更なるひきこもり支援を行えるよう県として実態調査をしてはいかがか
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
ひきこもりとは、仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態を呼んでおります。内閣府が平成30年に、40歳から64歳の5,000人を対象に行った生活状況に関する調査では、61万3,000人がひきこもり状態にあるということが明らかとなり、ひきこもりの高年齢化を示すものとなりました。
ひきこもるきっかけやその背景は様々です。リストラ、パワハラ、職場でのいじめなど人間関係に傷つき、追い込まれ、そこに疾病、貧困、虐待などが加わり、困難が多様化、複合化しております。若年層も同様で、新型コロナウイルス感染症の影響で深刻な課題に発展する可能性もあり、必要としている支援を受けることができるか否かでも変わってくると考えられます。
以前、会派で視察に伺いましたNPO法人にりん舎、意見交換に伺ったKHJ埼玉けやきの会家族会、共におっしゃっていたことは、「ひきこもりといっても十人十色のため、それぞれに寄り添い、必要な支援を段階的に行い、前進、後退を繰り返しながら、家族や友人、社会とのつながりを再構築していく。時間がかかるため、支援していく側も焦らないこと」とのことでした。
厚生労働省は、令和2年度に、自治体によるひきこもり状態にある方の実態等に係る調査を行い、令和3年度末で、47都道府県のうち33で実態把握のための調査が行われております。その調査結果を基に、ひきこもり支援推進計画の策定や事業強化をすることで、ひきこもり状態にある方やその家族、また、支援をする側の団体や個人へも、自治体の本気度や、共に前を向こうというメッセージにもなっていると思います。
本県でも、ひきこもり支援を強化する部局横断的に取り組まれているものもございますが、まずは実態を把握することにより、行き届く支援のスピードも変わってくると思いますし、何より、つらい思いをされている方々に寄り添うことができると考えます。誰一人取り残さない埼玉県へ、更なるひきこもり支援を行えるよう、県として実態調査をすべきと考えますが、知事の御見解をお聞かせください。
A 大野元裕 知事
県内におけるひきこもり状態の方は、15歳から64歳までで約7万人と推計されています。議員のお話にもございましたが、ひきこもるきっかけや背景は様々であり、ニーズを把握し、必要な支援につなげていくことは、ひきこもり当事者やその御家族を支援する上で非常に重要であります。
ひきこもり支援について、県から委託をしている相談員からも、「勇気を持って相談できた当事者の気持ちを受け止め、丁寧に話を聞くことが大切であり、ゴールは本人が幸せに生きることだが、その幸せは必ずしも統一されたものではなく、人それぞれである」と伺っております。
御指摘の33自治体で行っている調査については、既に本県では実施済みであり、調査は終わっておりますけれども、より実態を丁寧に把握し、実効的な施策に結び付ける必要があります。従って、市町村の枠を超えて広域に活動している民間団体などを通じ、実態について、ヒアリングを直接行った上で、単なる保健所が把握をしている事実関係の調査にとどめることなく、より深掘りをした形で調査をし、国へ報告をする予定であります。
一方、国は、様々なケースがあるため、住民に身近な市町村に対して、ひきこもり相談窓口の明確化、官民連携で課題に取り組むプラットフォームの設置、実態調査をするよう通知をしております。
県内市町村の実態調査につきましては、令和4年3月時点で県内7市町村が既に実施済み、今年度3市町村が実施予定となっております。
市町村において実態調査がなかなか進まない理由として、ひきこもり支援に関わる知識やノウハウが不足していることが挙げられます。
こうしたことから、県として、今後は、市町村担当者の研修会において先行して調査を実施した取組を紹介するなど、市町村の取組を支援してまいります。
県と市町村の実態調査を通じて得られたニーズを市町村と民間支援団体などと共有をし、当事者に寄り添う支援を進め、誰一人取り残さない埼玉県を目指してまいります。
再Q 岡村ゆり子 議員(県民)
ただ今の御答弁ですと、国の方で47都道府県のうち33やっていると。同じような調査というのを県がやられたということでございますが、それはいつごろ具体的にというか、多分それぞれ委託されている先の団体さんに状況を伺ったですとか、やり方によっても、その結果を検証しているとか数値化をしているですとか、その結果を基に施策を打ち出しているとか計画を出しているとかというのがあると思うんですけれども、どのようにやられたのか、御答弁いただいてもよろしいですか。
再A 大野元裕 知事
議員御指摘の33の都道府県において実施した調査につきましては、実は様々でございまして、報告ができるというレベルの調査であれば、私共は、すでに保健所等で把握している数値を提示するだけで十分でございます。
ただ、それでは、私共も同じ様に考えておりますが、議員御指摘のとおり、ひきこもりには多様な実態があり、そして寄り添う必要があり、国のいう実態ではなくて、深掘りをした実態を調査しなければ、適切な対応にはつなげられないというふうに考えております。
国が求める最低レベルの実態調査についてはすでに実施していますので、33の都道府県と同じように報告はすでにできる状態になっておりますが、私共としては、一歩踏み込んだ調査をした上で、実効的な対応を行うことの方がはるかに大切だと思っておりますので、この調査を一歩踏まえた上で報告し、なおかつ、実効ある調査にしていきたいと思います。
なお、御指摘のとおり、NPO、民間支援団体等を通じたヒアリング等につきましては、今後、実施をさせていただく予定でございます。
再々Q 岡村ゆり子 議員(県民)
