更なる子供の貧困対策を

子供の貧困の実態調査を定期的に実施すべきではないか

Q 平松大佑 議員

現在、日本では7人に1人の子供が貧困状態にあり、先進国で最低レベルです。また、子どもの貧困対策の推進に関する法律施行から既に8年が経過していますが、子供の貧困対策はまだ道半ばです。貧困の連鎖を断ち切るため、更なる取組が必要です。
そこで、大きく3点についてお聞きします。
平成30年度には埼玉県立大学の協力の下、県として子供が貧困状態にある家庭についての実態調査と分析を実施されました。しかし、既に4年が過ぎ、新型コロナ、物価高騰の影響についても多くお聞きしております。県として、再び実態調査と分析を行うべきと考えます。
そして、実態調査は定期的に行うべきものと考えます。内閣府の令和3年子供の生活状況調査の分析報告書にも、収入が低い水準の世帯やひとり親世帯が親子共に多くの困難に直面しているともあります。状況を正確に分析し、適切な支援を実施していくためにも、定期的な実態調査を実施すべきではないでしょうか。

A 金子直史 福祉部長

議員お話しのとおり、子供の貧困に対して適切な支援を行うためには、実態を正確に把握することが重要です。
県では、平成30年度に埼玉県立大学と共同して、初めて県内の子供の貧困状況の調査研究を行いました。
一方、国では国民生活基礎調査や全国ひとり親世帯等調査を定期的に実施しております。
また、子供の貧困問題については社会的な関心の高まりを受けて、民間団体においても毎年調査を実施しているところもございます。
こうした状況を踏まえ、県として定期的な調査の必要性について検討してまいります。

再Q 平松大佑 議員

民間の状況、国の状況を踏まえて県としても検討していくという話なんですけれども、実施する方向での検討なのか、そうじゃないのか、ちょっとその辺が分からなかったので、もう一度、御答弁願います。

再A 金子直史 福祉部長

先ほど申し上げましたように、各種の調査が実施をされております。
その調査方法とか、目的とか、例えばどこに焦点が当たっているかとか、そういったものを改めて精査をして、そのうえで県として定期的な調査が必要なのかを検討していきたいと考えております。

再々Q 平松大佑 議員

いろんな国の調査、これは47都道府県全体の話です。民間の調査も当然それは範囲が限られた話で、やはり県としてしっかりと県の実態を正確に把握をして、その上で適切な支援というのを講じる必要があると思うので、県としてやはりしっかり定期的な調査を、5年なりスパン空いてもいいと思うんですけれども、やっていただきたいと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

再々A 金子直史 福祉部長

県として実施するかについて、各種の調査の状況をしっかりと把握をしまして、それで判断をさせていただければと考えております。

様々な支援制度の網から外れてしまっている方々への支援について

支援制度を活用してもらうため、更なるアプローチを

Q 平松大佑 議員

子供の貧困へのアプローチとして、世帯自体へのアプローチも重要な取組です。
令和3年子供の生活状況調査の分析報告書には、支援制度の利用状況についての調査結果も出ておりました。それによると、収入の水準が最も低い世帯でも就学援助や児童扶養手当の利用割合は5割前後であり、生活保護、生活困窮者の自立支援相談窓口、母子家庭等就業自立センターの利用割合は1割未満と低いとの記述がありました。
生活困窮世帯が支援制度を利用しない理由は様々あると考えます。申請するのが面倒、時間がない、そもそも制度を知らないなどが考えられますが、いずれにしてもせっかくの制度を活用して大変な状況の緩和を図っていただきたいと考えます。
今回の補正予算でも、生活困りごと相談会開催に係る予算が提案されるなど県としても取組を進めているところですが、市町村とも連携して制度の周知や申請手続支援などを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

A 金子直史 福祉部長

生活に困窮している子育て世帯に対しては、様々な支援制度があり、これを活用していただくためには、まずは制度を知っていただくことが重要です。
これまで、県や市町村では、ホームページ、SNSやパンフレットなど様々な方法で支援制度の周知を図ってまいりました。
また、各市町村では、生活困窮者を対象とした専用の相談窓口を設けており、相談から申請の受付まで丁寧に対応しているところでございます。
引き続き、あらゆる機会を捉えて、市町村と連携して制度の周知に努めるとともに、今後は、子育て支援の窓口とも連携して、申請時の手続きなどについても丁寧に寄り添った支援をするよう、改めて研修の場などを通じて市町村に対して働きかけてまいります。

ひとり親を支援するNPO育成支援を

Q 平松大佑 議員

アで行政の立場として、更に力を入れていただきたいと申し上げましたが、フォーマル、インフォーマル、両軸で取り組んでいくことが重要だと考えます。
香川県高松市では、ひとり親パートナーズという団体がひとり親家庭の支援に取り組んでいます。香川県高松市、県と市の社会福祉協議会は協力団体となっています。
県としても、このような問題に取り組むNPOが増えるよう、支援を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

A 金子直史 福祉部長

議員お話しのとおり、身近な地域にある民間支援団体の存在は、ひとり親家庭へのインフォーマルなアプローチの一つとして有益であると考えております。
県では、地域の多様な主体が参加・運営する「子供の居場所」づくりやひとり親等の困窮世帯に食品等を配布する「フードパントリー」事業を進めています。
それらの実施団体を増やすため、居場所等の設置や運営のノウハウを指導する「子供の居場所づくりアドバイザー」事業を実施しています。
昨年度は、アドバイザー派遣により団体を支援して、コロナ禍の中ではありましたが、26の新規の居場所を立ち上げることができました。
今後もこうした事業を活用して、NPOなどの民間団体の育成・支援を積極的に行ってまいります。

ジュニア・アスポート事業について

実施市を増やすため、更なる取組を

Q 平松大佑 議員

困窮世帯の小学生向けの学習生活支援事業であるジュニア・アスポート事業は、貧困の連鎖を断ち切るための非常に大切な事業だと考えております。実施自治体数を増やしていくことが重要ですが、様々な理由で実施するのが困難な自治体があります。そのため、自治体の実情に合わせて一層のきめ細かいフォローや更なる働き掛けが必要です。
そこで、3点お聞きします。
今でも好事例や開設の手引きなどをまとめ市に提供しているとのことですが、更に理解を深めるため、改めて生活支援の大切さや先行市の最新の取組状況、国からの補助金の情報など、積極的に市に対し提供していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

