知事の2期目の県政運営にあたって(知事)

政治姿勢について

Q 井上航 議員(県民)

知事は、1期目に続き、今回の選挙でも自身の政治姿勢を「無所属県民党」と称されました。私たちの会派名である「無所属県民会議」ともよく似ております。
ここで約12年前、私たちが会派名を決める際のエピソードを紹介したいと思います。政党所属ではないことを明示するため、会派名にも「無所属」を入れよう。政党の論理ではなく、県民のために活動するという意味で「県民」というフレーズを入れよう。そして、県民の声を聴き、自由闊達な議論を行う会派にしようとの思いから「会議」というフレーズを取り入れることとしました。
さて、知事も「無所属県民党」という言葉を安易に使ったのではないと思います。一方、このスタンスを貫き続けることは決して容易ではありません。そのことは我々が身をもって経験しております。「無所属県民党」を名乗った知事には、慣れ合いやしがらみとは一線を画し、開会日の就任挨拶でも触れておられた県民本位の立場を貫いてほしいという、県民の願いが寄せられたものと思います。
以上を踏まえ、知事は2期目の県政運営に当たっても選挙の際の約束どおり、公平・公正、県民本位、一党一派に偏らず是々非々で臨むものと考えてよろしいか、知事に伺います。

A 大野元裕 知事

地方自治体である県は、知事と県議会議員が共に直接選挙で選ばれる二元代表制であります。
その二元代表制において、より良い政策を実現していくためには、知事と県議会とがそれぞれ置かれた立場から互いに切磋琢磨をし、緊張感を持って是々非々で議論を積み重ねることが重要であると考えています。
また、県行政は可能な限り広く県民の利益を代表するべきであり、国政政党の考え方に縛られることは適切ではないと考えてまいりました。
このため、私は先の知事選挙において複数の政党支部、つまり県組織からの御支持は頂きましたが、1期目と同様、どの政党からも公認、推薦を受けない「無所属県民党」として選挙に臨み、どの政党とも政策協定を結ぶこともございませんでした。
こうした私の考えは一貫しており、今後の県政においても、しがらみやなれ合いが生じることは一切ありません。
なお、一部には政党から要望を受けると政党と一体化するといった主張があったようですが、可能な限り広く県民のお声や要望を受けることは当然であり、要望を受けたとしても政党と一体化することはありません。
2期目の県政運営に当たり、私は、どの政党とも分け隔てなく是々非々で議論ができる関係を維持し、幅広い県民の皆様の声を県政に反映させることで、県民本位の県政を実現してまいります。

一次産業が抱える課題の抜本的な改善に向けた意気込みについて

Q 井上航 議員(県民)

大野知事は、「日本一暮らしやすい埼玉を実現する これからの4年に向けて」と題した政策集を発表し、知事選挙に臨み、当選されました。この政策集には、5か年計画に記載のない用語も登場します。こうした新たなキーワードには、知事の新たな問題意識や課題解決に向けた意気込みが込められていると感じております。
その中で私が注目したのが、「一次産業が抱える課題の抜本的な改善」の章に登場する「フードテック」、そして「アグリテック」というフレーズです。ウクライナ侵攻をきっかけに食料、燃料、肥料などが不足・高騰する世界的な食料危機を迎え、ほかにも地球沸騰化とも言われる気候変動、人口減少、超少子高齢化という人口動態の変化、担い手不足、物流の2024年問題などにも、一次産業は密接に関わります。そうした課題山積の状況に対して、大野知事は食文化の新しい技術を活用し、食料供給や環境保護等の社会的課題の解決などにつながる新たなビジネスを意味する「フードテック」、そしてスマート農業を含む「アグリテック」を推進することで解決に臨もうと打ち出しました。
そこで、埼玉県において、これからどのようにフードテック及びアグリテックを進めるお考えなのか、知事の御所見を伺います。

A 大野元裕 知事

気候変動による異常気象の頻発化や農家の高齢化、環境への配慮など一次産業が抱える課題が複雑化する中で、アグリテック/フードテックはこれらの課題を抜本的に改善をする糸口になるものと考えております。
先端技術の導入を進め効果を最大限発揮させるためには、農家のニーズの把握や導入環境整備と併せ、企業の技術開発やマッチングなど産業支援的な観点や資源の有効活用など環境的観点からも取り組む必要があります。
このように論点が多分野に及ぶものにつきましては、縦割りの部局ごとでの対応は難しくなってまいります。
そこで、本年4月に縦割り行政を超克したプロジェクトチームをスタートさせました。
チームでは、異なる所属から集まったメンバーが交わり、多様な知見や価値観をぶつけ合いながら、問題解決に向けて新しいアイデアや手法を模索してまいります。
現状把握のために行った関係者からの情報収集や意見聴取では、県に支援を期待する多数の声があがりました。
例えば、施設園芸農家からは複数の先端技術を組み合わせた際の効果の見える化を望む声や、陸上養殖の事業者からは、技術的支援や情報交換の場を求める意見がありました。
チームには、こうした声はもちろん、時代の潮流や本県の地理的優位性など様々な観点から先端技術の普及実現に向けた施策を検討させております。
今後もプロジェクトチームを活用し、部局横断の特性を生かした多角的なアプローチにより、一次産業が抱える課題改善に向け、アグリテック/フードテックを推進する担い手・企業を積極的に支援をしたいと考えております。

こどもホスピスについて

こどもホスピスの現状について(保健医療部長)

担当部署について

Q 井上航 議員(県民)

