今後の新型コロナウイルス感染症対策について(知事)
医療体制の強化について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
世界中で感染拡大されている新型コロナウイルス感染症ですが、いまだ有効な治療薬が確立されておらず、埼玉県でも感染が確認された方が1,000名を超え、残念ながら命を落とされた方もいらっしゃいます。心から御冥福をお祈りいたします。そして、最前線で昼夜問わず御尽力して下さっている医療従事者、関係者の皆様に心から感謝申し上げます。
本県では、緊急事態宣言が5月25日に解除となりましたが、これまでのような日常生活を取り戻すには時間がかかります。第2波、第3波への備えも必要であり、新しい生活様式での暮らしを積極的に進めていかなくてはなりません。これまで本県では知事をはじめ、執行部の皆様の御尽力で、新型コロナウイルス感染症対策として様々な施策が講じられましたが、県民の命と暮らしを守っていくために、より一層な支援を行っていかなくてはなりません。
そこで、知事にお伺いいたします。
まず、医療体制の強化についてお聞きいたします。
本県は、人口に比べ医師の数が少ない状況です。また、感染症指定医療機関については県内のバランスが悪く、県南部にはほとんどございません。第2波、第3波に備えるとともに、来年のオリンピック・パラリンピック開催に向けた感染症対策としても、医師や感染症指定医療機関を早急に増やしていく必要があると考えますが、御所見をお答えください。
A 大野元裕 知事
医師数につきましては、将来に向けて増員が必要と考えておりますが、新たに医師を養成するには一定の期間がかかります。
また、感染症指定医療機関につきましては、県全体では国の基準で病床数64床が必要とされているところ、75床を既に確保しております。
他方、当座の対策として県内の医師に感染症の診療に必要な専門知識や技術を修得していただくことで、感染症に対応する能力を強化しているところです。
例えば、8月に県医師会の監修により、発熱患者の対応や院内感染防止について医師や医療従事者向けの研修会を大規模に実施してまいります。
南部保健医療圏における感染症指定医療機関の指定につきましては、入院協力医療機関を中心に、今後も働き掛けていくことといたします。
医療機関への財政的な支援を
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
コロナウイルス陽性患者を積極的に受け入れたり、PCR検査を行っている医療機関では、風評被害のため患者が激減している。また、病床を確保している医療機関では、ほかの患者を受け入れられないため空き病床となり、減収につながっていると伺いました。日本病院会、全日本病院会、日本医療法人協会の3団体は、合同で新型コロナウイルス感染症拡大による病院経営状況緊急調査を実施し、昨年4月と本年4月の医業収支を比較しております。陽性患者受入病院では、昨年全体の54.6%が赤字であったのに対し、本年は78.2%、コロナウイルス感染症関連以外の医療機関においても、昨年は全体の41.8%が赤字であったのに対し、本年は62.3%、初診患者数も4割減となっております。
また、埼玉県保険医協会が行ったCOVID-19の拡大影響に関する緊急簡易アンケートの結果によりますと、外来患者数も大幅に減少しております。昨年4月と本年4月を比較し「30%超から50%減」と回答した割合が、耳鼻科が83.3%、小児科は62.5%、眼科も50.0%と、大きな影響を受けていることが分かります。各医療機関の経営は非常に厳しい状況です。
国の第2次補正予算を受け埼玉県の第6次補正予算案では、陽性患者の受入れだけでなく、疑い患者を受け入れてくださった医療機関に対しましても、病床数により補助を出す予定とのことです。しかし、経営を立て直すという意味では、十分な額とは言い切れません。コロナウイルス感染症が一段落した後に、これまで身近にあった医療機関がなくなっていたということになれば、救える命も救えなくなります。地域医療を継続させていくためには、県として国の補助に上乗せした支援を検討していただきたいですし、コロナウイルス感染症関連以外の医療機関におきましても、県独自の財政的な支援を行うべきであると考えます。御所見をお聞かせください。
A 大野元裕 知事
新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関では、経営状況が大変厳しいと伺っております。
国は、医療機関の経営については、基本的には診療報酬で対応することとしており、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金では、医療機関に対する協力金や医療従事者に対する手当は、補助対象とはしないとしております。
そこで、県としては、4月の臨時会で御議決をいただき、医療機関への独自の支援として、新型コロナウイルス感染症患者の入院受入れを行う医療機関に対する協力金や看護職員への手当の助成を行っております。
また、新型コロナウイルス感染症関連以外の医療機関への支援として、外来受診を控える患者に対するオンライン診療を促進するため、診療実績に応じた助成を行っております。
今回、医療機関に対する空床確保経費への助成や医療従事者への慰労金の支給などについて、国の第2次補正予算を活用した予算を御提案させていただいており、医療機関に対する支援を更に充実させてまいります。
検査体制の強化について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
厚生労働省のホームページによりますと、本県は関東内で一番の検査数ですが、PCR検査や抗原検査を積極的に行うことにより感染拡大を防ぐことができます。更なる検査体制の強化が必要不可欠です。今後の検査体制についてお聞かせください。
