1 東京2025デフリンピックについて
(1)デフリンピックに向けた取組を(県民生活部長)
Q 金野桃子 議員(県民)
私は、令和2年9月定例会一般質問において手話について取り上げました。当時、議場には手話通訳者の方がいらっしゃらず、耳の不自由な方々が傍聴されていたことから、私自身が手話で質問を行いました。
今回は議場に手話通訳者の方がいらっしゃいますので、私自身が手話で質問することに悩みました。けれども、「手話は言語である」という手話言語条例の趣旨に基づき、自らの言葉として手話で質問することにいたしました。
御覧の皆様からは手話通訳者と私の手話表現が異なることがあるかもしれませんが、それは一人一人の言葉が違うように手話も異なるということと御理解いただければ幸いです。
それでは、質問を始めます。
今年11月、日本で初めての開催となる東京2025デフリンピックが開かれます。1924年にパリで第1回大会が開催されて以降、100周年となる記念すべき大会です。県内出身の選手の出場が多数決まっており、今大会を契機に手話や共生社会への理解がより一層広がることを願っております。
そこで、以下お伺いいたします。
(1)デフリンピックに向けた取組を。
(1)選手のトレーニング環境を聞き取り、今後に向けた環境整備をできないか。
また、(2)競技の特徴、選手のPR動画の配信など魅力を周知してはどうか。
そして、(3)デフリンピックは観覧無料とのことです。埼玉県が開催地になる競技はないようですが、県ゆかりの選手が出場する試合に県民に観戦を呼び掛けてはどうか。
以上、3点を県民生活部長にお伺いいたします。
A 横内ゆり 県民生活部長
まず、「選手のトレー二ング環境を聞き取り、今後に向けた環境整備をできないか」についてでございます。
県では、将来国際大会等で活躍する選手の育成を目的に、スポーツ科学に基づいた、アスリートの強化支援に取り組んでいます。
具体的には、選手一人一人の要望を聞き取り、トレーニングプログラムの作成や栄養指導などの支援メニューを提供する個別サポートを実施しております。
本事業にはデフアスリートからの感謝の声やニーズも高かったことから、強化支援者数を6名から11名に拡大し、本大会に出場を目指す選手に対する支援を強化いたしました。
このほか、競技団体や障害者団体へ強化費を交付し、強化練習会などの各団体の活動を支援しております。
また、デフ競技ではランプや旗などを使い、聞こえないことを目で補う、視覚的な保障がなされた環境が必要になります。
そのため、陸上競技のスタートの合図を音ではなく光で行う「光刺激スタート発信装置」を購入し、希望に応じて競技団体などへ貸し出すなど活用しております。
今後も様々な形で選手の御意見を伺いながら、環境整備に努めてまいります。
次に、「競技の特徴、選手のPR動画配信等、魅力を周知してはどうか」についてでございます。
県では、開催地である東京都や埼玉県聴覚障害者協会と連携し、大会の機運醸成に取り組んでおります。
先ほど知事から答弁があった手話動画配信などのほか、デフリンピック応援隊に就任した「コバトン」や「さいたまっち」をデザインしたのぼり旗を作成し機運醸成を図っております。
また、スタートランプやフラッグを使った競技の特徴や、前回大会で活躍した埼玉ゆかりの選手を紹介するパネルを作成し、デフリンピックの魅力をPRしております。
さらに、県のスポーツ振興情報発信サイト「スポナビ埼玉」の特設ページにおいて、大会情報や県ゆかりの選手情報を随時発信する予定です。
本年10月開催予定のふれあいピック秋季大会では、特設ブースを設け、開催直前まで機運醸成に努めてまいります。
次に「県ゆかりの選手が出場する試合に県民に観戦を呼び掛けてはどうか」についてでございます。
歴史あるデフリンピックが日本で初開催され、東京で多くの競技が実施されることから、県民が身近に観戦できるチャンスと考えます。
県ゆかりの選手が出場する試合情報をはじめとした大会の魅力を県ホームページやSNS、イベント等様々な形で県民に発信し、一人でも多くの県民がデフリンピックに心を寄せ、観戦するように働き掛けてまいります。
最後に、選手のみなさん、頑張ってください。
(2)選手への激励と今後の期待は(知事)
Q 金野桃子 議員(県民)
今大会に出場する県ゆかりの選手の皆さんへの激励とともに、共生社会の実現に向けてスポーツに寄せられる期待について、知事にお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
まず、「東京2025デフリンピックについて」のお尋ねのうち、「選手への激励と今後の期待は」についてであります。
スポーツは人々に「楽しさ」や「喜び」をもたらし、人生をより豊かにするとともに、健康長寿の実現や地域の活性化など社会の活力を生み出す力を持っています。
また、東京2025デフリンピックのビジョンは、「デフスポーツの魅力や価値を伝え人々や社会とつなぐ」「世界に、そして未来につながる大会へ」「“誰もが個性を活かし力を発揮できる”共生社会の実現」とされています。
聴覚障害を乗り越えて世界の舞台で活躍する選手たちの姿と共に、本大会が心のバリアフリーや互いの違いを認め、尊重し合う、共生社会づくりの大切さを県民に伝えてくれる大きな原動力になることを期待しております。
私自身もデフリンピックの応援メッセージ動画を配信したり、障害者と健常者が共に楽しめる「ふれあいピック秋季大会」で、デフアスリートと一緒に競技を体験するなど、機運醸成に取り組んでまいりました。
また、令和7年5月には、陸上競技の国内最終予選会が熊谷市で開催されましたので、選手に直接、激励をさせていただきました。
議員から御提案のあった、本県ゆかりの選手の皆さんへの激励の言葉についてですが、選手に応援の気持ちを直接お届けしたいと思いますので、議員ほど上手にはできませんが、手話でお伝えをさせていただきたいと思います。
選手の皆さん、東京2025デフリンピックに向けて頑張ってください。
2 特別支援教育について(教育長)
(1)今後の入学者数の見込み及び供用開始までの見通しは
Q 金野桃子 議員(県民)
県立和光南特別支援学校は、知的障害のある児童生徒が通う特別支援学校で、和光市、戸田市、朝霞市、新座市などから約360人の児童生徒が通学しています。築48年の校舎は、当初約240人規模の利用を想定して建築されましたが、令和7年4月現在で73学級、約360人と大幅に増え、老朽化、過密化が深刻な課題です。
昨年3月には同校の教育環境改善を求める1,000筆を超える署名が教育長宛に提出されました。私も令和5年度予算特別委員会でこの問題を取り上げ、会派としても実際に学校を視察させていただきました。現地では教室が足りずに廊下や空きスペースで授業を行っている現状を目の当たりにし、トイレが足りずに待っている間に子供が粗相してしまったこともあるとお聞きし、強く改善を求めてまいりました。このたび、本年度予算において同校の全面改築が盛り込まれたことは、大いに評価すべきです。
