大野新知事の県政運営について(知事)

知事公約について

Q 江原久美子 議員(県民)

大野知事は、さきの知事選で、日本一暮らしやすい埼玉県の実現と県民の誰一人も取り残すことのない県政を訴え、第61代埼玉県知事に御就任されました。政治経験豊富な新知事の手腕に私たちも大いに期待をするところです。
これまで大野知事は、9年間にわたり参議院議員として多数の議員立法に携わり、また、内閣府大臣政務官、防衛省大臣政務官などとして活躍をされ、知事選における政策集では、12分野にわたり128項目の具体的な政策を発表されました。正に豊富な政治経験と確かな政策実行力をお持ちの方だと思います。ある国会議員は、知事選に立候補すると聞いたとき、国政の場でその力を失うことを非常に残念に思ったと述べて、大野知事を高く評価しています。
一方で、民間企業の役員として経営感覚を磨かれ、また、ライオンズクラブの歴代最年少ガバナーとしても活躍してこられました。こうした多彩な経験に裏打ちされた広い視野と経営マインドにより、埼玉県をより元気にしていただけるものと確信しています。
公約である「日本一暮らしやすい埼玉県を実現する政策集2019」も、そうした政策通である知事の広い見識と県民に寄り添う思いが強く表れているものと評価しています。政策集に掲げる人生100年プロジェクトなど5大プロジェクトは、これからの埼玉にとって必要な新たなチャレンジであると私は感じました。また、128項目の政策は、健康、結婚、出産、子育て、産業振興、危機管理、行財政改革など、幅広い分野において県政を着実に推進していこうとする堅実な姿勢を感じ取ることができます。
そこで、日本一暮らしやすい埼玉を実現するため、公約にどのように取り組んでいかれるのか、大野知事にお伺いします。

A 大野元裕 知事

本県は、これまで経済、人口ともに右肩上がりで推移してまいりましたが、間もなく人口減少に転じます。
私は、超少子高齢社会への対応を速やかに行わないと手遅れになりかねないとの強い危機感から、知事選挙に出馬したところです。
その際、「日本一暮らしやすい埼玉」を実現していくため、128項目の公約をお示しさせていただきました。
私は、知事就任直後に公約実現に向けた検討を指示し、副知事、部局長などと議論を重ねて、県行政としての「取組の方向性」を取りまとめ、公表いたしました。
その中では、5大プロジェクト、医師確保や病児保育への対応、起業家支援や農林業振興、危機管理や行財政改革などの16の重点施策をはじめ、公約の各項目にどのような方向で取り組むのかを明らかにさせていただきました。
今後は、この方向性に基づき、公約実現に向けて工程を整理することにより、すぐに取り組むもの、来年度予算を議決いただいた上で取り組むものなどに仕分けをし、具体的な取組を進めてまいります。
公約の中には、本県が今後どういう方向にかじを切っていくのかを明らかにするために、中長期的なビジョンとして示した施策もあります。
こうした中長期的な施策についても、4年間で実現までの道筋をしっかりつけたいと考えております。
また、私は公約を実現していく上で、二つの大事な理念があると考えております。
一つは、持続可能な社会を実現するための目標であるSDGsです。
「誰一人取り残さない」というSDGsの基本理念に基づき、全ての施策を推進してまいります。
もう一つは、「県民が主語」の県政運営です。
県民の皆さんの声をしっかりと聞き、施策にフィードバックさせることにより県民本位、県民が主役の県政を推進してまいります。
さらに、施策を着実に進め公約を実現していくためには、県の総力を挙げて推進していく必要があります。
そのためには、まずは県庁の組織の力を最大限に発揮させていくことが重要であります。
組織のトップである私自らが職員にビジョンを語り、目標をしっかりと共有することで組織の力を高めてまいります。
一方で、県庁のみで実現できることは、おのずと限界があります。
市町村や民間企業など、県内の様々な団体のお力をお借りすることにより、本県のポテンシャルが最大限発揮できるよう取り組んでまいります。
今、本県は人口減少、超少子高齢社会の進行など時代の転換点にあり、課題は山積しています。
私は、これらの課題を克服するため、埼玉県のリーダーとしてしっかりとかじをきり、「日本一暮らしやすい埼玉」を実現してまいります。

県民目線の県政運営について

Q 江原久美子 議員(県民)

選挙戦において、県民を主語にした県民目線の政治を推進することを強く訴え、当選されました。上田県政を経て大野知事に期待する一つとして、より開かれた県政運営の推進が挙げられます。現在は超情報化社会になっており、時代の流れも速く、県民の意識も多種多様になってきています。県民の声を正確に、そしてスピーディーに県政に生かすということは大変重要なことであると考えます。
そこで、県民を主語にした県民目線の政治を推進するため、こうした県民の声をどのように取り入れていくのか、知事の取組を伺います。
ところで、地元の声を聞くと、県南と県北の格差を嘆く声を耳にします。もちろん地元愛にはあふれていますし、県北の魅力はたくさんあります。しかし、県北の人口減少が止まりません。景況感はどうなのか、空き家が増えている、大手企業の撤退、働く場所がない、医師、看護師が不足し、ベッドがあるのに使われない病室、公共交通網の利便性が良くない、採算性に合わないバス路線の廃止、県北から県南へ流出する高校生の多さ。もちろん感覚的なことや感じ方に個人差はあると思います。しかし、私たちは日々の生活の中で明らかに南北格差があると感じています。
個別の政策を打っていくことはもちろん大切です。しかし、例えば県庁舎の中枢部門を県北へ移転するなどといった思い切った策をとらない限り、根本的な格差はなくならないとも思っています。
そこで、伺います。知事は「どの地域も取り残すことのない社会を作る」と知事就任の御挨拶の中で述べられました。こうした県北住民の声に応える知事の南北格差の解消に向けた決意をお聞かせください。

