埼玉県の観光振興施策の推進を!(知事)
埼玉県の豊富な観光資源を活かす取組を
Q 柿沼貴志 議員(県民)
観光といえば、SAITAMAプラチナルートが代表的ですが、埼玉で観光地といえば、川越、秩父、長瀞以外の地名がなかなか上がってきません。埼玉には全国に発信できる観光資源がほかにも豊富にあります。例えば、私の地元行田市埼玉は、埼玉県名発祥の地とも言われており、所在する埼玉古墳群は、令和2年3月に県内初の特別史跡にも指定されております。
さらに、本年11月、造幣局では特別史跡埼玉古墳群を構成する稲荷山古墳をデザインしたメダルを特製ケースに収納し、史跡名勝天然記念物保護百年記念貨幣セットとして販売することを発表しました。また、「和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田」として18世紀前半から始まり、近代産業を支え今に伝わる足袋産業の発展と足袋蔵のストーリーが平成29年4月に日本遺産に認定され、こちらも県内唯一の世界に誇れる文化遺産だと確信しております。
ただし、日本遺産は更新制度に変わり、令和五年度にその更新時期を迎えます。県の観光施策には、日本遺産は全くと言っていいほど考慮されておりません。このままでは最悪、認定の取消しもあり得ると考えております。県として、さきに述べた川越、秩父、長瀞ばかりではなく、他地域の観光にも力を入れていかなければ、せっかくの観光資源が有効に生かされません。
大人の社会見学ツアーや史跡を活用した古代体験キャンプ等の観光イベントの開催など、観光的に仕掛けることは幾らでも可能であると思われます。そこで、様々な注目を集めるコンテンツがある今こそ、ストーリー性のあるPRを含めた観光行政に力を入れるべきだと考えますが、知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
行田市には議員御指摘の日本遺産に認定された足袋蔵や埼玉古墳群などのほかにも、古代蓮、忍城、田んぼアート、花手水 、また、「陸王」、「のぼうの城」の舞台などストーリーに富んだ魅力的な観光資源が豊富にあります。
県は観光情報誌やSNSのほか、民間事業者と連携して作成した周遊マップ、インバウンド向けの埼玉PR動画など様々なツールを使い埼玉古墳群や足袋など行田市の観光資源を国内外に紹介をしてまいりました。
また、歴史に関心のある方には「行田」の古代・戦国をテーマに埼玉古墳群や忍城址を巡るバスツアーを催行しています。
行田市におかれても、「のぼうの城」の映画化をきっかけとして結成された「忍城おもてなし甲冑隊」の活動や、神社から市内の商店、民家の軒先までの広がりを見せる「花手水week」の開催など観光PRに力を入れておられます。
ターゲットを明確にしたストーリー性を持った観光PRにより、観光客はその地域の自然や歴史について深く知ることができると思います。
また、目の前にある観光資源の生い立ちや変遷について一人ひとりが自分なりのイメージを持ちながら、見たり、体験したりすることにより、その地域に、より興味、関心、愛着を持っていただけるものと考えます。
それぞれの観光資源を関連付け、より魅力的に見せるストーリーはその観光資源の秀でた点を最も理解している地元が主体となって描いていただくことが効果的と考えます。
県ではそれぞれの地域が描いたストーリーと関連付けながら、県内外に発信し、観光誘客をさらに力強く図ります。
行田市をはじめとする県内各地のコンテンツは今だけではありませんが、県内にある多くの観光資源が持つストーリーにスポットを当て、県内外から多くの方々を呼び込む大きな観光資源となるよう、地元と協力をしながら育ててまいりたいと思います。
文化財部局、まちづくり部局、観光部局の連携強化を
Q 柿沼貴志 議員(県民)
指摘したように、県内には観光資源になる歴史資産や自然資産が豊富にあります。文化部局との連携が弱く、観光資源化が不十分に感じます。観光資産を活用して地域振興を進めている文化財系やまちづくり系のNPO団体等との連携も進めるべきです。観光振興を主に活動していない団体でも、観光振興で連携できる可能性は十分にあります。
令和2年3月に埼玉古墳群が県内初の特別史跡に指定され、令和2年度から3年度にはそれを記念して、文化財部局が古墳グッズの開発、宝探しゲームの開催、現代アートとコラボレーション、VRコンテンツの開発などを行っております。この事業には県観光部局も委員として関与しておりますが、特別史跡指定を観光的にPRしようという動きには残念ながら乏しく、コロナ禍もあって観光ツアーは皆無。せっかく開発された古墳グッズも商品化が進んでおりません。
また、行田市では、県の都市計画部局と連携して、八幡通りの景観整備を進めています。先ほど知事も言っていただきましたが、そこでは市の観光DMOが中心となって花手水「希望の光」イベントが定期的に開催されているほか、毎週日曜日には市の農政部局と観光部局が連携して農産品やお土産を販売する八幡マルシェも開催されており、多くの観光客や市民でにぎわっております。最近では、文化部局により日本遺産ツアーでもこの通りが見学コースに組み込まれています。
こうした多くの部局が連携、そして観光振興、ひいては地域振興につながると思われます。観光部局だけで観光振興だけを考えるのではなく、多くの部局と連携して、県の観光振興、地域振興、文化財の保存活用、商業振興、農業振興等を一体となって考える体制を構築し、広域での地域振興を推進するべきです。
また近年、文化財保護法が改正され、保存重視の文化財保護行政が保存と活用のバランスのとれた文化財保護行政へと大きく変化しています。それを具現化するために文化財保存活用地域計画の作成が推奨され、県の大綱策定が終わりました。この大綱の中に文化財の観光活用が織り込まれたことで、文化財の観光資源としての活用が進むものと考えます。
そこで、市町村との連携も含め、埼玉県として、部局を超えた観光行政を進めるべきだと考えますが、知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
観光におけるその地域の魅力は、歴史や自然、グルメ、人、交通の利便性など様々な資源を重ね合わせることで、より輝きが増し、多くの人々を引き付けることができるのではないかと考えます。
市町村等との連携については、様々な組織が主体的に関わることが大切である一方、議員御指摘のとおり連携や一体となった体制作りも重要と考えます。具体的には、広報やアピールの一元化、イベント等の活用、連携のためのプラットフォームづくりなどが考えられます。
最初の広報やアピールについては、観光を所管する部局のみならず、関係部局や地元市町村、そして多くの関係者が連携することにより観光資源を効果的にアピールすることができ、県としても積極的に様々な媒体を活用して進めてまいりました。
2番目のイベント等の活用については、これまでも市町村や庁内で連携した事例として、渋沢栄一翁を軸とした観光振興において、深谷市は観光コンテンツの磨き上げを行い、県は東京駅発着のラッピングバスや県政150周年記念イベントによる広報に取り組みました。