ただし、特別支援教育における諸課題や障害のある子供たちが通いながら行う全面改築は過去前例のないこと、総事業費は100億円規模と見込まれることから、慎重かつ丁寧な対応が求められます。
そこで、以下お伺いいたします。
(1)今後の入学者数の見込み及び供用開始までの見通しは。
生徒数が約50年で建築当初の想定を大きく上回り、今後も需要は高まる一方、少子化の懸念もあります。今後の入学者数の見込み及び供用開始までの見通しを、教育長にお伺いいたします。
A 日吉亨 教育長
和光南特別支援学校における小学部、中学部、高等部の入学者数の合計は、令和7年4月現在の約100人から、令和6年度推計のピーク時である令和14年度には約140人まで増加し、その後、緩やかに減少する見込みとなっております。
供用開始までの見通しにつきましては、令和7年度及び令和8年度は設計、令和9年度から令和11年度まで工事を実施し、令和12年度に新たな校舎の供用開始となる予定でございます。
(2)「県立和光南特別支援学校改築検討委員会」の設置を
Q 金野桃子 議員(県民)
改築に当たり、在校生の保護者の方々と意見交換をさせていただきました。施設の在り方や防災体制、スクールバスなど検討すべき課題が多岐にわたります。
例えば、県立戸田かけはし高等特別支援学校では、職業訓練を兼ねたカフェ風の教室があり、近隣小学校や地域と交流がなされ、校舎の設計が教育内容に直結しています。全国にはリハビリテーション室を備え、作業療法士の方などが在籍する学校もあり、こうした需要も高いと思います。
また、現時点で、同校は指定福祉避難所ではあるものの、福祉子供避難所ではありません。その指定の有無、災害時の対応については、地元和光市や在校生の居住自治体とも連携が必要不可欠です。
また、スクールバスと放課後等デイサービスとの送迎車との乗換えの問題、将来的にスクールバスの運行が困難になる場合を見据えて、他校との連携も議論すべき課題です。
隣接する和光特別支援学校の改修の議論も含めた連携も必要不可欠です。特に在校生が学び続けながらの全面改築では、安全確保と教育の質の確保が最大の課題です。
こうした多様かつ複雑な課題を解決するには、保護者を含め様々な関係者の意見を聞くことが大切です。行政単独ではなく、和光南特別支援学校改築検討委員会のような組織を立ち上げ、学校、教育委員会、関連市町村、保護者なども交えながら、課題ごとにワーキンググループなどを設けて丁寧に進めていく必要があると考えます。教育長にお伺いいたします。
A 日吉亨 教育長
和光南特別支援学校の改築にあたっては、学校に関係する様々な方々の意見に耳を傾けることは重要と考えております。
県立特別支援学校には、コミュニティ・スクールに伴う学校運営協議会が設置されており、その構成メンバーには、保護者、地域住民、対象学校の校長、関係行政機関等が含まれていることから、すでに学校運営に地域の声を生かし、地域と一体となって特色ある学校づくりを進めております。
議員ご提案の、様々な関係者から意見を伺う場としては、積極的に学校運営協議会を活用していくことが望ましいと考えております。
改築にあたっては、工事期間中の教育活動の維持や安全の確保、また、教育内容や災害時を見据えた校舎の在り方など様々な課題がありますが、学校運営協議会を通じて、丁寧に意見を伺いながら、しっかりと検討してまいります。
再Q 金野桃子 議員(県民)
御答弁の中で、改築に当たり新たに検討委員会を立ち上げるのではなく、既存の学校運営協議会を活用していくという趣旨の御答弁でした。現在の協議会の中で、防災の課題、児童生徒の居住自治体との連携、スクールバスの問題等について、どのように御議論されていくのでしょうか、教育長にお伺いいたします。
また、現在、同校のPTAは解散し、そのほかの保護者団体が立ち上がっていると伺いましたが、保護者の声はどのように聞いていくのでしょうか、教育長にお伺いいたします。
再A 日吉亨 教育長
議員お話しの防災の課題などにつきましても、学校運営協議会で取り上げて、しっかりと協議してまいります。
また、保護者の声をどのように聞いていくのか、これにつきましても、学校運営協議会には保護者も含まれておりますので、協議会を通じて保護者の意見を丁寧に伺ってまいります。
(3)給料の調整額を減額する見直しが行われた場合の県の対応は
Q 金野桃子 議員(県民)
現在、国においては、特別支援教育に関する給料の調整額を減額する見直しを行う可能性があります。今後、この給料の調整額が見直された場合、県として独自に特別支援教育に従事する教職員への給料の調整額を維持するお考えはあるか、教育長にお伺いいたします。
A 日吉亨 教育長
給料の調整額は、職務内容、勤務条件が他の職員に比べて著しく特殊な業務に従事する職員に支給されるものであり、教育職員については特別支援学校の教員など特別支援教育に直接従事している者に対して支給されています。
現在、国において、この給料の調整額を令和9年1月から段階的に減額することについて検討しているものと承知しております。
県では、教育職員の給与について、これまで国の方針に沿って見直しを行っており、引き続き、国における検討状況を注視してまいります。
3 県立高校のエアコン設置について(教育長)
(1)今後の設置見込みは
Q 金野桃子 議員(県民)
多くの方々からのお声を受け徐々に設置が進み、令和6年9月時点で県内全137校のうち、普通教室が2,827室中、2,819室で設置率99.7パーセント、選択教室を含む特別教室が4,889室中、3,184室で65.1パーセント、体育館が137校中、1校で0.7パーセントとのことです。
そこで、以下お伺いいたします。
(1)今後の設置見込みは。
県立高校の特別教室や体育館のエアコン設置について、今後の見込みを教育長にお伺いいたします。
A 日吉亨 教育長
近年の夏場の暑さを考えると、県立高校へのエアコンの設置を進めることが望ましいと認識しており、令和6年度に普通教室について公費負担としたところです。
現在、県では、防災拠点校となる体育館へエアコン設置を順次、進めており、特別教室や防災拠点校を除く高校の体育館のエアコン設置については、他県の状況を把握するなど、整備を進めるための検討を行っているところです。
一方、県立学校の施設については、特別支援学校の過密状況の解消に向けた整備を計画的に実施しているほか、校舎の老朽化対策なども必要な状況でございます。
県立高校の特別教室や防災拠点校を除く高校の体育館のエアコン設置については、財源の見通しも含め、引き続き、検討してまいります。
(2)設置の順番の方針を
Q 金野桃子 議員(県民)