A 大野元裕 知事

県民の声をどのように取り入れていくかについてでございます。
本県では、高齢者世帯や単身世帯の孤立、若年層の格差の拡大、地域によっては空き家や商店街のシャッター通り化など、様々な課題が山積しています。
私は選挙期間中、こうした課題を背景とした漠然とした不安の声や将来への懸念の声を数多くお伺いし、県民の声を真摯に受け止め、待ったなしの課題に早急に取り組む必要があると強く実感をいたしました。
本県では、これまでも県民の生活意識などを把握する県政世論調査や、県民から県政に関する提案を知事に直接いただく制度を設け、県民の皆様の声を県政に生かす取組を行ってまいりました。
私は、こうした取組に加え、自ら現場に出向き、県民の多様な意見を直接お伺いをする「どこでも知事室」を新たに実施しようと考えております。
「どこでも知事室」は、県政全般や各地域に関わる課題などのほか、重点的に取り組むとした公約につきましても率直な意見交換を行い、課題解決のための処方箋としてまいります。
また、県民目線の県政を実効性あるものとするためには、知事と職員とが同一の目的とビジョンを共有し、県庁組織が一丸となっていくことが不可欠です。
そのためにも、県民の声を的確に県政に生かすという私の考えを、職員一人一人に徹底させることが必要だと考えております。
私の思いは、県政運営に当たり、多くの県民の利益が最大になることを、全ての判断基準として常に意識していくことにあります。
早速、今月には、子どもの居場所づくりなどに精力的に取り組まれている皆様と直接お話をさせていただき、県政に生かせるものはスピード感を持って生かしていきたいと考えています。
このような現場主義を貫き、県民目線の県政運営にしっかりと取り組んでまいります。
次に、南北格差の解消に向けた決意についてでございます。
議員御指摘の人口減少や医師・看護師の不足など、北部地域を取り巻く環境が厳しいことは、知事就任以降も、改めて深く認識をいたしております。
このように江原議員が取り組まれてこられた課題をはじめとする多くの問題は南部地域などに比べ北部地域の方がより早く顕在化し、急激に深刻化しています。
このような状況を踏まえ、私は「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を県政運営に積極的に取り入れることを公約として掲げ、「どの地域も取り残すことのない」社会を目指して政策を進めてまいります。
先日公表した「知事公約に関する取組の方向性」でも、北部地域の基幹産業である農林業の振興や、商店街の支援などの項目を重点施策と位置付けました。
加えて、北部地域で懸念されている深刻な医師不足への対応も重点施策に掲げました。
これらの施策にしっかりと取り組んでまいります。
また、私は、北部地域は南部地域などにはない様々な魅力や特性があり、大きく発展する高いポテンシャルを有していると考えております。
例えば農業分野においては、熊谷市や深谷市を中心とする北部地域は全国有数の大産地であり、本県が全国トップクラスの産出額を誇るネギ、ブロッコリー、ホウレンソウの多くを生産しています。
北部地域の農業産出額は約705億円に上り、県内の10圏域の中で第1位となっています。
また、輸送用機械や化学工業などを中心に製造業も盛んです。製造品出荷額は約2兆4,000億円に上り、こちらも10圏域の中で第1位であります。
今、北部地域は国内外から高い注目を集めています。
熊谷市では、ラグビーワールドカップ2019が開催されており、世界中から多くの人が訪れています。
また、新1万円札の新たな顔に決まった深谷市出身の偉人、渋沢栄一翁の大河ドラマが再来年にスタートいたします。
このように、北部地域をはじめ各地域はそれぞれ特性や魅力を持っており、地域を活性化していくためには、こうした特性や魅力を更に高めていくことが重要だと思います。
私は北部地域の皆様の声にもしっかりと耳を傾け、北部地域の課題解決に積極的に取り組むとともに、それぞれの地域の良いところを更に伸ばし、バランスのとれた魅力ある地域づくり埼玉県づくりに全力で取り組んでまいります。

渋沢栄一をブームで終わらせないについて(知事、産業労働部長)

Q 江原久美子 議員(県民)