また、県北地域の観光振興としては、ラグビーワールドカップの際、行田市や熊谷市などと連携をして、田んぼアートや足袋文化など県北地域中心にWeb広告や動画を活用して観光プロモーションを実施いたしました。
今後、埼玉県が多くの方々に訪れていただける観光地として飛躍するためには、より広く様々なアイデアを集め、様々なステークホルダーが連携して魅力づくりに取り組むことが必要だと考えます。
そのため、様々な視点から、観光資源を掘り起こし、ブラッシュアップを行うための観光プロモーション戦略会議の設置や、個別の観光テーマを具体的に検討するワーキング活動など、地域を効果的にバックアップする仕組みを引続き強化をしてまいります。
観光予算の増額を
Q 柿沼貴志 議員(県民)
先ほど来から指摘している観光行政の取組拡大には、予算の措置が必要だと考えます。埼玉県の令和3年度の観光当初予算は3.4億円で、残念ながら、これは秋田県に次いで少ない予算額であります。ベストスリーは東京都の169億円、石川県が164.8億円、福井県の103.7億円であります。
指摘のとおり、埼玉県は県内各地に歴史遺産や自然遺産があり、アニメの聖地などもあります。観光資源は豊富であり、首都圏から手軽に訪れられる位置にあることも強みの一つです。人口減少が続く県北地域では、観光振興が地域活性化の有効な手段になると考えます。
そこで、費用対効果も十分期待できる観光予算を増額して取り組むべきだと考えますが、知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
観光予算額は各県の産業構造の違いなども反映されたものであり、観光振興の取組は必ずしも自治体の予算額だけで比較されるべきではないとは思います。
御質問のあった令和3年度当初予算は新型コロナウイルス感染対策にかかる事業の影響が大きいことから、令和元年度の決算額で見ますと、埼玉県は35位ということになります。
コロナの影響を受けた令和3年度においては、観光振興の観点から補正予算として12月定例会までに45億円を計上させていただいており、観光キャンペーンなどに力を入れて取り組んでおります。
観光振興における本県の強みは、首都圏の4千万人を超える人口と交通アクセスに恵まれていることであります。
埼玉の鉄道網は都心や近郊からの路線が充実し、大宮駅には様々な新幹線が乗り入れています。道路網も首都圏の各県をつなぐ高速道路のネットワークがつくられています。
そこで、こうした首都圏の方をメインターゲットとして、年間を通じて何度も訪れたい埼玉県を目指し、鉄道事業者などと共に取り組んでいるところであります。
また、株式会社KADOKAWAなどと連携してアニメ関連の観光スポットへの誘客を展開しています。
さらに、埼玉県には気軽に足を延ばせる観光地も多く、最近、視聴者を意識した埼玉を日帰りで巡る旅番組が多く放映されています。
このように、観光関連事業者とともに、埼玉県の観光振興を図ることは大変効果的と考えております。
これまでコロナ禍により積極的な誘客や連携ができませんでしたが、今後は感染対策を徹底しつつ、若者に人気のVTuberやeスポーツなどのデジタル技術を活用した情報発信を行うとともに、一層連携して埼玉県の魅力を高め、観光振興に取り組みたいと思います。
再Q 柿沼貴志 議員(県民)
先ほど来からインバウンドとか観光プロモーションとか、そういったものに力を入れていくという知事の答弁がありました。決算額にすれば35位だと、45億円も補正を入れて力を入れていると言っておりますけれども、当初予算に入れることが私は重要だというふうに指摘をさせていただいております。
なぜならば、いろんなアイデアがあったとしても、やっぱり初めに予算がなければ広がりがないと思うんですね。なので、当初予算も増額してほしいという観点で質問しましたので、もう一度、答弁をお願いします。
再A 大野元裕 知事
県では大河ドラマやアニメなど県内外からの注目が高く、広域周遊につながりやすい観光コンテンツを生かした取組あるいは地域の観光資源の継続的な情報発信を中心に観光振興を図ってまいりました。
令和3年度においても、そうした考えに基づき必要な予算を確保いたしました。
先ほど議員ご指摘のとおり、連携や市町村における取組なども踏まえ、令和4年度の予算については、担当部局ともども、検討をしっかりと進めたいと思います。
学校教育問題について
学校と外部関係機関の連携やプラットホームの形成について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
今年度開催されたパラリンピックでは、障害のあるアスリートたちが高いパフォーマンスと、私たちに共生社会の実現に向けての大きな感動を与えてくれました。我が国の目指す共生社会の実現は、正に世界各国で取り組まれているSDGsの精神と共有するものであります。誰一人取り残さない社会の実現に向け、学校教育の相談体制の充実について質問をいたします。
学校教育では、国や県は高等学校に対して生活困窮者への自立支援、ひきこもり支援における関係機関の連携の促進、医療的ケア児及びその家族支援、ヤングケアラー支援、その他にも中途退学、不登校、自殺、虐待、緊急事態宣言での心のケアなど、多くの問題が深刻な状況であり、適切な支援と連携がなされるよう通知がなされていると聞いております。
そこで、高まる学校と外部関係機関との重要性、学校のプラットホーム形成について、その重要性と今後の取組について、教育長の見解を伺います。
A 高田直芳 教育長
生徒が多くの時間を過ごす学校は、教職員が生徒の小さな変化に気づき、抱える課題を把握しやすい場所であり、こうした学校の利点を活かして、生徒を適切な支援へ繋げていく必要があります。
学校が、生徒一人ひとりに適切な支援を行うためには、様々な課題を早期に把握し、その状況に応じて医療や福祉など外部の専門機関などと連携して対応していくことが大切です。
こうした外部の関係機関と適切に連携するためには、学校は生徒を支えるプラットホームであるという位置付けのもと、関係機関と連携したネットワークを構築することが重要であると認識しております。
現在、学校には、心理の専門家であるスクールカウンセラーや福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーなど様々な外部人材を配置し、課題を抱える生徒を組織的に支援する体制を構築しております。
今後とも、学校は生徒を支えるプラットホームであるという認識のもと、学校における組織的な支援体制と関係機関との連携を推進し、一人ひとりの生徒をしっかりと支援してまいります。
再Q 柿沼貴志 議員(県民)
先ほど生徒一人ひとり、誰一人取り残さないように、そういったことに対しては早期に発見して連携させる、外部機関とつなげる、これが重要だというふうに教育長のお答えがありました。私もそのように思っております。
