保育所、幼稚園等送迎バスでの置き去り防止対策について

Q 金野桃子 議員(県民)

今年9月、静岡県において3歳の女の子が認定こども園の送迎バスに置き去りにされ、熱中症で亡くなるという大変痛ましい事故が起きました。同様の事故は昨年7月に福岡県でも起きており、度重なる悲痛な事故に、多くの方が涙したことと思います。
昨年7月の事故後、国は安全対策を徹底するよう通知を出し、各自治体で安全点検等が行われました。それにもかかわらず、今年同様の事故が起きました。もはや通知だけでは限界があります。
報道によれば、政府は、警報ブザーなど安全装置の設置を義務化する方向で調整に入ったとのことですが、物理的に置き去りを防止する対策を早急に進めなければなりません。アメリカやカナダ、韓国などスクールバスも多い諸外国では、運転手がエンジンを止めるとアラームが鳴り、後部座席に行かないと消すことができない仕組みなどが導入されているそうです。韓国では、2018年に起きた置き去り事故後、すぐに法律を改正し、安全対策を義務化し、違反者には罰金も科しているとのことです。
日本においても、まずは国において置き去り防止対策の義務化を進めるとともに、あらゆる角度から対策を取るべきだと考えます。保育所、幼稚園、認定こども園、特別支援学校だけではなく、障害児通所施設も対象とし、例えば、人員配置の増員補助及び安全装置やセンサーの設置補助などの対策が必要だと考えます。
また、今すぐでき、かつ費用のかからない対策として、例えば、バスに乗る際に園児の靴を脱がせ、降ろすときに履かせる運用にする方法です。そうすれば、靴が残っていれば、職員は園児が降りていないことに気付くことができます。また、置き去りになってしまったときにクラクションを鳴らして周囲に知らせる方法もあります。日頃から置き去りになった場合に備えて、おしりや水筒などを使ってクラクションを鳴らす訓練も必要だと考えます。ありとあらゆる知恵を絞り、二度とこのような悲しい事故を起こさないための対策について、知事のお考えをお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

今回の認定こども園での事故は、大変痛ましいものであり、胸が締め付けられる思いであります。お亡くなりになりましたお子様の御冥福を心からお祈りを申し上げたいと思います。
事故を受け、国の通知に先立ち、幼稚園、保育園、認定こども園に対し、安全管理の徹底について周知及び再確認をお願いいたしました。さらに、現在、国の通知に基づき、バス送迎に関する総点検を関係施設にお願いしているところであります。
施設到着後の降車時における園児の確認や、バス施錠前の車内確認、 園児の欠席連絡の有無と実際の登園状況との突合は、園児の安全管理上、本来、必ず行われるべきものであります。
ただ、あってはならないことですが、ヒューマンエラーが生じる可能性はゼロではありません。今回の事故は、こうした必ず行われるべき安全管理上の確認がなされなかったために、発生したものであると考えています。
そこで、例えば、エンジン停止後に車内後部のスイッチを押さないと止まらないブザーなど、日々の点検確認を確実に促す仕組みや、人の動きを感知する車内センサーがアラートを発する仕組みといった、ヒューマンエラーを防ぐ安全装置やデジタル技術なども併せて活用し、重層的に園児の安全確保を図っていくべきものと私は考えます。
議員からは、バス乗降時に靴を着脱することで乗降確認に替える方法や園児がバスのクラクションを鳴らす訓練など具体的な御提案をいただきました。議員の御提案も踏まえた効果的事例の情報提供・横展開について検討いたします。
幼稚園、保育所、認定こども園、特別支援学校、障害児通所施設などバスを利用する全ての施設において痛ましい事故が二度と発生することがないよう、国の動向も注視しつつ、安全装置やデジタル技術の普及支援など、可能な限りの対策を講じ、園児の命を守ってまいります。

再Q 金野桃子 議員(県民)

保育所、幼稚園等送迎バスでの置き去り防止対策について、提案の中で人員配置の増員補助も訴えていますが、これについて知事はどのようにお考えか、再質問をさせていただきます。

再A 大野元裕 知事

最初の冒頭の御質問にございましたとおり、今回の事件を繰り返さないことが大変大切でございますが、そのためにはまずできる措置と、それから財政措置等が必要な措置の2つがあると理解をしているところでございます。
そのような中、現在、国におきましては、保育所、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部におけるバス送迎に当たっての安全管理の徹底に関する関係府省会議というものが行われており、その中に、保育所、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部の組織体制という項目が含まれて検討されているところでございます。
人員措置を講じるにあたっては、財政等の裏打ちが必要になってまいりますが、この会議の取りまとめが今月中にも行われる見込みとも聞いていますところ、国の動向も見据えつつ、県としてもしっかりと対応ができるように検討をさせていただき、財政や体制、それから様々なそれに関わる措置について根拠を持った形で進めさせていただきたいと考えております。

新型コロナウイルスワクチンの副反応について

副反応の実態把握と公表、周知、対策を

Q 金野桃子 議員(県民)

県民の方から、高校生のお子さんが新型コロナウイルスワクチンを接種した後、長期にわたる体調不良が続き、当初かかりつけ医療機関では、ワクチンの副反応かどうか慎重な判断だったものの、かかりつけ医に依頼をして専門医療機関を受診したところ、副反応の可能性があるとして治療を開始するものの、今でもつらい副反応で高校に行けず、また、高額な医療費を負担するという大変な毎日を送っていると伺いました。
コロナワクチンについては、一定程度の効果が証明され、国や自治体は接種を推奨しており、私も熟慮の上、3回接種しています。ただ、ワクチンは、コロナワクチンに限らず一定程度の副反応が生じる可能性は否定できず、接種の推奨と同時に、副反応が生じた場合の体制を整えることが大切だと考えます。
副反応については、予防接種法に基づき、副反応疑い報告制度の仕組みが設けられ、国は、接種後に生じる副反応を疑う症状を収集するとともに、厚生科学審議会の意見を聞いて必要な措置を講ずることとなっています。
しかし、これだけ大規模に接種を勧めている現状を鑑みれば、県としても副反応の実態把握に努め、その件数を公表するとともに、副反応が生じる可能性を周知し、市町村に接種券の記載を工夫するよう求めるなど対策を取ることはできないか、保健医療部長にお伺いいたします。