知事に再々質問をしたいのですけれども、今のお話ですと、最低限のところはしていると、それをより深掘りしていくために再度調査をしていくというふうにおっしゃいましたが、それが県としての全体の調査という理解でよろしいんでしょうか。
再々A 大野元裕 知事
若干分かりにくくて申し訳ありませんが、国が求めている調査というものが、いわゆる幅があり、最低ラインさえ満たせば、報告ができることになります。
他方で、私共が考えている調査というのは、実態をしっかりと把握して、次につなげられるものでなければならないと考えております。
県としてやるべき調査が、国の定義ならば既に終わっていますが、私共が考える実効的な対応ができる調査は別なものと考えており、これをこれから行うという意味でございます。
少し分かりにくいんですが、定義としては2種類あるというふうにお考えいただいてよろしいのかもしれません。
警察公舎について(警察本部長)
適切な管理について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
警察公舎は、細かい所在地は公表されていないようですが、その存在は地元では知られており、近くにお住まいの方々からは、「警察官がいてくれるという安心感がある」というお声がある一方、私が知る公社では、草や木は生え放題で、使用されていないであろう自転車もそのまま。空室が多く暗い。すぐ近くに学校の通学路にもなっているため、適切な管理がなされているのか、不安視するお声もいただいております。
以前対応を求めた際には迅速な御対応をいただきましたが、本県の警察公舎の管理は、住まわれている方が管理担当となって行っているため、草木のせん定や除草などは、どうしてもそのままになってしまうと思います。
しかし、このような状況が続くことは望ましくありません。せん定計画や適切な管理のための見回りなど、どのようになっているのか。適切な管理をすべきと考えますが、警察本部長、御答弁を願います。
A 原和也 警察本部長
警察公舎のうち、独身待機寮につきましては、各警察署長を運営管理責任者とし、入居者の中から指名された寮長を中心に運営管理を行っております。
また、世帯用公舎である待機宿舎につきましては、入居者の中から互選された管理人を中心に運営管理を行っております。
草木の剪定等、警察公舎の環境整備につきましては、各寮及び宿舎で定めた会則に則り、定期的に行うこととしております。
このような警察公舎の管理につきましては、より強化する観点から、独身待機寮については、従来は必要に応じて行うこととされておりました幹部職員による巡回指導を、あらかじめ計画を定めて実施することといたしました。
また、待機宿舎につきましても、本部職員による随時の施設検査の際に併せて建物周辺の状況を確認し、環境整備について管理人を通じて居住者に指導・助言することといたしました。
今後も、警察公舎の適切な管理に向け、組織的な対応を実施してまいります。
規模縮小や見直しの考え方について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
そもそも警察公舎は、独身寮と世帯用待機宿舎があり、有事即応、組織としての体制強化などが目的で設置をされております。新米の警察官は、最初の2年間は、配属された警察署の管轄区域内に住まなければならず、原則として公社に入居しなければなりませんが、それ以降は、埼玉県警察庶務規程の規定により、埼玉県内並びに本部庁舎から半径25キロ以内の東京、千葉であれば、居住の自由がございます。
令和4年6月1日現在、県内には独身寮が45棟、室数1,194室、待機宿舎は108棟、室数1,696室、計153棟、2,890室、合計しての入居率は57.1%となっております。約半数です。
時代の変化とともに居住形態も変わりますし、老朽化している宿舎を選ばない傾向があるのも推察できます。私の地元にある宿舎は4棟ありますが、半数が空いている状況で、4棟を2棟にすることもできると思われます。地域によっては、統廃合も考えられます。
現在、県有資産総合管理方針の下、規模の縮小や見直しを行っていると伺っております。見直しには、築年数、犯罪件数、人口の増減も判断要素となるでしょうし、一概に減らすことは難しいことも理解をしております。しかし、長きにわたりこのような空室が多い状況が続くことは好ましくありません。
そこで、規模縮小や見直しの考え方について、警察本部長、御答弁を願います。
A 原和也 警察本部長
警察公舎は、突発的に発生する重大事件・事故や大規模災害に即応するとともに、職務により居住制限を受ける職員のために必要不可欠なものであり、これまで県下全域に整備をしてきたものであります。
警察公舎につきましては、平成29年に策定した「埼玉県警察施設マネジメント方針」に基づき、有事即応体制を維持するための必要性を踏まえつつ、県有資産の最適化を図るため、老朽化の程度や現在の入居率を考慮して、目下、施設自体を閉鎖し、又は棟数や部屋数を削減して改築することを含め、総合的な対応を行っております。
解体や改築などの整備計画策定と公表について
解体や改築などの整備計画策定について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
先ほどの御答弁から、規模の縮小や見直しについての考えは分かりました。その方向に基づいて、大規模修繕や解体工事、閉鎖、改築などを進めていくことと思います。
今年度は大規模改修、独身寮1棟をはじめ、中規模改修、独身寮2棟、待機宿舎1棟など予算額は33億340万2,000円となっております。現在ある153棟のうち最も古いものは、昭和37年に建設された築59年を迎える待機宿舎と聞き及んでおります。築年数のみを考えると、早急に解体や改築が望まれますが、今年度の解体は0棟となっており、この待機宿舎の整備予定がありません。いや、もしかしたらあるのかもしれませんが、整備計画が公表されていないため、どのような状況かさえも知ることができません。