現状、今それがしっかりとできているかどうか、その認識があるかどうか、教育長に再答弁をお願いいたします。
再A 高田直芳 教育長
例えば、家庭環境に課題のある生徒の支援には、スクールソーシャルワーカーを活用して、児童相談所ですとか、あるいは市町村の福祉部局等の関係機関と学校とのネットワークを構築する役目を果たしていただいております。
また、就労に悩む生徒には、就職支援アドバイザーを活用することによりまして、ハローワークやヤングキャリアセンターなどの関係機関と学校との連携を円滑にする役割を果たしていただいております。
様々外部機関と連携をすることによりまして、学校が中心にならなければいけないという思いは持っておりますので、様々専門的な知見を活用させていただいて、チーム学校として生徒を支えてまいります。
専門職の常勤化について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
支援を必要とする生徒の問題解決のために欠かせない専門職の常勤化への予算措置について、知事に質問します。
様々な課題に取り組むコーディネーター、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーによる実践を紹介します。
ある母親には精神に障害があって、養育には困難が見られました。家庭内は乱雑になって、生き物を飼っていて臭気が漂っている状況でした。この家庭にはスクールソーシャルワーカーさんが生徒の精神障害手帳の取得の支援、家庭内の問題にはヘルパーさんによる支援、将来のグループホーム利用については、福祉支援団体との連携をしているそうです。
ここには市役所の福祉課、障害者支援団体、市教育委員会など、多くの団体が関係しております。現実にこうした活動で救われた、言うならば未来に希望が持てる環境づくりを提供できたのは、スクールソーシャルワーカーを中心とした関係者の不断の努力で勝ち得た、すばらしい実例だと思います。
ただし、こうした結果を出すためには、本人はもとより家族との信頼関係を築かねばならず、多くの時間と経費がかかるのは言うまでもありません。相談があった場合は、現在のスクールソーシャルワーカーの勤務日の都合で「火曜日と金曜日に電話してください」では、この結果は生まれないんです。週2日勤務のスクールソーシャルワーカーが会議の日程の調整や情報の共有、緊急対応などを職務として対応できると考えているのでしょうか。
また、国や県の通知のように、福祉、医療、保健などと連携が求められていても、地域の支援体制を知ることは、十分な見識と経験がなければ到達できるものではありません。広い地域から生徒が登校していれば、更にその地域の福祉制度を調べます。
あるパレット校では、障害のある生徒が様々な地域から通学しており、その都度、その市、町の福祉課や支援機関などボランティアで勤務で出掛け、地域福祉との連携づくりをしているそうです。その交通費も自腹で通っているんです。そうした現状を問題として私が報告した際には、そこまで求めていない、やり過ぎなんだというようなお答えをいただいたこともあります。
しかし、本当にそうでしょうか。ではなぜ、労力のかかる、いうならば他人の世話を職務を超えて支援しているのでしょうか。
それは、現状困窮している生徒を目の前にした当事者だからなんです。放っておけないんですよ。県と国は、生徒の困窮した状態への支援を次から次へとスクールソーシャルワーカー等を活用する通知文を出しておきながら、年間の勤務日数を基本90日から変えることはしていません。仕事を増やしているのに勤務実態を変えていかなければ、ボランティアをしろと言っているのと同じではないでしょうか。
また、スクールソーシャルワーカーは生活保護担当とも連携し、生活困窮の生徒支援をしています。しかし、支援している側のスクールソーシャルワーカーの年間の給与は109万円であり、支援している側も実は生活困窮者レベルなんです。その上、先ほど述べたように生徒のために市、町へ出かける交通費でさえ、勤務日でなければ自分で支払っているんです。法的にも学校の職員であり、学校ではその職責がますます大きくなっているのにもかかわらず、職業として自立した生活を保障していないのが現状なんです。
知事は4月にパレット校を視察され、生徒の実態を理解していただけたと思います。そこで、令和4年度には更に誰一人取り残さない学校教育の実現に向け、より高い専門性の持たれるパレット校にスクールソーシャルワーカーの常勤化に向けて予算化を強くお願いしたい。知事の御答弁をお願いいたします。
A 大野元裕 知事
いわゆるパレットスクールにつきましては、私自身、学校の状況をしっかりと把握するべきと考え、本年4月に吹上秋桜高校を訪問させていただきました。
生徒の中には、家庭や生活環境に困難を抱えていたり、特別な支援を必要としたりと様々な背景を抱えながら、懸命に学ぶ姿を間近に見て、こうした学校の重要性について改めて認識をいたしました。
子供たちの未来が家庭の状況など置かれた環境によって左右することがないよう、学校は生徒の自立をしっかりと支援することが何より大切だと思います。
そして、議員お話しのとおり、困難を抱える生徒の自立を支援する上で、スクールソーシャルワーカーの役割は大変重要であると認識をしています。
その一方で、議員御指摘のような課題があることも認識をしております。
しかしながら、このような支援を継続的に行っていくためには、スクールソーシャルワーカーの外部人材と、生徒と日常的に接する教職員が一層連携し、学校全体で組織的に支援をしていく体制が必要だと思います。
したがって、お尋ねのソーシャルワーカーの常勤化につきましては、現在、国において、常勤の職として求められる職責や担うべき職務など配置の在り方について調査研究が行われているというように聞いております。
持続的な体制としていくためにも、こうした国の調査研究の結果を踏まえ、教育委員会には支援を必要とする生徒の支援体制についてしっかりと検討をしていただき、その検討結果を基に、適切に判断をさせていただきたいと思います。
再Q 柿沼貴志 議員(県民)
知事も教育長も、このスクールソーシャルワーカー、外部機関への連携というのは、非常に重要であるというふうに言っています。国も、通知でいろんなことをスクールソーシャルワーカーを中心として、この困難な生徒たちを救ってほしいというようなことを通知しているわけです。
しかし、その国が今、調査研究しているというんですけれども、今現状置かれている生徒たちは、そんな待っている訳にいかないんですよ。今困窮しているわけなんで、是非知事には県の予算もあるわけですから、県の予算を使って、そんなに大きな金額にならないです、試算しましたけれども。是非常勤化に向けて、一歩踏み出してほしいんです。
なぜならば、スクールソーシャルワーカーは今後も期待されていますよ。今後、中期、長期にも、このスクールソーシャルワーカーが中心となっていろいろなことをやっていくことが望まれるようになってきます。
