置しており、今後はこの取組を更に広げてまいります。
就農した後は、新規就農者に対して栽培技術の向上や販路開拓、さらには規模拡大など、普及指導員が伴走しながら支援をしてまいります。
次に、農業法人の経営者の育成についてでございます。
私は、旧来の農家の枠にとどまることなく、デジタル技術や世界に目を向けるなど新たな発想でビジネスモデルを創出し、稼ぐ力を持つ農業経営者が、本県農業の未来を切り拓いていくのだと考えます。
そこで重要になるのが、優れた経営感覚を持った農業経営者を育成することであり、これが農業経営の法人化の進展にもつながると思います。
このため、優れた農業経営者を増やすことができるよう、埼玉農業経営塾を開設し、自らの経営戦略を策定し実行できる経営者の育成を進めております。
今後の経営塾の運営においては、革新的でグローバルな経営理念を掲げる農業者を1人でも多く輩出できるよう、スマート農業や農産物輸出に関する講座の実施などカリキュラムの充実を図ってまいります。
引き続き、本県で農業を志す人材の確保から優れた農業経営者の育成まで、切れ目なく支援を続け、将来の埼玉農業を担う人材の育成に努めてまいります。

コロナ禍で県内の治安を維持するための取組について

Q 岡 重夫 議員(県民)

警察庁の発表した犯罪白書などを見ると、昨年来、刑法犯の認知件数などが全般的に減少していることが分かります。そして、埼玉県内においても、令和2年12月現在で1年間の刑法犯の認知件数が一昨年に比べて19.8%、実に2割も減少しています。これは新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響や現場警察官のパトロールの強化などにより、街頭犯罪が大幅に減少していることによるものと考えられます。
しかし、特殊詐欺においては全体の認知件数は減少しているものの、その数は昨年12月末現在で1,026件、約22億8,000万円もの被害額が出ています。特にオレオレ詐欺の認知件数は昨年対比で131件も増加し、高齢者に対する注意喚起が必要です。また、略取・誘拐だけは昨年度対比223.1%も増加して突出しています。これは、スマホなどの普及や学校の休校や外出自粛でSNSの使用頻度が増えたことが原因と考えられますので、保護者の子供に対するスマホの使い方などへの注意が必要です。
ところで、新型コロナウイルスの感染拡大が2年目に入り、今後経済活動の復活が遅れれば、更に失業者、会社の倒産などが増えて貧困率も増えることが予想されます。これまで世界的に経済と治安は相関関係があると言われ、国の経済状況が良好で国民が豊かであれば、犯罪や社会的な不安要素は少なく治安が保たれてきました。ある犯罪分析の専門家は、「失業率の上昇よりも貧困率の上昇が犯罪発生率を高める」と言っています。
そして今後、県内においても生活困窮者が増えることに比例して犯罪の発生率も増えてくるおそれが十分にあると、警戒を緩めることはできないと思っています。さらに、これから新型コロナウイルスに関係するワクチン接種の予約金詐欺やPCR検査の予約金詐欺など、特殊詐欺なども増えてくるおそれがあります。
そこで、コロナ禍で県内の治安を守り、県民の安全な生活を維持していくために、警察本部としての対策をどのように考えているのか、警察本部長のお考えを伺います。

A 原和也 警察本部長

県内の治安情勢についてでありますが、令和2年中の刑法犯認知件数は4万4,485件となり、前年と比較して1万1,012件、19.8%減少し、平成17年以降16年連続で減少しました。
特に強制わいせつや自転車盗、ひったくり等の街頭犯罪が大幅に減少しており、これはコロナ禍における外出自粛の影響によるものと見ております。
しかしながら、議員御指摘のとおり、依然として多くの高齢者の方々が特殊詐欺の被害に遭っており、また、SNS等を通じて少年を誘引する犯罪が増加傾向にあります。
加えて、今後更にコロナ禍に便乗した犯罪も懸念され、本年は、コロナを巡る情勢によっては認知件数の増加が危惧されるところであります。
このような情勢を踏まえ、県警察では、従来のような防犯活動が困難となる中、SNSを活用し、タイムリーな犯罪情報の発信、高齢者や少年向けの啓発動画の配信など、県民の防犯行動を促す広報啓発活動を積極的に推進してまいります。
また、特殊詐欺の防止に向け金融機関等との連携を強化するなど、関係機関団体と連携した防犯対策を引き続き推進するとともに、犯罪発生状況に即した重点的な警戒活動や検挙活動を強化してまいります。
県警察といたしましては、こうした抑止と検挙の両面からの対策を組織を挙げて推進し、県内の治安維持に全力で取り組んでまいります。

上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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