特別教室及び体育館へのエアコン設置に当たっては、限られた予算の中で公平性を確保する一定の基準が必要だと考えます。特に災害時の避難場所となる体育館は優先的な対応が求められますが、特別教室は教室の大きさ、授業か部活かという使用目的など利用状況が多様で判断が難しい面があります。
今後、大規模改修が行われる予定のある学校もありますし、既存校舎の中にも特別教室は多くあります。例えば茶道部の保護者の方からは、茶室は狭く、授業では使われないが、狭い部屋でお湯を沸かすと非常に暑くなるというお声も伺いました。確かに茶室は授業に使われることも少ないでしょうし、利用人数も少ないですが、狭い部屋でお湯を沸かすという特殊性もあります。
こうした実態も踏まえ、公平性を確保しながら設置を進める方針について、教育長にお伺いいたします。
A 日吉亨 教育長
エアコンの整備に当たっては、議員お話の、使用目的等や利用状況を含めて総合的に検討する必要がございます。
県立高校のエアコンの設置については、各学校の状況等を踏まえ、公平性にも配慮しながら、計画的に整備できるよう、しっかりと検討してまいります。
4 県立けやき特別支援学校での別室入試について(教育長)
Q 金野桃子 議員(県民)
先日、会派で埼玉県立小児医療センターに併設している県立けやき特別支援学校を視察させていただきました。現地では、けがや病気の治療に向き合いながら懸命に学びを継続しようとする子供たちや御家族の御様子、そしてそれを全力でサポートしていらっしゃる教職員の先生方のお姿に会派一同胸を打たれました。
そこでお伺いしたのは、受験を控える中学3年生の子供たちのことです。体調不良などで本来の会場で入試を受けられない場合に、別室で入試を行うなどの対応があり、全国的には神奈川県、群馬県、宮城県などが病院内にある特別支援学校分校などでの入試を行った実績があるようですが、埼玉県では過去実施した例はないとのことです。
他県での実施状況を丁寧に聞き取った上で県でも早期に実現できるよう求めますが、教育長にお伺いいたします。
A 日吉亨 教育長
議員御指摘の、小児医療センターに入院しながらけやき特別支援学校で学ぶ生徒にも、安心安全に負担なく受検の機会を確保することが、必要と考えております。
県では、現在、学力検査を受検する際、怪我や病気等のある志願者に対しては、例えば、志願先高校内で別室を設けるなど、個別の事情を踏まえた丁寧な対応をしております。
今後は、他県での事例を参考にしながら、小児医療センターに入院している県立高校の志願者が、医師の判断により望ましいとされる場合には、けやき特別支援学校において受検が可能となるよう、検討してまいります。
5 日本語支援員について(教育長)
Q 金野桃子 議員(県民)
日本語支援員とは、文部科学省の帰国・外国人児童生徒等教育の推進支援事業を活用し、日本語支援が必要な生徒に対して教科指導のサポートなどを行う方で、令和7年4月現在、県内高校49校に55人の方が従事しているとのことです。
県内在住の応募者からは、履歴書や職務経歴書、日本語の指導実績などを提出後、教育委員会からは受領の連絡はなく、数か月後に条件確認の連絡、電話はあったものの、最終的な採用の可否など一切連絡がなかったと伺いました。
また、日本語支援員は会計年度任用職員等ではなく、報酬が発生するため有償にはなりますが、あくまでボランティアという扱いとのことです。確かにボランティアであれば柔軟な対応などが可能ですが、ボランティアだからといって応募してくださった方への対応が曖昧でよい理由にはなりません。外国にルーツを持つ子供への支援の重要性を考えれば、より安定した処遇の検討が求められます。
そこで、(1)採用過程の透明化及び有償ボランティアから、より安定した処遇への改善についてどう考えるか。
(2)帰国・外国人児童生徒等が質の高い教育をどこでも受けられるよう、教材の共有や支援員研修の充実など指導内容の統一と向上を図る必要があると考えますが、併せて教育長にお伺いいたします。
A 日吉亨 教育長
まず、採用過程の透明化についてでございます。
県では、応募者に対して、年度当初から配置を決定した場合には、4月上旬までに連絡するとしており、その旨を募集要項に記載しております。
また、当該年度の途中で、新たに支援員が必要になった場合に、配置されていない方に希望を確認する可能性があるため、配置がない旨の連絡はしておりませんでした。
一方、応募いただいた方に不安を与えないよう、応募書類の受領連絡や採否結果の通知などを行い、丁寧に対応することは重要と考えております。
今後は、応募から採否決定までの過程を募集要項に分かりやすく記載するとともに、書類を受領した際や選考結果について、応募者に連絡するなど、より丁寧な対応に努めてまいります。
次に、有償ボランティアから、より安定した処遇への改善についてどう考えるかについてでございます。
外国にルーツを持つ子供に対する支援の重要性は高まっていることから、現在の仕組みは、日本語指導の資格や経験を持つ、より多くの方に応募していただくことを目指しております。
すでに有償ボランティアとして活動されている支援員の方からは、「本業と両立しやすく、無理なく参加できる」、「参加に当たり心理的な負担が少ない」といった意見も頂いております。
例年、配置予定人数を上回る約80人の日本語指導の資格や、経験を持つ方から御応募いただき、現在は支援員を求める全ての県立高校に配置できている状況です。
県では、現時点において、処遇を変更する予定はございませんが、今後、日本語支援員を必要とする生徒の増加や多様化が見込まれることから、生徒の実態や、学校現場のニーズに即したより望ましい日本語支援員の職の在り方について、他県の事例等も収集しながら、研究してまいります。
次に、指導内容の統一と向上についてでございます。
議員お話の、どの学校でも質の高い日本語支援を受けられるようにすることは重要と考えております。
県では、支援員を配置している学校の管理職、教員及び支援員が参加する連絡協議会を年2回開催し、各校の取組や課題の共有を図っております。
一方、支援員からは、支援員同士の更なる交流や学び合いの場の設置を求める声もございます。
今後は、こうした要望も踏まえ、例えば、支援員同士が教材や実践事例を共有することができる交流の機会や、学校や生徒の実態に即した支援に有効な研修等の実施について、積極的に検討してまいります。
6 警察行政について(警察本部長)
(1)歩車分離信号の新設・変更時における視覚障がい者への配慮を
Q 金野桃子 議員(県民)
令和4年、戸田市内で近隣に学校、図書館、福祉センターなどがある交差点が歩車分離信号に変更されました。視覚障がい者の方が歩車分離信号に変更したことを認識できず、車両用の信号に合わせて歩行者用信号が赤信号の中を歩いている場面に地元市議会議員の方が遭遇し、事故寸前で声を掛けて止めたという出来事がありました。
