DXの推進について(知事)

県民と共に進めるDXについて

Q 平松大佑 議員(県民)

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術とデータの活用が進むことにより、社会、産業、生活の在り方が根本から革命的に変わること、また、その革新に向けて産業、組織、個人が大転換を図ることであります。
2021年の世界デジタル競争力ランキングでは、日本の総合順位は28位で過去最低となりました。デジタル能力の低さが国力の低下の一因ともなっており、デジタル化の遅れている日本において、DXの推進は急務であります。
私の地元新座市でも、新座市商工会青年部がデジタル化に関する勉強会をオンラインで開催するなど県民レベルでの動きもありますが、大切なことは県民と共にDXを進めていくという観点です。そのためには、デジタル活用の際のハードルを下げ、デジタルを使ってみてよかったと思っていただくことが重要です。
例えば、道路の損傷についての通報サービスです。今までは電話等で場所や損傷状態を伝えなければなりませんでしたが、位置情報も含まれた画像を送信してもらえれば、損傷箇所、損傷状態は一目瞭然です。正に身近なことで、デジタルの良さを実感していただく機会になると考えます。
実際に県でもこのようなシステムを導入しています。この点については評価を申し上げたいと思うのですが、実際に使うとなると大変な手間がかかります。まず県のホームページを開き、電子申請届出のページに行き、そこから更に道路損傷通報サービスのキーワードで検索をし、更に幾つかの工程を経て、早く通報したいのに、メールアドレスを必ず登録して、その後にようやく画像が送れることになります。相当な時間と負担がかかります。
私は、そもそも道路損傷通報サービスのページまでたどり着けませんでした。最初にこんな思いをされれば、二度と使うかという話になると考えます。DXの入り口の入り口でつまずいてしまうことになります。可能な限りハードルを下げて、まずは使っていただき、デジタルの良さを実感してもらうことが大切だと考えます。
こちらのシステムは早速、当面の改善をしていただきましたが、本サービスに限らず、今後、県民向けサービスのデジタル化を図っていく上で、県民が使いやすいサービス設計を改めて徹底していただきたいと考えます。そして、県民からのフィードバックを反映してもらいたいと考えます。
誰一人取り残さない人に優しいデジタル化を県民と共に進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

A 大野元裕 知事

DXを進める上で大切なのは、議員御指摘のとおり、デジタル化のメリットを県民が直接実感できることだと思います。
そのためには、多くの県民がいつでもどこでも簡単に、情報の閲覧やサービスの利用ができるようにならなければなりません。
ここで重要なのは、ユーザーである県民にとって使い勝手が良く、分かりやすいデザイン、いわゆるユーザーインターフェイス、UIと、ユーザーエクスペリエンス、UXをいかに向上させるかということだと思います。
優れたUI、UXを提供するためには、そのサービスを実際に利用するユーザーの立場に常に寄り添い、使い勝手を改善しようとする意識が不可欠だと思います。
私自身、県のホームページ等については改善の必要性を強く感じています。
UI、UXの向上という立場から見直していきたいと思います。
本年3月に策定した埼玉県DX推進計画においても、県民にとって必要な情報やサービスが、それぞれの県民に最適な形で提供される社会を目指すこととしています。
具体的には、今後ポータルサイトやスマホアプリなどにより、県民が必要な情報へ簡単かつ安全にアクセスできる環境の実現を図ってまいります。
一人でも多くの方が本県のデジタルサービスを快適に利用できるよう、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を県民と共に進めてまいります。

デジタル人材の育成を

Q 平松大佑 議員(県民)

DXを継続的に推進するためにも、中長期的視点で県職員のデジタルスキルを向上させていくことが重要です。部長や課長など職位や業務内容に応じて求められるスキルを計画的に取得していくことができるよう、デジタル人材育成プログラムを作成する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

A 大野元裕 知事

県庁職員に必要なデジタル技術を身に付けてもらうため、これまでも基礎から応用までを体系的に習得する研修の実施に努めてまいりました。
エクセルやワード、メールの使い方などの基礎から、AIやRPAなどの応用までの研修を行っています。
一方、最新の知見について実践を通して学ぶため、民間企業のICT部門に職員を長期派遣する取組も行っております。
更に、今月からはデジタル庁に職員2名を派遣し、国の施策に直接携わり、その経験や知見を埼玉県の施策に生かしてもらうことといたしております。
議員御指摘のとおり、今後のDX推進に必要なデジタル人材の育成には職位や業務内容に応じて求められるスキルを計画的に習得することが重要であります。
WEB会議やチャットツールなど、基礎的なデジタルの活用能力は全ての職員が身に付ける必要があります。
その一方で、全職員に同じスキルが求められるわけではなく、職位や業務内容に応じて求められるものはおのずと異なってまいります。
例えば、幹部職員にはデジタル技術を施策に活用し、自らが中心となってリードしていく力が必要であります。
また、中間層の職員にはデジタル技術を実際の職務でどのように活用するべきかを判断する能力が求められます。
こういったことを研究し、体系化する必要があると考えます。
そこで、DX推進に必要なデジタル人材像を明確にした上で、中長期的な育成の指針を定めたいと考えております。
この指針に基づき、全職員が求められるデジタルスキルを身に付けられるよう、人材の育成に取り組んでまいります。

CDOの設置を

Q 平松大佑 議員(県民)

県では、外部のコンサルタント会社を活用してDXを進めていますが、外部ということから効果は限定的で、内部にデジタルに明るい方がいなければならない。なかなか進まないと考えます。
現在、知事がリーダーシップを発揮され、砂川副知事がCIOとしてDXに向けた取組を実施されています。
しかしながら、知事、副知事ともに県政全般を担われていることから、サポートするCDOが必要であると考えます。CDOとは、チーフ・デジタル・オフィサーの略で最高デジタル責任者などと表現されます。DXを着実に進めるため、庁内に知識のある人材、CDOを設置されてはいかがでしょうか。

A 大野元裕 知事

DXは、単なるデジタル化ではなく、デジタル化を通じ、仕事や事業の在り方を大きく変革するものであります。
この変革を、スピード感を持って進めていくためには、明確な方針を示して組織を引っ張っていくリーダーが必要だと思います。
議員お話しのとおり、CDOは、DXの方向を決定づけ、自ら旗振り役となってデジタル化を推進する最高責任者と理解をしております。
本県においては、DXの取組を知事直轄プロジェクトに指定し、私自身が指揮をとって強力に推進しております。
このプロジェクトでは、事業部門と情報部門の職員が参加する大規模なチームを複数立ち上げて将来のあるべき姿について議論を交わすとともに、必要に応じてコンサルタントなど、外部の専門家による支援も受けております。
現在まで、本県のDXにかかるビジョンとその実現に向けた工程、ロードマップの策定も順調に進んできております。
議員御提案のCDOの設置につきましては、現段階では直ちに必要とまでは言えない状況だと考えています。
一方、近い将来には、ベース・レジストリを始めとした国と県との本格的なサービス連携、あるいは行政サービスと民間サービスの連携が進むフェーズがやってまいります。
本県といたしましては、そうしたより高い技術や民間事業との連携を高めるために必要な、専門的知識や技能が何であるかを明確にした上で、CDOの設置の是非を含め広範に検討させていただきたいと思います。