渋沢栄一が沸騰しています。渋沢栄一は、明治から昭和の初めにかけて日本経済の基礎を作った日本の実業家です。また、資本主義の考え方を日本に広めただけでなく、小さな資本を集約し、経済を動かす大きな成長資金になる銀行という仕組みを作ったことも大きな功績の一つと言えます。第一国立銀行、現在のみずほ銀行や王子製紙、現在の王子ホールディングス、東京海上保険、帝国ホテルなど多くの企業の設立に関わって、その数は500以上に上り、「近代資本主義の父」と言われています。関わった事業が多いため、逆に一言で説明できないことが知名度の低さにつながっているのかもしれません。
しかし、「道徳経済合一説」などはとても有名で、多くの経営者のバイブルとなっています。また、講演録である「論語と算盤」は日本ハムの栗山監督の愛読書であることなどからも、渋沢栄一は現在もなお経済人、文化人、スポーツ選手などの各界の人たちに大きな影響を与えています。
キャッシュレス化が進んでいますが、今回、実に40年ぶりの新1万円札の肖像に選ばれました。このことからも国家的な評価を得られている証と言えますし、何よりお札として初めての経済人として選ばれたことに大きな意味と高い評価がうかがえ、正に国家的英雄だと思います。
また、先月には、NHKの大河ドラマ「青天を衝け」では、渋沢栄一の生涯が描かれることになり、地元深谷市では、ゴールデンウイークには例年の何倍もの観光客が押し寄せ、うれしい悲鳴を上げていました。深谷市は、栄一ゆかりの団体である東京商工会議所、東京都北区渋沢栄一記念財団、深谷商工会議所、深谷市商工会の間で包括連携協定を結び、具体的な事業を展開していくこととなっています。また、深谷市独自の事業においても、渋沢栄一翁一色と言ってもいいほどです。
翻って、県内では、その功績の割に理解が進んでいないと感じることがあります。県では、渋沢栄一賞、渋沢栄一ビジネス大賞なども行っていますが、そんな評価でいいのかなと思います。深谷の渋沢栄一なのでしょうか。1万円札になる方です。郷土が誇る日本の英雄に対する敬意が少し足りないのではないかと少し残念に思います。
また、知事は、「紙幣に続き、大河ドラマ60作品目の節目で栄一翁が大ブレイクし、埼玉の魅力を発信してくれることに期待している」とのコメントを出されていますが、むしろ今こそ県を挙げて、日本を代表する埼玉県の郷土の英雄である渋沢栄一の功績を語り継ぎ、多くの皆さんに理解してもらうことが必要だと思います。
お札や大河ドラマでブームは起こりますが、いっときのブームではなく、繰り返しますが、将来にわたり埼玉県の英雄の功績を語り継ぐ責任があると考えています。大河ドラマは2021年です。その前後は大いに盛り上がることは確実です。県の観光振興として、渋沢栄一を軸にロケ地巡りや埼玉県北部の埼玉県三偉人巡り、周遊観光などはいかがでしょうか。功績やゆかりの地を巡ることにより、より理解が深まると思います。
会派では、栄一がまちづくりに尽力した北海道清水町に伺いました。我々の訪問は新聞記事にもなりましたが、既に栄一翁で大いに盛り上がっていました。お札になるのは2024年の上期ですから、それに合わせて渋沢栄一ゆかりの市町村や関係団体などが大集合し、新1万円札発行記念のビッグイベントを開催するのはいかがでしょうか。
また、日本の渋沢栄一なのですから、日本遺産に登録を考えてはいかがでしょうか。さらには、現在、深谷市にある公民館に併設されている渋沢栄一記念館を県が新施設としてリニューアルするのはいかがでしょうか。県が誇る偉人であり、その功績を深く理解してもらい、後世に伝えるべき役割が埼玉県にあると思います。
4点の提案をいたしましたが、ブームに乗っていくことはもちろんのこと、埼玉県が渋沢栄一の功績を一過性で終わらせることなく後世に伝えるべき、そして、それは埼玉県の地域経済に貢献すると考えます。
そこで、まず知事に伺います。渋沢栄一翁をどのように評価されますか。また、先ほど幾つかの提案をさせていただきました。それらも含め、県としての観光・経済振興など、今後の取組について産業労働部長に見解を伺います。

A 大野元裕 知事

郷土の偉人である渋沢栄一翁が新1万円札の顔になることが発表されたことに続き、NHK大河ドラマ「晴天を衝け」の主人公に決定したことは、県としても二重の喜びであり、大変うれしく思っております。
御存じのとおり、渋沢翁は、武蔵国血洗島村、現在の深谷市の農家にお生まれになりました。
自らも「血洗島の農夫」とおっしゃっておられたように、藩閥出身ではないにもかかわらず、明治の元勲にも肩を並べる大きな功績を残され、評価を受けておられます。
渋沢翁は、著書「論語と算盤」の中で「真の富とは道徳に基づくものでなければ決して永くは続かない」と述べておられ、生涯で500を超える企業の設立や運営に関わりました。
関係された多くの企業が現在でもなお日本経済をけん引していることは皆様御存じのとおりであります。
同時に、企業の目的は利潤の追求にあるとしても、その利益を社会に還元することを訴え、福祉、教育など約600もの公益事業に尽力するなど、企業のあるべき姿を求め続けました。
晩年は、アメリカの青い目の人形と日本の市松人形の交換などを通じ、民間外交にも力を注がれるなど、世界平和にも貢献し、ノーベル平和賞の候補にも2度選ばれておられます。
経営学の父と呼ばれるピーター・ドラッカーは、その著書「マネジメント」において、「渋沢栄一は世界の誰よりも早く、経営の本質は責任にほかならないということを見抜いていた。」と述べておられます。
こうしたことから、渋沢翁は、近代日本の礎を築いた最大の指導者、実践者であると同時に、優れた思想家の一人であると考えています。
渋沢翁が唱えた「論語と算盤」の精神は、経済成長と環境や社会との調和を図るSDGsの精神そのものであると同時に、コンプライアンスを含む社会における企業の役割を体現していると考えています。
企業倫理が問われる今日、渋沢翁が改めて評価されているのは、時代が渋沢翁の精神を求めているからであり、国内はもとより国際的にも評価されるべき偉人であると私は考えております。