A 大野元裕 知事
県では、国が定める相談や受診の目安に満たなくても、医師が必要と判断した場合にはPCR検査を受けられるように、3月にはすでに保健所に指示しております。
検査体制としては、62カ所の帰国者・接触者外来に加え、31カ所の発熱外来PCRセンターや帰国者・接触者外来と同様の機能を有する55カ所の医療機関を整備しています。
これらにより、6月14日時点の厚生労働省の調査によれば、埼玉県の検査人数は26,670人で、全国では大阪府に次いで2番目に多く、日々の陽性率も1%を切って国内でも断トツに低いこととなっており、しっかり検査を行っています。
検査結果が30分程度で分かる抗原検査については、検査キットを早期に県内の医療機関に行き渡るよう、私自らが国に要望し、6月16日時点で38の医療機関で導入が進んでおります。
今後の検査体制につきましては、第2波に備え、検体採取を行う発熱外来PCRセンターの開設時間の延長による拡充を行えるよう整備するとともに、抗原検査や採取時に感染リスクが少ない唾液による検体採取を広めることで、帰国者・接触者外来と同様の機能を有する医療機関を更に増やしてまいります。
財源の確保について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
これまで国から臨時交付金157億円、包括交付金85億円の上限額などが示されましたが、中小企業支援やマスク、消毒液、防護服の確保などにそのほとんどが充てられております。リーマン・ショック時の平成20年度の県の税収は前年度と比較してマイナス283億円、翌平成21年度の県の税収はマイナス1,095億円と、単年度で済む問題ではないということが分かります。そして、財政調整のための3基金につきましても、令和2年度当初時点で年度末残高が70億円を切る見込みとされております。
コロナウイルス感染症の影響を受け、県税収入の減少が危惧される中で、今後の財源をどのように確保していくのでしょうか。一つ一つの事業の見直しや縮小も必要です。知事の御所見をお聞かせください。
A 大野元裕 知事
今回の感染症対策では、新型インフルエンザ等対策特別措置法において国は地方自治体が実施する対策に要する費用に対し、必要な財政上の措置を講ずることとされています。
国は第1次補正予算において、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をはじめとした財政措置を講じたところですが、規模、内容ともに十分とは言えませんでした。
そこで私は、5月12日、西村経済再生担当大臣及び加藤厚生労働大臣に対して直接、財政措置の増額や拡充のお願いをさせていただきました。
本日提案させていただいた過去最大の補正予算案は、国の第2次補正予算の成立に伴い大幅に増額となった国庫支出金を主たる財源としております。
一方で、本県の実情に応じた課題などに機動的かつ柔軟に対応するために、県独自の対策を講じることも重要であります。
そのため本県では、地域整備事業会計からの借入金を原資とした新型コロナウイルス感染症対策推進基金を創設し、県単独事業の財源を確保いたしました。
しかしながら、今後の県税収入は大変厳しくなることが懸念されます。
資金繰りや雇用、経営面で大きな影響を受けている県内企業をしっかりと支援していくことは、県経済の立て直しのみならず将来的な税収確保の上でも重要であります。
事業の見直しや縮小についても、社会情勢の変化を的確に捉え、限りある資源を有効に活用するという観点から当然、行わなければなりません。
まずは、新型コロナウイルス感染症の影響により延期となった東京2020オリンピック・パラリンピックに関連する事業をはじめとして、やむを得ず実施できなくなった事業について見直しを進めてまいります。
さらに、これまで以上に事業の選択と集中を図ることにより、真に必要な事業に取り組むべく、可能な限り財源の確保に努めてまいります。
県内企業への財政的な支援を
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
内閣府によれば、平成20年9月のリーマン・ショック時の経済成長率はマイナス3.4%、翌平成21年度の経済成長率はマイナス2.2%でした。コロナウイルス感染症の影響は来年度、状況によっては再来年度まで響くと思われます。支援金の創設、積極的な融資制度の緩和などを行ってはおりますが、体力のない企業は倒産に追い込まれています。東京商工リサーチによれば、5月に婦人服縫製加工業者が経営破綻したのをはじめ、路線バス事業者が民事再生法申請となるなど、県内でもコロナウイルス関連倒産が確認されております。
各業種によっても必要な支援が異なる中、県としてきめ細やかな支援を行っていかなくてはならないと考えます。経営の立て直しや経営を安定させる手立てを検討すべきですが、いかがでしょうか。
A 大野元裕 知事
議員御指摘のとおり、企業は、かつて経験したことのない厳しい経営環境に置かれています。
このため本県では、まず、止血的な措置としての資金繰りが極めて重要と考え、いち早く県制度融資の要件緩和や拡充を図りました。
具体的には、融資利率の引下げや融資限度額の拡大、さらには国の緊急経済対策と連動した当初3年間無利子、保証料ゼロの埼玉県新型コロナウイルス感染症対応資金の創設などを行いました。
また、一刻も早い幅広い支援が必要との事業者の声を受け、埼玉県中小企業・個人事業主支援金を創設し、事業継続や再開に向けた取組を支援するとともに、5月の緊急事態宣言の延長に伴い追加支援も行わせていただいたところでございます。
しかしながら、県内企業は、引き続き、厳しい経営が強いられることが予想されます。
このため、県では、こうした企業の経営の立て直しや経営の安定に向け、更なる支援として今回の補正予算で、資金繰り支援の拡大をお願いをしております。
さらに、国の第2次補正予算の成立を受け、新たに家賃支援金を追加提案させていただきました。
