台風第19号被害の教訓から市町村と協力して避難所の運用改善を進めるべき(知事、教育長)

Q 石川忠義 議員(県民)

県内でも甚大な被害を出した今年10月の台風19号での被害、影響を教訓に、市町村と協力して安全な避難所の運用とすべきですが、知事の考えを伺います。
災害時の避難所は、災害対策基本法によって住民等が一時的に避難する指定避難所と、地震や洪水など災害の種別によって緊急に避難する指定緊急避難場所が市町村長によって指定されています。県内には63市町村、2,384カ所に指定避難所が指定され、62の市町村、2,585カ所に指定緊急避難場所が指定されています。
台風19号が関東地方に接近した10月12日には、県内63市町村に1,716カ所の指定避難所と水害時の指定緊急避難場所が開設しました。そして、翌日の13日のピーク時には県内で3万人以上が避難者となり、避難所を使用した避難者や関係者から避難所の運用について様々な意見や苦情が寄せられています。「犬などのペットを連れている人は避難所を使用しにくい」「自動車で避難所に行ったが、満車で入れなかった」「そもそも水没するような地域が指定避難所となっていた」などの意見です。
台風19号のときは、避難指示を受けて住居がある市町村以外の指定避難所を使用する人も多く見受けられました。それぞれの市町村で運用方法に違いが見られる現状の指定避難所、指定緊急避難場所については、広域自治体である埼玉県が市町村の現状を見ながら、今後は協力して、ある程度の共通した運用方法をとるべきです。
県には平成27年に定めた避難所の運営に関する指針がありますが、今回の避難所の意見や教訓を生かし、ペット同伴時の避難所の運用方法や避難の交通手段等についても含めた指針となるよう改定し、市町村間である程度の統一性を持たせるべきですがいかがか、知事の考えを伺います。
また、指定避難所、指定緊急避難場所は、県立学校などの県の施設が指定されているものも多くあります。避難所の指定は市町村であっても、避難所の使用方法は、敷地や建物の管理者である学校と市町村が覚書などの約束に基づいて行われます。指定避難所になっている県立学校では、ほとんどが教育局から示されたひな形に沿った形で市町村と覚書を交わしていますが、中には疑問があるものもあります。
台風19号のときには、覚書によって指定避難所の県立高校の校舎部分が避難施設に指定されていないことから、避難所の開設が3時間以上遅れた例がありました。また、私の調べでは、洪水時の避難場所でありながら、避難施設が校舎でもなく、基本的にグラウンドと体育館となっている学校があったり、避難所を開設するときには基本的には前もって市が文書で学校に要請することが定められている例などがありました。
県立学校の指定避難所は、いざというときに有効に使用できるものでなければなりません。県立学校で指定避難所、指定緊急避難場所としている数と使用方法を文書で約束、協定などしているところはいかほどあるのか、お伺いします。
そして、県立学校の立地条件や周辺の状況などから、適正に指定避難所、緊急指定避難場所として使用できる覚書となるよう、全ての覚書の中身を総点検し、必要に応じて改善を進めるべきですが、教育長の考えを伺います。

A 大野元裕 知事

東日本大震災の教訓を踏まえ、県では、市町村が円滑に避難所の開設及び管理運営ができるよう「避難所の運営に関する指針」を定めたところです。
この指針では、避難者が自主的に運営することなど避難所共通の基本的事項を定めるとともに、運営会議の設置やペットへの対応など配慮すべきポイントをまとめています。
こういった県の指針も参考にしながら、全ての市町村が避難所運営マニュアルを作成しております。
一方、台風第19号の際には、これまでにない数の避難所が運営されており、今後に生かすべき多くの事例があると考えています。
議員御指摘のペット同伴時の避難所での対応や、避難時の交通手段についても十分検討していかなければならないと考えております。
避難所の生活環境につきましても、段ボールベッドが提供されたことにより改善されたということも伺っております。
今回の経験を生かせるよう、避難所運営について市町村からしっかりと話を伺いながら、「避難所の運営に関する指針」を改定いたします。
また、指針の改定を進める中で、市町村間で統一性を図っていくべき点についても検討いたします。
いざという時に住民の方が安心して避難できるよう、市町村と協力して避難所の運用改善を進めてまいります。

A 小松弥生 教育長

まず、「県立学校で指定避難所・指定緊急避難場所としている数と協定などの締結状況」についてでございます。
高等学校132校、特別支援学校33校の合計165校が、避難所等に指定されており、この全ての学校で、市町村と覚書や協定書を締結しております。
次に、「適正に指定避難所・指定緊急避難場所として使用できる覚書となるよう全ての覚書を点検し、改善を進めるべき」についてでございます。
議員御指摘のとおり、学校の立地条件や周辺の状況を考慮した上で、学校施設を避難所として適正に使用していくことは、県民の安全確保の点から大変重要です。
これまで想定していなかった種類や規模の災害に対応できるようにするためには、避難所を運営する市町村と協議を行い、校舎上層階へ使用範囲を拡大することが必要となります。
そのため、現在締結している覚書等が実態に即したものとなっているか、全ての県立学校において総点検を行い、見直すべき点については速やかに改善してまいります。

高齢者の豊富な知識や経験を生かす「人材バンク」を(知事)

Q 石川忠義 議員(県民)