A 加藤和男 産業労働部長

県としての観光、経済振興などの今後の取組についてお答えを申し上げます。
ひとりの人物が大河ドラマの主人公となり、かつ、紙幣の「顔」になることは過去に例のない、大変大きな出来事です。
このビッグチャンスを観光振興や経済振興に生かすことは大変重要なことだと考えております。
まず、議員御提案の「ロケ地巡り」や「埼玉県の三偉人巡り」についてでございます。
ロケ地巡りは、作品の登場人物になった気分を味わうことができ、作品に対する理解を深めることができることから、大変人気のある観光メニューです。
印象的なシーンの撮影が地元で行われ全国に向けて放映されれば、より注目度が高まり、放映後にロケ地や渋沢栄一翁ゆかりのスポットに全国から多くの方の来訪が期待できます。
これにより、観光消費額の増加や地元並びに埼玉県のイメージの向上にもつながります。
まずは、より多くの撮影が県内で行われますようNHKに対し早い段階から強く働き掛けてまいりますとともに、制作担当者とのきめ細かな対応にも努めてまいります。
また、議員お話のとおり渋沢栄一翁を含めた埼玉県の三偉人はすべて県北出身であり、ゆかりのスポットを巡る周遊観光を促進することは、県北地域の広い範囲の観光振興に大きく寄与するものと考えます。
地域の食や酒を楽しむ提案を効果的に組み合わせ、地域経済の活性化に貢献するものにしてまいります。
まずは、昨年旅行業の免許を取得した埼玉県物産観光協会が主体となり、魅力的な「三偉人巡り」の企画・提案に取り組んでまいります。
あわせて、旅行商品の商談を行うトラベルマートなどを通じて一般の旅行業者に働き掛け、都内などから多くの来訪者の参加が可能となる三偉人関連の旅行商品の開発につなげてまいります。
新1万円札発行記念のイベントを開催することについても御提案をいただきました。
大河ドラマの放映や新1万円札の発行の機会を捉えたイベントの開催は多くの方の参加が見込まれ効果が高いと考えます。
観光振興の観点から近隣市町村への波及効果も考慮しながら、まずは地元深谷市とどのような取組ができるか検討してまいります。
これ以外にも「日本遺産への登録」や「渋沢栄一記念館のリニューアル」の御提案をいただきました。
地元での議論や取組などを踏まえ、県関係部局と課題の整理を行ってまいります。
また、渋沢栄一翁は日本を代表する経済人であることから、本県以外の自治体にも関わりがあります。
近隣自治体とも連携をし、渋沢栄一翁にスポットを当てたより広域的な観光振興にも取り組んでまいります。
この好機をしっかりと捉え、一過性のブームとせず県北地域はもとより、県全体の観光振興や経済振興につなげられるよう、深谷市をはじめ関係自治体とも一体となって積極的に取り組んでまいります。

ICT戦略の推進について(企画財政部長)

Q 江原久美子 議員(県民)

日本のみならず、埼玉県でも人口は減少し、今後生産年齢人口は大幅に減少する見込みです。しかし、自治体は変わることなく県民の多様なニーズに応えなければなりません。もちろん、国もスマート技術を活用した自治体事務の高度化、効率化を行っています。自治体共有の事務は相当数存在するものの、現在は各自治体がそれぞれ個別にスマート化に取り組んでいるため、非効率な状況が続いているからです。また一方で、ソフトウェア業界にも、いわゆる昭和100年問題やERPのサポート切れなどにより、IT予算が現行ビジネスの維持・運用に平均約8割が配分されているとの報告があり、ソフトウェア業界全体も「2025年の壁」と言われる構造的な問題があります。
埼玉県では、庁内の業務のスマート化について、RPAでは平成30年度に4課15業務に導入し、また、音声認識技術を用いた議事録作成支援システムの導入や、総務事務システムにおいてもAI自動応答サービスの導入を行っています。予算的にも前年度14億、今年度15億が投入されています。
一方、県内の市町村では、埼玉県町村会において、平成25年度から基幹系システムの共同化を行っています。しかしながら、AIやRPA等の新技術はもちろん、クラウドの利用などについても検討に至っていない市町村があるというのも実情です。
そこで、企画財政部長に伺います。今年7月にスマート自治体推進会議が行われ、県内全ての市町村の担当者が参加したと聞いています。この会議では、県が今後取り組む市町村システムにおける共同クラウド化事業などについての説明があったとのことですが、市町村共同クラウドを導入する目的は何か、また、導入により市町村の業務がどのように効率化するのか伺います。
また、市町村におけるシステムのクラウド化や共同化は既に取組を開始しているところや検討に着手しているところもありますが、担当者や情報量の不足などにより、なかなか取組が進まない市町村もある、状況も様々であると伺っています。
まずは、タイムスケジュールはもちろんのこと、県は個々の市町村の状況に応じたきめ細やかで速やかな情報提供を行うことが必要と考えますが、見解を伺います。
さらに、システムの共同化・標準化については、国でも検討が進められていると聞いています。総務省が8月に実施した自治体システム等標準化検討会では、自治体の情報システムの標準化・共同化について、自治体、事業者及び国が協力して具体的な検討を行うとしています。県の取組がこの国の取組と重複しないのかを伺います。