A 金子直史 福祉部長

小学生を対象としたジュニア・アスポート事業は、平成30年度からモデル事業として県内7市町で開始し、令和3年度末現在、35市町まで拡大しています。
県では、ジュニア・アスポートコーディネーターを市に派遣して、教室の運営方法などの助言を行うとともに、「教室運営の手引き」を配布し、事業の実施を働きかけているところでございます。
この事業に関して本人や保護者にアンケート調査を行ったところ、「学力のみならず、生活習慣の改善や物事に前向きに取り組む姿勢が身についた」、「他者を思いやる心を持つことができた」などの声をいただいたところです。
また、子供の変化に刺激を受け、保護者が意欲的に就職活動に取り組み始めたという効果も生じています。
市の事業展開を後押しするため、これまで蓄積してきたジュニア・アスポート事業の効果や好事例を改めて整理し、活用できる国の補助メニューなども含めて情報提供し、実施を働きかけてまいります。

首長への働き掛けについて

Q 平松大佑 議員

ジュニア・アスポート事業を実施していただくためにも、予算編成権のある首長の御理解をいただく、これは非常に重要だと思っています。直接アプローチをすることも効果的だと考えますが、いかがでしょうか。

A 金子直史 福祉部長

子供の学習・生活支援事業は生活困窮者自立支援法により、市部においては市が実施主体となって行うものとされています。
実施していない市に対しては、県職員が直接担当部局を訪問し、事業実施の意義や成果等について、丁寧に説明をしております。
議員お話の市長の方々への直接のアプローチについては、市長会議などの場を活用して、事業の実施を働きかけてまいります。

町村での完全実施について

Q 平松大佑 議員

町村は法に基づき県が実施主体として取組を進めています。市に働き掛けをする以上、県として率先、垂範して取り組むべきと考えますし、未実施の町村部に住む子供たちにもジュニア・アスポート事業に参加してほしいと考えます。
早期に全ての町村で実施していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

A 金子直史 福祉部長

町村部のジュニア・アスポート事業につきましては、平成30年度に2町からスタートし、現在は16町まで拡充しています。今年度もさらに1町が実施する予定です。
特に町村部においては、地理的な面から子供たちの送迎手段や学習支援員の確保など、開設に当たっての課題もございます。
今後、送迎における民間企業の協力の開拓や既存の中学生向けの学習教室での小学生の受け入れ、ボランティアの一層の養成など、こういったことにより課題を解決しながら、すべての町村がカバーできるよう事業の拡充を図ってまいります。

DX推進を

デジタルマーケティング戦略の策定を

Q 平松大佑 議員

高齢者も含めたデジタルシフトが急速に進む中、デジタルを効果的に活用した施策の展開が必要です。
その手法として、全庁にデジタルマーケティングの導入が必要と考えます。以前から行政にこそマーケティング志向をということを申し上げていましたが、デジタルを活用すれば適切なユーザー層に適切なメッセージを届けることができるようになります。また、性別、年齢、エリア、言語、デバイス、興味、関心など、相手に合わせた情報の発信が可能になります。
動画やホームページを作成し、デジタル広告などを使い相手に届け、相手に届いたかどうかを定量的に計測、検証する一連の流れができれば、事業精度の向上、実効性を高めることが期待できます。正にEBPMを実現することができます。
県民の満足度向上、サービスのブラッシュアップ等にもつながると考えます。デジタルマーケティング戦略を策定してはいかがでしょうか。

A 大野元裕 知事

市場のニーズを把握し、顧客の求めるサービスを的確に提供する活動をマーケティングと定義するのであれば、私も議員と同様、行政こそマーケティングの思考を持つべきと考えます。
また、デジタルを活用することにより、マーケティングの精度は飛躍的に向上いたします。
従来、統計調査などで傾向分析しかできなかったものが、個人単位でニーズをきめ細かく把握できるようになり、データに基づく効果測定によってEBPMの精度をより高めることも可能になると考えられます。
このため、本県のDXビジョンでも、官民の様々なデータを収集・解析することにより、政策やサービスの高度化につなげ、県民一人ひとりに合った情報やサービスをプッシュ型で提供するという将来像を掲げております。
これが本県のデジタルマーケティングの姿といえますが、この将来像を実現するためには、各部門が保有するデータの連携や、県民とのコミュニケーション基盤の整備などが必要となります。
このため、現在、県庁内各部門、さらには国・市町村のデータと連携するためのプラットフォームや、県民の利用しやすいポータルサービスの検討を進めているところであります。
デジタルマーケティング戦略策定の御提案をいただきましたが、私は戦略として策定する以上は理念や方針に留まらず、具体的に行動に結びつく実践的なものを作りたいというふうに考えております。
現時点では、戦略を練るための土台を準備している段階でございますので、基礎をしっかりと固めた上で、県民の満足度向上やサービスのブラッシュアップにつながるような戦略を構築してまいりたいと考えます。

市町村とともにDXを推進するためのプラットフォーム設置を

Q 平松大佑 議員

埼玉でDXを成功させるため、県と市町村がベクトルをそろえて進めていく必要があります。スマート自治体推進会議などもありますが、十分とは言えません。デジタル化についても、市町村ごとにかなり温度差があると考えます。民間のデジタル化を支援していくためには、県とともに市町村のデジタルスキルを上げていく必要があり、市町村職員とお互いに学び合い、刺激し合う場所が重要であると考えます。
DX推進のため県と市町村がビジョンを共有し、それぞれの職員がスキルアップでき、そして市町村と連携した取組を実施できるようなプラットフォームを設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。

A 大野元裕 知事

議員御指摘の県・市町村が相互に刺激し合い、連携をし合うという必要性は私も全く同感であります。
社会全体のDXを実現するためには、県だけではなく官民の様々な領域のデジタル化が必要であり、中でも住民に身近な市町村のデジタル化の推進は不可欠と考えます。
一方、デジタル化に必要な予算や人材に制約のある市町村からは、県による支援を求める声が寄せられています。
県と市町村とのトップが集まる意見交換の場でDXがテーマになることも多く、私も県からの支援を直接要請されたことがございます。
このため、市町村が県に求める支援の具体策を調査したところ、最も多かったのが「参考となる事例の紹介」で8割の市町村にニーズがあり、次が「人材育成や研修」で約6割でありました。
こうした状況を踏まえ、今後、県と県内全市町村で構成するスマート自治体推進会議の機能を拡充し、市町村の様々なニーズに対応したいと思います。
まずは、参考となる事例を基に問題意識や目指すビジョンを共有するとともに、研修体制を充実させ、県と市町村が共に学び、刺激し合える環境を作りたいと思います。
例えば、情報システム部門向けの専門研修にとどまらず、職員が現場の課題をデジタルで解決するための支援や、小さな成功体験を皆で共有できる仕組みを検討したいと思います。
DXはデジタル化ではなく、変革、トランスフォーメーションがより重要で、その意味では、職員よりもまずは首長の意識改革が重要です。
本年5月には市町村長向けに私からこの旨発信をさせていただいたところです。
今後、どのような形で情報共有や連携を進めることが効果的なのか、議員からの御提案も踏まえ、市町村とよく協議しながら検討をさせたいただきたいと思います。