だけれども、スクールソーシャルワーカーが先ほど言いましたけれども、時給としてはいいって思っているんですよ。先日、阿左美議員からスクールカウンセラーの重要性が指摘されたときも、答弁でも柔軟な配置が必要だと教育長が発言していましたけれども、時給はいいんだみたいなことを言っていますけれども、年間で109万円の給料では選ばれる職種にならないんです。若い人たちに選ばれません。
だから、少なくともパレット校では常勤化の予算措置必要だと思います。是非そこも踏まえて、もう一度答弁をお願いします。
再A 大野元裕 知事
スクールソーシャルワーカー、特にパレットスクールにおける重要性については、私も認識をさせていただいているつもりでございます。
この常勤化につきましては、先ほど議員からの御指摘もありましたとおり、スクールソーシャルワーカーとしての働き方の問題もあり、常勤をする場合の認められるべき職責、あるいは配置の在り方等について議論をする必要があると私は思います。
この調査研究が今進められているというお話をさせていただきましたが、これを踏まえて、教育委員会にはしっかりと検討をさせたいと思います。
その結果、モデル校で効果を検証したい等の具体的な意見がありましたら、その意見を聞きながら、適切に判断をし、一歩進めたいと思います。
児童相談所の負担軽減や一時保護所の子どもの権利擁護について(福祉部長)
児童相談所の負担軽減の取組を
Q 柿沼貴志 議員(県民)
児童相談所の保護事案について、大前提として虐待から子供たちの命を守る、これが重要であります。一方で、昨今の虐待事案や相談件数の増加に伴い、児童相談所の業務負担としては増すばかりであります。増える対応件数に付随し保護施設の足りなくなっているために、熊谷市に一時保護所を増設する計画も進んでおりますが、こちらもすぐに入所児童が定員になってしまうことが予想されます。
こうした児童相談所のひっ迫した業務過多と保護の現状から、児童相談所の負担軽減や一時保護所の子供の権利擁護について質問いたします。
虐待事案において、児童相談所は保護と支援の相反する機能を担っております。子供の命を守ること、これが第一義ではありますが、保護後の支援や再発防止にも取り組まねばなりません。そこには保護された家庭との信頼関係の構築に当たり専門性が必要になってきますが、現状のままでは更なる機能の強化を児童相談所だけで担うことは、既に限界のような状態であると考えます。
また、保護の時点で家庭と児相は敵対の関係の構図に陥りやすく、保護と支援を同一の機関で実施することにも無理があるものとして、長年多くの専門家から指摘を受けています。
東京都児童福祉審議会では2020年の12月に「新たな児童相談の在り方について」を公表しております。その報告書では、増大する虐待通告への適切な対応として、民間機能等の活用の検討や児童相談所と区市町村が設置している子供家庭支援センターとの連携強化などが提言されています。こうした取組は、児童相談所の負担軽減につながることが期待されます。
そこで埼玉県としても、児童相談所の負担軽減に前向きに取り組むべきだと考えますが、福祉部長の答弁を求めます。
A 山崎達也 福祉部長
議員お話しのとおり、児童虐待相談対応件数の増加に伴い、児童相談所の業務負担も増しており、民間機関の活用や市町村との連携強化等による児童相談所の負担軽減を図る必要があります。
このため、本県では、児童虐待通告のうち、児童相談所がリスクが低いと判断した事案について、県からの委託を受けた外部の民間団体が家庭訪問などの安全確認を行う取組を、一部の児童相談所で実施しています。
また、各市町村では児童相談所と適切な役割分担の下、緊密に連携して虐待対応などにあたる「子ども家庭総合支援拠点」の設置を進めています。
この「子ども家庭総合支援拠点」には、専門職員である子ども家庭支援員や虐待対応専門員などが配置され、体制が充実することから、児童虐待の発生予防・早期発見・早期対応が可能となります。
現在、県内20市町に設置されていますが、県では今後さらに設置する市町村が増えるよう積極的に支援を行ってまいります。
さらに、虐待事案のうち市町村で支援することが適当なものについては、児童福祉法に基づき市町村へ事案を引き継ぐ「送致」や継続的な指導を市町村に委託する「指導委託制度」の活用を進めていきます。
児童の安全確保や保護後の支援など児童相談所に求められる役割をしっかり果たしていくため、様々な手法を適切に組み合わせることにより、児童相談所の負担軽減を図ってまいります。
一時保護所における子どもの権利擁護について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
一時保護の在り方については、国連子どもの権利委員会からも勧告を受けており、保護期間中の子どもの権利擁護は重要な課題であると考えております。子どもの権利擁護の観点からは、子供が家庭環境で健やかに育っていけるよう早期に問題解決を行うことが望ましいと考えられますが、一時的に親子分離をせざるを得ない子供がいることも事実です。一時保護の期間は原則2か月ではありますが、中には一時保護期間が数か月に及ぶケースもあると聞いております。
また、一時保護所では学校にも通えず、私物も自由に扱えない現状があります。広島県の保護施設では、昨年10月に母親と半年会えずに落胆して自殺をしてしまったという実例も存在しております。
そこで、一時保護所の子どもの権利擁護は重要だと考えますが、県の対策と考え方について、福祉部長の答弁を求めます。
A 山崎達也 福祉部長
一時保護所は、児童の安全確保を図るとともに、児童の状況や養育環境等を把握することを目的とする施設であり、かつ、虐待を受けた児童をはじめ、様々な背景を持つ児童の共同生活の場でもあります。
そのため、児童の安全やプライバシーを守るために、一定のルールは必要であると考えています。
ただし、児童は権利を持ち行使をする主体であり、1人の独立した人格として尊重されなければならず、児童の権利擁護は一時保護においても当然の前提となります。
本県では、一時保護所に入所する児童に「一時保護所のしおり」を配布し、知る権利や自分の意見を表明する権利などについて、年齢に応じた言葉でわかりやすく丁寧に説明しています。
また、各一時保護所に意見箱を設置し、一時保護所での生活などについて自由に意見が言えるようにしているほか、様々な機会をとらえ、一時保護所職員やケースワーカーが児童から直接意見を聴いています。
国の社会保障審議会社会的養育専門委員会が示した報告書案では、一時保護の際は児童の意見・意向を把握してそれを勘案しなければならない旨、法令や通知等に規定するとされています。
県といたしましては、そうした国の動きを踏まえ、引き続き一時保護所の児童の権利擁護の充実に努めてまいります。
新型コロナウイルスワクチンの接種リスクについて(知事)
若年層の接種について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