警察によると、事前に2週間程度、立看板を設置して周知するものの、音響式信号機や音声案内を設置していないそうです。
今回は幸い事故には至りませんでしたが、重大な事故につながる危険があります。歩車分離信号を新設・変更する場合には、必ず音響式信号機を設置し、特に変更する場合には、音声案内や福祉団体への周知を徹底すべきと考えますが、警察本部長にお伺いいたします。
A 野井祐一 警察本部長
歩車分離式信号機については、警察庁の指針に基づき、児童、高齢者等の交通の安全を確保する必要がある場所などを対象に、車両及び歩行者の交通量等を調査した上で整備しております。
また、音響式信号機については、警察庁の指針に基づき、視覚障害者関係団体等からの要望を踏まえ、視覚障害の方の利用頻度が高い施設、駅、病院等の周辺において、音響に対する付近住民の御理解を得ながら、整備を推進しているところであります。
県警察といたしましては、今後も歩車分離式信号機の整備に当たり、既設の歩車分離式交差点も含めて、視覚障害の方の利用頻度等も踏まえつつ、必要性や優先度を勘案しながら、音響式信号機の整備を推進してまいります。
次に、「歩車分離式信号機に変更する際の周知」についてであります。
歩車分離式信号機への変更に伴う事前周知については、県警察におきましても重要と認識しております。
導入の時期等を示した立て看板を事前に設置し、利用する方々が安全に通行できるよう配慮をしているところであります。
議員お話しの設置に先立つ音声による案内については、音響式信号機を整備する際と同様に、音声に対する付近住民の御理解を事前に得る必要があることを踏まえますと、音声案内の装置を設置することは困難と考えております。
県警察といたしましては、今後、歩車分離式信号機を整備する際の周知について、福祉団体や市町村を通じてお知らせするほか、整備状況をホームページに掲載するなど、視覚障害の方々に対する情報提供の充実が図られるよう検討してまいります。
(2)一方通行解除をする際、第三者が確認できる方法を
Q 金野桃子 議員(県民)
県内でマンション建設に伴い、建設会社が警察に道路の一方通行解除を申請しました。これに対し地元住民からは、一方通行解除を認めないよう求める数百筆の要望書も提出されましたが、警察は、(1)一定の車両制限、(2)標識の被覆、(3)警備員の配置等を指導し、申請を認めた事例がありました。ただ、標識に被覆されていなかったのか、現場では工事車両の進入をめぐり、近隣住民とトラブルになったそうです。
警察に確認したところ、道路交通法上、一方通行解除については申請書や許可証のような書類はなく、事業者などからの書面資料に基づき現場調査などを行い、その検討結果を事業者などに口頭で回答するそうです。
法律上規定がないため、事業者などに対して書面は出せないというのが警察の見解ですが、一方通行解除は影響が大きく、誤解や摩擦が生じやすいため、警察の検討結果や指導事項が正しく守られているかを確認するためにも、何らかの書面を交付できないか。交付できないとしても、各警察署のホームページ上に周知するなど、第三者が確認できる方法を検討できないか、警察本部長にお伺いいたします。
A 野井祐一 警察本部長
一方通行道路における道路工事やマンション建設工事等により、う回路や大型車両の通行場所が確保できないなど、やむを得ない理由がある場合に限り、事業者等からの要請に基づき、必要最小限の範囲で一時的に一方通行の規制の効力を停止する場合があります。
この場合、警察署から要請者に対して、口頭により一方通行解除の可否の伝達を行い、併せて道路標識の被覆等を行わせているところであります。
議員御指摘の書面の交付についてでありますが、一方通行解除の手続は交通規制の効力を一時的に停止するものであり、個々の要請者の権利義務に関するものではないため、許可証等の交付物はなく、口頭によりその可否を伝達しているところであります。
また、ホームページ上での周知についてですが、一方通行の一時解除は、各種工事の進捗状況に合わせて、一時的に必要最小限の範囲で実施されるものであるため、実態が正しく反映されず、誤認されるおそれがあると考えております。
しかしながら、議員お話しのとおり、住民への影響を踏まえ、今後も一方通行規制の効力停止に当たっては、要請者に対して、住民等に対するチラシ等による事前周知を行わせつつ、個々の現場の状況に応じて、誘導のための警備員を配置してもらうなど、交通の安全と円滑に配慮してまいります。
再Q 金野桃子 議員(県民)
御答弁の中で、書面も難しい、ホームページ上での周知も難しいということでした。ホームページ上の周知について誤解を招かないよう記載を工夫する余地はないのか、警察本部長にお伺いいたします。
また、事前の書面資料の中で、事業者が地域住民に配布するチラシの内容や配布範囲、警備員の設置計画等を必ず確認しているのか。もし必ずしていないのであれば、今後はそれらについても必ず確認をすることはできないか、併せて警察本部長にお伺いいたします。
再A 野井祐一 警察本部長
ホームページにおいて、特定の地域における個別の一方通行規制の一時解除に関する情報を掲載することは、多くの方がご自身と関わりのある情報であると誤認されるおそれがあると考えております。
そのため、地域住民に対するチラシの配布を要請者に行わせるほか、必要に応じて警察署や交番へチラシを備え付けるなど、特定の地域の住民の方々に対して直接情報提供を行うことが効果的であると考えております。
県警察といたしましても、情報が必要な方々への周知は重要であると認識しております。今後も適切に情報提供がなされるよう努めてまいります。
次に、要請者が住民に配布するチラシや警備員の配置図等の資料は、一方通行の一時解除を検討する上で必須の資料ではありません。
他方、対象地区の交通の安全と円滑を確保する上では、要請者によりチラシ等が地域住民に適切に配布されることが、効果的であると承知しております。
加えて、一時的に一方通行を解除する際に、警備員や誘導員配置の必要性が認められる場合、要請者に対して、その旨を指導しているところであります。
県警察といたしましては、引き続き、要請者による情報提供が地域住民に対して適切になされるとともに、十分な安全が確保されるよう指導してまいります。
7 療育手帳の判定について(福祉部長)
Q 金野桃子 議員(県民)
療育手帳は知的障害児・者への一貫した指導、相談を行い、各種の援助措置を受けやすくするために、18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所、つまり県立総合リハビリテーションセンターで判定されます。