平成29年に整備計画を策定したとのことですが、どのような基準や議論で整備計画が策定され、進捗状況はどのようになっているのか、警察本部長、御答弁を求めます。
A 原和也 警察本部長
平成27年に埼玉県で策定された県有資産総合管理方針に基づき、平成29年に埼玉県警察施設マネジメント方針を策定いたしました。
この方針においては、県下全域における有事即応体制を維持するため、警察署単位での警察公舎の必要数を踏まえつつ、そのスリム化を図ることとしております。
具体的には、この方針を踏まえて平成29年に策定した整備計画に基づき、警察公舎の統廃合を進めた結果、168棟あった公舎のうち、現在までに15棟を廃止解体し、1棟を縮小して改築をしております。
公表について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
先ほど来、御答弁でも平成29年に整備計画を策定したと。そういった整備計画をどこで知ることができるのでしょうか。税金を使って、建設、改築、解体等を行うわけですので、透明性も必要であると思いますし、また、所在地を明らかにしていないので、詳しいことというのは公表できないということも理解はしておりますが、やはり地域の皆様の安心・安全のためにも、できる範囲の公表をすべきだと考えますが、警察本部長、御答弁を願います。
A 原和也 警察本部長
警察公舎の個別具体的な整備計画については、公舎の所在地等の情報が含まれるものであることから、安全面を考慮し、公表しておりません。
一方、埼玉県で策定された県有資産総合管理方針については県のホームページにおいて公表されており、「警察施設の課題」と「今後の方向性」の項目において、警察公舎についても言及がなされております。
県警察で策定しております警察公舎の整備方針につきましては、現在、見直しを図っているところであり、その公表等については、他府県警察の例を参考としつつ、検討する所存であります。
シングルファザーへの支援の充実を
男性のための相談窓口の活用について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
厚生労働省は、平成28年度に行った全国ひとり親世帯等調査では、全国のひとり親世帯の数は推計で142万世帯とされ、その内訳は、母子世帯が123万2,000世帯、父子世帯が18万7,000世帯、ひとり親の7世帯に1世帯は父子家庭となります。ここ数年で、ひとり親の貧困問題がクローズアップされる機会が増え、ひとり親が多くの社会問題と関連していることは、広く認識されるようになりました。
しかし、そのひとり親は、主に母子、シングルマザーに焦点を当てられることが多く、父子、シングルファザーが抱える問題は見過ごされがちであると感じております。
本県ホームページで「シングルマザー」と検索すると326件がヒットし、就労支援や相談窓口の紹介、男女共同参画関係、当事者会の案内などが出てくるのに対し、「シングルファザー」と検索すると僅か4件でした。また、令和4年度埼玉県当初予算の概要でも、「シングルマザー支援の推進」と記載されており、内容も、シングルマザーや女性に特化したものがほとんどです。
実際に、シングルファザーの方々にお話を伺いますと、「ひとり親というと、シングルマザーというイメージが強く、シングルファザーと打ち明けると異様に驚かれてしまう」「コロナ禍で一斉休校となり、お昼御飯まで用意しなくてはならないときはさすがに参った」「子供の成長について、なかなか相談することができない」「ママ友はあっても、パパ友はない」などとおっしゃっておりました。これらを踏まえ、順次質問いたします。
本県では、開設20周年を迎えたWith You さいたまにおいて、男性臨床心理士による男性のための電話相談を平成25年より行っております。同姓だから話せることもあり、月1回として相談を始めた平成26年では39件の相談が、令和3年では110件で、開始当初と比べますと格段に増えております。今年度より相談日を月2回に増やし、いずれも日曜日に実施をしているとのことです。良い取組ですが、改善できる点はあると思います。
例えば、日曜日は都合が悪い方もいらっしゃることも考えられますので、月2回のうち、1回を平日の夜に変更をしてみることや、電話のみではなくメールでも相談を受けられるようにしたり、一層の周知や情報発信を行うなど、より多くの方が利用しやすくなるよう改善を図ることはできないでしょうか。県民生活部長、御答弁を願います。
A 真砂和敏 県民生活部長
内閣府が平成23年度に実施いたしました「男性にとっての男女共同参画に関する意識調査」によりますと、男性は悩みを他人に打ち明けたり、相談したり、弱音を吐いたりといったプライベートな感情を見せない傾向がございます。
そこで、本県では、男性からの相談を受けやすくするために、平成25年度から、男性臨床心理士による男性のための電話相談を行っているところでございます。
近年、電話がつながらないとの声が多く寄せられていたことから、令和4年度から、月1回の日曜相談を2回に増やし、利用者の利便性の向上を図ったところでございます。
このほか、男性専用の相談窓口ではございませんが、月曜日から土曜日、午前10時から午後8時30分まで、相談員が様々な悩みに寄り添いながら電話相談に対応しております。
また、24時間受け付けているインターネットによる相談もございます。
令和4年度は、より多くの男性に相談いただけるよう、名刺サイズで作成した相談案内カードを大型商業施設や駅の男性トイレにおいていただくほか、デジタルサイネージ等を活用するなどいたしまして、積極的に周知を図ってまいります。
利用しやすい相談体制を
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
さきに挙げました調査によりますと、相談相手「あり」と回答した割合は、母子世帯では80%、父子世帯では55.1%となっており、シングルファザーの方が悩みを抱え込んだり相談先がないということが分かります。