さて、皆さんはこどもホスピスを御存じでしょうか。「ホスピス」という言葉から、終末期医療のための施設、又は末期がんの患者が最後に過ごす場所というイメージを持った方もいらっしゃるかと思います。しかしながら、こどもホスピスは、そうした成人向けのホスピスとは異なります。こどもホスピスは、命に関わる病気の子供が家族や友達に囲まれて楽しい時間を過ごすことを目的とした施設です。
本年4月に発足したこども家庭庁には、成育環境課という部署にこどもホスピス専門監が配置されたとも聞いております。一方で、整備状況はというと、日本には現在、大阪府に2施設、横浜市に1施設の合計3施設しかありません。
私たち会派では、そのうち大阪府のTSURUMIホスピスと横浜市の横浜こどもホスピスの2施設を視察させてもらいました。いずれの施設も温かい家庭的な雰囲気で、幼児の遊びたい、学びたいという思いに応えられるように、専門の設備や発達を支援するスタッフを要する専門施設であり、病気を抱える当人だけでなく、両親にも休息や人とのつながりを与えてくれる家族の新しい場所と言えるような場所でした。
横浜こどもホスピスには、埼玉県から通ってくる子供もいるとのことです。まずは、埼玉県の現状を把握するべく、以下について保健医療部長に伺います。
まずは、ア、こどもホスピスの担当部署についてです。
こどもホスピスの課題の1つに、医療や介護、障害福祉、教育と複数の部門が関わるという点があります。本年5月2日の共同通信の記事には、こども家庭庁が令和5年度中に初のこどもホスピスの全国実態調査に乗り出すとありました。早ければ、年度内にも国からの調査依頼が届く可能性もあるわけです。また、こどもホスピスを求める家族の声や設置に向けて協力したいという県民の声があっても、それを拾えない状況にあります。
そこで、埼玉県庁の担当部署は決まっているのか、保健医療部長に伺います。

A 表久仁和 保健医療部長

こどもホスピスに関しては、現在法令等に基づく施設の定義はございません。
令和5年3月に閣議決定された、成育基本法に基づく「成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」においては、「いわゆる「こどもホスピス」などの、小児がんの患者や小児慢性特定疾病を抱える児童等が家族や友人等と安心して過ごすことができる環境の整備について検討を進める。」とされています。
これを踏まえ、県では、小児慢性特定疾病を所管する健康長寿課において対応してまいります。

生命にかかわる病気や状態の子どもの人数について

Q 井上航 議員(県民)

視察で伺った大阪府のTSURUMIホスピスも、横浜市の横浜こどもホスピスも、いずれも利用対象者を生命を脅かす病気=Life-threatening conditions(LTC)を抱える子どもとその家族としています。生命を脅かす病気とは、具体的に(1)小児がん、先天性疾患など根治療法が奏功することもあるが、うまくいかない場合もある病態。(2)神経筋疾患など早期の死は避けられないが、治療によって予後の延長が期待できる病態。(3)代謝性疾患、染色体異常など進行性で治療はおおむね病状の緩和に限られる病態。(4)重度脳性麻痺など不可逆的な重度の障害を伴う非進行性の病態で、合併症によって死に至ることがある病態。これらが挙げられています。
そこで、埼玉県にどれくらいこれらの病態の子どもがいると考えられるのか、保健医療部長に伺います。

A 表久仁和 保健医療部長

生命を脅かす病気LTCの子どもの人数につきましては、生命にかかわる病気や状態であるかなどの明確な基準がなく、また、疾患の種類ごとにそれぞれのお子さんの病状を把握することが困難なため、把握できておりません。
一方、小児慢性特定疾病の医療費助成を受けている児童のうち、悪性新生物の治療を受けている児童につきましては、令和4年度末時点で1,007人となっております。

知事のこどもホスピスに対する所見について(知事)

Q 井上航 議員(県民)

保健医療部長の答弁のとおり、埼玉県には小児がんを抱える子供が1,007人、約1,000人いるということでした。その子供たちもほかの子供たちと同じく、楽しく遊びたい、成長したい、学校に行きたい、家族や友達と楽しい時間を過ごしたいという願いを持っています。病気だからといって、その機会が奪われていいはずがありません。
埼玉県は、こどもまんなか応援サポーター宣言をしています。是非こうした生命を脅かす病気を抱える子供たちを支えるためにも、こどもホスピスの設置に向けた動きが県民の中から起こってきたときに力を貸していただきたいと思います。
こどもホスピスの話をすると、既存の障害福祉サービスを使えばいいのではないかという考えを聞くこともあります。しかし、こどもホスピスは病気を抱える子供たちと家族のニーズに合わせた過ごし方を提供するため、既存サービスの枠にはおさまらないのです。
視察で伺った横浜こどもホスピスの事例をお話ししますが、当該施設において人気の過ごし方は家族で一緒に寝たり、一緒にお風呂に入ったりという普通の子供なら当たり前に、かつ自宅でもできることだそうです。でも、病気を抱えた子供たちはこれらを自宅ではできません。しかし、こどもホスピスならば設備も大きく、リフトもあります。そして、専門のスタッフやボランティアがいるからこそ、できる体験となるのです。
また、伺った話の中に印象に残った話があります。利用者の中に、花火がしたいと話す子供がいたそうです。その願いに応えるべくスタッフで準備を整え、家族で楽しく花火をしたと。その子は、その花火をした翌日に亡くなったといいます。花火をしたいという願いを実現できずに亡くなるのと、家族でそのひと時を体験できた上で亡くなるのとでは、その子のために何をしてあげられたのだろうかという残された家族の心の葛藤に対しても、前向きに生きる力を与えてくれるということでした。
大野知事、子供は亡くなるその瞬間まで成長し続けます。二期目も、誰一人取り残さない埼玉を目指すとおっしゃっている大野知事のこどもホスピスに対する御所見を伺います。