また、こうした財政的な支援だけではなく、県内企業にしっかり寄り添うための相談体制の強化や第2波に備えた経営支援も行ってまいります。
具体的には、商工会議所、商工会と公益財団法人埼玉県産業振興公社が連携し、きめ細かく、専門的な課題解決支援を行うプッシュ型支援や国、経済団体、大学等と連携した「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」で具体的な方途を示してまいります。
東京2020オリンピック・パラリンピックを成功させるために
延期になったことによる課題と取組の方向性について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
東京2020オリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルス感染症の世界的なまん延により、2021年夏の開催を目指し延期することが決定し、簡素化して行うとの方向性も示されました。本県では、パラ競技を含め4会場、5競技が予定されており、ラグビーワールドカップに続き、本県を世界にアピールする絶好の機会となっております。今年度当初予算では、大会成功に向けた取組として16億2,900万円、関連イベントの実施として2億8,500万円、大規模警備等のための装備・体制強化として6億9,900万円など、多くの予算が計上されております。大会が延期になったことにより、これらの予算は来年度に組み替えられると思います。大会が簡素化されると運営方法の見直しも行われるでしょうが、暑さ対策や感染症対策もより一層万全に行わなくてはならなくなるため、そこにかかる経費も考慮し負担額が増すことも考えられます。
そこで、まず、延期になったことによる課題と取組の方向性について、知事にお伺いいたします。
多くの県民の皆様と大会を盛り上げようと、これまで様々な機運醸成イベントを行ってきましたが、延期を受けトーンダウンしている印象を受けます。ましてや今後コロナウイルス感染症の第2波、第3波が懸念される中では、感情的にもオリンピックどころではないと思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、全世界が一体となり、人の心をつなぎ、多くの夢と感動を与えてくれる大会ですから、機運を高めるような仕掛けも行い、記録にも記憶にも残るような大会にしなくてはなりません。今後の課題や取組の方向性についてお考えをお聞かせください。
A 大野元裕 知事
本県では、新型コロナウイルス感染症の一刻も早い収束こそ大会の開催に向けた最大の準備であると受け止め、その対策に全力を尽くしているところであります。
御質問の現状の課題でありますが、世界的に感染症が拡大した結果、大会の延期という未曽有の事態に対応することとなりました。
そのためには、選手はもちろん大会の準備運営に携わる方、県民や国内外のお客様、それら全ての安心と安全の確保が最優先の課題と考えています。
加えて、安全対策の徹底を前提とした上で、再びオリンピック・パラリンピックの気運を醸成していくことも重要な課題であると受け止めております。
次に、取組の方向性でございますが、まず第一に、「コロナウイルス対策に万全を期す」ことです。
新型コロナウイルス感染症をきっかけに、生活様式が変わり、働き方が変わり、情報の流通が変わり、社会が大きく変容しようとしています。
この大会はスポーツと文化の祭典にとどまらず、世界の知恵と結束力を示すものでもあります。
このような前提で社会を変えるレガシーの創出に努めてまいります。
第二に、「新しい生活様式の下での気運の醸成」です。
県ではこれまで「多くの県民に、直接見て、触れて」いただくイベントを通じてオリンピック・パラリンピックの魅力を伝えてまいりました。
現下の新しい生活様式を踏まえ、こうしたイベントのみならず、安心な働きかけも必要であり、テレビやラジオはもちろんウェブ、SNSなどをこれまで以上に活用し、県民とともに盛り上げてまいります。
第三に、「埼玉ならではのおもてなし」の実践です。
ラグビーワールドカップでは、シャトルバスの観戦客一人一人の瞳に届くように手を振る姿が、「熊谷の神対応」として称賛されました。握手やハイタッチはできなくても、相手の心に届くおもてなしの工夫ができる、この体験は5,400人の都市ボランティアの皆さんに引き継がれています。
今後、ボランティアや関係者の皆さんとも知恵を出し合い、新型コロナウイルスに立ち向かう埼玉のおもてなしを作っていきたいと思います。
時代の転換点となるにふさわしいオリンピック・パラリンピックとできるよう、しっかりと準備を進めてまいります。
会場の確保について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
大会会場の確保も早急に行わなくてはなりません。同じ会場を押さえられなければ、準備の仕方も変更する必要が生じます。埼玉スタジアム2002やさいたまスーパーアリーナは人気の施設です。新型コロナウイルスの流行中に開催できなかったイベントなどもあるため、利用希望団体や事業者との調整が必要になることは容易に考えられます。会場の確保の見通しは付いているのでしょうか、お聞かせください。
A 山野均 県民生活部長
本県には、開催地東京に次いで最も多い4つの競技会場がございます。
県が所有するさいたまスーパーアリーナと埼玉スタジアム2002は、指定管理者と利用希望者の御協力を得て来年の利用が可能となりました。
また、民間施設の霞ヶ関カンツリー倶楽部と国の陸上自衛隊朝霞訓練場も組織委員会とともに調整を進め、いずれも来年の利用の見通しが立っております。
事前キャンプに関する他機関との連携について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