A 山崎達也 保健医療部長

ワクチン接種後の副反応を疑う症例については、国が国の責任において医療機関に報告を求め、複数の専門家が諸外国も含めた症例の集積、その他の科学的知見等に基づき、ワクチン接種との因果関係を評価・分析し広く結果を公表しています。
こうしたことから、国が公表する情報が最も正確であり、県で因果関係が不明のままの情報を公表することは適切でないと考えています。
また、市町村が接種券を発送する際、副反応が生じる可能性についての情報をお届けすることも有意義です。
県としては、国が提供する最新の情報をホームページ等により積極的に発信するとともに、リーフレット等を活用し市町村が接種券を発送する際に副反応に関する情報を周知していただけるよう、市町村に働き掛けてまいります。

県独自の副反応救済措置を

Q 金野桃子 議員(県民)

愛知県では、令和4年4月より、一定の条件でコロナワクチンの副反応について県独自の救済措置を設けています。調査によれば、本来国が行うべきワクチンの副反応の救済について、国の対応が遅いため、市町村から申請が上がった段階で県として救済措置を行うこととし、7月末の実績として、これまで144件、およそ500万円を一般会計から拠出したとのことです。埼玉県においても同様に救済措置を設けることができないか、保健医療部長にお伺いいたします。

A 山崎達也 保健医療部長

予防接種により健康被害を受けた方には国家補償的観点から全国統一の法的救済措置として、予防接種法に基づく健康被害救済制度が設けられています。
愛知県と同様の救済制度を導入した場合、国がワクチン接種との因果関係なしと判断した場合まで救済され、本来の趣旨にそぐわないこと、インフルエンザワクチンなどの他の予防接種との均衡を欠くことなど課題がございます。
そのため、独自の救済制度を設けることは考えておりませんが、24時間対応の専門電話相談窓口や専門的な治療が必要な方のための専門医療機関の指定など、副反応でお困りの方を支える体制を整備してまいります。

教育改革について

「社会に開かれた教育課程」を実現していくビジョンを

Q 金野桃子 議員(県民)

令和2年からの新学習指導要領では、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る」という理念を学校と社会が共有し、社会と連携・協働しながら、未来のつくり手となるために必要な資質、能力を育む、「社会に開かれた教育課程」の実現を目指しています。子供たちが羽ばたいていく社会を学校も知ることは大切です。社会が変化する動きが教室の中に入っているでしょうか。
国、文部科学省と市町村教育委員会が直接つながり、最先端の教育を進めていく中で、県教育委員会の存在意義はどこにあるのか。市町村教育委員会を支援するだけではなく、「社会に開かれた教育課程」を実現していくための県教育委員会としてのビジョンを教育長にお伺いいたします。

A 高田直芳 教育長

議員お話しのとおり、令和2年度から小中学校で順次実施されている新しい学習指導要領では、「社会に開かれた教育課程」の実現を目指すことがポイントの一つとして示されています。
その実現のためには、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る」という理念を共有するだけではなく、必要となる学習の内容や児童生徒に身に付けさせたい資質・能力を学校と社会が共有し、連携・協働することが重要であると考えます。
そのため、県教育委員会では、地域と連携・協働した教育の推進を施策の柱に掲げ、地域学校協働活動の推進や「学校応援団」の充実、コミュニティ・スクールの設置推進など、学校と社会が連携する取組の充実に努めています。
市町村教育委員会とも連携し、学校応援団が多彩な活動を展開し、コミュニティ・スクールの設置も進むなど、学校と地域が協働する体制が充実してきております。
一例として、地域にお住まいの企業を退職された方や研究者の方から、小学校のプログラミング教育に関するアドバイスを得て、授業改善が進んだ事例など、子供たちの学びの質が高まっていることなども報告されています。
今後とも、学校と地域の住民、企業や団体等との連携・協働を発展させることにより、全ての小中学校において社会に開かれた教育課程が実現できるよう取り組んでまいります。

特別免許状の活用を

Q 金野桃子 議員(県民)

教職については、高度な専門性から免許状主義がとられており、大学での養成が原則です。しかし、優れた知識、経験等を有する社会人などを教員として採用し、学校教育の多様化、活性化を図るために、特別免許状制度があります。これは、都道府県教育委員会が行う教育職員検定により授与し、当該都道府県でのみ教鞭をとることができる制度であり、中央教育審議会もこの活用を進めています。
しかし、調査したところ、埼玉県教育委員会は、この特別免許状の授与を開始した平成15年以降、県教育委員会の採用に係る公立小中学校の授与実績は1件もありません。文科省は、このように公立学校における授与が進んでいないことや科目の偏りがあることなどから、令和3年5月に改めて特別免許状の積極的活用を求める通知を出し、令和4年4月に再度、教師不足のへの対応のため、特別免許状、臨時免許状の活用などを依頼する旨の緊急通知を出しています。ほかの都道府県教育委員会では、ホームページ上で特別免許状を案内し、特別免許状の授与に係る教育職員検定などの指針、要項等も公表するなど取組をし、授与実績もあります。
埼玉県では、令和4年7月1日現在、埼玉県教育委員会の任命に係る教員が未配置、未補充となっている件数は、小学校91人、中学校27人、高校3人、特別支援学校33人で、合計154人とのことです。この未配置、未補充の問題は、教員不足の問題の表層に過ぎず、「社会に開かれた教育課程」を目指す意味でも、多様な専門性を有する教員組織の構築が必要だと考えています。
教員の採用は市町村教育委員会ではできず、県教育委員会ができる重要な役割であり、潜在的教員、つまり教員免許を持っているけれども働いていない人材の掘り起こしと同時に、文科省の通知や市町村教育委員会の声を聞き、特別免許状の活用を積極的に進めるべきだと考えます。
具体的には、市町村教育委員会及び学校などと十分に連携をして特別免許状の積極的な授与を行うこと、教育委員会ホームページで案内し、指針や要項等を公表すること、また、新卒者とは別の、例えば、民間企業などでの勤務経験を適切に評価し、特別免許状を活用した社会人特別選考の実施を促進すべきと考えますが、教育長にお伺いいたします。

A 高田直芳 教育長

議員お話しのとおり、特別免許状を活用することで、優れた知識や経験を有する社会人を教員として迎え入れることが可能となり、学校教育の多様化や活性化が期待できます。
そのため、県では、県立学校の教員として、これまでも看護師資格を有する者を対象とした社会人特別選考試験を実施してまいりましたが、令和2年度からは、民間企業などにおいて高い英語力を活用した実務経験を有する者を対象とした試験を新たに始めました。
採用された教員は県立高校で熱心に職務に励んでおり、民間で培った実践力や経験を、授業はもとより進路指導などの場面でも生かしていると聞いており、今後もこうした特別選考を進めてまいります。
一方、特に小学校では、その特性上、教員には、すべての教科を1人で指導することや児童の発達段階に応じたきめ細かな指導を行う必要などもあり、特別免許状の授与に当たっては、そうした観点にも配慮して慎重に検討することが必要です。
こうした観点を含め、市町村教育委員会や学校等の意向や要望等を踏まえた上で、十分に連携を図りながら、特別免許状の授与が進むよう検討してまいります。
また、指針や要綱等のホームページによる公開は速やかに実施し、この制度を広く周知することにより、特別免許状の積極的な活用を図るよう努めてまいります。