御高齢者の豊富な知識や経験を社会のために生かし、同時に御高齢者が生きがいを感じ、生き生きと暮らしていただけるよう「人材バンク」の創設をすべきですが、知事の考えを伺います。
現在、埼玉県では、県民等の知識や経験、御厚意を生かす高齢者専門の人材登録制度はありません。県で行っている高齢者も含めた人材登録制度の多くは、知事や団体からの推薦や資格が必要であったり、専門性のあるものです。
今回提案するのは、趣味や特技、これまでの経験を生かして活躍することを希望する、おおむね65歳以上の方々を登録し、放課後子供教室や学校ボランティア、市民団体など、講師や指導員の派遣を希望する場で活躍していただく人材バンクです。
私の地元久喜市の例で言うならば、高齢者大学や同校友会など、豊富な知識や経験を有し、人生70年、80年を過ごされた有能な人材を対象に、県内のニーズに合わせて紹介し、人生100年時代を見据えてますます元気に活躍いただこうというものです。御高齢者の社会参加や生きがいづくりの観点から、茨城県、山梨県、和歌山県などでも同様の事業を実施しています。
知事の公約でも、「人生100年時代を見据えたシニアが活躍する埼玉へ」を掲げています。改めて、知事の御高齢者の豊富な知識や経験に関する所見を伺います。
また、共助社会づくりのために、県民生活部では地域デビューや専門家ボランティア制度などを行っています。これは、御高齢者には制度自体が複雑な上に、ホームページ上の登録方法や利用方法も分かりにくくなっています。もっと制度を分かりやすく伝える努力が必要です。御高齢者が分かりやすい、誰もが利用しやすい御高齢者の豊富な知識や経験を社会に生かせる人材バンクと進化させるべきですが、知事の考えを伺います。

A 大野元裕 知事

高齢者の豊富な知識や経験に関する所見についてでございます。
経済、人口ともに右肩上がりの成長を続けてきた本県も超高齢社会を迎え、間もなく人口も減少に転じ、生産年齢人口も更に減少するなど、時代の転換期を迎えています。
現在の県の活力を維持するに当たり、様々な分野での担い手不足など山積する課題に対応していくためには、多彩な知識や経験を有する高齢者の活躍が重要だと思います。
私は「人生100年時代を見据えたシニアが活躍する埼玉へ」を知事公約に関わる「取組の方向性」に位置付け、働く意欲のある高齢者への就業支援や地域活動、ボランティア活動への参加を進め、活力ある埼玉県の実現を目指してまいります。
県では、高齢者の方々が地域デビューするための情報提供を行っています。
また、御自身が有するスキルや特技を生かしてボランティア活動を行っていただく「専門家ボランティア」登録の取組を行っています。
議員からは、制度が複雑でホームページも分かりにくいという御指摘をいただきました。
先ほどホームページを私も確認して、同様の意見を持った次第です。
ホームページを分かりやすいデザインに修正するとともに、簡単にアクセスできて登録しやすくする改善を図ってまいります。
次に、「専門家ボランティア」登録制度を「人材バンク」へ進化させることについてでございます。
「専門家ボランティア」登録制度は、年齢・資格の有無を問わず、趣味や特技をお持ちの方が幅広く登録できるもので「人材バンク」の機能を有するものでございます。
議員お話しのとおり、市町村にある市民大学や彩の国いきがい大学などには、地域活動に意欲を持った高齢者の方々が数多くおられます。
そこで、市町村と協力し、こうした方々に登録を積極的に働き掛け、多くの方に登録していただくよう努力します。
今後とも、専門家ボランティアに登録した高齢者を地域活動につなげるため、マッチングにも取り組むなど、様々な支援を行ってまいります。

生物多様性の視点を重視した「彩の国みどりの基金」の活用とすべき(知事、農林部長)

Q 石川忠義 議員(県民)

一般質問初日にもありました。今年度から、地球温暖化対策や災害防止等を図るための安定的な財源とするため、森林環境税の創設に伴う国から地方自治体への森林環境譲与税制度が始まりました。
埼玉県ではこれを受けて、今年度は森林環境譲与税を財源として、市町村合計で約3億6,000万円、埼玉県としては約9,000万円の森林関係の予算が確保され、間伐や市町村支援などの事業を行う予定です。地球温暖化防止等に必要な財源と事業であり、積極的な事業展開を期待しています。
一方、埼玉県は平成20年度から、県内の緑を守り、豊かな自然環境を守り育てるための「彩の国みどりの基金」を財源として、毎年度10億円以上の事業も行ってきました。特に、森林の整備と保全に関しては、平成20年度から30年度までの累計で、緑の基金取崩し額の60.7%、約84億円を財源として一定の効果も上げてきました。こうした現状に加え、さらに今年度からは、森林整備・保全のために森林環境譲与税の活用が行われます。
そこで、今後は、みどりの基金を財源として行う事業について、これまで同基金を財源とした事業としては出遅れ感があった生物多様性を念頭に置いた事業にも力を入れるべきですが、いかがでしょうか。
彩の国みどりの基金は、条例で定めた豊かな自然環境を守り育てる、イコール生物多様性のための財源とすべきです。今後は、森林環境譲与税の推移と県内の森林整備・保全の状況を見ながら、彩の国みどりの基金を財源とする事業の配分を見直していくべきですが、知事の考えを伺います。
また、将来の埼玉県への森林環境譲与税額の予測と、それらを財源とした事業の見通しについて、農林部長に伺います。