そこで、福祉部長にお伺いいたします。
シングルファザーがより利用しやすい相談体制の充実を求めますが、御見解をお聞かせください。
A 金子直史 福祉部長
県では、県内4か所の福祉事務所に23人の母子・父子自立支援員を配置し、ひとり親世帯から教育や進学、健康など多岐にわたる相談に対応しております。
令和3年度の自立支援員への相談は、父子世帯から824件、母子世帯から15,481件となっております。
議員お話しの国の調査では、「相談相手なし」と回答した父子世帯の 54.1%は「相談相手が欲しい」と回答しております。
相談相手を必要としているにも関わらず、相談件数が少ない理由として、自立支援員による相談窓口の存在がよく知られていないことが考えられます。
これまで、県では、広報紙やホームページ、SNSなどを活用し、広く相談窓口の情報を案内してまいりました。
今後は、再度の広報に加え、さらに市町村とも連携して離婚時や児童扶養手当の申請時などの機会をとらえて、対象となる方に、直接、周知を図ってまいります。
また、「家事」や「子どもの食事」「衣服・身の回り」のことなど父子家庭に多い困りごとについて自立支援員に対して研修を実施し、適切につなげられるよう相談体制の充実を図ってまいります。
再Q 岡村ゆり子 議員(県民)
幅広くSNS等を使って、また、その対象になる方に対して直接に相談の窓口をお知らせするというような御答弁がございました。そういった中で、今やはり気軽に身近にすぐに情報を得られるというのは、SNSがすごく大きいと思うんですね。何かあったときに公のところにつながるものであれば、なおさら信用性も上がりますし、相談をしてみようという気になると思います。
そういった中で、現在、県のホームページで、ひとり親相談というふうに調べたりしますと、書かれている、どのような相談でも受け付けることができますというところの内容に、「子供の教育費が心配」ですとか、あとは「ひとり親支援の制度が知りたい」「養育費について知りたい」というふうに書かれていて、そういった中に、子供の成長について知りたいとか、そういった言葉があっても、よりそういったシングルファザー、お父さんが一番悩んでいる子供の、特に、自分が男で子供が女の子、異性の場合は、よりそういった成長に対してのところというのは、なかなか相談する場も、あとそういった知識を得る場もなかなかないということも伺いますので、そういった文言を入れるだけでも、より必要とされている方に相談支援の窓口というんですかね、そういうのが行き渡って相談していただきやすくなると思うんですけれども、より充実という意味で是非やっていただきたいのですが、いかがでしょうか。
再A 金子直史 福祉部長
先ほども申し上げましたが、父子家庭の場合、「家事」「子供の食事」「衣服・身の回り」のこと、あとは議員お話の項目など、母子家庭と父子家庭では相談の中身が違ってくるので、父子家庭特有の問題についてわかるようにHP等の広報を充実してさせていきたいと考えています。
必要とする支援制度を利用しやすくすることについて
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
先ほど御答弁で、既にシングルマザーとファザーが抱える課題が違うということを御答弁いただいたこともあるんですが、さきに申し上げました調査によりますと、シングルマザーとファザーでは、困っていることに大きな違いがございます。そういった結果も出ておりまして、マザー、ファザー共に1位は家計、2位はマザーが仕事、ファザーが家事となっているんですね。また、マザーに比べファザーが子供について悩んでいることの回答で多いものは、食事・栄養、衣服、身の回り、やはり生活に関するものという結果がしっかりと出ております。
各市町村では、女性が受けられる産前産後の家事代行支援や共働き家庭への家事代行、体調不良により家事や買物、子供のお世話を受ける子育てヘルパー事業などを行っておりますが、女性目線での支援や女性が利用しやすいものが多く、父子家庭では利用できるような広報の仕方ではないというふうに感じております。そもそもひとり親というところには、父子と母子、そういう区別がないというふうにもなっておりますが、どうしても、やはり母子をイメージしてしまうものばかりでございます。
県として、シングルファザー、父子家庭が必要としている支援のニーズを把握していただき、市町村と連携して、支援の充実や利用しやすいようにしていくべきと考えますが、福祉部長、御答弁をお願いいたします。
A 金子直史 福祉部長
ひとり親家庭の自立に向けた支援は、「子育てや生活の支援」「就業支援」「養育費の確保支援」「経済的支援」の4本を柱として総合的に施策を展開しています。
これらの支援は、特に収入の面でより厳しい状態に置かれる母子家庭を中心に実施されてきました。
しかし、社会情勢の変化から 母子家庭と同様に支援を必要とする父子家庭も増え、平成26年の法改正により父子家庭も支援の対象として明確化されました。
このような経緯や、母子家庭の方が父子家庭に比べ世帯数が多いことから、一般的には「ひとり親」すなわち母子家庭のイメージが強いと考えます。
昨年11月に国が実施した「全国ひとり親世帯等調査」の結果が近く公表されますので、この調査結果を踏まえて、父子家庭が必要としているニーズをしっかり把握し、シングルファザーの支援につなげてまいります。
併せて、シングルファザーも支援の対象であることを改めて強調し、気軽にサービスを利用できる雰囲気が醸成できるよう、市町村とも連携して、広報を工夫してまいります。
障がい者アートについて(福祉部長)
企業とのマッチングについて
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
平成30年6月に、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律が施行・公布され、文化芸術活動に通じた障がい者の個性と能力の発揮及び社会参加の促進が進められております。