再Q 平松大佑 議員(県民)

直轄で知事が強力に進めているというお話でした。外部コンサルも使いながら今進めているので、直ちには必要ではないんだと。設置の是非についても検討していきたいんだというお話でありましたけれども、実際にこれからロードマップも、今度、特別委員会でもお示しいただけると思いますけれども、できて、それを実行していくという段階になってくるわけであります。
先ほど申し上げましたけれども、知事も、副知事も県政全般を担われているわけでありまして、その中でやはりどうしても細かいいろんな事務全般までには目が行き届かないと。職員の方もいらっしゃいますけれども、やはりそういった場面でデジタルにたけた方というのが、外部のコンサルタントを限定的に、こちらから投げ掛けたらアドバイスをもらうという限定的な形ではなくて、中に入っていただいて取組を進めていくということがやはりDX、正にトランスフォーメーションにつながっていく道のりの一番大切なところだというふうに私は思うんですね。
人材というのも、デジタル人材というのがなかなか今不足をしていると。しかも偏在をしているというところで、獲得合戦というか、そういった現状もあるわけであります。ですから、これは本当に早めに着手しないと、CDOとして優れた人材というのを獲得することが難しいのではないかというふうに思います。
そういった部分も含めて、是非も含め今後検討していくという話ですけれども、私はもう少しスピード感を持って獲得をするんだと。今は難しくても、こういう人材低減の中で庁内体制も整えて、CDOを入れるべく検討を進めるという、そういう考えでないとなかなか難しいのではないかなというふうに思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。

再A 大野元裕 知事

平松議員の御指摘、私も理解をするところではあります。
他方で、この埼玉県庁におきましてはDXの方向にまず舵を切るというのが非常に大きな問題であり、そして今、ビジョンをやっと共有したところでございますが、このビジョンそのものでは、なかなかついてこなくて、段階に分けて、必要な階段というものを作りながら、いわゆる県庁の特性とそれからサイバーやオンラインさらにはデジタル、こういったものを両方を今、旗振り役として必要としている段階だと私は考えております。
ある段階におきまして、CDOには是非、私も検討させていただきたいと思ってはおりますけれども、現段階はその前の、全ての県庁の職員をしっかりとデジタルの方に向けること、また、あまりに、他の自治体につきましても見ている限りにおきましては、特定の分野に強い方を入れたことによって、結局方向性がそちらに向いてしまうといったこともございますので、私は全般をしっかりと見ながら広範な議論を、しかしながらスピード感をもって進めていきたいと思っております。

デジタル人材の確保を

Q 平松大佑 議員(県民)

中長期的には内部人材を育成していくことが重要ですが、短期的には外部からデジタル人材を獲得してくる必要がどうしても出てくると考えます。外部から人材を登用することで、良い化学反応が庁内で起きることも期待しています。積極的に外部からデジタル人材を採用し、県のDXを推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。

A 大野元裕 知事

デジタル人材の育成には、中長期的には行政事務をよく知る職員自身がデジタルへの理解を深めていく必要がございますが、短期間では習得しきれないスキルや知識があることも事実だと思います。
また、外部人材と共に業務を進めることによって、DXの推進に向けた化学反応を起こすという議員の御指摘は私も同感であります。
現在、県ではコンサルティングや専門家への業務委託という形で外部人材を活用しておりますが、職員として採用することも手法の一つだと思います。
しかしながら、外部人材の採用には、短期的であるとしても、しっかりとした方針の下に進める必要があります。
これまで、ICTや情報セキュリティの知見と経験の豊富な民間出身者を任期付きで採用した事例もございます。この事例では、職員のICTリテラシーに良い相乗効果がもたらされ、情報施策の基盤づくり、とりわけ情報セキュリティの確立に大きな効果がございました。
一方、報道によると民間企業の採用意欲が旺盛であるため、議員御指摘のとおりデジタル人材の不足についても深刻化をしており、スキルの高い人材の採用が難しいとも言われています。
県においても、昨年度、行政実務研修員の制度を利用し、デジタル人材の公募を行いましたが、残念ながら応募者がおりませんでした。
今後も諦めずに、応募いただけるよう努力していきたいと考えております。
任用形態や人材確保の方法などの課題もありますが、引き続き外部人材の活用に努めてまいります。

DXを進める上での効果的な情報共有について

Q 平松大佑 議員(県民)

一般論として日本で行われた過去の改革が成功しなかった理由は、1、改革の目的がよく分からないこと、2、改革の推進者が一部に限られたこと、3、世論を喚起するPRに欠けていたこと、4、推進者が部下に対して指示と命令だけ押し付けたことなどが挙げられます。そして、改革の要点は、何がしたいか、理念、目標の設定、どこまでできるか、限界の認識、なぜできないのか、障害の確認、どうすればできるのか、可能性の追求、そのためには、情報を全て共有する、職場での討論を活発にする、その合意を尊重する、現場を重視することなどが挙げられます。
DXを実現できるかどうかも、正にこれらの点がポイントと考えます。各部や各課のDXの取組については、現在、統括ユニットで調整をし、全庁的に情報共有を図っていくという仕組みを取っているわけですが、庁内ポータルサイトを立ち上げ、DX推進に関する情報を共有し、全ての職員が更に議論を活発にしてDXを推進できるよう検討されてはいかがでしょうか。

A 大野元裕 知事

DXを進める上でまず意識しておくべきことは、デジタル化そのものを目指すのではなく、政策を実現するための手段として、活用するということだと思います。
すなわち、デジタルのDで終わることなく、トランスフォーメーションのXを意識し、職員一人ひとりがXを自分たちのミッションとして捉える、この姿勢が不可欠だと思います。
議員御指摘のDXに特化した庁内ポータルサイトの立上げについては、職員の意識改革を進めるために有効であり、私も非常に重要な視点であると思います。
現在も、全職員が閲覧できる既存のポータルサイトを利用して、ペーパーレスに役立つ情報、例えばヤギさんNewsという名前で出させていただいておりますが、あるいは、DXを分かりやすく解説した記事を投稿するなど、全庁の職員に向けた情報提供も、可能な限りわかりやすく、定期的に行っているところでございます。
こうした取組に加え、現在のポータルサイトに専用ページを開設し、DXに関する情報を一元化して、提供し、共有することを検討してまいります。
今年度取り組んできたDXプロジェクトでも、新たに導入したWebコミュニケーションツールなどを活用して、全庁で260名を超えるプロジェクトメンバーに参加をいただき、その間での情報共有を図ってまいりました。
こうしたツールを全庁展開することで組織横断的な連携や意識の共有をスムーズにし、職員自らデジタルに最適な業務プロセスへの見直しを進めることが可能となります。
現在、各所属の担当レベルで最適な業務プロセスへの模索を開始しているところであり、全庁レベルでの活性化につなげてまいりたいと考えます。
今後とも効果的な情報共有により、DXプロジェクトが円滑に進むよう、そして、庁内の議論が更に活発になるよう努めてまいります。