高度デジタル人材のシェアリングについて

Q 平松大佑 議員

庁内におけるデジタル人材の育成のため、県をはじめ各市町村が取組を進めていますが、短期的には外部人材の登用が必要です。他方、政府は日本社会全体のDXを進めるためには230万人のIT人材が足りないとしており、現在いるIT人材もその4分の3がIT企業に偏在している状況で、デジタル人材の不足が公共部門でのDXを進める上でも大きな課題となっています。
そこで、市町村で確保しづらい高度デジタル人材について、県が確保して市町村とシェアする仕組みを構築されてはいかがでしょうか。

A 堀光敦史 企画財政部長

市町村が県に求める支援策として、事例紹介、人材育成の次にニーズが高いのが県や専門家への相談です。
そこで、県や専門家に相談したい具体的な内容について市町村にヒアリングをしたところ、まず何から始めればよいか気軽に相談したいという声が大半でございました。
市町村のデジタル化の進捗にはばらつきがありまして、関心のあるテーマもテレワークやペーパーレス化など、専門家の支援がなくとも実践できる取組となっております。
そこで、まずは現場の課題を把握し、その解決に最適な手法を選ぶことが重要であり、その際に専門家の知見を生かすべきと考えます。
人材シェアリングは、必要な専門分野が明らかになった段階で有望な支援策になると考えますので、市町村の意向を丁寧に聞きながら検討してまいりたいと思います。

アーバンスポーツの推進を

計画に位置付けを

Q 平松大佑 議員

東京2020オリンピック・パラリンピックにおいて、若者に人気のあるスケートボード、サーフィン、スポーツクライミング、バスケットボール3人制、自転車のBMXフリースタイルが採用されました。これらはアーバンスポーツと呼ばれており、本年4月にスタートした国の第三期スポーツ基本計画の中には、国はアーバンスポーツ等への参画、国民が実施する機会を創出することが必要であるとし、必要な啓発活動や支援を行うとあります。また、国は地方公共団体及びスポーツ団体等と連携し、ニーズに対応できるようアーバンスポーツなど多種多様なスポーツの機会を促進するとの記述があります。
そこで、3点お聞きします。
先ほど申し上げたとおり、アーバンスポーツは盛り上がりを見せており、県としても積極的に推進していただきたいと考えます。また、アーバンスポーツは観客も競技者も若く、推進による埼玉県のイメージアップも図れるのではないでしょうか。
アーバンスポーツの推進を次期スポーツ推進計画に位置付けてはいかがでしょうか。

A 真砂和敏 県民生活部長

議員御指摘のとおり、アーバンスポーツは、街中での遊びから発展した比較的新しいスポーツです。
東京2020オリンピックではアーバンスポーツの若い選手たちが励まし称え合い、活躍する姿を見て、スポーツの素晴らしさを再認識いたしました。
本県においても現行の「埼玉県スポーツ推進計画」では、「新たなスポーツ体験機会の提供と情報発信」の取組として、アーバンスポーツの体験会などを実施してまいりました。
次期「埼玉県スポーツ推進計画」においても、今後、県民や市町村、スポーツ団体などの御意見を伺いながら、アーバンスポーツの推進に向けた施策を位置付けてまいります。

今後の推進体制について

Q 平松大佑 議員

一般質問でもスケートボードパークについて複数回取り上げられており、アーバンスポーツの競技者が増えているのに活動する場所などがないことが課題になっています。他方、他の自治体では、施設を造ったはよいが、地元スケーターのニーズを把握し切れずに造るから使われない。もともと彼らが使っていた場所が使えなくなり、トラブルになるケースがあります。
海外では、アーバンスポーツに関してユニバーサル要素を持たせた施設を整備しています。簡単に言えば、階段の手すりが日中はお年寄りの手すりとして、週末、夕方には若者のスケボー施設になるなど、両者が違う使い方をするよう設計されています。双方が出会う場所にもなっています。
また、種目によっては特殊な設備などを必要としないものもあり、利用されていない空間、商店街、中心市街地、大規模商業施設などで発生している空きスペースの活用に適しているとも言われています。
このように、アーバンスポーツを推進するためには多様な切り口での検討が必要となると考えます。県として推進体制づくりが必要と考えますが、いかがでしょうか。

A 真砂和敏 県民生活部長

アーバンスポーツは、街中の空きスペースなど、これまでスポーツで利用されていない場所の有効活用ができるスポーツです。
また、音楽やファッションなどとの親和性が高いことなどから、新たなスポーツ産業やまちの賑わい創出につながる要素もあります。
こうしたアーバンスポーツの特性を生かしつつ、県民にアーバンスポーツの楽しさや魅力を広めていくためには、従来型のスポーツの概念にとどまらない幅広い分野にわたる検討も必要となります。
県としては、今後、関係部局と連携をいたしましてアーバンスポーツを推進するための体制づくりを進めてまいります。

アーバンスポーツツーリズムについて

Q 平松大佑 議員

アーバンスポーツは、若者や子供を引き寄せるとともに、アーバンスポーツの競技者や観戦者のツーリズムも生み出すものとして、地域活性化への寄与、貢献が期待できるのではと言われています。アーバンスポーツツーリズムについても検討されてはいかがでしょうか。

A 真砂和敏 県民生活部長

スポーツには、多くの人を引き付ける魅力があり、その魅力こそがツーリズムの重要な要素となります。
スポーツの観戦や参加を目的として多くの人々がその地域を訪れ、地域にある様々な魅力に触れることで地域の活性化にもつながります。
特にアーバンスポーツは若者に人気が高いことから、まちの賑わい創出や多世代交流など地域の課題解決の糸口になることも期待されております。
県といたしましては、国の検討結果や他県の先進事例を踏まえまして、アーバンスポーツツーリズムについて関係部局と検討してまいります。

スタートアップ・ベンチャーの育成支援について

現在の検討状況について

Q 平松大佑 議員

どんな状況でも常に挑戦し続ける、今の日本にこそ必要な精神であると考えます。大企業のホンダもソニーも、もともとはベンチャーでした。新しいビジネスモデルで新しいマーケットを切り開いていくようなスタートアップ・ベンチャーを増やしていくことは、県経済の活性化につながり、それらの企業が県内企業と競業することでお互いにとって良い影響が生まれると考えます。
埼玉でスタートアップ・ベンチャーが育っていくことを目指して、以下質問を行います。
昨年12月定例会での一般質問でも、スタートアップ・ベンチャー育成支援について質問を行いました。(仮称)渋沢栄一起業家サロン設置の有識者会議のメンバーについても提案しました。また、出前起業家講座、起業したい高校生・大学生向けの支援制度などを提案しましたが、現在の検討状況はどのような状況か、お聞かせください。