A 大野元裕 知事

本県では、平成20年度に「彩の国みどりの基金」を創設し、自動車税の一部と寄附金を財源に、「森林の整備」、「身近な緑の保全・創出」、「県民運動の展開」という三つの柱で、みどりの再生に取り組んでおります。
緑を保全、創出する取組は、人間にとって良好な環境をつくるだけでなく、多様な動植物が織りなす豊かな生態系の形成にもつながっております。
例えば、荒廃した森林を整備することによって、豊かな植生が回復し、多くの野生動植物が生息・生育できる環境が再生いたします。
また、都市部の平地林を適正に管理することにより、里山生態系の保全や絶滅危惧種の自生地を守ることができます。
希少野生動植物の保護や外来種の駆除、有害鳥獣の捕獲など生物多様性を守るための取組は、みどりの保全にもつながるものであり、極めて大切なことであると考えます。
みどりの再生と生物多様性の保全は、双方の取組を継続的に行っていくことで相乗効果が生まれると考えています。
現在、生物多様性保全のための取組のうち、ニホンジカの食害から森林を守る獣害対策や狩猟の担い手育成といった事業には、みどりの基金を活用しています。
令和元年度から森林環境譲与税が配分されますが、段階的に額が引き上げられることもあり、市町村における活用を見据えながら、みどりの基金による県の森林整備事業のあり方を再検討していく必要があると考えています。
今後、森林環境譲与税の活用状況を踏まえ、生物多様性の視点も重視しながらみどりの基金の配分について検討し、豊かな自然環境を次の世代に引き継いでいくための取組をしっかりと取り進めてまいります。

A 牧 千瑞 農林部長

「埼玉県への森林環境譲与税額の予測とそれを財源とした事業の見通しについて」お答えを申し上げます。
森林環境譲与税は今後段階的に引き上げられ、令和15年度以降は毎年、市町村に約12億800万円、県に約1億3,400万円が配分される見込みです。
この譲与税は、市町村においては森林の整備や木材利用などの事業に、県はその市町村への支援に活用することとされています。
県では、森林の少ない都市部の市町において、公共建築物などへの県産木材の利用が進むよう、今年度から木造建築技術アドバイザーを派遣しています。
また、県内全市町村を対象に譲与税の活用に関する説明会や勉強会を開催しています。
さらに、都市部市町が山側市町村の森林整備を支援するためのマッチングについての意見交換会も今年度開始しました。
これらの支援を行うことにより、山側の森林整備から都市部における木材利用までの好循環が生まれ、将来にわたって継続するよう取り組んでまいります。

進路の定まらない高校生への支援について(教育長)

Q 石川忠義 議員(県民)

進路の定まらない高校生への支援について、特に県立高校からの就職希望者への支援体制について、教育長に伺います。
県立高校卒業生で就職希望者の就職率は、小数点以下にわずかながらの変動があるものの、過去3年で97.8%から98.8%と、高い水準を保っています。この数字は、景気の影響や本人の努力もさることながら、各学校や教員、関係団体等の理解と協力の結果であると評価をしています。
県立高校の全日制、定時制には様々な状況の子供たちが通学しています。学校によっては、不登校の生徒や障害がある生徒、学習や行動面で支援が必要な生徒が生徒全体に占める割合が高い学校があります。こうした特徴がある学校の中にも、高い就職率を得ている学校があります。生徒の将来を思う一心で、通常の努力以上の努力を重ねて、結果を得ています。改めて、教職員の努力が生徒の自己実現を後押ししている現状に、敬意を表します。
しかしながら、こうした特徴がある学校での成果が、一部の教職員への過度な負担増により成り立っている現状を放任することは許されません。教育委員会は、こうした学校へは支援に力を入れるべきです。例えば、生徒の能力に応じて、校内外の関係機関との連絡調整役であり、担任の支援なども行う特別支援教育コーディネーターを、不登校の生徒や学習・行動面で支援が必要な生徒が比較的多い学校には増員することも方法です。
現在は、特別支援教育コーディネーターは、各学校1人程度の指定です。本来は学校の状況に応じて複数人を指定し、教員間で連携して生徒の自己実現を図るべきです。改善すべきですがいかがか、教育長に伺います。
また、教育委員会では、教育や社会福祉などに関する専門的な知識があり、生徒指導上の課題を抱えている子供の周囲の環境に働き掛けたり、多様な支援方法によって問題解決への対応をするスクールソーシャルワーカーを配置しています。生徒の問題に関わる全般を見ています。定時制以外の県立学校は、教育事務所4カ所に1人、週に3日、1日6時間勤務のスクールソーシャルワーカーが配置されています。定時制高校には、8校を拠点校として1人ずつを配置し、23校全校に派遣可能な体制があります。1人当たり拠点校を加えて3校を対象に、週3日、1日6時間勤務のスクールソーシャルワーカーが2人、1人当たり拠点校を加えて2校から3校を対象に、週2日だけ、1日6時間勤務のスクールソーシャルワーカーが6人配置されていますが、支援が必要な生徒や学校、教員からの需要にこの体制で応え切れているのかが疑問です。
スクールソーシャルワーカーによっては、生徒のことを第一に、勤務日数、時間を超えて無給で支援をしている人もいます。学校や教育委員会は、これを黙認しています。スクールソーシャルワーカーにとっては、目の前の支援を必要としている子供を助けたい一心です。こうした方々の努力もあって、生徒の健全育成と最終的な進路先決定がされています。教育委員会は、この現状をいかが考えますか。
支援が必要な生徒・学校には、スクールソーシャルワーカーの派遣ができる体制の整備や、社会福祉士、精神保健福祉士などのお力も生かして、生徒の自己実現を図るべきですがいかがか、教育長の考えを伺います。