再Q 金野桃子 議員(県民)

市町村教育委員会と十分に連携していく旨の御答弁がございました。今後、市町村教育委員会に対して県教育委員会が特別免許状制度を積極的に活用する姿勢を明示し、その活用の意向があるか改めて確認することはできないか、教育長にお伺いいたします。

再A 高田直芳 教育長

特別免許状を積極的に活用するという姿勢を明確に打ち出して、市町村からの意向を確認しながら、しっかり検討せよという御質問だったと受け止めております。
社会人の民間で培った豊かな経験を教育に生かしていただくことは、冒頭の答弁で申し上げましたとおり、社会に開かれた教育課程を実現するという意味でも非常に有効な手立ての一つだと考えております。
また、子供たちにとりまして、社会で活躍された方から直接教えを乞うということは、自分たちの学びが社会につながっているということを実感する上でも、大きな役割を果たすものと考えております。
議員のお話にありましたとおり、これから小中学校も含めて、特別免許状をいかに活用できるかということをしっかり検討させていただいて、市町村の意向も十分踏まえた上で、活用に向けて取り組んでまいります。

高次脳機能障害について

地域保健医療計画の「多様な精神疾患等」の一覧表に位置付け、実態把握と支援を

Q 金野桃子 議員(県民)

高次脳機能障害とは、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、失語、失行、失認のほか、記憶障害、注意障害、社会的行動障害などを起こす障害です。国は第七次医療計画において、改正精神保健福祉法に基づく良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針において、高次脳機能障害を、自殺や依存症、てんかんなどと並び「多様な精神疾患等」の一つとして位置付けています。
しかし、これを受けた埼玉県の地域保健医療計画では、高次脳機能障害は、精神科のみではなく、他の診療科にもまたがるとの理由から「多様な精神疾患等」の一覧表から高次脳機能障害を除外し、福祉部所管の埼玉県総合リハビリテーションセンターでの対応としています。
私は、県内の当事者の実態把握に大きくかい離があること、県内の当事者、支援団体からの長年の強い要望があること、他の都道府県の多数が高次脳機能障害を地域保健医療計画に位置付けている現状を加味し、埼玉県においても、国の指針どおり高次脳機能障害を「多様な精神疾患等」の一覧表に含めるべきであり、その上で福祉部と連携をして実態把握をし、支援ができる体制を整えるべきだと考えますが、保健医療部長にお伺いいたします。
他方、県では、地域保健医療計画に位置付けずに、福祉部が独自に作成した高次脳機能障害に対応できる医療機関一覧がありますが、この一覧には、地域保健医療計画では示されている拠点医療機関が示されていません。高次脳機能障害についても圏域ごとに拠点医療機関を整備し、連絡調整会議を実施するなど体制整備をするべきだと考えますが、福祉部長にお伺いいたします。

A 山崎達也 保健医療部長

「多様な精神疾患等」とは、精神科で診療が行われる統合失調症や躁うつ病、依存症などに加えて、脳神経外科や小児科など様々な診療領域で診療が行われる高次 脳機能障害、てんかん、発達障害などを広く含むものです。
議員御指摘の一覧表は、地域保健医療計画の資料編において、精神疾患ごとに、診療できる精神科医療機関名を掲載したものでございます。
一方、高次 脳機能障害やてんかんなどについては、精神科の医療だけで対応できず、障害者総合支援法などに基づき、様々な診療領域や障害福祉・介護サービスと連携した専用のネットワークでの支援が必要です。
こうした支援に円滑に繋げるため、この一覧表では当該ネットワークに係る総合相談窓口となる機関を表外に記載するなど、表記の仕方を変えております。
具体的には、高次脳機能障害については、県総合リハビリテーションセンターに設置されている「高次脳機能障害者支援センター」を一覧表の表外に記載し、「高次脳機能障害に対応できる医療機関一覧」にアクセスできるようにしております。
議員お話しの、支援ができる体制につきましては、福祉部所管の当該支援センターが、医療・福祉の関係機関と連携を取りながら社会復帰までの連続した支援を行っていると承知しております。
なお、実態把握につきましては、福祉部に確認したところ、国の生活のしづらさなどに関する調査から約1万9千人と推計しているとのことでございます。
保健医療部では、引き続き、県保健所が、強い精神症状がある場合や本人が治療を拒否しているケースなど、市町村だけでは対応が困難な事例に対応してまいります。

A 金子直史 福祉部長

「高次脳機能障害についても、圏域ごとに拠点医療機関を整備すべき」についてお答えを申しあげます。
拠点医療機関は、地域で適切な医療を提供するため、関係機関との連携や症状悪化時等の個別相談、研修の企画提供などを行う病院です。
県内には、高次脳機能障害に関する拠点医療機関はないものの、県総合リハビリテーションセンターが高次脳機能障害支援センターとして、各種相談に対応するとともに、市町村や地域の相談支援事業所等への技術的支援などを行っております。
さらに、県西部と県東部の2カ所の医療機関が相談対応を行っており、地域の支援機能を担っています。
議員お話の圏域ごとの整備については、県としては現在の支援センターを核として、まずは身近な地域で対応できるよう、地域の医療機関の数を増やしていくことが必要と考えています。
今後、地域の医療機関向けの専門研修を一層充実させることで、診療項目の拡大や、より高度な医療を提供できる機関の拡充を図り、県の高次脳機能障害に関する支援体制を整備してまいります。

再Q 金野桃子 議員(県民)

御答弁の中で、地域で対応できる医療機関を増やしていく旨の御答弁がありました。現在では、県内で85の医療機関が対応できると聞いております。医療機関を増やしていくに当たり、例えば、地域保健医療計画であれば、圏域ごとに協議会が立ち上げられ、連絡調整会議などを行い、圏域別の取組などもされているところです。今後増やしていくに当たり、圏域ごとの協議会や連絡調整会議などを行うことも含めて、どのような体制を想定して数を増やしていくのかについて、福祉部長にお伺いします。