スタートアップ・ベンチャー育成、支援について

有識者会議のメンバーにスタートアップ・ベンチャーの専門家を

Q 平松大佑 議員(県民)

私自身、ITスタートアップ、そしてメディアベンチャーで勤務をしておりました。新しいビジネスモデルで新しいマーケットを創造する、正にベンチャースピリッツは、長期に低迷しているどころか、ちょう落が始まっている今の日本にこそ必要な精神であると考えます。また、スタートアップ・ベンチャーを増やしていくことは、県経済の活性化につながり、県内企業とも協業することでお互いにとって良い影響が生まれると考えます。
これから有識者会議を立ち上げ、スタートアップ・ベンチャー育成戦略を含め支援策を検討されます。埼玉ならではの支援策ができるよう埼玉経済に詳しい方々には当然入っていただきたいと考えますが、スタートアップ・ベンチャーの歴史文脈、海外の状況など、スタートアップ・ベンチャーに精通した専門家、経営者にも入っていただく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

A 大野元裕 知事

県では、新事業の創出により大きな成長を目指すスタートアップやベンチャー企業を支援するため、「(仮称)渋沢栄一起業家サロン」の設置を目指しております。
渋沢栄一翁は生涯で500社ともいわれる企業の設立に関わるなど、いわば、スタートアップの鑑とも言える偉人であります。
渋沢翁の理念を受け継ぐこのサロンの設置に当たりましては、有識者会議を設け、サロンの在り方や県のスタートアップ・ベンチャー育成方針について、御議論をしていただくことを予定しております。
有識者会議では、スタートアップ支援に求められる最新の動向や、本県の特色を踏まえた支援の在り方などの御意見をいただき、方針に反映させることが大変重要です。
そのためメンバーには、スタートアップ・ベンチャーの専門家やベンチャー企業経営者などに参画をしていただきたいと考えております。
加えて、議員御指摘のとおり埼玉県経済にも精通している県内経済団体や金融機関にもメンバーとして御参画いただき、これらの方々には、サロン設置の後にも、起業家を全県で支え続けていくための協力をお願いしたいと考えております。

再Q 平松大佑 議員(県民)

大変期待をしております。
その上でなんですが、コロナの影響でこういった渋沢栄一起業家サロン、プロジェクト含めて2年ほど遅れているわけであります。早期の立上げをしていただきたいなと思っているんですけれども、いつ頃の予定でございましょうか。

再A 大野元裕 知事

議員御指摘のとおり、コロナ等の影響もあり遅れており、また今後もコロナ等の状況を見極める必要がございますが、現時点では、委員の人選を既に進めているところであり、来年1月には設置をさせていただきたいと考えております。

高校生におけるアントレプレナー教育の充実を

Q 平松大佑 議員(県民)

新たな活力の源であるスタートアップ・ベンチャーに対して支援をしっかりしていくことと同じぐらい大切なこととして、いかに起業したい人たちを増やすかという観点での取組があると考えます。
経産省も諸外国と比較をして、日本ではベンチャーを起こす人がそもそも少ないというのが課題であるとしていて、起業を志向する方の割合は圧倒的に低い状況です。つまり、起業に関心がないから、結果、ベンチャーを起こす人の割合も低いわけであります。
今あるベンチャーへの支援という顕在化ニーズに対する支援も大切ですが、やはりその前段階の起業したい高校生など若い人たちを増やすという裾野を広げていく取組が非常に重要と考えます。若い世代に対する起業への意識を高めるための出前起業家講座の講師については、更に選定の幅を広げ、より効果の出る形で進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

A 板東博之 産業労働部長

多くの方に起業にチャレンジしていただくためには、若い頃から起業家マインドに触れることが大変重要と考えております。
国の調査でも、他国と比較して我が国の若者の起業意識が低い原因の一つとして、身近に起業家がいないことが挙げられております。
そこで県では、実際に事業を起こした方に中学校や高等学校を訪問していただき、創業までの道のりややりがい、挑戦し続けることの大切さなどを伝える出前起業家講座を実施しております。
今年度は現在まで16校で実施し、3,733名の中学生・高校生が起業家の話を聞きました。
生徒へのアンケートでは「受講前より何かにチャレンジしてみたくなった」「起業や新しい事業を創造することに関心が高くなった」との回答が8割を超えており、生徒に起業家マインドの大切さを伝えることができたと考えております。
今年度の講師は県が実施しているビジネスプランコンテストの入賞者など7名の方にお願いし、生徒が自らもチャレンジ可能だと思える身近な成功体験について講演していただきました。
今後は、海外に進出された起業家など、生徒が大きな夢を抱けるような経験を持った方も講師としてお迎えし、起業への意識をより高められる講座にしてまいりたいと考えております。

高校生向けの起業家養成プログラムの実施を

Q 平松大佑 議員(県民)

私の知人に高校時代に起業した方がいます。起業したいと思った当時の高校では起業を認めておらず、彼女は転校してようやく起業しました。女子高生起業家として話題になったこともありました。
今の高校生の中にも彼女と同じ志を持つ人が多くいると思います。若い人たちの多様な働き方を支援する観点からも、県として起業に役立つ知識やスキルを習得するための起業家養成プログラムを実施されてはいかがでしょうか。産業労働部長にお伺いします。

A 板東博之 産業労働部長

創業・ベンチャー支援センター埼玉においては、年齢に関わらず個別に相談に応じておりますが、起業を目指す高校生は、例年、1人、ないし2人から相談を受ける程度にとどまっております。
このため、出前起業家講座で裾野を拡大するとともに、起業に興味を持っている高校生の相談に乗ったり、起業に向けた具体的なイメージを形成できる仕組み作りが課題だと考えております。
そこで、まずは、起業に興味のある高校生を対象として、ビジネスプランの作成やマーケティングなどを学ぶことができるセミナーを開催するなど起業に向けた学びの場を提供してまいりたいと考えております。
起業家養成プログラムにつきましては、他県での実施状況や、学びの場の成果等を踏まえまして、今後検討してまいります。

大学生起業家の育成支援を

Q 平松大佑 議員(県民)

私自身もスタートアップやベンチャーで働く中で、起業志向を持った大学生と多く会ってきました。こういった大学生たちに埼玉県で起業してもらえればと思っております。
大学生×地元研究機関でスタートアップ・ベンチャーを育成し、いずれは県とのパートナーとして、そして埼玉経済の牽引役として活躍してほしいと考えております。
例えば、大学と連携をし、起業したい、あるいは実際に起業したがうまくいっていない学生たちと、県内研究機関や県内企業などをマッチングさせ、学生ベンチャーを創発するようなプラットフォームをつくられてはいかがでしょうか。産業労働部長にお伺いします。