A 小松弥生 教育長

まず、学校の状況に応じて特別支援教育コーディネーターを複数指名することについてでございます。
特別支援教育コーディネーターは、各学校の特別支援教育を推進するため、校長が指名することとなっております。
生徒一人一人の教育的ニーズに応じた支援が求められる中、学校によっては特別支援教育コーディネーターの負担が大きくなっていると認識しております。
今後は、各学校の状況に応じて、特別支援教育コーディネーターを複数指名し、校内組織の充実を図るなど、学校全体で支援できる体制を整備してまいります。
次に、勤務日数、勤務時間を超えて無給で支援しているスクールソーシャルワーカーがいる現状をどう考えるかについてでございます。
スクールソーシャルワーカーは、不登校や非行問題行動などのうち、家庭環境に課題を抱える生徒やその保護者を、福祉や医療の関係機関などにつなげるために配置しております。
非常勤であるスクールソーシャルワーカーが、本来の業務を超えて勤務せざるを得ない状況であれば、早急に解消すべきものと認識しております。
次に、支援が必要な生徒・学校には、スクールソーシャルワーカーの派遣ができる体制の整備や、社会福祉士・精神保健福祉士などの力も生かすべきについてでございます。
県では、就職希望者の多い高校に対し、企業で人事担当経験のある方などを就職支援アドバイザーとして配置しております。
今後は、スクールソーシャルワーカーの配置に加え、社会福祉士等の専門的支援ができる就職支援アドバイザーを配置するなど、学校の実情に応じた支援方法について研究してまいります。

障害者と健常者がともに参加する障害者スポーツを充実すべき(知事、福祉部長)

Q 石川忠義 議員(県民)

県ではこれまでも、スポーツを通じた障害者の社会参加の推進と障害者スポーツの理解促進を図るために、障害者スポーツの振興を行ってきました。特に、スポーツを通じた障害者の社会参加については、彩の国ふれあいピックの開催や各種イベントの開催、パラリンピックに向けた選手の育成強化などを通じて、積極的に行ってきています。しかしながら、障害者スポーツの理解促進を図るための障害者スポーツの振興は、更に発展、改善をする余地があります。
県では、児童生徒を対象に障害者スポーツ体験や講演会を実施しています。また、障害者スポーツ理解促進教材を配布するなどしていますが、比較的健常者と障害者がともに参加できる事業は多くありません。障害者スポーツへの理解と促進を進めるためには、本来は障害者だけでなく、健常者と共にプレーし、楽しめるものであることが必要です。
県が委託している公募型障害者スポーツ支援事業は、障害者と補助者、健常者が参加する大会やイベントが多く開催されていますが、県や市町村で実施するものでは健常者の参加を呼び掛けてはいるものの、比較的参加が少ないものもあるようです。知事は、こうした状況をどのように捉え、課題意識があるのか、考えを伺います。
また、健常者と障害者が共に参加する障害者スポーツを通じて、障害者スポーツの理解促進、ひいては共生社会の実現に一歩でも近づけるべきですが、それぞれ知事の考えをお伺いします。
そして、県では公募型スポーツ支援事業を通じて、障害者と健常者の交流や障害者スポーツの振興を進め、毎年10件ほどの事業が開催されています。今後は公募枠が増やせるよう県は努力をするべきですがいかがか、福祉部長の考えを伺います。
加えて、障害者スポーツの理解と促進を図るためには、障害者スポーツ指導員の協力が不可欠です。県でも同様の考えから、障害者スポーツ指導員養成講習会を開催しておりますが、講習会の修了者は予定の100名を大きく下回っています。この点も改善すべきですがいかがか、福祉部長の考えを伺います。

A 大野元裕 知事

健常者の参加が少ない状況をどのように捉え、課題意識を持っているのかについてでございます。
障害のない方に広く障害者スポーツを知ってもらい、ともに楽しんでもらうことは、障害者に対する理解を促進する上で重要なことと考えています。
一方、議員お話しのとおり、車いすバスケットボールなど障害のない方に比較的馴染みのある競技を実施しても、参加の少ない場合もございます。
このため、障害のある方とない方がともに参加できる機会を増やすことや、障害者スポーツを障害のない方にも更に広めていく必要があると考えています。
次に、健常者と障害者がともに参加する障害者スポーツを通じて、障害者スポーツの理解促進、ひいては共生社会の実現に一歩でも近づけるべきについてでございます。
障害の有無に関わらず、気軽に楽しむことができる障害者スポーツは、正に、誰一人取り残すことなく、全ての人がともに手を取り合い活躍できる「共生社会」の理念に合致するものです。
いよいよ来年は、東京2020パラリンピック競技大会が開催されます。
大会に向けて、パラリンピック競技を中心に障害者スポーツへの関心が高まりつつあり、障害者スポーツの理解を促進する絶好の機会が到来しています。
パラリンピック競技の中には、ボッチャや5人制サッカー、車いすバスケットボールなど、障害のある方とない方がともに楽しむことができるものが多くあります。
この機会を捉え、県では、県内各地のイベントや学校の授業などで障害者スポーツを体験してもらうなど、理解促進のための様々な取組を進めているところでございます。
また、障害のある方々のスポーツ大会である「彩の国ふれあいピック」には、地域の方や学生などがボランティアとして多数参加し、障害者スポーツを理解する大変良い機会となっています。
さらに、本年10月には、パラリンピック競技であるボッチャの大会を県主催で初めて開催をさせていただき、障害の有無や年齢を問わず多くの方々に参加をしていただきました。
私も参加をさせていただき、極めて意義深いものでございました。
大会後のアンケートでは、障害のある方ない方の双方から「貴重な交流の機会となった」との声をいただき、一緒に楽しむことの重要性を改めて認識いたしました。
県といたしましては、引き続き、障害のある方もない方もともに参加できる障害者スポーツの振興に取り組み、御指摘の共生社会の実現を目指してまいります。