A 石川英寛 企画財政部長

まず、市町村共同クラウドを導入する目的は何か。また、導入により市町村の業務がどのように効率化するのかについてでございます。
市町村共同クラウドは、県内市町村の情報システムを集約するための専用の基盤であり、ICT費用の削減と業務の効率化、セキュリティ水準の向上を目的としています。
具体的には、ネットワークの構築やサーバー機器の調達など、これまで市町村ごとに行っていたものを県が一括して行うことにより、経費を削減します。
また、クラウドのサーバー等を県が一括して管理するため、市町村職員の負担を大幅に軽減でき、システム管理業務を効率化することができます。
さらに、市町村単独では高額で導入が困難な優れたセキュリティ機器も整備する予定であり、セキュリティ水準が向上します。
次に、県が個々の市町村の状況に応じたきめ細やかで速やかな情報提供を行うことについてでございます。
県では、本年8月、各市町村がどの情報システムについて共同化の意向があるのか、全市町村に対し調査を行ったところです。
この意向調査により、市町村によって共同化の意向のある情報システムの種類・規模や共同化に移行する時期などが様々に異なることが分かりました。
こうした市町村ごとの状況を踏まえ、必要な情報を速やかに提供した上で、実現すべきシステムの能力や共同化のスケジュール等について、県と全市町村からなるスマート自治体推進会議等において丁寧に検討してまいります。
また、取組や検討が進んでいない市町村に対しては、他の市町村の取組状況等を情報提供し、個別の相談を行うなど、きめ細かく支援してまいります。
次に、国の自治体情報システムの標準化・共同化の取組と重複しないのかについてでございます。
国では、住民の生活に密接に関わり、全国一律に事務処理を行うシステムを優先して、共同化や手続の標準化に取り組むと聞いております。
県では、全国一律ではなく、県内の複数市町村で事務処理を行うものを共同化の対象としていきたいと考えております。
例えば、AIを活用して住民からの問合せに自動応答するシステムなどを当面の検討対象と考えております。
県としては、国の検討状況を注視した上で、重複することのないよう取組を進めてまいります。

台風15号とこれまでの災害の教訓について(危機管理防災部長)

Q 江原久美子 議員(県民)

状況は落ち着いてきてはいるものの、まだまだ大変な重い状況の中で、そんな生活を余儀なくされ、さらに追い打ちをかける台風17号による被害が出ているようで、心が痛みます。被災された皆様が一日でも早く日常を取り戻せるよう、心よりお祈りを申し上げます。
一方で、今回の予想を超えた災害ではありましたが、結果として行政の後手後手の対応が、マスコミをはじめ既に数多く指摘されています。
大規模災害時には、被災市町村からの支援要請が基本です。もちろん被災状況にもよりますが、今回、小さな自治体ほど市民の対応に追われ、被害状況を把握できなかったり、そもそも通信網が断絶した被害地域からは被害の報告が出せなかったため、県の支援が受けられなかった事案が多数発生しました。そういった手が足りない自治体に対してこそ、県から手を差し伸べるようなプッシュ型の支援は必要だと考えます。
防災基本計画では、県の役割として、被災市町村の体制、資機材のみでは不足すると見込まれる場合に必要な支援を行うことが掲げられています。しかし、今回、病院用に保管していたとの報道もありますが、千葉県保有の備蓄品である非常用の発電機のうち、ほぼ半分にわたる250台は倉庫に眠ったままという事態が発生したように、県が保管していることが市町村に十分認識されていなかったため、結果的に市町村からの要請依頼がないことでこのような事態が発生してしまいました。
そこで、伺います。県の災害対応能力向上の観点からも、市町村が持っている備蓄品と県の備蓄品の把握が必要だと考えます。これは一方ではなく、相互に情報を把握し、共有していなければ意味がないと考えますが、県の現状について、危機管理防災部長に伺います。
これまでも日本全国で起きた災害は教訓にされ、全国各地で様々な対策や改善が図られてきました。阪神・淡路大震災では、倒壊の被害の大きさから耐震化が強化され、東日本大震災では、津波や水の恐ろしさが認識され、堤防や河川対策が行われました。埼玉県では、平成25年に発生した竜巻被害を踏まえて、県と県内全市町村共同による独自の人的相互応援制度を創設し、翌平成26年の大雪災害を契機に検討を始め、同年12月には地域防災計画に雪害対策を加え、バージョンアップしていることは高く評価しています。しかし、今までのいわゆる災害の種類によって対策を講じるだけではカバーし切れない被害が散見されるようになりました。
平成28年の熊本地震では、被災が長期化することによる、いわゆる関連死が問題となりました。関連死とは、災害に伴う過労や環境悪化などによる病死などで、内科的死因に基づく死と規定されています。熊本地震では、直接死は50人、災害関連死は215人と、何と全体の死者の80%が関連死という驚愕の事実が突きつけられ、近年の台風災害でも関連死が発生しています。災害が長期化することによって引き起こされる関連死のほうが圧倒的に多いといった課題が生まれているのです。
そこで、伺います。先ほど説明しました関連死対策こそ、今後の地域防災計画に盛り込むべきと考えますが、危機管理防災部長に見解を伺います。
また、関連死については、市町村の審査会がそれぞれ独自の基準で決定しています。地域の差が出ないよう、県として統一した一定の基準が必要だと考えますが、併せて危機管理防災部長に見解を伺います。
次に、地域防災計画の整合性について伺います。
埼玉県下の市町村は、それぞれ地域防災計画を作成しています。しかし、先ほど来お伝えしている大規模災害は広域にわたる被害であるとともに、今までは各市町村内で完結している現在の地域防災計画ではカバーできない状況が想定されます。
例えば、埼玉県で想定される洪水被害などで水没することが想定される自治体では、隣接の市に避難しなければならない状況が起こるでしょう。しかし、隣接市に避難する計画をしていても、当該隣接市はその計画自体を知らないので対応ができないといったことがないようにすべきだと思います。
また、地理的に当該市より隣接地に避難をしたほうが良い場合や、被災している市が被災していない市の避難所を造ることも想定されます。今までは各市町村で対応することが基本でしたが、これからは今述べたような新しい視点も必要だと考えます。そのとき、各自治体が作成した防災計画の内容について整合性を図り、調整をする必要があります。市域をまたいだ避難の可能性があるからこそ、県がその調整役をし、取りまとめるべきと考えますが、危機管理防災部長に見解を伺います。
もちろん、災害そのものやその後の対応について、丁寧できめ細やかな検証は必要です。今後検証結果も出てくるでしょう。菅原経済産業大臣が今回の停電を受けて、電柱の強度を見直すとの報道もあり、電力設備が大きく取り上げられていますが、電線の地中化を含めた電力設備だけでなく、森林管理やまちの看板類など、ほかの設備の強度も見直さなければ、効果が限定的になると思います。
最後に、検証結果を更に埼玉の地域防災計画に反映・改善していただくことについて、危機管理防災部長に見解を伺います。