同法基本施策の第13条には「権利保護の推進」を掲げ、第14条には「芸術上価値が高い作品等の販売等に係る支援」として、「国及び地方公共団体は、芸術上価値が高い障害者の作品等に係る販売、公演その他の事業活動について、これが円滑かつ適切に行われるよう、その企画、対価の授受等に関する障害者の事業者との連絡調整を支援する体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。」とするとされております。
本県においても、県内で活動する団体の社会参加を推進すべく、障がい者アートの展示会やオンライン展示会、ロックライブとのコラボレーションした作品の展示、県内施設での常時作品展示など、様々な取組を進めているところです。
私の地元川口市では、障がい者アートを広めていこうと積極的に活動をされている団体があり、施設見学や作品展、個展などに伺うと、色彩豊かな作品や緻密に描かれている作品、想像力豊かな作品といったすばらしいものに出会うことができます。中には、自分が好きな電車や食べ物ばかり描く方もいて、強い個性に圧倒されることもございます。
以上のことを踏まえ、福祉部長にお尋ねいたします。
さきに述べましたように、法律が施行され、障がい者アートへの理解や興味関心、社会参加が進んできておりますが、まだまだ途上でございます。作品を作成しても、どのように販売に結び付けることができるのか分からないというお声もございます。現在も県が窓口となり県内企業と結び付けたり、企業に障がい者アートを知ってもらうよう働き掛けなどを行っていると聞き及んでおりますが、広がらない現実もあるようです。より一層の取組を求めますが、いかがでしょうか。福祉部長、御答弁を願います。
A 金子直史 福祉部長
多くの企業の方々に障害者アートの魅力を知っていただき、作品の展示や販売を促進することは、障害者アートの価値を高め、個性と才能豊かな障害者が活躍する機会を広げることにつながります。
障害者アートの購入等による経済的支援は、誰一人取り残さない社会を目指すSDGsの理念にも合致し、企業のイメージアップにも貢献します。
障害者アートは発展途上の分野であり、まだまだ価値の理解が進んでいない状況があり、作品を創作する障害者と購入する企業とのマッチングのために、県は橋渡しをする役割があると考えます。
そこで県では、令和3年度から企業を個別に訪問し、障害者アートの購入やリース、また、デザインとして利用するなどの活用を働きかけるとともに、企業における利活用の事例を県のホームページで紹介しています。
その結果、絵画5作品をリース契約により展示する企業もでてきております。
また、今年度は新たに、県内の経済団体や業界団体に協力を求め、会員企業に会報誌などを通じて広く障害者アートの魅力をPRするなどの取組を始めたところです。
今後、障害者アートの芸術的な価値を一層高めるとともに、企業の社会貢献についての理解も深め、障害者アートを利活用する企業とのマッチングを促進してまいります。
再Q 岡村ゆり子 議員(県民)
ただ今の御答弁で、県の方が窓口となって、そういった支援を進めているということもよく分かりましたし、また、今後経済団体の方にも積極的に働き掛けていき、それぞれの企業さんで取組を進めていただくということは分かったんですが、そういった際に、これまでも県の方では、皆様はパソコンの方を御覧いただきたいと思うんですが、こういった「障害者アートを展示・活用しませんか?」というチラシの方を持っていって広報をされていると伺っているんですね。
こういったチラシにも、是非、障がい者の方にデザインをしていただくとか、これを見て、ちょっとこれだと堅苦しい部分もありまして、ぱっと見て、こういうデザインもしてもらえるんだと、会社のフライヤーなり、会社の社報なり、そういったのでも使えるかなというふうにイメージをしていただきやすくなると思うんですね。
ですので、そういったやり方も広く周知をしていく、また、幅広い支援、そしてその支援の先につなげていくということにもつながると思うんですけれども、いかがでしょうか、御答弁願います。
再A 金子直史 福祉部長
県では、企業に障害者アートの利活用の働きかけを行うため、令和元年度に、絵画作品や、デザインの活用事例などを掲載したチラシを作成し、企業訪問などの際に配布するとともに、県ホームページにも掲載しています。
今後、より効果的に企業とのマッチングを進めていくため、新たなチラシを作成する際に、障害者アートの作家に直接デザインしていただくなど、堅苦しくなくできるよう効果的な方法を検討してまいります。
県内施設に展示する際に有料レンタルすることについて
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
現在、県では、作成された団体や個人から無償提供を受けた作品を県内の14か所に常時展示していると伺っております。障がい者アートを多くの方に目にしていただけるということは、作り手としてもうれしいことですし、良いことだと思っております。
しかし、芸術価値があり、評価をするということであれば、それなりの対価は必要ではないでしょうか。場所を貸してあげているという感覚になっていないでしょうか。作品一つ作成するには、作成費が当然かかります。
そこで、提案ですが、現在の無償提供ではなく、作り手や団体からの有料レンタルという形で提供していただき、作り手や団体が定期的、継続的に報酬を得るというようなシステムをとることはできないでしょうか。障害のある方々の社会参加の後押しになります。福祉部長の御答弁をお願いいたします。
A 金子直史 福祉部長
県内施設14箇所に障害者アートを展示している取組みは、より多くの方に障害者アートの魅力を知っていただくために実施しているものです。
この取組に御協力いただいているホテルや公共施設等は、障害者アートに魅力を感じ、展示場所を無償で提供していただいております。