各市町村で事前キャンプを行うことが決まっていましたが、延期を受けて現在は一旦キャンセルになっていると聞き及んでおります。これまでも県の立場として各市町村と希望国の間に入り、マッチングや施設紹介、宿泊地の確保などを行ってまいりましたが、限られた時間で再度準備しなくてはならない状況です。市町村と大学との連携をこれまで以上に図る必要があると考えますが、県としての関わり方や支援の在り方についてお聞かせください。
A 山野均 県民生活部長
県ではこれまで、市町村とともに事前キャンプ誘致を進め、19の市町で15カ国が実施を決定しております。
現在、関係市町や大学とともに相手国との再交渉を始めたところですが、相手の希望に叶う練習会場や宿泊施設を短期間に確保しなければなりません。
そこで、例えば練習施設を近隣自治体と融通するなど、広域的な視点に立った調整を進めてまいります。
また、今後、感染症対策など新たな対応が求められることも想定されますので、県といたしましても関係市町や大学とともにしっかりと対応してまいります。
都市ボランティアの確保について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
大会を成功させるには、都市ボランティアの皆様の御協力も重要です。1年後となれば、都市ボランティアの皆様の生活環境が大きく変わるおそれがありますし、この状況下では不安に感じている方もいらっしゃると考えられます。現在、登録してくださっている約5,400名のボランティアの皆様をどのようにつなぎ止めるのか、その対策についてお聞かせください。
A 山野均 県民生活部長
本県の都市ボランティア5,400人の皆様には、引き続き、来年の本大会でも御活躍いただきたいと考えております。
皆様からは「延長された1年でさらなるスキルアップを図りたい」など、前向きなお声をいただいております。
そこで、例えば活動場所や会場を動画で疑似体験するなど、本番さながらの実践型研修を実施いたしまして、大会への期待感を高めてまいります。
また、1年後、生活環境が大きく変わった方には、その環境に合わせた活動をしていただけるよう、柔軟に対応してまいります。
新型コロナウイルス感染症による部活動の大会中止に関する対応と今後の部活動の在り方について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
県内公立学校では授業は再開したものの、依然として部活動は再開できずにいます。そのような中、新型コロナウイルス感染症の影響で春・夏の甲子園、インターハイ、文化部の大会や公演などの中止決定が相次ぎ、高校3年生は集大成を迎えられないまま卒業となってしまう現状がございます。今月10月に高野連が春の大会で出場権を獲得していた学校に、甲子園球場で代替試合を行わせることを決めたように、競技によってはまだ大会開催の望みがあるものもございます。
しかしながら、大会などを行うことで感染リスクも高まることが懸念されるため、どのような決断がなされるのか不透明な状況です。
また、約3カ月間休校となり、その分の授業時間が大幅に減少しているため、まずは学習の遅れをどのように取り戻すかに重きを置かざるを得ない現状もございます。中止となってしまった大会の代わりの地区大会を行うにしても、時間や場所の確保ができないというお声もあります。
以上の点を踏まえ、教育長に三点、お伺いいたします。
一点目として、ひたすらに部活動に取り組んできた生徒や保護者からは、部活動を完結して次に進みたいというお声をいただいています。5月29日には県西部の5市の市長が知事に、工夫を凝らした高校生地方大会の開催に関する要望書を提出されました。各競技団体が代替の大会を行う場合には、積極的に協力していただきたいのですが、県の関わり方はどのようになるのでしょうか。また、感染症対策や衛生管理なども行っていかなくてはならないと考えますが、御見解をお聞かせください。
二点目として、大きな目標を失ってしまった生徒への心のケアも必要でありますが、どのような体制をとっていくのかお聞かせください。
三点目ですが、例えばラグビーは体がぶつかり、モールやスクラムで完全なる密ですし、テニスはシングルであれば問題ありませんが、ダブルスですと交錯する場面もあるなど、競技の特性によって実施しがたいものもあります。また、部室や更衣室も密になります。文化部など室内の活動では、三密を避けられない現状もございます。このようなことを鑑みますと、新型コロナウイルス感染症の影響により今後の部活動の在り方や活動内容、指導内容を検討していかなくてはならないと考えますが、教育長の御所見をお聞かせください。
A 高田直芳 教育長
まず、代替大会への県の関わり方や衛生管理についてでございます。
文化部については、全国高等学校総合文化祭が、Web上で開催されることとなりますが、多くの全国規模のコンクールは中止となりました。
また、運動部については、インターハイや夏の甲子園など全ての全国大会が中止となりました。
こうした中、県内ではインターハイや夏の甲子園の代替大会が計画されており、感染症対策や熱中症予防など、主催者である各競技団体は、十分な安全対策を講じる必要がございます。
そのため、主催者となる県高等学校体育連盟や県高等学校野球連盟に対し、必要となる経費等を補助するための予算を、今議会にお願いしているところでございます。
県としては、生徒が部活動をやり切ったという気持ちで次のステップに進めるよう、積極的に協力してまいります。
次に、生徒の心のケアの体制についてでございます。
部活動の集大成として、最後の大会に臨むことができなかった生徒の気持ちを考えると、私自身も大変心を痛めております。
学校生活に重要な位置を占める部活動が、突然終わってしまったことで、目標を見失ったり、将来の進路に悩んだりすることも少なくないと考えております。