A 板東博之 産業労働部長

県では、若い感性や行動力を活かしてイノベーションを起こす大学生の起業をしっかり支援していきたいと考えております。
そこで今年度、県内8大学に起業家教育の現状についてヒアリングを行いました。
大学からの声としては、起業家教育の必要性は感じているものの実施に向けたきっかけがないとの意見が多数寄せられました。
また、具体的に学生ベンチャーを創出したい意向を持った大学もあり、県に対して支援や協力を求める声もございました。
このように大学側では起業家の育成に取り組もうとしており、行政による大学生起業家の育成・支援の重要性は高まっております。
一方、これまで県では創業・ベンチャー支援センター埼玉で、個別相談には対応しておりますが、大学生に特化した支援は行っておりませんでした。
そこで、今後は県内大学との連携を深め、ビジネスプランコンテストの実施など大学生起業家の育成に向けた取組について検討してまいりたいと考えております。
また、今後、設置を目指しています「(仮称)渋沢栄一起業家サロン」においては、県内大学や研究機関などと連携し、様々なマッチングが生み出されるような取組を考えてまいります。

再Q 平松大佑 議員(県民)

基本的には前向きな御答弁をいただけたというふうに思っているんですけれども、大学との連携なんですけれども、まずは県内大学との連携という形でのスタートでいいと思うんですけれども、いずれはもっと枠を超えて、県外の大学だとか様々な優秀な起業家を集めるために枠を広げていただきたいなというふうに思うんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

再A 板東博之 産業労働部長

起業家とのマッチングは単に県内の大学のみならず、色々な研究機関を、埼玉県に限らず広くマッチングの機会があった方が新しい価値が生み出される可能性が高まるというふうに考えております。
そのため、議員御指摘のように、まずは県内の大学との連携をしっかり進めるとともに、県外の大学にも御協力を求め、起業家の支援をしっかり進めてまいりたいというふうに考えております。

民生委員・児童委員の欠員補充への柔軟な対応を

Q 平松大佑 議員(県民)

民生委員・児童委員については、高齢化、担い手不足が全国的な問題となっております。他方、埼玉県では、民生委員・児童委員の委嘱手続が年4回となっており、せっかく候補者が新たに見つかったとしても、実際に活動を始めるまで待機期間が生じてしまっております。
埼玉県でも担い手不足が深刻な中、候補者が新任者として早期に活動できるような対応が必要です。委嘱日について柔軟な対応が必要と考えますが、いかがでしょうか。

A 山崎達也 福祉部長

民生委員は、民生委員法に基づき、市町村に設置された民生委員推薦会及び県の附属機関である埼玉県社会福祉審議会における所要の手続を経て、知事が厚生労働大臣に推薦し、大臣から委嘱されます。
また民生委員は、児童福祉法に基づき児童委員を兼ねることとなっています。
推薦や委嘱の時期については、法令に規定がないため、県では、市町村が計画的、効率的に推薦事務を行えるよう年4回の時期を提示し、それに合わせて推薦調書を提出していただくようにしています。
しかしながら、急きょ新たに民生委員・児童委員を委嘱しなければ欠員が生じ、民生委員・児童委員の活動に支障が生じる場合があることも想定されます。
そこで、市町村から欠員の補充に急を要するなど、速やかな委嘱手続の要請があった場合には、適時適切に柔軟な対応を行ってまいります。

再Q 平松大佑 議員(県民)

柔軟な対応をこれからしていただけるということで御答弁をいただきました。その点については評価を申し上げたいというふうに思いますが、なかなか市町村にしっかりそこが浸透しなければ、それが有名無実化してしまうと思いますので、しっかりと市町村に対して柔軟に対応できるということを周知していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

再A 山崎達也 福祉部長

これまでも市町村からの相談には個別に対応してまいりましたが、市町村において速やかな委嘱手続が必要な場合は、県としても適時適切に柔軟な対応を行うことを改めて周知してまいります。

障害者優先調達方針の推進について

庁内での更なる取組を

Q 平松大佑 議員(県民)

障害者の方々の自立のためには、更なる工賃の向上が必要であります。工賃向上のためにも、このような方針があることは大変重要であると考えますが、この方針がしっかりと生かされるよう取組をする必要があると考えます。
この方針が生かされるためには、対象となるものがどのくらいあるのか、請け負っていただける業務についての切り出しを徹底的に行う必要があると考えます。切り出し作業を各部局、各課で実施した上で適切な目標設定を行うべきではないでしょうか。御答弁をお願いします。

A 山崎達也 福祉部長

障害者就労施設からの優先調達を進めるためには、例えば作業などの役務であれば、障害者の能力や適性に応じたものとなるよう、発注に当たり、作業工程を複数に分割するなどの工夫を行うことが必要です。
調達を円滑に進めるため、福祉部では、各障害者就労施設ごとの「受注可能な業務」や「提供可能な量」をリスト化した資料を随時更新の上、ホームページに掲載するとともに庁内連絡会議で周知しています。
各部局では、そのリストを参考に発注する業務を切り分けるなど、施設が受注しやすいようにしております。
実際に、保健所や特別支援学校等の大規模な建物の清掃など、1つの障害者就労施設では規模的に受注が難しい作業については清掃の区画を分割し、複数の施設が共同で受注できるような配慮も行っております。
なお、法に基づき、県で毎年作成している障害者優先調達推進方針では、業務の切り分けなど発注への配慮を考慮した上で、調達目標額を設定しているところです。
令和2年度は、調達目標額を9,700万円に定めたところ、実績は目標を上まわることができ、令和3年度は目標額を1億300万円に引き上げたところです。
今後も全庁一丸となって障害者就労施設からの調達額を増やすことができるよう、取り組んでまいります。

再Q 平松大佑 議員(県民)

全く取組をされていないというふうには思っておりませんけれども、まだまだ今の取組では不十分だというふうに事前の調査の中で私は判断しましたので取上げをさせていただきました。
しっかりとした切り出しされていると思うんですけれども、まだまだやれる余地があるというふうに思っているんですね。もうこれで十分だというふうに思ってらっしゃいますか、部局で進める切り出し作業というのが。まず、そこの御認識をいただきたいと思います。
それがしっかりできた上での目標設定でなければ、私はあまり意味がないと思っているんです。その点、いかがでしょうか。

再A 山崎達也 福祉部長

切り出しが十分か完全かと言われれば、確かにそうではないかもしれませんけれども、調達につきましては、発注者の事情と受注者の事情とがマッチして成立すると思っております。
発注者側が切り出しのみに着目して目標額を高めていくことはできると考えますけれども、受注者が受けられる、又は受けたいというのを発注者側が努力することも必要だと思いまして、こうした観点で取り組んでいきたいと考えております。

再々Q 平松大佑 議員(県民)

それは当然、両方なければいけないというふうに思います。切り出しだけやっていたってしょうがないという話は、実際に請け負っていただかなければしようがないわけですから。
ただ、切り出してしっかりこういうものがあるというのがなければ、請け負えるか請け負えないかの判断すらできないわけですよ。だから、しっかり切り出しをしなければいけないということを言っています。その点、いかがですか。