県内在住で療育手帳をお持ちのお子さんを育てる保護者の方から御相談を頂きました。療育手帳に記載の再判定の時期を過ぎる1月末に備え、約4か月も前から地元市町村に相談し、障害の特性上、日程調整が難しいため、日程を空けて待機をしていたそうですが、再判定の時期を過ぎた後も何の連絡もなく、最終的に判定まで6か月を要したとのことです。再判定の時期を過ぎてからは、各種運賃の割引なども使えなかったようです。
担当課からは、人員不足などにより判定までに平均5か月程度かかっていると伺いました。人員不足は理解しますが、判定までに6か月を要し、この間、本来受けられるはずの支援が受けられない状況は早急に改善する必要があります。待機時間を短縮できないか、併せて待機中に再判定の時期を過ぎてしまう場合に備えて、判定申請中である旨を証明できる代替証明書のようなものを発行できないか、以上2点を福祉部長にお伺いいたします。
A 岸田正寿 福祉部長
まず、待機時間の短縮についてです。
療育手帳の判定に当たりましては、心理職による知能検査の他、福祉職による日常生活の調査や精神科医師による診察を行い、総合的に判断する必要がございます。
このため、手帳の交付を申請する方に総合リハビリテーションセンターに来所していただきまして、一人に対して2~3時間をかけて面接や調査等を行う必要がございます。
他方、令和6年度の療育手帳の所持者は6万703人と、5年前に比べ約18パーセント増加しております。
また、手帳の交付後も一定の期間後に再判定を受ける必要があり、増え続ける判定依頼に対してセンターの対応が追い付かず、面接を受ける日までお待たせしている状況でございます。
このため、特に時間を要する知能検査について、センター内で応援体制を執るなど、判定にかかる人員を確保することにより、手帳の判定を受けられる人数を従来よりも約25パーセント増やし、待機時間の短縮を図ってまいります。
なお、申請者が地元の市町村に申請してから長い間何も連絡がなかった、というお話もありましたので、センターが市町村を通じた判定依頼を受け付け次第、面接の日程について市町村との調整を開始し、申請者に今後の予定を速やかにお伝えできるよう改善いたしました。
次に、代替証明書の発行についてです。
手帳に記載されている年月は、次の判定の時期を示すもので、手帳の有効期限ではありませんが、鉄道やバスなどの事業者の中には手帳の有効期限を示すものと捉えている場合もあるようです。
このため、公共交通機関を含む関係機関などに対し、手帳に記載されている年月は有効期限ではなく、手帳としては有効であることを周知徹底してまいります。
また、今後、市町村と調整の上、申請を受け付けた際に、必要に応じて、現在判定手続き中であり、手帳としては有効であることを示す案内文をお渡しするなどして、申請者が不利益を受けることのないようにしてまいります。
8 弱視・視覚障がい者のための投票用紙補助具の導入について(選挙管理委員会委員長)
Q 金野桃子 議員(県民)
全国各地で弱視・視覚障がい者の方の投票を保障するため、点字投票や職員による代理投票が行われています。ただ、最近は老化で目が見にくい、点字を使えない、使わない方も増えています。また、守秘義務があっても、第三者に自分の投票先を知られることに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。
そうした中には、自分が記入した文字が投票用紙の正しい場所に書かれているのか不安を抱くことも多いと伺います。実際には枠外に記入したとしても有効とのことですが、昨年、日本点字図書館が1個250円から400円程度の投票用紙補助具を考案しました。日本点字図書館が考案したものは県内で使用している投票用紙が入らないため、別メーカーのものですが県内の投票用紙が入るものがあります。
東京23区では順次導入が進み、埼玉県でも令和6年7月に埼玉視覚障害者の生活と権利を守る会から要望書が提出されています。私が県内を調べたところ、埼玉県では全ての選挙がほぼ同じ大きさの投票用紙を用いていることが分かりました。
今夏には、参議院議員選挙もあります。そこで、県として投票用紙補助具の導入を進められないか、選挙管理委員会委員長にお伺いいたします。
A 長峰宏芳 選挙管理委員会委員長
投票用紙の記入が難しい方には代理投票の制度が用意されていますが、自ら投票用紙に記入したいとの声があり、障害者団体から視覚障害者用の投票用紙補助具の配置について要望をいただいております。
投票所に配置する備品や消耗品は、投票所を設置・運営する市区町村選挙管理委員会の判断で選定されており、視覚障害者用の投票用紙補助具の配置状況を調査したところ43市町村の投票所で未配置となっています。
誰もが投票しやすい投票環境の整備は重要と認識しており、より多くの投票所で投票用紙補助具の配置が望ましいと考えています。
しかし、各市町村選挙管理委員会の意識に濃淡があり、それを実現するためには一定の支援が必要です。
そこで参議院通常選挙に先立ち、投票用紙補助具が未配置の43市町村の期日前投票所分を県選挙管理委員会が購入し、当該市町村選挙管理委員会に配布します。
今後、各市町村選挙管理委員会による効果検証を踏まえ、全投票所に広げられるよう、更なる配置を促してまいります。
9 女性起業支援について(産業労働部長)
(1)実行環境の整備支援を
Q 金野桃子 議員(県民)
県主催の女性向けビジネスプランコンテスト「SAITAMA Smile Women ピッチ」に出場された方々と意見交換をさせていただきました。事業の実現に当たっては、意識や理解の段階から計画策定、実行環境の整備まで課題は多く、特に店舗や事務所の確保、そしてビジネスの継続に大きなハードルがあると感じました。
そこで、以下お伺いいたします。
(1)実行環境の整備支援を。
(1)現在、市町村がスーパー・シティプロジェクトの一環で空き店舗をリノベーションして活用する補助制度がありますが、県として、これに女性起業支援を組み合わせる。
(2)公共施設で実際の企業を体験するチャレンジショップを開催する。
(3)県の事業で講師を務める機会や県の関連イベントでビジネスを実施できる機会を提供するなど、実行環境の整備支援をできないか。
以上、3点を産業労働部長にお伺いいたします。
A 野尻一敏 産業労働部長
まず、1点目のスーパー・シティプロジェクトの空き店舗補助に女性起業家支援を組み合わせることについてでございます。
お話しの補助制度は、事業者が空き店舗を活用して、地域の交流スペースを整備する際に、市町村が改修費用の補助を行う場合に、その2分の1を県が負担するものでございます。
改装した店舗に出店する女性起業家に対しては、例えば県産業振興公社に配置した女性創業支援アドバイザーが伴走支援するなどの取組が考えられますので、今後、市町村と連携して検討してまいります。
2点目の公共施設でのチャレンジショップの開催についてでございます。