A 大野元裕 知事

小児がんなどの病気や障害を抱えるお子さんが、楽しく遊び、学び、家族や友達と楽しい時間を過ごせるよう支援していくことは重要と考えます。
県といたしましても、小児慢性特定疾病のお子さんとその家族に対し、同じ経験を持つ養育者等による助言を行ったり、親子交流会を開催するなど支援を行っているところです。
こどもホスピスにつきましては、法令等に基づく位置付けはなく、今後、国において小児がんの患者や小児慢性特定疾病を抱える児童等が家族や友人等と安心して過ごすことができる環境の整備について検討を進めることとされております。 こうした国の動きを注視しながら、県において、こどもホスピスを含め更にいかなる支援ができるか研究をしてまいりたいと思います。

部局をまたぐ連携体制について(知事)

Q 井上航 議員(県民)

視察に行った2施設とも、子供たちのやりたいことに応えることを最優先に、より自由に運営するために建設費や完成後の運営も行政の運営費補助金に頼らず、寄付を中心にした経営をしておられます。一方、最も大きな課題である土地の確保については、大阪府のTSURUMIホスピスでは大阪府の建設局と連携していたり、横浜こどもホスピスでは横浜市が市有地を30年間の無償提供を行うなどしています。
埼玉県としても、開設の話が動き出すことがあれば、こうした支援を検討すべきではないかと考えます。それを可能とするためにも、部局をまたぐ連携体制についても早い段階から準備をするべきと考えますが、知事の答弁を求めます。

A 大野元裕 知事

大阪、横浜において開設されているこどもホスピスは、子供たちやその家族が孤立することなく、医療、福祉、教育などと連携をしながら、安心して学んだり、遊んだり、楽しく過ごすことができる居場所となっております。
県庁内におきましては既に、子供・子育てに関しましては多様な側面からのアプローチが大切であり、子供・子育てに関するプロジェクトチームを設置してございます。
今後、仮に県内でこどもホスピスの開設ニーズの情報があれば、このプロジェクトチームを活用するなど、部局横断により、多様な側面から支援策を検討します。

「第8次埼玉県地域保健医療計画」へこどもホスピスを位置付けることについて(知事)

Q 井上航 議員(県民)

県では、令和6年度を初年度とする新たな第8次埼玉県地域保健医療計画の策定に向けた準備を進めています。是非その中の「小児・AYA世代のがん患者に対する療養支援体制を構築し、療養環境を整備」するという項目の中に、こどもホスピスを前提とした宿泊滞在施設を位置付けていくべきと考えますが、知事の答弁を求めます。

A 大野元裕 知事

すでに申し上げましたとおり、こどもホスピスにつきましては、現時点では位置づけ、定義等について定まったものがございません。他方、こども家庭庁に専門官が配置され、成育医療等基本方針に基づいて、こどもホスピスについて、国において検討がされる予定となっております。 第8次埼玉県地域保健医療計画への位置付けにつきましては、この国の検討状況、あるいは県内のニーズを踏まえ、検討をしてまいりたいと考えます。

再Q 井上航 議員(県民)

先ほどの答弁では、国の位置付け、そのあたりの進捗を待ってからということでありました。
確認ですけれども、知事としてはこどもホスピスが小児・AYA世代のがん患者に対する療養支援につながる、そういう認識は持っているということでよろしいでしょうか。

再A 大野元裕 知事

先ほど議員からのご質問にもございましたとおり、多様な形で、子どもたちの療養について支えていくということは、私も極めて重要だというふうに考えており、ただし、その中の位置づけとして国の検討を今行っているところということでございますので、まずはそれを待たせていただきたい、また、県内において仮にニーズがある場合には、その優先順位が変わってくると思いますので、その両方を見極めたいと考えております。

県庁舎・地域機関の在り方について(知事)

知事の考えについて

Q 井上航 議員(県民)

今後、県庁舎の在り方の議論が本格化することを見越し、我が会派では建替えを実施し、今年から新庁舎での執務がスタートしている岐阜県庁と、建替えをせず歴史ある庁舎を使い続ける選択をしている愛知県庁に足を運び、それぞれの考え方、メリット・デメリット等を学んでまいりました。
さて、埼玉県庁の在り方は、県庁舎再整備検討委員会でも議論が進められていますが、やはり時の政治家が積極的に議論すべきと考えます。
それでは、以上を踏まえ知事の考えを伺います。
令和5年9月12日の埼玉新聞に掲載されたインタビューで知事は、県庁舎の在り方の話題の中で、「正直、いろいろな役所の建替えを見てきたが、これでは駄目だと思うことばかりだ」と発言されています。そこで、知事が「駄目」と感じた点を踏まえて、今後の建替え議論へどう生かしていくのか、御所見をお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

私は、県庁舎の建替えには現在の県庁の発想のまま単に器を目新しいものにしたり、美しいものに変えるのではなく、県庁の未来の姿を反映させることが重要と考えております。
一方、コロナ禍により急激にデジタルトランスフォーメーションが進む以前の段階に設計された庁舎につきましては、DXが進んだ将来の姿を十分見据えることが難しかったのではなかったかという風に感じてまいりました。
県民にとってより便利で、職員にとって働きやすい未来の県庁を作るためには、まずデジタル化の在り方、職員の働き方にしっかりと道筋を付けることが必要と考えます。
埼玉県では4年間を費やしてデジタル化を強力に進めてまいりました。
このようなDXを前提に、業務の在り方を根本から見直し、今までにない価値やサービスを提供できる新たな働き方を考え、将来の県庁舎の在るべき姿を十分に議論していくことにより、将来において50年、60年と長期的に使用することができる県庁舎を構想してまいりたいと考えております。