A 板東博之 産業労働部長

まず、「(仮称)渋沢栄一起業家サロン」の有識者会議についてです。
この春のまん延防止等重点措置の解除を受け、サロンの先行事例となる施設がリアルでの活動を再開いたしました。
そこで有識者会議での議論の参考とするため、事務局において東京や神奈川、大阪などの施設を訪問し、現地調査を行っております。
また、スタートアップの起業加速をうたった国の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」が定められたことを受け、スタートアップの専門家などへのヒアリングも行いました。
これらの調査結果をもとに、有識者会議において渋沢栄一起業家サロンの基本コンセプトを検討してまいります。
次に、出前「起業家講座」につきましては、前回の御質問で、「講師選定の幅を広げ、より効果の出るような形で進めてほしい」と御提案をいただきました。
これを受け、国内で活躍されている方だけではなく、海外で手術トレーニング用の模擬臓器を販売している起業家の方に講師として加わっていただくなど、より子供たちの夢が広がるプログラムを実施いたしました。
次に、高校生、大学生向けの支援についてです。
高校生に対しましては、起業家養成プログラムについて、様々な団体で実施している先行事例の情報を収集するとともに、実施方法について検討を行ってまいりました。
その結果、日本政策金融公庫の高校生ビジネスプラン・グランプリ大会への出場を目標の一つとした「課外プログラム」を実施することとし、来年度の大会に向けて日本政策金融公庫と調整を進めております。
 大学生については、創業・ベンチャー支援センター埼玉で開催している「創業支援プログラム」に今年度は2名の応募があり、ビジネスプランの実現を目指し、先輩起業家による伴走支援等を実施しております。
また、芝浦工業大学については、県も連携して、学生を対象としたビジネスプランコンテストの開催や大学発スタートアップ企業の創出に積極的に取り組んでおります。
こうした先進的な事例を他の大学に横展開するとともに、学生起業家の育成に向けた効果的な取組を検討してまいります。

再Q 平松大佑 議員

進めていただいていることは御評価申し上げるんですけれども、まず、有識者会議のメンバーの中にはスタートアップ・ベンチャーや渋沢栄一起業家サロンに似つかわしい、埼玉県という枠にこだわらず、そういったメンバーを選んでいただきたいというふうに思います。
あわせて、大学生向けの支援制度ですけれども、大学自体が主体的に取り組んでいくということも大切なんですけれども、県としてどうやって起業したい大学生だったりだとか、あるいは起業したけれども、うまくいっていないような大学生、そういった方々をうまく起業まで結び付けていくかということが大切ですので、県としてそういったプラットフォームをつくるということを前回も提案したんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。

再A 板東博之 産業労働部長

渋沢栄一起業家サロンのメンバーにつきましては、昨年の議員の御提案にもありましたように、我々の基本コンセプトをしっかりと検討していただくのにふさわしい人選をしてまいりたいと思います。
そのため、議員の御提案のありました、スタートアップに関係する人材も含め、選定をしてまいりたいと思います。
また、大学との連携につきましては、個別の大学の取組の進捗状況はそれぞれ異なっておりますので、我々といたしましては、県内にある大学の連携を図って、他の大学のより良い点を他の大学にも取り込んで実施をしてもらうよう、取組を進めております。
そのため、そのネットワークの中で、今はあまり進んでいない大学についても、しっかりと取り組んでいただくよう支援をしてまいりたい、そのように考えております。

起業家マインドを育てるための教育局と連携した取組について

Q 平松大佑 議員

国で策定予定のスタートアップ育成の五か年計画の中で、小・中・高校における取組強化が盛り込まれるとのことです。また、文科省でも起業家精神推進に向けた概算要求を行っていると側聞します。スタートアップ・ベンチャーの育成支援を行っている産業労働部と教育局との更なる連携が必要になると考えます。
日本では、起業を思考する学生が海外に比べてかなり低い状況にあります。子供たちにはこれから先に多くの選択肢があり、その中には起業という選択肢があることを知ってもらうことが重要だと考えます。起業家教育をはじめ、産業労働部と教育局でどのように連携して進めていくのでしょうか。

A 板東博之 産業労働部長

御指摘のとおり、文部科学省では、キャリア教育の一環として、小・中・高等学校向けの起業家精神教育を進めると伺っております。
これを受けて、教育局からは学校現場で起業家マインドに触れる体験活動や授業を実施する際に、講師となる起業家やビジネスプランの作成指導を行う専門家などを紹介してほしいとの話をいただいております。
そこで、産業労働部から講師としてふさわしい人材を紹介することで、学校現場における起業家マインド醸成のための取組が円滑に進むよう連携したいと考えております。
また、このような起業家教育をきっかけに芽生えた子どもたちの起業への意欲が実を結ぶよう、授業により起業に興味を持った生徒への次のステップとして、先ほど御答弁いたしました起業家養成プログラムの準備を進めてまいります。
さらに、起業家養成プログラムから実際の起業に移る場合には、創業・ベンチャー支援センターに引き継いでまいります。

教育DXの推進について

県立学校におけるICT端末等の環境整備について

令和5年度の全校導入に向けた状況について

Q 平松大佑 議員

ある海外の研究では、2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計されています。一方、人工知能(AI)が人間の能力を超え、AI自身がより優れたAIを生み出すようになる、いわゆるシンギュラリティは2045年に訪れると言われています。つまり、今の子供たちはシンギュラリティ以降の人生の方がはるかに長くなるわけです。
子供たちには、AIを活用できる能力やAIでは代替できない能力を身に付けてもらうなど、将来を見据えた教育が重要になってまいります。そのためにも、ICT環境をしっかり整えていく必要があります。
そこで、大きく2点についてお聞きします。
前回の私の一般質問では、令和5年度入学生からタブレット端末等による1人1台端末の環境を目指すとの答弁をいただきました。現状はどのような状況でしょうか。

A 高田直芳 教育長

県では、令和3年12月に定めた「埼玉県学校教育情報化の方向性」に基づき、県立学校において、令和5年度入学生から学年進行で生徒が所有するタブレット端末等を活用した1人1台端末環境を目指し、取組を進めております。
具体的には、本年4月に各県立学校に対し、端末の整備に向けて検討すべき事項や手順を示し、着実に整備が進むよう通知いたしました。
また、5月には、管理職や教員対象に研修会を実施し、先行してタブレット端末環境を導入した学校の事例や整備に向けた校内の組織体制・スケジュールなど具体的な留意点を詳細に説明いたしました。
その上で、7月には、保護者の費用負担によるタブレット端末等の整備について、県内の中学校のすべての3年生とその保護者向けに、リーフレットを配布し、御協力をお願いしたところでございます。
こうした取組みを進め、令和4年7月末時点では、県立高校全日制134校のうち、63.4%に当たる85校が具体的に準備していただく端末の機種等について、方針を定めているところでございます。