再々A 山崎達也 福祉部長

切り出しにつきましては、計画に基づいて各部局のほうで、これまでの実績を踏まえてやられていると考えております。
当然、それが全てとか100%であるとは考えているわけではございませんけれども、こうした中で、先ほど申しました観点の中から取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。

市町村での取組促進を

Q 平松大佑 議員(県民)

現在、県内の全ての市町村が方針を策定しているところですが、各市町村に対しても県と同様に、定義に当てはまる事業所が請け負える仕事を切り出す作業の実施を働き掛け、障害者の方々の工賃向上につなげるべきと考えますが、いかがでしょうか。

A 山崎達也 福祉部長

県では毎年度市町村に対して、県と同様に優先調達推進方針を作成し、目標額を定めて優先調達に取り組むよう依頼しており、すべての市町村で方針が策定されております。
また、市町村へも各障害者就労施設ごとの「受注可能な業務」や「提供可能な量」をリスト化した資料を提供し、業務の切り分けなど市町村の優先調達が円滑に進むよう支援しております。
市町村においても、様々な工夫により優先調達に取り組んでいただいており、市町村全体の令和2年度の調達実績額は約4億9,200万円であり、障害者優先調達推進法が施行された平成25年度と比較し、約3倍に増加しております。
県と市町村が連携した障害者就労施設からの優先調達を今後ともオール埼玉で進め、一人でも多くの障害者の雇用や工賃の向上につながるよう、積極的に取り組んでまいります。

再Q 平松大佑 議員(県民)

平成25年度より3倍に伸びて、令和2年度は4億9,200万円という話でした。この数字というのがまだまだ伸ばせる、更に伸ばせる余地があるものなのか、それとも、これで十分頑張っているという、どういう判断をされているんでしょうか。

再A 山崎達也 福祉部長

市町村の調達額4億9,200万円が十分との認識は持っておりません。
市町村の発注規模の合計は、県より大きい規模でございまして、市町村に更に調達額を増やしていただく必要があると認識しておりまして、県もその方向で努力してまいりたいと考えております。

学校教育の情報化について

学校教育情報化推進計画の早期策定を

Q 平松大佑 議員(県民)

GIGAスクール構想の進展で、県内小中学校のICT環境は整いつつあります。他方、いまだ日本の学校教育の情報化は世界から取り残されており、日常生活と学校との情報格差がある状況です。
しかし、本来は学校が格差是正のセーフティネットとしての役割を果たすべきだと考えます。様々なデータからも、学校でのICTの利活用がOECD諸国の中で桁違いに遅れている状況が明らかになっています。引き続き、学校教育の情報化については重点的に取り組む課題があります。
教育局の見解は、国の計画が策定中であり、国の計画策定を受けて検討するとのことです。一方で、デジタル化、ICTを活用した教育は現在進行形であり、また、自前で計画を策定できない市町村教育委員会のためにも、県の策定は急務と考えます。
また、今のうちから県として策定に向けた検討を進め、国の計画ができた段階で整合性を取って修正することもできると考えます。国の計画策定を待ってからの議論では、それだけ時間がかかります。計画の検討を行う有識者会議には是非専門家を入れていただき、国の様子を見ながら少しでも早く策定できるように準備していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

A 高田直芳 教育長

国のGIGAスクール構想によるICTを活用した教育がまさに現在進行形で進められている中、時期を待たずに学校教育の情報化を総合的、計画的に進めていくことは大変重要であります。
都道府県学校教育情報化推進計画は、「学校教育の情報化の推進に関する法律」において、国が策定する計画を基本として定めるよう努めなければならないと規定されておりますが、国の計画は未だ策定されておりません。
そのため県では、当面の学校教育の情報化に関する方策について整理し、本年12月に「埼玉県学校教育情報化の方向性」を定め、県立学校や各市町村教育委員会に周知したところです。
今後、国が学校教育情報化推進計画を策定した際には、この「方向性」を基に専門家など有識者の意見も伺いながら、県としての計画を速やかに策定できるよう進めてまいります。

再Q 平松大佑 議員(県民)

先ほどの御答弁の中で、早急に計画を進めていただくという御答弁をいただいたんですけれども、自前で計画を策定できない市町村教育委員会のためにも、策定は急務というふうに申し上げました。是非、計画の中に、これだけは県内全ての学校でしっかりとやってほしい、市町村の学校でも実践されなくてはならないというものもしっかり盛り込んでいただきたいというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。

再A 高田直芳 教育長

県の学校教育情報化推進計画は、市町村立学校も含めた県内の学校教育の情報化の推進に関するものを定めることとされております。
議員御指摘のとおり市町村の教育委員会でもしっかりと情報化推進計画が進むようしっかりと支援をしてまいります。

県立学校におけるBYADの早期実現を

Q 平松大佑 議員(県民)

現在、小中学校では、ネットワーク環境と端末1人1台環境が整備され、ICTを使った事業が実施されつつあります。しかしながら、県立学校では、ネットワーク環境は整備されているものの、端末についてはいまだ整備が進んでおらず、生徒たちのスマホを持ち込むBYODの形で授業が行われています。
冒頭に申し上げましたBYADとは、ブリング・ユア・アサインド・デバイスの略で、学校が推奨した機種を私費購入して学校で活用することです。県での今年度の導入校は6校、実施率は3.8%となります。
他方、来年4月に高校に入学する生徒たちは、先ほど申し上げたとおり、既にICT環境が整った中で学んできています。かなりの落差があると考えます。実際に保護者や生徒からも、1人1台環境を早く整備してほしいという声をお聞きします。
また、大学入試のあり方に関する検討会議においても、CBT化の推進が提言されております。
保護者の御理解をいただくなど難しさもありますが、BYADの全面実施は早急に取り組まなくてはいけない課題であります。現在は各学校が主体的に進めていますが、機種の選定をはじめ膨大な事務作業が大変な負担となり、そのために進んでいない現状もあると考えます。
そこでお聞きします。
BYADの実施に当たっては、いつまでに導入するかの期限を区切り、県が責任を持って実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。

A 高田直芳 教育長

県立高校では、生徒が所有する端末を学校の通信ネットワークにつなげ、教育活動に使用する、いわゆるBYOD方式により1人1台端末の環境を整えております。
そのため、現在はスマートフォンを含む1人1台端末の環境で、教育活動を進めているところです。
一方で、情報活用の実践力や情報の科学的な理解などの情報活用能力をより一層身につけるためには、いわゆるタブレット端末等の活用が望ましいと考えております。
そこで、新たに定めた「埼玉県学校教育情報化の方向性」の中で、令和5年度入学生からタブレット端末等による1人1台端末の環境を目指すことといたしました。
端末の整備にあたっては、議員御指摘の端末の仕様をある程度標準化したBYADによる方法も効果的であると考えられます。
その際には、各学校の特色に応じ、どのような学習ツールを利用し、どのようにICTを活用した授業を実現するのかを検討するとともに、端末購入のための経費を負担していただく保護者等へ十分に説明し、理解を得る必要があります。
また、経済的に支援が必要な生徒向けに貸与する公費で整備した端末との均衡を図る必要もあります。
そこで、県では学校が生徒用タブレット端末等を整備する場合の留意点をまとめ、各学校へ通知したところです。
今後、すでに整備した学校の事例の情報提供や機種選定に当たっての助言などを行い、学校がそれぞれの実情に応じて、タブレット端末等を活用したICT教育が進むようしっかりと支援してまいります。