A 知久清志 福祉部長

公募型スポーツ支援事業の公募枠が増やせるよう努力すべきについてお答えを申し上げます。
県では、県内のスポーツ団体が実施する障害者スポーツの普及拡大を図るイベントを支援しています。
毎年10団体を対象に補助を行っていますが、令和元年度の応募は13団体と、対象の枠を増やすまでには至らない状況です。
その理由として、地域でスポーツ活動を行う団体の中には、障害者スポーツへの取組方法がわからないという声もあります。
そこで、そうした団体に、実施事例の紹介や障害者スポーツに関する研修などを行い、まずはより多くの応募につながるよう努めてまいります。
公募枠の拡大につきましては、今後の応募状況を見ながら検討してまいります。
次に、障がい者スポーツ指導員養成講習会の修了者が予定を大きく下回っており改善すべきについてでございます。
障がい者スポーツ指導員は、競技大会やイベントで指導助言を行うなど、障害者スポーツの普及に重要な役割を果たしています。
県では平成2年度から指導員の養成講習会を実施しており、平成30年度末時点で県内の登録者数は1,020人となっています。
従来は毎年度1回開催し、募集定員50人に対して、ほぼ定員を満たす方に受講していただきました。
こうした状況を踏まえ、より多くの方が受講できるように、平成30年度からは講習会の回数を2回とし、定員を増やしたところ、受講者は68人となりました。
今後は、地域で広く住民のスポーツ活動を支援しているスポーツ推進委員への働き掛けなども強化し、受講者の更なる増加に努めてまいります。

中学生学力アップ教室事業の充実をすべき(教育長)

Q 石川忠義 議員(県民)

中学生学力アップ教室は、平成27年度から始めた事業で、地域の人材等を生かして、学習が遅れがちな中学生に学校と連携して学習支援を行うものです。県からは、希望する市町村への補助金交付と情報提供を行っています。
事業開始年度には6校を対象に行っていた事業も、昨年度からは65校まで広がりました。実施している市町村によって学習支援の方法は様々ですが、「全体の学力の底上げにつながった」「学習意欲と基礎学力の向上を図ることができた」など、この事業の拡大に期待する声もあります。しかしながら、事業実施の財源が国や市町村によるところも多いことから、平成29年度から事業を実施する市町村数は頭打ちです。
県教育委員会としては、中学生の学習支援に更に力を入れるために、中学生学力アップ教室を広げるとともに、市町村を支援していくべきです。これまでの同事業の評価と検証結果について、教育長に伺います。
また、事業の充実を図るとともに、財源である国の動向によっては、将来的に県が上乗せや独自に市町村を支援する必要もありますがいかがか、教育長の考えを伺います。

A 小松弥生 教育長

まず、「これまでの同事業の評価と検証結果」についてでございます。
本事業では、学習が遅れがちな中学生に対し、地域と学校の連携・協働による学習支援を行う市町村を支援するため、県として事業費の一部を補助するとともに、成果の普及を図っております。
対象の市町からは、議員お話しの学習意欲や基礎学力の向上のほか、地域と学校の連携が深まるなどの成果が報告されており、子供たちが安心して学習できる環境づくりなどに効果があるものと考えております。
次に、「事業の充実と、将来的に県が上乗せや独自で市町村を支援すること」についてでございます。
県では、取組の成果を実践事例集にまとめ、各市町村に広く普及するとともに、事業運営を担うコーディネーターへの研修を実施するなど、事業の充実を図っております。
本事業の実施に係る経費については、国、県、市町村が3分の1ずつ負担する仕組みとなっております。
議員お話しの、県による上乗せや独自の補助による支援については、県の厳しい財政状況などから難しいと考えておりますので、国に対して十分な予算措置や補助率の拡大を要望してまいります。
地域と学校の連携・協働による学習支援を含め、日々の教育活動の中で学習が遅れがちな生徒を支援できるよう、市町村としっかり連携してまいります。

プッシュ型中小企業支援について(産業労働部長)

Q 石川忠義 議員(県民)