建替えの範囲について

Q 井上航 議員(県民)

最も古く早急な検討を要するのは築70年を経過した本庁舎ですが、現状でこの浦和には本庁舎のほか、第2庁舎、第3庁舎、議事堂、危機管理防災センター、そのほか関連する建物が複数存在します。
そこで、これら全部を含んだ一体的な建替えを考えているのか、それともまだ地区浅の建物は現在地に残すということも想定にあるのか、知事にお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

DXを前提とした未来の県庁舎におきましては、必要な機能だけではなく、庁舎の規模や職員の働き方等も変わってくる可能性があります。
例えば、DXを前提に県民サービスのオンライン化が進む中で、庁舎に必要な規模や機能は何か、その庁舎での職員の働き方とはいかなるものかなどの検討が必要になります。
またそれに伴い、既存の建物のみならず地域機関等の在り方も検討する必要があると思います。
さらには、建物それぞれの建替えに関わるコストと現状のまま維持管理を続けた場合のコストの比較を行うなど、ライフサイクルコストの縮減に向けた検討も必要です。
したがって、「県庁舎建替え」という際には狭義の県庁を範囲にするのではなく、県の保有する建物全体をも貫く検討が必要になると思います。
このような県庁の建替えには非常に大きな財政負担と年月が必要になることから、その検討の範囲は広く採りつつ、未来の庁舎の在り方を検討してまいります。

再Q 井上航 議員(県民)

先ほどの答弁ですと、狭義ではなく全体ということでありました。今後の議論の流れの中で決まっていくということだと思いますが、知事のお考えの中として、先ほども聞いたんですけれども、例えば本庁舎と議事堂が離れた場所に存在するとか、本庁舎と危機管理防災センターが離れるなんてことがあり得るのか、知事の意見を確認させていただきます。

再A 大野元裕 知事

執行部と県議会は車の両輪となって県政を進めることが求められます。
その中で、本庁舎と議事堂が離れるということは望ましくないと考えます。
他方で、県庁の様々な機能を持つ建物につきましては、一部については法律での定めはございますけれども、それを除く場合には、物理的な近さというものが県民に対するサービスや県庁内での働き方に対して資するかどうか、ということが最大のポイントになると思いますので、したがって、建物については近接するか、あるいは離れるかということは物理的な近さでいい悪いではなく、その中身に応じて変わってくるもの、と考えますので、同じ敷地内、あるいは同じ市や町の中にある必要があるかも含めて抜本的に検討したいと考えています。

地域機関の集約化について

Q 井上航 議員(県民)

私も知事と同じく、本庁舎ほどではないにしても、地域機関の老朽化も進んでいるというような背景もあるため、地域機関の集約化も同時に考えるべきではないかと考えております。
特に、知事は先ほど述べたインタビュー記事で、「北部地域振興交流拠点(仮称)を新たな庁舎の在り方のモデルケースとして整備したい」と述べていらっしゃいます。それをモデルとするならば、例えば東のふれあいキューブ、西のウェスタ川越、南の大宮ソニックシティの行政庁舎としての更なる活用も視野に入るはずです。
以上を踏まえて、県庁舎の建替えと併せて地域機関の集約化を行うことに関する知事の見解を求めます。

A 大野元裕 知事

県の地域機関については、税務、福祉、保健、土木などの部門ごとに、地域住民や事業者、市町村の利便性を考慮し、各地域に分散して配置してまいりました。
複数の地域機関を集約することによって、建設コストの縮減や施設の共有による効率化に加え、複数の手続をワンストップで対応することも可能となり、DX等を前提とした場合には、県民や事業者にとってメリットとなる部分も多いと考えます。
他方で、地域機関の庁舎は、今後老朽化によって、建替えを検討する必要性も生じてまいります。
そこで地域機関の集約にとどまらず、DXを前提とした未来の庁舎に関する構想を基に、将来的には、地域機関を含めた庁舎の規模や機能、立地など組織の在り方も大きく変えていく可能性が出てくると思います。
まずは、その先行するモデルとして、北部地域に点在している地域機関について、北部地域振興交流拠点に集約できないかの検討を行いたいと思います。
他の地域においても、議員お話しの既存の施設の活用も含め、未来の職員の働き方や組織の在り方などを十分に考慮するとともに、地域機関の集約化の検討について考えを進めていきたいと思っております。

県庁の位置について

Q 井上航 議員(県民)

私がこの間、様々な県庁舎を見てきた事例で最も多かったのは、既存の場所から新たな場所に移転をする、その移転先は車やバスでないと行けないような立地、そして高層建築になっていて展望台がある、こういうようなパターンでした。個人的な意見となりますが、こういう事例は一世代前の庁舎の在り方かなと思っております。
このような郊外型の事例は、いずれも2021年の統計で世帯当たり乗用車台数において1世帯当たり1台を超える県における事例でした。埼玉県は0.948と1を下回る県となっています。
私は、やはり車による来庁を前提とした立地とはすべきではないと考えております。DXの推進で来庁しなくてもよくなることは歓迎すべきですが、広く県民への交通利便性を確保すべきと考えます。また、通勤としての立地も考慮すべきであって、それは職員の採用や働き方にも関わってくる課題です。
以上、私の考えをるる述べさせていただきましたが、知事の県庁舎の位置の在り方に対する御所見を伺います。