再Q 平松大佑 議員

全日制百34校中85校、63.4%が方針を固めているということで御答弁いただきました。
残りの36.6%、49校というのは大変苦労して今検討されていることだと思いますけれども、学校に機種・OS選定のためのOSごとのスペックですとか、運用、保守管理、既にお伝えしている部分もあると思うんですけれども、更にできること、できないことを含めて詳細な情報ですとか、あるいは最新の他校の導入状況ですとか、検討状況ですとか、更にきめ細かな支援を必要とされていると思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

再A 高田直芳 教育長

各県立学校の進捗状況や具体的な課題については、今後も定期的に調査を行っていくこととしておりまして、その結果を踏まえ、県立学校全体の進捗状況ですとか他校の状況について情報提供をきめ細かく行ってまいります。
また、方針が決まっていない学校に対しましては、直接担当が訪問しそれぞれの課題について個別に助言を行うなど、引き続き、円滑な導入が図れるよう、必要な支援を行ってまいります。

導入後の支援について

Q 平松大佑 議員

導入後が非常に重要であります。端末の機種について、特に指定していない学校も、そういった導入方針を決めているということで、家庭の負担を考えて基準を満たしたものを認めるということなんですが、端末の異なる、OSが異なるようなものをそれぞれ生徒が使っている場合には、授業で活用するときに大変な状況が生まれることも想定されるんですが、その点どのようにフォローしていくのでしょうか。

A 高田直芳 教育長

現在も、県立学校におきましては、生徒所有のスマートフォンも活用してICT教育を展開しておりまして、ウインドウズなどのいわゆるOSの種類や機種は様々ですが、教員が工夫しながら授業を行っております。
当初は、OS毎に異なる操作方法の違いなどについて教員からの問い合わせも数多くございましたが、操作方法のマニュアルの整備などにより、現在では問い合わせもほとんどない状況になっております。
また、授業では、OSの種類に関わらず同じような動作が可能なソフトウェアの使用を想定しており、OSの違いによる影響は少ないものと考えております。

再Q 平松大佑 議員

今、現状ですと、そこまで問題は出ていないという話だと思うんですけれども、これから多くの学校で端末が導入をされていき、そして更に活用段階が前に進んでいけば、また様々な問題というのが出てくると思うんです。そのときに3つOSがあれば、その分3倍大変になるといった側面もあると思うんです。あるいはMDMを使用してアカウント管理を行うともなれば、学校の負担というのも非常に増えてくるんじゃないかなというふうに想定いたします。
そういった意味でも、更なるそういった先を見据えたフォローというのが必要になってくると思うんですが、この辺はいかがお考えでしょうか。

再A 高田直芳 教育長

基本的には、生徒所有の端末を使用するため、アプリのインストールを管理するMDM等によるアカウント管理を各学校に求めることはしておりませんが、希望する学校がございましたら導入支援を行ってまいります。
また、議員御指摘のとおり、OSの違いにより、端末の操作が異なることもございます。
そのため、今年度、ICT教育推進課内にGIGAスクール運営支援センターを設置いたしまして、操作方法に関する相談ですとか問い合わせに対し、技術的な支援を行っているところでございます。
また、OS毎に異なる画面等の違いを踏まえた対応策をポータルサイトに掲載するなど、OSが異なっても学校の教育活動に支障を来たすことのないようしっかり学校を支援してまいります。

新一年生の保護者に向け、更なる周知を

Q 平松大佑 議員

令和5年度入学生に向けて整備の進め方などを通知したとのことですが、現時点において何に対し、どのくらい費用を負担するのか、その他家庭で行うことなどを具体的に周知する必要があると考えます。通知についても、県教育委員会のホームページ等で情報が公開されておらず、この問題は令和5年度入学生だけでなく、広く県民に周知すべき内容であり、ホームページにとどまらない情報発信も求められるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

A 高田直芳 教育長

県立高校では、生徒が使用するタブレット端末等について原則として保護者負担としていることから、生徒や保護者に周知を行うことは重要と考えます。
家庭における負担額などの具体的な内容は、現在、多くの学校が検討を進めており、それらが決定された後に、各学校の入学説明会等で周知してまいります。
また、こうした説明会の実施に合わせ、将来、高校進学を控える生徒やその保護者などに広く周知できるよう、県のホームページに限らず入学案内なども含めて幅広く情報発信してまいります。

生活困窮世帯の児童生徒への支援について

Q 平松大佑 議員

支援が必要な生徒向けの端末の台数が不足している状況があると側聞します。次年度には全ての県立学校で端末を整備する目標です。実態をつぶさに把握し、学校間での端末の融通や状況を見て適宜台数を増やすなど、取組が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

A 高田直芳 教育長

生徒が使用するタブレット端末等については、原則保護者負担により整備することとしておりますが、経済的理由などにより購入が困難な生徒に対しては、県が各学校に用意する貸出用端末により対応することとしております。
各学校には既に整備しているタブレット端末が一定数ございますので、それを貸出用端末として活用してまいります。
その際、令和5年度入学生のうち支援が必要な生徒数を確認の上、学校毎の貸出用端末の配分数の調整を行うなど、支援が必要な全ての生徒が活用できるよう取り組んでまいります。

生活困窮世帯への周知について

Q 平松大佑 議員

生活困窮世帯に対しては、分割による支払いや申請による貸出し用端末等の準備も必要であり、各家庭に向けた準備を依頼するのであれば、このことについても早急に示されたほうがいいと考えますが、いかがでしょうか。

A 高田直芳 教育長

県では、7月に配布したリーフレットの中で、生徒への貸出用端末が各学校に整備されていることもお知らせしたところです。
端末費用については、学校でまとめて契約して、保護者が一括で支払う場合や3年間の分割で支払う場合もあれば、個別に家庭で購入する場合もあるなど様々ですので、入学説明会などで費用負担についても説明するよう、学校を指導してまいります。
引き続き、全ての生徒がタブレット端末環境で学習できるよう、端末貸出のための環境を整えるとともに、その周知に努めてまいります。

ICT活用の自治体間格差について

Q 平松大佑 議員

前回の一般質問で、正確な実態を把握した上で、それぞれの自治体に合った適切な支援を行っていただきたいと質問いたしましたが、現状、どのような状況でしょうか。

A 高田直芳 教育長

県が5月に県内の小中学校を対象に、授業におけるICT活用の実態を調査した結果、授業でICTを活用している学級は、全体で、約6割がほぼ毎日、約2割が週3日から4日となっております。
市町村別では、多くの市町村で「ほぼ毎日ICTを活用している学級」が6~7割となっておりますが、中には9割以上のところや逆に3割程度にとどまるところもございました。
こうした活用状況の違いは、各学校のICT活用推進に向けた体制や教員のICT活用指導力に差があることなどが一因と考えられます。
そのため、引き続き、各市町村の個別の課題に寄り添うオーダーメイド型研修の実施や先進的な取組を行っている他自治体に関する情報提供など、それぞれのニーズに合わせた支援を行ってまいります。