県は市町村、商工団体とで構成する「起業支援関係者ネットワーク会議」を設置し、それぞれの支援策について情報共有を行っております。
例えば、戸田市では市の施設で女性起業家のチャレンジショップ出店の機会を提供しているほか、羽生市では女性限定ではないものの、公共施設で出店スペースを提供しています。
こうした情報をネットワークで共有し、出店機会を求める女性起業家に提供してまいります。
3点目の県事業でのビジネス機会の提供につきましては、例えば、創業セミナーなどで先輩起業家としての経験を踏まえた講演などをお願いしている事例がございます。
また、ウェスタ川越など県の施設で開催するイベントでも、出店の機会を提供しておりまして、こうした情報も積極的に提供してまいります。
今後も市町村や関係機関と情報共有することにより、女性起業家がビジネスを円滑に実行できるよう支援してまいります。
(2)継続支援としての表彰・評価制度を
Q 金野桃子 議員(県民)
現在は受賞時点での表彰はありますが、起業後の表彰・評価制度はありません。こうした制度があればブランディングに役立ち、女性の社会進出や地域経済の活性化などにも波及効果が期待できます。実際に収益化し、持続可能な要件を満たした事業者に対し、例えば法人化、設立何年目という節目で表彰・評価制度を新設することはできないか、産業労働部長にお伺いいたします。
A 野尻一敏 産業労働部長
県では、埼玉県からロールモデルとなる女性起業家を生み出すことを目的に、サイタマ・スマイル・ウーマンピッチを毎年度開催しております。
議員から御提案いただいた、受賞者に対する表彰・評価制度の新設については、受賞後の事業活動を後押しする上でも有効な手段であるという風に考えます。
今年度は、ウーマンピッチは10周年という節目を迎えます。これまで60人の方が受賞しておりまして、多くの方が現在も事業を継続しておられます。
そこで、例えば10周年を機に、過去の受賞者の中から、事業を着実に成長してこられた方を表彰するなど、今後の事業活動へのインセンティブや、新たなスタートに向けたきっかけづくりとなるような、そういった取組について検討してまいります。
10 女性の就業支援について(知事)
Q 金野桃子 議員(県民)
埼玉県は30代、40代の女性のM字カーブの底に当たる就業率が全国と比較して低いです。そのため、県は埼玉県5か年計画において当該年代の女性の就業率を全国平均まで引き上げることを目指して施策を進め、今後、全国平均を上回った後は、就業の中身について着目していくとのことです。
しかし、女性の初産平均年齢は31歳であり、正に妊娠、出産、子育ての真っ最中の方も多くいる年代です。私は働きたいという思いと同様に、子育てに専念したいという気持ちも大切にしなければならないと考えます。就業率向上の施策を進めるに当たっては、まずは数字、その後に中身ではなく、最初から中身の議論をするべきです。
県では、例えば5年に一度、男女共同参画に関する意識実態調査が行われていますが、これがどのように施策に反映されてきたのでしょうか。このようなアンケート結果を基に、正規か非正規か、フルタイムかパートタイムか、どのような就労を希望しているのか、就業の妨げになっている課題は何か、保育園の待機児童か、小1の壁か、配偶者の長時間労働か、核家族化か、ダブルケアかなど課題を丁寧にひもとき、部局横断して施策へ反映させる必要があると考えますが、知事にお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
M字カーブの底となる30代女性の就業率を見ると、県の取組の結果、本県では令和元年の72.4パーセントから令和6年の77.7パーセントへと上昇してきていますが、女性の就業支援に当たっては、議員御指摘のとおり、就業率などの数字だけを追い求めるのではなく、女性を取り巻く環境やニーズを丁寧に把握し、課題を施策に反映することが重要と考えます。
令和2年度に実施した県の「男女共同参画に関する意識・実態調査」では、いくつかの課題を再認識いたしました。
例えば、30代女性のうち、子育て期に仕事を辞め、その後再就職する働き方を理想とする方は約5割である一方、希望どおり再就職できた方はその半分で、大きな落差がありました。
そこで、県では令和4年度から女性のデジタル人材育成講座をオンラインで開設し、スキルアップを図っていただいた上で、就業につなげる取組を始めました。
また、30代女性の2割を超える方が結婚・出産後も就業継続を希望していますが、そのために重要なことは「男性の家事育児への参加」「柔軟な勤務制度の導入」との回答が多く、改めて課題が浮き彫りとなりました。
そこで、これまでの「多様な働き方実践企業」の認定に加え、令和6年度から男性の育児休業を推進する企業を表彰する「埼玉PX大賞(パタニティトランスフォーメーション大賞)」を創設し、他の企業の模範となる取組を横展開しています。
女性が仕事と家庭を両立し、活躍するためには、御指摘のとおり様々な課題があるため、庁内関係課で構成する「女性活躍推進会議」により、部局横断で取り組んでいます。
引き続き、関係部局が連携し、女性が当たり前に活躍できる社会を目指して、取組を進めてまいります。
11 DXの推進について
(1)「デジタル県庁」の推進を(知事)
Q 金野桃子 議員(県民)
過去の知事答弁を拝見すると、デジタル県庁、メタバース県庁、VR県庁など幾つかの表現が出てきますが、いまだ決まったものはないようにお見受けします。
今後、県庁全体でDXを進めるに当たり、例えばデジタル県庁を県の共有目標として掲げてはどうか、知事にお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
議員から、今後、県庁全体でDXを進めるに当たり、「デジタル県庁」を県の共有目標として掲げてはどうかという御提案を頂きましたが、本県が最終的に目指すDXは、行政のみならず、県民や事業者も含めた「社会全体のDX」であります。
本県では、「埼玉県デジタルトランスフォーメーション推進計画」において目指す将来像を、「社会全体のデジタルトランスフォーメーションの実現による、快適で豊かな真に暮らしやすい新しい埼玉県への変革」と定め、DXの推進における共有目標としたところであります。
このため、行政サービスの観点では、「デジタル県庁」を用いることがふさわしい場面もあります。また、メタバースやVRはあくまでもツールにすぎません。
しかしこれらのみならず、例えば事業者のDXの観点では、別の表現が適している場面もあり、「社会全体のDX」の推進が適当と考えております。
当面は、引き続き現在の計画で定めているフレーズを共有目標とし、DXの推進を図ってまいりたいと思います。
(2)市町村との連携を(企画財政部長)
Q 金野桃子 議員(県民)