A 大野元裕 知事

県庁舎の「位置」に関しましては、地方自治法第4条第2項に記載があり、「位置を定め又はこれを変更するにあたっては、住民の利用に最も便利であるように、交通の事情、他の官公署との関係等について適当な考慮を払わなければならない。」とされており、議員から御指摘のありました交通事情についても考慮する必要がございます。
最適な交通手段につきましては、道路や鉄道の整備状況など自治体の置かれた状況によっておのずと異なるものと考えます。
また、議員お話しの乗用車台数など本県の交通事情も踏まえ、道路交通網と公共交通機関からのアクセスとのバランスなども十分考慮するとともに、DXの進展も踏まえ、県民の利便性を最優先に、県庁舎の「位置」に関わる検討を総合的に進めたいと考えております。

働き方改革・休み方改革について

働き方改革・休み方改革への取組状況について(総務部長)

Q 井上航 議員(県民)

大野知事は、先ほども紹介した新聞のインタビューで県庁舎の在り方の検討に対して、「働き方も大きく変化してきた。職員の働き方を根本から見直す。新しい働き方、業務の在り方の検討の必要性」などと述べられております。
どのくらいの人が集中すると想定するかどうかで、限られた敷地、容積の使い方も変わってきます。これに加えて、場所だけではなく時間についても、より柔軟な選択が可能となるよう検討していくべきと考えます。
そこで、現状の埼玉県における働き方・休み方改革の取組について、総務部長にお伺いいたします。

A 三須康男 総務部長

ライフスタイルや働き方に対する価値観が多様化している中、職員がやりがいを持って生き生きと働いていくためには、働き方、休み方の見直し、改革は不可欠です。
本県では、DXの取組を積極的に進め、テレワークやWEBミーティングなどを活用するとともに、職員や職場のそれぞれの事情に応じて勤務時間や休憩時間を設定できる「育児介護インターバル」や「フレックスタイム制」といった制度を設けています。
「ノー残業デー」の定時退庁徹底や、夏季休暇の取得期間拡大なども実践しています。
また、先月、人事院勧告の中で、いわゆる選択的週休3日制が言及されたほか、今週月曜日には、公務員制度の在り方を議論する国の諮問会議も新たに立ち上がったところです。
県といたしましては、こうした動きもしっかり踏まえながら、働き方、休み方改革の議論を進めてまいります。

職員の休憩時間の選択制について(総務部長)

Q 井上航 議員(県民)

先日、会派で議会改革の視察で訪れた茨城県庁では、12時から13時を原則に5パターンの昼休みに選択制をとっていました。
埼玉県では、過去に新型コロナの感染症対策の一環として、人流の分散を目的として休憩時間を自由に設定できることとしていましたが、5類移行を契機に休憩時間の一斉付与の原則を踏まえて、これを廃止した経緯があります。昼休みの過ごし方も多様化していますし、県庁の在り方を検討する上でも、例えば食堂のピークオフにつながると考えることができます。
働き方改革・休み方改革の一環として、職員の休憩時間の選択制を導入することについて、総務部長の見解を求めます。

A 三須康男 総務部長

休憩時間の選択制につきましては、感染症対策としての混雑緩和にとどまらず、より柔軟に勤務時間を設定できるという点で、職員のモチベーション向上につながることが期待されます。
現在でも、育児や介護等の事情があるなど、一部の職員については、柔軟に休憩時間を設定することで、本人のライフスタイルと業務能率の確保、これを両立させております。
一方で、多くの職員がばらばらに休憩を取得した場合、休憩時間中の者とそうでない者が職場に混在することとなって、ゆっくり休憩することができなくなるのではないかといった声もございます。
また、休憩時間を取得できる時間帯が拡大することで、県民サービスへの影響が生じないかといった観点もございます。
今後、こうした課題を整理しながら、働く場所や時間の在り方の見直し、健康経営の視点からの魅力ある職場環境作りなど、職員のワークエンゲージメントを高めていく改革全体の中で議論を深めてまいります。

教員の年次休暇付与時期の変更について(教育長)

Q 井上航 議員(県民)

教員のなり手不足が叫ばれて久しく、報道でも連日取り上げられています。埼玉県も同様で、少しでも働きやすい環境へ変える必要があります。埼玉県教育委員会が様々な取組をしていることは承知していますが、まだやれることはあります。
その中で注目した取組があります。それは、幾つかの県で事例のある教員の年次休暇付与時期の変更です。直近では熊本市教育委員会が変更を行い、年次休暇を付与する時期を、これまでは一般の公務員と同じ1月としていましたが、9月にするという取組を始めております。これは、8末時点での年次休暇の残り日数が計算しやすくなり、学校の夏期休業中にまとめて休暇を取得しやすくするという狙いがあると伺っております。
既に熊本市議会では、実現のため条例の改正がなされています。この取組を埼玉県教育委員会でも導入できないか、教育長の見解を伺います。

A 日吉亨 教育長

県では、これまでも、学校における働き方改革の一環として、年次休暇等の取得の促進に努めてきたところです。
具体的には、6月から9月の期間をワーク・ライフ・バランス推進期間として休暇の取得を推奨し、また、夏季休業中などに学校職員が執務を行わない学校閉庁日を5日以上設定するなど、教職員が休暇を取得しやすい環境づくりを進めてまいりました。  これらの取組により、令和4年の教職員の年次休暇の平均取得日数は、小・中学校で13.6日、県立高校・特別支援学校で13.2日となり、令和3年と比べ、それぞれ1日以上増加しているところです。 議員御提案の、年次休暇の付与時期を9月からとすることにつきましては、現状では、夏季休業中には、教員研修や部活動等が実施されている時期でもあることから、これらの在り方について整理をしたうえで、十分に検討することが必要となります。
また、年次休暇の付与時期につきましては、4月としている自治体もあると承知しておりますので、それぞれの自治体の実際の成果や課題等も踏まえ、休暇の取得促進に繋がる制度の在り方について研究してまいります。

