一時保護所の在り方について
入所期間を短縮させるための取組について
Q 岡村ゆり子 議員
埼玉県警が昨年1年間に認知対応した児童虐待疑いの事例が1万272件と、2004年以降で最多、全国でも2番目に多く、一時保護所に入らざるを得ない子供も増えております。
県が設置している一時保護所は現在四か所あり、入所率は97.4パーセントとほぼ満員状態です。
この状況を受け、令和5年度には熊谷児童相談所に一時保護所を設置する予定となっております。
一時保護といっても子供たちの生活の場となるわけですから、新設される一時保護所はプライバシーが守られ、家庭的な雰囲気、多様性に配慮したものになることを期待し、現状の課題を少しでも解消できるよう今回質問いたします。
一時保護所の入所期間は原則として2か月以内とされております。
厚生労働省の資料によりますと、入所期間の全国平均日数は31日ですが、本県は40.3日と平均を超えている現状です。
最長になると1年近い子もいると聞き及んでおります。
平成25年度の48日と比べますと改善されておりますので、現場の皆様の御努力は見られますが、より一層の取組が必要です。
そこで、入所期間を短縮させるための取組についてお伺いいたします。
入所の期間の短縮、つまり一時保護状態をいかに早く解除するかということですが、子供及び家族等の状況等を踏まえ、子供の安心・安全が再び損なわれることのないよう慎重にアセスメントが行われるべきであり、親子再統合に向けた支援や適切な措置の受皿の確保など継続的な支援体制を整えることが必要であるため、簡単に短縮できるものではないことは理解しております。
しかしながら、突如親や兄弟と離れて暮らすこととなり、友人と連絡をとることも、学校にも行くこともできず、外出も制限され、自分の意思で日々の生活を送ることができない現状は、子供にとっては大変つらく、納得できないと心が荒れ、自らの存在意義を見いだせなくなってしまう子もいるでしょう。
兵庫県では入所後3週間以内に援助方針を決定し、退所するための3週間ルールを設けているとのことです。
あわせて、一時保護に特化した研修を適宜実施し、専門性の向上を図ることで迅速な対応につながる取組を強化しているとのことです。
そこで、知事にお伺いいたしますが、本県の現状をどのように捉え、今後どのように改善していくべきとお考えになっているのか、御答弁を願います。
A 大野元裕 知事
一時保護は通学や外出などに制約を強いることから児童にとっては極めて大きな環境の変化であり、精神的にも大きな不安を伴うものと認識しております。
児童本来の生活に1日も早く戻してあげたいという気持ちは、議員と共有していると思います。
他方で、首都圏に位置している本県では、一時保護件数が増加しているほか、御指摘のとおり入所日数も長くなっている状況にあります。
一時保護においては児童にとって最善の支援方針を決定することが何より重要であり、一義的に解除を優先させるだけとはなりません。
このことは議員にも言及をいただきました。
一時保護の解除に当たっては家庭環境の調査や児童の心理診断などのアセスメントを丁寧に行うとともに、児童・保護者への十分な説明を行い、その理解を得る必要があります。
一方で、適切な対応を迅速に行うことも、また必要です。
本県では個々の児童の状況に対応するため、職員に対して一時保護に関する専門研修を実施し、児童が適切な期間で退所できるように努めております。
私は、児童が安心・安全に過ごせる環境の整備や児童の成長を社会全体で支えていくことが極めて重要であると考えており、知事就任以来、児童虐待対策に力を注いでまいりました。
児童虐待対策の中心となる児童福祉司を令和2年度は52人、令和3年度は43人、それぞれ増員いたしました。
引き続き、児童福祉司について新たな配置基準が適用される来年度に向け増員を図り、適切かつ迅速な対応に努める体制を構築します。
また、令和5年度に熊谷児童相談所に新たな一時保護所を整備するほか、令和7年度には南西部地域に一時保護所を併設した県では8番目の児童相談所を新設するなど、児童相談所全体の体制強化も図ってまいります。
今後とも児童の安全確保を前提とし、こうした取組や体制の整備を通じて一時保護日数の短縮など、児童の最善の利益を守れるよう全力で取り組んでいきたいと思います。
子どもの権利擁護を
Q 岡村ゆり子 議員
平成30年に全国の一時保護所を対象に行われた「一時保護された子どもの権利保障の実態等に関する調査研究結果」では、「子どもの私物の全て」を預かるとの回答が30.3パーセント、子供単独での外出は「認めていない」82パーセントとなっており、そのほかに管理的なルールとして、私語の制限、異性間で目を合わせてはいけない、食事の時間に遅れたら食べることはできない、職員から子供への指示は基本的に命令口調など、到底家庭的な環境で生活しているとは言い難い状況であると感じております。
本県におきましては厳しいルールを定めたものはなく、挨拶の徹底や他者を傷付けないこと、私物全てを没収するわけではありませんが、携帯電話や外と通信できるゲーム機、お金などは入所時に預かっているとのことです。
私物につきましては、大事な思い出の持ち物であり、子供の心の安定につながることもあることから、私物所持のルールにつきましては権利擁護の観点から議論が必要であると私は考えます。
様々な理由で傷を負い、一時保護所で生活しなくてはならない状況に追い込まれてしまった子供たちがおります。
中には周りの大人に頼ることができず、何でも自分でやらなくてはと背負い込み、周りの人に「助けて」と言える力、受援力を持つことができるようにしてあげたいと思います。