A 森尾博之 危機管理防災部長

まず、県及び市町村の備蓄品の情報共有についてでございます。
県では毎年、市町村に対して、備蓄物資の調査を行い、その品目と数量を把握するようにしております。
一方、県が備蓄する食料や生活必需品、発電機などの主な防災用資機材について、地域防災計画の資料編の中で公表はしておりますが、十分に市町村と共有されているとは言い難い状況にございます。
県と市町村を結ぶ災害オペレーション支援システムに県の備蓄品の情報を表示し、しっかりと共有できるようにしてまいります。
次に、関連死対策を今後の地域防災計画に盛り込むことについてでございます。
大規模災害は、発災後、長期間にわたって生活基盤が麻痺することが予想されます。
議員御指摘のように、発災時には助かった命が避難に伴う身体的・精神的疲労や生活環境の悪化により関連死という形で失われてしまう恐れがございます。
現在、地域防災計画では、避難者の心のケアを含めた健康管理やプライバシーの確保といった生活環境への配慮などを定めております。
今後、例えばエコノミークラス症候群を予防する弾性ストッキングや段ボールベッドの活用など、関連死を防ぐ具体的な対策についても計画に盛り込んでまいります。
次に、関連死認定の県としての統一基準についてでございます。
関連死の認定につきましては、全国の自治体で共通する問題でもございますので、国において一定の基準を示すことが望ましいものと考えております。
今後、国では東日本大震災や熊本地震等の過去の災害関連死の認定例や、判例等を収集、分析し、整理した上で公表する予定と聞いております。
こうした国の動きも踏まえながら、市町村と意見を交換してまいります。
次に、各自治体の防災計画を県が調整することについてでございます。
平成30年7月豪雨では、倉敷市真備町の被害が甚大だったことから、隣接する総社市は市内の避難所に真備町の被災者を数多く受け入れたという事例がございました。
大規模災害に備え、市町村の区域を越えた対応も想定しておく必要がございます。
例えば、県内では、川島町は上尾市、桶川市、北本市の3市と災害時に避難所などを相互に利用する協定を締結し、地域防災計画に反映させております。
広域避難など市町村間での調整を必要とする場合、県としても積極的に関わり、それぞれの計画の整合が図られるようにしてまいります。
次に、台風15号に関する災害とその対応の検証結果を県の地域防災計画に反映、改善することについてでございます。
台風15号による記録的な暴風は、大規模停電や広範囲にわたる住家被害をはじめ、生活全般に深刻な影響をもたらしました。
今回の災害を通じて、多くの学ぶべき教訓があると考えております。
今後、国や千葉県による検証結果を本県の地域防災計画に反映させ、災害対応力の強化につなげてまいります。

森林経営管理制度の取組について(農林部長)

Q 江原久美子 議員(県民)