展示に当たっては、県内の美術系大学の学生も協力し、作品の魅力や制作の背景などを分かりやすく紹介するパネルを、作品とともに展示しています。
これにより、作品ができるまでの過程や作者の素顔などを知ることができ、障害者アートの一層の魅力の理解につながっています。
また、令和3年度からは、県のホームページに障害者アートオンライン美術館を開設し、現在、作品展示41点や制作風景の動画3点などにより魅力のPRを行っております。
議員お話しの有料でレンタルすることについては、こうした取組を進めることで、まずは、障害者アートの商品価値を高めていくことが必要であり、価値を高めることで自ずと有料の話しにもつながっていくものと考えます。
障害のある方々が定期的・継続的に報酬を得ることは、将来の目標として大変有意義であり、今後ともその目標に向けて障害者アートの魅力発信や利活用を積極的に推進してまいります。
再Q 岡村ゆり子 議員(県民)
現段階でやられている、今後やっていこうとしているということは、そういった障がい者アートの魅力をより多くの方に理解をしていただくですとか、障がい者アートの魅力をPRしていただくというところで、現段階はあると思うんですね。将来的には、そういった報酬を継続的に得られるようにしていくようにしていきたいというような御答弁に理解をしたんですけれども、そのためにも、やはり今からというか、並行して、もしそういったホテルなんかでも、お金を払うから展示をやめるというようにはなかなかならないと私は思うんですよ。
そういったことの支援をすることによって、ホテルであったり企業のイメージであったり施設のイメージを高めていくということにもなると思いますし、実際に福岡県の方では、そういった有料でレンタルをして、団体さん、個人さんに何割かお金が入るようにしていくというシステムをとっていますので、そういった先行した事例も検討、研究していただきたいと思いますし、また、団体さんともどういうやり方だったらやりやすいのかとか、どういうところまでを求められるのかですとか、そういったこともしていただきたいと思うんですけれども、再度お願いいたします。
再A 金子直史 福祉部長
議員お話しのとおり、他県の先行事例を収集することは非常に重要であり、良い取組については、県の取組に活かせるようにしてまいります。
また、障害者アーティスト本人や関係団体の御意見なども伺いながら、有料化に向けて少しずつ取組を進めて参ります。
親子の面会交流について(福祉部長)
面会交流支援団体の周知を
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
前回の一般質問では、離婚前後の支援と養育費確保について取り上げ、今年度予算に、養育費確保のための無料法律相談等の実施が盛り込まれたり、国に対して、離婚後の養育費の支払いについての支援制度の拡充を求めるなど、課題解決に向けて進んできているように感じます。
今回は、親子の面会交流についてです。
親子の面会交流とは、子供と離れて暮らす親が、子供と定期的、継続的に会って話をしたり、電話や手紙などの方法で交流することをいいます。以前、会派で、親子の面会交流を実現する全国ネットワークの皆さんから、オンラインでお話を伺うことがございました。
そして先日、「突然、子供に会えなくなってしまった」「帰ったら自宅がもぬけの殻で、全く連絡がとれなくなってしまった」「自分のおなかに子供がいた時間の方が長いくらい、生まれて間もなく子供と引き離されてしまった。どのようにしたら会うことができるのか」など、県内にお住まいの方々で、子供との面会を切に願っている方々との意見交換会を行い、悲痛な声に胸が苦しくなりました。
父、母が離婚した後などの親子の面会交流については、民法第766条で規定されており、その方法などについては、父、母の協議で定めることができ、協議が調わないときなどには家庭裁判所が定めるものとされております。
子供を監護しない父、母の一方と子供が定期的に面会等の交流を持つことは、一般的には、子供の福祉を害しない限り、子供の健全な成長のために好ましいことであると理解されております。平成30年に行われた子育て世代全国調査の結果によりますと、過去の1年間、非同居父親と子供との面会や会話等交流の頻度が年に数回以上の割合は、母子世帯の離別父親が37.3%、2人親世帯の単身赴任父親が93.8%となっております。離別父親の44.2%は子供との交流が全くない状態であり、そのうち、離婚5年以上の離別父親の51.6%は、半数以上が子供と交流のない状態であるという結果も出ております。
以上のことを踏まえまして、福祉部長に御答弁を願います。
安心・安全な面会交流は、子供の健やかな健康のため、成長のために大切なものです。しかし、面会交流の実施を望んでいても、別居や離婚に至る事情は様々であることが、当事者のみでは面会交流の実施が難しいという現状がございます。
それを受け、連絡調整、受渡し、付添い等の方法で親子の面会交流をサポートする第三者機関、面会交流支援団体が各地で立ち上がっております。面会交流の支援を必要としている方々の中には、面会交流支援団体自体を知らず、支援を受けることができない方や、どのような支援を受けられるのかが分からず、支援を頼めないという方もいらっしゃいます。
法務省では、令和3年12月より、面会支援に関する参考指針を作成し、ホームページにおいて掲載を希望する面会交流支援団体の一覧表を公表することを始めました。本県におきましても、必要な方に必要な情報が行き渡るよう、面会交流支援団体の周知をしていただきたいのですが、福祉部長の御見解をお聞かせください。
A 金子直史 福祉部長
親子の面会交流は、子供の健やかな成長のために大切なものですが、別居や離婚に至る事情は様々であることから、当事者のみでは安心・安全な面会交流の実施が難しい場合があります。