こうした生徒たちにとって、身近な存在である顧問の教員や担任による声かけ、相談しやすい雰囲気づくりなどが重要です。
その上で、生徒の日常の様子を丁寧に把握し、必要に応じて養護教諭やスクールカウンセラーとの連携を図るなど、学校全体で組織的、継続的に対応するよう指導してまいります。
次に、今後の部活動の在り方についてでございます。
県では、県立学校に対して徹底した感染症対策を講じた上で活動するための、具体的な留意事項を周知しております。例えば、道具をこまめに消毒することや、2人組での運動を当面避けること、屋内においては窓を全開にして練習を行うことなどの対応を求めたところでございます。
今後も、感染症対策を徹底し、生徒にとって部活動が安全に行えるよう各学校を指導してまいります。
積極的な多胎児支援を行うべき
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
37歳で双子を御出産された方からお話を伺ったことが、この質問をさせていただくきっかけとなりました。交通機関は利用しにくい上、ちょっとした外出や移動であってもぐったりと疲れてしまうこと、寝かしつけても1人が泣けば、つられてもう1人が泣き始めるため、一晩中ほぼ眠ることができず体調不良になったこと、周りに話してもそのつらさを理解してもらえず、こもりがちだったこと、2人を同じ保育所に入れられず、苦労したことなどをお話しくださいました。
人口動態調査によりますと、1970年代には出生率全体の約1%だった多胎児の出生率が、2018年には約2%、40年間で約2倍になっております。本県でも、出生数に占める多胎児の割合は右肩上がりです。
厚生労働省の多胎育児家庭の虐待リスクと家庭訪問型支援の効果等に関する調査研究によると、多胎出生の割合が不妊治療での妊娠によるものとのデータもあり、不妊治療で出産する方の増加が多胎児の増加理由の一つになっていると言われています。不妊治療での支援が充実してきている今日では、多胎児の出生率は増加していくことも考えられます。さらに、厚生労働省の養育支援訪問事業ガイドラインによれば、多胎は妊娠期からの支援の必要性がある特定妊婦とされております。
現在、埼玉県では子育て世代包括支援センターが全市町村に設置され、妊娠期から支援を行ってはおりますが、多胎児支援は十分とは言いがたい状況であると感じております。国では、今年度から多胎児の子育てに特化した多胎妊産婦等支援を実施することとなりました。多胎児の子育て経験がある方との交流会を開催したり、研修を受けたサポーターを多胎妊産婦等の元に派遣し育児の手伝いをするなどといったもので、このような取組を行う自治体に費用の半額を補助するものです。
一方、市町村からは、国の事業を取り入れることが財政的、マンパワー的に困難であるとの声も聞き及んでおります。
そこで、県の母子保健として積極的に働き掛けていただきたいですし、多胎児支援を行っていくべきであると考えますが、保健医療部長の御見解をお聞かせください。
また、東京都では今年度から予防接種などの移動でかかる費用のほか、ベビーシッターや家事・育児サポーターの利用料を補助する事業などを新たに始めるとするとのことです。本県でも、子育てしやすい埼玉県となるよう、多子世帯を支援する取組として定着してきている多子世帯応援クーポンをより利用しやすい制度設計にしたり、例えばタクシーなどでの利用をしやすくするなど、更に利便性の高いものにする必要があると考えますが、福祉部長の御見解をお聞かせください。
A 関本建二 保健医療部長
多胎児の育児は、授乳やおむつ替えなどのケアが2倍、3倍となるなど、心身への負担が大きいことから、多胎妊産婦等の支援は重要と考えております。
このような状況の中、今年度から国は、多胎妊産婦等を支援する「多胎ピアサポート事業」と「多胎妊産婦サポーター等事業」を始めました。
本県では、令和2年3月末までに「子育て世代包括支援センター」が全市町村に設置され、ふじみ野市では、多胎児の親子同士が交流する「多胎児子育ての会」が行われております。
こうした多胎妊産婦を支援する事業を実施する市町村が増えるよう、県として支援していく必要がございます。
市町村で事業を実施していただくためには、多胎妊産婦等のもとに派遣する育児サポーターの養成など、市町村にとって負担となっている人材の確保が課題と考えております。
このため今年度は、新たに育児サポーター養成研修を実施するとともに、市町村職員に対する研修を通じて、多胎妊産婦支援事例の共有化を図るなど、多くの市町村が事業を実施できるよう、支援強化に取り組んでまいります。
A 山﨑達也 福祉部長
育児に係る負担を軽減するとともに、子育てサービスの利用を促進し、社会全体で多子世帯を応援する気運醸成を図ることを目的として、平成29年度からこの事業を実施しています。
議員お話のタクシー利用については、制度開始当初からクーポンの対象としてまいりましたが、直接利用できる事業者が順調に増えてこなかったことが課題となっておりました。
そのため、一般社団法人埼玉県乗用自動車協会を通じるなどし、クーポンが直接利用できる事業者として登録していただくよう、積極的に働きかけてきたところでございます。
その結果、タクシー事業者の登録は、令和元年度末では15社でしたが、本年7月には50社以上の登録となる見込みです。
また、例年実施している利用者アンケートでは、クーポンを直接利用できる事業者の増加や対象品目の拡大を希望するなど、利便性の向上を求める御意見をいただいています。
これまでもアンケートの結果等を踏まえ、電子申請の導入や5万円分のクーポンの一括配布など、改善を図ってまいりました。
今年度は更に、県商工会連合会などの経済団体や業界団体の御協力も得ながら直接利用できる事業者の拡大を図るとともに、クーポンの対象品目として、チャイルドシートや子供服等の育児用品を加える予定としております。
今後も、県民の御意見も踏まえながら改善を重ね、多子世帯応援クーポンの利便性にしっかりと取り組んでまいります。