再Q 井上航 議員(県民)

まず、先ほど答弁の中であった令和3年から4年にかけていろいろな取組の成果で取得日数が増えたということなんですが、これはコロナで休みたくても休めなかったという状況が改善されてなったと、これは県立高校でも、小学校でも、中学校でも全部同様に起きておりますので、そういった背景もあることを考えないと、取組で実現したというふうに捉えかねませんので、そこを指摘した上で再度お伺いいたしますが、この夏期休業があるというのはやはり教員の特別な背景であり、そこをうまく活用していくというのは県教委が県の教員のためにできる取組の一つだというふうに思っています。先ほど研究というお話がございましたが、そういったなり手不足を解消するためにも、是非、前向きな研究をお願いしたいと思いますが、再度答弁を求めます。

再A 日吉亨 教育長

令和5年度においては、年次休暇の最小取得単位を1時間から30分へと変更し、また6月から9月までであった夏季休暇の取得期間を、5月から10月までに拡大しております。
先ほど、議員の御指摘もありましたように、様々な他県等の状況を踏まえながら、より良い制度につきまして研究してまいります。

ラーケーションの導入について(教育長)

Q 井上航 議員(県民)

ラーケーションとは、学ぶという意味のラーニングと休暇を意味するバケーションを掛け合わせた言葉です。
愛知県では、平日でも保護者の休みに合わせて子供が校外学習などを行うことを目的に、自由に休む日を選択できるラーケーションの日を導入しました。このような取組は、大分県別府市にも広がっております。愛知県では、全校行事などの日を除き事前申請で年間3日まで取得でき、欠席とはならず出席停止、忌引等と同じ扱いとします。休暇を取得した分の授業内容は、家庭での自習で補うとしています。愛知県では、土曜日に働いている人が約45パーセントに上り、日曜日にも約30パーセントが働いており、別府市も第3次産業に関わる人の割合が全国的にも高い地域となっています。ともに土日・祝日に子供と一緒に過ごすことが難しい家庭が多いため、制度を導入したと言います。
埼玉県民の就業実態についても、国勢調査によると第3次産業が占める割合が埼玉県は全国でも上位に上ることから、埼玉県にも同様のニーズがあると言えます。休日に親が休むことが困難な家庭においても、学校の授業だけでは得られない特別な経験を得やすくするために、県立学校や市町村教育委員会の協力の下、ラーケーションを実施してみてはどうか、教育長の見解を求めます。

A 日吉亨 教育長

「ラーケーションの日」は、年間3日間の範囲内で平日でも児童生徒を欠席扱いとせず、保護者などと「学校外で学習活動」を行うことができる日と承知しております。
これは、特に、土曜日や日曜日に働いている保護者にとっては、仕事が休みとなる平日では、子供と一緒に過ごすことが難しいことから、ラーケーションの日の導入により、子供と一緒に主体的な学び・体験的な学びを行いやすくすることは、一定の意義があることと考えます。
一方で、家庭の置かれている状況は様々であり、ラーケーションの日を取れない子供が出てくることや、休んだことで受けられなかった学習の保障をどう行うかなどが課題となります。
ラーケーションの日の導入には、保護者を含め幅広く理解をいただく必要があることから、まずは、愛知県などの実施状況やその成果などを注視してまいりたいと存じます。

変化に向き合う中小企業・小規模事業者の支援について(産業労働部長)

Q 井上航 議員(県民)

先日、経済雇用対策特別委員会でリスキリングに力を注ぎ、DXを強力に進める中小企業として石川県に所在する石川樹脂工業株式会社を視察しました。リスキリングというと、業務に関わる資格の取得といったイメージが強かったのですが、この会社では資格にはとらわれず、例えば工場のロボット導入やデジタルマーケティングの展開に当たっては、外注や専門人材を活用することなく、未経験者の自社従業員を抜擢してリスキリングを行い、業務見直しを進めていました。
さて、翻って埼玉県の取組に注目すると、DX推進支援ネットワークを軸とした取組が功を奏しており、県の補助の下、商工団体が行っている事業者へのDX支援も大変好評で、要請を受けても派遣まで時間がかかるという状況であると商工団体からも話を伺っております。視察先の石川樹脂工業株式会社の専務もおっしゃっていたことですが、DXやリスキリングはあくまでツールであり、いかに自社の経営課題に気付けるかどうかが鍵となります。
そこで、県内企業が自社の経営課題に気付ける機会を増やすためにも、DX推進支援ネットワークを軸とした更なる事業者支援の拡充を求めますが、産業労働部長の御所見を伺います。

A 目良聡 産業労働部長

経済・雇用対策特別委員会の視察先での、DXは自社の経営課題に気付くことが鍵とのお話は、正に本質を突いていると思います。
私も、DXは経営課題の克服であり、「D」デジタルという手段を使って、その先の改革である「X」トランスフォーメーションを成し遂げていくことが肝心だと考えております。
本県では、生産年齢人口が減少する中で経済成長を続けていくためには、企業のDXを推進して生産性を高めていくことが極めて重要と考え、令和3年度に埼玉県DX推進支援ネットワークを立ち上げました。
事務局の県産業振興公社にDXコンシェルジュ、商工団体にDX推進員を設置し、中小企業からの相談に丁寧に対応するとともに、登録いただいたIT企業等とのマッチングも行っております。
また、ネットワークでは3か月ごとに定例会議を行い、課題を共有して他の構成員につなぐなど、より効率的な支援を行えるよう工夫しており、議員御指摘の、好評すぎて相談企業をお待たせしないよう努めてまいります。
また、今年度から、より多くの企業にDXに取り組んでいただくことを目的に、優れた取組を表彰する制度を創設して、好事例の横展開も図ってまいります。
今後とも、県内の金融機関・支援機関が参画するネットワークの機能を活用して、中小企業に経営課題の気付きを促し、DXを強力に推進してまいります。