保護されている状態なので一定の管理や制限はやむを得ないと思いますが、子供の権利を最大限擁護していただけるルールづくり、環境づくりを求めますが、福祉部長の御所見をお聞かせください。
A 山崎達也 福祉部長
一時保護所は児童の安全確保を図るとともに、児童の状況や養育環境等を把握することを目的としていますが、虐待を受けた児童をはじめ様々な背景を持つ児童が共同生活をする場でもあります。
そのため、児童の権利擁護を最大限配慮することを前提として、入所児童の安全やプライバシーを守ることなどを理由に、一定のルールは必要であると考えております。
本県では、私物については入所時に全てを預かるということはしておりませんが、携帯電話などは居場所を外部に連絡することなどにより入所児童の安全確保に支障を生じるおそれがあることから、入所時に預かり、退所時に返す対応としています。
また、お金などの貴重品は紛失時のトラブルが想定されることから、同様の対応としています。
一方、それらに該当せず、児童にとって心の安定につながる大切な物については、児童の権利を擁護する観点からも共同生活の場における紛失や破損のおそれなどに配慮しつつ、児童の希望や状況に応じて個々に対応しております。
なお、一時保護所における私物利用のルールについては、入所時に児童本人に丁寧に説明し、理解を得るようにしております。
国の一時保護ガイドラインでは、一時保護は児童の最善の利益を守るために行われるものであり、児童の安全確保のみならず権利擁護が図られる必要があることが定められています。
本県では、一時保護所入所時に一時保護所のしおりを配布し、守られる権利など児童の権利について丁寧に説明しています。
また、各一時保護所に意見箱を設け、一時保護所での生活について児童が自由に意見を言えるようになっているほか、様々な機会を捉え、一時保護所職員やケースワーカー等が児童から直接意見を聞いています。
こうした児童の権利擁護や意見が尊重される仕組みについては、第三者評価機関による評価を受ける中で、本県の一時保護所はいずれも適切に実施されていると評価されています。
今後も引き続き児童の声に耳を傾け、一時保護所がより安心して生活できる場になるよう児童権利擁護に適切に対応してまいります。
離婚前後の支援と養育費確保について
離婚前の相談体制の強化について
Q 岡村ゆり子 議員
厚生労働省の人口動態統計を見ますと、2019年の婚姻件数約59万9,000組に対し、離婚件数は約20万8,000組で、離婚件数を婚姻件数で割りますと34.8パーセントという数字になり、3組に1組が離婚していることになります。
そのような状況で、養育費の不払いが大きな問題となっております。
全国で約140万世帯とされるひとり親家庭で育つ子供たちの日々の暮らしに直結する生存保障の問題です。
「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によりますと、離婚の際に「養育費の取り決めをしている」と回答したのが42.9パーセント、母子世帯において「離婚した父親から現在も養育費を受けている」との回答は24.3パーセントにとどまっており、父母の離婚後、別居している親から養育費の支払いを十分に受けていないことが、ひとり親世帯の貧困の要因の一つであるともいわれております。そもそも離婚の際に養育費の取決めを行っていないというのも問題です。
また、法務省が未成年時に両親の離婚・別居を経験した20代から30代の男女1,000人を対象に、生活に与えた影響や当時の気持ちなど約80項目を尋ねた初の調査結果では、別居後の生活は「金銭面で苦しくなった」「若干苦しくなった」が計40.5パーセントという数字も示されております。
子供のために離婚後は当然のこととして養育費が支払われる、子供のための養育費に親の都合での不払いは許さないという社会の実現には、個々の事情もあり乗り越えるべき問題や課題が多いことは理解しております。
子供の権利の確保や行使のために当事者の負担や簡便性と安全性を十分に図りつつ、各段階で適切な伴走型のサポートを行政が行っていく必要性を強く感じ、以下質問いたします。
離婚前の相談体制の強化についてです。
現在本県では、市町村の窓口にチラシを配布し、離婚に関する法律相談の周知を行っております。離婚を含めた全ての法律相談の件数は、平成29年度82件、30年度109件、令和元年度113件と増加傾向にございます。
そこで県では、今年度より法律相談体制を強化し、休日も相談日を設け対応しているとのことです。一方で、家庭裁判所では、父母に対し父母間の紛争が子に与える影響、紛争下にある子供の心理等に関する知識や助言をする親ガイダンスを行っております。
先ほどの調査では、「別居前に父母の不仲を知っていた、薄々感じていた」と答えた方が計80.8パーセント、当時の気持ちは「仲直りしてほしい」が30.4パーセントという結果に対し、「早く離婚してほしい、別居してほしい」という回答も21パーセントございました。別居時の状況を覚えている人のうち、「悲しかった」は37.4パーセント、「ほっとした」という回答も14.・3パーセントになっており、これらの結果からも子供の複雑な気持ちを推察することができます。
法律相談だけではなく、親ガイダンスのような離婚による子供への影響、子供の心理、それに加え、養育費の取決めの意義について離婚前に情報提供を行うことも必要であると考えます。現在の法律相談に加え、子供の福祉もしっかりと踏まえた相談ができるようにすべきと考えますがいかがでしょうか。福祉部長の御見解をお聞かせください。