面会交流の合意はしたが実施方法がわからない、別れた相手と子供を2人きりで会わせるのは不安といった場合などに、父母間の連絡調整や子供の受渡し、面会交流の場の付き添いなど、様々な支援を行う議員お話しの面会交流支援団体がございます。
離婚した方の中には、支援団体の活動を知らない方やどのような支援が受けられるのかわからず、利用できない方もいると考えます。
県といたしましては、まずは、面会交流の意義や方法についての周知を図るため、新たに県のHPに面会交流に関する情報を提供するサイトを立ち上げてまいります。
その上で、面会交流支援団体の支援内容や活用の仕方、団体のリストなどを掲載し、面会交流を実施しやすい環境の整備に取り組んでまいります。
第三者機関への委託について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
さきの質問で申しました面会交流支援団体ですが、利用する際に費用がかかります。支援内容や面会する子供の人数によっても変わってきます。自分の子供に会うためにお金がかかるのです。経済的な理由により、面会交流を諦めるという方もいらっしゃいます。
面会交流を行ったがために、痛ましい事件や事故、子供との関係悪化などもあり、慎重にすべきということは理解をいたしております。子供の意思を尊重することが最重要ですので、子供が面会を望まないのであれば、すべきではありません。
しかしながら、第三者機関、面会交流支援団体を通じてしか、子供が面会をしたいのかどうかさえも知ることができない方々もいらっしゃいます。県で、第三者機関へ委託し、極力負担のかからない形で面会交流を行えるよう支援をしていただきたいのですが、福祉部長、御答弁を願います。
A 金子直史 福祉部長
面会交流支援団体の活用については、国の補助スキームとして面会交流支援事業があり、ひとり親の方にとっては、費用負担が少なくなる上、離婚した相手と直接連絡を取る必要もなく、精神的な負担も軽減される利点があります。
子どもの健やかな成長のためには、こうした事業を活用して第三者機関の支援を受けることも面会交流の促進につながると考えます。
一方、全国的にも面会交流支援団体は多くなく、支援団体には子供の心情に十分配慮した対応を行うことのできる支援員の確保も求められます。
また、支援の対象は、面会交流の内容を取決めた合意書を取り交わした父母となっており、この手続きを行っている父母はあまり多くはありません。
このため、面会交流支援事業を行っている東京都や千葉県をはじめ全国15自治体の令和2年度の実績は80ケースに留まっています。
面会交流支援事業について、御提案いただいた第三者機関への委託も含めまして、県としての実施を検討してまいります。
特別支援学校にパワーアシストスーツを
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
パワーアシストスーツは、体に装着し、駆動装置や人工筋肉などの動力を用いて、人間の機能を拡張、補助する装置です。介護、工場、物流、農作業など、あらゆる作業の現場で腰の負担を大幅に軽減することができ、特に介護の現場では、移乗や移動介助、体位変換、排せつ作業の際に力を発揮し、軽量で女性でも簡単に着脱できるものもあるとのことです。
昨年度、県立の特別支援学校に在籍している幼児、児童生徒7,916名のうち、介助を必要とする肢体不自由特別支援学校に通学する児童生徒は1,069名、介助が必要な児童生徒に対しては、状況に応じて2人で対応していると伺っております。現場の教職員は、弱音を吐くことなく、強く温かく生徒に接していらっしゃいます。
しかし、教職員が抱えて移乗や移動介助をする際などは、大きな負担になることも考えられます。また、2人で行っていたことが1人で行えるようになることもあると思います。これまではパワーアシストスーツの必要性について、調査や研究を行っていないとのことですが、現場の教職員へのアンケートやパワーアシストスーツを試す機会を設けるなど、導入を検討することは有効であると考えますが、教育長、御答弁を願います。
A 高田直芳 教育長
肢体不自由特別支援学校では、教職員が日常的に車いすからベッドへの移動やトイレの介助などを行っており、体の大きな児童生徒を介助する際などには、身体的な負担が生じております。
議員お話しのパワーアシストスーツは、その使用者の身体的な負担を軽減することを目的に、物流や農業、介護の現場などで活用されてきております。
肢体不自由特別支援学校の教職員もパワーアシストスーツを使用することで、身体的な負担の軽減や児童生徒の安全対策などにもその効果が期待できます。
一方、パワーアシストスーツは着脱に時間を要するものもあり、介助が必要な場面で迅速に使用することができるか、また、スーツの金属パーツが児童生徒にぶつかり、介助される側が不安にならないかなど、特別支援教育の現場で活用する上では課題もあると考えます。
このため、県といたしましては、まずは、実際に教職員が試着する機会を設け、その有効性を検証するとともに、導入を予定している自治体もあることから、その状況や効果なども伺いながら、研究してまいります。
ギフテッドへの理解促進について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
子供の発達障害を専門とする医師によりますと、ギフテッドは、障害や病気といった医学用語ではなく、いわゆる神が与えた才能、特別なギフトを意味する言葉です。似たような言葉で、タレンティッドと言われることもあります。
知的に高い子供や、芸術的才能に優れていて、先天的に平均よりも顕著に高い能力が2つ以上あることとされ、特徴は10項目あるとされております。記憶力が非常に高い。すぐに物事を学び、判断できる。年齢の割に語彙が多く、複雑な文章構造を話すことができる。数字やパズルなどの問題を楽しむ。感情の起伏が激しく、神経質などです。