給水装置工事事業者指定事務の共同化推進について(保健医療部長)

Q 井上航 議員(県民)

水道法の一部改正により、令和元年から各市町村で行っている指定給水装置工事事業者制度への指定に更新制が導入されました。指定の有効期間は5年間となるため、今後この作業は継続的に発生し、市町村にとっては新たな負担となっております。
そして、それは工事事業者にとっても同様です。工事事業者は複数の自治体に登録することが一般的で、更新制導入後、各市町村を回って似たような申請記入を行い、手続を行っている状態です。
そこで、この給水装置工事事業者指定事務の共同化を推し進めることを提案したいと思います。それにより、業者は各市町村を回って登録する手間が省け、市町村も業務を減らすことができます。県も令和5年3月に改定を行った埼玉県水道整備基本構想(埼玉県水道ビジョン)の中で、多様な広域化の推進による基盤強化の一例として、近隣の自治体同士で様式共通化や一括指定事務とすることを想定しています。
自発的にその議論が進めばいいのですが、目の前の業務に追われる中で周辺市との調整が進まない実態を地元からも聞いております。また、仮に1つのエリアで共同化の推進が進んでも、工事事業者にとってはそのエリア外の市町村での仕事を受注したければ、また別の書式で申請を行わなければなりません。当初から県全体での導入を視野に入れた共同化を推し進めるべきです。
そこで、給水装置工事事業者指定事務の共同化実現に向け、今後どのように取り組むか、保健医療部長の答弁を求めます。

A 表久仁和 保健医療部長

「指定給水装置工事事業者制度」とは、県民が水道工事を依頼する際に安心な業者を選択できるよう、水道法に基づき、市町村の水道事業者が一定の基準を満たす工事事業者を指定するものです。
工事事業者が複数の市町村でこの指定を受けるには個別に申請する必要があり、負担になっているとの声も聞かれます。
指定事務の権限は市町村にあるため、完全な形での共同化は事業統合と同様に調整が難しい面もあることから、まずは申請書類や受付窓口の統一を進めることで、工事事業者の負担軽減につなげたいと考えます。
特に申請書類につきましては、市町村ごとに大きな違いはないため、細かな点で異なる部分を丁寧に整理し、統一に向け調整を図ってまいります。
また、申請書類の統一を足掛かりに共同化の機運を高め、「水道ビジョン」の構成ブロックを中心に受付窓口の統一について検討がなされるよう促してまいります。
さらに、紙での申請を電子化するなど、デジタル技術の活用についても調査し、市町村へ情報提供したいと考えます。
給水装置工事事業者指定事務の共同化につきましては、趣旨に賛同いただける市町村の輪を着実に広げながら、しっかりと進めてまいります。

マイナ保険証について(保健医療部長)

健康保険証の持参について

Q 井上航 議員(県民)

マイナ保険証トラブルは、県民だけが不利益を被るのではなく、医療機関も限られた人員を割くという不利益が生じています。また、県医療全体を見ても、今のようにインフルエンザや新型コロナが急増している現状においては、更なるひっ迫の追い打ちになりかねません。
特に、マイナポイント第2弾の締切が明日9月30日までとなっており、駆け込み登録が起こっています。その多くの方が7,500円分のマイナポイントを得るためにマイナ保険証利用登録をしていると考えれば、これから当面の間、多くの新規ユーザーが医療機関に訪れます。そのときに仮にマイナ保険証のトラブルが生じても、紙の健康保険証を持参することでトラブルが解消されるのであれば、県が呼び掛けを行う意義は十分にあると考えます。
県や市町村が呼び掛けを行うものではないという答弁も先ほどありましたが、例えば、政令指定都市である千葉市はホームページでこの呼び掛けを行っております。また、茂原市や足利市も厚労省が呼び掛けていることを市のホームページで発信しています。
システム運営が安定するまでで構いません。マイナ保険証に加えて健康保険証も持参するよう県民に呼び掛けることについて、保健医療部長の見解を伺います。

A 表久仁和 保健医療部長

議員御指摘のとおり、患者が医療機関を受診する際にトラブルが生じないようにすることは大変重要なことと考えております。
一方、医療機関受診時の健康保険証持参については、都道府県や市町村ごとに対応するものではなく、国においてしっかりと検討し、必要であれば国から国民に対して呼びかけるべきと考えております。
引き続き、国の動向を注視し、国から国民、県民への周知について依頼などがあれば、国や関係機関と連携して対応してまいります。

国に要望書を提出することについて

Q 井上航 議員(県民)

マイナ保険証に関するトラブルは全国的に発生しており、このような事態を踏まえ、神奈川県は県内の全33市町村とともに国に対してオンライン資格確認等システムにおける障害の速やかな改善と情報提供、登録システムの抜本的な見直し、国民被保険者、保険医療機関、医療保険者に新たな事務負担や混乱が生じないようにすることなど、要望書を提出したと聞き及んでおります。
そこで、埼玉県としても神奈川県のように市町村と足並みをそろえて国に要望することについて、保健医療部長の御所見を伺います。

A 表久仁和 保健医療部長

マイナンバー制度については国が管理しており、トラブル対応などについても、現在、国において、マイナンバー情報総点検本部を立ち上げ、対応を進めているところです。
議員のお話にありましたとおり、神奈川県では関係機関と共に、要望書を国に提出したと聞いております。
本県では、政令市を有する14都道府県で連携し、オンライン資格確認等システムの改善や、新たな事務負担が生じないことなどを国に求める要望書を提出すべく準備を進めているところです。
県といたしましては、このような機会を捉え各都道府県と連携して国に要望を行うとともに、必要に応じて市町村をはじめとする関係機関と協議し、対応してまいります。