A 山崎達也 福祉部長
離婚前の相談対応に当たっては、子供の最善の利益も踏まえ、議員お話しの子供の福祉に十分配慮することが重要と考えます。
現在、主な離婚前の相談支援として、県福祉事務所や市に配置されている母子・父子自立支援員による相談や、県が母子寡婦福祉連合会に委託して行う無料法律相談があります。
母子・父子自立支援員による相談内容は、離婚後に生じるであろう子供の生活や就学・就職も含め多岐にわたります。
親と子供それぞれの視点に立ち充実した相談を行うためには、何より職員の質を高めることが重要です。このため、これまで年3回の研修の中で、寄り添う援助者としてのソーシャルワーク技法など伴走型支援の必要性の講義を行いました。
引き続き相談支援に当たっては、子供の福祉へ配慮していくという職員の意識共有と対応能力の向上を図ってまいります。
また、養育費など法律面からの対応が必要な方には無料法律相談を御案内するとともに、当事者間の問題に加え、面会交流の場の設定や頻度など子供にも配慮した助言が行えるよう努めてまいります。
今後も市町村や関係団体と連携し、子供の福祉を踏まえた相談を実施できるようしっかり取り組んでまいります。
再Q 岡村ゆり子 議員
今の答弁の中で、子供の福祉を第一に考えて、また専門的な研修も更にしていくということが体制強化につながるという御答弁であったと思うんですけれども、そういった相談をよりしていただきやすくするためには、いかにアクセスしてもらうかですとか、SNSを活用するですとか、そういった相談も多様性を持ったほうがいいと私は思っているんですね。
そうすることで相談体制の強化にもつながると考えるんですけれども、福祉部長の御見解をお聞かせください。
再A 山崎達也 福祉部長
確かに議員のお話のとおり、そういった多様性というのは必要だというふうに考えております。
御質問の中にもありました親ガイダンスというようなお話が例としてございましたけれども、これは子供の福祉を最優先とした解決策を探る上で重要性の理解を促すということでございますけれども、そうしたことを職員がみんなで共有してやっていくと。
それで、子供のほうにしっかりと能動的にアクセスしていって、子供の気持ちを引き出していくということが大事だと思っていますので、そのように取り組んでいくよう職員のほうも指導してまいりたいというふうに考えております。
公正証書作成の支援を
Q 岡村ゆり子 議員
国では養育費の不払いをなくすため、上川法務大臣は離婚届を見直して養育費の負担については、公正証書で取り決めているかどうかを尋ねる項目を設ける方針を明らかにいたしました。
また今後、変更される離婚届には、離婚する際に双方で決めるべきことなどをまとめた法務省のホームページにアクセスできるQRコードも印刷されるとのことです。
公正証書と一言で言っても、普通に暮らしていたらなじみがなく、何が必要でどのように作成するのか分からないと思われます。
東京都豊島区や福岡県福岡市では公正証書等を作成する際にかかる本人負担費用等を補助し、栃木県宇都宮市では今年度から養育費の取決めに関する公正証書などの作成や保証に必要となる費用の一部を補助するとのことです。
市町村でスムーズな手続が行えるよう県として支援を行うことはできないでしょうか。福祉部長に御答弁を求めます。
A 山崎達也 福祉部長
議員御指摘のとおり、離婚に当たり養育費等について取決めを交わすことは極めて重要です。
口約束で終わらせるのではなく、あらかじめ書面で残すこと、公正証書を作成することで不払いが生じた際、養育費の確保が可能になります。
例えば公正証書に「約束どおり支払わない場合には強制執行を受けても異議はない」との条項、いわゆる執行受諾文言を記載しておくことで、相手の財産を直ちに差し押さえることができます。
こうした法律的な知識を知らない方も多くおられますので、離婚に関係する行政窓口でお伝えしていく必要があります。
そこで、今月、法務省が作成したパンフレット「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」を県が増刷し、各市町村に配布いたしました。
また、市町村職員等を対象として弁護士を講師に招き、公正証書の作成例を配布しながら養育費の重要性について理解を深めていただいたところです。
引き続き市町村職員への研修を充実させるとともに、今後は住民向けの啓発セミナーなど市町村が行う取組を積極的に支援してまいります。
さらに、国庫補助事業の活用などにより市町村において公正証書の作成支援の取組が進むよう、県として積極的に働き掛けてまいります。
再Q 岡村ゆり子 議員
市町村職員に向けて研修を充実していくということと、国の制度も積極的に市町村のほうに働き掛けていくということですけれども、県として財政的な支援についてはいかがでしょうか。
例えば保証料を一部負担するですとか、そういったことは何かお考えになっていることがございましたら、福祉部長、御答弁願います。
再A 山崎達也 福祉部長
先ほどもお答え申し上げましたが、養育費等に公正証書を作成しておくことは極めて重要でございますので、現在国では市町村が公正証書等による債務名義の作成支援を行った場合に、その2分の1を助成する離婚前後親支援モデル事業を実施しているところでございますが、この補助金の活用を市町村に周知し、県内市町村における公正証書の作成支援が進んでいきますよう、県としても全力で取り組んでまいります。