再Q 平松大佑 議員(県民)

御答弁、ちょっと聞き漏らしたかもしれませんけれども、期限をしっかり区切って進めていくという認識でよろしいでしょうか。

再A 高田直芳 教育長

先ほど、令和5年度入学生から学年進行でというふうに申し上げましたけれども、学校の実情も様々でございますし、保護者の方に経費の御負担をお願いするということもございますので、5年度から5、6、7ということで進めてまいりますけれども、おしりを切ってここまでに完全にということではなくできるだけ速やかにBYADの端末によるICT教育が進むよう取り組んでまいります。

再々Q 平松大佑 議員(県民)

状況は理解もするところあるんですけれども、一方で先ほど申し上げたように、来年の4月からはICT環境が整った中で学んできた子供たちが新高校1年生として始めていくわけですね。ですから、課題は十分理解しているんですけれども、これはやっぱりしっかり区切ってやっていかないことには、またなかなかうまくいかないのではないかというふうに思ってしまうんですけれども、その辺の御認識はいかがでしょうか。

再々A 高田直芳 教育長

議員御指摘のとおり、できるだけ同じような端末で子供たちが高校での学習にICTを使って教育活動に取り組むことはおっしゃる通りだと思っております。
さまざま課題はありますけれどもできるだけ学年進行で令和5年度から端末の導入が進むよう取り組みを進めてまいります。

ICT教育推進課の体制強化を

Q 平松大佑 議員(県民)

既に知識、経験ともに豊富な方々が配置されているわけですが、残念ながら自治体からの相談に対応し切れなかったケースがあったとも側聞しております。また、ICT教育が進展し更なる活用段階へ進めば、専門的な相談も増加し、指導面で優れた人材だけでは対応できないことが今後想定されます。
ICT教育の指導力に優れた方と技術に詳しい専門人材が、タッグを組んで進めることが重要だと考えます。技術的な知識を持っている専門人材の配置を更に厚くする必要があると考えますが、いかがでしょうか。

A 高田直芳 教育長

県では、ICT教育を県内全域で学校種を超えて一層推進するため、義務教育、高校教育、特別支援教育に分かれていた担当を今年度から一元化し、ICT教育推進課を設置いたしました。
ICT教育推進課には、ICTを活用した教育を学校や市町村に指導する上で必要な経験を有する職員や、ICT環境の整備に必要な知識を持っている職員を配置しております。
また、ICT技術は日々進歩しておりますので、技術的な知識を持っている専門人材をICT支援員として配置し、技術的な支援・助言も行っております。
加えて、市町村においても、独自にGIGAスクールサポーターなどを配置し、ICT教育の充実に取り組んでおります。
今後、県立学校や市町村からの専門的な相談や支援要請の増加などにより、現行の体制で十分対応できなくなる場合には、専門人材の配置を含め、より効果的な体制の在り方について検討してまいります。

学校現場でのICT利活用について

Q 平松大佑 議員(県民)

緊急事態宣言のさなかなど、いやが応でも活用せざるを得ない場面がありましたが、これからは平時においてもICTが有効に活用されていくことが重要であると考えます。
一方で、自治体によってかなり差がある状況を見聞きしています。自力でICTの利活用を前へと進めている自治体、ICTの利活用を図りたいと考えながら体制的に進めることが困難な自治体、いまだICTの必要性を認識できておらず、ほとんど利活用を図っていない自治体と、3つのパターンに分かれているようです。
使われていない状況を見聞きすると、多額の国費を導入したGIGAスクール構想とは何だったんだろうと思ってしまいます。結局、不利益を被るのは子供たちです。こういった状況を変えていかなければいけません。
また、町村部など進めたいけれども人員が不足しており進められない自治体には、適切なフォローが必要です。実態把握が現場の負担となってはいけませんが、現状を変えるためにも各教育事務所などが正確な実態を把握した上で、それぞれの自治体に合った適切な支援を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

A 高田直芳 教育長

県では9月に県立学校及び各市町村に対しアンケートによる実態調査を実施いたしました。
その結果、夏休み明けの緊急事態宣言期間中に分散登校や時差通学を実施した県立学校では全ての学校において、また、市町村立学校では99.3%の学校においてオンライン学習を実施しております。
緊急事態宣言下でのICTを活用した取組においては、子供たちの継続的な学びの確保とともに、日々の健康観察や心のケアなどにも有効であったと受け止めております。
緊急事態宣言下で高まったICT活用の機運を逃すことなく、平時においても日常的、継続的にICTを活用していくことが重要であると考えます。
また、実態調査により判明した、県立学校や市町村における活用状況の違いは、教員のICT活用指導力や端末使用に関するスキルの差、校内推進体制が十分に整備されていないことなどによるものと考えております。
このことから、今年度新たに配置したICT支援員などとともに、個別の困り感に寄り添うオーダーメイド型支援として、県立学校や市町村に対するWeb相談窓口を設置しております。
また、学校の困りごとを解決する、ポータルサイトを立ち上げ、ICT活用の実践事例やICT機器などに関する各種Q&A、Web相談窓口に寄せられた相談とその回答などを掲載し、1人1人の教員に必要な情報が届くよう、取り組んでおります。
今後も、学校現場の実態を正確に把握するとともに、通常の教育活動においてICTの効果的な活用が進むよう積極的に取り組んでまいります。

生物多様性保全戦略について

科学的知見に基づいた緑地の評価実施を

Q 平松大佑 議員(県民)

県では、次期戦略の策定に向けた検討を令和4年度に予定されております。生物多様性については、2030年までに地球の陸と海の30%以上を自然環境エリアとして保全することを目標とする新たな国家目標「30by30」が検討されています。対象となる自然環境エリアはまだ示されていないとのことですが、県としてもその趣旨を踏まえ、自然環境エリアとしての緑地を保全していくべきと考えます。
そして、緑地を保全するためには、究極的には公有地化が必要です。市町村が手を挙げたときに初めて緑地が保全されるという今の仕組みでは、おのずから限界があると考えます。
また、予算についても、戦略が実現されるよう緑の基金などから、更に緑地保全に充てられるようにしなくてはいけないと考えます。
真に生物多様性の保全に寄与する緑地を保全するためには、科学的知見に基づいた緑地の評価が必要です。実施をされてはいかがでしょうか。