再A 金子直史 福祉部長

県では、身近な地域で高次脳機能障害者に対応することができることが重要であり、まずは地域の医療機関の数を増やしていくことが必要と考えております。
拠点医療機関の整備に関しましては、高次脳機能障害が診療できる医療機関の拡充を図り、地域での体制が整った上で、必要に応じ検討してまいりたいと考えております。
この場合、医療機関の拡充にあたっては、議員お話の会議体や圏域ごとの取組みなども検討してまいります。

小児の高次脳機能障害の支援拠点を

Q 金野桃子 議員(県民)

県は、高次脳機能障害は県リハで対応することとしていますが、県リハには小児科がありません。確かに、県が作成した高次脳機能障害に対応できる医療機関一覧には、個々の医療機関の対応可能な年齢の記載がありますが、私は、個々の医療機関だけではなく、これらを総合的に支援する拠点を設置するべきだと考えています。
小児の高次脳機能障害とは、例えば、突然の交通事故などに遭い、記憶、行動障害などがある場合ですが、私のもとには、県内の小児の高次脳機能障害の保護者の皆様から、県リハに相談をしたら小児は対象外と断られ、発達障害総合支援センターに相談したら高次脳機能障害は対象外と断られ、小児の高次脳機能障害に対応できる千葉県の県リハ、神奈川県の県リハに頼らざるを得ず、家族でマンスリーマンションなどを借りて治療に当たっているという切実な声が数多く届いています。
回復期リハビリ病棟と復学後の教育機関との連携、兄弟児支援、成人支援へのスムーズな移行をできるような支援拠点を県内に早急に整備すべきと考えますが、福祉部長にお伺いいたします。

A 金子直史 福祉部長

交通事故などにより脳に損傷を受け、記憶力や注意力が低下するなどの高次脳機能障害を抱えた子供たちに対しては、その特性に応じて早期に支援していくことが求められます。
現在、県の支援センターでは、本人やその家族からの相談に応じ、療育を必要とする場合には専門の支援機関につないでいるところです。
しかしながら、現状は障害児を診療できる医療機関や障害特性に応じて認知機能やコミュニケーション能力を高める訓練を行う療育施設などが十分にあるとはいえない状況です。
また、障害児への支援ニーズは発達段階に応じて多種多様であり、身近な地域において医療、福祉、教育等の関係機関が連携して取り組む体制も求められております。
県といたしましては、今後、医療機関や療育施設を対象とした研修等により、対応できる支援機関を拡充するとともに、その支援機関のネットワークを構築することで、各地域で高次脳機能障害児への支援が実施できるよう体制を整備してまいります。

再Q 金野桃子 議員(県民)

御答弁の中では、専用の医療機関につなげ、療育をしていく、その旨の連携していくこと、又は研修体制を充実して拡充していく旨の御答弁がございました。確かに、現在でも高次脳機能障害に対応できる医療機関の中に小児対応の医療機関はあります。私が確認している中で、全85医療機関のうち、幼児医療を診られるのが3か所、小学生以上が8か所、中学生以上が7か所、高校生以上が12か所です。
しかし、この中には、まちのクリニックも含みます。小児の高次脳機能障害は、回復時のリハビリ病棟、復学後の教育機関との連携、成人支援への移行など、総合的な支援が必要だからこそ、千葉県や神奈川県では、県リハがその支援拠点として診療に当たっているものと考えます。今後、県が医療機関を増やすに当たり、このような支援拠点をなくして個々の医療機関が対応可能と考えているのか、どのように当事者の声を聞き、提供体制、必要な支援を行っていくのかについて、福祉部長にお伺いいたします。

再A 金子直史 福祉部長

高次脳機能障害児への支援ニーズは発達段階に応じて多様であり、身近な地域において医療、福祉、教育等の関係機関が連携して取り組む体制が求められております。
県としては、高次脳機能障害児が身近な地域で適切な支援が受けられるようにすることが必要と考えております。
そのため、地域の医療機関や療育機関の拡充や連携強化を進めることにより、各地域での高次脳機能障害児への支援拠点としての機能を整備してまいります。
支援機関の拠点については、県総合リハビリテーションセンターがまずは担い、これに障害者福祉推進課も携わって、関係機関の話も聞きながら進めてまいりたいと存じます。

再々Q 金野桃子 議員(県民)

ただ今の福祉部長の御答弁の中で、県リハが地域と連携してといった御趣旨の答弁がございました。冒頭申し上げましたように、現在、県リハには小児科がありません。その上で、県リハの中に小児科を担当できるような形をして連携していくのか、この点について改めて御答弁願いたいと思います。

再々A 金子直史 福祉部長

議員お話のように、県総合リハビリテーションセンターには、小児科はありません。
そこで、各地域にある医療機関と連携しながら、体制づくりを進めてまいりたいと考えております。

放課後等デイサービス等でのオンライン交流(オンラインボッチャ)について

Q 金野桃子 議員(県民)

今年の夏、私はとてもすてきな経験をしました。それは、全国の寝たきりの子供たちと、オンラインを通じて一堂に会し、オンラインボッチャをしたことです。ボッチャとは、重度脳性麻痺がある方々のために考案されたスポーツで、パラリンピックの正式種目にもなっています。
実際の様子を御覧ください。全国から参加している寝たきりなど外出困難な子供たちが口などを使って操作をし、仲間とともに競い合う、とても温かく刺激的な経験でした。
また、私は、自分の分身としてOriHimeというロボットが接客をする分身ロボットカフェにも見学に行ったところ、全国の寝たきりなど外出困難の方が操作をするロボットたちが生き生きと接客をしていました。そこには、確かに寝たきりの先の未来がありました。
コロナ禍でオンライン化が急激に進み、障害の有無に関係なく、つながることのできる社会が始まっています。オンラインを使った、寝たきりなど外出困難な子供たちへの支援は、社会とつながることのできる自由の翼です。
しかし、現行の放課後等デイサービスなどでは、これができない現状があります。放課後等デイサービスは、児童福祉法上の障害児通所支援の一つですが、同法などの定めにより、利用地域は自ら通所又は事業所の送迎が可能な範囲となっているからです。私は、寝たきりなど外出困難な子供たちがオンラインを使って全国の子供たちとつながることは非常に意義があると考えています。このようなオンラインを使ったサービスを障害児通所支援の一つとして認めることはできないか、また、寝たきりなど外出困難な子供たちをオンラインでつなぐプラットフォームをつくれないか、福祉部長にお伺いいたします。