埼玉県みどりの学校ファームの更なる充実を
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
みどりの学校ファームは、平成20年10月に埼玉県みどりの学校ファーム推進方針が策定され、県内全ての公立小中学校で取り組まれております。子供たちは学校ごとに設置された農園で複数の農業体験を通じて、命や自然、環境や食物などに対する理解を深めております。心身ともに発育段階にある子供たちの情操教育や生きる力の涵養に大きな効果があると期待され、本県独自の取組として進められてきました。
私は、地元の小中学校にお邪魔し、一緒に田植えを行ったり、ジャガイモやダイコンを育てています。最初は消極的な子供たちも、慣れると楽しそうに協力して取り組むようになりますし、だるそうにしていて全く興味を示さなかったやんちゃな中学生が、地域のお祭りや地元の方や友人とダイコンを売っている姿を見ると、感動さえいたします。自分以外の物を大切にする気持ちを学ぶことにより、地者への思いやりの気持ちが芽生え、自分のことも大切に思えるようになります。
私は、教科書では学ぶことのできないものこそが生きていく上で大切であると考えておりますので、このみどりの学校ファームに更に力を入れていただきたいです。学校によっては先生の異動など、様々な事情により取組が低調になっている現状があると聞いております。各学校で教育活動に位置付けて取り組んでいるはずですから、そのようなことがあってはならないと思っております。各学校ファームの取組状況について、県としてどの程度把握をされているのか、農林部長にお伺いいたします。
そして、私の地元川口市では、市が年間予算70万円、小中学校合わせて10校を推進校として取り組んでおります。また、推進校に指定されなかった学校でも、予算が厳しい中、頑張って学校ファームに取り組まれているところもございます。
今後、新型コロナウイルス感染症対策に係る財源確保により、学校ファームのための新規予算は難しいということは理解しております。しかし、そのような中にあっても、全国に誇れる本県独自の心を育てる教育の更なる推進に向け、学校ファームの取組を継続させていくための支援が必要であると考えますが、農林部長の御見解をお聞かせください。
A 強瀬道男 農林部長
まず、各学校ファームの取組状況について、どの程度把握しているか、についてでございます。
毎年、教育局と共同で学校ファームに係る調査を実施しています。
直近の調査においても、学校ファームは全ての公立小中学校で授業などとして実施されており、取組を充実させる上で、農業体験活動の支援や栽培品目の拡大を望む声が多く上がっていることなども把握しています。
次に、学校ファームを継続させていくための支援についてでございます。
農業体験活動の支援については、学校からの要請に基づき、県やJAの職員による技術的なアドバイスなどを実施しています。
今後、教員の異動時期に合わせ、毎年、年度の始めに栽培方法などに関する問合せ先を改めて学校に周知してまいります。
栽培品目の拡大については、JA埼玉県中央会が27品目の種や苗を用意し、学校が希望する品目を無償で提供する支援を行っています。
さらに、県が監修した栽培方法などを紹介する補助教材をJA中央会が作成しており、今年度はこれを改訂し配布することとしています。
今後とも、教育局と連携し、JAグループや市町村などと協力しながら学校ファームを支援してまいります。
主権者教育を積極的に行うべき
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
平成27年に法改正が行われ、18歳から選挙権を持つようになりました。全国で選挙管理委員会と教育局が連携し、出前講座や模擬選挙などを行っていますが、選挙前の一時的なイベントではなく、日常的に行っていくことが大切です。そもそも主権者教育とは、選挙に行かせるための教育、低投票率を向上させるための教育ではございません。今とこれからの社会をつくるために、様々な社会課題について意思決定プロセスに参加することを目指して、若者が知り、考え、意見を持ち、論じ、決めることを学んでいくことが教育であると考えます。
そこで、教育長へお伺いいたします。
現状、県立高校で行われている主権者教育の取組状況と市町村教育委員会への働き掛けについてお聞かせください。また、指導を行うに当たっては、教職員の研修なども必要ではありますが、どのようにして指導の質を高めているのでしょうか、併せてお聞かせ願います。
また、私は以前、選挙コンシェルジュの取組を行っている愛媛県松山市へ視察に行ってまいりました。選挙コンシェルジュとは、選挙啓発に熱意のある個人の集まりで、選挙管理委員会と定期的な企画会議や勉強会などを行っております。本県でも、埼玉県選挙カレッジ生を募集し、投票率向上のため若い方々のアイデアを募り、出前講座の講師や大学祭での活動などを行ってきたと伺っております。
そこで、選挙管理委員会委員長にお伺いいたしますが、これまでどの程度の規模で活動を行ってきたのでしょうか。また、活動の成果をどのように捉えているのでしょうか。そして、若者の投票率向上に向け、カレッジ生の活動を充実させていくことを期待いたしますが、今後の取組についてもお聞かせください。
A 高田直芳 教育長
まず、県立高校で行われている主権者教育の取組状況と、市町村教育委員会への働き掛けについてでございます。
県立高校では、現代社会や政治経済の授業において、社会の成り立ちや選挙制度について学び、総合的な探究の時間では、地域の課題を見つけ、整理した上で自分の考えをまとめ、発表するなどの学習を行っております。
また、市町村教育委員会に対しては、児童生徒が地域活動への参加を通して課題を見つけ、地域を活性化させるための提言を行っていく授業などの好事例を提供し、主権者教育の充実について働き掛けております。