A 小池要子 環境部長

本県には、武蔵野の面影を残す平地林をはじめ、田園や屋敷林など多様な緑地が数多く残されております。
その中でも、都市の緑地は、都市における生き物の貴重な生息場所や自然とのふれあいの場所として、また、ヒートアイランドの緩和機能や水害の軽減につながる雨水の貯留機能など、様々な価値を有しております。
こうした緑地の価値を適切に評価し、見える化していくことは大変重要と考えます。
そこで、今年度中に改訂を予定しております埼玉県広域緑地計画の検討に際し、緑地の持つ様々な機能について、自然環境保全上の機能、環境への影響を軽減する機能など4つの観点から分析をいたしました。
特に、自然環境保全上の機能では、国が実施しました植物の群落の状況や植生の状況、そういった調査結果を活用し、生物多様性の観点を取り入れたところです。
この調査結果を、市町村と共有して緑地の保全に生かすとともに、次期埼玉県生物多様性保全戦略の策定にも活用してまいります。

再Q 平松大佑 議員(県民)

調査をされたことは評価をするんですけれども、5ヘクタール以上というそういうくくりの中でされていて、私はまだそれだと網目が荒いというふうに思っているんですね。更なるしっかりとした生物多様性の保全に寄与するための科学的知見に基づいた緑地評価をしてほしいという質問の趣旨です。いかがでしょうか。

再A 小池要子 環境部長

今回5ヘクタール以上ですが、全県2万5,852箇所、14万ヘクタールの緑地を対象とさせていただきました。
まず、これについてしっかり分析するとともに、また必要な調査については実施してまいりたいと考えております。

戦略実現のための財源確保を

Q 平松大佑 議員(県民)

先ほど申し上げたとおり、国でも具体的な数値目標が検討されており、ある程度現実味のあるものであります。それを踏まえた戦略実現のために必要な緑地保全に要する財源確保を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

A 小池要子 環境部長

国が検討しております「30by30」の対象エリアは現時点ではまだ明確になっておりませんが、トラスト保全地などの公有地化した場所だけではなく、自然公園区域や本県独自に指定しておりますふるさとの緑の景観地など、そうした地域指定がなされた場所も含まれるような想定と聞いております。
この想定に基づきますと、既に本県面積の3割ぐらいになるところですが、次期埼玉県生物多様性保全戦略の策定に当たりましては、国が今後決定する保全エリアの考え方、また現在の保全の状況などをしっかり踏まえまして、貴重な緑の保全について検討してまいりたいと考えております。
そのために必要な財源につきましては、みどりの基金も含め、限られた財源の有効な活用といった点にも留意しつつ、その確保に努めてまいります。

県がイニシアティブをとって戦略の実現を

Q 平松大佑 議員(県民)

緑地の公有地化の問題など、市町村からの手挙げ方式だけではなかなか進まない現状があります。県がイニシアティブをとり、県からも働き掛けを更に行い、保全が必要な緑地についての公有地化等を図っていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

A 小池要子 環境部長

県では、これまで、さいたま緑のトラスト運動を推進し、県内で14か所74ヘクタールの緑地を公有化し、維持管理を行っております。
また、県が指定したふるさとの緑の景観地などを対象として、市町村と連携・協力しながら公有地化を行ってきたところです。
緑地が持つ機能やその価値は、その緑地を有する地域にとってかけがえない貴重な財産となります。
そのため、緑地の保全やその活用をどのようにしていくかは、それぞれ地域の思いやその意向が大変重要です。
緑地の公有地化についても、地元市町村の積極的な関わりは欠かせないものと考えます。
県といたしましては、現在策定中の第3次埼玉県広域緑地計画で示す緑地の評価結果、こちらを市町村と共有し、それぞれの地域特性に応じた重要度を加味しながら、緑地の保全に積極的に活用するよう働き掛けてまいります。

埼玉版スーパー・シティプロジェクト成功のため、市町村への財政支援を

Q 平松大佑 議員(県民)

このプロジェクトは、県として超少子高齢社会の様々な課題に対応するため、コンパクト、スマート、レジリエントの3つを要素とする持続可能なまちづくりに市町村と共に取り組むプロジェクトです。
ただ、市町村の方々にお聞きをすると、県からは既存の補助メニューを紹介されるだけで、あえてスーパー・シティに参加するメリットが少ないなどという声をいただいております。
参加するインセンティブが働くようスーパー・シティを進める上で必要な新たな財政支援を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。

A 小池要子 環境部長

県では、埼玉版スーパー・シティプロジェクトの推進に当たり、市町村に県へ期待することなどについてのアンケート調査を実施しております。
その結果、一番多かったのは国の支援制度の情報提供、次に窓口の一本化、そして人材・財政支援、企業とのマッチングなどでございました。
そこで、まずは令和3年度当初に、プロジェクトに関するまちづくりの相談をワンストップで受ける総合相談窓口を設置いたしました。
これにより、市町村は個別に関係部署に相談する必要がなくなり、非常に相談がしやすくなったとの声を聴いております。
また、市町村のまちづくりの取組内容に応じ、活用できる国や県の補助メニューの提供やその申請の支援を行っております。
今後、さらに市町村にとってのインセンティブを高めるためには、新たな県の補助制度の検討も必要と考えてはいるところです。
今後とも、市町村に寄り添いながら全庁を挙げて支援をしてまいります。

下水道に関する意識の向上について

Q 平松大佑 議員(県民)

下水道は我々の生活を支える重要なインフラであります。近年問題となっているゲリラ豪雨対策や汚水の処理など、なくてはならないものです。持続可能な社会づくりの上で欠かせないものであり、下水道の役割や大切さを多くの皆様に更に知っていただく必要があると考えます。
環境教育や持続可能な社会を考えるきっかけともなるこれらの事業を広く県民の皆様に知っていただくことが重要と考えますが、更なる広報PRについてどのようにお考えでしょうか。

A 今成貞昭 下水道事業管理者

下水道局では、子供たちに持続可能な社会への取組を学んでいただくため、水循環センターの見学会などを実施してまいりました。
コロナ禍前の令和元年度は、施設見学会を176回、移動教室を37回、夏休み親子下水道教室を10回行いました。
令和2年度以降これらの事業は一旦中止し、代わりにコロナ禍でもできる新たな広報に取り組んでまいりました。
インターネットを活用したマンホールデザインコンテストや下水道検定クイズ、マンホールお守りの配布などを行い大きな反響がございました。
一方、国の意識調査では、約4割の方が自分の使った水が下水道を通じてどこに排水されているのか知りませんでした。
そこで、施設見学も引き続き重要であることから、先日、これを再開したところでございます。
11月から稼働した中川水循環センター汚泥消化施設の特別見学会は、多くの方に参加いただき好評でございました。
今後とも下水道への理解を深めていただくため、コロナ禍でのノウハウも生かしながら、創意と工夫による広報に積極的に取り組んでまいります。

あと数マイルプロジェクトについて

Q 平松大佑 議員(県民)