A 金子直史 福祉部長

「オンラインを使ったサービスを障害児通所支援の一つとして認めることはできないか」についてお答えを申し上げます。
放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づく通所支援サービスであり、障害のある子供たちを対象に生活能力を高める訓練や社会との交流の促進などを目的として行っております。
このサービスについては、国が運営基準やガイドラインを定めており、これに基づいて県が指定することになっております。
現行では、障害児が事業所に通所して対面でサービスを受けることとされており、発達を支援する活動や仲間との実体験により障害児が自己肯定感を高める場でもあり、オンラインによるサービスを認めることは難しいと考えます。
次に、「寝たきりの子どもたちをオンラインでつなぐプラットフォームを作れないか」についてでございます。
放課後等デイサービスを利用する重度の障害児などにとって、オンラインの活用による交流の機会を設けることは、成長過程において大変意義があると考えます。
分身ロボット「オリヒメ」によるリモートでの社会参加の試みが始まるとともに、コロナ禍でのオンラインによる交流手段も普及してきています。
今後、家族会等と連携し、オンラインを活用して障害児が自宅にいながら各地の子供たちと交流できる仕組みづくりについて研究してまいります。

選挙における視覚障がい者への情報保障について

選挙公報等の音訳等情報保障を

Q 金野桃子 議員(県民)

選挙の際、立候補者の公約などが書かれた選挙公報が各御家庭に配布されています。現在県内では、衆議院議員選挙、参議院議員選挙、知事選挙、市長選挙、市議会議員選挙は、それぞれ所管する県又は市からの依頼に基づき、選挙公報等の音訳を作成し、配布しています。
しかし、県議会議員選挙についてのみ全県で音訳がされていません。なぜなら、県が依頼をしていないからです。依頼しない理由を県の選挙管理委員会に確認したところ、選挙期間が短く、立候補者が多いために実現に至っていないとのことでした。
けれども、現に衆院選、参院選、知事選については県選管は音訳を依頼し、中でも特に立候補者の多い衆院選でも、現状で対応できています。選挙は民主主義の根幹であり、障害の有無にかかわらず情報保障はなされなければなりません。できる限り早く、可能であれば来年の県議選から情報保障をすべきと考えます。
さらに、音訳をしてから発送すると時間を要し、期日前投票に間に合わないという指摘もあるため、例えば、立候補者が提出した読み上げ可能なPDFファイルをCDとして配布するなど、関係団体や当事者の声を聞き、最善の方法を検討していただきたいと考えますが、選挙管理委員会委員長にお伺いいたします。

A 岡田昭文 選挙管理委員会委員長

まず、来年の県議会議員選挙から情報保障をするべきについてでございます。
選挙公報は公職選挙法上、紙による発行を前提としており、その配布は市町村選挙管理委員会が行うこととされています。
視覚障がいのある方に候補者の情報を提供するため、県選挙管理委員会では、啓発活動の一環として、国政選挙及び知事選挙において、選挙公報の情報を音訳したCD等を希望する方や障がい者団体などに配布しているところです。
一方、県議会議員選挙は国政選挙等と比較して、告示日から選挙期日までの期間が短く、候補者数も多いことなどから、選挙公報の情報ではなく、候補者の氏名、年齢、党派などの情報を音訳したCD等を配布してまいりました。
また、令和3年4月の県議会議員補欠選挙からは、音声読み上げ可能な選挙公報のPDFファイルを作成する候補者については、県ホームページに掲載し、音声による情報を提供してまいりました。
候補者の経歴、政見などを掲載した選挙公報は、選挙人が投票するに当たっての判断材料として発行されるものであり、視覚障がいのある方にその情報を提供することは大変重要であると認識しております。
来年に予定されている県議会議員選挙に向けて、国政選挙や知事選挙と同様に、視覚障がいのある方に選挙公報の情報を音訳したCD等を配布できるよう検討を進めてまいります。
次に、選挙公報の音訳や発送には時間を要するため、立候補者が提出した読み上げ可能なPDFファイルをCDとして配布する等、最善の方法を検討することについてです。
議員御指摘のとおり、選挙公報の音訳には一定の時間が必要であるため、候補者が提出した音声読み上げ可能な選挙公報のPDFファイルを活用し、迅速に情報を提供することが考えられます。
活用の課題として、候補者による同ファイルの提出は任意であることやCDの作成・配布にも一定の時間を要することがございます。
県選挙管理委員会としましては、候補者に対し音声読み上げ可能な選挙公報のPDFファイルを提出していただくよう積極的に働き掛け、速やかな県ホームページへの掲載に努めてまいります。
議員からはCD配布の御提案もありましたが、関係団体等の御意見をお聞きし、最善の方法を検討してまいります。

情報保障があることの周知を

Q 金野桃子 議員(県民)

情報保障について、各市町村ホームページや広報紙に掲載する、埼玉県視覚障害者福祉協会又は各市町村などを経由してお知らせするなど、福祉部や各市町村などと縦横の連携をとって周知していただきたいと考えますが、選挙管理委員会委員長にお伺いいたします。

A 岡田昭文 選挙管理委員会委員長

県選挙管理委員会では、これまで選挙公報の情報を音訳したCDの配布など情報の提供について、福祉部等関係部局と連携し、視覚障がいがある方や障がい者団体を通じた関係者への周知に努めてまいりました。
また、市町村選挙管理委員会に対しましても、視覚障がいがある方への周知や選挙公報の情報を音訳したCD等の貸出などを依頼してまいりました。
今後は、関係部局・団体との連携を更に深め、ホームページやSNSなど様々な媒体を活用した広報や、障がい者団体・各市町村の福祉関係課等を通じて関係者への周知に取り組んでまいります。

デジタル経済の実現について

誰ひとり取り残さないデジタル経済の推進を

Q 金野桃子 議員(県民)

コロナ禍において急速にデジタル化が進展しました。県では、DX推進支援ネットワークを構築し、行政、経済団体、金融機関などがワンチームで県内事業者のデジタル化をサポートしていますが、特に、デジタル化の波についていけない高齢の経営者の支援をどのように行うのか、産業労働部長にお伺いいたします。