コロナワクチンの接種については、高齢者や既往症のある感染後に重篤な状況に陥りやすい方々にとっては必要な処置であり、集団免疫の獲得の要素も含め進めていくことに異論はありません。
新型コロナウイルスの死者を年齢別で見ると、60歳以上が大多数を占めており、20歳代の死者は26人、20歳未満においても死者は3名のみです。一方で、新型コロナワクチン接種後の死亡例は、20歳代、30歳代でも見られ、その他副反応の短期的リスクや、実用化から1年余りしか経ていないことからいまだ明らかになっていない中、長期的リスクを考慮すると、未成年者への接種は拙速と言わざるを得ません。
また、集団接種で扱われているモデルナ社製ワクチンは、米国や英国においても18歳未満への使用は行われていないのにもかかわらず、我が国においては12歳以上の子供たちへも接種されております。また、ワクチン接種後の死亡例や接種の反応と見られる症例、体調不良を訴える人は、厚労省へ報告されている以外にも存在し、クリニックなどの相談が後を絶たない状況です。
11月12日の厚生科学審議会では、死亡が1,325人との報告があり、一定数の副反応も確認されています。ファイザーやモデルナのワクチンは、遺伝子を用いたメッセンジャーRNAワクチンと呼ばれるものですが、このタイプのワクチンは人類史上使用されたことがないワクチンなんです。数年後、どんな影響が出るかも、誰も予測できません。治験中のワクチンであり、副反応についても明確な責任の所在が明らかになっておりません。
そこで、質問いたします。まず、最初の質問です。
指摘したように、コロナ感染症による若年層の死亡や重篤率から判断し、ワクチンの副反応も含め自身で判断することが難しい未成年者を含む若年層の接種は、極めて、極めて慎重にすべきだと考えますが、知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
まず事実関係を含めてですけれども、議員お話しの11月12日現在の死亡者数につきましては、ワクチン接種との因果関係の有無にかかわらず、医療機関等から国に報告された接種済みの方の死亡者数であり、ワクチンとの因果関係が認められた事例はなく、リスクとして判断する数字として適切と考えておりません。
副反応につきましては、国際基準のブライトン分類に基づき、専門家がアナフィラキシーと定義した数はワクチンとの因果関係がないものを含めたとしても605件であり、1億8,000万回を超える接種回数に対してきわめて低い数値になっております。
また、議員お話しのモデルナ社製ワクチンの12歳以上18歳未満の方への使用については、英国やEU諸国では使用が承認されております。米国では承認申請中となっております。
厚生労働省のホームページによれば、ワクチンには高い発症予防効果に加えて、米国等の研究から感染予防効果も確認されているとしています。
子供の新型コロナ患者の多くは議員ご指摘のとおり軽症でありますが、重症化をすることもございます。
仮に軽症であっても、感染した場合には子供たちの生活は様々な制限を受け、心身の健康に大きな影響があり、あるいは同居する家族などに感染させてしまうリスクもございます。
このため、公益社団法人日本小児科学会は予防接種・感染症対策委員会において、接種のメリットとデメリットを本人と保護者が十分に理解していることなどを前提として「ワクチン接種は意義がある」としています。
11月24日にWHOが発表した「子供と青年のためのCOVID-19ワクチン接種に関する中間声明」によれば、ワクチン安全性に関する世界諮問委員会は、全ての年齢層においてワクチンの利点がリスクを上回ると結論付けたとしています。
県といたしましては、国やWHOの見解を踏まえ、接種を受ける本人だけではなく、保護者に対してもメリットとデメリットについて十分な説明を行い、接種の同意を得た上でより多くの方々に接種していただきたいと考えています。
再Q 柿沼貴志 議員(県民)
因果関係が証明されていない。これはコロナも私一緒だと思いますよ、言っていることは。
それで、因果関係がなかったとしても、接種後に亡くなった人が現実は若い人もいるんですね。もし知事がこれを勧める、若年層にも勧める、どんな年齢でも勧めると言うならば、その基準と、何歳からならその本人の承諾が確認できたと今のところ考えているか、答弁願います。
再A 大野元裕 知事
死因につきましては、私も国会議員時代、死因究明法の審議に携わりましたけれども、これはお医者さん等の専門的な知見にしっかりと委ねるべきであって周りから憶測で申し上げるべきものではないと思っています。
事実、臨床的な、つまりこれだけの方が接種したけどお亡くなりになったという臨床的な事実と因果関係とはまた別途だと思っており、例えばベッドの上・布団の上でお亡くなりになる方が日本では一番多いはずですけど、その因果関係はないというのが通常の考え方だと思いますので、臨床的なデータと因果関係とは区別して考えるべきだと思っております。
他方で、その効果とリスクについては専門家の知見を両方しっかりと伝えるべきだと思いますので、行政の責任であると考えているところ、先ほど申し上げました厚生労働省の承認やあるいはWHO等の議論に基づけば、WHOによればすべての年代といっているが、今は治験に基づき承認がされている12歳以上の方々が私は推奨年齢として適切だと考えている。
また、同意についてでございますけれども、一般に法的な権利につきましては、それぞれが責任を負えない世代につきましては保護者がこれに対応することになっておりますので、例えば赤ちゃんに対する治療は保護者の方にこれを説明したうえで行われますので、私は適切な説明を両方にすることによって同意を得たうえでお勧めをするというのが適切だと思っております。
ワクチン接種による健康被害への対策について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
健康上の重大な被害を受けた方に対する救済措置は、国に対してどのように求めていくのでしょうか、知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
新型コロナウイルスワクチンを含む予防接種により健康上の被害を受けた方に対する救済措置として、予防接種法に基づく健康被害救済制度がございます。
この制度に基づく健康被害救済給付の請求につきましては、健康被害を受けた本人やご家族の方が、予防接種を受けていたときに住民票を登録していた市町村に行うものでございます。
請求は市町村に設置される調査委員会の調査・協議を経て国に進達され、国の「疾病・障害認定審査会」において予防接種と健康被害との因果関係が認められた場合、厚生労働大臣がそれを認定し、市町村から医療費が給付されることになります。
相談体制の構築について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