県ではこれまでも、県内事業者の多くを占め、県経済のけん引役である中小企業・小規模事業者の支援を行ってきました。また、これらを支援する商工会等を通じても、中小企業・小規模事業者の支援を行ってまいりました。商工会等には今後も頼れる商工会等として、埼玉県経済と地域の発展に寄与いただくために、県としての関わりの深化が必要です。県からは、既に中小企業支援に関しては、公約に基づいたプッシュ型支援の工程表が示されています。工程表では、来年度から商工会などの商工団体が把握した企業課題を県産業振興公社等が解決、支援するとしています。
これからは、待ちの姿勢ではなく、商工会等の把握した情報を基に、同公社が中心に積極的に出ていくプッシュ型支援をしていくということです。連携することで商工会等の負担も減り、専門的にきめ細かな支援を同公社が行うことが期待されています。ただ一方で、同公社の期待される効果と役割が増えることから、同公社の増強も必要と考えられます。
そこで、今後のプッシュ型中小企業支援の工程表の概要と、中心的な役割を担う県産業公社の実力と今後の増強について、産業労働部長の考えを伺います。
また、商工会等に関しては、商工会等を支える従事者の方々を手厚く支えることが必要です。毎年、経営指導員の補助単価は増加していますが、今後についても更なる補助単価の上乗せなどの支援と、法定経営指導員制度ができ、新たな職務が加わることから、法定経営指導員への補助単価を増額すべきですが、産業労働部長の考えを伺います。

A 加藤和男 産業労働部長

まず、工程表の概要についてでございます。
本県には零細企業が多いことから、製造現場を離れることができず、相談窓口に足を運ぶことができない事業者もございます。
こうした事業者にとって、地域を巡回し経営相談を行っている商工会議所・商工会は、身近な相談相手として頼りになる存在です。
そこで、地域の事業者を熟知する商工団体と、専門知識やノウハウを持つ産業振興公社が一体となって、企業の課題解決を支援する「プッシュ型支援」に取り組むこととしております。
今後の工程としては、今年度、各商工団体と産業振興公社の職員の意見交換を行うなど、相互連携の基礎となる顔の見える関係を強化してまいります。
来年度以降は、商工団体と産業振興公社との連携を深め、商工団体が把握した中小企業の課題に対し、産業振興公社が積極的に現場に赴き、きめ細かな支援を行ってまいります。
次に、産業振興公社の実力についてでございます。
産業振興公社は、設立されて以来蓄積してきた中小企業支援のノウハウを活用し、様々な経営相談に対応しています。
また、登録専門家の適任者を現場に派遣する専門家派遣なども行い、中小企業の課題解決を支援しています。
さらに、平成26年度には「埼玉県よろず支援拠点」を設置し、多くの中小企業の方に相談窓口として御利用いただいております。
よろず支援拠点を含めた産業振興公社の経営相談件数は、平成26年度の5,413件から30年度の11,856件へと倍増しています。
平成30年度に産業振興公社を利用した事業者のお客様満足度は96%と、高い評価をいただいております。
こうした実力を発揮し、商工団体と連携しながら、プッシュ型支援を有効に機能させてまいります。
次に、産業振興公社の今後の増強についてでございます。
県ではこれまでも、支援機関として産業振興公社に必要とされる機能を適宜検討してまいりました。
平成23年度には「次世代自動車支援センター」を、27年度には「先端産業支援センター」を設けるなど、企業ニーズに対応した支援を行ってきました。
これにあわせて、体制の強化を図ってまいっております。
引き続き、産業振興公社が時代の変化に対応しながら、支援機関としての機能が発揮できるよう、必要な支援をしてまいります。
次に、商工会等の経営指導員の補助単価の増強についてでございます。
議員お話のとおり、経営指導員の補助単価につきましては平成27年度から5年連続で増額しており、令和元年度は改定前の平成26年度と比べると4.7%の増となっています。
事業者にとって最も身近な相談機関である商工団体の安定的な運営を図るという観点から、今後も予算編成などを通じて適切な見直しを行ってまいります。
最後に、法定経営指導員の補助単価についてでございます。
本年7月に施行された改正小規模事業者支援法により、法定経営指導員の制度が創設されました。
同法では、商工団体は市町村と共同で、事業者支援のための「経営発達支援計画」や「事業継続力強化支援計画」を策定することとされています。
法定経営指導員はこれらの計画の実行の責任者と位置付けられており、市町村との調整や、事業者支援の企画・実行、目標達成に向けた進捗管理などを行うこととされています。
また、他の経営指導員のリーダーとして商工団体の経営支援全般をマネジメントすることも期待されています。
法定経営指導員がやりがいを持って、その職責を果たしていけるよう、補助単価についても商工団体などの意見を伺いながら検討してまいります。

土木・建設現場の週休2日制の実施について(県土整備部長、産業労働部長)

Q 石川忠義 議員(県民)