A 板東博之 産業労働部長

厳しい経済状況が続く中、本県経済を持続的に発展させるためには、企業のデジタル化やDXの取組を促進し、生産性を高めていくことが不可欠です。
このため、県では、昨年10月に「埼玉県DX推進支援ネットワーク」を立ち上げ、構成機関の支援策を集約したウェブサイトを構築し、企業が必要な情報をまとめて分かりやすく入手できる環境を整備しました。
一方で、御指摘の高齢の経営者など、デジタル技術に不慣れな経営者の方も数多くいらっしゃいます。
DX推進支援ネットワークには、こうした経営者の方と日常的に接する機会の多い金融機関や商工団体なども支援機関として参加しております。
これまで、これらの機関が日々の業務を行う中で、中小企業の現状や課題を聞き取り、DXの取組が有効な場合にはネットワークの支援につなげるよう対応してまいりました。
また、金融機関からは相談業務を行う際に活用できるツールを作成してもらいたいとの要望をいただいています。
そこで、分かりやすい動画を制作するなど、企業を訪問した関係機関が経営者の方にDXの取組や支援策を簡潔に説明できるよう取り組んでまいります。
また、6月にはデジタル化やDXの総合相談窓口として、ネットワークの事務局を担う県産業振興公社に「DXコンシェルジュ」を配置しました。
さらに、AIの活用や業務管理など、それぞれ得意分野を持ったIT企業等を「埼玉DXパートナー」として、現在142社登録しております。
企業によって抱える課題も異なることから、DXコンシェルジュが課題解決に向けて適切な提案ができるパートナー企業とのマッチングを支援しています。
こうした取組を通じて、高齢の経営者の方がDXに取り組むきっかけづくりから支援策の提案まで丁寧に対応してまいります。

インボイス制度の周知・支援を

Q 金野桃子 議員(県民)

インボイス制度、すなわち適格請求書等保存方式制度が来年10月から始まり、消費税納税義務がある課税事業者は、商取引において税率、税額を明記した文書を発行する義務を負い、併せて帳簿のペーパーレス化も必要になります。制度開始時にインボイス発行事業者となるためには、令和5年3月末までに登録申請をすることが必要になります。
9月23日付け日本経済新聞社によると、登録を終えたのは課税事業者の3分の1程度にとどまり、周知が課題であると指摘されています。各商工会などを中心に説明会を実施しているものの、申請はあまり進んでいないとも伺っています。
確かに、本来的には国の所管でありますが、影響の大きさを鑑み、県としてもホームページに掲載するなど機会を捉えて周知をし、必要に応じてDX推進支援ネットワークにつなぐなど支援をすることはできないか、産業労働部長にお伺いいたします。

A 板東博之 産業労働部長

消費税が複数税率になったことを契機に導入されたインボイス制度は、事業者が税務署に登録しない場合、その取引相手は仕入税額を控除できず、消費税額が大きくなってしまうため、取引に影響が出るおそれがございます。
令和5年3月末までに登録申請を行うとともに、システムの導入などの準備を行う必要もあるため、早急に対応することが求められております。
県としては、これまで「彩の国だより」やポスター、リーフレットにより周知を行ってまいりました。
DX推進支援ネットワークのホームページにおいても、インボイス制度の導入に向けたセミナーを動画配信しております。
今後は、より多くの事業者の方にインボイス制度に関する情報をお届けするため、事業者向けのSNSやメールマガジンなど多様な手段を活用してまいります。
また、引き続き地域の身近な相談機関である商工団体や税理士会における相談等を通じて登録を働き掛けてまいります。
さらに、事業者がインボイス制度を導入するに当たっては、帳簿類のデジタル化も課題となります。
DX推進支援ネットワークの相談窓口の周知をより強化し、事業者の課題に応じて、DXコンシェルジュやDXパートナーによるサポートにつなげてまいります。

ナラ枯れ及び有毒植物「カエンタケ」対策について

Q 金野桃子 議員(県民)

ナラ枯れとは、カシノナガキクイムシという森林病害虫がナラ類、シイ、カシ類の樹木に潜入し、カビの一種であるナラ菌を感染させることで樹木を枯死させる伝染病です。ナラ枯れは、山火事や倒木のおそれなどがありますが、併せて恐ろしいことは、ナラ枯れが発生した樹林地では、触れるだけで皮膚がただれ、食べた場合に死亡例もある猛毒のキノコ、カエンタケが発生しやすいことです。
私が調べた限りでは、狭山市、三芳町、日高市、越生町、鶴ヶ島市、長瀞町、飯能市、寄居町、深谷市などで既にナラ枯れが報告されており、カエンタケについては、9月26日付け読売新聞によれば、狭山丘陵の広がる埼玉県西部で相次いで見つかっており、トトロの森、県立さいたま緑の森博物館などでも相次いで発見されているようです。
カシノナガキクイムシは、健全な樹木を次々に枯死させ、1本の枯れ木に1万匹以上いると言われています。ナラ枯れ防止のためには、樹木に薬剤を注入し、ビニールを巻いて保護する処置が必要となります。一般社団法人日本森林技術協会によれば、被害の監視、防除、被害材の行動制限など総合的に進める必要があり、都道府県単位など広域の協議会を開催し、共通認識を持って役割を分担する体制づくりが重要とのことです。
埼玉県としては、既に令和4年度に森林病害虫防除事業として480万円を充てていますが、早急に被害状況の現状把握をし、協議会等必要な組織体制を整備し、予算的措置を含めて対策を強化すべきだと考えますが、農林部長にお伺いいたします。
また、カエンタケについて、8月に狭山保健所長が管内市長宛てに注意喚起文書を発出していますが、県内の公園などでも相次いで確認されており、ペットにも注意が必要です。更なる啓発及び注意喚起が必要だと考えますが、保健医療部長にお伺いいたします。

A 小畑幹 農林部長

ナラ枯れ対策を強化すべきについてお答えを申し上げます。
ナラ枯れは防除が大変難しい病害です。全国的に猛威をふるっており、本県でも急速に被害が拡大しています。
本県では、県民等からのナラ枯れの被害の情報を市町村がとりまとめて県に報告する仕組みとなっており、本年9月までに26市町で被害を確認しています。
現在の被害拡大状況を踏まえ、今後、これまでの情報収集に留まらず、県、市町村、森林組合等の関係機関で共通認識を持ち、役割を分担して対策を行うための組織体制の整備を進めてまいります。
議員御指摘のナラ枯れに伴う倒木や山火事の恐れ、ナラ枯れ被害地でのカエンタケが発生している状況も踏まえ、地域住民への悪影響が強く懸念されるところから対策を講じていく必要があると考えています。
例えば、公園、人家、登山道の周辺などの人通りのある場所や、三富地域など景観を守る重要性の高い森林について、重点的に対策を講じていくことが考えられます。
現場での防除対策について、県では市町村に対して必要な知識の周知と技術指導を行うとともに、森林環境譲与税などの活用を促してまいります。
今後は、関係機関が連携して対策を強化し、ナラ枯れによる県民生活への悪影響の防止に取り組んでまいります。