再Q 平松大佑 議員

詳細な調査をいただいたことは、御評価申し上げたいと思います。
その上でなんですけれども、活用しているというのが日に1回使った場合と毎時間の授業で使った場合と、かなり区別がつかない部分があり、使用頻度だけにとらわれるわけではないんですけれども、ほぼ毎日使っているという中でもグラデーションがありますので、より正確に把握していく必要があると思いますが、その点はいかがでしょうか。

再A 高田直芳 教育長

議員御指摘のとおり、ほぼ毎日使用しているとしている学級でも、その状況は一律ではないと考えられます。
今後、より効果的な活用の参考となるよう、授業においてICTを1日にどの程度活用しているか調査するなど、詳細に把握するよう努めてまいります。

再々Q 平松大佑 議員

今、そういった形で進めていただいていて、やはり大切なことは今はICTをまずは活用する、使っていくという段階ですけれども、次の段階はそれがきちんと学びの質の向上に寄与しているかどうかというところを図っていく必要があるというふうに思うんですが、この点について今後そういったものも把握していく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

再々A 高田直芳 教育長

ICTの活用は、児童生徒の特性や学習進度などに応じて柔軟に指導方法や教材を提供することができるなど、生徒の個別最適な学びにつながるとともに、端末上で意見交換や議論を行い、様々な意見や考えをリアルタイムで整理するなど、協働的な学びにも活用できるものと考えます。
教員のICT活用指導力の向上が学びの質の向上につながるものと考えておりますので、ICT活用指導力について把握するとともに、引き続き、効果的な活用方法について指導してまいります。

認知症対策におけるMCI段階での取組推進を

Q 平松大佑 議員

軽度認知障害、いわゆるMCI段階での取組の強化を図るべきではという質問です。
2025年には65歳以上の5人に1人が認知症を発症するとされており、急速に高齢化が進む本県にとって認知症対策は取り組むべき大きな課題です。認知症にならない認知症の初期段階での取組が重要ですが、軽度認知障害、いわゆるMCI段階で認知機能低下予防の取組を行えば、十数%から40%の方が健常な状態に戻る可能性があると言われています。
MCI段階での取組は、コスト面からも取り組むべき理由があります。実証事業として取組を実施した自治体では、MCI段階での取組を進めたほうが将来かかるコストが下げられるというエビデンスが出ています。
第八期埼玉県高齢者支援計画の中には、MCIについての記載もあります。是非、MCI段階での取組が進むよう、県として主体的に取り組んでいただきたいと考えます。まずは、MCI段階での支援の重要性を周知し、各主体でMCI段階での取組が進むような働き掛けを御検討いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

A 金子直史 福祉部長

認知症の発症を遅らせたり、認知症になっても進行を緩やかにするためには、MCI段階で、早期に発見し、早期に対応することが重要です。
そのため、県では、民間団体に委託して認知症の電話相談窓口を開設し、MCIを含めた認知症の相談に当たっています。
また、かかりつけ医に対して、研修においてMCIへの認識を促しているほか、早期発見、早期支援を行う認知症初期集中支援チームが、MCIなど認知症の疑いがある人の対応を行っています。
今後は、市町村と連携してMCI段階の重要性について広報を行うとともに、認知症サポーター養成講座なども活用して、さらに広く周知してまいります。
また、MCI段階での取組を進めることも重要です。
市町村では、MCIの方の個別の状態を把握し、関係機関の連携のもと、体操教室や脳のトレーニング教室、創作活動などへの参加を促しているところもあります。
県としては、こうした事例の横展開を会議の場を通じて図るなどMCI段階での取組が促進されるよう市町村に働きかけてまいります。

企業版ふるさと納税について更に推進すべきではないか

Q 平松大佑 議員

持続可能な県政運営確立のため、更なる歳入の確保が必要です。そして、様々な主体と共にまちづくりを行うことも重要です。
企業版ふるさと納税は、住民に負担を求めず歳入アップを図れるということで、積極的に取り組むべきと考えます。令和3年度の企業版ふるさと納税の都道府県別の状況を見ると、1位の熊本県は約1億7,551万円、埼玉県は31位で1,452万円となっています。
更なる取組を期待しますが、個人向けのふるさと納税がそうであるように、企業側が寄附してみたいという理由がなければ、うまくいかないと考えます。行政が一方的にプロジェクトを設置して寄附を呼び込むということ自体、無理があるのかもしれません。
民間も参画してのプロジェクト設置、地域活性などテーマの設定、リビングラボなどの手法等々、企業版ふるさと納税を増やすためにはどのようなやり方が良いのか、検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

A 堀光敦史 企画財政部長

企業版ふるさと納税の活用に向けては、企業が寄附したいと思えるような魅力的な事業を構築するとともに、県が企業に対して事業の必要性を丁寧に説明するなど、主体的に働きかけていくことが重要です。
例えば、県では「渋沢栄一翁を軸とした観光振興や創業プロジェクトの推進」事業を立ち上げて、渋沢栄一翁が設立に関与した企業に働きかけ、寄附を受け入れてまいりました。
更なる寄附の受け入れ拡大を図るには、これまで以上に企業の意向も踏まえた事業構築が重要であることから、議員御指摘のとおり、民間企業等と意見交換を行う機会を設けることなどを検討してまいります。
また、企業が人件費相当額の寄附と併せて、地方創生事業に直接従事させるため社員を地方公共団体に派遣する「企業版ふるさと納税人材派遣型」につきましても、今後の活用に向け整備を進めてまいります。

あと数マイルプロジェクトについて

Q 平松大佑 議員

本件、毎回取り上げております。前回取り上げた関係市との更なる連携については、現在、積極的に進めていただいており、御評価を申し上げたいと思います。
さて、地下鉄12号線の延伸を勝ち取るためには、更に県と関係市が力を合わせてB/Cを1以上にしていくなど、課題の解決に取り組まなければいけません。しかしながら、関係市が解決すべき課題の中には、当該市の体制では難易度が高い課題もあります。このような場合、県が積極的に技術的支援を行い、関係市とともに課題解決に取り組んでいただきたいと考えます。
さらに、関係市とコミュニケーションを取りながら、各市が抱える課題についても積極的な技術的支援を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