養育費の継続的な確保策の導入を
Q 岡村ゆり子 議員
養育費の不払いが大きな問題となっていることから、東京都ではひとり親家庭が元配偶者などからの養育費が不払いになった場合に備え、民間保証会社と連携し、ひとり親家庭への養育費の立替保証を実施するときに、ひとり親家庭が支払う保証料を区・市町村に補助しております。また、保証料補助のほか、養育費の取決め率や支払い率を向上させるための普及啓発も支援しております。
離婚後まで関わりを持ちたくない、DVや精神的苦痛を受けていた、引っ越しをしてしまい連絡が取れなくなってしまったなどという理由から、養育費が不払いとなり泣き寝入りをすることも多く、当事者間でのやり取りが困難な状況もございます。本県でも民間保証会社を活用し、市町村と連携を図り、養育費確保策を進めていっていただきたいと思うのですが、福祉部長の御答弁を求めます。
A 山崎達也 福祉部長
議員お話しの民間保証会社の活用でございますが、養育費の滞納があった場合、保証会社がひとり親家庭に立替払いをした上で未納分を直接回収するスキームになっています。
ひとり親家庭にとっては養育費が保証される上、離婚した相手と連絡をとる必要もなくなり、精神的な負担も軽減されるという利点があります。
他方、養育費の支払いが文書で取り決められていないと利用できない点や、経済的に厳しいひとり親家庭にとっては保証料の支払いが負担になるという課題もあります。
国では、ひとり親家庭が支払う保証料を助成する自治体に半額補助していますが、昨年度本県では実績がなく、他県でも例えば仙台市が9人、大阪市が8人と利用者が少ない状況です。
こうした状況を踏まえ、県では戸田市とワーキングチームを立ち上げ、保証会社に他の自治体の取組事例の聞き取りなどを行いながら、利用者の増加につながる方策などを研究しています。
今後、その内容を広く県内に周知するとともに、市町村担当者向けの勉強会を実施するなど、市町村における養育費確保支援の促進を図ってまいります。
県としても、ひとり親家庭の自立支援について市町村と連携して積極的に取り組んでまいります。
不妊症に関する性教育を更に行うべき
Q 岡村ゆり子 議員
不妊は、現代社会において誰もが認める社会問題となっております。国においては少子化対策の一環として、また誰もが安心して子を産み、育てられる社会の実現に向け、令和3年度当初予算に不妊専門相談センター事業、新規事業として不妊症、不育症に関する広報、啓発、促進事業などの予算を計上し、力を入れているところです。
厚生労働省が作成している「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」によりますと「不妊の心配をしたことがある」夫婦は35パーセント、「不妊の検査や治療を行ったことがある」夫婦は18.2パーセントと、夫婦の5.5組に1組が「検査や治療を行ったことがある」と回答しております。
不妊は身近なことであり、悩んでいる方も多いということがこの数字からも分かります。
また、全出生児に占める生殖補助医療による出産児の割合は、2017年で6パーセントと約17人に1人の割合となっております。
私の周りでも子供を望んでいてもできず、何年も不妊治療を続けている友人もおります。
女性には出産適齢期があり、男性にも加齢による精子の機能低下やその年齢がいつ頃なのか、また不妊には加齢だけではなく男女とも様々な要因があることから、そうした正しい知識を早い段階から知っておく必要があると考えます。
そこで、お伺いいたします。現在の学校の性教育は、発達の段階に応じて男女の体の仕組みや受精、妊娠、家族計画などの意義、人工妊娠中絶の心身への影響などを扱っておりますが、不妊や妊娠のしやすさなど男女それぞれの生殖に関わる機能については、必要に応じて行う程度とのことであり十分とは言えず、一層の充実を図る必要があると考えます。望んでも妊娠できないという現実にこれだけ多くの方々が悩んでおり、誰にでも起こり得ることですし、知識があるかないかで大きく変わってくることだと思います。
不妊について積極的に学校教育で取り入れるべきと考えますが、教育長の御所見をお聞かせください。
A 高田直芳 教育長
生徒が将来子供を持ちたいと望んだときに妊娠できないということに悩むことがないよう、学校にいるときから妊娠や不妊について正しい知識を身に付けておくことは、大変重要であると認識しております。
県では、学識経験者や保健体育の教諭などで構成する「性に関する指導課題解決検討委員会」を設置し、不妊に関する内容も含めた性に関する様々な課題に対する指導方法について研究を行っております。
この検討委員会が中心となり、学校での公開授業や指導者研修会における実践発表の実施など、不妊に関する普及啓発を行ってきたところです。
また、保健医療部が作成した妊娠・不妊に関する正しい知識を普及するための冊子を全ての県立高校及び特別支援学校高等部の2年生全員に配布し、保健の授業等で活用しております。
今後とも保健体育教諭や養護教諭等を対象とした研修会において内容の更なる充実を図るなど、不妊に関する教育にしっかりと取り組んでまいります。
多様性を認め合える学校教育に更に力を入れるべき
Q 岡村ゆり子 議員
本県では、県内に住む18歳以上、64歳以下の方を対象にLGBTQ、性的マイノリティについて県民の性的指向、性自認、心身の健康状態、経済状態、いじめ等の体験、行政へのニーズなどを把握すべく、昨年秋に多様性を尊重する共生社会づくりに関する実態調査を行いました。