A 山崎達也 保健医療部長

更なる市民啓発及び注意喚起についてでございます。
カエンタケは、夏から秋に、ナラなどの枯れ木付近に発生する、極めて毒性の強いキノコです。
議員御指摘のとおり、ペットが誤って口にした場合の被害も懸念されます。
本県では、県内の公園等でのカエンタケの発生を受け、8月からホームページで注意喚起するとともに、市町村をはじめ県内スーパーなど21事業所に対して毒キノコへの注意を促す通知を送付するなど、県民への周知について協力を依頼しました。
今後も注意が必要であることから、改めて公園管理者など関係機関に通知するとともに、SNSなどあらゆる媒体を活用しながら、広く県民に呼び掛けてまいります。

子育て支援員研修について

Q 金野桃子 議員(県民)

埼玉県では、県内の小規模保育など子育て支援に関する事業でこれから働くことを希望する方などに対し、必要な知識や技能等を習得するための研修を実施しています。私自身、昨年、保育士の資格を取得しましたが、保育士の資格取得を目指す者にとって、このような実践研修は非常に有意義です。
しかし、私の周囲では、熱意を持って応募したものの、何年間も連続して落選している人もいます。過去3年間の実績を確認すると、令和元年はデータがなく不明、令和2年度は1,198人が申し込み、そのうち905人の方が受講決定、令和3年度は1,265人が申し込み、そのうち799人が受講決定と、年々申込者が増えているものの受講決定者は減り、直近では当選率が60%余りと狭き門になりつつあります。
保育士不足が叫ばれる中、保育現場で働きたいという方を増やしていくことは喫緊の課題です。研修の中には見学実習があるものもあり、新型コロナウイルス感染症の状況や見学実習の受入れ状況を考慮しながら、一人でも多く受講できるよう拡大できないか、福祉部長にお伺いいたします。

A 金子直史 福祉部長

子育て支援員研修は、小規模保育施設や放課後児童クラブなどの施設で業務に従事することを希望している方に対し、必要となる知識や技能を修得していただくために実施しているものです。
受講定員については、これまでの申込状況や市町村における子育て支援員のニーズを勘案した上で、定めてまいりました。
一方、議員お話しのとおり、一部の講座については、保育所等での実習を国がカリキュラムで定めており、実習協力施設の確保が課題となって、受講定員を簡単に増やすことは難しい状況もございます。
また、ここ数年のコロナ禍においては、新型コロナウイルス感染症の対策も必要となったことから、受講定員を絞って、実施してまいりました。
今後は、市町村と緊密に連携して実習協力施設の開拓に力を入れ、受講定員の拡大に努めてまいります。

地元問題について

戸田かけはし高等特別支援学校に中学部の設立を

Q 金野桃子 議員(県民)

令和3年に、戸田翔陽高校の敷地内に戸田かけはし高等特別支援学校が設立され、川口市、戸田市、蕨市に在住の知的障害のある生徒が通学しています。戸田市にとっては、多くの皆様の念願の県立特別支援学校で、教職員の先生方の心のこもった教育の下、地域の皆様にお支えいただき、子供たちは楽しく学校生活を送っていると伺っており、関係者の皆様の御尽力に深く敬意と感謝を申し上げます。
さらに、地元では中学部をつくってほしいという声も根強くあります。戸田かけはし高等特別支援学校内に中学部をつくることはできないか、教育長にお伺いいたします。

A 高田直芳 教育長

知的障害特別支援学校では依然として児童生徒数が増加傾向にあり、中でも高等部の生徒が全体の約半数を占めていることから、小学部、中学部はもとより、高等部の学習環境の改善が喫緊の課題となっています。
こうした状況の中、戸田かけはし高等特別支援学校は、児童生徒の増加が特に著しい県南部地域の過密状況の緩和を図るため、県立戸田翔陽高校の敷地を活用し、高等部単独校として令和3年4月に設置いたしました。
高校の敷地内にある利点を生かし、高校におけるインクルーシブ教育を目指すとともに、カフェや食品加工室を整備するなど、卒業後の自立と社会参加を見据えた学校となっております。
また、議員お話しのとおり、学校には戸田市をはじめ近隣の川口市、蕨市から多くの生徒が通学しており、空き教室はない状況でございます。
そのため、戸田かけはし高等特別支援学校に新たに中学部を作ることは困難な状況にありますが、今後とも、県南部地域を中心とした知的障害特別支援学校の過密対策を進める中で、児童生徒の学習環境の改善に努めてまいります。

南部保健所を所管自治体(戸田市・蕨市)内に移転を

Q 金野桃子 議員(県民)

南部保健所は川口市にあり、川口市、戸田市、蕨市の3市を所管していましたが、平成30年に川口市が中核市として新たに保健所を創設して以来、川口市の事務がごく一部残っているものの、基本的には戸田市と蕨市の2市を所管しています。その中で、地元に保健所をという声が年々高まってきています。
県内において、保健所が所管する自治体のいずれにもない例はあるのか、そして将来的に南部保健所を所管する戸田市、蕨市内に移転する考えはないのか、保健医療部長にお伺いいたします。

A 山崎達也 保健医療部長

まず、県内において、保健所が所管する自治体のいずれにもない例はあるかについてでございます。
保健所は地域保健法に基づき、二次保健医療圏と概ね一致した区域に設置することとされており、川口市、戸田市、蕨市の南部保健医療圏には、南部保健所が設置されております。
南部保健所は川口市に所在しておりますが、精神保健福祉法に基づく措置入院や麻薬取締法に基づく免許申請等の業務を除き、川口市に係る業務の大半は隣接する川口市保健所が担っています。
県内には、南部保健所以外にこのような状況の保健所はございません。
次に、将来的に南部保健所を、所管する戸田市・蕨市内に移転する考えはないかについてでございます。
新たに庁舎を建設する場合、用地の取得や建物の建設に多額の費用を要することになります。
平成7年に建築した現在の南部保健所の建物は、築後27年が経過しておりますが、当面の利用に支障はございません。
こうしたことから、南部保健所を直ちに戸田市内や蕨市内に移転することは困難であると考えますが、今後、保健所を取り巻く情勢の変化があった際には、改めて設置場所について検証してまいります。

「ボートのまち戸田in埼玉」のまちづくりを

埼玉県としてのブランディングを

Q 金野桃子 議員(県民)