地下鉄12号線の延伸に関する国の答申では、課題として、大泉学園町から東所沢までの延伸については事業性に課題があり、事業性の確保に必要な沿線開発の取組等を進めることが示されています。事前に確認したところ、県としては一体整備の可能性も排除せず、取組を進めていきたいとのことでした。
都の延伸への取組は、かなり熟度を増してきており、スピード感ある取組が必要です。課題である沿線開発の取組については、県がしっかりとイニシアティブをとって進めていかなければいけないと考えています。
関係自治体の認識、熟度の差を埋めるとともに、今まで以上に県が主体的に沿線開発の取組をスピード感を持って進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

A 堀光敦史 企画財政部長

鉄道延伸の取組には、まちづくりなど地元市主体のもの、広域調整など県主体のものなど役割分担があり、協力して進めることが必要です。
沿線開発につきましては、関係市で連携して取り組むため、県主催で連絡会議を開催し、県調査の内容や各市の取組などの情報交換を行っています。
連絡会議では、新座市、所沢市のまちづくりの取組を共有することで、両市でのまちづくりの熟度などについて認識をいただき、更なる取組を促しております。
また、今年度、県ではまちづくりに資する調査を実施する中、県職員が新座市に足を運び、市のまちづくりの担当者と直接、状況確認や意見交換を行っております。
鉄道の延伸とまちづくりは車の両輪の関係であり、延伸の実現に向けて両者は一体で進めていくべきものと認識しております。
県では、両市に対し、交通部門と都市部門の十分な連携を働き掛け、所沢市では今年度の連絡会議に都市部門の職員も参加をいただいたところでございます。
こうした取組により両市におけるまちづくりの検討をしっかりと支援することで、市と連携しながらスピード感を持って進めてまいります。

再Q 平松大佑 議員(県民)

今、力強い答弁はいただいたわけなんですけれども、現実にはなかなかその沿線の開発を期待というふうにあるんですけれども、どういった段階で果たして国が、これは期待できるねというふうに判断をしてくれるかというところも、市と県でもっと話合いをしっかりして、そこの部分を詰めていかなければいけないと思うんですね。
そのために連絡会議だったりだとか、勉強会だったりだとかを開催されていると思うんですけれども、これ、かなり頻度が低いわけですよ。こういった状況で、やっぱりなかなかコミュニケーションってうまく取れるのかなというふうに思うんですね。
あわせて、県からいろいろ話を聞くと、市から相談があればそれはしっかり受けてきますよという、こういうことが漏れ聞こえてくるんです。そうではないんだと、県からもしっかりアプローチをしていく、市からも積極的に遠慮なく話をしていく。市も県も延伸を目指しているわけですから、私はそういう姿勢であってほしいというふうに思うんですね。どこかちょっと他人ごとに聞こえるような話が若干あるのが非常に不安なところなんです。
是非同じベクトルを向いて、そして一体のチームで取り組んでいただけなければ、なかなかこれは容易なことではないというふうに思っているんですけれども、その点の決意をお聞きしたいと思います。

再A 堀光敦史 企画財政部長

県と市の連絡会議ということで、情報共有あるいは鉄道部門・都市部門の連携を図っているということは、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますけれども、それ以外にも、専門家を講師に迎えて、職員の知識向上を図るための研修会という場を設定させていただいており、研修会では、県や市が課題について質疑応答等を行って、コミュニケーションを取るように機会を設けてございます。
今後は、今まで以上に、そのようなあらゆる機会を捉えて、コミュニケーションをしっかり取ってまいりたいと思います。

地元問題について

栗原交差点の改良について

Q 平松大佑 議員(県民)

本事業については、令和2年2月の一般質問で取り上げ、早急に完成に向けて取組を進めるべきと質問を行いました。早速、本年度予算に土地の買収に係る予算を計上いただき、着実に事業を前へと進めていただいております。迅速な取組を高く評価するところでございます。おかげさまで、あと少しで交差点改良が終了するところまで来ております。
事業完了に向けた今後の取組についてお聞かせください。

A 北田健夫 県土整備部長

栗原交差点は、県道と県道が交差しており、慢性的な渋滞が生じていたことから、交差点の整備を進めてまいりました。
これまでに、交差点整備に必要な用地取得を進め、現在の用地買収率は88%となっております。
また、工事につきましては、北側を残し、3方向について整備が完成しており、現在の工事進捗率は65%となっております。
令和3年度は、引き続き、用地取得に努め、御協力がいただけた場合には、速やかに工事を進めてまいります。
今後も、地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、早期完成に向けて取り組んでまいります。

都市計画道路保谷朝霞線の事業区間の延伸について

Q 平松大佑 議員(県民)

都市計画道路調布保谷線の受皿である保谷朝霞線は、新座市の中央部を通過するため、新座市にとっても大変重要な路線となっています。本路線は野寺工区に引き続き、道上工区も本年4月に事業認可されました。
計画路線4.4キロメートルのうち約2.7キロメートルの区間については、令和元年9月に開催された県の都市計画変更に係る説明会で令和5年度までに都市計画変更手続を行う旨の説明がありましたが、現時点ではいまだ線形変更案を示すところまでも行っておりません。
本年度予算で延伸に向けた調査費が計上されていますが、現在の進捗と今後の予定についてお聞きします。

A 北田健夫 県土整備部長

都市計画道路保谷朝霞線は現在、都県境から産業道路と呼ばれる市道までの約1.7キロメートルの区間の事業を進めております。
産業道路から国道254号までの約2.7キロメートルの区間につきましては、議員お話のとおり、都市計画変更に向けて検討を進めております。
令和3年度は、国道254号との交差部について、地形が複雑であることから、円滑な交通や安全性の確保、周辺への影響などの観点から、交差する位置や構造を検討しています。
引き続き、都県境から産業道路までの事業推進を図りながら、産業道路から国道254号までの区間の令和5年度までの都市計画変更に向けて取り組んでまいります。

都市計画道路保谷朝霞線の未着手区間における市との連携について

Q 平松大佑 議員(県民)

当該区間には、地下鉄12号線の新駅予定地や市のスマートインターチェンジ構想、地域活性化インターチェンジ構想があります。地下鉄12号線の延伸を勝ち取る上でも、県として大変重要な場所であると考えます。
スマートインターチェンジ、あるいは地域活性化インターチェンジの受皿として保谷朝霞線が機能するといったことなどは、現時点では計画されていませんが、県と市がしっかりと連携をし、市が検討していることと県の事業が有機的に結び付いていくことが重要だと考えます。県と市がしっかりと連携し、地域の活性化を進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

A 北田健夫 県土整備部長

都市計画道路保谷朝霞線の未着手区間周辺において、地下鉄12号線の延伸やインターチェンジなど、新座市のまちづくり構想があることは認識しております。
県は、本路線の設計などの状況を市に提供しており、また、まちづくりの主体である市が取り組むまちづくり構想の進捗状況を適宜確認しております。
引き続き、道路計画の具体化にあたっては、インターチェンジや新たなまちづくりにより整備される市道との接続について調整するなど、新座市と連携して進めてまいります。