コロナの総合相談窓口として、泉大津市は独自の無料オンライン相談を開設しています。自己防衛力や自然治癒力を高める体づくりや西洋医学はもちろんのこと、東洋医学、漢方などそれぞれの専門家からの視点で動画も配信しています。
埼玉県として、ワクチン後遺症について独自の救済や相談体制の構築をどのようにしていくお考えでしょうか、知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
新型コロナウイルスワクチンを含む予防接種により健康被害を受けた方には国家補償的観点から全国統一の法的救済措置として、予防接種法に基づく健康被害救済制度が設けられており、県として独自の救済を行うということは考えておりません。
相談体制についてでございますが、県では、24時間対応の電話相談窓口を設置し、ワクチンの接種後に体調不良になった方々の御相談を受けさせていただいております。看護師が症状を聞き取り、医療機関の受診が必要か否かなど、アドバイスをさせていただいております。
受診が必要な場合には、まずは、普段の体調をよく知るかかりつけ医等の身近な医療機関を受診することをお勧めいたしますが、麻痺やしびれなどの症状が慢性化する場合などは、かかりつけ医等では対応が難しい、こういったケースも想定をされます。
そこで、神経難病など、原因不明の慢性症状への診療のノウハウがある、4つの大学病院をそれぞれ専門医療機関に指定をし、かかりつけ医等からスムーズにつなぐことができるような体制を整えてございます。
再Q 柿沼貴志 議員(県民)
先ほど知事の答弁では、県としては国の救済制度で、県としては考えていないと。相談窓口を設置しているので、そこで症状を聞いて、そして病院につなげていくというような御答弁でした。
これは、私のところに直接あった相談です。30代の女性なんですね、もう30になったばかりの女性。モデルナワクチンの接種した後に左手が全く動かなくなってしまって、今半年たっているのですけれども、半年たった今でもまだ握力が戻らなくて、小さな子供の世話もできないで困っていると、私のところに相談に来たんですね。
これで、保健所にまず相談に行ったらしいです。保健所に行ったら、ここでは扱えませんよと言われて、県の相談窓口に電話したらしいんです。そしたら、おっしゃるように病院で診断してくださいって言われて、ある病院に行ったらしいんですね。
そしたら、医師に相談したら、検査してもどこも悪いとこありませんよ。血液検査してもどこも悪いとこはない。あなたの腕が動かないのは私には分からないって言われて、でもやっぱり本人は動かないわけです。だから、困っているので何とかしてほしいという相談をしたら、もうあなたは精神的な問題ですと、鬱病だからって言われて鬱病の薬を処方されて、深く傷付いて泣いて私に訴えてきたんですね。
どうしたらいいか分からない。つまり、たらい回しにされてしまっている。
先ほど知事は、最後4つの大学病院につなぐとおっしゃっていましたけれども、現状これはやられていない事例がここにあるわけですね。それで、ここにも述べたように私が指摘したいのは、責任は最後誰がとるか。本当に所在が明確じゃないところが非常に問題だと思っているんですよ。そこも含め、知事の再答弁をお願いいたします。
再A 大野元裕 知事
仮に医学的な判断の責任ということであれば、その判断をしたかかりつけ医、例えばつなぐ必要がないと思われたかもしれませんけれども、そこが判断をされた方になるだろうと考えています。
ただ、体制をしっかりと整えることによって、ご不安を含めて、対応していくことが我々は必要だと考えていますので、ご指摘のような、仮に事例があり、我々としてより行うべきことがあるとすれば、まだ知見が重なっている途中でございますので、ぜひそういったことも教えてもらいながら、真摯に県として取り組んでまいります。
新型コロナウイルスワクチン未接種による差別の防止対策を(知事)
ワクチン未接種者に対する差別への対策について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
県は、ワクチン・検査パッケージ技術実証を10月に行いました。ワクチン接種済証や陰性証明書等を活用した行動制限緩和を実施し、差別を助長しない方策を模索すると同時に、感染拡大期にいかなる経済活動が継続できるか、技術実証を実施目的としております。ワクチンはあくまでり患したときに重症化しないという考えで進めています。ワクチンを打った人はこれで安心と行動範囲を広げれば、第6波が訪れるのは想像に難くありません。
もう一つ懸念されるのは、差別の問題です。接種が進むにつれてワクチン接種済みの方々がワクチン未接種の人に対して、「怖がらないから近づかないで」「未接種の人が町を歩くから感染症が拡大する」と言うような声も聞きました。逆に、未接種の人は自身の身を守るためにも、他人に迷惑をかけないためにも、感染対策を今まで以上に行っているはずです。厚生労働省も「ワクチン接種は強制ではなく、最終的にはあくまでも本人が納得した上で接種を御判断いただくことになります」と明文化しております。
この問題については、埼玉弁護士会が10月に、新型コロナウイルス感染症についてはあくまでも人権確保されることが各種施策の前提基本であることを忘れてはならない。学校や職場などでの処遇上の差異を、新型コロナワクチン接種の有無に関らしめるものは、憲法第14条が禁ずる差別となる。また、それは事実上の接種強制につながりかねず、自己決定権の侵害ともなる。ワクチン接種の事実上の強制やワクチン非接種者に対する差別的な取扱いが招来されることを強く懸念し、このような制度の実施に強く反対すると、会長名で声明を出しています。
そこで、質問いたします。まず、最初の質問です。
ワクチン未接種者が差別的扱いを受けないようにするべきと考えますが、県の対策はどのように行っていくのか、知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
新型コロナウイルスワクチンは発症を予防する高い効果があり、感染や重症化を予防する効果も確認されているため、県民の皆様に接種を受けるようお勧めしておりますが、議員御指摘のとおり、強制するべきものではございません。また、強制もいたしておりません。
体質や持病などの様々な理由により接種を受けることができない方もおられます。
県のホームページには具体的にどのような行為が差別になるのか、分かりやすい事例を掲載し、接種を受けていない方に差別的な扱いをしないようPRをいたしております。
また、12月4日から本日までの人権尊重社会を目指す県民運動強調週間の期間に、JR大宮駅東口の大型ビジョンにおいて、大宮アルディージャVENTUSの選手たちによる、ワクチン接種に関する差別の防止を呼び掛けるメッセージ動画を放映しております。
さらに、県内企業に対しては企業向けに作成したワクチン差別防止のための啓発チラシを関係団体を通じて送付をいたしました。
今後も様々なチャンネルを通じてワクチン差別の防止についてPRをしてまいります。