千葉県は、令和6年12月に千葉DXポータルを開設し、県全体のDX関連施策や県内全ての市町村のオンライン申請の窓口、LINEなどを活用した各種相談窓口、DX推進に関するイベント、研修情報などを一元的に集約、発信しています。
一方、県の電子申請届出サービスは利用できない市町村も複数あり、使いにくさを指摘する声もあります。県でも県と市町村とで連携したDXポータルサイトを作ることはできないか、企画財政部長にお伺いいたします。
A 都丸久 企画財政部長
ポータルサイトを構築し、県民の皆様にDXの推進の取組などを分かりやすく発信していくことは、DXに対する理解や利用の促進を図る上で大変重要であると考えております。
そこで現在、県ホームページにおいて、県のDXの取組状況を集約して分かりやすくお知らせする新たなページについて、年内の公開に向けて準備を進めております。
これまで県では、市町村と連携した取組として、引っ越しに関する手続需要が多くなる2月から3月にかけて、県内市町村のオンライン申請窓口等を一元的にホームページで紹介する取組なども行ってまいりました。
今後、新たに作成するページについては、議員からお話のあった他県の事例も参考にしながら、市町村のオンライン申請窓口等の情報も集約するなど、より県民に分かりやすいホームページとなるよう利用者目線で検討を進めてまいります。
12 市町村への権限移譲について
(1)移譲が進まない事務についてDXの活用を(知事)
Q 金野桃子 議員(県民)
県では埼玉県権限移譲方針に基づき、県から市町村への権限移譲を進めています。ホームページ上では随時移譲状況が公開されていますが、例えば米穀等の取引等に係る情報の記録等はなかなか移譲が進まない事務もあります。
県としては、権限移譲特別推進交付金などの財政支援やマニュアル配布など丁寧に対応されていると伺いましたが、以下お伺いいたします。
(1)移譲が進まない事務についてDXの活用を
移譲状況をいま一度洗い出し、取組が進まないものについては、例えばDXを使って市町村と連携のモデル事業とするなどの取組ができないか、知事にお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
議員御指摘のとおり、県がDXを推進することで、市町村に権限移譲される事務量の削減や業務の効率化が図られるのではないかと考えます。
例えば、政令市、中核市には、「埼玉県受動喫煙防止条例に関する届出受理」の事務が移譲されており、喫煙可能室を設置しようとする飲食店は、条例に基づき届出を行う必要があります。
この届出受理に関わる事務は、埼玉県市町村電子申請・届出サービスを利用することで、事業者からの届出が電子化され、市職員の業務の効率化が図られています。
他方、現在、県では移譲事務を含めた県庁内の業務に対し、DXの取組の一環として、業務プロセスの見直し、いわゆるTX、タスク・トランスフォーメーションにより業務効率化を進めているところです。
移譲事務の許認可や届出受理などには、TXの取組により効率化できる業務も多く含まれており、一層の事務量の軽減が期待されます。
今後は、埼玉県市町村電子申請・届出サービスの活用のほか、内部事務の自動化・省力化など、庁内において移譲事務のDXを更に推進し、受け手となる市町村の負担軽減を図る横展開と共に、共通のシステムの構築等を推進し、更なる権限移譲につなげてまいります。
(2)市から県への権限の返還は(企画財政部長)
Q 金野桃子 議員(県民)
現時点では一度県から市町村へ移譲した事務について返還になった例はないと聞いていますが、返還したいという事業への対応はどうするのか、企画財政部長にお伺いいたします。
A 都丸久 企画財政部長
県では、市町村の意向を踏まえ権限移譲を実施しておりますが、制度上、移譲した事務を県に返還することは可能です。ただし、これまで市町村から返還の申し出はございません。
権限移譲までには、県の担当課による事前調整や説明会などといった市町村との丁寧な調整を行ったうえ、市町村長からの移譲に係る意向表明に対し、地方自治法に基づく法定協議による市町村長との合意を経て、条例改正を県議会で御議決をいただいております。
市町村が権限移譲を受ける際は、例えば行政の効率化や住民の利便性向上などの観点から判断いただいており、移譲事務を県に返還するとなった場合、県民サービスにも影響を与えることが懸念されます。
今後も、権限移譲した事務がスムーズに実施されるよう、市町村の意見を丁寧に伺いながら、市町村の負担感の解消や課題の解決に向けた支援を行ってまいります。
13 合併浄化槽について(環境部長)
(1)受検率向上に向けて更なる対策を
Q 金野桃子 議員(県民)
県内には令和5年度現在、浄化槽法第11条検査の対象となる浄化槽は、単独浄化槽が約22万2,000件、合併浄化槽が約23万9,000件あり、合計約46万1,000件あります。そのうち、第11条検査の実施率は、単独浄化槽が8.4パーセント、合併浄化槽が38.6パーセントであり、合併浄化槽の受検率は自治体により大きな差があります。公益財団法人日本環境整備教育センターの調査によれば、埼玉県の受検率は、平成22年・27年は全国43位、令和2年は全国41位と、長年ワースト5位程度に位置しています。
川の流れは家庭から流れる汚水に大きく左右するため、川の国埼玉を実現するためにも、浄化槽の維持管理は大変重要です。これまでも市町村への権限移譲に合わせて種々対策を進めてこられたと思いますが、更なる受検率向上に向けて、以下お伺いいたします。
(1)受検率向上に向けて更なる対策を。
①デジタル浄化槽台帳の利活用。
②コールセンターの設置による電話による受検勧奨。
③知事・首長名での個別通知や往復はがきなどでの受検促進の拡大など、全国の先進自治体が行っている例を全て実施するという意気込みで取り組む必要があると考えます。
先進自治体が行っている取組を洗い出し県でも実施できないか、環境部長にお伺いいたします。
A 堀口幸生 環境部長
浄化槽の機能を十分に発揮させるには、適切な維持管理が欠かせませんので、本県では法定検査の受検率向上に取り組んでおりますけれども、令和5年度の受検率は24パーセントと、全国平均の約半分にとどまっております。
このため、他の自治体で成果をあげている取組を参考にして、知事と市町村長の連名で、受検を呼び掛ける通知を出すようにしたところ、これまでの通知の効果が8倍に高まりました。
この知事と首長の連名による通知は、昨年度は県内7市町と連携して発送しましたが、今後この取組をさらに広げてまいります。
一方、他県では効果のあった戸別訪問ですが、本県では日中留守のお宅が多く、期待したほどの成果が出なかったこともございます。しかし、やってみることで初めて得られる気づきもありますので、失敗を恐れずまずはやってみる姿勢で臨みたいと考えております。