A 堀光敦史 企画財政部長

東京12号線延伸の実現には、議員御指摘のとおり、県が関係市と緊密に連携するとともに、必要に応じて技術的支援を行うことが重要であると考えております。
そこで、県では関係市との連絡会議を開催し、県調査結果の情報提供を行うとともに、専門家を講師とした研修会を主催しているところです。
また、県職員が関係市へ足を運び、鉄道延伸やまちづくりの担当部署と積極的に意見交換を行っています。
先日も新座市と県市の連携について意見交換をする中で、例えば、コロナ禍により近年開催を控えていた関係市間での勉強会を再開する場合には、県も積極的に関与する意向をお伝えしたところです。
今後とも難易度が高い課題の解決に当たる際には、市の状況や意向も十分に確認しながら、必要な技術的支援を行ってまいります。

災害への対応について

協定等を災害時に機能させるために

Q 平松大佑 議員

首都直下型地震はいつ起きてもおかしくないと言われ、台風や豪雨による被害も常態化する時代に突入しました。発災時における県と各市町村の強固な連携は、県民の生命と財産を守るために重要であります。そして、県が企業や各種団体と結んでいる協定等をしっかりと機能させることが大切です。
そこで、2点お聞きします。
災害時には行政だけではなく、個人、自主防災会あるいは企業など総ぐるみで対応に当たる必要があります。その中で、県が企業や各種団体と結んだ協定やその他各種制度は大変重要となってまいりますが、自治体によっては災害時にどのように協定や制度が機能するのか、うまく伝わっていないケースがありました。
それぞれを機能させるためには、協定や制度自体と実際の手続などを更に注視する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

A 三須康男 危機管理防災部長

様々な企業や団体と協力体制を築いて、市町村からの応援要請に迅速に応えていくことは、特に発災後の混乱の中にあっては、きわめて重要になります。
これまでも市町村にとって特に関係の深い協定や制度について、防災担当職員が集まる会議の場で、その狙いや効果について共有してまいりました。
また、県が締結している災害時応援協定の内容は、国のシステムで協定の名称や相手先ごとに検索できるようになっているほか、県のホームページでその一覧を公開しております。
御指摘のように、市町村に対し内容や手続きが十分に伝わっていないケースがあったとすれば、私どもの説明がまだ足りないということなのかなと思います。
市町村に県の協定内容がより正確にうまく伝わっていけば、さらに迅速かつ的確な要請につながるものと考えます。
今後とも、市町村の職員と交わる様々な機会を捉えまして、丁寧に説明し、しっかり共有をしてまいります。

市町村との連携のために

Q 平松大佑 議員

市町村と連携して災害に立ち向かうことが大切です。災害時には県と市町村が共通理解の下、うまく連携を取る必要があります。現在は先ほどもお話がありました市町村防災担当主幹課長会議において、情報共有を図っておられるとのことです。
しかしながら、大きい単位の会議の中では十分な意思疎通が図れないこともあります。例えば、各地域振興センターなど小単位の会議体を設置し、発災時の対応について市町村に様々な制度を共有したり、市町村の意見を吸い上げるなど、双方向の関係性を構築できるようにして、より災害時にそれぞれの主体が機動的に動けるよう取り組んではいかがでしょうか。

A 三須康男 危機管理防災部長

災害発生時において、被災状況の把握や、被災者支援を迅速にかつ的確に行うためには、備えの段階から県と市町村の連携が不可欠です。
このため、県では、お話のありました会議を年に複数回開催しておりますほか、県と市町村の職員を対象とした合同の研修、あるいは関係機関の連携強化に向けた様々な訓練を実施しております。
また、まさに御提案のありました地域振興センターには、災害対策支部としての会議体が設けられておりまして、県の地域機関の職員と市町村の防災担当者がその地域に応じた災害対応について、意見交換を行っているケースもございます。
こうした会議の場を含め、より深く掘り下げた意思疎通が可能となる環境づくりを意識しながら、市町村との双方向の関係構築に努めてまいります。

物価高騰・新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者への支援について

影響を受ける事業者への支援について

Q 平松大佑 議員

帝国データバンクによれば、全国の8月の物価高倒産は34件と2か月連続で最多を更新しており、前年同月との比較では約2.6倍になっているとのことです。
県としては、今回の補正予算も含め対策を取っていますが、商工業者でも業種によっては更なる支援が必要だと考えます。事業を継続できるよう、更なる支援を検討してほしいと考えますが、いかがでしょうか。

A 板東博之 産業労働部長

コロナ禍にあって多くの事業者が原油・原材料価格の高騰による影響を受けております。
こうした中、県では、産官学金労から成る「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」や「経済団体等との意見交換会」における議論や意見を踏まえ、事業を展開しております。
まず、県内中小企業の経営継続に向けた緊急的措置として、制度融資により資金繰りを支援するとともに、特に影響を受けている旅行事業者や貸切バス事業者への支援を行ってまいりました。
今回の9月補正予算においても、燃料費高騰に伴う価格転嫁が進んでいないトラック運送事業者に対する支援を御提案しているところでございます。
また、中長期的な観点から、省エネ・再エネ設備の導入促進による中小企業の体力向上や成長分野への事業再構築による経営体質の転換に向けた支援を行っております。
県経済の状況は、円安や原油・原材料高の長期化が懸念されており、予断を許さない状況でございます。
引き続き経済団体等との意見交換を行うとともに、県内中小企業を対象とした四半期経営動向調査の結果なども踏まえ、更なる支援策の必要性について検討を進め、適切に対応してまいります。

影響を受ける農業者への支援について

Q 平松大佑 議員

同様に、物価高騰等の影響を受けている農業者に対しても支援が必要だというふうに考えます。国で肥料の方は補助があるわけなんですけれども、それ以外の部分についても支援が必要と考えますが、農林部長にお伺いします。

A 小畑幹 農林部長

今般の物価高騰に関しては、県では、特に大きな影響を受ける農業者に対する緊急支援を行うとともに、物価高騰の影響を受けにくい構造への転換を促進する施策を講じてきたところでございます。
具体的には、令和4年度6月補正予算により、畜産農家に対する配合飼料価格の上昇に係る補助や、施設園芸農家に対する省エネ機器などの導入補助を行っています。
今議会でも、酪農家や養鶏農家の生産コスト上昇に係る緊急支援、輸入に依存しない自給飼料の生産支援、化学肥料の使用量低減に向けた支援などを提案させていただいています。
こうした施策に加え、国が講じる対策を活用することで、物価高騰の影響を緩和し、本県の農業経営の継続を図ってまいります。
今後については、現時点で物価高騰の収束を見通すことは困難であり、引き続き、物価高騰の影響を受けにくい構造への転換を促進していくことが重要と考えています。
生産現場の状況や今後の国の対策に係る動向を注視し、幅広い施策を動員しながら、農業経営の継続・安定を図ってまいります。