調査結果を見ましたところ、性的マイノリティの方に「不快な冗談、からかいを受けたことはあるか」との問いに、「ある」と答えた方が82.1パーセント、中でも「小学校4年生から6年生、中学校の頃に受けた」と答えた方は半数以上となっております。「性的マイノリティへの配慮、支援に関して学校がすべき取組は何か」との問いでは、「性的マイノリティを含めた性の多様性に関する授業」と答えた方は、全体で66.8パーセントと最も高い結果となっております。
本県教育委員会では、児童生徒の教育上及び人権教育上の配慮として性は多様なものであるという視点を大切にし、性の多様性を尊重する教育を推進していくべく、児童生徒向けのポスターの作成や昨年度に教職員向けのリーフレットを作成されたと伺っております。
また、男子校と制服のない学校を除いた県立高校129校中91校が、女子の制服をスラックスを選択できるようになっており、平成30年では57校でしたから、より配慮がなされているようになっているということが分かります。
しかしながら、性的マイノリティに関しては学習指導要領に位置付けがないので、どの授業で行うかを含め十分な授業時間を取ることが難しいこと、制服の配慮が進んでも性別を問わず使用できるみんなのトイレが整備されていないことなど、課題がたくさんございます。
LGBTQは思春期で自認することが多く、当事者である児童生徒やその保護者への支援や対応と理解はもちろんのこと、支援していく教職員の知識や理解を深めることが重要です。
あわせて、ともに生活していくほかの児童生徒への教育と理解を広げ、他者を認めることのできる心を育て、誰もが安心して学校生活を送ることができる環境づくりを行っていくことも重要であり、力を入れていただきたいと思うのですが、教育長の御所見をお聞かせください。
A 高田直芳 教育長
議員御指摘のとおり、性の多様性について教職員の知識や理解を深めるとともに、児童生徒が性の多様性を認め合い、安心して学校生活を送ることができる環境づくりを進めていくことは大変重要だと考えております。
そこで、昨年度作成しました性の多様性に関する教職員用リーフレットを活用し、校長や教員を対象にした研修会など様々な機会を捉え、教職員の知識や理解を深めております。
また、今年度は小学校5年生から高校3年生までを対象とした性の多様性について知識や理解を深めるための資料を作成し、対象の児童生徒全員に配布することとしております。
今後、学校においてこの資料を活用し、道徳の授業や宿泊行事の事前指導の機会などを捉えて、児童生徒に対し性の多様性についての指導を行ってまいります。
また、教職員や児童生徒全体の理解を深めると同時に、性自認などに悩む児童生徒の思いを受け止め、きめ細かい支援を行うことも大切です。
そこで今年度、LGBTQの当事者や学識経験者を交えた会議を設置し、一人一人に寄り添った相談や学校全体での組織的な支援の在り方などを検討することにより、学校における支援体制の充実に結び付けてまいります。
今後このような取組を通じ、誰もが性の多様性を認め合い、当事者はもとより全ての児童生徒が安心して過ごすことができる学校づくりを積極的に推進してまいります。
ターゲット・バードゴルフの普及と推進について
団体への支援について
Q 岡村ゆり子 議員
皆さん、ターゲット・バードゴルフを御存じでしょうか。1985年に発表されました埼玉県川口市発祥のスポーツです。
合成樹脂の羽根付きボールを普通のゴルフクラブで打ち、傘をひっくり返したようなホールに入れるミニゴルフの1つです。
昨今の健康ブームにおいて、特に高齢者スポーツとして全国的に親しまれている生涯スポーツの1つとなっております。
川口市にはターゲット・バードゴルフ場が現在2か所あり、皆さん本当に生き生きと競技を楽しまれております。
県内のターゲット・バードゴルフ人口は1,558名で、13の団体が活動しております。県内には関東甲信越大会や全国大会に出場される方もいらっしゃり、入賞している方もいらっしゃいます。
川口市内のコースには市外からの利用者も多く、自分の町でも盛んになればいいのにというお声もいただいております。
そして、大野知事が掲げている五大プロジェクトのうち「人生100年プロジェクト」では、主な取組として高齢者がスポーツレクリエーションに気軽に参加できる場や機会の充実、スポーツレクリエーションの魅力向上、身近なスポーツ団体の活性化などを挙げております。
生き生きとした人生を送るには何よりも健康であることが重要であり、正にこのターゲット・バードゴルフは、県民が考案し発展させ、地域に根付き生きがいとなり、健康増進を担っているスポーツであるということで、知事のお考えにも合致しているのではないでしょうか。
現在本県では、県レクリエーション協会加盟団体が活動を行った場合には年2万円を補助しているとのことで、埼玉県ターゲット・バードゴルフ協会も対象となっております。
しかし、協会員でなくても活発に活動していたり、独自で様々な大会を行っている愛好家の団体もいらっしゃいます。
その方々の活動を後押しするためにも団体単位で補助を出すことや、県ターゲット・バードゴルフ協会の構成団体となれるよう事務的な支援などを考えていただきたいのですが、いかがでしょうか。県民生活部長の御答弁を求めます。
A 真砂和敏 県民生活部長
地域で手軽に運動できる機会があることは、高齢者の健康づくりには大切です。多様な団体の活動を見て、やってみたい、参加してみたいと思う人も多いかと思います。
議員お話しのように、川口市発祥のターゲット・バードゴルフは気軽に始めやすいという特徴があり、楽しみながら体を動かし健康づくりに役立つスポーツであると認識しております。