さらに、同医師によりますと、彼らのIQは非常に高いものの、社会性が低く、文字が書けず、多動、時には暴力が出るということもあるそうです。潜在的にすばらしい才能や知識を持つものの、発達障害と同じような要素があるため、うまく生きることができないのです。
以前、御相談いただいた方のお子さんも、パソコンや興味のあることに対しては天才的だが、文字を書くことが苦手で、感情のコントロールもうまくできないため、学校生活において友達と衝突することがあり、周りに理解を得られず、先生さえも分かってくれない状況が長く続き、不登校に陥ってしまったということもあったそうです。
文部科学省では、特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議を昨年の7月から開催し、議論を進めております。
本県におきましても、教職員がギフテッドを理解することや児童生徒の個性や特性に気付くこと、また、ギフテッドの子供が学校生活においてどのような困難を抱えているか、理解や対応が非常に重要であると考えます。全ての子供が自分らしく学校生活を楽しみ、健やかに成長していくことを切に願いまして、ギフテッドへの理解促進を求めますが、教育長の御答弁をお願いいたします。
A 高田直芳 教育長
議員お話しのとおり、特異な才能を持ちながらも、学習面や生活面、友人関係などに困難を抱える児童生徒がおります。
現在、国では、「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議」を設置し、こうした児童生徒の特性などの理解促進に向けた周知や研修に関する方策について、検討が行われています。
その中では、特異な才能と学習困難を合わせ有する児童生徒の存在が指摘されており、こうした児童生徒は、通常の学級に在籍していることや、障害の程度によっては通常の学級に在籍しながら通級による指導を受けていたり、特別支援学級に在籍していることが考えられるとされています。
県といたしましては、こうした児童生徒も含め、誰一人取り残されることなく、お互いを認め合い、学び合えることができる教育を推進していくことが非常に大切と考えます。
そのため、県では、通常の学級における教育だけでなく、コミュニケーションの取り方など円滑な学校生活を送ることができるよう、児童生徒一人ひとり個別に指導や支援を行う通級指導教室の設置に向けて市町村を支援するなど、きめ細やかな対応に努めております。
今後とも、国の動向を十分に注視し、特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する教職員の理解を深めていくとともに、児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導や支援に努めてまいります。
廃棄物との見分けがつかない資材置き場の監視や指導の強化について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
私の地元川口市の安行、神根、木曽呂地区は、都市部で数少ない緑地の残るエリアで、市街化調整区域及び首都圏近郊緑地保全法の近郊緑地保全区域に指定されております。本来であれば、緑や農地を守り、良好な自然環境を形成すべき土地ですが、後継者不足や地権者の土地活用のため、資材置き場となるケースが急増しております。
資材置き場とは、建築会社や土木会社等で使う資材を一時的に保管しておくための場所のことで、開発許可が不要なため、このエリアにおいても設置が可能です。資材置き場が適切な管理運営、近隣への配慮などがなされていれば問題はありませんが、資材か廃棄物か判断がつかないものが積み上げられている場所もあり、適切な管理がなされているとは言い難い状況です。
そのような状況を受け、川口市では、今年7月1日から資材置き場の設置を規制する単独条例が施行されます。資材置き場の基準を明確化したり、新たに設置する際は許可を受けなくてはならないこと、措置命令の違反には罰金を科すことなど、景観維持、自然保護、治安維持などの観点から、対策を強化するところです。
縷々述べてまいりましたが、資材置き場自体が悪いものと言いたいのではなく、お互い気持ちよく地域に愛着を持って生活をしていくには、土地の利用に関しても最低限のルールを守る必要があるということです。その環境をつくっていくことは、行政の役目であります。資材は財産でありますが、整然と保管管理されておらず、中には廃棄物と見分けのつかないものも県内にはあり、適切な管理が求められます。
そこで、環境部長にお伺いいたします。
生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とした廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、資材か廃材か見分けのつかないものを置いている県内の資材置き場の監視や指導を強化していただきたいのですが、いかがでしょうか、御答弁をお願いいたします。
A 目良聡 環境部長
資材置場と呼ばれるものには確かに様々な形態があり、中には、解体現場から排出されたがれきなどの産業廃棄物と思われるものが不適正に保管されている場合もございます。
県では、不適正事案の通報を受け付ける廃棄物不法投棄110番を設置し、県民の方から寄せられた苦情に対して迅速に対応するとともに、環境管理事務所職員や警備会社によるパトロールを実施して監視指導を行っております。
あわせて、市町村の一般廃棄物担当の職員に県職員の併任をかけ、産業廃棄物に係る立入権限を付与することで、不適正事案の早期対応を図っております。
また、県産業廃棄物指導課及び環境管理事務所に警察官や警察OBを配置して監視指導体制の強化を図るとともに、県警察と連携し、盗難自動車等の保管が疑われる資材置場を対象に、合同で立入検査を行ってまいりました。
今後も、県警察と連携を深め、住民の声にも耳を傾けながら、地域の状況をよく把握している市町村の併任職員を通じて情報を収集し、悪質な現場に対する監視や指導をしっかりと行ってまいります。