本年4月より施行された森林経営管理法、その趣旨は、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図るために、市町村を介して林業経営意欲の低い小規模零細な森林所有者の経営を意欲と能力のある林業経営者につなぐことで、林業経営の集積・集約化を図るとともに、経済的に成り立たない森林については、市町村が自ら経営管理を行う仕組みを構築する必要があるというものです。そのために新たな仕組みが講じられることになります。
一つは、森林所有者に適切な経営管理を促すため、経営管理の責務を明確化するとともに、森林所有者自らが経営管理を実行できない場合に、市町村が経営管理の委託を受け、意欲と能力のある森林経営者に再委託をする。そして再委託できない森林及び再委託に至るまでの間、森林は市町村が経営管理を行うことになります。つまり、この森林管理制度の下では、所有者が管理できない森林について管理する権利を市町村に設定し、市町村は採算ベースに乗りそうな森林は意欲と能力のある林業経営者に管理を委託し、採算ベースに乗らない森林は市町村自らが管理するということです。
この新制度については、問題点が様々議論されているところですが、現実的には既に施行されているため、市町村は対応を始めているところだと聞いています。今後、実際に林業に適した森林がどれぐらい出てくるのか、また、条件に照らして林業経営に適さない森林がどれだけあるのかは不確定ではありますが、仮に再委託できない、いわゆる不採算森林を市町村が継続的に経営管理を行うことは、森林環境譲与税の一部を充当できるとはいえ、大変な状況や財政負担を生み出すことになると思います。
そこで、森林経営管理制度の運用に当たり、埼玉県として人材不足の実施主体である市町村をどのようにバックアップしていくのか、特に市町村が経営管理することになった場合、どのような支援を行うのか、農林部長に伺います。また、市町村職員の林業関係実務は様々あると思いますが、実施研修を含む技術の習得などの機会はどうなっているのか、農林部長に伺います。

A 牧 千瑞 農林部長

まず、「人材不足の市町村をどうバックアップしていくのか、特に市町村が経営管理することになった場合どのような支援を行うのか。」についてでございます。
森林経営管理法の施行に伴い、森林所有者への適切な森林管理の働きかけや、森林所有者自らが森林管理ができない場合の経営管理など、市町村の果たす役割が多くなりました。
同時に、県は市町村に対し、経営管理に関し必要な助言、指導、情報の提供などを行うよう努めることとなっています。
議員お話しのとおり、県内の市町村には、林業の技術系職員が少ないという実態があります。
そこで県では、まずはこの新しい森林経営管理制度をしっかりと理解していただくために、市町村職員を対象にした研修会を昨年度から今年度にかけ5回開催しました。
さらに、森林経営に関する森林所有者の意向調査の実施状況など、個々の市町村の取組状況を定期的に把握した上で、必要な指導、助言を随時行っております。
また、今年度から県に交付される森林環境譲与税を活用して、森林管理業務を円滑に進めるために間伐などの作業履歴をとりまとめ、森林位置情報とリンクさせ、その図面等を市町村へ提供することとしました。
このような取組を通じ、森林の経営管理における市町村への支援に努めてまいります。
次に、「市町村職員への林業関係実務の習得機会について」でございます。
今後、森林経営管理制度を円滑に進めるにあたって、植林や間伐など森林管理についての知識が不可欠です。
そのため、県では市町村職員に対し、林業関係の実務を様々なレベルや分野に応じて習得できる機会を設けています。
平成29年度からは、森林・林業の基本的な知識を身につけてもらうための初任者研修を実施しています。
また、少人数でも正確に木の高さや太さを調査できるレーザー測量の操作研修を導入するなどして、経験の浅い市町村職員でも森林調査が行えるよう取り組んでいます。
さらに、植林・間伐など森林整備に役立ててもらうため、林野庁が主催する林業技術の実務研修の受講について市町村に働き掛けています。
県といたしましては、こうした取組を通じ、市町村職員の技術の習得と技術力向上に向けしっかりと支援してまいります。

介護人材の確保について(福祉部長)

Q 江原久美子 議員(県民)

人材不足はあらゆる業界において課題となっています。特に本県は日本一急速に高齢化が進む県であり、もちろん健康長寿埼玉プロジェクトや働くシニア応援プロジェクトなどにより大きな成果を上げていることは評価しておりますが、それでもなお、県民一人一人が必要な介護サービスを受けられるよう、介護人材を確保することは喫緊の、そして将来的な課題でもあると思います。
介護人材確保では、離職対策も大変大切な取組の一つですが、様々な角度から人材を発掘・定着させていかないと、今後ますます人材不足が懸念されます。
介護労働安定センターが毎年行っている介護労働実態調査でも、実に6割を超える介護事業者が従業員の不足感を感じているという結果も出ています。また、介護職は産業全体と比べて離職率が高いことも課題です。埼玉県の産業全体の離職率が10.9%である一方で、介護職の離職率は16.8%であり、こうした状況も人手不足を助長しています。
私も介護事業所の関係者の方から人手不足というお話を伺うことがあり、介護サービスを安定的に提供するためには、介護サービスの担い手である介護人材の確保は待ったなしの状況であると考えています。
6月定例会において、確保・定着、介護のイメージアップという三つの視点で介護人材の確保に取り組んでいるとの答弁がありました。また、平成25年2月から介護職員しっかり応援プロジェクトを関係団体の方々の協力の下に立ち上げ、介護人材確保・定着推進協議会などを設置し、運営していることも承知しています。
そこで、まず、現在の介護人材確保について、県はどのような取組を行ってきたのか、福祉部長に伺います。
次に、介護人材確保を考える上で、外国人介護人材の受入れが注目され、国としての取組も始まっているところです。国は、外国人介護人材を確保するため、平成20年からは経済連携協定、いわゆるEPA、在留資格介護技能実習生制度などで取り組み、本年4月からは在留資格特定技能一号の制度を新設したところです。今後の介護ニーズの爆発的な増加の見通しと介護人材確保の厳しい現状を考えると、外国人介護人材の活用も有効な手段の一つになると思います。
そこで、将来的には介護業界に多くの外国人が日本に入ってくると考えますが、県として今後どのように外国人介護人材の受入れの支援を行っていくのか、福祉部長に伺います。