いわゆる「ゼロゼロ融資」の借換え対策について

Q 平松大佑 議員

コロナの影響を受け、まずは急場をしのぐために融資を受け、いずれ客足が戻ったときの返済を想定していた事業者も多いと思いますが、影響は長期にわたっています。
「ゼロゼロ融資」が2020年にスタートし、来年から返済が始まる事業者も多くいますが、影響が続く中で返済が厳しい事業者も出てくると考えます。県として、「ゼロゼロ融資」の借換えが問題なく行われるよう支援をしていく必要があるのではないでしょうか。

A 板東博之 産業労働部長

令和2年度に実施した当初3年間無利子・保証料ゼロのいわゆるゼロゼロ融資は、多くの事業者に御利用いただいております。
既に約6割の事業者の返済が始まっており、据置期間を無利子期間と同じ3年間とした事業者は、令和5年5月から順次返済が開始されます。
コロナ禍の長期化、物価高・円安など借入時には想定されなかった経済環境の変化で経営が厳しい企業も想定されます。
県では、令和4年度当初予算から、金融機関による伴走支援を受け経営改善を図りながら借換えや追加融資を利用できる「伴走支援型経営改善資金」を新たに設けるとともに、「借換資金」の十分な融資枠の確保など、対応をとっております。
また、返済条件の変更等については、個々の企業の実情に即した対応が必要となります。
そのため従来より、金融機関及び信用保証協会には中小企業からの相談に対して、丁寧で弾力的な対応をしていただくよう、要請してまいりました。
引き続き、金融機関、信用保証協会と連携を密にするとともに、必要な資金枠を確保するなど、中小企業の資金繰り支援に取り組んでまいります。

県営水道の送水管路更新について

Q 平松大佑 議員

我々が生活する上で欠かせない水道インフラを維持するため、施設整備計画に基づき更新を進めているところですが、既に耐用年数を過ぎた管路も散見され、早期更新が待たれるところです。受水団体からも早期更新を求める声が上がっており、先日は朝霞四市の市長が連名で早期かつ計画的な老朽化対策と耐震化推進を県に求める要望書を提出しました。
管路更新については、現段階では主要幹線の更新のみが決定していて、主要幹線以外は未定となっております。予算も時間もかかる事業であります。だからこそ、計画的に前へと進めていかなくてはなりません。そして、受水団体の方々にも安心していただくため、適切な情報開示が必要です。
現在作成中の次期計画では、主要幹線以外の更新計画も定め、受水団体には管路の更新時期や劣化度調査結果など適切にお伝えすべきではないでしょうか。

A 北島通次 公営企業管理者

県営水道は昭和43年の事業開始以来、約50年が経過し、浄水場や送水管路などの本格的な更新時期を今後迎えることになります。
企業局ではこれまで、地震等により被害を受けた場合に県民生活に与える影響をまず重要視し、浄水場出口付近の主要幹線を優先した計画を定め、管路更新を進めてまいりました。
現在、管路更新のペースアップを図ることを目的として計画の見直しを行っており、その際あわせてAIによる管路劣化診断を行い、その結果を計画に反映させることを考えております。
新しい計画では、これまでの主要幹線だけでなく、全ての送水管について、劣化度も含め優先順位を改めて設定し、長期的な見通しを持った計画とする予定でございます。
また、管路の更新時期を含めた計画の内容や、その進捗状況について受水団体に御理解いただくことは極めて重要だと考えています。
議員の御指摘を踏まえ、受水団体に参加いただく会議の場や、個別の訪問等の機会をとらえ、丁寧に情報を提供してまいります。

地元問題

県道さいたま東村山線における交差点改良について

Q 平松大佑 議員

県道さいたま東村山線、いわゆる志木街道については、都県境から国道254号までの間の拡幅整備がほぼ完了し、歩行者の安全確保、渋滞の解消に大きく寄与しているところです。
しかしながら、県道新座和光線以北については、歩道が十分に整備されておらず、ガードレールのある場所でも相当狭い幅で、側溝の蓋の上を歩くような状態です。右折レーンも整備されていない交差点では、渋滞も生じております。特に立教大学近くの交差点は、今年3月にスクランブル化されたため車の滞留時間が増え、結果としてかなり渋滞が増えてしまい、生活道路への流入も増えています。
拡幅計画に着手する時期は決まっていないとのことですが、まずは立教大学近くの交差点の改良だけでもできないかと考えます。県土整備部長の見解を伺います。

A 北田健夫 県土整備部長

御質問の立教大学北側の交差点は、市道へ右折する車両の影響などにより、朝夕を中心に一時的な混雑が生じていることを、県としても認識しております。
この交差点は、地元市、地元小学校などからの要望を受けて、歩行者の安全を確保するため、令和4年3月にスクランブル化されました。
抜本的な対策には、右折帯の整備が有効と考えられますが、整備には移転が必要となる物件も多く、多額の費用と長い期間を要します。
このため、まずは、道路の現況や交通状況を調査し、関係機関と協議しながら、効果的な交差点対策について検討してまいります。

都市計画道路保谷朝霞線整備に伴う雨水対策の実施について

Q 平松大佑 議員

現在、長年の課題であった都市計画道路保谷朝霞線については、所長をはじめとする朝霞県土整備事務所が全力で取り組んでおり、整備が進みつつあります。
本計画道路の予定地については、以前から浸水被害の発生懸念がある場所となっております。現在は緑地や農地となっているところも多く自然浸透していますが、道路完成後にはそれもなくなります。また、高低差もあり、予定地付近の住民から心配の声が上がっています。状況を見ていると、既存の雨水管につなげるだけの対策では、とても対応できないと考えます。
新座市では雨水管理総合計画を策定し、取組を進めているところでもあります。県としても、整備に伴う雨水対策をしっかりと進めていただきたいと考えます。県土整備部長の見解をお伺いします。

A 北田健夫 県土整備部長

都市計画道路保谷朝霞線は、都県境から国道254号までを南北に結ぶ、約4.4キロメートルの幹線道路です。
このうち、都県境から県道保谷志木線までの約1.1キロメートルの野寺工区と、そこから産業道路と呼ばれる市道までの約0.7キロメートルの道場工区で、現在、事業を進めております。
野寺工区は、県道保谷志木線に向かって地形的に下っており、また、道場工区は黒目川沿いの平坦な場所であり、両工区とも雨水処理に配慮が必要です。
従来から、道路設計に当たっては、地形や雨水管の整備状況等を調査し、道路整備に起因する新たな浸水被害が発生しないよう、適切な雨水対策を講じることとしております。
そのため、地域の状況を熟知している新座市と協力しながら、道路の雨水対策を検討してまいります。