地元の戸田市のポートコースは、1964年の東京オリンピックの会場であり、ボートの聖地として、地元の方をはじめ全国多くのボート愛好者の皆様に愛されています。戸田市は、ボートのまちづくりコンソーシアムの創設を目指すなどし、取り組んでいるところです。正に、会場である県営戸田公園及び県第一艇庫の管理者である県にもコンソーシアムに入っていただき、例えば、ホームページを、よりボートの魅力が伝わるものに改修する、駅からの行き方を分かりやすくするなど、「ボートのまち戸田in埼玉」のブランディングのために何ができるのかを主体的に考えていただきたいと考えますが、都市整備部長にお伺いいたします。

A 村田暁俊 都市整備部長

戸田公園は、オリンピックや国体のボート競技会場であり、現在も多くの学生や社会人が練習に励むほか、テレビドラマの撮影に頻繁に取り上げられるなど埼玉県を代表する地域資源です。
地元の戸田市が「ボートのまち」として、まちづくりに力を入れていただくことは、公園の利活用の向上にもつながり、大変心強く感じています。
これまでも戸田市とは、戸田公園で、令和3年度に市民ボート教室を開催したほか、今年度も水辺イベントを計画するなど連携しており、「ボートのまちづくりコンソーシアム」への参画は、協力関係を強めるものと考えます。
議員ご指摘のホームページは、今後、ボート競技の写真を活用するなど、公園の魅力がより伝わるように工夫いたします。
また、駅から公園までの案内は、ホームページに公園までの道順や目印となる施設を分かりやすく表示し、来場者のアクセス改善に努めます。
一方で、ボート競技の認知度を高め利用者を増加させるには、地域住民の皆様の機運醸成や広く市内外からの来園者を掘り起こすことが必要でございます。
「ボートのまち戸田」のブランディングに向けて、まちづくりを担う戸田市の率先した取組に一層期待するとともに、戸田公園としてもその一翼を担ってまいります。

市民・県民が集える施設に改修を

Q 金野桃子 議員(県民)

県第一艇庫は昭和50年に竣工され、平成22年の耐震補強工事を経て、はや50年が経過、内部も劣化が目立っています。県第一艇庫はボートをしまう倉庫であり、市民・県民が集う仕様にはなっておらず、しまえるボートの種類も限られています。県第一艇庫あるいは県営戸田公園内を改修、開放して、市民・県民が集えるための施設、例えば、シャワー室やカフェ、エルゴマシンなどのトレーニングスペースなどを併設し、地域の人々が集い、ボートのまちのにぎわいを生み出す施設へと新たに改修できないか、都市整備部長にお伺いいたします。

A 村田暁俊 都市整備部長

第一艇庫は、大学生を中心に年間約2,000人の方々に利用され、競技団体や大学生が所有するボートが格納されており、常に満杯の状況です。
各種ボートに合わせた改修には、まず格納されているボートの利用者の御意見に配慮することが先決だと考えております。
シャワー室につきましては、長寿命化計画に基づく既存浴室の改修に合わせて、宿泊者以外への利用の拡充や増設について検討いたします。
また、カフェやトレーニングスペースの新設につきましては、公園内に敷地を確保できるのか、その上で、民間企業による出店の可能性や採算性があるのかなどを検討してまいります。
戸田公園は全国屈指のボート競技施設を備えた公園であります。その本来の機能の適切な維持管理を第一としつつ、ボートのまちづくりとしての賑わいづくりにも貢献できるよう、施設の有効活用策について検討してまいります。

笹目川の治水対策を(県土整備部長)

新たに整備する水門の整備概要・運用方針は

Q 金野桃子 議員(県民)

令和元年10月に台風第19号が関東を襲い、多くの被害をもたらしました。戸田市では、笹目川の水が取入水門を越えて県営戸田公園のボート競技場に流れ込み、広範囲において住宅等が水につかる甚大な被害が生じました。取入水門は、地盤沈下などによって笹目川護岸よりも低くなっていたにもかかわらず、数十年にわたりこのままの状態で、簡単に水が流れ込む状態であったため、私は、令和2年9月定例会において、取入水門を早急に整備すべきだと訴えました。これに対し県土整備部長より、取入水門を改修する方向で協議、調整する旨の御答弁をいただきました。
この後、令和3年度から新たに水門を建設する方向で現在進行中とのことです。治水対策が一歩前進したことは喜ばしいですが、県はいまだ情報提供をしておらず、地元では情報を待っている状況です。
そこで、ア、どのように整備するのか、整備概要や運用方針について。

A 北田健夫 県土整備部長

議員お話しの取入水門は、戸田公園のボート競技場の水位調節を目的として、昭和38年に設置されました。
この水門は、設置以降、地盤沈下により低くなっており、令和元年東日本台風の際には、水門の上部からボート競技場内へ洪水が流入しました。
そのため、令和3年度に水門の改修に向けた調査・設計に着手いたしました。
御質問の「整備概要」については、これまで検討を進めてきた結果、現在の取入水門と笹目川との間に新たな水門を設置することといたしました。
「運用方針」については、笹目川が洪水の際に水門のゲートを閉鎖する方向で検討を進めております。
今後、詳細について、関係者と調整してまいります。

地元説明会等情報提供を

Q 金野桃子 議員(県民)

水門整備に当たり、地元へしっかりと説明をしていただきたいと思いますが、戸田市や地元町会、住民への地元説明会など情報提供の見通しについて。

A 北田健夫 県土整備部長

事業の実施に当たっては、地元の皆様の御理解・御協力が必要なことから、水門の設計や関係機関との協議の進捗状況を踏まえ、地元説明会等情報提供の時期や方法について、地元戸田市と調整してまいります。

笹目川排水機場の排水能力向上を

Q 金野桃子 議員(県民)

今後の笹目川全体の治水対策をどのように進めていくのか。その中で、笹目川排水機場の排水能力を高めるべきではないかと考えますが、それぞれについて県土整備部長にお伺いいたします。

A 北田健夫 県土整備部長

本県では、令和元年東日本台風による水災害を受け、県管理河川全ての河川整備計画を点検し、有識者から構成される河川整備計画策定専門会議に諮り意見を伺っております。
その結果、笹目川は計画で想定する降雨規模を見直した上で、河川整備計画を変更すべきとの意見をいただいています。
これを受け、笹目川全体の治水対策については、笹目川排水機場の排水能力を高めることも含めて、河川整備計画の変更に向けた検討をしているところです。
引き続き、関係機関との協議を進め、笹目川流域の更なる治水安全度の向上に努めてまいります。