A 知久清志 福祉部長

介護人材確保について県はどのような取組を行ってきたのか、についてお答えを申し上げます。
これまで県では介護人材の「確保」「定着」「介護のイメージアップ」という三つの視点で事業に取り組んできました。
介護人材の「確保」では、介護未経験者の方などに初任者研修を受講していただき、就労体験を経た上で介護事業所とのマッチングを行っており、平成30年度は291人の方が介護事業所に就職しました。
また、高齢者を対象に介護助手として働いていただく事業にも取り組んでおり、平成30年度は148人の方が就労に結びついております。
介護人材の「定着」では、職員の負担軽減のため、介護事業所における介護ロボットの購入の補助を行うなど、積極的な導入を働きかけています。
また、介護福祉士の資格取得に係る補助を行い、平成30年度は224人の支援をするなど、キャリア・アップ支援に取り組んでいます。
「介護のイメージアップ」では、職員のやり甲斐を高める取組や介護の仕事の魅力を伝える取組を進めてきました。
特に、介護の魅力PR隊は、介護現場の一線で活躍する職員が中学校や高校で出張介護授業を行い、生徒からは福祉の仕事に興味を持ったなどの声をいただいております。
今後も効果的な施策を検討、実施することで介護人材の確保に全力で取り組んでまいります。
次に、今後どのように外国人介護人材の受入れ支援を行っていくのか、についてでございます。
介護労働安定センターの介護労働実態調査では県内の介護事業所の約17%が外国人介護人材を活用する予定があるとしています。
県としては、外国人介護人材の受入れを希望している介護事業所に対し、受入れが円滑に進むよう支援を行う必要があると考えています。
介護事業所では、言葉の違いなどから利用者との意思疎通や介護記録の作成への懸念があるため、日本語の支援を行う必要があり、大きな負担となっております。
そこで、今年度から、技能実習生などを受け入れる介護事業所に対し、日本語教育などに係る経費の一部を補助する制度を創設したところです。
県としては埼玉県老人福祉施設協議会、埼玉県介護老人保健施設協会などの関係団体で構成する介護人材確保対策検討委員会などを通じて現場の声を丁寧に聞きながら引き続き検討してまいります。

地元問題について(県土整備部長)

県道赤浜小川線のバイパス整備について

Q 江原久美子 議員(県民)

寄居町には本田技研工業株式会社の埼玉製作所寄居工場が立地しており、ホンダはこの工場を次世代グローバルマザー工場と位置付け、海外の自動車生産拠点に向け、競争力のある量産技術の発信を目指していると聞いています。また、狭山工場の機能を寄居に集約するとの報道もなされています。
現在、寄居工場の主要なアクセス道路となっている国道254号バイパスは、朝夕の通勤・通学時間帯を中心に交通混雑が発生しています。国道254号に集中する交通量の分散化のため、県と寄居町及び小川町で連携し、寄居町富田と小川町下横田をつなぐ新たな道路の整備を進めていただいておりますが、いまだ開通しておりません。今後、狭山工場に勤務されていた従業員の方々が寄居工場へ転勤となると、国道254号バイパスの混雑が更に厳しくなることが想定されます。
そこで、県が新たな道路として整備を進めている県道赤浜小川線バイパスの進捗状況と今後の見通しについて県土整備部長に伺います。

A 中村一之 県土整備部長

現在、国道254号バイパスの混雑緩和のため、寄居町富田と小川町下横田を結ぶ延長約6.3キロメートルの新たな道路を県と寄居町、小川町がそれぞれ区間を分担して整備を進めております。
この新たな道路のうち寄居町富田から牟礼までの約1.4キロメートル区間を県道赤浜小川線のバイパスとして、また小川町高谷から下横田までの約1.9キロメートル区間を県道本田小川線のバイパスとして県が整備を進めております。
御質問の県道赤浜小川線バイパスにつきましては、用地買収率が現在47%となっており、令和元年度は一部区間の工事も実施しております。
今後も地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら残る用地取得や工事を進め、早期に開通できるよう努めてまいります。

県道赤浜小川線の歩道整備について

Q 江原久美子 議員(県民)

この県道は、国道254号にアクセスする県道としての役割を果たす一方で、地域の生活道路として地元の皆様の安心で安全な役割を担っていく大切な道路です。現在、寄居町道567号線から寄居カントリークラブ入り口までの区間は、歩道が一部あるものの、歩道がない区間も多く存在し、地元から早期整備を望む声が私の下にも届いています。
そこで、県道赤浜小川線の歩道整備の進捗状況と今後の見通しについて県土整備部長に伺います。

A 中村一之 県土整備部長

県道赤浜小川線の町道567号線から寄居カントリークラブ入口までの歩道整備については、390メートルの区間のうち町道567号から220メートル区間は東側に歩道が整備されております。
残る区間については平成30年度に路線測量と詳細設計を行い、令和元年度は地元説明会を開催し、用地測量を行ってまいります。
今後は地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、用地取得を進め、事業の推進に取り組んでまいります。