建設業界では、建設技能者の高齢化に伴う離職や若者の早期離職などにより、人材不足が慢性化しています。また、週休2日制が定着しないなど就業環境により人材確保が厳しい状況となっています。将来の建設産業を支えるために、若者の将来の担い手を確保するには就業環境を改善する必要があります。
政府においても、以上のような認識の下、働き方改革を進めています。また、産業界や労働界、地方自治体においても、建設業界の週休2日制を進めています。埼玉県においても、建設業界が魅力的な職場となり、担い手の確保につながるように、また、労働者保護の観点からも、全県的に長時間労働の是正を推進しています。
県土整備部では今年度から、県土整備部が発注する建設工事で、週休2日制モデル工事の試行を始めました。まだ始まったばかりですが、比較的大きな規模の工事で業界に週休2日制の実施を呼び掛け、けん引役となることが期待されています。そこで、現在までの実施状況について、県土整備部長に伺います。
また、既に業界団体からは、「週休2日制モデル工事を実施するには、労務費や間接費等の計数が実情に合わない」と、見直しを求める声もあります。工期も短いという指摘があります。県土整備部ではどのように考え、この考えに対応するのか伺います。
そして、公共工事から実際に民間事業に対しても、土木・建設現場にどのように週休2日制を浸透、広げていくのかも課題です。働き方改革関連法が順次施行となり、長時間労働の是正を社会全体で進めていますが、特に土木・建設現場では長時間労働が常態化しています。県は、土木・建設現場における長時間労働の是正を進めるために、様々な業界団体や市町村を通じて広く大々的に働き方改革を進め、県全体の機運を高めるべきですがいかがか、産業労働部長に伺います。

A 中村一之 県土整備部長

週休2日制モデル工事の現在の実施状況、経費の補正や工期の設定の対応についてお答えを申し上げます。
まず、週休2日制モデル工事の現在の実施状況についてでございます。
本県では、令和元年度から「週休2日制モデル工事」を実施しており、今年度39件の発注を予定しております。
発注方法は、週休2日制を契約条件とする発注者指定型と受注者の意向による受注者希望型の二つの方式としております。
これまでに契約した17件のうち、10件の現場で週休2日制に取り組んでいるところです。
次に、経費の補正や工期の設定についてでございます。
週休2日制モデル工事の実施に当たっては、労務費、機械経費、共通仮設費、現場管理費を国と同じ補正率で加算し、計上することとしております。
国において、経費の補正の見直しが行われれば、県においても、速やかに適用してまいります。
また、工期の設定については、準備期間、施工に必要な実日数、後片付け期間のほか、土日、降雨日など工事を行わない日を考慮して設定しております。
さらに、本県の週休2日制モデル工事では、週休2日に係る実施計画や体制づくりなどの期間として、県独自に工期に14日を上乗せするなど、適正な工期設定に努めております。
今後も、土木・建設現場における週休2日の推進に努めてまいります。

A 加藤和男 産業労働部長

「土木・建設現場における長時間労働の是正を進めるため、様々な業界団体や市町村を通じて、広く大々的に働き方改革を進め、県全体の機運を高めるべきではないか」についてお答えを申し上げます。
平成30年度に県が実施した就労実態調査では、県内中小企業の正社員の平均所定労働時間が年間1,991時間であるのに対し、土木を含む建設業は2,020時間と、平均を上回っております。
土木・建設現場における長時間労働の是正を進めるためには、企業自らの取組だけでなく、いわゆる親企業や発注者と協力して働き方改革を実現していけるよう、広く働きかけていく必要があります。
県といたしましては、国、労働団体、経済団体の代表者で構成する埼玉県公労使会議において、県内企業の働き方改革の推進に共同して取り組んでいます。
今年度は、7月から11月までを「働き方改革推進期間」と定め、「県内一斉ノー残業デー」や5日以上の年休の取得を呼びかけるポスターを建設現場の事務所などに掲示し、周知していただきました。
また、埼玉県公労使会議の構成団体がリレー形式で開催するセミナーでは、長時間労働の是正に取り組む県内建設事業者の好事例の紹介などを行っています。
今後も埼玉県公労使会議を通じて共同の取組を行うとともに、様々な業界団体や市町村とも連携し、県全体の働き方改革の機運を高め、土木・建設現場の長時間労働の是正につながるよう努めてまいります。

地元問題について(県土整備部長)

一級河川庄兵衛堀川の抜本的治水事業を早急に進めるべき

Q 石川忠義 議員(県民)

久喜市内の菖蒲地区、久喜地区を流れる1級河川庄兵衛堀川は、川幅が狭いゆえに消火栓の接続や下流の整備が遅れていることから、毎年、川の水が溢水し、周辺の宅地内や田畑、道路に浸水しています。地元の皆さんからは、浸水対策を進め、水に苦しめられない生活を求める要望書が知事宛てに提出されています。
県では、長期的な視点に立って庄兵衛堀川下流の隼人堀川に貯水池をつくり、昨年、一昨年はすぐに取り組める対策ということで、しゅんせつと一部低くなった堤防の補修、かさ上げなどを行いました。しかしながら、その後の状況は好転したものの、毎年、川の水は溢水しています。毎年、数回は宅地内や田畑、道路に浸水しています。
台風19号では、溢水により浸水面積が最高で70ヘクタールにも上りました。県は河川管理者として、住民の立場に立って抜本的な対策を早急に進めるべきです。これまでの庄兵衛堀川の溢水の状況をどのように把握し、対処するのか。抜本的な対策を早急に進め、長年浸水被害に苦しんでいる地域を救済するべきですが、県土整備部長の考えを伺います。
また、河川内には、破損して使用していない橋脚がいまだ取り除かれずに草などがたまり、流れを妨げているときがあります。県は河川管理者として市に早急な対策を求めるべきです。いかがか、県土整備部長の答弁をお願いします。