投票率向上について(選挙管理委員会委員長)

知事選等の日程変更について

Q 井上航 議員(県民)

4月に実施され我々が挑んだ県議会議員選挙も、8月の知事選も、投票率が低い結果となりました。その中で、真夏の知事選はどうなのか、季節をずらせないのかという話題が出てきております。
知事も、過日のインタビューなどで統一選に合わせることができないかと発言をされました。私も可能なのであれば、現下の統一地方選でない選挙も、統一地方選と同一日に実施することで投票率向上が見込めるのではないかと考えております。
そこで、現行の制度の中で知事選や現下の統一地方選でない選挙を統一地方選挙に合わせることができるのか、選挙管理委員会委員長に見解を伺います。

A 岡田昭文 選挙管理委員会委員長

令和5年の統一地方選挙は、「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」において、原則として令和5年3月1日から5月31日までに任期満了となる地方公共団体の議会の議員及び長の選挙を対象に日程を統一して行うことが定められました。
次の統一地方選挙は令和9年の実施が見込まれますが、仮に今回の臨時特例法と同様に、原則として令和9年3月1日から5月31日までに任期満了となる選挙が対象となる場合には、本県知事の任期満了日は令和9年8月30日であるため、県知事選挙を統一地方選挙と合わせて執行することはできません。
また、県下の統一地方選挙の対象ではない他の選挙につきましても、臨時特例法の内容に見直しが行われない限りは、統一地方選挙と合わせて執行することはできません。

投票所環境向上に向けた取組について

Q 井上航 議員(県民)

移行できたとしても、そもそも統一地方選自体も投票率が下がり続けている傾向にあります。政治への無関心や投票所が遠いなどの投票しにくい環境、若い世代への啓発が届かないなど、原因、課題は様々です。
中でも、投票しやすい環境整備は重要で、現に80代など高齢世代でも投票率が下がりつつあり、要因の1つとして物理的に投票所に足を運びづらくなっている状況が発生しているからとも言われています。
そこで、投票率の向上のために商業施設への期日前投票所の開設や共通投票所の開設が必要と考えます。それを一層進めるべきと考えますが、設置の現状と今後の取組について、選挙管理委員会委員長の見解を伺います。

A 岡田昭文 選挙管理委員会委員長

県内市町村の期日前投票所の設置について、令和5年8月6日執行の埼玉県知事選挙の状況を申し上げますと、63市町村中、期日前投票所を商業施設に設置していない団体は50団体でございます。
また、市町村のいずれの投票区の選挙人も選挙期日に利用することができる共通投票所については、開設した市町村はございませんでした。
議員御指摘のように、頻繁に人の往来がありアクセスの良い商業施設に期日前投票所を設置することにより、買物などの際に投票もできるなど、選挙人の利便性が向上し、投票率の向上につながることが期待できます。
また、共通投票所についても、駅や商業施設など利便性が高い場所に開設することにより、同様の効果が期待されます。
一方で、商業施設への期日前投票所の設置には、一定の広さが必要であり、投票の秘密が確保されるなどの条件を満たすことが必要となります。
また、共通投票所については適切な施設の確保に加え、二重投票を防止するため、選挙期日に設置される多数の投票所とのネットワークを構築する必要がございます。
県選挙管理委員会としましては、投票所の設置主体である市町村選挙管理委員会の課題の解決に向けて支援し、商業施設への期日前投票所の設置や共通投票所の開設が進むよう取り組んでまいります。

国道254号和光富士見バイパスの未整備区間と和光バイパスの整備について(県土整備部長)

Q 井上航 議員(県民)

県では現在、国道254号バイパスを外環道から北側を和光富士見バイパスとして、南側を和光バイパスとして整備を進めていただいております。和光富士見バイパスでは、去る7月29日に県道さいたま東村山線から国道463号までの区間が開通し、残る未整備区間と和光バイパスの早期開通を求める声も上がっております。和光バイパスについては、バイパスの大半の区間が土地区画整理事業の予定区内にあり、私の地元和光市でも土地区画整理事業に併せて和光バイパス整備に積極的に協力する考えでおります。
事業化に向けた手続が順調に進んでおり、日に日に地元和光市の期待はますます高まっております。道路はつながってこそ効果が出るものです。国道254号バイパスは、東京までつなげることが必要であると思っております。着実に整備が進んでいる和光富士見バイパスと東京とのミッシング区間である和光バイパスについても整備を加速していただきたいと考えます。
そこで、和光富士見バイパスの未整備区間と和光バイパスの現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長に伺います。

A 金子勉 県土整備部長

まず、和光富士見バイパスにつきましては、延長約6.9キロメートルの内、約4キロメートルがすでに供用開始しております。
現在、県道朝霞蕨線から県道さいたま東村山線までの約2.9キロメートル区間の整備を進めており、この区間の用地買収率は95パーセントとなっております。
今後も残る用地の取得に努めるとともに、工事につきましては、軟弱地盤対策を先行して行い、完了した箇所から順次、整備を進めてまいります。
次に、県道練馬川口線から外環道までの和光バイパス約1.6キロメートルにつきましては、令和3年度から事業に着手しました。
このバイパスの用地取得につきましては、沿線で計画されている土地区画整理事業との一体的な整備となることから、令和5年度は、地元和光市と協議を進めております。
和光バイパスにつきましても、順次、測量や道路設計などを進め、和光富士見バイパスと併せて、鋭意、事業に取り組んでまいります。