県では、広くスポーツレクリエーションを普及、振興することを目的といたしまして、県レクリエーション協会に加盟している県ターゲット・バードゴルフ協会などが県民総合スポーツ大会として事業を実施した場合に助成金を交付しております。今年度、県ターゲット・バードゴルフ協会はこの助成金を活用し、支部協会とともに県大会を本庄市内で開催し、活動の普及を進めていくと伺っております。
議員のお話から、地域で活動している愛好家の団体が生き生きとターゲット・バードゴルフを楽しんでおられるということは十分に伝わってまいりました。
しかし、県全体の普及、振興という観点から愛好家の団体など個別の団体に対しまして、残念ながら助成金の対象とはなっておりません。
ただ、もし愛好家の団体の皆様が県ターゲット・バードゴルフ協会や支部協会の加盟を御希望される場合には、加盟の手続であるとか、団体運営の相談、協会への橋渡しなどの支援を丁寧に行ってまいりたいと考えておりますので、是非一度、御相談いただければと考えております。
県といたしましては、これらの支援を通じまして愛好家の団体が協会に加盟し、地域での参加者をより増やし、活動の幅が広がるよう後押ししてまいります。
ターゲット・バードゴルフの周知を
Q 岡村ゆり子 議員
本県では様々な高齢者スポーツにフォーカスし、高齢者が参加しやすいイベント、事業等の好事例集を作成しております。
新たに作成する際には、是非地域に根差し競技をされている皆さんで作り上げてきたターゲット・バードゴルフを入れていただきたいのです。
しつこいようですが、ターゲット・バードゴルフは本県発祥の高齢者スポーツですので広く周知していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。県民生活部長の御答弁を求めます。
A 真砂和敏 県民生活部長
県では、昨年度末に高齢者が参加しやすいイベント、事業等の好事例集を作成いたしました。
市町村や団体のスポーツ大会や健康教室等につきまして、目標を達成したら記念品と交換できるポイント制度や、次への参加を促す仕掛けのある体力テストなど、好事例を詳しく掲載いたしました。
好事例集につきましては、各市町村のスポーツ担当課などに配布して今後の取組の参考にしていただいております。
ターゲット・バードゴルフにつきましても好事例を取材し、その都度ホームページに掲載するなど、高齢者が参加しやすく生きがいや健康増進につながるスポーツレクリエーション活動を広めてまいります。
様々な理由でマスクができない方がいることへの理解について
マスクができない方々がいるということの周知を
Q 岡村ゆり子 議員
新型コロナウイルス感染症の拡大により我々の生活は大きく変わりました。
感染防止のため外出時はマスクを着用することが新しい生活様式の一つとなっておりますが、発達障害、感覚過敏、脳の障害、皮膚の病気など、様々なことが原因でマスクを着けたくても着けられない方もいらっしゃいます。
国の発達障害情報支援センターの調査によりますと、発達障害がある方のうち56パーセントが「着用が難しい、我慢して着用している」との結果になっております。
実際に私のところに、障害があるためマスクを着けたくても着けられない、障害を理由にマスクができない人がいるということを知ってほしいとの御相談もございました。
マスクの着用が当たり前となった今、マスクを着けていないからと周囲からは厳しい視線を向けられたり、心ない批判を受けることもございます。
そこで、お伺いいたします。
これからもマスクを必要とする生活が続くと思われますが、理由がありマスクができない方々が少しでも生活しやすくなるよう、障害等でマスクができない方々がいるという周知を行っていただきたいと思いますが、福祉部長の御答弁を求めます。
A 山崎達也 福祉部長
議員お話しのとおり、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、マスクの着用は新しい生活様式となっています。
一方、発達障害をはじめ感覚過敏によってマスクの着用が困難な方もおられます。
このような方への心ない批判をなくすためには、多くの県民の方にマスクを着用できない実態を広く知っていただくことが極めて重要です。
このため、県の広報紙「彩の国だより」やホームページ、SNS、テレビ、ラジオ、スマホアプリなどあらゆる媒体を活用して積極的に周知を図り、思いやりのある行動を促してまいります。
障害などを理由とする差別や分け隔てがなくなり、相互に人格と個性を尊重し合える共生社会の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
マスクができないことを他人に理解してもらうための取組を
Q 岡村ゆり子 議員
様々な理由でマスクができないことを他人に理解してもらうことも大変重要であり、その方法として何かマークのようなもので示すことはできないでしょうか。
先日、マスクができない方から御相談いただいた際に、それを示す本県独自のものがなかったために、外見からは分かりにくい障害などの配慮を必要とすることを知らせるヘルプマークと、インターネットで販売している「マスクを着けられません」と書かれたバッジを御案内いたしました。