A 中村一之 県土整備部長

これまでの庄兵衛堀川の溢水状況を把握し、抜本的な対策を早急に進めることについてでございます。
庄兵衛堀川においては、令和元年10月の台風第19号の際、農地など約70ヘクタールが浸水する溢水被害があり、平成29年及び27年にも、同等の浸水被害が発生していることを確認しております。
県では、平成30年10月に河川・下水道事業調整協議会を久喜市に設け、既存調整池の活用も含めた治水対策を県と市で連携し、検討しているところです。
具体的には管理区分や費用負担、河川整備計画の変更など、具体的な事業スキームを踏まえた関係機関との調整を進めているところです。
県といたしましては庄兵衛堀川の浸水被害の軽減に向けて、早期に事業着手できるよう努めてまいります。
次に、使用していない橋脚の取扱いについてでございます。
御質問の橋りょうは、久喜市が管理しておりますが、廃道となったため、現在は使用されておりません。
県といたしましては、河川のスムーズな流れを確保するため、橋りょうの除却や草の除去について、市と早急に協議してまいります。

県道川越・栗橋線の渋滞解消・安全対策を進めるべき

Q 石川忠義 議員(県民)

これまでも議会で取り上げてきました。県道川越栗橋線は、久喜市内では菖蒲地区から久喜地区、鷲宮地区を通る幹線道路です。国道や県道、ほかの幹線道路との交差や工業団地、大型商業施設付近等を通過するため、朝夕や土日には渋滞著しく、地域の交通に支障を来しています。また、自動車の交通量に比べて、歩道等の安全施設が未整備な場所が多いため、通行人や住民が危険にさらされています。
これまでは、少しずつ対策をしていますが、交通量の増大に対策が追い付いていません。そこで、それぞれの改善点について、県土整備部長の考えを伺います。
まず、清久地区についてです。清久さくら通り入口交差点と六万部橋東交差点、上清久交差点の改良についてです。
この間のわずか数百メートルの通過に、10分から20分以上かかることもざらです。渋滞の改善を望む地域からの要望も届いているはずです。各交差点の渋滞対策についての考えを伺います。
また、久喜地区内の清久地区は、超大型流通施設がある上に、県道さいたま栗橋線、県道久喜騎西線等への通過点であることから、大型車が多く通行します。朝夕の交通量の増加に伴う渋滞のほか、道路もカーブし、側溝もそのまま、歩道が未整備なために危険です。歩道設置などの安全対策についての考えを伺います。
また、この区間の一部は通学路でもあり、道路をまたいでの地域上のつながりもあります。生活上の重要な役割を担っています。今後、久喜市清久地区に、県、県警ほか地元や関係者との渋滞・安全対策に関わる協議会などを設置して、対策を話し合うべきですがいかがか、考えを伺います。
菖蒲地区については、小林交差点が斜めに交差する変形交差点であることから、危険が古くから指摘されています。県でも改善を進めていますが、その見通しを伺います。
さらに、備前堀に架かる笊田橋は、歩行者用の橋を架ける工事が進められており、その後にはモラージュ菖蒲方面に歩道を延長する計画もあります。道路両側に歩道がなく、ここも自動車の交通量が多い中を歩行者や自転車が同時に通行しています。早期改善が望まれますが、見通しと現在の進捗を伺います。
最後に、市道鷲宮6号線から鷲宮体育センター北側までの安全対策、歩道設置についてです。
ここも市道と斜めに交差した変形交差点である上に、歩道が一部未整備のままです。以前の議会でも取り上げました。県として交差点の改良と歩道設置など安全対策を進めるべきですがいかがか、伺います。

A 中村一之 県土整備部長

まず、清久さくら通り入口交差点、六万部橋東交差点と上清久交差点の渋滞対策及び清久地区の歩道設置などの安全対策についてでございます。
この県道では、久喜市上清久地内に大型物流施設が立地することから、地元自治会や市、県警、開発事業者と現地を確認し、当面の安全対策や渋滞対策を実施しております。
これにより、上清久交差点に暫定的な右折帯を新設するとともに、県道東側の歩道が未整備となっている620メートル区間において、ポストコーンの設置や路面標示を行ってまいりました。
さらなる渋滞対策や歩道設置などの事業着手については、県内及び久喜市内における事業中箇所の進ちょく状況等を踏まえながら、総合的に検討してまいります。
次に、清久地区における県・県警ほか地元の関係者との渋滞・安全対策に関わる協議会などの設置についてでございます。
地元や関係者のご意見を踏まえて対策を検討していくことは大変重要であると認識しております。
このため、地元市及び県警と調整を図りながら、意見を集約する方法について十分検討を進めてまいります。
次に、小林交差点の改良についてでございますが、令和元年度は用地取得を進めており、現在、用地買収率は49%となっております。
工事を行うためには、まとまった用地が必要となりますので、まずは用地取得に努め、早期に工事着手できるよう取り組んでまいります。
次に、笊田橋から市道2号線までの260メートル区間の歩道整備につきましては、平成28年度から事業に着手しており、令和元年度は笊田橋側道橋の上部工と南側の歩道工事を進めてまいります。
引き続き、地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、北側の用地取得を進め、事業の推進に取り組んでまいります。
次に、市道鷲宮6号線から鷲宮体育センター北側までの区間の交差点改良と歩道設置などの安全対策についてでございます。
この箇所は、平成26年度に事業着手いたしましたが、事業の進捗が図れずに、現在休止となっている状況です。
このため、事業再開につきましては、地権者の皆様の御理解がいただけた段階で検討してまいります。