御提案のありました浄化槽台帳のデジタル化やコールセンターの活用にも着手しておりますが、さらに先進自治体の取組を洗い出し、トライアンドエラーの精神で受検率の向上に取り組んでまいります。
(2)関係団体等との連携を
Q 金野桃子 議員(県民)
埼玉県浄化槽協会や埼玉県浄化槽適正処理促進協議会などの関係団体、市やNPOなどとも合同して定期的な懇談会を行うなど関係者間の情報共有に努め、県民も交えて取り組む必要があると考えますが、環境部長にお伺いいたします。
A 堀口幸生 環境部長
これまで本県では、関係者との情報共有や協議を行う場として、法定協議会である埼玉県浄化槽適正処理促進協議会を活用して、市町村や業界団体と定期的な意見交換を行ってまいりました。
これに加えて、さらに浄化槽関係の企業やNPOも含めた定期的な懇談会の御提案をいただきました。
様々な立場で浄化槽に関わっておられる方々が情報共有や意見交換のできる場をつくって、1人1人の意識や行動に直接働きかけていくことは、受検率の向上に寄与するものと考えております。
一方で、浄化槽団体に加盟する企業だけでも400以上ありますので、所在地や事業内容も多岐にわたる方々が円滑に懇談できるようにするにはどうしたらよいか、市町村や団体の意見もお伺いしながら検討してまいります。
14 地元問題について
(1)笹目川排水機場及び(仮称)戸田公園樋門の今後の整備と運用について(県土整備部長)
Q 金野桃子 議員(県民)
令和元年東日本台風での被害を受け、私は過去複数回、議会で(仮称)戸田公園樋門の整備、笹目川排水機場の増強など笹目川の治水対策を訴えてまいりました。今回、笹目川排水機場の増強について、令和7年度当初予算として大規模特定河川事業として2,000万円の予算がついたと伺いました。
関係者の皆様へ感謝を申し上げるとともに、期待を込めて今後の見込みについて、県土整備部長にお伺いいたします。
また、(仮称)戸田公園樋門の運用について地元市と密に協議をした上で、丁寧に地元住民への周知をする必要があると考えますが、併せて県土整備部長にお伺いいたします。
A 吉澤隆 県土整備部長
笹目川では、令和元年東日本台風による大規模な浸水被害を受けたことから、笹目川排水機場のポンプの増強及び(仮称)戸田公園樋門の設置を新たに河川整備計画に位置付け、治水対策の強化に取り組んでおります。
笹目川排水機場のポンプ増強につきましては、これまでに必要となる設備の規模や配置等を検討する基本設計が完了し、令和7年度は詳細設計を進めてまいります。
また、(仮称)戸田公園樋門につきましては、令和6年度から基礎工事を進めており、令和7年度は基礎工事を完了させたのち、本体工事に着手します。
樋門の運用につきましては、戸田市と協議したうえで、丁寧に地元の皆様へ周知してまいります。
引き続き、流域の皆様が安全・安心に暮らせるよう、事業を推進してまいります。
(2)荒川水循環センター内遊歩道の整備を(下水道事業管理者)
Q 金野桃子 議員(県民)
地元戸田市では桜川整備計画が進行しており、右岸には県が管理する荒川水循環センターがあります。地元市議会では、ここに遊歩道を整備してほしいという声が上がっています。
平成20年度頃の県と市との協議によれば、下水道処理施設からの臭気や景観対策のため設置した環境緑地帯の樹木がなくなることへの懸念が大きいことから、遊歩道の整備は進展しなかった経緯があると伺っております。しかし、その後、荒川水循環センターの上に言わばふたをする形で上部公園ができ、協議当時とは状況が変わっています。
今後、地元からの声が上がった際、県としてはどのように対応するのか、下水道事業管理者にお伺いいたします。
A 北田健夫 下水道事業管理者
荒川水循環センター内に遊歩道を整備してほしいという声については、戸田市から報告を受けており、県でも認識しております。
一方で、遊歩道の整備に当たっては、地元からの要望に基づいて設けられた環境緑地帯の一部を伐採する必要があることから、合意形成が必要であると考えております。
その上で、今後、地元からの要望を受け戸田市からの相談がありましたら、施設管理者としての立場において、下水道施設の機能に支障がないかの確認や整備後の管理方法について、丁寧に協議を進めてまいります。
(3)県営戸田公園内第一艇庫及び空き地の利活用を(都市整備部長)
Q 金野桃子 議員(県民)
県営戸田公園は東京オリンピックのボート競技の開催地として整備され、ボートの聖地として親しまれています。私もボートをこよなく愛する一人として更なる利活用を期待し、以下2点お伺いいたします。
まず、①第一艇庫について。
私は、令和4年9月定例会で改修を訴え、シャワー室などを改修していただきました。しかし、既存浴室の改修に合わせて、宿泊者以外への利用の拡充や増設についても検討するとの御答弁でしたが、現在も利用は宿泊者に限定されています。
宿泊者以外への利用の拡充はできないか、都市整備部長にお伺いいたします。
次に、②漕艇場北側の隣接地に空き地があります。この土地は競技を間近に見られる絶好の場所であり、ここを利活用しないのは非常にもったいないです。以前は景観モデル地区推進プランの中でウッドデッキやエントランス整備も示された県営戸田公園が持つ可能性は非常に大きいと考えます。
戸田市とも連携しながらその可能性を広げていただきたいとの期待を込めて、空き地の利活用について、併せて都市整備部長にお伺いいたします。
A 伊田恒弘 都市整備部長
県営戸田公園内の第一艇庫は漕艇場に隣接し、1階にはボートの艇庫、2階には漕艇場を利用する選手等が合宿可能な施設となっており、和室、浴室、シャワー、食堂等がございます。
県では令和7年3月に、シャワー室等の設備改修を実施し、現在、合宿所として利用されております。
宿泊者以外への利活用についてでございますが、令和6年度から福祉団体が、こどもの居場所づくり活動事業として厨房や食堂等を利用しております。
合宿所として利用していない期間の利活用について、さらに拡充できないか、ニーズを捉えるため、地元戸田市や公園利用者にアンケートを取るなど聞いてまいります。
次に、空き地の利活用についてでございます。
県営戸田公園内にある議員御指摘の空き地は、漕艇場と住宅街の間にあり、漕艇場に沿って長さ約70メートル、幅は舗装面で約4メートル、草地で約4メートル、合計約8メートルの、園路及び園地となっております。
この場所は、散歩や子供たちの遊び場等として利用されているほか、漕艇場の護岸の点検、維持管理で利用しており、また園地は、住宅街との緩衝帯としての役割も併せ持っております。
このため、園路や園地に新たに施設を設置することは、隣接する住宅の環境への影響が懸念されます。
このようなことも踏まえまして、さらにどのような利活用が可能かどうか、地元戸田市や指定管理者と協議してまいります。