調べてみますと、東京都豊島区では、障害等によりマスクの着用でできない方への理解が進まない現状を受け、マスクができないことを表示するバッジを区立目白生活実習所福祉作業所にデザインを依頼し、作成、配布を行っております。ちょっと小さいんですけれども、それがこのバッジになります。後ろがピンバッジのものと、ぱちっと簡単につけられるものがあります。大きさも2種類ございます。
また、神奈川県藤沢市では、市のマスコットを使ったキーホルダータイプのものを配布しております。
こちらです。
本当に小さくてすみません。
県内では、草加市と秩父市のホームページでマスクができない意思を示す意思表示カードの御案内をしているとのことです。
本県にはサンミツスキーという炎上覚悟の感染予防を促すキャラクターや、みんなが大好きコバトンもおります。これらキャラクターを使用したマスクできません表示の缶バッジやカードの作成など、マスクができないことを他人に理解してもらうための取組を県として実施できないでしょうか。福祉部長の御答弁を求めます。
A 山崎達也 福祉部長
発達障害のある方には、感覚過敏によりマスクができないことがあるなど、外見から分かりづらい特性を持つ方がいます。
こうした人がいることを理解してもらうための取組は重要なことであると考えます。
一方で、新たなグッズを作成することは、県民に広く認知されるまでに時間がかかること、市が作成しているところに県が更に作成すると、場合によっては混乱が生じかねないなどの懸念もございます。このため、本県だけでなく全国で認知されているヘルプマークの活用が有効であるというふうに考えます。
ヘルプマークは、外見から分かりづらい障害などにより配慮を必要とすることを知らせるためのものです。このヘルプマークの利用者の中には、マスクの着用が困難な方もいることを県のホームページやポスター、チラシ等により周知し、多くの県民の方に理解してもらえるように取り組んでまいります。
再Q 岡村ゆり子 議員
今、埼玉県内では草加市と秩父市の二市ですので、新たに県が作成したところで混乱とまではいかないんじゃないのかなと私は思います。
でも、作って、それを周知するというのは時間のかかることというのも理解しましたし、またヘルプマークというのが2014年から始まって、非常に多くのところでJISマークも取りましたし、有効活用できるのかなというふうに思います。
そのヘルプマークを配布するのは、やはり市町村の窓口になると思うんですね。そういった中で、市町村との連携というのが非常に大切になってくると思うんですけれども、そこについて再度御答弁いただければと思います。
再A 山崎達也 福祉部長
議員からお話しのあったとおり、これは窓口が市町村でございますので、市町村と連携というのが非常に大切であるというふうに考えております。
先ほど御答弁でも申しましたけれども、ヘルプマークは外見から分かりづらい障害などに配慮を必要とすることを一般的に知らせるものでございますけれども、これがそういったマスクができない方も含まれるというようなことも含めて、よく市町村のほうとも関係の会議等で連携を図りながら周知に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
公衆浴場法施行条例の男女の混浴年齢を引き下げるべき
Q 岡村ゆり子 議員
先日、スーパー銭湯を利用されている方から、「随分大きな子供がお父さんと一緒に入って来るんだよね。当然、親と一緒に入れる年齢に決まりはあるんですか」というお話をいただきました。
本県では、公衆浴場法施行条例で10歳以上の男女を混浴させないこととなっております。
昨年7月に発表された聖心女子大学の植田誠治教授らで行った「子どもの発育発達と公衆浴場における混浴年齢に関する研究」によりますと、子供が混浴を恥ずかしいと思い始める年齢は6歳が最も多く、全体の27パーセント。
また、成人男女3,631名のうち、混浴禁止の年齢として最も多かった年齢は6歳からで、全体の18.5パーセントでした。
この結果などを踏まえ、厚生労働省は昨年12月に公衆浴場における衛生等管理要領の混浴制限年齢をおおむね7歳以上に引き下げました。
このため、国の要領に沿って幾つかの自治体では混浴制限年齢を見直す動きがあり、東京都では6月の議会で条例の改正案が可決されました。
現在、入浴施設の中には利用者の要望からもあり、身長120センチメートル以上は混浴を禁じる独自ルールを設けているところもございます。
公衆浴場でのトラブル防止や子供たちの望まない混浴を回避するためにも、保健所の設置自治体である政令指定都市や中核市の先頭に立ち、年齢を引き下げるべきと考えます。
そこで、お聞きいたしますが、本県では国の要領改正を受け条例を改正するお考えはあるのか、具体的な内容を含め、保健医療部長の御答弁を求めます。
A 関本建二 保健医療部長
男女混浴の年齢制限といった公衆浴場の風紀に関する措置の基準につきましては、公衆浴場法の規定により都道府県等が条例で定めることとされております。
本県では、国が自治体に技術的助言として示しております公衆浴場における衛生等管理要領に基づき、現在、公衆浴場法施行条例において10歳以上の男女を混浴させないことと規定しております。
議員御指摘のとおり、昨年12月に国の要領が改正され、混浴制限年齢の目安が10歳以上から7歳以上に見直されたことから、本県においても混浴制限年齢に関する条例の見直しを検討しております。見直しの内容でございますが、本県の混浴制限年齢を国の要領に準じて7歳以上とする案について県民コメントなどを行い、お寄せいただいた御意見等も踏まえ精査してまいります。
屋内50メートル水泳場整備に向けて
今後の計画予定について
Q 岡村ゆり子 議員