未成年者のワクチン接種について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
自分では接種をするかどうかの判断ができない未成年者に対し保護者の承諾のもと接種を勧めると、先ほど知事も言っていましたけれども、事実上の強制接種につながりかねず、これは埼玉県の弁護士会が言っています。自己決定権の侵害ともなると考えていますが、県はどのように今のところ考えているか、知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
繰り返しになりますが、先程、公益社団法人日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会の見解として、接種のメリットとデメリットを本人と保護者が十分に理解していることなどを前提として、「ワクチン接種は意義がある」という専門家の御意見を御紹介させていただきました。
新型コロナウイルスワクチンにつきましては、予防接種法第9条に基づき、接種を受ける努力義務が予防接種の対象者に課されております。本人が16歳未満であるときには、接種を受けさせるために必要な措置を講ずる努力義務がその保護者に対して課されることとなっております。
また、予防接種実施規則第5条の2には、あらかじめ被接種者又はその保護者に対して当該者の理解を得るよう適切な説明を行い、文書により回答を得なければならないというように規定をされております。
当然、先程、赤ちゃんの例を申し上げましたけれども、それぞれの年代において自己決定をできる年齢というのが、当然あろうかと思いますが、このように保護者に対する努力義務が課されております。
県といたしましては、法令に則り、接種を行う医療従事者から接種を受ける本人に対してだけではなく、保護者に対しても十分な説明を行い、接種の同意を得た上で、より多くの方に接種いただきたいと考えるものの、リスクについても、正確にお伝えするべきだと考えております。
再Q 柿沼貴志 議員(県民)
私がこれを言っているのは、本人のやっぱり意思というのが重要だという観点で質問しています。やはり保護者の意向を子供が聞いてしまいますので、その点で何歳からなら知事は本人の意思だというふうに捉えているのか、お聞かせください。
再A 大野元裕 知事
御本人の意思につきましては、子供であろうが大人であろうが、私はあると思います。他方で、そこについては、保護者のように、より情報やあるいは経験を持った方々が正確に判断をする蓋然性が高いという方に委ねる、いわゆる線引きとして、国の指針に従い、16歳未満のときには、保護者に対してしっかりと必要な措置を講じるよう求めると同時に、この通知を行うべきだというふうに考えております。
また、未成年の場合に対する告知というものも、法的な権利として行われるべきだと考えております。
ギャンブル等依存症対策の強化を
高校生に対するギャンブル等依存症に関する教育について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
「埼玉県依存症対策推進計画(案)」の冒頭には、ギャンブル等依存症とは、ギャンブル等にのめり込んで、自分の意思でコントロールができなくなる精神疾患の一つです。これにより、日常生活や社会生活に支障が生じることがあります。例えば、鬱病を発症するなどの健康問題や、ギャンブル等を原因とする多重債務や貧困といった経済問題に加えて、家庭内の不和など家庭問題、虐待、自殺、犯罪などの社会的問題を生ずることもあります。ギャンブル等依存症は、適切な治療と支援により、回復が十分に可能です。しかし、本人自身が自分は病気ではないなどとして現状を正しく認知できない場合もあり、放置しておくと症状が悪化するばかりか、借金の問題なども深刻になっていくことが懸念されますとあります。
正にそのとおりで、解決に向けた取組の強化をしていかなければなりません。例えば、新潟県ではギャンブル依存症対策の地域連携として、民間支援団体による自助グループ「ギャマノン」の立上げ支援をはじめ、社協と民間支援団体が連携し、役割分担をして家族支援をしています。ほかにも警察、保健所、医療機関との連携や自助グループや回復施設を紹介するなど、多方面のアプローチができています。
埼玉県では、ギャンブル依存症の自助グループは当事者と家族を合わせても14グループで、残念ながら首都圏では最も少ない状況です。県内には公営競技等の施設が、競馬が1施設、競輪が2施設、オートレースが1施設、モーターボート競走が1施設となっており、全国的に見ても珍しい全ての公営競技が存在しています。このように多くの施設を抱えた埼玉県だからこそ、ギャンブルが抱える問題に真摯に向き合って範を示す必要があると考えます。
県としても、「埼玉県依存症対策推進計画(案)」として重点課題と目標を設定していますが、これを実現するためには具体的な取組が必要だと考えます。
そこで、質問いたします。まず、最初の質問です。
高等学校学習指導要領の解説では、保健体育の授業で、ギャンブル等への過剰な参加は習慣化すると嗜癖行動になる危険性があり、日常生活にも悪影響を及ぼすことに触れるようにと記載されています。ギャンブル等への嗜癖行動は、開始年齢が早いほど依存症に陥りやすいことから、学校において行動嗜癖に関する指導を行うことが大切と考えますが、教育長の答弁を求めます。
A 高田直芳 教育長
議員お話しのとおり、将来、子供たちが、ギャンブル等に依存しないようにするためには、行動嗜癖について早い段階から正しく理解することが、重要であると認識しております。
高等学校の新学習指導要領では、保健の指導内容に新たに「精神疾患」が位置付けられ、その中でギャンブル等の行動に依存する、行動嗜癖の危険性について取り上げることとなりました。
そこで、県といたしましては、1月に予定しております保健体育科の教員を対象とした保健体育研究協議会等において、来年度から始まる新たな指導内容について、周知を図ってまいります。
今後、子供たちが生涯にわたり健康を保持増進し、明るく豊かな生活を送っていくためにも、ギャンブル等依存症を含めた行動嗜癖 の予防に向けた教育の推進に取り組んでまいります。
支援のための民間団体との連携強化について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
自傷他害のおそれがあるリスクの高い案件は、家族会や考える会といった当事者の家族で構成された民間団体頼みになっています。県は当事者や家族の声を本当に受け止めているのでしょうか。
切れ目のない支援に民間団体との連携強化の必要があると考えますが、保健医療部長の答弁を求めます。
A 関本建二 保健医療部長
議員御指摘のとおり、ギャンブル等依存症について、相談から治療、回復に至るまで切れ目のない支援体制を整備していくためには、民間団体を含む関係機関との連携が必要不可欠と考えております。
県では、ギャンブル依存症問題を考える会埼玉支部が実施する家族ミーティングや基礎講座に対し補助を行っています。