次に、どのように指導の質を高めているかについてでございます。
県では、主権者教育に係る具体的な指導事例を掲載した実践事例集を作成し、小・中・高等学校に配布し、研修等での活用を促しております。
また、小・中・高等学校の初任者は、全ての教員が、主権者教育について校内で研修することとなっております。
加えて、高校の地歴・公民科の初任者全員には、「主権者教育の方法と実践」というテーマを設定し、総合教育センターでの研修も実施しております。
引き続き、主権者教育にしっかりと取り組んでまいります。
A 岡田昭文 選挙管理委員会委員長
まず、これまでどの程度の規模で活動を行ってきたのか、活動の成果をどのように捉えているのかについてでございます。
本県においては、平成23年度の知事選における投票率が24.89%全国ワースト1を記録するなど、総じて投票率が低く、年代別では20代前半の投票率が低い状況にありました。
こうした状況を受け、20代前半をターゲットに、自ら啓発活動に参加し政治意識を高めることを目的として、平成24年度に大学生を対象とする選挙カレッジを発足したところでございます。
これまで、毎年度10名前後の学生に参加していただき、通算で19大学延べ102名の学生の参加を得て活動してまいりました。
具体的には、平成27年度の知事選や平成28年度の参院選において、カレッジ生自ら企画し、出演した映像CMをテレビや電車内の動画の広告などで放映をいたしました。
また、大学の学園祭におきましては、カレッジ生自ら選挙に関するクイズや模擬投票を企画し、埼玉大学におきましては平成30年度241名、令和元年度は166名の御来場者に参加していただきました。
さらに、高校などに出向く出前講座、こちらではカレッジ生が講師を務め、受講者に近い視点で選挙に関する関心を高めるように取り組んでまいりました。
こうした取組は、様々な社会課題を自ら考え、判断し、そして意思表明の手段である選挙の重要性を認識する貴重な機会であったと思います。さらに同世代の若者に一定の効果があったと考えております。
次に、カレッジ生の活動を充実させていくことについてでございます。
令和元年度の知事選では、同世代である若者の共感を得るために、「翔んで埼玉」のキャラクター画像を活用したSNSの投稿内容をカレッジ生自ら考案いたしました。
これまでカレッジ生が関わるSNSの取組は、選挙時に限っておりましたが、今後は、定期的に選挙啓発に関する研修や定例会の内容などSNSで発信してもらうなど、年間を通じた活動を進めてまいります。
引き続き県選挙管理委員会では、さらなる若者の政治意識の向上を目指し、若者の視点による斬新な提案を取り入れ、カレッジ生の活動を充実させてまいります。
農業の6次産業化の推進と販路拡大策について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
6次産業化は少子高齢化、後継者不足などを改善し、将来の国内の農業をより明るくするための重要な取組であり、所得の向上や農作物の生産拡大につながるものです。6次産業化の方法として、農業者が自ら加工や販売に取り組む単独型と、農業者と食品加工業者が互いの経営資源を生かす連携型の2つがあります。私の地元川口市でも、多くの農業従事者さんがいらっしゃり、今後、6次産業化を展開していきたいとの御相談をいただきます。県が行っている埼玉県6次産業化サポートセンターで説明を聞いたり、事業計画策定の支援を受けたりしているとのことです。
6次産業化の取組は、マーケティングやパッケージデザイン、衛生管理、食品表示など、多岐にわたる専門知識や加工技術の取得が必要となります。また、単独型の場合は加工品作りのための機械、施設の整備などが必要となるなど、様々なハードルがございます。そのハードルを乗り越えられるよう、県では国の制度を活用して農業者の課題解決に必要な専門家派遣の体制を整備しており、昨年度までは希望すれば誰もが中小企業診断士やデザイナーなどの専門家からアドバイスを受けることができました。
しかし、今年度、国では専門家派遣制度の対象の見直しが行われ、6次産業化に取り組み始めた農業者などは、支援を受けることが難しくなったとのことです。また、機械・施設の整備を支援する国の6次産業化施設整備事業につきましても、採択を受けるにはハードルが高いと伺っております。6次産業化の取組を通じて、本県農業をもうかる産業としていくためには、国の支援制度に頼るだけでなく、本県が主体的に支援策を講じていくことが必要であると考えます。今後、6次産業化の取組を拡大していくために、県としてどのような支援策を講じていくのでしょうか。農林部長の御見解をお聞かせください。
また、現在、本県では新型コロナウイルス感染症による外出自粛期間中でも埼玉県産の農産物や加工品を楽しんでいただこうと、お取り寄せ埼玉県産農産物応援サイトを作成しました。農家さんにとっても商品を知ってもらい、販路拡大となり、非常に良い取組であります。こちらのサイトは、今後も継続していただきたいですし、登録件数が増えてきたら、地域ごとに分類したり、各事業者さんに問合せをしなくてもホームページでオンラインショッピングができるようになれば購買意欲も満たされ、利用者にとっても有益なものになると考えます。今後の展開について、農林部長の御所見をお伺いいたします。
A 強瀬道男 農林部長
まず、6次産業化の取組を拡大するための支援策についてでございます。
儲かる6次産業化を実現するためには、商品企画から販路確保までを明確にした実効性のある事業計画が重要であり、県では普及指導員が作成を支援しています。
計画実現に有効な議員お話しの国の専門家派遣制度については、支援対象を既に6次産業化に取り組んでいる農業者に絞るなどの見直しが行われました。
このため、新たに6次産業化に取り組む農業者に対し、専門的なアドバイスができるよう、普及指導員の更なるスキルアップを図っています。