これまで本県では、屋内50メート水泳場及びスポーツ科学拠点施設の整備地選定に向けた検討を行うため、埼玉県屋内50メートル水泳場及びスポーツ科学拠点施設整備地選定委員会を設置し、現地視察を含め5回にわたり幅広い観点から議論を行ってまいりました。
今年3月30日実施の第4回目となる委員会におきまして、候補地の比較を行い検討した結果、屋内50メートル水泳場は川口市、スポーツ科学拠点施設は上尾市と分離設置の結論が出ました。
整備予定地となった川口市神根運動場から車で5分のところに私は住んでおりますので、周辺にお住まいの皆さんの関心の高さを感じております。
また現在、神根運動場にはサッカー場、野球場などがあり、神根運動場横には公民館と合築の北スポーツセンター、北中学校があることから、関係する方々から様々な御意見をいただきます。
今後の詳細な計画の策定に当たっては、地元市との具体的な連携方策や県民の利便性の確保、整備費や運営費の在り方などもしっかりと検討する必要があります。
今年度当初予算では、屋内50メートル水泳場及びスポーツ科学拠点施設整備事業費として1,508万3,000円が計上されております。今年度はどこまで計画が進むのでしょうか。
県民生活部長、御答弁を願います。
A 真砂和敏 県民生活部長
2つの施設の整備については、令和2年12月に設置した有識者による整備地選定委員会において議論が行われました。
その結果、本年3月30日の委員会において、屋内50メートル水泳場については、川口市の県内水泳界をリードしてきた実績や市有地が無償貸与される点などが評価され、川口市神根運動場が最適な整備地とされました。
また、スポーツ科学拠点施設については、上尾市が県内スポーツをリードしてきた地域であることや多くのスポーツ施設が集積している点、上尾運動公園の再編整備との連携が評価され、上尾運動公園が最適な整備地とされました。
両施設の整備に当たっては、アスリートだけではなく多くの県民に利用されるにぎわい拠点となる施設を目指すとともに、整備費を抑制し施設を活用して収益を上げ、運営費の削減を図る必要があります。
そのため、今年度は幅広い事業者の意見を聴取するサウンディング調査を行い、地元市とも調整を図り、施設の規模、配置計画、事業手法などを盛り込んだ基本計画案の策定を行ってまいります。
地元市との協議と緊密な連携を
Q 岡村ゆり子 議員
水泳場は県が整備することとなっており、環境やほかのスポーツ施設の整備は市が行うことになります。
先ほども申し上げましたように現在、神根運動場には多くのスポーツ施設や教育施設があるため、水泳場がどこの場所に配置されるかによって市の整備計画や内容も変わってきます。
この場所は建物の高さの最高限度が10メートル規定もあり、地下には下水本管もあります。周辺景観との調和も十分に考えていただきたいですし、配置計画によっては下水本管の切り回し工事も行うことも必要となってきます。
また、隣接する北中学校の日照問題にも配慮していただきたいと考えます。
以上などの理由から、川口市との協議と連携をとりながら計画を策定していただくことが、周辺住民の理解を得るためにも重要であると考えますが、県民生活部長の御所見をお聞かせください。
A 真砂和敏 県民生活部長
整備地選定委員会の報告書では、屋内50メートル水泳場について川口市の整備する周辺施設との連携や、施設の相互利用などが効果的に行える整備が求められております。
また、議員お話しのとおり、川口市神根運動場については、先日私も見てまいりましたが、下水本管が通っていることや高圧線があること、隣接する北中学校への日影や工事中の騒音など、配置場所について課題があると十分認識したところでございます。
したがいまして、基本計画の策定に当たりましては、周辺施設との効果的な連携や配置場所の課題について地元住民の方にも御理解いただけるよう、川口市と綿密に協議を行い進めてまいります。
分離設置となることでのメリットについて
Q 岡村ゆり子 議員
これまで屋内50メートル水泳場とスポーツ科学拠点施設を一括して整備することで両施設の連携が図れ、アスリートの競技力の向上、スポーツ実践者への支援を行うことができるなどとされてきました。
しかし、両施設が分離設置となることにより見えてきたものや、プラスになるものもあると思いますし、設置される川口市と上尾市だけではなく多くの県民にとって有益なものとなるよう、分離設置になることでのメリットについてお聞かせください。県民生活部長の御答弁を求めます。
A 真砂和敏 県民生活部長
分離設置となることでのメリットは、県全体を幅広く捉える視点からそれぞれの地元市の提案を活用し、施設の特徴を最大限生かすことができる点であると考えます。
具体的には、地元市の提案を活用し水泳が盛んな川口市、多くのスポーツ施設がありアスリートが集まる上尾市といった、地域の特性をより発揮できる整備が可能となることであります。
屋内50メートル水泳場については、川口市が整備する総合運動場と一体的に整備することで、県と市が連携して取り組む新たなモデルになると考えており、整備費の面からも高い効果があると考えます。
また、川口と上尾に分離設置される両施設がデジタル技術を活用し連携することは、今後県内スポーツ施設などの連携のモデルとなると考えております。
さらには、健康づくりとスポーツに関わる県の拠点が2つできることで、より多くの県民の利便性が高まり、県全体として有益であるものと考えます。
県といたしましては、アスリートだけでなく多くの県民に利用されるにぎわい拠点となる施設を目指してまいります。