また、「埼玉県依存症対策推進計画」策定のために設置したギャンブル等依存症専門会議や、依存症相談拠点機関である精神保健福祉センターの「依存症対策連携会議」に委員として参加いただいております。
会議においては、委員からは「考える会は支援されるだけの対象ではなく、県が依存症対策を進める上で問題を解決する主体として計画に位置付けて欲しい」との意見がありました。
こうした意見を踏まえて、考える会の活動を埼玉県依存症対策推進計画に位置付けることとしました。
こうした会議を通じて、民間団体の活動と連携を強め、当事者や家族の方からの意見をお伺いしながら、今後の対策に生かしてまいります。
三店方式による営業形態について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
県政サポーターのアンケートでどんなギャンブルをやったことがあるかを聞いたところ、ギャンブル依存症に大きく関連するギャンブルでは、圧倒的にパチンコ、パチスロとなっており、次いで競馬、ボート、競輪、オートの順になっていて、パチンコ関係の遊技者はオートレースの10倍以上に近い数になっております。また、日本医療研究開発機構では、生涯を通じたギャンブル等依存に疑われる者の割合は成人の3.6%で、このうち最もお金を使ったギャンブル等の種別はパチンコ、パチスロであり、成人の2.9%と推測されております。
公営競技場でやる換金は、その場で換金して外に出るという形をとっておりますから、これは賭博になります。しかし、パチンコは出玉をそこでは現金には変えず、一度特殊景品に交換して外に、外と言ってもすぐ前ですけれども、外に出てから違うところで現金に換えていくという、この三店方式というのが行われています。法の抜け道を利用した国も警察も見て見ぬふりをしているこの三店方式ですが、やはり外に出てからでもすぐに現金に換えられる。だから、たくさんの人がやっているわけです。
そこで、ギャンブル等依存症から県民を本気で救うのであれば、この三店方式を事実上、規制する必要があると考えますが、警察本部長の答弁を求めます。
A 原 和也 警察本部長
客がぱちんこ営業者から賞品の提供を受けた後、ぱちんこ営業者以外の第三者に当該賞品を売却することはあるものと承知しております。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる風営適正化法でございますが、同法では、ぱちんこ営業者が現金又は有価証券を賞品として提供することや、客に提供した賞品を買い取ることを禁止しております。
ぱちんこ営業者以外の第三者が賞品を買い取ることは、直ちに同法違反となるものではありませんが、当該第三者がぱちんこ営業者と実質的に同一であると認められるような場合には、同法違反となることがあります。
県警察といたしましては、こうした違法行為につきましては、厳正な取締りを行っているところであります。本年6月には、県内のぱちんこ店経営者を遊客から賞品を直接買い取った同法違反容疑で検挙しており、埼玉県公安委員会から同店に対して営業停止の行政処分がなされております。
再Q 柿沼貴志 議員(県民)
埼玉県独自で全店舗抜き打ち調査など取締りを強化することができます。是非、県民を本気で救うつもりがあるならばやっていただきたいと思いますが、答弁を求めます。
再A 原 和也 警察本部長
ぱちんこ営業につきましては、その態様によっては客の射幸心を著しくそそることとなるなど、善良な風俗と清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあることから、風営適正化法に基づき必要な規制が行われているところでございます。
警察といたしましては、業界に対しまして、射幸性の抑制、依存防止対策等の指導をしているほか、違法行為につきましては厳正な取締りを行っているところでございます。
今後とも適正に業務を推進して参ります。
パチンコ依存症を救うための対策について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
新型コロナウイルス感染症の影響で不要不急の外出を控えていた緊急事態宣言下でも、朝からパチンコ店の前には行列ができていました。東日本大震災のときも食料も電力も不足している中で、一番初めにパチンコ店の営業が再開され、多くの仮設住宅で避難されている方が依存症に陥っているのを確認しています。
そこで、パチンコが原因でギャンブル依存症になり、生活保護に陥ってしまっている人や重度のパチンコ依存症を救うための県の考え方と対策について、保健医療部長の答弁を求めます。
A 関本建二 保健医療部長
多重債務等の経済問題が深刻な事例については、適切な専門窓口に繋ぐことが重要であると考えています。
県では、精神保健福祉センターや保健所においてギャンブル等依存症を始めとした依存症の相談を受け付け、必要に応じて「暮らしとこころの総合相談会」などを案内し、法律の専門相談に繋げております。
パチンコへの依存を含むギャンブル等依存症対策を効果的に推進していくためには、関係事業者との連携が不可欠であると考えています。
そこで、県では、ギャンブル等依存症専門会議に埼玉県遊技業協同組合や公営競技事務所に委員として参画いただき、ギャンブル等依存症に関する課題を共有し、取組について協議しています。
策定中の「埼玉県依存症対策推進計画」には、客が1日の遊技使用上限額を自ら申告し、その額を超えた場合に、ぱちんこ営業所の従業員が警告する「自己申告プログラム」の普及など具体的な施策を盛り込んでいます。
こうした取組により、埼玉県遊技業協同組合と連携を図りながらパチンコへの依存症対策を進めてまいります。
行田市停車場酒巻線の早期完成について
Q 柿沼貴志 議員(県民)
行田市停車場酒巻線は、市内中心部から羽生妻沼線に至る幹線道路であります。この道路の完成は、行田市長年の願いであります。
そこで、行田市停車場酒巻線北進道路の区間の現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長の答弁を求めます。
A 北田健夫 県土整備部長
この県道は、行田市の中心市街地を通り、市内を南北に縦断する、通勤通学をはじめ、地域の生活を支える重要な道路です。
現道は幅員が狭く、車のすれ違いが困難な状況から、県では、通称北進道路と呼ばれる国道125号から県道羽生妻沼線までの約4.2キロメートルの区間についてバイパスの整備を進めております。
平成29年度までに国道125号から県道上中条斉条線までの約2.3キロメートル区間が供用しております。
残る県道羽生妻沼線までの約1.9キロメートル区間について、令和2年度から事業に着手し、これまでに、測量や地質調査を進めてまいりました。
令和3年度は、道路や橋りょうの設計を進めてまいります。
引き続き、地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、事業の推進に努めてまいります。