さらに、機械・施設の整備が必要な場合には、国の交付金やJAグループさいたまの助成事業の活用を支援してまいります。
今後とも、農業者の発展段階に応じた支援により6次産業化の拡大を図ってまいります。
次に、お取り寄せ埼玉県産農産物応援サイトの今後の展開についてでございます。
現在のサイトは目的の商品を見つけにくい面があるため、商品のグループ分けの見直しなどの改善に取り組んでいます。
さらに、オンラインショッピングができる農業者サイトを増やすため、サイトづくりの研修会や商品の購入割引キャンペーンを実施する補正予算案を今議会で提案させていただいております。
県といたしましては、農業者サイトの充実を図り、県産農産物の消費が拡大するようしっかりと支援してまいります。
地元問題
SKIPシティにある彩の国ビジュアルプラザの活用について
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
私の地元川口市上青木にありますSKIPシティには、埼玉県が整備した彩の国ビジュアルプラザがございます。映像鑑賞や映像学習、そして撮影、編集から発表までの映像制作を行える施設です。子供から大人まで映像制作を楽しく学べるとともに、アマチュアの方からプロの映像制作会社まで広く活用されております。
しかしながら、社会科見学がないときやSKIPシティでのイベントなどが開催されていないときは閑散としており、入館者数も伸びているとは言いがたい状況です。
このたび、NHKは2026年度からの運用に向け、SKIPシティに制作スタジオを4つ整備することを発表いたしました。私は、NHKの整備を追い風に県としても更なる取組を実施し、地域のにぎわいの場として盛り上げていくべきであると考えております。
そこで、産業労働部長にお聞きいたします。
県として年に2回の企画展、ライブラリー所蔵映像の上映会などを行っておりますが、ポスター掲示やホームページで告知するだけでは、十分な周知がされているとは言いがたい状況です。ユーチューバーに撮影場所として提供したり、情報発信してもらうなど、映像の集積地としての利点を生かして、より多くの方々に足を運んでいただける工夫をすべきと考えますが、いかがでしょうか。御見解をお聞かせください。
A 加藤和男 産業労働部長
彩の国ビジュアルプラザは、SKIPシティの中核施設として整備され、次世代映像産業創出拠点の機能と共に、公開ライブラリーや映像ミュージアムなどの施設を有し、これまで240万人以上の方に御来場いただいております。
県ではこれまでも、多くの方々に足を運んでいただけるよう、施設の利用者の分析を行ってまいりました。
SKIPシティの主な来訪者は子供連れの御家族であることから、昨年度、公開ライブラリーにキッズコーナーを設けました。その結果、近年横ばいだったビジュアルプラザの令和元年度の入館者数は前年度比1.3倍、過去最高の19万5,528人となりました。
施設整備だけではなく、魅力的な企画や効果的な情報発信が大変重要です。
休館を余儀なくされたこの5月からは、子供たちが自宅で映像の原理や
仕組みを学ぶことができる動画サイト「アットホーム」を公開し、立体物に映像を投影する「おうちでプロジェクションマッピング」などの動画を配信しております。
また、ユーチューバーと同様、小中学生に人気の職業であるアニメーターや声優が登場するアニメ「しろばこ」をテーマとした企画展を6月20日から開催いたします。
開催にあたりましては、マスコミ向け内覧会を行うほか、テレビやラジオ、川口駅やさいたま新都心駅前の大型ビジョンで、作品の名場面映像などの情報発信を積極的に行ってまいります。
NHKによる施設整備の発表を受け、SKIPシティが映像の集積地として更に価値を高めているこの機会を捉え、彩の国ビジュアルプラザにより多くの方々に足を運んでいただけるよう工夫をしてまいります。
旧鳩ケ谷教職員住宅の方向性を早期に定めるべき
Q 岡村ゆり子 議員(県民)
現在、埼玉県内には26の教職員住宅があります。埼玉県教職員住宅管理計画では、今後、新規建設は行わず、建築後40年を目安として計画的に廃止することとしています。廃止後の利活用につきましては、まずは県庁内で利活用があるか否かを照会し、庁内での利活用の予定がない場合は地元市町村での利活用があるか照会をいたします。地元市町村での利活用も見込めない場合は、県有資産マネジメント検討委員会にかけられ、県として保全しない場合は民間売却の手続を進めるとのことです。
旧鳩ヶ谷教職員住宅は昭和49年10月に建設され、平成23年度末に廃止となっております。現在、敷地内の倉庫はさびついており、入り口を封鎖している木材も劣化したままになっております。周辺にお住まいの方々からは、景観が乱れる、放火されないか心配、誰も住んでいなくて真っ暗で不気味などのお声をいただいております。
そこで、教育長にお伺いいたします。
県として、こうした状況を把握しているのでしょうか。また、川口市との協議はどのようになっているのでしょうか。早期に方向性を示していただきたいのですが、いかがでしょうか。御所見をお聞かせください。
A 高田直芳 教育長
まず、県として状況を把握しているのかについてでございます。
旧鳩ケ谷教職員住宅は平成23年度末に廃止後、速やかに入り口を封鎖するなどの防犯対策を講じ、その後、定期的に現況の把握を行い、除草を行うなど、維持管理に努めてまいりました。
一方で、現在でも未利用の状態が続いていることは、防犯や防災の点からも望ましくない状況にあると認識しております。
次に、川口市との協議の状況でございます。
川口市からは、買受の希望がある旨、回答をいただいており、現在、協議を進めております。
また、地域の安心・安全の確保や、早期の用地の有効活用を図るため、今年度は解体設計を行うこととしております。
今後できる限り早期に解体し、地元川口市との協議を迅速に進めてまいります。